JP2006266442A - ブレーキホース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ブレーキホース10は、内管ゴム層12と、下糸層14と、中間ゴム層16と、上糸層18と、外皮ゴム層20とを積層して構成されている。内管ゴム層12および中間ゴム層16のゴム材料は、IIRが40〜80重量%、残部EPDMがブレンド材であり、上糸はPVAであり、下糸はPETであり、単位デシテックス当たりの引張り強さが6.5g以上で、2.7g伸度が2.6±1%である。
【選択図】 図1
Description
圧力流体を流す流路を形成するとともにゴム材料から形成された内管ゴム層と、
この内管ゴム層上に下糸を編組することにより形成された下糸層と、
この下糸層上に積層されゴム材料から形成された中間ゴム層と、
この中間ゴム層に上糸を編組することにより形成された上糸層と、
この上糸層上に積層された外皮ゴム層と、
を備えたブレーキホースにおいて、
上記内管ゴム層および上記中間ゴム層のゴム材料は、イソブチレン・イソプレン共重合物(IIR)が40〜80重量%、残部がエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)のブレンド材であり、
上記上糸は、ポリビニルアルコール(PVA)であり、
上記下糸は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、単位デシテックス当たりの引張り強さが6.5g以上で、2.7g伸度が2.6±1%であること、
を特徴とする。
しかも、内管ゴム層および中間ゴム層は、ブレンド材を押し出すことによる単層で形成することができるから、従来の技術と比べて製造も簡単である。
図1は本発明の一実施の形態にかかるブレーキホース10を一部破断した斜視図、図2はブレーキホース10の半断面図である。図1及び図2において、ブレーキホース10は、図示しない自動車の油圧ブレーキに使用されるマスタシリンダとタイヤ側の油圧装置とを接続するために使用されるものであり、5層に積層されることによりブレーキ液圧に耐えうるように構成されている。すなわち、ブレーキホース10は、流路11を有する内管ゴム層12と、下糸層14と、中間ゴム層16と、上糸層18と、外皮ゴム層20とを備えている。ブレーキホース10は、端部に口金22がかしめにより締結されている。
ブレーキホース10は、50MPaまでのブレーキ液圧に耐えることができる耐圧性、耐久性、耐膨張性および耐透水性などの特性を得るために、各層の材質や肉厚等が定められている。
内管ゴム層12は、主に耐ブレーキ液性を得るためにEPDM、IIRのブレンド材から形成されている。ブレンド材の組成は、IIRが40〜80%、残部のEPDMが20〜60%である。このような組成としたのは、IIRが40%を下回ると、耐透水性の効果が十分でないからであり、一方、80%を越えると、特に70℃以上の雰囲気下にて、ヘタリ易く、耐ブレーキ液性を低下させるからであり、特に好ましくは、50〜80%である。また、内管ゴム層12の内径は3.0〜3.4mm、厚さは0.5〜1.0mmである。
下糸層14は、PETの繊維糸を2本または3本合糸し、20打または24打で、内管ゴム層12上に編組することにより形成されている。上記下糸層の下糸は、低膨張性および耐久性を考慮して、単位デシテックス当たりの引張り強さが6.5g以上、2.7gのときの伸度が2.6±1%の特性値を持つ糸を適用している。
中間ゴム層16は、下糸層14および上糸層18のずれを防止するための層であり、ゴム材料からなるシート材を下糸層14上に巻き付けることにより形成されている。シート材のゴム材料としては、内管ゴム層12と同じ材料および組成であり、つまりIIRとEPDMとのブレンド材である。中間ゴム層16の肉厚は、0.1〜0.25mmであることが好ましい。すなわち、中間ゴム層16が0.1mm未満であると、薄すぎて下糸層14上に編組することができないからであり、一方、0.25mmを越えると、厚い中間ゴム層が下糸層14のずれを許容する弾性層として作用し、下糸層のずれを抑える作用が小さくなるからである。
上糸層18は、PVAの繊維糸を2本または3本合糸し、20打または24打で、中間ゴム層16上に編組することにより形成されている。上糸19は、200〜400本のフィラメント糸(単糸束)を束ね、これを、2本または3本合糸または20打、24打の条件で編組されて形成されている。PVAは、下糸に用いたPETより保水性および吸湿性が高く、ブレーキホース10の内層側への透水を遅らせることができる。また、図3に示すように、上糸の編角θは、57〜61゜に設定する。これは、従来の編角θが約55゜であったものを、高い編角θとすることで、単位長さ当たりの糸量を増やすことができ、保水性を高め、ブレーキホース10の内層側への透水を遅らせることができるからである。編角θは、上述の効果を得るために、57゜以上であることが好ましいが、加圧時にブレーキホースが軸方向に伸びやすくなり、加圧時のブレーキホースの挙動が不安定になるので、61゜以下であることが好ましい。
PVAからなる上糸は、単位デシテックス当たりの引張り強さが6.5g以上、1.9gのときの伸度が1.2±1%の特性値を持つ。
外皮ゴム層20は主に耐オゾン性を得るために、EPDM、EPDMとCRのブレンド材などから形成されている。厚さ0.5〜1.0mmである。
次に、ブレーキホース10の製造方法について説明する。ブレーキホース10は、周知の方法により、つまりゴム押出工程、繊維糸の編組工程及び加硫工程を施すことにより製造することができる。
図4はホース製造装置30を説明する説明図である。図4において、ホース製造装置30は、第1押出装置31と、第1編込装置32と、中間シート形成装置34と、第2編込装置35と、第2押出装置37と、を備えている。第1押出装置31は、ゴム材料12Aを押し出して内管ゴム層12を形成する装置である。第1編込装置32は、ドラム32aに装着されたボビンキャリアを備え、該ボビンキャリアから下糸15を繰り出しつつ内管押出体12A上に編組することにより下糸層14を形成する装置である。中間シート形成装置34は、第1編込装置32によって編組された下糸層14上に、中間ゴム層16を形成するためのシート材16Aをローラから繰り出す装置である。第2編込装置35は、第1編込装置32とほぼ同様な構成であり、該ドラム35aに装着されたボビンキャリアを備え、該ボビンキャリアから上糸19を繰り出しつつ中間ゴム層16上に編組することにより上糸層18を形成する装置である。第2押出装置37は、ゴム材料を押し出して外皮ゴム層20を形成する装置である。
次に、図4を用いて、ホース製造装置30によるブレーキホース10の一連の製造工程について説明する。まず、第1押出装置31によりゴム材料12Aを押し出すことにより内管ゴム層12を形成する。このとき、内管ゴム層12内には、マンドレル(図示省略)が挿入される。続いて、押し出された内管ゴム層12上に、第1編込装置32のドラム32aを回転しつつボビンから下糸15を繰り出して内管ゴム層12上に編組することにより下糸層14を形成する。この場合において、例えば、下糸層14を20打で編組するには、逆方向に回転する合計20カ所のボビンからそれぞれ下糸15を繰り出すことにより行なう。次に、下糸層14上に、中間シート形成装置34からシート材16Aを供給することにより中間ゴム層16を形成する。さらに、中間ゴム層16上に第2編込装置35のドラム35aを回転しつつボビンから上糸19を繰り出して中間ゴム層16上に上糸層18を編組みする。そして、上糸層18に、第2押出装置37からゴム材料を押し出すことにより、外皮ゴム層20を形成する。
次に、ブレーキホースの耐透水性について調べた。ここで、耐透水性は、水分透過性試験(SAE J1873)により調べた。すなわち、両端に口金を付けた長さ305mmのブレーキホースを準備し、100℃の雰囲気下で24時間予備乾燥し、冷却後にブレーキホース内にブレーキ液を入れ、両端の口金を密封した試料を作製する。次に、試料を70℃の蒸留水に72時間浸漬する。浸漬後における試料のブレーキ液を採取し、ブレーキ液中に溶解した水分をカールフィッシャー法にて測定する。ブレーキホースの各層の材料などを変更した下記の試料1〜8を準備し、各試料について透水量を調べ、その結果を図5ないし図8に示す。
11...流路
12...内管ゴム層
12A...内管押出体
14...下糸層
15...下糸
16...中間ゴム層
16A...シート材
18...上糸層
19...上糸
20...外皮ゴム層
22...口金
30...ホース製造装置
31...第1押出装置
32...第1編込装置
32a...ドラム
34...中間シート形成装置
35...第2編込装置
35a...ドラム
37...第2押出装置
Claims (2)
- 圧力流体を流す流路を形成するとともにゴム材料から形成された内管ゴム層と、
この内管ゴム層上に下糸を編組することにより形成された下糸層と、
この下糸層上に積層されゴム材料から形成された中間ゴム層と、
この中間ゴム層に上糸を編組することにより形成された上糸層と、
この上糸層上に積層された外皮ゴム層と、
を備えたブレーキホースにおいて、
上記内管ゴム層および上記中間ゴム層のゴム材料は、イソブチレン・イソプレン共重合物(IIR)が40〜80重量%、残部がエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)のブレンド材であり、
上記上糸は、ポリビニルアルコール(PVA)であり、
上記下糸は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、単位デシテックス当たりの引張り強さが6.5g以上で、2.7g伸度が2.6±1%であること、
を特徴とするブレーキホース。 - 請求項1に記載のブレーキホースにおいて、
上記上糸層は、単糸束から形成された2組の上糸が互いに交差し合って形成され、該2組の上糸が交差する編角は、57〜61゜であるブレーキホース。
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