JP4760114B2 - ホース - Google Patents
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Description
この補強層は、繊維や金属の糸をブレード編またはスパイラル状に巻きつけて編組されるものであるが、低コスト化を図る観点から、スパイラル状に巻きつけた編組構造(以下、「スパイラル編組構造」という。)が採用されることが多い。
また、このスパイラル編組構造の場合は、通常、補強糸をスパイラル状に巻き付けた第1補強層と、該第1補強層と逆方向に複数本の補強糸をスパイラル状に巻き付けた第2補強層とを積層させており、高圧ホース等においては、2つの補強層の結合性を高め、相互の摩擦を防止して耐久性を高めるために、補強層間に中間ゴム層を介在させることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)
そこで、本発明は、中間ゴム層を排除しても良好な耐久性、具体的には、135℃下、0.5Hzの周期で0MPaおよび5.3MPaの圧力を繰返し加える試験においても40万回以上稼動する耐久性を示すスパイラル編組構造のホースを提供することを課題とする。
(1)少なくとも、内面ゴム層、2層以上のスパイラル編組構造の補強層および外面ゴム層を、内周側からこの順に備えるホースであって、
上記内面ゴム層を形成するゴム材料の135℃における破断強度(TB)と、
上記補強層を形成する補強糸の135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びと、
の比(TB/中間伸び)が、1.9以上であり、
上記補強層を形成する補強糸の135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びが、0.4〜5.0%であり、
上記内面ゴム層を形成するゴム材料の135℃における破断強度(T B )が、4.5MPa以上である、ホース。
(2)上記内面ゴム層を形成するゴム材料が、臭素化イソブチレン−コ−パラ−メチルスチレン(BIMS)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、および、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)に記載のホース。
本発明のホースは、上述したように、少なくとも、内面ゴム層、2層以上のスパイラル編組構造の補強層および外面ゴム層を、内周側からこの順に備えるホースであって、
上記内面ゴム層を形成するゴム材料の135℃における破断強度(TB)と、
上記補強層を形成する補強糸の135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びと、
の比(以下、単に「TB/中間伸び」と略す場合がある。)が、1.7以上である、ホースである。
本発明のホースを構成する内面ゴム層は、後述する補強糸との関係において、TB/中間伸びが1.7以上となるように用いられるゴム組成物で形成されるものであれば特に限定されず、ホースに用いられる従来公知の内面ゴム層を用いることもでき、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
これらのうち、最適なゴム材料は用途によって異なるが、例えば、冷媒輸送用ホースの場合、耐冷媒透過性の観点から、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、臭素化イソブチレン−コ−パラ−メチルスチレン(BIMS)を用いることが好ましい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、具体的には、例えば、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、軟化剤、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等を挙げることができる。
本発明のホースを構成する補強層(内側補強層、外側補強層)は、上述した内面ゴム層のゴム材料との関係において、TB/中間伸びが1.7以上となるように用いられる補強糸で形成されるものであれば特に限定されず、ホースに用いられる従来公知の補強層を用いることができる。
ここで、「1.2cN/dtex時」とは、5.3MPa程度の圧力をホースに加えた場合における、補強層を形成する補強糸1本あたりに加わる圧力を想定したものである。補強層を形成する補強糸の中間伸びが0.4〜5.0%となることにより、5.3MPa程度の圧力をホースに加えた場合のホースの外形変化が適当な範囲に制限され、ホースの連続使用等に伴う繰返し疲労による性能の劣化が防ぎ、耐久性がより良好なものとなる。
また、このような補強糸を、135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びが0.4〜5.0%となる好適な補強糸とするための処理条件は、補強糸の種類によって異なるため特に限定されない。
更に、このような補強糸は、内面ゴム層および外面ゴム層との接着性の観点から、接着剤に浸漬する処理を施すのが好ましい。接着剤は特に限定されないが、コスト、種々のゴムに対する接着性等の観点から、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物水溶液とゴムラテックスとの混合液(RFL)系接着剤が好適に用いられる。
また、本発明のホースにおいては、上記補強層の厚さは、本発明のホースが用いられる用途、本発明のホースに要求される物性等に応じて任意の厚さとすることができる。
本発明のホースを構成する外面ゴム層は、ホースに用いられる従来公知の外面ゴム層を用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
これらのうち、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を用いることが、耐候性、耐熱性、耐水分透過性に優れる理由から好ましい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、内面ゴム層を形成するゴム組成物として上記で例示した各種添加剤が挙げられる。
本発明のホースは、上記内面ゴム層の内側に樹脂層を備えていてもよい。樹脂層は、従来公知の樹脂により形成されるものであれば特に限定されず、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
これらのうち、最適な樹脂材料は用途によって異なるが、例えば、自動車エアコンホース用途の場合、耐冷媒透過性に特に優れる理由からポリアミド系樹脂を用いるのが好ましく、具体的には、ナイロン6(N6)とナイロン11(N11)との混合樹脂(ブレンド)を用いるのがより好ましい。
内面ゴム層に用いるゴム材料1〜6として、下記表1(数値は質量部)に示す各成分を含有する組成物を調整した。
このシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251に準じて行い、135℃における、破断強度(TB)[MPa]、破断伸び(EB)[%]、50%モジュラス(M50)[MPa]を測定した。その結果を下記表1に示す。
・BIMS:Exxpro3745(Exxon化学社製)
・IIR:Exxpon Butyl 268(Exxon化学社製)
・EPDM:MITSUI EPT4070(三井化学製)
・HNBR:ZETPOL 2000(日本ゼオン社製)
・カーボンブラック(ISAF):ショウブラックN220(昭和キャボット社製)
・カーボンブラック(HAF):ショウブラックN330(昭和キャボット社製)
・カーボンブラック(SRF):#50(旭カーボン社製)
・タルク:ミストロンペーパー(日本ミストロン社製)
・臭素化アルキルフェノール樹脂:タッキロール250−I(田岡化学工業社製)
・ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸亜鉛(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ルナックYA(花王社製)
・パラフィン油:マシン油22(昭和シェル石油社製)
・トリメリット酸:アデカサイザーC−8(旭電化工業社製)
・1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン:パーカドックス14(カヤクアクゾ社製)
下記の補強糸A〜Cのコード構造は、いずれも1100dtex//3の片撚構造(撚数:10回/10cm、S撚)とした。
ポリエチレンテレフタレートからなるコードをRFL系接着剤固形分濃度10%の浴中に浸漬(ディップ)した後に、−5%のストレッチ下で、230℃で60秒間熱処理した補強糸を用いた。
ポリエチレンテレフタレートをからなるコードをRFL系接着剤固形分濃度10%の浴中に浸漬(ディップ)した後に、−2%のストレッチ下で、230℃で60秒間熱処理した補強糸を用いた。
ポリエチレンテレフタレートをからなるコードをRFL系接着剤固形分濃度10%の浴中に浸漬(ディップ)した後に、+1%のストレッチ下で、230℃で60秒間熱処理した補強糸を用いた。
各補強糸A〜Cについて、135℃下、1.2cN/dtex時の中間伸びを、JIS L1017:02に準じて測定した。
得られた各ゴム材料1〜6、各補強糸A〜Cからなる補強層を用いたホースを以下に示すように作製した。
まず、外径12mmのマンドレル上に、厚さ0.15mmの最内層樹脂(ナイロン6)を被覆し、その上に得られた各ゴム材料1〜6よりなる内面ゴム層を厚さ2.0mmとなるように押し出し、内管を形成させた。
ついで、内管上に、得られた各補強糸A〜Cを一方向にスパイラル状に巻き付けて内側補強層を形成させ、該内側補強層の上に、それと反対の方向に各補強糸A〜Cをスパイラル状に巻き付けて外側補強層を形成させた。
その後、外側補強層の上に、下記表3に示すEPDM系ゴム組成物よりなる外面ゴム層を厚さ1.0mmとなるように押し出し、外管を形成させた。
ついで、外管を最外層樹脂(TPX、三井化学社製)で被覆し、加硫缶を用いて約150℃で60分間加熱加硫を行い、その後、最外層樹脂を除き、マンドレル抜きを行い、ホースを得た。
・EPDM:ESPRENE 505(住友化学製)
・カーボンブラック:#50(旭カーボン社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ルナックYA(花王社製)
・パラフィン油:マシン油22(昭和シェル石油社製)
・硫黄:粉末イオウ(軽井沢精錬所)
・加硫促進剤1:ジベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)(サンセラーDM、三新化学工業社製)
・加硫促進剤2:N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(CBS)(サンセラーCM、三新化学工業社製)
層間接着性の評価は、JIS K6330−6:98に準じて行い、135℃における、内側補強層と外側補強層との間のはく離強さを測定した。
得られた各ホースを、JIS K6330−2:98に準拠したホース破壊試験に供し、ホース破壊時の破壊圧(MPa)を測定した。
得られた各ホースを、135℃下、0.5Hzの周期で0MPaおよび5.3MPaの圧力を繰返し加える繰返し加圧試験に供し、稼動回数(万)を測定した。
2 内面ゴム層
3 内側補強層
4 外側補強層
5 外面ゴム層
Claims (2)
- 少なくとも、内面ゴム層、2層以上のスパイラル編組構造の補強層および外面ゴム層を、内周側からこの順に備えるホースであって、
前記内面ゴム層を形成するゴム材料の135℃における破断強度(TB)と、
前記補強層を形成する補強糸の135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びと、
の比(TB/中間伸び)が、1.9以上であり、
前記補強層を形成する補強糸の135℃における1.2cN/dtex時の中間伸びが、0.4〜5.0%であり、
前記内面ゴム層を形成するゴム材料の135℃における破断強度(T B )が、4.5MPa以上である、ホース。 - 前記内面ゴム層を形成するゴム材料が、臭素化イソブチレン−コ−パラ−メチルスチレン(BIMS)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、および、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のホース。
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