JP2012137105A - 低膨張ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも優れた耐膨張性をもつブレーキホースに好適な低膨張ホースを提供する。
【解決手段】内層チューブからなる内層ゴム層11の外周に少なくとも1層以上の繊維補強層および外層カバーからなる外層ゴム層15を順次設けてなる低膨張ホース10において、内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層12がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、第1繊維補強層12の上にメラミン樹脂を塗布したものである。
【選択図】図1
【解決手段】内層チューブからなる内層ゴム層11の外周に少なくとも1層以上の繊維補強層および外層カバーからなる外層ゴム層15を順次設けてなる低膨張ホース10において、内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層12がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、第1繊維補強層12の上にメラミン樹脂を塗布したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、低膨張ホースに関するものである。
ブレーキホースは、車両の安全性を確保する上で極めて重要であり、重要保安部品に指定されている。このブレーキホースは、内部にブレーキ液を充填する内層ゴム層と、内層ゴムの外周に形成された第1繊維補強層と、第1繊維補強層の外周に形成された中間ゴム層と、中間ゴム層の外周に形成された第2繊維補強層と、最外周に形成された外層ゴム層とで一般的に構成され、車両ハンドルの繰り返し動作による屈曲、転舵および揺動など過酷な機械的ストレスを受けるため、優れた耐疲労性を有する必要がある。また、ブレーキホースの鋭敏な動作を確保するため、耐膨張性に優れている必要がある。
これらの特性は、第1繊維補強層に依存していると考えられている。このような特性を得る為に例えば第1繊維補強層にビニロン繊維を用いて、この第1繊維補強層にメラミン樹脂からなる樹脂層を設けたブレーキホースが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
ブレーキホースに対する要求性能は年々高レベルになっており、中でも繊細かつ、ハイレスポンスなブレーキフィーリングを実現するためには、ホースの更なる耐膨張性が強く求められている。特に、低圧領域での耐膨張性が必要とされる。ところが、従来のブレーキホースでは繊維補強層の強度が不十分であるため更なる耐膨張性を満たすことが出来ない。
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、従来よりも優れた耐膨張性をもつ低膨張ホースを提供することにある。
上記課題を解決するために創案された本発明は、内層チューブの外周に少なくとも1層以上の繊維補強層および外層カバーを順次設けてなる低膨張ホースにおいて、前記内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、前記第1繊維補強層の上にメラミン樹脂を塗布したことを特徴とする低膨張ホースである。
前記第1繊維補強層の編組密度が1380〜2480dtex/mmであるとより好ましい。
前記第1繊維補強層を構成するアラミド繊維の初期引張り抵抗度が350cN/dtex以上であるとよい。
前記第1繊維補強層を構成するアラミド繊維の単位フィラメントの繊度が1.0〜3.5dtex、かつコードの繊度が800dtex以下であるとよい。
前記低膨張ホースの加圧膨張量が1.0MPa時に0.01cc/ft以下、3.0MPa時に0.03cc/ft以下であるとよい。
本発明によれば、従来よりも優れた耐膨張性をもつ低膨張ホースを提供できる。
本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施の形態に係る低膨張ホースの基本構成を図1に示す。
図1に示すように、本発明は、内層チューブからなる内層ゴム層11の外周に少なくとも1層以上の繊維補強層(ここでは第1繊維補強層12、第2繊維補強層14)および外層カバーからなる外層ゴム層15を順次設けてなる低膨張ホース10において、内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層12がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、第1繊維補強層12の上にメラミン樹脂を塗布したことを特徴としている。つまり、内層ゴム層11の外周に形成された第1繊維補強層12に引張り強さ、弾力、耐熱性を併せ持つアラミド繊維を用いることでホース耐膨張性を改良することを特徴としている。さらに本発明において、第1繊維補強層12の編組密度は800〜2500dtex/mmであり、より好ましくは1380〜2480dtex/mmである。ここで編組密度を限定したのは、限定範囲を下回るとホース強度が不十分であり、逆に超えると耐膨張性が悪化するからである。
なお、編組密度は次式で定義される。
d/(π×D)
d:第一繊維補強層の総繊維度、D:内層チューブの外径
d/(π×D)
d:第一繊維補強層の総繊維度、D:内層チューブの外径
ここで、繊維度(繊度)[dtex]は次式で表される。
また、低膨張ホース10は、第1繊維補強層12を構成するアラミド繊維の初期引張り抵抗度が350cN/dtex以上であることが望ましい。ここで初期引張り抵抗度を限定したのは、限定範囲を下回ると、耐膨張性の改良効果が不十分になるからである。なお、本発明でいう初期引張り抵抗度とは、JIS L1013に準拠して測定されたものである。
さらに、低膨張ホース10において、第1繊維補強層12を構成するアラミド繊維の単位フィラメント繊度が1.0〜3.5dtex、かつコードの繊度が800dtex以下、望ましくは200〜600dtexであることが望ましい。ここで単位フィラメントおよびコードの繊度を限定したのは、まず単位フィラメントの繊度が限定範囲を超えると耐膨張性の改良効果が不十分であり、逆に下回ると、繊維補強層形成時にフィラメントが切断してしまう。また、実用時のホースに過酷な屈曲、捩り、圧縮などの機械的ストレスが作用した際にフィラメントが破断する可能性があるからである。また、コードの繊度が限定範囲を超えると、本発明の要件を満足する第1繊維補強層の形成が困難な場合がある。
アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維が挙げられる。メタ系アラミド繊維は、メタ系芳香族ポリアミド繊維であり、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維がある。パラ系アラミド繊維はパラ系芳香族ポリアミド繊維であり、ポリパラフェニレンテレフタルアミドあるいはコポリパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレン−テレフタラミドがある。この中で特に好適なのは、パラ系アラミド繊維である。また、本発明で用いるアラミド繊維とは、上記アラミド繊維を素材としてなるフィラメント糸、およびスパン糸の他、このフィラメント糸およびスパン糸から成るコードであり、単繊維繊度や撚り数、合糸数は用途に応じた任意の撚り糸構成を取ることが出来る。
また、低膨張ホース10では、第1繊維補強層12の上にメラミン樹脂を塗布し、メラミン樹脂層16を形成することで耐膨張性を改良している。ここで、メラミン樹脂を選択したのは、熱硬化前の液状樹脂は、繊維内部まで浸透し、補強層が一体となり加硫反応により硬化することで、耐膨張性を発現するためである。また、水溶性であるため、製造時の環境への負荷が低減される。
メラミン樹脂は、水で希釈することにより第1繊維補強層12へ塗布される樹脂量を調節することも出来る。メラミン樹脂と水との混合比率としては、「メラミン樹脂/水=70/30〜30/70」であることが望ましい。
さらに、低膨張ホース10は、加圧膨張量が1.0MPa時に0.01cc/ft以下、3.0MPa時に0.03cc/ft以下であることを特徴とする。1.0MPa及び3.0MPa加圧時の膨張量を限定したのは、ホース内にかかる圧力をより早く、損失することなく伝達するためには、低圧力領域(1.0〜3.0MPa)での膨張量が重要となるためである。
低膨張ホースの繊維補強層としてアラミド繊維を適用することは従来から知られているが、耐疲労性やコスト面での課題により、ブレーキホースのように一般的には適用できない例も多かった。本発明は、発明者らの検討の結果、上記のような項目を限定することにより、耐疲労性およびコスト競争力を維持したまま、ホースの耐膨張性を向上させることが可能であると見出したものである。
また、本実施の形態においては、繊維補強層を第1繊維補強層12と第2繊維補強層14の2層構造としているため、第1繊維補強層12と第2繊維補強層14との間に中間ゴム層13を設けている。
内層ゴム層11、中間ゴム層13、外層ゴム層15の材料は、特に限定されるものではないが、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、イソブチレンゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等が特性に応じて用いられる。また、その架橋形態および製造方法も特に限定されるものではなく、更に必要に応じて、補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防止剤などの配合剤を適宜使用することが出来る。
第2繊維補強層14の材料もまた特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン2,6ナフタレート(PEN)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアクリレート繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリイミド繊維またはポリフェニレンサルファイド繊維のような合成繊維、レーヨンやノボラックのような化学繊維、綿や麻のような天然繊維も要求特性に応じて用いるとよい。
以上要するに、本発明によれば、内層チューブの外周に少なくとも1層以上の繊維補強層および外層カバーを順次設けてなる低膨張ホース10において、内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層12がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、第1繊維補強層12の上にメラミン樹脂を塗布したため、従来よりも優れた耐膨張性をもつブレーキホースに好適な低膨張ホースを提供できる。
なお、本実施の形態においては、繊維補強層を第1繊維補強層12と第2繊維補強層14の2層構造としたが、1層構造、あるいは3層以上の構造としても良い。
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
まず、メラミン樹脂層を設けずに低膨張ホースを作製し、第1繊維補強層の編組密度と膨張量との関係を調べた。その結果を表1に示す。
表1より、第1繊維補強層を構成するアラミド繊維の編組密度が800〜2500dtex/mmの範囲内にある1380〜2480dtex/mmの低膨張ホースは、編組密度720dtex/mmや3960dtex/mmの低膨張ホースに比べ、膨張量が小さいことがわかる。
次に、図1に示すような仕様の低膨張ホース10を用い、材料構成は以下の様にした。
内層ゴム層11:EPDM、中間ゴム層13:EPDM、第2繊維補強層14:ビニロン繊維、外層ゴム層15:EPDM、ポリアミド繊維(アラミド繊維)は、編組密度2100dtex/mm、初期引張り抵抗度510cN/dtex、フィラメントの繊度1.8dtex、コードの繊度440dtexのものを使用した。
実施例1および2の製造方法は、マンドレル上に内層ゴム層11を押し出し、これに第1繊維補強層12を編組により作製し、水系樹脂を塗布し乾燥させることでメラミン樹脂層16を作製する。これに中間ゴム層13、第2繊維補強層14、押し出しによる外層ゴム層15を順次形成した後に、加硫を施して完成させた。
比較例1〜3の製造方法は、マンドレル上に内層ゴム層を押し出し、これに第1繊維補強層を編組により作製し、これに中間ゴム層、第2繊維補強層、押し出しによる外層ゴム層を順次形成した後に、加硫を施して完成させた。
上記方法で製造した低膨張ホースを所定の長さに切断し、試験を行った。
加圧膨張量試験は、JIS D2601に準拠し、それぞれの圧力での膨張量(cc/ft)を測定した。結果を表2に示す。また、表2をグラフ化したものを図2に示す。
表2,図2の結果から明らかなように、上述した本発明の条件に適合する実施例1および実施例2の低膨張ホース10は、低圧力領域での膨張量が小さい応答性の良い低膨張ホースとなっている。一方、比較例1〜3では、低圧力領域での膨張量が大きい低膨張ホースであることがわかる。これは第1繊維補強層の強度不足が原因であると考えられる。
10 低膨張ホース
11 内層ゴム層
12 第1繊維補強層
13 中間ゴム層
14 第2繊維補強層
15 外層ゴム層
16 メラミン樹脂層
11 内層ゴム層
12 第1繊維補強層
13 中間ゴム層
14 第2繊維補強層
15 外層ゴム層
16 メラミン樹脂層
Claims (5)
- 内層チューブの外周に少なくとも1層以上の繊維補強層および外層カバーを順次設けてなる低膨張ホースにおいて、前記内層チューブの外周に形成された第1繊維補強層がアラミド繊維からなり、その編組密度が800〜2500dtex/mmであり、前記第1繊維補強層の上にメラミン樹脂を塗布したことを特徴とする低膨張ホース。
- 前記第1繊維補強層の編組密度が1380〜2480dtex/mmであることを特徴とする請求項1に記載の低膨張ホース。
- 前記第1繊維補強層を構成するアラミド繊維の初期引張り抵抗度が350cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低膨張ホース。
- 前記第1繊維補強層を構成するアラミド繊維の単位フィラメントの繊度が1.0〜3.5dtex、かつコードの繊度が800dtex以下であることを特徴とする請求項3に記載の低膨張ホース。
- 加圧膨張量が1.0MPa時に0.01cc/ft以下、3.0MPa時に0.03cc/ft以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の低膨張ホース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010287690A JP2012137105A (ja) | 2010-12-24 | 2010-12-24 | 低膨張ホース |
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JP2010287690A JP2012137105A (ja) | 2010-12-24 | 2010-12-24 | 低膨張ホース |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2012137105A true JP2012137105A (ja) | 2012-07-19 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012197924A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-18 | Hitachi Cable Ltd | 車両用ホース |
-
2010
- 2010-12-24 JP JP2010287690A patent/JP2012137105A/ja active Pending
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JP2012197924A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-18 | Hitachi Cable Ltd | 車両用ホース |
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