JP2005315394A - 耐圧振動吸収ホース - Google Patents

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Abstract

【課題】耐圧性能及び振動吸収性に優れ、ホース長の短尺化が可能な耐圧振動吸収ホースを提供する。
【解決手段】蛇腹部を有する筒状の内側ゴム層16の外面に補強糸を蛇腹形状に沿って編組し、これによって蛇腹形状に対応した成形形状を有する補強層18を積層する。この補強層18は、補強糸をブレード編組したものとなすことができ、そしてこの補強層18の更に外側には最外層としての外側ゴム層20をカバー層として積層しておく。
【選択図】図1

Description

この発明は耐圧振動吸収ホースに関し、特に自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースに適用して好適な耐圧振動吸収ホースに関する。
従来より、筒状のゴム層を主体として構成されたホースが産業用、自動車用のホースとして各種用途に広く使用されている。
このようなホースを用いる主たる目的は振動を吸収することにある。
例えば自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースの場合、エンジン振動やエアコンのコンプレッサ振動(冷媒輸送用ホース即ちエアコンホースの場合)、車両の走行に伴って発生する各種の振動をホース部分で吸収し、ホースを介して接続されている一方の部材から他方の部材へと振動が伝達されるのを抑制する役割りを担っている。
ところで産業用、自動車用を問わずオイル系、燃料系、水系、冷媒系ホースの構造は、例えば下記特許文献1に開示されているように内側ゴム層と外側ゴム層との中間に補強糸から成る補強層を有する構造をなしている。
図9(イ)は下記特許文献1に開示された冷媒輸送用ホース(エアコンホース)の構造を示したもので、図中符号200は筒状の内側ゴム層で、その内側に樹脂内層202が積層形成されている。
内側ゴム層200の外側には補強糸をスパイラル巻きして成る第1補強層204が、更にその外側に中間ゴム層206を介して補強糸を第1補強層204とは逆向きにスパイラル巻きして成る第2補強層208が積層され、そして最外層としてカバー層としての外側ゴム層210が積層された構造をなしている。
この例は補強糸をスパイラル編組又はスパイラル巻きして補強層を構成した例であるが、かかる補強層を、補強糸をブレード編組して構成することも行われている。
図9(ロ)はその例を示したもので、図中符号212は補強糸をブレード編組して成る補強層で、内側ゴム層200と外側ゴム層210との間に形成されている。
尚内側ゴム層200の更に内側には樹脂内層202が形成されている。
これらに示しているように、補強層を有する形態で従来提供されているホースは何れも内面,外面ともに軸方向又は長さ方向にストレート形状をなす直筒状のものである。
ところでこのような直筒状のホースの場合、良好な振動吸収性を確保するためには一定の長さを必要とする。
特に燃料系や水系等の低圧用のホースに比べてオイル系(例えばパワーステアリング用ホース)や冷媒系(冷媒輸送用ホース)等の高圧用のホースでは、ホース剛性が高い分、振動吸収、車室内への音、振動の伝播低減のための必要長さが長くなる。
例えば冷媒輸送用ホースの場合、その長さは、接続しなければならない直線距離が200mmであったとしても、一般的に300〜600mmの長さのホースを用いて振動吸収、音、振動の伝播低減を行っている。
しかしながら、エンジンルーム内には各種の装置や部品が所狭しと組み込まれており、特に近年にあってはエンジンルームがますますコンパクト化されて来ており、そのような中でそこに配設されるホース長が長いと、他との干渉を避けるための配管設計やホース取付時の取り回しが大変な作業となり、しかも車種ごとにそれら配管設計や取り回しを工夫しなければならず、大きな負担となっている。
このようなことから、ホース長が短尺で良好に振動吸収することのできるホースの開発が求められている。
ホースにおける振動吸収性を確保しながらこれを短尺化する手段として、ホースを蛇腹形状化することが考えられる。
現に自動車の燃料系ホースにおいて蛇腹部を設ける点が下記特許文献2に開示されている。
図10はこの特許文献2に開示された燃料系ホースを示したもので、図中符号213は筒状のゴム層、符号214はその内面に形成された樹脂内層である。
同図に示しているようにこの燃料系ホースにあっては蛇腹部216が設けてある。
従ってこの燃料系ホースの場合、蛇腹部216の可撓性に基づいて振動吸収することが可能である。
しかしながらこの例のホースはフィラーホースと称される、燃料給油口に用いられるものであり、耐圧性は特に求められないものであって、その破裂圧は1MPa未満のものである。
従ってこのようなホースの構造を耐圧性の求められるホースにそのまま適用することはできない。
このような蛇腹部を有するホースに耐圧性を付与する手段として、補強効果の大きい補強層を設けることが考えられるが、蛇腹部を有するホースの補強層としては、例えば、蛇腹部の山部や谷部を均等に補強できるものであることが求められる。蛇腹部の山部と谷部とが均等に補強されていないと、ホースに内圧が付加された場合、補強の弱い箇所がより破断し易く、補強の弱い部分により耐圧性が決ってしまうからである。
また蛇腹部の本来有する可撓性を減殺するものであってはならず、更にゴム層の外面側に容易且つ良好に補強層を形成できるものでなければならない。
特開平7−68659号公報 特開2001−74174号公報
本発明はこのような事情を背景とし、耐圧性と振動吸収性とに優れ、ホース長を短尺化することのできる耐圧振動吸収ホースを提供することを目的としてなされたものである。
而して本発明の耐圧振動吸収ホースは、蛇腹形状(例えば蛇腹部)を有する筒状のゴム層の外面側に、補強糸を該蛇腹形状に沿って編組し、該蛇腹形状に対応した成形形状を有する耐圧用補強層を積層することにより構成されることを特徴とする(請求項1)。蛇腹形状は、隣り合う山部と山部、隣り合う谷部と谷部がそれぞれ分離独立しているものとして形成されるが、螺旋状に連続したものとして形成することもできる。
請求項2のものは、請求項1において、前記耐圧用補強層が前記補強糸をブレード編組して形成したものであることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1又は2において、前記耐圧用補強層が、前記補強糸を隙間なく編組したことにより、前記ゴム層が見えないように形成されていることを特徴とする。すなわち、例えば、耐圧用補強層が、補強糸を密着して編組したことにより、目が潰れた状態(密度100%の状態)で形成されている。
請求項4のものは、請求項1乃至3の何れかにおいて、前記耐圧用補強層の外側に更にカバー層が積層されていることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1乃至3の何れかにおいて、前記耐圧用補強層の外側に積層された別の補強層をさらに有し、前記別の補強層及び前記耐圧用補強層の間には、前記蛇腹形状の谷部位置で、隙間が形成されていることを特徴とする。
請求項6のものは、請求項5において、前記別の補強層が、前記補強糸を編組して形成され、かつ、編組角度を30°乃至54.44°あるいは静止角としていることを特徴とする。
請求項7のものは、請求項5又は6において、前記別の補強層が、ストレート筒形状又は直筒状に形成されていることを特徴とする。
請求項8のものは、請求項5乃至7の何れかにおいて、前記別の補強層の外側に更にカバー層が積層されていることを特徴とする。
請求項9のものは、請求項1乃至8の何れかにおいて、破裂圧が1MPa以上であることを特徴とする。
請求項10のものは、請求項1乃至9の何れかにおいて、耐圧振動吸収ホースが、自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースであることを特徴とする。
以上のように本発明は、蛇腹形状あるいは蛇腹部を有する筒状のゴム層の外面側に、補強糸を蛇腹形状に沿って編組し、蛇腹形状に対応した成形形状の耐圧用補強層を積層することにより耐圧振動吸収ホースを構成したものである。
本発明によれば、蛇腹形状によってホースの良好な可撓性を確保することができる。従ってホース長を短尺化した場合においても良好な振動吸収性を確保することができる。
即ち本発明によれば、ホースの良好な振動吸収性を確保しつつホース長を短くすることができ、これにより特に自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースにおいて、とりわけ耐圧性の要求される配管用ホースにおいて、課題となっている配管設計やホース取付時の取り回しの問題を解決することが可能となる。
更にホース長の短尺化が可能となることによって配管の際のレイアウトの自由度が高まる利点も得られる。
また本発明によれば、補強糸を蛇腹形状に沿って編組して成る耐圧用補強層により良好な耐圧性をホースに付与することができる。
即ち本発明によれば優れた振動吸収性と耐圧性との両特性を確保することができる。
加えて本発明ではその耐圧用補強層が、補強糸を蛇腹形状に沿って編組することにより形成されるため、良好な蛇腹形で耐圧用補強層をゴム層の外面側に成形することができる。
例えば補強糸を予め編組して成る布を内側のゴム層の外面側に巻き付けて耐圧用補強層を形成するといったことも考えられるが、この場合には布を蛇腹形状に沿って変形させなければならず、谷部や山部でしわや弛み等が発生し易い。
しかるに本発明では補強糸を蛇腹形状に沿って編組して耐圧用補強層を形成しているため、例えば、蛇腹形状あるいは蛇腹部における山部も谷部も均等に補強することができるとともに、耐圧用補強層を設けることによって蛇腹形状あるいは蛇腹部の本来有する可撓性を大きく損うといった問題も生じない。
しかも補強糸を蛇腹形状に沿って編組して耐圧用補強層を形成する場合には、補強布を巻き付けて耐圧用補強層を形成するような場合と異なって、耐圧用補強層を周方向にも、また長手方向にも継目のない連続した形で形成できるため、耐圧用補強層によるホースの耐圧性を効果的に高めることができる。
またホース製造に際しても耐圧用補強層を容易に形成することができ、ホースの製造コストを安価に抑えることができる。
ここで上記耐圧用補強層は補強糸をスパイラル編組又はスパイラル巻き、ニット編組して形成することができるが、特に補強糸をブレード編組して形成するのが好適である(請求項2)。
その編組の際、例えば引き取り速度を制御することにより、蛇腹部における山部と谷部とにおいてあるいは蛇腹部全体において編組角度がほぼ等しくなるようにすることが望ましい。
編組角度が静止角(54.44°)より大きいと耐圧用補強層及びホースが長手方向に伸びようとし、編組角度が静止角より小さいと耐圧用補強層及びホースが径方向に伸びようとする。より一般的には、編組角度が異なるとホースの挙動が変化する。したがって、山部と谷部とにおいて編組角度がほぼ等しくなっていない場合は山部と谷部とでホースの挙動が異なるため、耐圧性が低下するおそれがあるからである。
尚、スパイラル編組又はスパイラル巻きから成る補強層は、一方向に補強糸をスパイラル巻きして成る第1層と、その逆方向に補強糸をスパイラル巻きして成る第2層とで構成することができる。
またニット編組は、編目が周方向に繋がったものでも、軸方向又は長さ方向に繋がったものでも良く、何れにしても伸縮性に優れているため、蛇腹部を有するホースの柔軟性(可撓性)を損なわない特徴を有する。
ホースの耐破裂性は、一般的に、積層形成される耐圧用補強層により確保されるが、耐圧用補強層が、目の粗いものであったり、隙間を有するものであったりして、内側のゴム層が見えるような状態であると、ホースに内圧が作用したときに、内側のゴム層が、耐圧用補強層の目あるいは隙間内に膨らんで入り込むように変形し、その結果、ゴム層にピンホールが発生するおそれがある。このようなピンホールの発生は、ホースの破裂につながることとなるので、補強糸の本数を増やしたり、補強糸の撚り数を減らしたり、あるいは補強糸を太くしたりして、ゴム層が見えないように耐圧用補強層を形成し、すなわち、例えば、目が潰れ、隙間が無い状態で耐圧用補強層を形成し、ゴム層の入り込み変形が生じないように構成するのが好ましい。
ところで、耐圧を確保するため、耐圧用補強層は、ゴム層の蛇腹形状に沿うように形成されている一方、蛇腹形状の隣り合う山部と山部あるいは谷部と谷部の間隔を開きにくくする規制機能を十分に有していないので、ホースに内圧が加わると、蛇腹形状が伸びてホースが大きく伸び変形する可能性ある。そして、ホースの伸び変形が大きいと、ホースが配管経路上の周辺部品等と接触するおそれがあり、ホースが傷付き耐久性が低下する事態も発生してしまう。ホースの長さ変化又は伸びに対しては、ゴム層の硬さや肉厚を調整して対処することも可能であるが、ホースの可撓性を阻害しないように柔軟性とのバランスを考慮すると、耐圧用補強層とは別に、ホースの長さ方向への伸びを阻止するような補強層を設けておくのが好ましい。そこで、耐圧用補強層の外側に別の補強層をさらに積層し、別の補強層及び耐圧用補強層の間に、蛇腹形状の谷部位置で、隙間を形成しておき、耐圧用補強層とは異なる形状及び補強性能の別の補強層を形成するのが効果的である。このように構成することにより、ホースに内圧が作用したときにホースが長さ方向に大きく延びてしまい、周辺部品等に当接又は接触するといったことが効果的に防止される。
別の補強層は補強糸を編組して形成できる。耐圧用補強層は、加圧時の挙動が異ならないように編組角度を合わせることが好ましいが、編組角度自体は自由にあるいは比較的自由に設定できるものである。これに対して、別の補強層の編角度又は編組角度は、ホース長手方向の変位を抑制するために、長手方向に伸びにくい角度としておくのが効果的である。したがって、別の補強層の編組角度は静止角以下、望ましいのは、30°乃至54.44°であることが適切である。
ホースの長さ方向への伸びを阻止するためには、別の補強層を、ストレート筒形状又は直筒状に構成することが得策である。
また、本発明の耐圧振動吸収ホースは、耐圧用補強層又は別の補強層の外側にカバー層を積層した形態で構成することができる。ここでカバー層は好適には外側ゴム層から成るものとすることができる。
本発明は、破裂圧が1MPa以上の耐圧性が求められるホースに適用して特に効果が大なるものである。
更に本発明は自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースに適用して特に大なる効果を奏する。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、10は例えば冷媒輸送用ホース(エアコンホース)等として用いられる第1の耐圧振動吸収ホース(以下単に第1のホースとする)で、そのほぼ全体を成す蛇腹部12と直筒状の端部14とを有している。
この第1のホース10は、筒状の内側ゴム層(内側ゴム弾性材層)16(ゴム層)と、その外側の耐圧用補強層18と、最外層のカバー層としての外側ゴム層(外側ゴム弾性材層)20との積層構造をなしている。
この第1のホース10において、耐圧用補強層18は筒状をなす内側ゴム層16の外面に沿って、詳しくは両端部14、14の直筒形状及びそれらの間の蛇腹形状に沿って補強糸28(図3参照)をブレード編組して構成したもので、かかる耐圧用補強層18は、両端部14においては直筒状に、またそれらの間の蛇腹部12においてはその蛇腹形状に対応した形状で成形されている。
そしてこの耐圧用補強層18は、その全体が内側ゴム層16の外面に密着状態でその外側に積層されている。
この第1のホース10において、内側ゴム層16としてはIIR、ハロゲン化−IIR(Cl−IIR、Br−IIR)、NBR、CR、EPDM、EPM、FKM、ECO、シリコンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム等を用いることができる。
また耐圧用補強層18を構成する補強糸28としてPET、PEN、アラミド、PA(ポリアミドあるいはナイロン)、ビニロン、レーヨン、金属ワイヤ等を用いることができる。
また外側ゴム層20として、上記内側ゴム層16で列挙した各種ゴム材を用いることができるが、それ以外にも熱収縮チューブやTPE(熱可塑性エラストマー)あるいはTPEチューブを使用することも可能で、材質としてはアクリル系、スチレン系、オレフィン系、ジオレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系等を用いることができる。
尚この例において第1のホース10は内径が5mm〜50mm程度のものである。
ここで内側ゴム層16は、内部を流通する流体に応じて適宜の材料を選択して用いることができる。
但しHFC系冷媒輸送用ホースの場合には、特にIIR,ハロゲン化−IIRの単独材又はブレンド材が好ましい。外側ゴム層20も同様である。
図1及び図2に示す第1のホース10は、例えば次のようにして製造することができる。
即ち先ずインジェクション成形,ブロー成形等により蛇腹部を有する内側ゴム層16を成形する。
そして図3に示すように長尺のマンドレル(例えば樹脂マンドレル)21に上記で成形した内側ゴム層16を外挿する。
そしてその状態でマンドレル21を図3に示すブレード編組装置22の中心孔に通して、これを送りながら内側ゴム層16の外面に補強糸28を編組して行く。
このブレード編組装置22は、円盤状のデッキ板24と、このデッキ盤24の円周に沿って複数対設けられた互いに対をなすキャリヤ26A、26Bと、を有しており、互いに対をなすキャリヤ26A、26Bが8の字状に交叉しつつ、デッキ板24をその中心回りに周回運動させることで、補強糸28を内側ゴム層16の外面にブレード編組して行く。
尚このブレード編組の際、蛇腹部12における山部と谷部とにおいて編組角度がほぼ等しくなるように引き取り速度を制御する。
以上のようにして内側ゴム層16の外面に補強糸28をブレード編組して成る耐圧用補強層18を積層成形したところで、続いてこれを連続的に外側ゴム層20用のディッピング液にディッピングして、その外側に外側ゴム層20をコーティング形成する。
そして次にこれを乾燥炉に装入して乾燥させる。
その後マンドレル21を抜き取り、更にその後例えば長尺の成形品を切断することで図1及び図2に示す第1のホース10が得られる。
尚これはあくまで第1のホース10の一製造例で、他の製造方法で製造することも可能である。
以上のような本形態の第1のホース10によれば、蛇腹部12によって第1のホース10の良好な可撓性を確保することができ、従ってホース長を短尺化した場合においても良好な振動吸収性を確保することができる。
即ち第1のホース10による良好な振動吸収性を確保しつつホース長を短くできるのであり、これにより自動車のエンジンルーム内における配管設計やホース取付時の取り回しの問題を解決することができる。
更にホース長の短尺化が可能となることによって配管の際のレイアウトの自由度も高まる。
加えて蛇腹形状に沿って補強糸28を編組して成る耐圧用補強層18により良好な耐圧性を確保することができる。
また本形態では、耐圧用補強層18を蛇腹形状に良好に積層成形し得て、蛇腹部12における山部も谷部も均等に補強することができるため、第1のホース10に内圧が付加された場合においても、補強の弱い箇所が破断し耐圧性が低下するといったことがないとともに、耐圧用補強層18が内側ゴム層16の蛇腹部(蛇腹部12)に沿った蛇腹形状に成形されることから、耐圧用補強層18を設けることによって蛇腹部の本来有する可撓性が大きく損われるといった問題も生じない。
しかもその耐圧用補強層18は周方向にも、また長手方向にも継目のない連続した形で構成できるため、耐圧用補強層18による第1のホース10の耐圧性も高めることができる。
また第1のホース10の製造に際しても耐圧用補強層18を容易に形成することができ、第1のホース10の製造コストを安価に抑えることができる。
図4、図5及び図6において、30は例えば冷媒輸送用ホース(エアコンホース)等として用いられる第2の耐圧振動吸収ホース(以下単に第2のホースとする)で、第1のホース10の耐圧用補強層18の外側の積層構造を変更したものである。したがって、第1のホース10と同一構成の部分(第1のホース10と同一の符号を付しておくのが発明を理解する上で好ましい部分を含む)には、概略的に同一の符号を付し、また、説明を省略する場合がある。
第2のホース30では、耐圧用補強層18の外面に、外側ゴム層(外側ゴム弾性材層)20は積層されず、代わりに、別の補強層32が積層されている。この別の補強層32は、ほぼストレート筒形状に形成されていて、耐圧用補強層18の山部(山部頂き)と接触し、例えばこの山部と密着し、耐圧用補強層18の谷部と隙間をあけた状態で、耐圧用補強層18を覆って延びている(図5の拡大図部分参照)。別の補強層32は、両端部34で、内側ゴム層16及び耐圧用補強層18の直筒状の端部14に密着するように、小径筒状に形成され、中間部36で、内側ゴム層16及び耐圧用補強層18のほぼ全体を成す蛇腹形状(蛇腹部12)の山部に密着するように、大径筒状に形成されていて、直筒状の端部14から蛇腹形状の端の山部にかけての拡径部38に密着するようにそれぞれの端部34と中間部36との境界部分が拡径して形成されている。
この第2のホース30ではまた、別の補強層32の外側に、最外層のカバー層としての外側ゴム層(外側ゴム弾性材層)40が積層されている。
この第2のホース30において、耐圧用補強層18は、第1のホース10の場合と同様にして、補強糸28をブレード編組して構成されている。
別の補強層32も、補強糸28をブレード編組して構成することができるが、補強糸28と材質等が異なる補強糸を用いることができる。
また、外側ゴム層40としては、第1のホース10の外側ゴム層20に用いるゴム材、熱収縮チューブやTPEあるいはTPEチューブを使用することが可能である。
尚、この例においても第2のホース30は内径が5mm〜50mm程度のものである。
図4、図5及び図6に示す第2のホース30は、例えば次のようにして製造することができる。
即ち、第1のホース10の場合と同様に、内側ゴム層16を構成し、ブレード編組装置22を用いて内側ゴム層16の外面に補強糸28をブレード編組し、耐圧用補強層18を積層成形する。
次に、ブレード編組装置22を用い、補強糸28をブレード編組しながら、耐圧用補強層18の外側に、別の補強層32を構成したところで、続いてこれを連続的に外側ゴム層40用のディッピング液にディッピングして、その外側に外側ゴム層40をコーティング形成する。
そして次にこれを乾燥炉に装入して乾燥させる。なお、外側ゴム層40を設けないでおくこともできる。
その後マンドレル21を抜き取り、更にその後例えば長尺の成形品を切断することで図4、図5及び図6に示す第2のホース30が得られる。
尚これはあくまで第2のホース30の一製造例で、他の製造方法で製造することも可能である。
以上のような本形態の第2のホース30によれば、第1のホース10と同様の効果又はほぼ同様の効果を得ることができる。
更に、別の補強層32の積層により、ホース長さ方向の伸びを効果的に抑制できる。
〔実施例〕
表1に示す各種構成のホースを製造し、長さ変化率、破裂圧(耐圧性)及びインパルス耐久性を測定した。また、実施例1及び比較例Aのホースについて振動吸収性を測定した。
ここで表1において、長さ変化率は、長さαの各ホース内部に2.9MPaの水圧を5分間かけたときのホース長さをβとして、(β−α)×100/αで表される。また、インパルス耐久性は、油槽内の油温を100℃に保持しながら、この油槽を通して、各ホース内部に0と2.9MPaの間で油圧を繰り返し加えた場合のホースの状態を示している。第1補強層(第1のホース10の実施例1及び第2のホース30の実施例2では耐圧用補強層18)及び第2補強層(別の補強層32)の打込本数における3(4)本揃え×48(24)打とあるのは、1000de(デニール)又は2000deの補強糸28を3(4)本並べて48(24)個のキャリヤでブレード編組したことを表している。
比較例Bで、第1補強層の打込本数における22本+22本とあるのは、3000deの補強糸を中間ゴム層を挟んで内側に22本、外側に22本スパイラル編組(スパイラル巻き)したことを表している。
また破裂圧の数値は、各ホース内部に水圧をかけ、そして昇圧速度160MPa/分で昇圧し、破裂に到ったときの圧力を表している。
Figure 2005315394
一方、振動吸収性については、図7に示す測定装置42を用いて測定を行った。
詳しくは、実施例1のホース(第1のホース10)、比較例Aともにホースを測定装置42にセットして、各端部を芯金44で支持させ、そして加振装置46でその一端側を加振して他端側で受振させるとともに、加振側の測定点P0で加振側加速度A0を、受振側の測定点P1で受振側加速度A1をそれぞれ測定し、それらに基づいて伝達関数を測定した。その結果が図8に示してある。
尚図7において48はラバー、50は箱形定盤である。
表1に示しているように実施例1のホースの場合、破裂圧が17.9MPaと耐圧性能において優れており、またホース長が比較例Aのものに比べて大幅に短いにも拘わらず、図8の振動吸収性において優れた振動吸収特性を示している。また、実施例2のホース(第2のホース30)の場合には、破裂圧が最低でも29.6MPaと、さらに優れた耐圧性能を有している。
実施例2のホースの場合、長さ変化率が最大でも16%と、比較例C及び実施例1のホースよりも優れた伸び抵抗を有している。さらに、破裂圧が最低でも29.6MPaと、比較例及び実施例1のホースよりも優れた耐圧性能を有しており、加えて、インパルス耐久性が最低でも24万回と、比較例C及び実施例1よりも優れている。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明においては耐圧用補強層18又は別の補強層32をスパイラル編組又はスパイラル巻き、ニット編組して構成することも可能である。
ここでスパイラル編組又はスパイラル巻きは、補強糸28を一方向にスパイラル巻きし(第1層)、またその逆方向に補強糸28をスパイラル巻きして(第2層)構成することができる。
本発明の第1のホースを一部切り欠いて示す斜視図である。 第1のホースの断面図である。 第1のホースの一製造方法の要部工程を示す説明図である。 本発明の第2のホースを一部切り欠いて示す斜視図である。 第2のホースの長さ方向に沿った断面図である。 第2のホースの径方向に沿った断面図である。 実施例及び比較例のホースの振動吸収性の測定方法を測定装置とともに示す説明図である。 図7の測定方法により得られた振動吸収性を示す図である。 従来公知のホースの一例を示す図である。 従来公知の図9とは異なるホースの例を示す図である。
符号の説明
10 第1のホース
12 蛇腹部
16 内側ゴム層(ゴム層)
18 耐圧用補強層
30 第2のホース

Claims (10)

  1. 蛇腹形状を有する筒状のゴム層の外面側に、補強糸を前記蛇腹形状に沿って編組し、前記蛇腹形状に対応した成形形状を有する耐圧用補強層を積層することにより構成される耐圧振動吸収ホース。
  2. 前記耐圧用補強層は、前記補強糸をブレード編組して形成したものである請求項1に記載の耐圧振動吸収ホース。
  3. 前記耐圧用補強層は、前記補強糸が隙間なく編組されたことにより、前記ゴム層が見えないように形成されている請求項1に記載の耐圧振動吸収ホース。
  4. 前記耐圧用補強層の外側に更にカバー層が積層されている請求項1乃至3の何れかに記載の耐圧振動吸収ホース。
  5. 前記耐圧用補強層の外側に積層された別の補強層をさらに有し、前記別の補強層及び前記耐圧用補強層の間には、前記蛇腹形状の谷部位置で、隙間が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の耐圧振動吸収ホース。
  6. 前記別の補強層は、補強糸を編組して構成され、かつ、編組角度が30°乃至54.44°に設定されている請求項5に記載の耐圧振動吸収ホース。
  7. 前記別の補強層は、ストレート筒形状に形成されている請求項5又は6に記載の耐圧振動吸収ホース。
  8. 前記別の補強層の外側に更にカバー層が積層されている請求項5乃至7の何れかに記載の耐圧振動吸収ホース。
  9. 破裂圧が1MPa以上である請求項1乃至8の何れかに記載の耐圧振動吸収ホース。
  10. 自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースである請求項1乃至9の何れかに記載の耐圧振動吸収ホース。
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KR101262083B1 (ko) * 2006-12-06 2013-05-14 현대자동차주식회사 클러치 페달의 진동 저감용 댐퍼 파이프

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