JP4103832B2 - 耐ガス透過性に優れた耐圧振動吸収ホース - Google Patents
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Description
このようなホースを用いる主たる目的は振動を吸収することにある。
内側ゴム層200の外側には補強糸をスパイラル巻きして成る第1補強層204が、更にその外側に中間ゴム層206を介して補強糸を第1補強層204とは逆向きにスパイラル巻きして成る第2補強層208が積層され、そして最外層としてカバー層としての外側ゴム層210が積層された構造をなしている。
図7(ロ)はその例を示したもので、図中212は補強糸をブレード編組して成る補強層で、内側ゴム層200と外側ゴム層210との間に形成されている。
尚内側ゴム層200の更に内側には樹脂内層202が形成されている。
ところでこのような直筒状のホースの場合、良好な振動吸収性を確保するためには一定の長さを必要とする。
例えば冷媒輸送用ホースの場合、その長さは、接続しなければならない直線距離が200mmであったとしても、一般的に300〜600mmの長さのホースを用いて振動吸収,音,振動の伝播低減を行っている。
ホースにおける振動吸収性を確保しながらこれを短尺化する手段として、ホースを蛇腹形状化することが考えられる。
現に自動車の燃料系ホースにおいて蛇腹部を設ける点が下記特許文献2に開示されている。
同図に示しているようにこの燃料系ホースにあっては蛇腹部216が設けてある。
従ってこの燃料系ホースの場合、蛇腹部216の可撓性に基づいて振動吸収することが可能である。
従ってこのようなホースの構造を耐圧性の求められるホースにそのまま適用することはできない。
また蛇腹部の本来有する可撓性を減殺するものであってはならず、更に内側ゴム層の外面側に容易且つ良好に補強層形成できるものでなければならない。
即ち本発明によれば、ホースの良好な振動吸収性を確保しつつホース長を短くすることができ、これにより特に自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースにおいて、とりわけ耐圧性の要求される配管用ホースにおいて、課題となっている配管設計やホース取付時の取回しの問題を解決することが可能となる。
更にホース長の短尺化が可能となることによって配管の際のレイアウトの自由度が高まる利点も得られる。
即ち本発明によれば優れた振動吸収性と耐圧性との両特性を確保することができる。
しかるに本発明では補強糸を蛇腹形状に沿って編組し補強層を構成しているため、蛇腹部における山部も谷部も均等に補強することができるとともに、補強層を設けることによって蛇腹部の本来有する可撓性を大きく損うといった問題も生じない。
またホース製造に際しても補強層を容易に形成することができ、ホースの製造コストを安価に抑えることができる。
また後者のブロー成形の場合には樹脂膜を均等の肉厚で形成することが難しい問題がある。
これに対し静電塗装による樹脂膜の場合、その膜厚を容易に薄く且つ均等となすことができる。
ここで内側ゴム層における体積固有抵抗はカーボンブラックの配合量を調整することでコントロールすることができる。このように内側ゴム層の体積固有抵抗を1×106Ω・cm以下としておくことで、樹脂粉末の静電塗装性が良好となり、肉厚むらやピンホール等の不良の発生を抑制することができ、ひいては耐ガス透過性を良好となすことができる。
そのブレード編組の際、蛇腹部における山部と谷部とにおいて編組角度がほぼ等しくなるように引取り速度を制御することが望ましい。
編組角度が静止角(54.7°)より大きいとホースが長手方向に伸びようとし、編組角度が静止角より小さいとホースが径方向に伸びようとするため、山部と谷部とにおいて編組角度がほぼ等しくなっていない場合は山部と谷部とでホースの挙動が異なるため、耐圧性が低下する恐れがあるからである。
またニット編組は、編目が周方向に繋がったものでも、軸方向に繋がったものでも良く、何れにしても伸縮性に優れているため、蛇腹部を有するホースの柔軟性(可撓性)を損なわない特長を有する。
ここでカバー層は、好適には外側ゴム層から成るものとすることができる。
図1及び図2において、10は例えば冷媒輸送用ホース(エアコンホース)等として用いられる耐ガス透過性の耐圧振動吸収ホース(以下単にホースとする)で、そのほぼ全体を成す蛇腹部12と直筒状の端部14とを有している。
このホース10は、筒状の内側ゴム層16と、その外側の補強糸28(図4参照)をブレード編組して成る補強層18と、最外層のカバー層としての外側ゴム層20とを積層して構成してある。また内側ゴム層16の内面には樹脂の静電塗装による樹脂膜15が積層してある。
また樹脂膜15は、その肉厚が50〜200μmの範囲内とされている。
但しHFC系冷媒輸送用ホースの場合には特にIIR,ハロゲン化−IIRの単独材又はブレンド材が好ましい。
また外側ゴム層20として、上記内側ゴム層16で列挙した各種ゴム材を用いることができるが、それ以外にも熱収縮チューブや熱可塑性エラストマー(TPE)を使用することも可能で、材質としてはアクリル系,スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,塩化ビニル系,ウレタン系,エステル系,アミド系,フッ素系等を用いることができる。
尚この形態においてホース10は内径が5〜50mm程度のものである。
即ち先ずインジェクション成形等により蛇腹部12を有する内側ゴム層16を成形する。図3(I)はこのようにして成形した内側ゴム層16を示している。
このスプレーガン34を用いた静電塗装では、スプレーガン34に供給された樹脂粉末を、同じくスプレーガン34に供給されたエアとともに先端の噴出口36から噴出する。このとき樹脂粉末は負又は正に帯電した状態で噴出される。
そしてその状態でこれを図4に示すブレード編組装置22の中心孔に通して、これを送りながらその外面に補強糸28を編組して行く。
尚このブレード編組の際、蛇腹部12における山部と谷部とにおいて編組角度がほぼ等しくなるように引取り速度を制御する。
そして次にこれを乾燥炉に装入して乾燥させる。
尚これはあくまでホース10の一製造例で、他の製造方法で製造することも可能である。
即ち本形態によれば、良好な振動吸収性を確保しつつホース長を短くすることができ、これによりエンジンルーム内における配管設計やホース取付時の取回しの問題を解決でき、更に配管の際のレイアウトの自由度も高められる。
また補強層18によって良好な耐圧性を確保することができることから、本形態のホース10にあっては優れた振動吸収性と耐圧性との両特性を確保することができる。
またホース10の製造に際しても補強層18を容易に形成することができ、ホース10の製造コストを安価に抑えることができる。
表1に示す内容で配合したゴム材にて内側ゴム層16を成形し、そしてその内側ゴム層16の内面に表1に示す各種樹脂材から成る樹脂膜15を種々厚みで静電塗装により形成した。
そしてその際の樹脂膜15の成膜性及びフレオンガスの透過試験を行った。
結果が表1に併せて示してある。
即ち、図5に示しているように低温でフレオンガス(HFC-134a)を封入したカップ48の開口部を、加硫ゴムシート46で閉鎖し、そして90℃のオーブン50中に放置し、透過面積に対して1日当りの重量変化(減量分)をフレオンガス透過量として求めた。
従ってこのような樹脂膜を設けて成る図1のホース10は、優れた耐ガス透過性と併せて内側ゴム層16の外面への補強層18の積層形成による良好な耐圧性、更には蛇腹部12による良好な振動吸収性を有する。
例えば上形態では樹脂膜15を内側ゴム層16の内面に積層形成しているが、図6に示しているようにかかる樹脂膜15を内側ゴム層16の外面に積層形成し、そしてその上側に補強層18を積層するといったことも可能である。
また上形態では補強層を補強糸のブレード編組にて構成しているが、本発明においては補強糸をスパイラル巻きしてかかる補強層を構成することも可能であり、また外側ゴム層20等のカバー層を場合により省略することも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 蛇腹部
15 樹脂膜
16 内側ゴム層
18 補強層
20 外側ゴム層
28 補強糸
Claims (2)
- 蛇腹部を有する形状に成形されて成るインジェクション成形品としての、且つ体積固有抵抗が1×10 6 Ω・cm以下である筒状の内側ゴム層の外面側に補強糸を蛇腹形状に沿って編組し、該内側ゴム層の蛇腹形状にて形状規定された、該内側ゴム層の蛇腹形状に対応した蛇腹形状の成形形状を有する補強層を積層するとともに、該内側ゴム層の内面又は外面且つ該補強層の内側に該内側ゴム層の蛇腹形状に対応した成形形状の静電塗装による樹脂膜を50〜200μmの厚みで積層形成した、加圧による破裂圧が1MPa以上である耐ガス透過性に優れた、自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースとしての耐圧振動吸収ホース。
- 前記補強層は前記補強糸をブレード編組して構成したものである請求項1に記載の耐ガス透過性に優れた耐圧振動吸収ホース。
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