JP2005113850A - 内燃機関のカム角センサ取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヘッドカバー16をソフトマウント構造の樹脂製としつつ、カム角センサを上方から取り付けることができるようにする。
【解決手段】 シリンダヘッド10とヘッドカバー16との間に、ヘッドカバー16とともにシリンダヘッド10の上面開口11を覆うヘッドアッパ18を介装する。このヘッドアッパ18に、カム角センサが取り付けられるセンサ取付ボスを形成する。このセンサ取付ボスを、カムシャフト14のシグナルプレート32の径方向外方であって、かつ、ヘッドカバー16から外れた位置に設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関のカムシャフトの回転角を検出するためのカム角センサの取付構造に関する。
内燃機関には、吸・排気弁のカムシャフトの回転角(位置)を検出するためのカム角センサが設けられる。カム角センサは、カムシャフトの後端部に設けられた被検出部としてのシグナルプレートの径方向外方に配置され、このシグナルプレートに形成された突起や溝を感知する。このカム角センサが組み付けられるセンサ取付ボスは、一般的には、シリンダヘッドに形成されるか(特許文献1参照)、あるいはシリンダヘッドの上面開口を覆うヘッドカバーに形成される。
特許第3431505号公報
センサ取付ボスをシリンダヘッドに形成する場合、シリンダヘッドの上側には、このシリンダヘッドの上側開口を覆うヘッドカバーが存在するため、必然的に、カム角センサ及びセンサ取付ボスがシグナルプレートの側方から下方の領域に配置されることとなる。このため、例えばカム角センサを斜め下方より組み付ける構造となり、カム角センサの先端の感知部が斜め上向きとなるため、この感知部に粉塵やオイル等の異物が溜まり、汚損や故障の原因となるおそれがある。
一方、センサ取付ボスをヘッドカバーに形成する場合、センサ取付ボスをシグナルプレートの鉛直上方に配置することができる。従って、カム角センサを鉛直上方より取り付けることができ、作業性・メンテナンス性に優れるとともに、カム角センサの先端の感知部が下向きとなるため、上記のように感知部に粉塵やオイル等の異物が溜まることがない。但し、センサ取付ボスをヘッドカバーに形成すると、ヘッドカバーを堅牢にシリンダヘッドに固定しなければならず、例えばアルミダイカスト製のヘッドカバーとし、その取付構造を堅牢・剛な取付構造、つまりリジット構造とする必要がある。このため、例えばフルフローティング又はセミフローティング構造のようなソフトマウント構造を採用できる樹脂製のヘッドカバーを用いる場合に比して、重量・コスト及び音振性の点で不利となる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、カム角センサを上方から取り付けることができ、かつ、ヘッドカバーを、ソフトマウント構造の樹脂製とし得る新規な内燃機関のカム角センサ取付構造を提供するものである。
内燃機関のシリンダヘッドの上面開口をソフトマウントされて覆うヘッドカバーを備えるとともに、シリンダヘッドに回転可能に支持されるカムシャフトの被検出部を感知して、カムシャフトの回転角を検出するカム角センサを備える内燃機関のカム角センサ取付構造において、シリンダヘッドとヘッドカバーとの間に介装され、ヘッドカバーとともにシリンダヘッドの上面開口の一部分をシリンダヘッドに対して剛に取り付けられるヘッドアッパで覆うとともに、残りの上面開口をヘッドカバーで覆うように構成し、かつ、カムシャフトの被検出部をヘッドアッパで覆われる部分に配置し、カム角センサが被検出部の径方向外方に位置するようにヘッドアッパに取り付けられる。
ヘッドカバーとともにシリンダヘッドの上面開口の一部分を覆い、かつ、シリンダヘッドに対して剛に取り付けられるヘッドアッパに、カム角センサが取り付けられる。このため、カム角センサを、その感知部が下方へ向かう姿勢で、かつ、シリンダヘッドに対して剛な状態で取り付ける構成とすることができる。従って、カム角センサの取付作業やメンテナンス作業が容易で、かつ、感知部に異物が混入したり溜まることがなく、上記の異物によるカム角センサの汚損・故障を招くことがない。また、ヘッドカバーにセンサ取付ボスを設ける必要がないので、このヘッドカバーを軽量かつ安価な樹脂製とすることができ、かつ、ヘッドカバーのヘッドアッパへの取付構造を音振性に優れたフルフローティング又はセミフローティング構造、つまりソフトマウント構造とすることができる。
図1〜4は、本発明の一実施形態に係るセンサ取付ボスが適用された内燃機関を示している。
この内燃機関は、直列4気筒エンジンであって、例えば触媒早期活性化を図るために吸気側を車両前側Fr(図1の下側)とする横置き姿勢で車両のエンジンルームに搭載される。従って、車両組付状態では機関上下方向と鉛直方向とがほぼ一致することとなる。なお、当業者には明らかなように、本明細書での「上」「下」は、基本的にはシリンダの上下を基準とするものであり、「前」「後」は内燃機関の前後方向を基準とするものである。
シリンダヘッド10は、アルミ合金により鋳造され、上方に向けて開口する上面開口11を有する。シリンダヘッド10の上部には、吸気弁を開閉駆動する複数の吸気カム13を備えた吸気カムシャフト12及び排気弁を開閉駆動する複数の排気カム15を備えた排気カムシャフト14が設けられている。カムシャフト12,14は、互いに平行に気筒列方向(図1の左右方向)に延び、前端に設けられたカムスプロケットに巻き掛けられるタイミングチェーンを介してクランクシャフトのクランクスプロケットに連携されており、クランクシャフトと連動して回転する。なお、クランクシャフトの回転角(CA)に対するカムシャフトの位相を変更可能なバルブタイミング可変機構を設けても良い。
シリンダヘッド10とヘッドカバー(ロッカーカバーやカムカバーとも呼ぶ)16との間にはヘッドアッパ18が介装されている。ヘッドアッパ18は、アルミ合金又は鋳鉄等のようにシリンダヘッド10と同等の剛性・強度を有する金属材料により形成されており、複数のアッパ固定ボルト19を用いてシリンダヘッドの上面に強固かつ堅牢に固定され、つまり剛に取り付けられている。ヘッドアッパ18はシリンダヘッド10の上側に層状に組み付けられており、換言すれば、ヘッドアッパ18がシリンダヘッドの上部を構成している。シリンダヘッド10及びヘッドアッパ18の前壁に図示せぬフロントカバーが取り付けられる。また、図1及び図2に示すように、シリンダヘッド10の吸気側の側壁には吸気マニホールドが取り付けられるマニホールド取付フランジ50が形成され、このマニホールド取付フランジ50には4つの吸気ポート52が開口している。
このヘッドアッパ18は、図1にも示すように、シリンダヘッド10の四方の外壁、つまり前壁・後壁及び一対の側壁に沿う矩形・窓枠状の外枠部20と、カムシャフト12,14を挟んでシリンダヘッド10に形成された半割型のヘッド側ベアリング部22に固定され、ヘッド側ベアリング部22とともにカムシャフト12,14を回転可能に支持する半割型の複数のアッパ側ベアリング部24と、を有し、全体として強度・剛性に優れた梯子状・格子状のラダーフレーム構造をなしている。各アッパ側ベアリング部24は、シリンダヘッド10の左右の側壁に沿う外枠部20の一対の側部に架け渡されており、かつ、気筒列方向に略等間隔置きに配置されている。なお、剛性を確保するために、両側の2つのアッパ側ベアリング部24はサイドビーム46により外枠部20にそれぞれ連結されており、中央の2つのアッパ側ベアリング部24はセンタービーム48により互いに連結されている。
このように、複数箇所でカムシャフト12,14を支持するアッパ側ベアリング部24がヘッドアッパ18に一体的に形成されているため、部品点数が少なくて済み、かつ、組付作業が簡素化・容易化されることに加え、一体型カムブラケットとしてのヘッドアッパ18がラダーフレーム構造をなしているため、カムシャフトの軸受としての支持剛性に優れている。
ヘッドカバー16は、軽量かつ安価な合成樹脂材料により一体的に型成形され、ガスケット26を挟んでヘッドアッパ18の上面に複数のカバー固定ボルト17により固定されている。ヘッドカバー16には、図2に示すように、ブローバイコントロールバルブ28や新気導入口30が設けられ、またオイルミストセパレータ等が内蔵されている。このヘッドカバー16の取付構造は、振動・異音を生じることのないように、音振性に優れたフルフローティング又はセミフローティング構造等のソフトマウント構造となっている。なお、ガスケット26は、ヘッドカバー16の周縁部の他、点火プラグ取付ボス42の周囲の部分44にも延在している。
図3及び図4に示すように、一方の吸気カムシャフト12の後端部には、被検出部としてのシグナルプレート32が設けられている。このシグナルプレート32には、周方向に間欠的に信号突起33が形成されている。ヘッドカバー16には、カムシャフトの回転角を検出するためのカム角センサ34が設けられている。また、図示していないが、クランクシャフトのクランク角やエンジン回転数を検出するクランク角センサが設けられており、これらクランク角センサとカム角センサ34の検出信号に基づいて、各気筒毎の燃料噴射タイミングや点火タイミングが制御される。カム角センサ34は、例えば周知のPHASEセンサであって、先端の感知部35でシグナルプレート32の信号突起33を感知することにより、カムシャフトの回転角を検出するようになっている。
ヘッドアッパ18には、カム角センサ34が取り付けられるセンサ取付ボス36が形成されている。このセンサ取付ボス36は、ヘッドアッパ18の後側に形成された略水平な平坦部40に一体的に形成されており、この平坦部40から上方へ起立する略円筒状をなしている。このセンサ取付ボス36には、機関上下方向に延び、カム角センサ34が嵌合するセンサ取付孔37が形成されている。図1に示すように、カム角センサ34が取り付けられていない状態では、センサ取付孔37を通してシグナルプレート32が臨んでいる。
平坦部40は、シリンダヘッド10の後壁に沿う部分から機関前方へ略水平に延在する略板状をなしている。ヘッドカバー16の後端縁16aは、センサ取付ボス36よりも機関前側の位置で、平坦部40の上面に固定されている。つまり、ヘッドカバー16を平坦部40に相当する分だけ機関前側に短縮化しており、この短縮化されたスペース、つまりヘッドカバー16をブロック前側へ短縮・後退させてできたスペースに、ヘッドカバー16の平坦部40を形成し、この平坦部40に、センサ取付ボス36を形成している。従って、この平坦部40がシリンダヘッド10の上面開口11の後部を覆うカバーとして機能している。すなわち、シリンダヘッド10の上面開口11の一部分を、シリンダヘッド10に対して剛に取り付けられるヘッドアッパ18の平坦部40で覆うとともに、上面開口11の残りの部分をヘッドカバー16で覆うように構成している。
カム角センサ34は、上方よりセンサ取付孔37に挿通・嵌合され、センサ固定ボルト38によりセンサ取付ボス36の側方に付帯形成されたボルトボス部39に固定される。従って、組付状態でのカム角センサ34は、シグナルプレート32と同一軸直交面上であって、シグナルプレートの径方向外方に配置される。また、シグナルプレート32を指向するカム角センサ34の先端の感知部35が下向きとなる姿勢で取り付けられる。換言すると、一体型カムブラケットとしてのヘッドアッパ18に、シリンダヘッド10の上面の一部を覆う平坦部40を設け、この平坦部40に、センサ取付ボス36を設けている。
以上のような本実施例によれば、以下に列記する特徴的な作用効果を奏する。センサ取付ボス36が、シグナルプレート32の径方向外方であって、かつ、ヘッドカバー16から外れた位置に設けられている。このため、カム角センサを、オイルミストセパレータ等の機能部品を内蔵するヘッドカバー16の側方に立設するように、上下方向に沿う姿勢で取り付けることができるので、高さ方向のレイアウト性に優れ、機関全高を低く抑えることができる。また、カム角センサ34を、その感知部35が略鉛直下方へ向かう姿勢で、センサ取付ボス36に鉛直上方から取り付けることができ、カム角センサ34の取付作業及びメンテナンス作業が容易で、かつ、感知部35に異物が混入したり溜まることがなく、上記の異物によるカム角センサ34の汚損・故障を招くことがない。また、ヘッドカバー16にセンサ取付ボス36を設けていないので、このヘッドカバー16を軽量かつ安価な樹脂製とすることができ、かつ、ヘッドカバー16のヘッドアッパ18への取付構造を音振性に優れたフルフローティング又はセミフローティング構造、つまりソフトマウント構造とすることができる。
ヘッドアッパ18が、シリンダヘッド10の四方の外壁に沿う外枠部20と、シリンダヘッド10のヘッド側ベアリング部22との間でカムシャフト12,14を回転可能に狭持する複数のアッパ側ベアリング部24と、を有するラダーフレーム構造をなしている。従って、カムシャフトの軸受としての強度・剛性に優れていることに加え、複数のアッパ側ベアリング部24がヘッドアッパ18に一体化されているため、組付作業の簡素化・容易化を図ることができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、シグナルプレートやセンサ取付ボスを機関前側に設けても良い。また、上記実施例ではヘッドアッパがシリンダヘッドの四方の外壁に沿う大型なものであり、このヘッドアッパ上にヘッドカバーがソフトマウントされているが、これに限らず、ヘッドアッパを小型化し、ヘッドカバーの周縁部の一部又は全てをシリンダヘッド上にソフトマウントする構成としても良い。
本発明に係るカム角センサ取付構造を適用した内燃機関をヘッドカバーを外した状態で示す平面図。 図1の内燃機関の側面図。 図1のIII−III線に沿う断面図。 図1のVI−VI線に沿う断面図。
符号の説明
10…シリンダヘッド
11…上面開口
12,14…カムシャフト
16…ヘッドカバー
18…ヘッドアッパ
20…外枠部
22…ヘッド側ベアリング部
24…アッパ側ベアリング部
26…ガスケット
32…シグナルプレート
34…カム角センサ
35…感知部
36…センサ取付ボス
40…平坦部

Claims (7)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドの上面開口をソフトマウントされて覆うヘッドカバーを備えるとともに、シリンダヘッドに回転可能に支持されるカムシャフトの被検出部を感知して、カムシャフトの回転角を検出するカム角センサを備える内燃機関のカム角センサ取付構造において、
    シリンダヘッドとヘッドカバーとの間に介装され、ヘッドカバーとともにシリンダヘッドの上面開口の一部分をシリンダヘッドに対して剛に取り付けられるヘッドアッパで覆うとともに、残りの上面開口をヘッドカバーで覆うように構成し、
    かつ、カムシャフトの被検出部をヘッドアッパで覆われる部分に配置し、カム角センサが被検出部の径方向外方に位置するようにヘッドアッパに取り付けられることを特徴とする内燃機関のカム角センサ取付構造。
  2. 内燃機関のシリンダヘッドに回転可能に支持されるカムシャフトの被検出部を感知して、カムシャフトの回転角を検出するためのカム角センサの取付構造において、
    上記ヘッドカバーとともにシリンダヘッドの上面開口を覆うヘッドアッパを有し、このヘッドアッパに、上記カム角センサが取り付けられるセンサ取付ボスが形成され、このセンサ取付ボスは、上記被検出部の径方向外方であって、かつ、上記ヘッドカバーから外れた位置に設けられていることを特徴とする内燃機関のカム角センサ取付構造。
  3. 上記カム角センサは、その感知部が下方へ向かう姿勢でヘッドアッパに上方から取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のカム角センサ取付構造。
  4. 上記ヘッドアッパは、シリンダヘッドの四方の外壁に沿う外枠と、この外枠に架け渡され、シリンダヘッドのヘッド側ベアリング部との間でカムシャフトを回転可能に狭持するアッパ側ベアリング部と、を有するラダーフレーム構造をなし、シリンダヘッドとヘッドカバーとの間に介装されることを特徴とする請求項1〜3のいずかに記載の内燃機関のカム角センサ取付構造。
  5. 上記ヘッドアッパが金属製であり、上記ヘッドカバーが樹脂により成形されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のカム角センサ取付構造。
  6. 上記ヘッドカバーは、ガスケットを挟んでヘッドアッパ上にソフトマウントされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のカム角センサ取付構造。
  7. 上記ヘッドアッパが、シリンダヘッドの上面開口の一部を覆う平坦部を有し、この平坦部にセンサ取付ボスが形成され、
    かつ、上記ヘッドカバーの後端縁が、上記センサ取付ボスより前側の位置で、上記平坦部の上面に取り付けられている請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関のカム角センサ取付構造。
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