JP2005113229A - 紡機用トラベラ - Google Patents
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Abstract
【課題】特に高速紡出において、トラベラの表面温度の上昇に伴い、トラベラ表面が軟化して飛散し、糸切れが発生することにより、糸品質の低下や生産性の低下するという問題点を防止することを目的とするものである。
【解決手段】合金鋼線を用いてトラベラを成形し、上記トラベラに浸炭窒化処理を行い、その後焼入れ、焼戻しを施した後、塩浴処理行って、母材表面にビッカース硬度がHV650〜HV750を有する窒化物層を形成すると共に、その表面に酸化皮膜を形成した紡機用トラベラを提供する。
【選択図】図1
【解決手段】合金鋼線を用いてトラベラを成形し、上記トラベラに浸炭窒化処理を行い、その後焼入れ、焼戻しを施した後、塩浴処理行って、母材表面にビッカース硬度がHV650〜HV750を有する窒化物層を形成すると共に、その表面に酸化皮膜を形成した紡機用トラベラを提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、紡績の精紡機、撚糸機に使用されるトラベラであって、耐摩耗性を向上した紡機用トラベラに関するものである。
従来、紡機用トラベラは一般に硬鋼線材を使用し、所定のトラベラ形状に成形した後、焼入れ、焼戻しを施したものが使用されていた。
しかし、上記従来のトラベラでは、近年のスピンドル回転数が18000r.p.m以上という高速紡出に使用したとき、耐摩耗性に劣り、寿命が短いという問題点があった。(特許第2651547号公報)
このため、耐摩耗性を向上させるため、Mn:10〜15%、C:0.6〜1.0%、Cr:1〜2%を含有する高マンガン鋼線材を素材として、所定のトラベラサークル形状に成形した後、浸炭窒化処理を施し、表面に30μ〜50μの窒化物層を形成させたトラベラが考えられている。(特許文献1)
また、耐熱、耐酸化性を向上させるため、Al:1〜7重量%、Si:1〜7重量%、およびCr:13〜25重量%の1種又は2種以上を含む合金鋼より構成され、その表面に耐熱、耐酸化保護皮膜として優れたAl2O3、SiO2あるいはCr2O3の酸化皮膜を選択的に形成させたトラベラが考えられている。(特許文献2)
特開昭63−315619号公報
特公平7−42620号公報
このため、耐摩耗性を向上させるため、Mn:10〜15%、C:0.6〜1.0%、Cr:1〜2%を含有する高マンガン鋼線材を素材として、所定のトラベラサークル形状に成形した後、浸炭窒化処理を施し、表面に30μ〜50μの窒化物層を形成させたトラベラが考えられている。(特許文献1)
また、耐熱、耐酸化性を向上させるため、Al:1〜7重量%、Si:1〜7重量%、およびCr:13〜25重量%の1種又は2種以上を含む合金鋼より構成され、その表面に耐熱、耐酸化保護皮膜として優れたAl2O3、SiO2あるいはCr2O3の酸化皮膜を選択的に形成させたトラベラが考えられている。(特許文献2)
上記浸炭窒化を施したトラベラでは、ビッカース硬度がHV700以上となり、耐摩耗性が向上するが、スピンドル回転数が18000r.p.m以上の高速になると、トラベラがリング上を摺接して走行するときに発生する摩擦熱により、トラベラの表面温度が上昇し、トラベラ表面が酸化すると共に軟化して、トラベラの焼き付きが発生し、精紡機の運転中にトラベラがリングから外れたり、折れて飛散し、糸切れの原因になるという問題点がある。
また、表面に耐熱、耐酸化保護皮膜を設けたトラベラでは、膜厚が厚くなり、脆くて剥れ易く、長時間の使用に耐えられないと共に、保護皮膜の形成のために、290°前後の高温度で30分以上保持しながら処理するため、母材硬度がHV550〜600まで低下し、トラベラの耐摩耗性が減少し、トラベラの寿命を短くするだけでなく、トラベラの強度が低くなり、精紡機の運転中にトラベラがリングから外れて糸切れの原因となり、糸品質を低下すると共に生産性を著しく低下するという問題点がある。
本発明の紡機用トラベラは上記問題点を解決するためになされたものであり、合金鋼線材を成形加工して所定のトラベラ形状に形成し、プロパンガスおよびアンモニアガスを含むガス雰囲気中で浸炭窒化処理を行い、その後焼き入れ、焼戻しを施した後、硝酸カルシウム、亜硝酸ソーダを主成分とする塩浴剤を用いて塩浴処理を行い、母材表面にビッカース硬度がHV650〜HV750を有する窒化物層を形成し、さらに、その表面に厚さが0.01μm〜0.05μmを有する酸化皮膜を形成し、耐熱性および耐摩耗性に優れた紡機用トラベラを提供するものである。
また、合金鋼線材が少なくとも炭素:0.97〜1.02重量%、ケイ素:0.15〜0.25重量%、マンガン:0.25〜0.35重量%、クロム:0.20〜0.35重量%、バナジウム:0.05〜0.15重量%を主成分とし、残余不純物を含む紡機用トラベラを提供するものである。
上記構成において、窒化層の表面に酸化皮膜を形成したのは、スピンドル回転数が18000r.p.m以上の高速紡出においても、トラベラがリング上を摺接して走行するときに発生する摩擦熱によるトラベラ表面の酸化を防止し、酸化によるトラベラ表面の軟化を防ぐことによって、トラベラの焼き付きを防止するためである。
なお、酸化皮膜の膜厚を0.01μm〜0.05μmとしたのは、膜厚が0.01μm未満ではリングとの摩擦により早期に摩耗し、酸化皮膜の効果が長期間にわたって十分得られず、また0.05μmを超えると母材との密着性が悪くなり、皮膜が脆くなって剥がれ易くなり、トラベラの寿命を短くするという問題点がある。
また、酸化皮膜の形成前に、母材表面に窒化物層を形成したのは、酸化皮膜形成時の塩浴処理温度による母材の表面硬度の低下を防止するためであり、窒化物層の硬度をビッカース硬度でHV650〜HV750としたのは、HV650未満ではトラベラの耐摩耗性が減少し、HV750を超えるとトラベラ強度が強くなりすぎて、リングへの着脱が困難となり、また取付時にトラベラが折損し、使用できなくなるという問題点がある。
さらに、線材として、少なくとも炭素を0.97〜1.02重量%、ケイ素を0.15〜0.25重量%、マンガンを0.25〜0.35重量%、クロムを0.20〜0.35重量%、バナジウムを0.05〜0.15重量%を含む合金鋼線材を用いたのは、塩浴処理を施した場合に表面硬度の低下が少なく、しかも母材の耐摩耗性が良好であるという効果を有するためである。
上記のように、合金鋼線材を成形加工して所定のトラベラ形状に形成し、浸炭窒化処理後に焼き入れ、焼戻しを施し、その後、塩浴処理を行って、母材表面にビッカース硬度がHV650〜HV750を有する窒化物層を形成し、さらに、その表面に厚さが0.01μm〜0.05μmを有する酸化皮膜を形成しているため、トラベラは耐熱性および耐摩耗性に優れ、スピンドル回転数が18000r.p.m以上の高速紡出においても、トラベラとリング間に発生する摩擦熱によるトラベラ表面の酸化が防止され、酸化によるトラベラ表面の軟化を防ぐことによって、トラベラの焼き付きを防止することができる。
このため、トラベラの寿命を1.2倍〜1.5倍に延長するだけでなく、精紡機の運転中にトラベラがリングから外れることがなく、糸切れ、糸品質の低下を少なくすると共に生産性を大幅に向上することができるという優れた効果がある。
以下、本発明における紡機用トラベラの実施の一形態について説明する。
図1および図3は本発明の紡機用トラベラの一実施例を示し、図1は紡機用トラベラの正面図、図2は図1のA−A線断面における説明図、図3は紡機用トラベラの製造工程を示すフロー図である。
本発明のトラベラは図1に示すように、炭素:0.10重量%、ケイ素:0.18重量%、マンガン:0.28重量%、クロム:0.26重量%、バナジウム:0.075重量%を主成分とし、残余が不純物を含む合金鋼線の線材を圧延加工し、断面形状が略扁平形状を有する平線2に加工し、上記平線2を横形トラベラ形状に成形加工してトラベラを形成する。
上記トラベラは図3に示すように、予め脱脂洗浄し、プロパンガスおよびアンモニアガスを含んだガス雰囲気中で、処理温度が800℃〜900℃、処理時間が3時間〜4時間かけて浸炭窒化を施し、その後焼入れ、焼戻しの熱処理行って、少なくとも母材表面にビッカース硬度がHv700〜Hv800を有する窒化物層を形成する。
次に、上記窒化物層を設けたトラベラは、研磨機で2時間〜8時間かけてトラベラ表面を研磨して表面を平滑に仕上げ、その後硝酸カルシウム、亜硝酸ソーダを主成分とする塩浴剤を入れた塩浴炉において、処理温度が285℃〜295℃、処理時間が10分〜20分で塩浴処理を行って、表面に厚さが0.01μm〜0.05μmを有する酸化皮膜3を形成する。
さらに、湯洗、水洗等の洗浄を行った後に乾燥を行い、必要に応じて防錆処理を施して紡機用トラベラ1を形成する。
本発明の上記紡機用トラベラ(MS/hf 7/0:金井重要工業製)を精紡機に取り付けたフランジ幅:3.2mm、フランジ内径:φ41mmを有するシングルフランジリングに取り付けて、スピンドル回転数が22000rpmで24hr/1日の操業条件で綿 Ne40の繊維を紡出した。
その結果、従来の処理を施した上記と同じタイプのトラベラを使用し、上記と同条件で紡出したものと比較したところ、トラベラの初期摩耗においては摩耗量に大きな差は認められなかったが、摩耗量の経時変化においては大きな差が確認され、本発明のトラベラは従来のトラベラと比較して、トラベラ寿命が1.2倍〜1.5倍に延長され、使用期間を大幅に延長することができた。
1 紡機用トラベラ
2 平線
3 酸化皮膜
2 平線
3 酸化皮膜
Claims (2)
- 合金鋼線材を成形加工して所定のトラベラ形状に形成し、プロパンガスおよびアンモニアガスを含むガス雰囲気中で浸炭窒化処理を行い、その後焼入れ、焼戻しを施した後、硝酸カルシウム、亜硝酸ソーダを主成分とする塩浴剤を用いて塩浴処理を行い、母材表面にビッカース硬度がHv700〜Hv800を有する窒化物層を形成し、さらにその表面に厚さが0.01μm〜0.05μmを有する酸化皮膜を形成した紡機用トラベラ。
- 合金鋼線材が少なくとも炭素を0.97〜1.02重量%、ケイ素を0.15〜0.25重量%、マンガンを0.25〜0.35重量%、クロムを0.2〜0.35重量%、バナジウムを0.05〜0.15重量%を含み、残余が不純物である請求項1記載の紡機用トラベラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003350653A JP2005113229A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | 紡機用トラベラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003350653A JP2005113229A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | 紡機用トラベラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005113229A true JP2005113229A (ja) | 2005-04-28 |
Family
ID=34542144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003350653A Pending JP2005113229A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | 紡機用トラベラ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005113229A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009540120A (ja) * | 2006-06-08 | 2009-11-19 | イルジン ライト メタル カンパニー リミテッド | 金属の塩浴窒化方法及びその方法で製造された金属 |
CN103014953A (zh) * | 2012-12-29 | 2013-04-03 | 重庆金猫纺织器材有限公司 | 纺纱用bs(蓝宝石)钢丝圈加工工艺 |
-
2003
- 2003-10-09 JP JP2003350653A patent/JP2005113229A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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