JP2555629B2 - 紡機用トラベラ - Google Patents

紡機用トラベラ

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JP2555629B2 JP62229186A JP22918687A JP2555629B2 JP 2555629 B2 JP2555629 B2 JP 2555629B2 JP 62229186 A JP62229186 A JP 62229186A JP 22918687 A JP22918687 A JP 22918687A JP 2555629 B2 JP2555629 B2 JP 2555629B2
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能理 藤井
和夫 清水
正志 丑野
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Toyota Industries Corp
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Toyoda Jidoshokki Seisakusho KK
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01HSPINNING OR TWISTING
    • D01H7/00Spinning or twisting arrangements
    • D01H7/02Spinning or twisting arrangements for imparting permanent twist
    • D01H7/52Ring-and-traveller arrangements
    • D01H7/60Rings or travellers; Manufacture thereof not otherwise provided for ; Cleaning means for rings
    • D01H7/604Travellers

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Spinning Or Twisting Of Yarns (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 (産業上の利用分野) この発明はリング精紡機、リング撚糸機等の紡機に使
用する紡機用トラベラに関するものである。
(従来の技術) 一般に、巻取運転中においては第5図に示すように、
紡機用トラベラ1には糸Yの巻取張力M、バルーン張力
T及び遠心力Cが加わっており、その合成力がリング2
との接触圧力として作用する。又、トラベラ1とリング
2との摺動速度はスピンドルの回転数とリング径により
定まり、前記接触圧力と摺動速度によってリング2とト
ラベラ1との間の摩擦の大きさが変化する。
一方、近年リング精紡機、リング撚糸機等の紡機にお
いても生産性を高めるため高速化が図られており、高速
化を進める上でトラベラの摩耗が重要な問題となってき
ている。そして、従来紡機用トラベラは炭素工具鋼等の
硬鋼線又は合金鋼線を所定形状に形成後、焼入れ処理を
施したものが用いられていた。この場合スピンドルの回
転数が低い場合にはあまり問題はないが、スピンドルの
回転数が20000rpmを超える場合には早期摩耗による寿命
の低下が大きな問題となる。
そこで、近年トラベラの素地表面に各種メッキを施
し、耐摩耗性の向上を図ることが提案されている。そし
て、特開昭62−125024号公報には、トラベラの素地表面
に無電解ニッケル・リンメッキを施した後、330〜380℃
で60〜120分の熱処理を加えることにより硬度Hv800〜10
00の結晶化したリン化ニッケル(Ni3P)の析出硬化合金
層を形成して耐摩耗効果をもたらすようにしたものが提
案されている。
(発明が解決しようとする問題点) ところが、結晶化されたニッケル・リンメッキ合金層
は硬化がHv800〜1000と高いものの、じん性、展延性が
低下しているためもろく、トラベラが衝撃荷重を受けた
場合にメッキ合金層に亀裂が入りやすく剥離摩耗を発生
するおそれがある。又、トラベラが摺動するリングフラ
ンジ2aの硬度は一般にHv600〜800程度であり、トラベラ
表面の硬度が高過ぎると場合トラベラがリングフランジ
を傷付けてしまうおそれもある。更に、トラベラはリン
グフランジ2a上を一定の姿勢で滑走することが糸切れ、
糸品質の低下を防止する上で重要となるが、トラベラ1
はその使用初期においてはリング2との接触面積が小さ
いため滑走姿勢が不安定となり、糸切れが多発したり毛
羽の発生が多くなるという不都合がある。この不都合を
解消するため、従来トラベラはその使用初期にリングフ
ランジとのなじみ形状が形成されるまで低速による慣ら
し紡出期間を必要とする。トラベラの表面硬度が余り高
い場合にはなじみ形状が形成されるまでの時間が長くな
り、トラベラの滑走姿勢が不安定な期間が長くなるとい
う問題もある。
発明の構成 (問題点を解決するための手段) 前記の問題点を解決するためこの発明においては、少
なくともリングフランジとの摺動面に該当する部分の素
地表面に無電解ニッケル・リンメッキ層を鍍着後、100
〜250℃で熱処理を施すことにより前記メッキ層を非結
晶性構造に保った状態でメッキ層と素地との密着性を向
上させた。
(作用) 鍍着状態のニッケル・リンメッキ合金層はリンがニッ
ケルに溶け込んだ分子の液状配列による非結晶性構造を
呈し、結晶化されたものに比べてじん性、展延性に富ん
でいるが、メッキ合金層と素地との密着性が低く、メッ
キ反応時に発生する水素の気孔による脆性があるという
欠点を合わせ持っている。又、その硬度がHv550程度と
一般のリングの材質の硬度よりも低い。この発明のトラ
ベラは素地表面に鍍着されたニッケル・リンメッキ合金
層に100〜250℃という比較的低い温度で60〜120分の熱
処理を施すことにより、メッキ合金層が非結晶性構造を
保ちながら応力緩和が行われるとともに素地との密着性
が向上し、水素脆性が除去される。そして、熱処理後の
トラベラはじん性、展延性が熱処理前のものと変わらず
硬度がHv600〜750程度に向上する。このため、素地表面
に結晶化されたニッケル・リンメッキ合金層を持つトラ
ベラに比べて、表面のじん性、展延性が向上し合金層で
の亀裂発生による剥離摩耗が防止されるとともに、その
硬度がリングフランジの硬度に比較して大き過ぎずリン
グフランジを傷付けるおそれが小さい。
(実施例) 以下この発明を具体化した一実施例を図面に基づいて
説明する。成分元素の含有率(重量%)が、炭素0.83
%、珪素0.26%、マンガン0.47%、リン0.017%、硫黄
0.012%、銅0.12%、ニッケル0.10%、クロム7.68%、
モリブデン0.75%、バナジウム0.33%、アルミニウム0.
20%を含む高C−Cr−Mo−V系の合金鋼をトラベラを所
定断面形状に伸線した後、第1図に示すトラベラ1の形
状に成形し、1025℃まで温度を上げ、その温度を約30分
間維持した後焼き入れをし、その後再び温度を520℃近
くまで上げ、その温度を60分保持した後空冷し、焼戻し
をした。このトラベラ1に公知の手段により無電解ニッ
ケル・リンメッキを行い、ニッケル・リン合金層を厚さ
10μm程度鍍着後、200℃で60分の熱処理を施して本発
明のトラベラAを得た。ニッケル・リン合金層中のリン
濃度は約8%で合金層の硬度はHv680であった。又、比
較試験用としてニッケル・リンメッキ合金層を鍍着後の
熱処理条件のみが異なる(350℃で60分)トラベラBを
得た。トラベラBの合金層の硬度はHv900であった。
次に前記両トラベラA,Bについて下記の条件で紡出試
験を行い、残存率及び摩耗指標値の推移を比較した。
[紡出条件] 紡出糸…綿コーマ40′s リング…シングルフランジリング,フランジ幅3.2mm,
リング径36φmm スピンドル回転数…平均22500rpm(最大25000rpm) ここで残存率とは所定数の紡出錘に試験品であるトラ
ベラを使用して全錘一斉に紡出を開始し、所定時間経過
した時点でトラベラが正常に回転している錘がどれくら
いの割り合いで残っているかを示すものである。すなわ
ち、トラベラの滑走姿勢が悪い場合には紡出途中でトラ
ベラが飛んだり、あるいはトラベラの摩耗がひどい場合
にはトラベラの飛散、回転不良となるので、この残存率
はトラベラの性能を比較する有力な値となる。
一方、摩耗指標値とはトラベラの摩耗量を間接的にし
かも正確に評価するために本願出願人が規定したもので
ある。すなわち、トラベラは1個の重量が25mg程度と小
さくその摩耗箇所はリングフランジ部と当接する箇所の
みであるため、実際の摩耗減量によりトラベラの摩耗を
評価するには1個ずつでは評価することが非常に難しく
多数個の平均値をとらざるをえない。本願出願人による
摩耗指標値は第4図に示すようにトラベラ1の摩耗部分
の幅Wと深さDの値を顕微鏡で実際に測定し、 の値を摩耗減量に対する指標としたものである。
第2,3図に示すように、本発明の実施品であるAは比
較品Bに比べ残存率の低下が小さく摩耗指標値の増加割
合も小さい。すなわち、本発明のトラベラは耐摩耗性に
優れ、寿命の延長を図ることができた。比較品Bの場合
には時にトラベラへの衝撃荷重が加わる頻度が高く又ト
ラベラの滑走姿勢が不安定な紡出初期のトラベラとリン
グフランジ間のなじみ面形成過程において残存率が急激
に低下しているのに対して、本発明品Aでは紡出初期に
おける残存率の大幅な低下は見られない。
なお、前記実施例においてはニッケル・リン合金層の
厚さを10μmとしたが、合金層の厚さは1〜15μmの範
囲が適当である。合金層の厚さが1μm未満では被膜の
耐摩耗性の効果がなく、又、15μmを超えるとメッキの
肌が荒れるとともに剥離を起こし易くなる。又、リン濃
度は5〜12%が好ましい。更に、熱処理温度が250℃を
超えると熱処理中にニッケル・リン合金層の結晶化が進
むため、250℃以下で処理することが必要である。又、
トラベラの材質として前記実施例においては高C−Cr−
Mo−V系の合金鋼を用いたが、炭素工具鋼、高速度工具
鋼、ニッケル系耐熱合金等を素材としてもよい。
更に、ニッケル・リン合金層をトラベラの素地全体に
形成する代わりに、トラベラの内側のみあるいはリング
フランジとの摺動面と対応する部分のみに設けてもよ
い。
発明の効果 以上詳述したように、この発明によればトラベラの素
地金属表面に形成されたニッケル・リン合金層のじん
性、展延性が低下することなく該合金層と素地との密着
性が向上するとともに硬度もリングの硬度と同程度に向
上したため、合金層での亀裂発生による剥離摩耗が防止
されてトラベラの寿命が延びる。又、紡出初期における
トラベラ、リングフランジ間のなじみ面形成過程が短く
なりトラベラが紡出初期から安定して走行し、しかもト
ラベラがリングを傷付けるおそれが小さいという優れた
効果を奏する。さらに、従来と異なり熱処理温度が低い
ため、熱処理によりトラベラ材料が焼戻し作用を受けて
トラベラの形状保持に必要な硬度が得られなくなること
がほとんどなくトラベラの材料の選択範囲が広くなると
いう効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図はトラベラの断面図、第2図は残存率と紡出時間
の関係を示す線図、第3図は摩耗指標値と紡出時間の関
係を示す線図、第4図はトラベラの部分拡大斜視図、第
5図は巻取運転時にトラベラに加わる力を示す要部断面
図である。 トラベラ……1、リング……2、合金層……3。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともリングフランジとの摺動面に該
    当する部分の素地表面に無電解ニツケル・リンメツキ層
    を鍍着後、100〜250℃で熱処理を施すことにより前記メ
    ツキ層を非結晶性構造に保った状態でメツキ層と素地と
    の密着性を向上させたことを特徴とする紡機用トラベ
    ラ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003531970A (ja) * 2000-05-03 2003-10-28 ブレッカー アクチェンゲゼルシャフト リングトラベラーと、リングトラベラーの製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62161995A (ja) * 1986-01-08 1987-07-17 Hiroyuki Kanai 紡機用トラベラ

Patent Citations (1)

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