JP2005108295A - Itrデータ再生装置、記録再生システムおよび補間フィルタ - Google Patents

Itrデータ再生装置、記録再生システムおよび補間フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】ITR(Interpolated Timing Recovery)データ再生装置で、簡単な構成によって、歪みの少ない良好な再生出力波形を得ることができ、サンプリングタイミングの更新を高速で実行できるようにする。
【解決手段】任意の補間関数f(t)の各サンプリング周期Tsを、それぞれ複数の期間に分割し、それぞれの分割期間を線形補間して、それぞれの分割期間内の各補間点のデータを算出する。また、サンプリングタイミングを1サンプリング周期で整数除算した商の値として、2進数の整数表現部分のみを取り出し、その数だけ入力サンプリングデータDsを補間フィルタに取り込んでパイプライン動作させ、サンプリングタイミングを1サンプリング周期で整数除算した剰余の値として、2進数の2進化小数表現部分のみを取り出し、その値をサンプリングタイミングμkとして補間フィルタのタップ係数を決定する。
【選択図】図2

Description

この発明は、ITR(Interpolated Timing Recovery)データ再生装置、このITRデータ再生装置を備える記録再生システム、およびITRデータ再生装置などに用いる補間フィルタに関する。
デジタルデータを、磁気ディスクや光ディスクなどの記録媒体に記録し、記録媒体から再生する場合、記録媒体から読み取られた再生波形をサンプリングし、そのサンプル値をデータ(サンプリングデータ)に変換して、記録されたデータを再生する。
この場合、本来のサンプリングタイミングにおけるデータを再生するために、PLL(Phase Locked Loop)によって、データの識別点を予測し、その点に合わせたサンプリングクロックを生成して再生波形をサンプリングする方法が用いられている。
特に磁気記録再生の場合につき、非特許文献1(Roy D.Cideciyanらによる論文“APRML System for Digital Magnetic Recording”IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL10,NO.1,JANUARY 1992)には、このPLLデータ再生装置によって、PR(Partial Response)としてPR4を実現した例が示されている。
図16に、このPLLデータ再生装置を示す。入力の再生波形Siは、図17に破線で示すようなアナログ波形の信号である。図16のPLLデータ再生装置では、A/D変換回路61において、この再生波形SiがVCO(Voltage Controlled Oscillator)62からのサンプリングクロックCLsによってサンプリングされ、そのサンプル値がサンプリングデータDsに変換される。
そのサンプリングデータDsは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタによって構成されたPR等化回路71で等化され、さらに、位相検出回路72で、PR等化回路71の出力データの位相誤差が検出され、その検出結果が、LPF(Low Pass Filter)73で、VCO62の発振周波数を制御するデータに変換される。
そのLPF73の出力の制御データが、D/A変換回路63でアナログ制御電圧に変換され、その制御電圧によってVCO62の発振周波数が制御される。
これによって、VCO62からのサンプリングクロックCLsの位相が、図17に実線で示すような本来のサンプリングタイミングの位相にロックされ、本来のサンプリングタイミングにおけるデータが再生される。
しかし、このPLLデータ再生装置では、図16に示すように、A/D変換回路61、VCO62およびD/A変換回路63からなるアナログ部60と、PR等化回路71、位相検出回路72およびLPF73からなるデジタル部70とにまたがってPLLを構成するため、システムが複雑になる。しかも、VCO62は、温度変化などによって特性が変化するため、安定な動作を期待することが難しい。
そこで、非特許文献2(Floyd M.Gardnerによる論文“Interpolation in Digital Modems−Part1:Fundamentals”IEEE TRANSACTIONS,VOL.41,NO.3,MARCH 1993)や、非特許文献3(Lars Erupらによる論文“Interpolation in Digital Modems−Part2:Implementation and Performance”IEEE TRANSACTIONS,VOL.41,NO.6,JUNE 1993)に示されているように、ITRシステムが考えられている。
図18に、このITRデータ再生装置を示す。このITRデータ再生装置では、A/D変換回路81において、再生波形Siが発振器82からのサンプリングクロックCLsによってサンプリングされ、そのサンプル値がサンプリングデータDsに変換される。発振器82は、VCOではなく、固定発振器である。
A/D変換回路81の出力のサンプリングデータDsは、ITR部90に供給される。ITR部90は、補間フィルタ91、PR等化回路92、位相検出回路93、LPF94およびコントローラ95によって、デジタルPLLを構成するものである。
補間フィルタ91は、コントローラ95からの、図19に示すようなサンプリング周期(サンプリング間隔)Tsを分割する各点Ptのタイミングを示すデータに基づいて、後述の補間方法によって、隣接するサンプル点Psの間の各分割点(各補間点)Ptにおける再生波形Siの値を、補間データとして出力するものである。
この補間フィルタ91の、各補間点Ptの補間データを含む出力データが、FIRフィルタによって構成されたPR等化回路92で等化され、さらに、位相検出回路93で、PR等化回路92の出力データの位相誤差が検出され、その検出結果が、LPF94でフィルタリングされて、コントローラ95に取り込まれる。
コントローラ95は、PR等化回路92の出力データの位相誤差に応じて、補間フィルタ91における補間タイミングを更新し、これによって、PR等化回路92の出力データ、すなわちITR部90の出力データDoとして、本来のサンプリングタイミングにおけるデータが再生される。
このITRデータ再生装置では、ITR部90でのデジタル処理のみによってタイミングリカバリを実現することができ、PLLがアナログ部とデジタル部とにまたがらないので、システムが簡単になるとともに、サンプリングクロックCLsを生成する発振器82としてVCOを用いないので、安定な動作を期待することができる。
具体的に、コントローラ95でのサンプリングタイミング(補間タイミング)の計算および更新の方法として、上記の非特許文献2には、NCO(Number Controlled Oscillator)と称される方法が示されている。
この方法は、サンプリングタイミングが1サンプリング周期Ts内で定義されたタイミング内に収まるように、更新されたサンプリングタイミングを1サンプリング周期Tsで整数除算し、その剰余を補間フィルタ91のタップ係数を決定するサンプリングタイミングとするものである。
また、補間フィルタ91での補間方法として、上記の非特許文献2には、補間関数としてsinc関数を用い、あらかじめ全てのタイミングにおける補間係数をsinc関数から演算して、テーブル値としてメモリテーブルに書き込んでおき、コントローラ95からの補間タイミングデータによって、メモリテーブルから対応するテーブル値を読み出して、補間係数とする方法が示されている。
また、上記の非特許文献3には、隣接する2つのサンプル値の間を線形補間することが示されている。特許文献1(特許第3255179号公報)にも、連続する2つのサンプル値の間を直線近似することが示されている(公報の段落0020および図13)。
上に挙げた先行技術文献は、以下の通りである。
Roy D.Cideciyanらによる論文"APRML System for Digital Magnetic Recording"IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL10,NO.1,JANUARY 1992 Floyd M.Gardnerによる論文"Interpolation in Digital Modems−Part1:Fundamentals"IEEE TRANSACTIONS,VOL.41,NO.3,MARCH 1993 Lars Erupらによる論文"Interpolation in Digital Modems−Part2:Implementation and Performance"IEEE TRANSACTIONS,VOL.41,NO.6,JUNE 1993 特許第3255179号公報
しかしながら、上述した従来のITRによるデータ再生方法には、以下のような問題がある。
第1は、サンプリングタイミング(補間タイミング)の計算および更新の方法についてである。非特許文献2に示された除算方法によると、ハードウエア上、多数のレジスタを必要とし、ITR部90の構成が複雑となるだけでなく、除算によって処理速度が遅くなり、タイミングリカバリの応答が遅くなる問題がある。
第2は、補間フィルタ91での補間方法についてである。非特許文献2に示された、全てのタイミングにおける補間係数を、テーブル値としてメモリテーブルに書き込んでおき、コントローラ95からの補間タイミングデータによって、メモリテーブルから対応するテーブル値を読み出して、補間係数とする方法によれば、歪みの少ない良好な再生出力波形を得ることができる。
しかし、この方法では、多数のテーブル値をメモリテーブルに用意しておかなければならないため、大きなメモリ容量を必要とし、ITR部90をIC(集積回路)化した場合、チップサイズが大きくなる。
これに対して、非特許文献3や特許文献1に示された、隣接する2つのサンプル値の間を線形補間する方法によれば、ITR部90の構成を簡略化することができる。
しかし、この方法では、2つのサンプル値の間を直線近似するので、エイリアシングによって再生出力波形に歪みを生じる問題がある。
そこで、この発明は、第1に、ITRによってデータを再生する場合に、簡単な構成によってサンプリングタイミングの計算および更新を高速で実行することができるようにしたものである。
また、この発明は、第2に、ITRによってデータを再生する場合に、簡単な構成によって歪みの少ない良好な再生出力波形を得ることができるようにしたものである。
第1の発明のITRデータ再生装置は、
入力サンプリングデータを補間フィルタに取り込み、補間フィルタのタップ係数との畳み込み演算による補間によって、本来のデータ識別点でのデータ値を再生するITRデータ再生装置において、
前記タップ係数を決定するサンプリングタイミングが1データサンプリング間隔内で定義されたタイミング内に収まるように、更新されたサンプリングタイミングを1データサンプリング間隔で整数除算した商の値として、実際に除算演算を行う代わりに2進数の整数表現部分のみを取り出し、その数だけ前記入力サンプリングデータを前記補間フィルタに取り込んでパイプライン動作させることを特徴とする。
第2の発明のITRデータ再生装置は、
入力サンプリングデータを補間フィルタに取り込み、補間フィルタのタップ係数との畳み込み演算による補間によって、本来のデータ識別点でのデータ値を再生するITRデータ再生装置において、
前記補間フィルタは、Nを2以上の整数として、ある補間関数における1データサンプリング間隔をN個に分割し、それぞれの分割期間を線形補間して補間データを算出することを特徴とする。
上記のように構成した第1の発明のITRデータ再生装置では、整数除算によらずにサンプリングタイミングの計算および更新を実行するので、簡単な構成によってサンプリングタイミングの計算および更新を高速で実行することができる。
上記のように構成した第2の発明のITRデータ再生装置では、補間関数から直接、タップ係数を求める場合と比べて著しく簡単な構成によって、補間関数から直接、タップ係数を求める場合と同様に、歪みの少ない良好な再生出力波形を得ることができる。
以上のように、第1の発明によれば、ITRによってデータを再生する場合に、簡単な構成によってサンプリングタイミングの計算および更新を高速で実行することができる。
また、第2の発明によれば、ITRによってデータを再生する場合に、簡単な構成によって歪みの少ない良好な再生出力波形を得ることができる。
〔記録再生システムの一例とITRデータ再生装置の概略:図1〕
図1は、この発明のITRデータ再生装置を備える記録再生システムの一例を示す。
記録媒体1は、この例では、磁気ディスクまたは光ディスクで、回転駆動源2によって回転駆動される。記録再生ヘッド3は、記録媒体1が磁気ディスクである場合には磁気ヘッドであり、記録媒体1が光ディスクである場合には光学ヘッド(光ピックアップ)である。
回転駆動源2の駆動、記録再生ヘッド3の移動、およびシステム各部は、システムコントローラ5によって制御される。
記録時には、記録データとして、各種圧縮方式によって圧縮された、または圧縮されないデジタルデータが得られ、その記録データが、変調回路7で、記録再生に適した符号に変換される。
変調後の記録信号は、記録制御回路8で、記録再生ヘッド3が磁気ヘッドである場合には記録電流に変換され、記録再生ヘッド3が光学ヘッドである場合には記録レーザ光に変換され、これによって、記録媒体1に記録データが記録される。
再生時には、記録再生ヘッド3によって、記録媒体1から、これに記録された信号が読み取られ、その再生信号が、再生アンプ(RFアンプ)11を通じ、AGC(Automatic Gain Control)回路12を通じて、アナログ波形の再生波形Siとして得られる。
さらに、A/D変換回路14において、この再生波形Siが周波数シンセサイザ15からのサンプリングクロックCLsによってサンプリングされ、そのサンプル値がサンプリングデータDsに変換される。周波数シンセサイザ15は、サンプリングクロックCLsとして、あらかじめ決められた固定の周波数fsのクロックを発生するものである。
なお、この例では、そのサンプリングレートfsが再生波形Siに含まれる元のデータレートfiより高いオーバーサンプリングが実行される。
A/D変換回路14の出力のサンプリングデータDsは、ITR部20に供給される。ITR部20は、補間フィルタ21、PR等化回路22、位相検出回路23、LPF24およびコントローラ25によって、デジタルPLLを構成するものである。
補間フィルタ21は、コントローラ25から与えられるサンプリングタイミングμkに基づいて、後述の特殊な補間方法によって、サンプリングデータDsとしてサンプル値が得られるサンプル点の間の各補間点における再生波形Siの値を、補間データとして出力するものである。
この補間フィルタ21の、各補間点の補間データを含む出力データが、FIRフィルタによって構成されたPR等化回路22で等化され、さらに、位相検出回路23で、PR等化回路22の出力データykの位相誤差が検出され、その検出結果Δτkが、LPF24でフィルタリングされて、コントローラ25に取り込まれる。
コントローラ25は、PR等化回路22の出力データykの位相誤差Δτkに応じて、補間フィルタ21におけるサンプリングタイミングμkを更新し、これによって、PR等化回路22の出力データyk、すなわちITR部20の出力データとして、本来のサンプリングタイミングにおけるデータが再生される。
なお、PR等化回路22、位相検出回路23およびLPF24は、コントローラ25から与えられるイネーブル信号enによって、これが1(高レベル)のときに動作し、0(低レベル)のときに動作を停止するように制御される。
そして、ITR部20の出力データが、最尤復号回路17で最尤復号され、その復号後のデータが、復調回路18で記録系の変調回路7での変調方式に応じて復調されて、復調回路18から再生データが得られる。
〔ITR部20でのデータ再生方法〕
(補間フィルタ21での補間方法:図2〜図8)
補間フィルタ21での補間方法としては、任意の補間関数の、入力サンプリングデータDsにおける各サンプリング周期Tsを、それぞれ複数の期間に分割し、それぞれの分割期間を線形関数によって補間して、それぞれの分割期間内の各補間点のデータ(関数値)を算出する。以下、この方法の補間を分割型線形補間と称する。
1サンプリング周期Tsの分割数Nは、基本的には複数(2以上の整数)であればよいが、回路構成や処理を簡略化できる点で、
N=2^M …(1)
とすることが望ましい。Mは、1以上の整数である。
また、それぞれの分割期間(補間期間)は、必ずしも均等な時間にする必要はないが、やはり回路構成や処理を簡略化できる点で、均等な時間にすることが望ましい。
図2に、M=2,N=4とする場合を示す。この例では、各サンプリング周期Tsを、それぞれ分割節点(黒丸で示すが、白丸で示すサンプル点Psも分割節点である)Pdによって、それぞれ4つの均等な時間の補間期間T0,T1,T2,T3に分割し、それぞれの補間期間T0〜T3では、分割節点Pdを含めて、それぞれ16点の補間点(補間タイミング)を設定する。したがって、1サンプリング周期Ts全体では64点の補間点(補間タイミング)を設定する。
そして、分割節点Pdについては、あらかじめ、補間関数f(t)によって関数値を計算して、テーブル値としてテーブルに書き込んでおき、分割節点Pdを除く補間点については、前後の分割節点Pdのテーブル値から、線形補間の補間演算によってデータ値(関数値)を計算する。
具体的に、コントローラ25で計算されて補間フィルタ21に与えられるサンプリングタイミングμkを、0≦μk<1で定義される実数であるとし、vを0≦v<Nで定義される整数(N=4の場合には、v=0,1,2,3)として、サンプリングタイミングμkから、
v/N≦μk<(v+1)/N …(2)
となるようなvを検出し、補間フィルタ21のi番目のタップ係数をhi[μk]で表すと、
hi[μk]
=(v+1−N・μk)・f((i+v/N)・Ts)
−(v−N・μk)・f((i+(v+1)/N)・Ts)…(3)
の計算を行う。
f((i+v/N)・Ts)およびf((i+(v+1)/N)・Ts)は、補間点の前後の分割節点Pdのテーブル値である。
図2のようにN=4の場合、サンプリングタイミングμkを64分解能の6ビットの2進数で表されるものとすると、
000000−001111は補間期間T0(v=0)に、
010000−011111は補間期間T1(v=1)に、
100000−101111は補間期間T2(v=2)に、
110000−111111は補間期間T3(v=3)に、
それぞれ属することになる。
すなわち、この例では、6ビットのサンプリングタイミングμkの上位2ビットによって、補間点(補間タイミング)が補間期間T0〜T3のいずれに属するかを判断し、上位2ビットが00のときには補間期間T0で、上位2ビットが01のときには補間期間T1で、上位2ビットが10のときには補間期間T2で、上位2ビットが11のときには補間期間T3で、それぞれ線形補間を行えばよい。
ただし、サンプリングタイミングμkは、1サンプリング周期Tsを64分割する分解能を有するので、実際には0≦μk<1を意味する6ビットの2進化小数である。
図3に、以上のような分割型線形補間を行う補間フィルタ21の一例を示す。この例は、タップ数Lが9で、タップインデックス番号iが{−4,−3,−2,−1,0,1,2,3,4}で示されるものとする。
各段の遅延回路211は、それぞれ、上記のサンプリングクロックCLsによって、入力データを1サンプリング周期Tsの時間、遅延させるものである。以下に示す遅延回路も、同様である。
サンプリングタイミングμkは、全6ビットと、整数v(0,1,2,3)を表す上位2ビットとに分けられて、タップ係数計算部215に与えられ、タップ係数計算部215において、後述のようにタップ係数hi[μk]が計算される。
そして、乗算回路212で、それぞれ、入力サンプリングデータDsまたは遅延回路211の出力データに、タップ係数計算部215からの対応するタップ係数h(−4)〜h4が乗じられ、それぞれの乗算結果が、加算回路213で加算されて、加算回路213から、補間フィルタ21の出力データy(kTi)が得られる。
タップ係数計算部215は、i=−4,−3,−2,−1,0,1,2,3,4についての総計9個の、同一構成のタップ係数計算回路によって構成される。
図4に、その一つのタップ係数計算回路の例を示す。上記の式(3)は、N=4とすると、
hi[μk]
=(v+1−4・μk)・q(i,v)
−(v−4・μk)・q(i,v+1)…(4)
で表される。
ただし、q(i,v)およびq(i,v+1)は、
q(i,v)=f((i+v/4)・Ts) …(5)
q(i,v+1)=f((i+(v+1)/4)・Ts)…(6)
で表される、補間点の前後の分割節点Pdのテーブル値である。
そこで、図4のタップ係数計算回路215iでは、乗算回路216aで、サンプリングタイミングμkの2進化小数に4が乗じられ、減算回路217aで、サンプリングタイミングμkの上位2ビットで表される整数vから、乗算回路216aの乗算結果が減算され、加算回路217bで、減算回路217aの減算結果に1が加えられ、乗算回路216bで、テーブル219から読み出されたテーブル値q(i,v)に、加算回路217bの加算結果が乗じられ、乗算回路216cで、テーブル219から読み出されたテーブル値q(i,v+1)に、減算回路217aの減算結果が乗じられ、減算回路217cで、乗算回路216bの乗算結果から、乗算回路216cの乗算結果が減算されて、減算回路217cの出力データとして、式(4)で表されるタップ係数が算出される。
図5に、補間関数f(t)としてsinc関数を用いる場合のテーブル219の例を示す。これは、見やすいように、タップインデックス番号iによってグループ分けしたもので、例えば、i=0,v=0のテーブル値q(0,0)は1であり、i=0,v=1のテーブル値q(0,1)は0.900316である。
図2から明らかなように、i=0,v=4のテーブル値q(0,4)は、i=1,v=0のテーブル値q(1,0)と同じであるので、そのように記述される。同様に、テーブル値q(1,4)はテーブル値q(2,0)と、テーブル値q(2,4)はテーブル値q(3,0)と、テーブル値q(3,4)はテーブル値q(4,0)と、それぞれ同じである。
したがって、テーブル値としては、i=0,1,2,3のそれぞれにつき、4個ずつ必要であり、i=4につき、5個必要である。
また、sinc関数は、図2に示すようにt=0に対して線対称な関数で、i<0の場合は、
q(i,v)=q(|i|−1,4−v)…(7)
となるので、i<0の場合の独自のテーブル値は不要で、i<0の場合には、テーブル値q(i,v)としてq(|i|−1,4−v)を利用すればよい。例えば、i=−1,v=3のテーブル値q(−1,3)としては、q(0,1)を参照すればよい。
したがって、この例では、テーブル219には21個のテーブル値を格納しておくだけでよく、メモリテーブルの容量を著しく小さくすることができる。
補間関数f(t)としては、sinc関数以外に、任意の関数を用いることができる。そこで、以下に、補間関数f(t)として、上記の非特許文献3に示された“Cubic Interpolator”や“Piecewise−Parabolic Interpolator”を用いる場合の例を示す。これらは、いずれも多項式関数である。
図6に、タップ数Lを4、分割数Nを4としたときの補間フィルタ21の例を示す。これは、遅延回路211が3個、乗算回路212が4個で、タップ係数計算部215がi=−2,−1,0,1についての総計4個のタップ係数計算回路からなる点を除いて、図3の例と同じである。
上記の“Cubic Interpolator”や“Piecewise−Parabolic Interpolator”を用いる場合、分割節点の関数値q(i,v)は、図6にも示すように、
q(i,v)=(m=0〜3)Σbm(i)・μk …(8)
によって計算して、テーブル値としてテーブル219に書き込んでおき、タップ係数の計算時、テーブル219から読み出す。bm(i)は、非特許文献3の1001ページに記載のTABLE1,TABLE2の内容であり、関数によって見るべきテーブルが異なることを意味する。iは、タップインデックス番号である。
図7に、“Cubic Interpolator”を用いる場合のテーブル219の例を示す。この例でも、i<0の場合は上記の式(7)が成立するので、この例のテーブル値は9個でよい。
図8に、“Piecewise−Parabolic Interpolator”を用いる場合のテーブル219の例を示し、非特許文献3に記載のTABLE2中のα=0.5の例を利用した場合である。この例でも、i<0の場合は上記の式(7)が成立するので、この例のテーブル値も9個でよい。
(PR等化回路22の構成および動作:図9〜図11)
図9に、図1に示したPR等化回路22の一例を示す。このPR等化回路22は、遅延回路221、乗算回路222および加算回路223からなるFIRフィルタによって構成され、例えば、図10の波形Spbで示すような再生波形インパルス応答を波形Sprで示すようなPR波形とするn個のタップ係数f0,f1,…,f(n−1)が設定されて、PR(1,1)波形等化を行うものである。
ただし、遅延回路221は、イネーブル機能を有し、コントローラ25から与えられるイネーブル信号enが1のとき、サンプリングクロックCLsによって入力データを取り込んで保持し、イネーブル信号enが0のときには入力データを取り込まないものである。以下に示すイネーブル機能付きの遅延回路も、同様の動作をするものである。
PR(1,1)の実際の等化波形は、{−1,+1}の2値を有する各種の記録データと図10の波形Sprで示すようなPR波形との畳み込みで表現されるので、図11に示すようなアイパターンとなり、データ識別点では3値のデータとなる。
(位相検出回路23の構成および動作:図12)
図1に示した位相検出回路23は、上記の非特許文献1などに示されているように、PR等化波形とその仮判定値とから確率統計的に求めることができる、
Δτk=−yk・a(k−1)+y(k−1)・ak …(9)
で表されるサンプリング位相を検出するものである。
ただし、ykは、PR等化回路22の出力の、時刻kにおけるPR(1,1)等化波形データであり、akは、このデータykの{−1,0,+1}の3値を検出した結果の仮判定値である。(k−1)は、時刻kより1サンプリング周期Ts前の時刻を示す。
図12に、位相検出回路23の例を示す。この位相検出回路23では、3値検出回路231で、入力データykが3値検出されて仮判定値akが得られ、イネーブル機能付きの遅延回路232および233で、それぞれ入力データykおよび仮判定値akが1サンプリング周期Tsの時間遅延され、乗算回路234で、仮判定値akと遅延回路232の出力データが乗じられ、乗算回路235で、入力データykと遅延回路233の出力データが乗じられ、減算回路236で、乗算回路234の出力データから乗算回路235の出力データが減算されて、減算回路236の出力データとして、式(9)で表されるサンプリング位相Δτkが算出される。
(LPF24の構成および動作:図13)
図1に示したLPF24は、上記の非特許文献1などに示されているように、制御工学的に2次の制御ループを構成して、上記のサンプリング位相Δτkから、サンプリングタイミングμkを更新するためのタイミング差νkを計算するものである。
このタイミング差νkは、
νk=α・Δτk+ΔTk …(11)
ΔTk=ΔT(k−1)+ρ・Δτ(k−1)…(12)
で表される。αおよびρは、係数である。
図13に、LPF24の例を示す。このLPF24では、乗算回路241および242で、それぞれ入力データΔτkにαおよびρが乗じられ、乗算回路242の出力データが、加算回路243を通じて、イネーブル機能付きの遅延回路244で、1サンプリング周期Tsの時間遅延され、加算回路243で、乗算回路242の出力データと遅延回路244の出力データが加算され、イネーブル機能付きの遅延回路245で、加算回路243の出力データが1サンプリング周期Tsの時間遅延され、加算回路246で、乗算回路241の出力データと遅延回路245の出力データが加算されて、加算回路246の出力データとして、式(11)(12)で表されるタイミング差νkが算出される。
(コントローラ25の構成および動作:図14)
図1に示したコントローラ25は、補間フィルタ21の補間動作を制御するものである。同時に、コントローラ25は、イネーブル信号enによって、PR等化回路22、位相検出回路23およびLPF24の動作を制御する。
コントローラ25から補間フィルタ21に与えられるサンプリングタイミングμkは、補間フィルタ21の中心タップがサンプリング周期Tsをまたいで遷移しない(1サンプリング周期Ts内に収まる)ようにするために、0≦μk<1で定義する。
このサンプリングタイミングμkの更新は、更新後のサンプリングタイミングをμ(k+1)とすると、
μ(k+1)=[μk+ε(1−νk)]mod−1 …(13)
の演算によって実行される。“mod−1”は、整数1での剰余演算を示す。
再生波形Siに含まれる元のデータ周期(元のデータレートfiの逆数)をTiとすると、εは、
ε=Ti/Ts …(14)
で定義されるオーバーサンプリングレートである。
例えば、A/D変換回路14でのサンプリングレートfs(=1/Ts)が元のデータレートfi(=1/Ti)の1.1倍にされる場合、ε=1.1である。
また、
p=(int)[μk+ε(1−νk)] …(15)
のように、1による整数除算を行った結果をpとする。
そして、以下の例では、このような剰余演算および整数除算を実行する代わりに、2進化小数の小数部分と整数部分を取り出して処理することによって、サンプリングタイミングμkの更新を行う。
図14に、このようなサンプリングタイミングμkの更新を行うコントローラ25の例を示す。上述したように、サンプリングタイミングμkは、サンプリングタイミングを64階調で示す6ビットの2進化小数で表現されるものとする。
この例のコントローラ25では、減算回路251で、LPF24で算出されたタイミング差νkが1から減算され、乗算回路252で、その減算結果に式(14)のオーバーサンプリングレートεが乗じられる。
その乗算結果ε(1−νk)は、小数点以下6ビットの2進化小数で表現するが、乗算回路252の出力データとしては、その小数部分に整数部分のビットを加えたデータとする。整数部分としては、システムでオーバーフローしない程度のビット数を用意すればよく、この例では、整数部分として2ビットを加えて、乗算回路252の出力データを8ビットとする。
この乗算回路252の8ビット出力を、6ビット、8ビット入力および8ビット出力の加算回路253の8ビット入力とし、イネーブル機能付きの遅延回路254からの1時刻前(更新前)のサンプリングタイミングμkを、加算回路253の6ビット入力とする。
そして、加算回路253の8ビット出力中の、下位6ビットの小数部分を、更新後のサンプリングタイミングμ(k+1)として取り出し、遅延回路254で1サンプリング周期Tsの時間遅延させる。
また、加算回路253の8ビット出力中の、上位2ビットの整数部分を、上記の整数除算の結果pとして取り出す。
この整数部分pは、イネーブル信号enが1のとき、スイッチ255を通じて、サンプリングクロックCLsによってレジスタ256に取り込まれる。
さらに、レジスタ256の出力値Rがコンパレータ258で1と比較され、コンパレータ258と接続された論理回路259において、R≦1のときには、論理回路259の出力のイネーブル信号enが1にされ、それ以外のときには、イネーブル信号enが0にされる。
イネーブル信号enが0にされると、上述したようにPR等化回路22、位相検出回路23およびLPF24の動作が停止するとともに、コントローラ25では、スイッチ255が減算回路257側に切り換えられて、そのときの整数部分pに代えて、減算回路257でレジスタ256の出力値Rから1を減算した結果が、レジスタ256に取り込まれる。
これによって、例えば、上記のようにε=1.1とされる場合、サンプリングクロックCLsによる再生波形Siのサンプリングの11回に1回の割合でサンプリングデータDsが間引かれ、再生データとして元のデータレートfiのデータが得られる。
以上のように、この例のサンプリングタイミング更新方法では、2進化小数の整数部分と小数部分を取り出して処理することによって、整数除算や剰余演算を直接行うことなくサンプリングタイミングμkの更新を行うことができ、簡単な構成によってサンプリングタイミングμkの更新を高速で実行することができる。
(分割型線形補間の効果の検証:図15)
この発明の分割型線形補間を、光記録再生の場合の再生波形に適用して、性能をシミュレーションした結果を、図15に示す。
これは、BD(Blu−ray Disc(登録商標))光ディスクの理想再生特性のインパルス応答からノイズのない再生波形を生成し、1.05倍のオーバーサンプリングを行って、ITRによってPLLをロックさせたものである。等化はPR(1,1,1)とし、サンプリングタイミング分解能は64とした。
理想PR(1,1,1)等化アイパターンの識別点は{−3,−1,+1,+3}であるが、その+1に対して、シミュレーションによる識別点のデータ値と理想等化した識別点のデータ値との差の分散値をdBで示したものが、縦軸のSDNR(Signal and Distortion to Noise Ratio)である。したがって、SDNRの値が大きいほど、識別点がよりPR(1,1,1)に近く再現されていることを示す。
ITRでは、補間フィルタのデータ再現特性が悪いということは、補間後のデータのSDNRが低い(悪い)ということである。補間関数としてsinc関数を用いる場合、補間フィルタのタップ数を増やしていくとSDNRが飽和する傾向にあるが、この飽和した領域では高精度に補間できていることを意味する。
横軸は、補間フィルタのタップ数であり、上述した例のLに相当するものである。
図15で、菱形のプロットで示す“sinc+Hanning”は、非特許文献2に示されているように、補間関数としてsinc関数を用いて、これから直接、補間フィルタのタップ係数を求めた場合で、この場合には、タップ数を10以上というように多くすることによってSDNRを高くすることができる。
PLは、上述した分割数Nを示す。ただし、PL=1は、N≧2の分割型線形補間ではなく、非特許文献3に示されているように、1サンプリング周期Tsを分割することなく線形補間した場合で、この場合には、タップ数を多くしてもSDNRは一定値以上にならない。
これに対して、PL=2,PL=4,PL=8,PL=16,PL=32,PL=64は、この発明の分割型線形補間の、式(1)で示したようにN=2^Mにした場合である。
この場合、PL=2、すなわち分割数Nが2でも、PL=1の場合に比べてSDNRを十分高くすることができるとともに、PL=4、すなわち分割数Nが4では、タップ数を16以上にしたとき、sinc関数から直接、タップ係数を求めた場合と同等の性能が得られる。
なお、PL=8,PL=16,PL=32,PL=64の場合は、PL=4の場合とほとんど変わらないので、これら各場合を、丸印のプロットで示す。
このように、この発明の分割型線形補間によれば、比較的少ない分割数で,従来の線形補間と比べて性能が著しく向上し、理想特性に近いデータ再現特性を得ることができる。
また、例えば、64階調のサンプリングタイミングによって、非特許文献2に示されているように、sinc関数から直接、9タップのタップ係数を求める場合、sinc関数の対称性を考慮しても、((9−1)/2+1)・64=320個のテーブル値を必要とし、メモリテーブルとして大きな容量を必要とする。
これに対して、この発明の分割型線形補間によれば、分割数Nを4とするとき、上述したようにテーブル値は21個でよく、メモリテーブルの容量を著しく小さくすることができ、ITR部20をIC化した場合、チップサイズを小さくすることができる。
〔他の実施形態〕
上述した例は、A/D変換回路14でオーバーサンプリングを行う場合であるが、この発明は、補間フィルタ21での分割型線形補間についても、サンプリングタイミングμkの計算更新についても、A/D変換回路14でのサンプリングレートfsを再生波形Siに含まれる元のデータレートfiと同じにする場合にも、そのまま適用することができる。
また、この発明のITRデータ再生は、磁気記録再生や光記録再生の場合に限らず、モデムなどによる通信において受信側でデータを再生する場合にも適用することができる。
この発明のITRデータ再生装置を備える記録再生システムの一例を示す図である。 この発明の分割型線形補間の説明に供する図である。 ITR部の補間フィルタの一例を示す図である。 補間フィルタのタップ係数計算回路の一例を示す図である。 補間フィルタのテーブルの一例を示す図である。 ITR部の補間フィルタの他の例を示す図である。 補間フィルタのテーブルの他の例を示す図である。 補間フィルタのテーブルの他の例を示す図である。 ITR部のPR等化回路の一例を示す図である。 PR等化の説明に供する図である。 アイパターンを示す図である。 ITR部の位相検出回路の一例を示す図である。 ITR部のLPFの一例を示す図である。 ITR部のコントローラの一例を示す図である。 補間方法のシミュレーション結果を示す図である。 従来のPLLデータ再生装置を示す図である。 図16の装置の説明に供する図である。 従来のITRデータ再生装置を示す図である。 図18の装置の説明に供する図である。
符号の説明
主要部については図中に全て記述したので、ここでは省略する。

Claims (11)

  1. 入力サンプリングデータを補間フィルタに取り込み、補間フィルタのタップ係数との畳み込み演算による補間によって、本来のデータ識別点でのデータ値を再生するITR(Interpolated Timing Recovery)データ再生装置において、
    前記タップ係数を決定するサンプリングタイミングが1データサンプリング間隔内で定義されたタイミング内に収まるように、更新されたサンプリングタイミングを1データサンプリング間隔で整数除算した商の値として、実際に除算演算を行う代わりに2進数の整数表現部分のみを取り出し、その数だけ前記入力サンプリングデータを前記補間フィルタに取り込んでパイプライン動作させることを特徴とするITRデータ再生装置。
  2. 請求項1のITRデータ再生装置において、
    更新されたサンプリングタイミングを1データサンプリング間隔で整数除算した剰余の値として、実際に剰余演算を行う代わりに2進数の2進化小数表現部分のみを取り出し、その値をサンプリングタイミングとして前記タップ係数を決定することを特徴とするITRデータ再生装置。
  3. 入力サンプリングデータを補間フィルタに取り込み、補間フィルタのタップ係数との畳み込み演算による補間によって、本来のデータ識別点でのデータ値を再生するITR(Interpolated Timing Recovery)データ再生装置において、
    前記補間フィルタは、Nを2以上の整数として、ある補間関数における1データサンプリング間隔をN個に分割し、それぞれの分割期間を線形補間して補間データを算出することを特徴とするITRデータ再生装置。
  4. 請求項3のITRデータ再生装置において、
    前記補間関数がsinc関数であるITRデータ再生装置。
  5. 請求項3のITRデータ再生装置において、
    前記補間関数が多項式関数であるITRデータ再生装置。
  6. 請求項3のITRデータ再生装置において、
    Mを1以上の整数として、N=2^Mとされて、前記補間フィルタにおけるサンプリングタイミングが2進数データによって表現され、その上位Mビットによって前記分割期間が識別されるITRデータ再生装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかのITRデータ再生装置を備える記録再生システム。
  8. Nを2以上の整数として、ある補間関数における一定時間の期間をN個に分割し、それぞれの分割期間を線形補間して補間データを算出する補間フィルタ。
  9. 請求項8の補間フィルタにおいて、
    前記補間関数がsinc関数である補間フィルタ。
  10. 請求項8の補間フィルタにおいて、
    前記補間関数が多項式関数である補間フィルタ。
  11. 請求項8の補間フィルタにおいて、
    Mを1以上の整数として、N=2^Mとされて、前記補間フィルタにおける補間タイミングが2進数データによって表現され、その上位Mビットによって前記分割期間が識別される補間フィルタ。
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