次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による遊技機をパチスロ機に適用した第1の実施形態によるパチスロ機1の外観を示す正面図である。
パチスロ機1の本体中央部には、3個のリール2,3,4が回転自在に設けられている。各リール2,3,4の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはパチスロ機1の正面の表示窓5,6,7を通してそれぞれ3個ずつ観察される。各リール2〜4は、シンボルを変動表示する変動表示手段を構成している。表示窓5,6,7には、横3本と斜め2本の計5本の入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3Bが設けられている。また、表示窓5〜7の下方右側には、遊技者が遊技に賭ける遊技媒体であるメダルが投入されるメダル投入口8が設けられている。
ゲーム開始に先立って、遊技者がメダル投入口8から1枚のメダルを投入したときは、中央の横1本の入賞ラインL1が有効化される。また、2枚投入したときは、これに上下の横2本の入賞ラインが加わって横3本の入賞ラインL1,L2A,L2Bが有効化される。また、3枚投入したときは、これに斜め2本の入賞ラインが加わって5本の入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3B全てが有効化される。
また、表示窓5〜7の左方には、上部から、4個のチャンスLED(発光ダイオード)9〜12、3個の遊技動作表示ランプ13〜15、貯留枚数表示部16、およびスタートランプ17が設けられている。チャンスLED9〜12および遊技動作表示ランプ13〜15は遊技状態に応じて点灯制御され、その時の遊技状態が遊技者に知らされる。貯留枚数表示部16は、3桁の7セグメントLEDからなり、機械内部に現在クレジットされているメダル数を表示する。スタートランプ17は各リール2〜4が作動可能な時に点滅する。
また、表示窓5〜7の右方には、上部から、ボーナスカウント表示部18、WINランプ19、配当枚数表示部20、およびインサートランプ21が設けられている。ボーナスカウント表示部18は、3桁の7セグメントLEDからなり、ボーナスゲーム入賞時に、RBゲームおよびジャックゲームの残り入賞可能回数をデジタル表示する。WINランプ19は有効化入賞ラインに入賞組み合わせのシンボルが揃った時に点灯する。配当枚数表示部20は、3桁の7セグメントLEDからなり、入賞によるメダル払い出し枚数を表示する。インサートランプ21はメダル投入口8にメダルの投入が受付可能な時に点灯する。
また、表示窓5〜7の直ぐ下方には、液晶表示装置22が設けられている。この液晶表示装置22の左側には十字キー23、「○」ボタン24、「×」ボタン25、1貯留メダル投入スイッチ26、2貯留メダル投入スイッチ27、および3貯留メダル投入スイッチ28が設けられている。十字キー23は、上下左右の4方向のスイッチ操作を検出して、液晶表示装置22に表示される情報項目を選択する際に使用される。「○」ボタン24は液晶表示装置22に表示される指定情報を了承する決定ボタンであり、「×」ボタン25は液晶表示装置22に表示される指定情報をキャンセルするキャンセルボタンである。また、貯留メダル投入スイッチ26〜28は、貯留枚数表示部16にメダル数が表示されてクレジットされている際に、メダル投入口8へのメダル投入に代えて1回のゲームに1〜3枚のメダルを賭ける際に使用される。
また、液晶表示装置22の下方には、左側から、貯留メダル精算スイッチ29、スタートレバー30、およびストップボタン31,32,33が設けられている。貯留メダル精算スイッチ29は機械内部にクレジットされているメダルを精算する際に使用される。また、スタートレバー30の操作により各リール2〜4の回転が一斉に開始する。ストップボタン31〜33は、各リール2〜4に対応して配置されており、これら各リール2〜4の回転が一定速度に達したときに操作が有効化される。ストップボタン31〜33は、遊技者の操作に応じて各リール2〜4の回転を停止して、各リール2〜4でのシンボルの変動表示の停止を要求する変動表示停止要求手段を構成している。
また、パチスロ機1の正面下部にはメダル受皿34が設けられている。このメダル受皿34はメダル払出口35から払い出されるメダルを貯めるものである。また、パチスロ機1の正面上部には、入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかを示す配当表示部36が設けられており、この配当表示部36の左右には一対のスピーカ96,96が設けられている。
図2は、左,中,右の各リール2〜4に表された複数種類のシンボルが21個配列されたシンボル列を示している。各リール2〜4は、シンボル列が同図の矢印方向に移動するように回転駆動される。各シンボルには00〜20のコードナンバーが付されており、このコードナンバーはデータテーブルとして後述するプログラムROM65(図4参照)に格納されている。各シンボル列には「赤7」、「青7」、「スイカ」、「リプレイ」、「ベル」、「BAR」、及び「チェリー」のシンボルが表されている。
次に、本実施形態によるパチスロ機1で行われる遊技の概要について説明する。
本実施形態での遊技状態には、「一般遊技状態」、「BB中一般遊技状態」及び「RB遊技状態」等の複数種類の遊技状態がある。「一般遊技状態」にはさらに「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とがある。これらの各遊技状態は、基本的に、内部当選する可能性のある役の種類、及び後述の再遊技に内部当選する確率により区別される。
本実施形態では、BB(ビッグボーナス)またはRB(レギュラーボーナス)のボーナスに内部当選した後、ボーナスの入賞が成立する単位遊技までの間、複数の単位遊技にわたってボーナスを内部当選役として保持する(一般に、「持ち越し」と称される)。更に、ボーナスに内部当選した状態(ボーナスを持ち越した状態)においても、ボーナスに内部当選するようになっている。そして、入賞が成立することなく複数回ボーナスに内部当選した場合には、ボーナスの種別毎にその回数を計数し、その回数分のボーナスの入賞成立を実現可能にしている。BBの入賞成立を実現可能な回数を、以下「BBストック数」という。また、RBの入賞成立を実現可能な回数を、以下「RBストック数」という。
「高確率再遊技中一般遊技状態」は、「再遊技」に内部当選する確率が通常確率再遊技中一般遊技状態よりも高い状態(後述の高確率再遊技フラグがONの状態)である。この「高確率再遊技」は「RT(リプレイ・タイム)ゲーム」ともいう。「通常確率再遊技中一般遊技状態」は、「再遊技」に内部当選する確率が通常の状態(後述の高確率再遊技フラグがOFFの状態)をいう。「高確率再遊技中一般遊技状態」の発生条件は、後述する高確率再遊技制御処理(図19参照)で行われる抽選によって、高確率再遊技開始に当選することである。また、「高確率再遊技中一般遊技状態」の終了条件は、後述する高確率再遊技制御処理(同図参照)で行われる抽選によって、高確率再遊技終了に当選することである。
図3は、各遊技状態における入賞シンボル組合せに対応する役および払い出し枚数を示す図である。
BBの入賞は、「一般遊技状態」において“赤7”−“赤7”−“赤7”または“青7”−“青7”−“青7”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより成立する。BBの入賞が成立すると、15枚のメダル払い出しが行われ、遊技状態が「BB中一般遊技状態」となる。RBの入賞は、「一般遊技状態」において、“BAR”−“BAR”−“BAR”が有効化入賞ラインに沿って並ぶこと、または「BB中一般遊技状態」において“リプレイ”−“リプレイ”−“リプレイ”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより成立する。「BB中一般遊技状態」においてRBの入賞が成立することを、一般に「JAC IN」という。RBの入賞が成立すると、「一般遊技状態」では15枚、「BB中一般遊技状態」では1枚のメダル払い出しが行われ、遊技状態が「RB遊技状態」となる。本実施形態のパチスロ機1では、「一般遊技状態」においてボーナスに内部当選した場合には、その「一般遊技状態」においてボーナスの入賞を成立させることができる。
「再遊技」の入賞は、「一般遊技状態」において“リプレイ”−“リプレイ”−“リプレイ”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより成立する。「再遊技」の入賞が成立すると、投入したメダルの枚数と同数のメダルが次回の単位遊技で自動投入され、遊技者はメダルを消費することなく次の単位遊技を行うことができる。また、「RB遊技状態」において“リプレイ”−“リプレイ”−“リプレイ”が有効化入賞ラインに揃うと、「役物」の入賞が成立し、15枚のメダル払い出しが行われる。
「一般遊技状態」、「BB中一般遊技状態」では、“スイカ”−“スイカ”−“スイカ”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより「スイカの小役」が成立する。「スイカの小役」の入賞が成立すると、14枚のメダル払い出しが行われる。また、“ベル”−“ベル”−“ベル”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより「ベルの小役」が成立する。「ベルの小役」の入賞が成立すると、7枚のメダル払い出しが行われる。「スイカの小役」および「ベルの小役」は、「グループ役」を構成しており、「通常確率再遊技中一般遊技状態」では「ベルの小役」の入賞を成立させることができ、「高確率再遊技中一般遊技状態」では「スイカの小役」の入賞を成立させることができる。また、“チェリー”−“ANY”−“ANY”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより「チェリーの小役」が成立する。ここで、“ANY”は、有効化入賞ラインに停止表示するシンボルの種類を問わない意味を表す。「チェリーの小役」の入賞が成立すると、2枚のメダル払い出しが行われる。
図4および図5は、上述したパチスロ機1の遊技処理動作を制御するメイン制御基板61およびサブ制御基板62に構成された回路構成を示している。
図4に示すメイン制御基板61における制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)63を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン63は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うメインCPU(中央演算処理装置)64と、プログラム記憶手段であるプログラムROM(リード・オンリ・メモリ)65およびバックアップ機能付き制御RAM(ランダム・アクセス・メモリ)66とを含んで構成されている。
メインCPU64には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路67および分周器68と、一定範囲の乱数を発生する乱数発生器69および発生した乱数の1つを特定する乱数サンプリング回路70とが接続されている。さらに、後述する周辺装置(アクチュエータ)との間で信号を授受するI/Oポート(入出力ポート)71が接続されている。メインCPU64は、後述のプログラムROM65に格納されているシーケンスプログラムにより遊技処理を行う。
メインCPU64は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」との間で遊技状態を移行する遊技状態移行手段を構成している。また、メインCPU64は、上述した「グループ役」を含む複数の内部当選役の中からいずれかの内部当選役を抽選する内部当選役抽選手段を構成している。また、メインCPU64は、リール2〜4でのシンボルの変動表示を制御する変動表示制御手段を構成している。変動表示制御手段は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選され、かつ、停止テーブルとしてベル入賞成立可能停止テーブル(図10参照)が用いられた場合には、ストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、「グループ役」に含まれる「ベルの小役」に対応するシンボル「ベル」の組合せを有効化入賞ライン上に停止表示する。一方、「高確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選されると、シンボル「スイカ」が有効化入賞ライン上に引き込まれる所定のタイミングでストップボタン31〜33が操作された場合に限り、「グループ役」に含まれる「スイカの小役」に対応するシンボル「スイカ」の組合せを有効化入賞ライン上に停止表示する。本実施形態では、この所定のタイミングとは、シンボル「スイカ」が有効化入賞ラインから4コマの範囲内にあるタイミングである。
プログラムROM65は、パチスロ機1の遊技処理に用いられる各種テーブルやシーケンスプログラム等を格納するように記憶部が区分されている。
図6〜13を参照して、プログラムROM65に記憶されている各種テーブルについて説明する。
図6は、確率抽選テーブルを概念的に示す図である。
この確率抽選テーブルは、サンプリング回路70で抽出された乱数を各内部当選役に区分けするために使用され、乱数発生器69で発生する一定範囲の乱数を各内部当選役に区画するデータを記憶している。同図における各数値は、乱数発生器で発生する“0〜16383”までの“16384”の乱数範囲のうち、各内部当選役が抽選される数値範囲を示す抽選値である。各内部当選役の抽選確率は、“16384”を分母とし、抽選値を分子とする数値で表される。
同図(a)は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において用いられる通常確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブルである。このテーブルが用いられた場合、BB内部当選役が抽選される確率は“68/16384”である。また、RB内部当選役が抽選される確率は“45/16384”である。また、グループ役内部当選役が抽選される確率は“4500/16384”である。また、チェリー内部当選役が抽選される確率は“72/16384”である。また、再遊技内部当選役が抽選される確率は“2245/16384”である。また、ハズレが抽選される確率は“9454/16384”である。
同図(b)は、「高確率再遊技中一般遊技状態」において用いられる高確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブルである。このテーブルが用いられた場合は、BB,RB,グループ役,チェリーの各内部当選役が抽選される確率は同図(a)に示すテーブルが用いられた場合と同様であるが、再遊技内部当選役が抽選される確率は“2246/16384”であり、同図(a)に示すテーブルが用いられた場合に比べて、再遊技内部当選役が抽選される確率が高くなっている。また、ハズレが抽選される確率は“9453/16384”であり、同図(a)に示すテーブルが用いられた場合に比べて、ハズレが抽選される確率が低くなっている。
図7は高確率再遊技開始抽選テーブルを概念的に示す図である。
高確率再遊技開始抽選テーブルは、後述する高確率再遊技制御処理(図19参照)において高確率再遊技を行うか否かを決定する際に用いられるテーブルである。高確率再遊技開始抽選テーブルは、抽出された乱数を当選(開始)と非当選とに区画するデータを記憶している。同図における各数値は、“0〜1023”の“1024”の乱数範囲のうち、当選または非当選が抽選される数値範囲を示す抽選値である。当選および非当選の抽選値は、それぞれ“1”,“1023”である。当選または非当選の抽選確率は、“1024”を分母とし、抽選値を分子とする数値で表される。
図8は高確率再遊技終了抽選テーブルを概念的に示す図である。
高確率再遊技終了抽選テーブルは、後述する高確率再遊技制御処理(図19参照)において高確率再遊技を終了するか否かを決定する際に用いられるテーブルである。高確率再遊技終了抽選テーブルは、抽出された乱数を当選(終了)と非当選とに区画するデータを記憶している。同図における各数値は、“0〜1023”の“1024”の乱数範囲のうち、当選または非当選が抽選される数値範囲を示す抽選値である。当選および非当選の抽選値は、それぞれ“10”,“1014”である。当選または非当選の抽選確率は、“1024”を分母とし、抽選値を分子とする数値で表される。
次に、図9を参照して、遊技状態と、内部当選役と、選択される停止テーブル群との関係を説明する。
図9は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」および「高確率再遊技中一般遊技状態」での内部当選役と選択される停止テーブル群の種類との関係を示す図である。
各停止テーブル群は、左,中,右の各リール2〜4の停止制御に用いられるもので、各遊技状態および内部当選役の種類毎に停止テーブル群が選択される。各停止テーブルには、無作為にストップボタン31〜33を操作した際に、内部当選役に対応するシンボル組み合わせが有効化入賞ラインに揃う確率を表す「引き込み率」が設定されている。
例えば、同図に示すように、遊技状態が「通常確率再遊技中一般遊技状態」の場合、BB内部当選役が抽選されるとBB入賞成立可能停止テーブル群が選択される。BB入賞成立可能停止テーブル群は、BB入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“325/9261”である。また、RB内部当選役が抽選されると、RB入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“250/9261”のRB入賞成立可能停止テーブル群が選択される。また、グループ役が抽選されると、ベル入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“9261/9261”のベル入賞成立可能停止テーブル群、または、全ての内部当選役の入賞が成立しない全入賞役入賞不成立停止テーブル群が選択される。いずれのテーブル群が選択されるかは後述する停止テーブル群選択テーブル(図13参照)を用いた抽選によって決定される。また、チェリー内部当選役が抽選されると、チェリー入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“2205/9261”のチェリー入賞成立可能停止テーブル群が選択される。また、リプレイ内部当選役が抽選されると、リプレイ入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“9261/9261”、つまり必ずリプレイの入賞が成立する再遊技入賞成立可能停止テーブル群が選択される。また、ハズレ内部当選役が抽選されると全入賞役入賞不成立停止テーブル群が選択される。一方、遊技状態が「高確率再遊技中一般遊技状態」の場合は、BB,RB,チェリー,リプレイ,またはハズレが内部当選役として抽選されると、「通常確率再遊技中一般遊技状態」で用いられたものと同じ停止テーブル群が内部当選役に応じて選択される。また、グループ役が抽選されると、スイカ入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“3210/9261”のスイカ入賞成立可能停止テーブル群が選択される。
次に、メダルの賭け数1枚当たりの配当を示す期待値について説明する。
個々の内部当選役の「期待値」Rは、上述した引き込み率を用いて以下の式(1)によって一般的に表される。
R=(メダルの配当枚数/メダルの賭け数)×{内部当選役の抽選値/(全乱数範囲−再遊技の抽選値)}×(引き込み率)・・・(1)
ただし、グループ役でベル入賞する場合には、引き込み率は、上記の式(1)に、ベル入賞成立可能停止テーブル群が選択される確率(4620/9261)を掛けた値となる。そして、遊技全体としての期待値Rtは、各内部当選役の「期待値」を合計した値で表される。
「通常確率再遊技中一般遊技状態」の場合、各内部当選役の期待値Rは、以下の通りである。
BBの期待値R=(15/3)×{68/(16384−2245)}×(325/9261)=0.00084
RBの期待値R=(15/3)×{45/(16384−2245)}×(250/9261)=0.00043
グループ役の期待値R=(7/3)×{4500/(16384−2245)}×(4620/9261)×(9261/9261)=0.37047
チェリーの期待値R=(2/3)×{72/(16384−2245)}×(2205/9261)=0.00080
そして、「通常確率再遊技中一般遊技状態」における期待値Rtは、以下の通りである。
Rt=0.00084+0.00043+0.37047+0.00080=0.37255
また、「高確率再遊技中一般遊技状態」の場合、各内部当選役の期待値Rは、以下の通りである。
BBの期待値R=(15/3)×{68/(16384−2246)}×(325/9261)=0.00084
RBの期待値R=(15/3)×{45/(16384−2246)}×(250/9261)=0.00043
グループ役の期待値R=(14/3)×{4500/(16384−2246)}×(2310/9261)=0.37050
チェリーの期待値R=(2/3)×{72/(16384−2246)}×(2205/9261)=0.00081
そして、「高確率再遊技中一般遊技状態」における期待値Rtは、以下の通りである。
Rt=0.00084+0.00043+0.37050+0.00081=0.37258
このように、本実施形態のパチスロ機1では、グループ役のベル入賞の1枚賭け当たり配当枚数(7/3)および引き込み率(4620/9261×9261/9261)の乗算値と、グループ役のスイカ入賞の1枚賭け当たり配当枚数(14/3)および引き込み率(2310/9261)の乗算値とが等しく設定されているため、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、各内部当選役の「期待値」がほぼ等しい値に設定されている。
次に、図10〜図12を参照して、各停止テーブル群について説明する。
図10〜図12は、各停止テーブル群のうち、ベル入賞成立可能停止テーブル,全入賞不成立停止テーブル,およびスイカ入賞成立可能停止テーブルを概念的に示す図である。
各停止テーブルには、左,中,右の各リール2〜4毎に「停止操作位置」および「停止制御位置」が示されている。「停止操作位置」の欄の各数値は、各ストップボタン31〜33が操作された際に、入賞ラインL1上に位置しているシンボルのコードナンバーを表す。「停止制御位置」の欄の各数値は、対応する「停止操作位置」で各ストップボタン31〜33が操作されると、入賞ラインL1上に停止表示されるシンボルのコードナンバーを表す。例えば、図10に示すベル入賞成立可能停止テーブルでは、左リール2の「停止操作位置」がコードナンバー“20”のシンボル「赤7」の場合には、「停止制御位置」がコードナンバー“00”のシンボル「ベル」であるため、入賞ラインL1上にはシンボル「ベル」が停止表示する。また、本実施形態では、いわゆる「スベリコマ数」を最大4コマとしているので、例えば、左リール2の回転中においてコードナンバー“04”のシンボル「リプレイ」が入賞ラインL1上に位置したときに、ストップボタン31が操作されると、4コマ離れたコードナンバー“08”のシンボル「ベル」が有効化入賞ラインL1上に停止表示するように左リール2が停止制御される。
図10に示すベル入賞成立可能停止テーブルでは、左リール2についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“00”,“03”,“08”,“12”,“16”である。また、中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“01”,“05”,“09”,“13”,“17”である。また、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“02”,“07”,“11”,“16”,“18”である。これらは、いずれもシンボル「ベル」に対応するコードナンバーである。つまり、このベル入賞成立可能停止テーブルが用いられると、ストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、左,中,右の各リール2〜4についてシンボル「ベル」が入賞ラインL1上に停止表示するようにリール2〜4の停止制御が行われ、必ず「ベルの小役」の入賞が成立する。
また、図11に示す全入賞役不成立停止テーブルでは、左リール2および中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、図10に示すベル入賞成立可能停止テーブルと同じ値で、シンボル「ベル」に対応するものである。しかし、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“03”,“08”,“10”,“14”,“19”であり、いずれもシンボル「リプレイ」に対応するコードナンバーである。このため、この全入賞役不成立停止テーブルが用いられると、ストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、左,中の各リール2,3についてシンボル「ベル」が有効化入賞ラインL1上に停止表示すると共に右リール4についてシンボル「リプレイ」が有効化入賞ラインL1上に停止表示する。この場合、各入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3Bで揃えられるシンボル組合せは、いずれの内部当選役にも対応しないため、この全入賞役不成立停止テーブルが用いられた場合には、必ず「ハズレ」となる。
また、図12に示すスイカ入賞成立可能停止テーブルでは、左リール2についての「停止制御位置」のコードナンバーは、シンボル「ベル」に対応する“03”,“08”と、シンボル「リプレイ」に対応する“10”“14”と、シンボル「赤7」に対応する“19”である。いずれのコードナンバーの場合も、シンボル「スイカ」が表示窓5の下段に停止表示する。また、中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、シンボル「スイカ」に対応する“03”,“11”,“15”と、シンボル「BAR」に対応する“07”と、シンボル「ベル」に対応する“13”と、シンボル「チェリー」に対応する“19”である。このため、コードナンバー“03”,“11”,“15”の場合には、表示窓6の中段にシンボル「スイカ」が停止表示する。これに対し、コードナンバー“07”の場合はシンボル「BAR」が、コードナンバー“13”の場合はシンボル「ベル」が、コードナンバー“19”の場合はシンボル「チェリー」が、それぞれ表示窓6の中段に停止表示する。また、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、シンボル「チェリー」に対応する“00”,“17”と、シンボル「スイカ」に対応する“01”と、シンボル「BAR」に対応する“05”と、シンボル「リプレイ」に対応する“10”,“14”と、シンボル「赤7」に対応する“20”である。コードナンバー“00”,“05”,“14”の場合には、シンボル「スイカ」が表示窓7の上段に停止表示する。これに対し、コードナンバー“01”の場合はシンボル「ベル」が、コードナンバー“10”,“17”の場合はシンボル「ベル」が、コードナンバー“20”の場合はシンボル「チェリー」が、それぞれ表示窓7の上段に停止表示する。このため、このスイカ入賞成立可能停止テーブルが用いられた場合には、同テーブルで斜線が付されていない、中リール3について「停止操作位置」のコードナンバーが“03”,“11”,“15”のいずれかであり、かつ、右リール4について「停止操作位置」のコードナンバーが“00”,“05”,“14”のいずれかである場合に限り、有効化入賞ラインL3A上にシンボル「スイカ」の組み合わせが停止表示し、内部当選役「スイカ」の入賞を成立させることができる。
図13は、停止テーブル群選択テーブルを概念的に示す図である。
停止テーブル群選択テーブルは、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選された場合に、停止テーブル群として、ベル入賞成立可能停止テーブル群(図10参照)、または、全入賞役入賞不成立停止テーブル群(図11参照)のいずれかを選択する際に用いられる。停止テーブル群選択テーブルは、抽出された乱数を各停止テーブル群に区画するデータを記憶している。同図における各数値は、“0〜9260”の“9261”の乱数範囲のうち、各停止テーブル群が抽選される数値範囲を示す抽選値である。各停止テーブル群の抽選確率は、“9261”を分母とし、抽選値を分子とする数値で表される。
図4に示すマイコン63からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、各リール2,3,4を回転駆動するステッピングモータ45、各種ランプ(遊技動作表示ランプ13〜15、スタートランプ17、WINランプ19、インサートランプ21)、各種表示部(チャンスLED9〜12、貯留枚数表示部16、ボーナスカウント表示部18、配当枚数表示部20)、およびメダルを収納するホッパー72がある。これらはそれぞれモータ駆動回路73、各ランプ駆動回路74、各表示部駆動回路75、およびホッパー駆動回路76によって駆動される。これら駆動回路73〜76は、マイコン63のI/Oポート71を介してメインCPU64に接続されている。
また、マイコン63が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、メダル投入口8から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ8S、スタートレバー30の操作を検出するスタートスイッチ30S、前述した貯留メダル投入スイッチ26〜28、および貯留メダル精算スイッチ29がある。さらに、ホトセンサからの出力パルス信号を受けて各リール2,3,4の回転位置を検出するリール位置検出回路77がある。ホトセンサは各リール2〜4の駆動機構に含まれており、同図では示されていない。
リール位置検出回路77は、リール2〜4の回転が開始された後、ステッピングモータ45の各々に供給される駆動パルスの数を計数し、この計数値を制御RAM66の所定エリアに書き込む。従って、制御RAM66内には、各リール2〜4について、1回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されている。また、ホトセンサは各リール2〜4が1回転する毎にリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路77を介してメインCPU64に与えられ、制御RAM66で計数されている駆動パルスの計数値が“0”にクリアされる。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ45の回転との間に生じるずれが、1回転毎に解消されている。
さらに、上記の入力信号発生手段としては、ストップボタン31,32,33が押された時に対応するリールを停止させる信号を発生するリール停止信号回路78、ホッパー72から払い出されるメダル数を計数するメダル検出部72S、および図示しない払出完了信号発生回路がある。これらもI/Oポート71を介してメインCPU64に接続されている。払出完了信号発生回路は、メダル検出部72Sから入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が、表示部駆動回路75から入力した計数信号で表される配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を検知する信号を発生する。
また、I/Oポート71にはサブ制御部通信ポート79が接続されており、マイコン63はこのサブ制御部通信ポート79を介してサブ制御基板62へ信号を送出する。図5に示すサブ制御基板62には、この信号を受信するメイン制御部通信ポート88が設けられている。サブ制御部通信ポート79およびメイン制御部通信ポート88間の通信は、サブ制御部通信ポート79からメイン制御部通信ポート88へ向かう一方向についてだけ行われる。本実施形態では、サブ制御部通信ポート79からメイン制御部通信ポート88へ送出される信号は、7ビット長でその制御種別が表されるコマンド種別と、最大24ビット長でそのコマンドの内容が表されるパラメータとで構成されている。
サブ制御基板62における制御部はマイコン81を主な構成要素として構成されている。マイコン81も、メイン制御基板61におけるマイコン63と同様、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うサブCPU82と、プログラム記憶手段であるプログラムROM83およびバックアップ機能付き制御RAM84とを含んで構成されている。サブCPU82にも、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路85および分周器86が接続されており、さらに、上記のメイン制御部通信ポート88や後述するアクチュエータとの間で信号を授受するI/Oポート87が接続されている。
マイコン81からの制御信号により動作が制御されるアクチュエータとして、各リール2〜4に内蔵されたリールバックランプ47a,47b,47cがある。これらバックランプ47a〜47cの点灯は、I/Oポート87に接続されたランプ駆動回路89からの駆動信号によって制御される。また、マイコン81が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する入力信号発生手段として、前述した十字キー23、「○」ボタン24および「×」ボタン25がある。
また、I/Oポート87にはVDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ)90および音源IC91が接続されている。VDP90には、キャラクタ・データが記憶されたキャラクタROM92およびカラーディスプレイ表示用メモリであるビデオRAM93が接続されており、画像制御プログラムROM97および画像制御ワークRAM98も接続されている。VDP90は、マイコン81の制御の下、液晶表示装置22に画像表示を行う。マイコン81は、その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報をメイン制御部通信ポート88を介してメイン制御基板61から取り込み、取り込んだ遊技状態および当選フラグに基づいて表示する演出画像を選択する。そして、VDP90を制御して選択した演出画像を液晶表示装置22に表示させる。
また、音源IC91にはサウンド・データが記憶されたサウンドROM94が接続されており、音源IC91は、マイコン81の制御の下、パワーアンプ95を介してスピーカ96,96からサウンドを放音させる。マイコン81は、メイン制御部通信ポート88を介してメイン制御基板61から入力される指示に従い、音源IC91およびパワー・アンプ95を制御し、メダル投入音,スタートレバー操作音,ストップボタン操作音,ボーナスゲーム中の遊技音といった効果音をスピーカ96,96から出力させる。また、メイン制御基板61から取り込んだ遊技状態および当選フラグに基づいて選択した演出態様に基づく出音パターンで、スピーカ96,96から出音させる。
次に、上述した制御回路によって制御されるパチスロ機1の動作について説明する。
図14〜図16はメイン制御基板61のメインCPU64によって制御される遊技処理の概略を示すフローチャートである。
初めに、メインCPU64は、遊技開始時の初期化処理を行う(図14,ステップ101参照)。この初期化処理では、制御RAM66の記憶内容の初期化、通信データの初期化等が行われる。続いて、ゲーム終了時のRAMクリア処理が行われる(ステップ102)。具体的には、前回のゲームに使用された制御RAM66の書き込み可能エリアのデータの消去、制御RAM66の書き込みエリアへの次のゲームに必要なパラメータの書き込み、次のゲームのシーケンスプログラムの開始アドレスの指定等を行う。
次に、メインCPU64は、メダルの自動投入要求があるか、すなわち前回のゲームでリプレイの入賞が成立したか否かを判別する(ステップ103)。リプレイの入賞が成立した場合には、投入要求分のメダルを自動投入する(ステップ104)。一方、リプレイの入賞が成立していないときは、メダル投入があるか否かを判別する(ステップ105)。具体的には、投入メダルセンサ8S又は貯留メダル投入スイッチ26,27,28からの入力があるか否かを判別する。メダル投入がない場合には、処理はステップ103に戻り、上述の処理が繰り返される。一方、メダルの自動投入又はメダル投入があった場合には、メインCPU64は、スタートレバー30の操作に基づくスタートスイッチ30Sからのスタート信号入力があるか否かを判別する(ステップ106)。スタート信号入力がない場合は、ステップ106の処理が繰り返して行われる。一方、スタート信号入力があった場合には、次に、前回の遊技から4.1秒を経過しているか否かが判別される(ステップ107)。4.1秒を経過していない場合は、ウエイト機能が働いて4.1秒が経過するまでの遊技開始待ち時間が消化される(ステップ108)。また、この待ち時間消化に伴い、I/Oポート71を介してサブ制御基板62側へウエイト時間コマンドが送信される。また、スタートレバー30の操作がこの4.1秒経過前に行われると、スピーカ96,96からリール回転不可音が出音され、ウエイト機能が働いたことが遊技者に対して報知される。
前回遊技から4.1秒を経過すると、リール回転処理が行われる(ステップ109)。リール回転処理では、まず、リール2〜4の各回転位置が書き込まれる制御RAM66の所定領域が、メインCPU64によってリール2〜4の回転の開始に際して初期化され、引き続いて各リール2〜4がステッピングモータ45によって回転駆動される。次に、乱数発生器69で発生した抽選用の乱数がサンプリング回路70によって抽出され(ステップ110)、その後、上記の4.1秒をカウントするための1遊技監視用タイマがセットされる(ステップ111)。続いて、メインCPU64は、後述する遊技状態監視処理(図15,ステップ112参照)、確率抽選処理(ステップ113)、高確率再遊技制御処理(ステップ114)、および停止テーブル群選択処理(ステップ115)を行う。これらの処理が行われた後、ゲーム開始コマンド送信処理が行われる(ステップ116)。ゲーム開始コマンド送信処理では、スタートスイッチ30SからメインCPU64へ入力されたスタート信号に基づき、ゲーム開始コマンドがI/Oポート71を介してサブ制御基板62側へ送信される。このゲーム開始コマンドは、内部当選役および遊技状態を表す16ビットのパラメータを含んで構成されている。
次に、何れかのストップボタン31〜33がオン操作されたか否かが判別される(ステップ117)。オン操作されていない場合には、自動停止タイマの値が0になったか否かが判別される(ステップ118)。この自動停止タイマーは、ストップボタン31〜33が所定時間操作されない場合に、各リール2〜4を所定時間経過後に自動的に停止させるためのものである。
何れかのストップボタン31〜33がオン操作されたか、または、自動停止タイマーが0になると、次に、有効化入賞ライン上に引き込まれるシンボルのコマ数、つまり滑りコマ数が決定される(ステップ119)。この滑りコマ数は、遊技状態,当選要求,制御コマ数,シンボル位置等から定められ、有効化入賞ラインから当選シンボルまでのコマ数が制御コマ数の範囲内にあれば滑りコマ数として決定される。次に、この滑りコマ数が制御RAM66の所定領域に格納される。その後、第1停止リールの停止要求フラグがセットされ、この停止要求フラグがセットされるのに応じ、決定された滑りコマ数分だけ第1停止リールが回転させられるリール引き込み制御が行われ、1個のリールの回転が停止させられる(ステップ120)。リールの回転が停止すると、リール停止コマンドがI/Oポート71を介してサブ制御基板62側へ送信される(ステップ121)。このリール停止コマンドは、回転が停止したリールが左,中,右の各リール2〜4の中のいずれのリールであるかを表す16ビットのパラメータを含んで構成されている。
次に、全てのリール2〜4が停止したか否かが判別される(ステップ122)。第2停止リールおよび第3停止リールが未だ停止していない場合には、処理はステップ117に戻り、以上の処理が繰り返して行われる。全てのリール2〜4が停止すると、次に、メインCPU64によって入賞検索処理が行われる(図16,ステップ123参照)。この入賞検索処理では、有効化入賞ライン上に実際に揃っているシンボルの組合せの種類と、確率抽選処理によって決定された内部当選役の種類との一致がとられる。そして、次にこの入賞フラグが正常か否かが判別される(ステップ124)。この判別結果が正常でない場合、例えば、スイカのシンボル組合せが有効化入賞ライン上に揃っているのに、内部当選役に対応する当たり要求フラグがチェリーのフラグである場合には、払出表示部20および液晶表示装置22にイリーガルエラーが表示される(ステップ125)。入賞フラグが正常の場合には、続いて、その時の状態によって遊技メダルの貯留、または払い出し処理が行われる(ステップ126)。つまり、クレジットで遊技が行われている状態であれば、入賞によって獲得したメダル数分、クレジット表示部16に表示される貯留枚数が増加され、また、メダル投入口8へのメダル投入で遊技が行われている状態であれば、入賞によって獲得した枚数のメダルがメダル受皿34へ払い出される。
メダルの貯留または払い出しが行われると、入賞コマンドがI/Oポート71を介してサブ制御回路62側へ送信される(ステップ127)。この入賞コマンドは、入賞役、遊技状態および入賞ラインを表す24ビットのパラメータを含んで構成されている。次に、メインCPU64によって現在の遊技状態が「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」であるか否かが判別される(ステップ128)。「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」でない場合には、BB・RB入賞チェック処理を行う(ステップ129)。このBB・RB入賞チェック処理では、BBまたはRBの入賞が成立したか否かを判別する。そして、BB入賞が成立した場合には「BB中一般遊技状態」に、RB入賞が成立した場合には「RB遊技状態」に、それぞれ遊技状態を移行する。続いて、メインCPU64による遊技処理はステップ102に戻り、次の新たな遊技が開始される。一方、ステップ128で遊技状態が「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」である場合には、次に、BBゲームまたはRBゲームの遊技数がメインCPU64によってチェックされる(ステップ130)。続いて、メインCPU64によって現在の遊技状態がBBゲームの終了時か否かが判別される(ステップ131)。BBゲーム終了時であれば、続いて、BBゲーム終了時のRAMクリア処理が制御RAM66に対して行われ(ステップ132)、BB終了コマンドがI/Oポート71を介してサブ制御回路62側へ送信される。このBB終了コマンドは、終了動作を表す3ビットのパラメータを含んで構成されている。その後、遊技処理はステップ102に戻って次の新たな遊技が開始される。また、ステップ130の判別でBBゲーム終了時でなければ、遊技処理はそのままステップ102に戻って次の新たな遊技が開始される。
次に、図15のステップ112で行われる遊技状態監視処理について説明する。
図17は、遊技状態監視処理の詳細を示すフローチャートである。遊技状態監視処理では、まず始めに、メインCPU64は、遊技状態が「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」であるか否かを判別する(図17,ステップ201参照)。遊技状態が「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」である場合は、それぞれの遊技状態の種別に応じて遊技状態をセットし(ステップ202)、遊技状態監視処理は終了する。一方、ステップ201で遊技状態が「BB中一般遊技状態」または「RB遊技状態」でない場合は、高確率再遊技フラグがONか否かを判別する(ステップ203)。高確率再遊技フラグがONである場合は、遊技状態を「高確率再遊技中一般遊技状態」にセットする(ステップ204)。一方、ステップ203で高確率再遊技フラグがONでない場合は、遊技状態を「通常確率再遊技中一般遊技状態」にセットする(ステップ205)。遊技状態を「通常確率再遊技中一般遊技状態」または「高確率再遊技中一般遊技状態」にセットした後、遊技状態監視処理は終了する。
次に、図15のステップ113で行われる確率抽選処理について説明する。
図18は、確率抽選処理の詳細を示すフローチャートである。確率抽選処理では、まず始めに、メインCPU64は、上記遊技状態監視処理においてセットされた遊技状態に応じた種類の確率抽選テーブルを制御RAM66にセットする(図18,ステップ301参照)。具体的には、遊技状態が「高確率再遊技中一般遊技状態」である場合には、高確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブル(図6(b)参照)を制御RAM66にセットし、「通常確率再遊技中一般遊技状態」である場合には、通常確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブル(図6(a)参照)を制御RAM66にセットする。続いて、セットした確率抽選テーブルおよび投入されたメダル枚数に基づいて、内部当選役の抽選を行う。この抽選は、乱数発生器69で発生した抽選用の乱数をサンプリング回路70によって抽出し、抽出した乱数値が、制御RAM66にセットされた確率抽選テーブルにおいてどの内部当選役に属する値になっているかを判断することにより行う。次に、メインCPU64は、抽選した内部当選役の情報を制御RAM66に格納し(ステップ303)、確率抽選処理を終了する。
次に、図15のステップ114で行われる高確率再遊技制御処理について説明する。
図19は、高確率再遊技制御処理の詳細を示すフローチャートである。高確率再遊技制御処理では、まず始めに、メインCPU64は、遊技状態が「一般遊技状態」であるか否かを判別する(図19,ステップ401参照)。遊技状態が「一般遊技状態」でない場合には、高確率再遊技制御処理はそのまま終了する。一方、遊技状態が「一般遊技状態」である場合には、次に、メインCPU64は、高確率再遊技フラグがONか否かを判別する(ステップ402)。高確率再遊技フラグがONである場合には、高確率再遊技終了抽選テーブル(図8参照)を制御RAM66にセットする(ステップ403)。一方、高確率再遊技フラグがONでない場合には、高確率再遊技開始抽選テーブル(図7参照)を制御RAM66にセットする(ステップ404)。次に、抽選用の乱数を抽出し(ステップ405)、制御RAM66にセットした各抽選テーブルに基づく抽選を行う(ステップ406)。続いて、メインCPU64は、抽選結果が当選であるか否かを判別する(ステップ407)。この判別は、ステップ405で抽出した乱数値が、各抽選テーブルの当選または非当選のいずれの区画に属する値になっているかを判断することにより行う。そして、抽選結果が当選である場合には、高確率再遊技フラグを反転する(ステップ608)。つまり、高確率再遊技終了抽選テーブルに基づく抽選で当選した場合には、高確率再遊技フラグをOFFにし、高確率再遊技開始抽選テーブルに基づく抽選で当選した場合には、高確率再遊技フラグをONにする。一方、ステップ407で抽選結果が当選でない場合には、高確率再遊技フラグの反転を行うことなく高確率再遊技制御処理を終了する。
次に、図15のステップ115で行われる停止テーブル群選択処理について説明する。
図20は、停止テーブル群選択処理の詳細を示すフローチャートである。停止テーブル群選択処理では、まず始めに、メインCPU64は、遊技状態が「高確率再遊技中一般遊技状態」であるか否かを判別する(図20,ステップ501参照)。この判別は、高確率再遊技フラグがONであるか否かを判断することにより行う。遊技状態が高確率再遊技中一般遊技状態でない場合には、次に、メインCPU64は、確率抽選処理(図15,ステップ113参照)で抽選された内部当選役が「グループ役」であるか否かを判別する(ステップ502)。内部当選役が「グループ役」である場合には、停止テーブル群選択テーブル(図13参照)を制御RAM66にセットし(ステップ503)、抽選用の乱数を抽出する(ステップ504)。次に、メインCPU64は、制御RAM66にセットした停止テーブル群選択テーブルに基づく抽選を行い(ステップ505)、抽選の結果、ベル入賞成立可能停止テーブル群に当選したか否かを判別する(ステップ506)。抽選結果の判別は、ステップ504で抽出した乱数値が、停止テーブル群選択テーブルのいずれの抽選値の区画に属する値になっているかを判断することにより行う。そして、抽選結果がベル入賞成立可能停止テーブル群に割り当てられた抽選値の区画に属して当選である場合には、ベル入賞成立可能停止テーブル群を選択して制御RAM66にセットする(ステップ507)。一方、抽選結果が当選でない場合には、全入賞役入賞不成立停止テーブル群を選択して制御RAM66にセットする(ステップ508)。また、ステップ501での判別結果が高確率再遊技中一般遊技状態でない場合、またはステップ502での判別結果が「グループ役」でない場合には、内部当選役および遊技状態に応じた停止テーブル群を選択して制御RAM66にセットし(ステップ509)、停止テーブル群選択処理を終了する。
このように、本実施形態のパチスロ機1によれば、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において「グループ役」内部当選役が図15,ステップ113の確率抽選処理で抽選されると、図20,ステップ505の停止テーブル群選択テーブルに基づく抽選で、ベル入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブルのいずれかを選択する。図20,ステップ507でベル入賞成立可能停止テーブル群が選択されると、遊技者によるストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、有効化入賞ライン上にシンボル「ベル」の組み合わせが停止表示し、必ず「ベルの小役」の入賞が成立する。これに対し、図20,ステップ508で全入賞役入賞不成立停止テーブル群が選択されると、どのタイミングでストップボタン31〜33が操作されても、いずれの内部当選役の入賞も成立させることができない。一方、「高確率再遊技中一般遊技状態」において「グループ役」内部当選役が図15,ステップ113の確率抽選処理で抽選されると、図20,ステップ509でスイカ入賞成立可能停止テーブルが選択され、遊技者によるストップボタン31〜33の操作タイミングが、有効化入賞ライン上にシンボル「スイカ」が引き込まれる所定のタイミングである場合に限り、シンボル「スイカ」の組み合わせが停止表示し、「スイカの小役」の入賞が成立する。
つまり、「高確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選された場合には、遊技者は、シンボル「スイカ」を狙ってストップボタン31〜33を操作する必要がある。シンボル「スイカ」が有効化入賞ラインに引き込まれる所定のタイミングでストップボタン31〜33を操作できる熟練者は、多くのメダルを獲得することができる。一方、この所定のタイミングでストップボタン31〜33を操作するのが困難な初心者は、それほど多くのメダルを獲得することができない。従って、メダルの獲得枚数に遊技者の技量が従来のパチスロ機より反映される。また、内部当選役として「グループ役」が抽選された場合には、遊技状態が「通常確率再遊技中一般遊技状態」であるか、また「高確率再遊技中一般遊技状態」であるかによって、有効化入賞ライン上に揃えるべきシンボルの種類と、ストップボタン31〜33の操作タイミングとが異なるため、遊技に多様性を持たせることができ、遊技の興趣が高められる。この結果、遊技者は、「高確率再遊技状態」による興趣と合わせて、遊技により面白味を感じることができる。
また、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、メダルの単位賭け数当たりの配当を示す「期待値」がほぼ等しいため、これら各遊技状態で遊技者が得られる配当量の期待をほぼ等しくすることができる。このため、遊技店は、熟練者が多量のメダルを獲得することを可能としつつ、各遊技状態を通じて遊技者全般が獲得できるメダルの量をほぼ一定にすることが出来る。
次に、本発明による遊技機をパチスロ機に適用した第2の実施形態について説明する。
本実施形態によるパチスロ機は、リール2〜4のシンボル列に表されたシンボルの種類および配列態様が、上記第1の実施形態のパチスロ機1と異なる点が大きく相違しているが、上記第1の実施形態とほぼ同様の構成を有し、同様の遊技処理を行う。
図21は、本実施形態によるパチスロ機の左,中,右の各リール2,3,4に表された複数種類のシンボルが21個配列されたシンボル列を示している。同図に示すように、各シンボル列には「赤7」、「青7」、「スイカ」、「リプレイ」、「ベル」、「BAR」、「上チリ」、及び「下チリ」のシンボルが表されており、第1の実施形態の「チェリー」が無いかわりに「上チリ」及び「下チリ」が設けられている。
図22は、各遊技状態における入賞シンボル組合せに対応する役および払い出し枚数を示す図である。
本実施形態では、RBの入賞は、「一般遊技状態」においては、“赤7”−“赤7”−“青7”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより成立する。なお、本実施形態でも、上記第1の実施形態と同様に、「一般遊技状態」においてボーナスに内部当選した場合には、その「一般遊技状態」においてボーナスの入賞を成立させることができる。また、「スイカの小役」,「ベルの小役」の入賞成立の際に払い出されるメダル枚数は、それぞれ15枚,6枚である。また、本実施形態では、「一般遊技状態」または「BB中一般遊技状態」において“上チリ”−“ANY”−“ANY”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより「上チリの小役」が成立する。「上チリの小役」の入賞が成立すると、2枚のメダル払い出しが行われる。また、“下チリ”−“ANY”−“ANY”が有効化入賞ラインに沿って並ぶことにより「下チリの小役」が成立する。「下チリの小役」の入賞が成立すると、2枚のメダル払い出しが行われる。
本実施形態では、「上チリの小役」および「下チリの小役」からなる「デカチリの小役」と、「ベルの小役」との組み合わせで「グループ役」が構成されており、「通常確率再遊技中一般遊技状態」では「デカチリの小役」の入賞を成立させることができ、「高確率再遊技中一般遊技状態」では「ベルの小役」の入賞を成立させることができる。「デカチリの小役」は、“上チリ”と“下チリ”とが同時に表示窓5の上段および中段、または中段および下段に並ぶと成立する。「デカチリの小役」の入賞が成立すると、3本の有効化入賞ライン上にそれぞれ2枚配当の役が成立するので、6枚のメダル払い出しが行われる。
本実施形態では、メインCPU64から構成される変動表示制御手段は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選されると、シンボル「上チリ」および「下チリ」が有効化入賞ライン上に引き込まれる所定のタイミングでストップボタン31〜33が操作された場合に限り、「グループ役」に含まれる「デカチリの小役」を有効化入賞ライン上に停止表示する。一方、「高確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選され、かつ、停止テーブルとしてベル入賞成立可能停止テーブルが用いられた場合には、ストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、グループ役に含まれる「ベルの小役」に対応するシンボル「ベル」の組合せを有効化入賞ライン上に停止表示する。
また、本実施形態では、図15,ステップ113の確率抽選処理、ステップ114の高確率再遊技制御処理、ステップ115の停止テーブル群選択処理で用いられる各抽選テーブルが、上記第1の実施形態で用いられた各確率抽選テーブル(図6〜図13)と異なる。
図23は、確率抽選テーブルを概念的に示す図である。
同図(a)に示す通常確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブルでは、BB内部当選役が抽選される確率は“68/16384”である。また、RB内部当選役が抽選される確率は“40/16384”である。また、グループ役内部当選役が抽選される確率は“10000/16384”である。また、スイカ内部当選役が抽選される確率は“1600/16384”である。また、再遊技内部当選役が抽選される確率は“2245/16384”である。また、ハズレ内部当選役が抽選される確率は“2431/16384”である。同図(b)に示す高確率再遊技中一般遊技状態用確率抽選テーブルでは、BB,RB,グループ役,およびスイカの各内部当選役の抽選確率は同図(a)のテーブルと同様である。しかし、再遊技内部当選役およびハズレ内部当選役が抽選される確率は、それぞれ“2247/16384”および“2429/16384”であり、同図(a)に示すテーブルに比べて、再遊技内部当選役が抽選される確率が高く、ハズレ内部当選役が抽選される確率が低くなっている。
図24は、高確率再遊技開始抽選テーブルを概念的に示す図であり、高確率再遊技開始抽選テーブルは、当選(開始)および非当選の抽選値がそれぞれ“10”,“1014”である。また、図25は、高確率再遊技終了抽選テーブルを概念的に示す図であり、高確率再遊技終了抽選テーブルは、当選(終了)および非当選の抽選値がそれぞれ“1”,“1023”である。
図26は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」および「高確率再遊技中一般遊技状態」での内部当選役と選択される停止テーブル群の種類との関係を示す図である。
本実施形態では、同図に示すように、上記第1の実施形態の場合と同様に、BB,RB,グループ役,スイカ,リプレイ,またはハズレが内部当選役として抽選されると、各内部当選役に応じた停止テーブル群が選択される。遊技状態が「通常確率再遊技中一般遊技状態」の場合は、BB入賞成立可能停止テーブル群,RB入賞成立可能停止テーブル群,デカチリ入賞成立可能停止テーブル群,スイカ入賞成立可能停止テーブル群,再遊技入賞成立可能停止テーブル群の各停止テーブル群の「引き込み率」は、それぞれ“325/9261”,“245/9261”,“2470/9261”,“1323/9261”,“9261/9261”である。一方、遊技状態が「高確率再遊技中一般遊技状態」の場合は、BB,RB,スイカ,またはハズレが内部当選役として抽選されると、「通常確率再遊技中一般遊技状態」で用いられたものと同じ停止テーブル群が内部当選役に応じて選択される。しかし、グループ役が抽選された場合には、ベル入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“9261/9261”のベル入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブル群が選択される。また、再遊技内部当選役が抽選された場合には、再遊技入賞に対応するシンボルの「引き込み率」が“9261/9261”の再遊技入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブル群が選択される。
次に、本実施形態での、メダルの賭け数1枚当たりの配当を示す期待値について説明する。
「通常確率再遊技中一般遊技状態」の場合、各内部当選役の期待値Rは、以下の通りである。
BBの期待値R=(15/3)×{68/(16384−2245)}×(325/9261)=0.00084
RBの期待値R=(15/3)×{40/(16384−2245)}×(245/9261)=0.00037
グループ役の期待値R=(6/3)×{10000/(16384−2245)}×(1323/9261)=0.20210
スイカの期待値R=(15/3)×{1600/(16384−2245)}×(2470/9261)=0.15091
そして、「通常確率再遊技中一般遊技状態」における期待値Rtは、以下の通りである。
Rt=0.00084+0.00037+0.20210+0.15091=0.35422
また、「高確率再遊技中一般遊技状態」の場合、各内部当選役の期待値Rは、以下の通りである。
BBの期待値R=(15/3)×{68/(16384−2247)}×(325/9261)=0.00084
RBの期待値R=(15/3)×{40/(16384−2247)}×(245/9261)=0.00037
グループ役の期待値R=(6/3)×{10000/(16384−2247)}×(3/21)×(9261/9261)=0.20208
チェリーの期待値R=(15/3)×{1600/(16384−2247)}×(2470/9261)=0.15091
そして、「高確率再遊技中一般遊技状態」における期待値Rtは、以下の通りである。
Rt=0.00084+0.00037+0.20208+0.15091=0.355420
このように、グループ役のデカチリ入賞の1枚賭け当たり配当枚数(6/3)および引き込み率(1323/9261)の乗算値と、グループ役のベル入賞の1枚賭け当たり配当枚数(6/3)および引き込み率(3/21×9261/9261)の乗算値とが等しく設定されているため、本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、各内部当選役の「期待値」がほぼ等しい値に設定されている。
図27〜図29は、各停止テーブル群のうち、デカチリ入賞成立可能停止テーブル,ベル入賞成立可能停止テーブル,および全入賞役不成立停止テーブルを概念的に示す図である。
各停止テーブルは、上記第1の実施形態の場合と同様に、各リール2〜4毎に「停止操作位置」および「停止制御位置」が示されているが、「停止操作位置」と「停止制御位置」とのコードナンバーの対応関係が、上記第1の実施形態の場合と異なる。
図27に示すデカチリ入賞成立可能停止テーブルでは、左リール2についての「停止制御位置」のコードナンバーは、シンボル「ベル」に対応する“00”,“04”,“09”,“14”,“17”と、シンボル「上チリ」に対応する“12”である。また、中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“02”,“06”,“10”,“13”,“18”であり、いずれもシンボル「ベル」に対応するものである。また、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“00”,“04”,“08”,“13”,“17”であり、いずれもシンボル「リプレイ」に対応するものである。このため、このデカチリ入賞成立可能停止テーブルが用いられた場合には、左リール2について「停止操作位置」のコードナンバーが同テーブルで斜線が付されていない“12”である場合に限り、左リール2の入賞ラインL1上にシンボル「上チリ」が停止表示すると共に左リール2の有効化入賞ラインL2B,L3A上にシンボル「下チリ」が停止表示すると共に、左リール2して、「グループ役」である「デカチリ」の入賞を成立させることができる。
また、図28に示すベル入賞成立可能停止テーブルでは、左リール2についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“00”,“04”,“09”,“14”,“17”である。また、中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“02”,“06”,“10”,“13”,“18”である。また、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、“02”,“06”,“10”,“15”,“19”である。これらは、いずれもシンボル「ベル」に対応するコードナンバーであり、このベル入賞成立可能停止テーブルが用いられると、必ず「ベルの小役」の入賞が成立する。
また、図29に示す全入賞役入賞不成立停止テーブルでは、左リール2および中リール3についての「停止制御位置」のコードナンバーは、ベル入賞成立可能停止テーブルと同じ値で、シンボル「ベル」に対応するものである。しかし、右リール4についての「停止制御位置」のコードナンバーは、シンボル「上チリ」に対応する“03”,“07”,“16”と、シンボル「下チリ」に対応する“11”と、シンボル「赤7」に対応する“20”であり、この全入賞役入賞不成立停止テーブルが用いられた場合には必ず「ハズレ」となる。
図30は停止テーブル群選択テーブルを概念的に示す図である。
停止テーブル群選択テーブルは、「高確率再遊技中一般遊技状態」において内部当選役として「グループ役」が抽選された場合に、停止テーブル群として、ベル入賞成立可能停止テーブル群(図28参照)、または、全入賞役不成立停止テーブル群(図29参照)のいずれかを選択する際に用いられる。停止テーブル群選択テーブルに表された各数値“3”,“18”は、乱数発生器で発生する“0〜20”の“21”の乱数範囲のうち、各停止テーブル群が抽選される数値範囲を示す抽選値である。各停止テーブル群の抽選確率は、“21”を分母とし、抽選値を分子とする数値で表される。
次に、本実施形態によるパチスロ機の動作について説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、図14〜図19に示す遊技処理が行われる。しかし、図15のステップ115の停止テーブル群選択処理において停止テーブル群を選択する条件が上記第1の実施形態の遊技処理と異なる。
図31は、本実施形態において、メイン制御基板61のメインCPU64によって制御される停止テーブル群選択処理の詳細を示すフローチャートである。
停止テーブル群選択処理では、まず始めに、メインCPU64は、遊技状態が高確率再遊技中一般遊技状態であるか否かを判別する(図31,ステップ601参照)。遊技状態が高確率再遊技中一般遊技状態である場合には、確率抽選処理(図15,ステップ113参照)で抽選された内部当選役が「グループ役」であるか否かを判別する(ステップ602)。抽選結果が「グループ役」である場合には、上記第1の実施形態と同様の抽選処理を行い(ステップ603〜ステップ606)、抽選結果に応じて、ベル入賞成立可能停止テーブル群(図28参照)または全入賞役入賞不成立停止テーブル群(図29参照)を選択し(ステップ607またはステップ608)、制御RAM66にセットする。ステップ601で高確率再遊技中一般遊技状態でないと判別した場合、またはステップ602で「グループ役」でないと判別した場合には、上記第1の実施形態と同様に、内部当選役および遊技状態に応じた停止テーブル群を選択して制御RAM66にセットし(ステップ609)、停止テーブル群選択処理を終了する。
このように、本実施形態のパチスロ機1によっても、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において「グループ役」内部当選役が図15,ステップ113の確率抽選処理で抽選されると、図31,ステップ609でデカチリ入賞成立可能テーブルが選択され、シンボル「上チリ」および「下チリ」が有効化入賞ライン上に引き込まれる所定のタイミングで、遊技者がストップボタン31〜33を操作した場合に限り、シンボル「上チリ」および「下チリ」の組み合わせが有効化入賞ライン上に停止表示し、「デカチリの小役」の入賞が成立する。一方、「高確率再遊技中一般遊技状態」において「グループ役」内部当選役が抽選されると、ベル入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブルのいずれかが図31,ステップ605で抽選で選択される。図31,ステップ607でベル入賞成立可能停止テーブル群が選択されると、遊技者によるストップボタン31〜33の操作タイミングに関わらず、必ず「ベルの小役」の入賞が成立し、図31,ステップ608で全入賞役入賞不成立停止テーブルが選択されると、いずれの内部当選役の入賞も成立させることができない。
つまり、「通常確率再遊技中一般遊技状態」において、内部当選役として「グループ役」が抽選された場合、遊技者が、シンボル「上チリ」または「下チリ」を狙ってストップボタン31〜33を操作して「グループ役」の入賞を成立させる必要があるため、メダルの獲得枚数に遊技者の技量がより反映される。また、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、「グループ役」を成立させるシンボルの種類とストップボタン31〜33の操作タイミングとが異なるため、遊技に多様性を持たせて遊技の興趣を高められる。また、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで「期待値」がほぼ等しいため、これら各遊技状態で遊技者が得られる配当量の期待をほぼ等しくすることができる。このため、本実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態の説明では、「グループ役」を構成する一方の内部当選役(第1の実施形態ではスイカ、第2の実施形態ではデカチリ)が抽選された場合には、目押しが必要とされる1つの停止テーブル群(第1の実施形態ではスイカ入賞成立可能停止テーブル群、第2の実施形態ではデカチリ入賞成立可能停止テーブル群)のみを用いてリール2〜4の停止制御を行った。しかし、「グループ役」を構成する各内部当選役の「期待値」がほぼ同じ値になるように、互いに異なる値の「引き込み率」が設定された2種類の停止テーブルを用意し、上記一方の内部当選役が抽選された場合には、2種類のうちの何れかのテーブルを抽選で選択して使用するようにしてもよい。例えば、上記第1の実施形態においては、スイカ入賞成立可能停止テーブル群として、「引き込み率」が“2315/9261”の停止テーブル群Aと、「引き込み率」が“2305/9261”の停止テーブル群Bとを設け、“1/2”の確率で何れかのテーブルを抽選で選択してもよい。この場合には、「スイカの小役」全体としての「引き込み率」の値((2315/9261+2305/9261)×1/2)が、上記第1の実施形態で用いたスイカ入賞成立可能停止テーブル群の値(2310/9261)と等しくなり、「グループ役」を構成する「ベルの小役」と「スイカの小役」との各「期待値」をほぼ等しくすることができる。この構成によっても、メダルの獲得枚数に遊技者の技量を反映させることができ、しかも高確率再遊技中一般遊技状態と通常確率再遊技中一般遊技状態とで、「グループ役」の入賞を成立させるシンボルの種類とストップボタン31〜33の操作タイミングとが異なるため、遊技に多様性を持たせて遊技の興趣をさらに高められる。
また、上記第1の実施形態では、「スイカの小役」の配当数(14枚)が「ベルの小役」の配当数(7枚)の2倍の値に設定されていたが、両内部当選役の「期待値」がほぼ等しい値であれば、各内部当選役の配当数は任意であり、適宜変更して差し支えない。例えば、「スイカの小役」と「ベルの小役」の配当数を同じ値とし、停止テーブル群選択処理(図20参照)でベル入賞成立可能停止テーブル群が選択される確率(4620/9261)を、スイカ入賞可能停止テーブル群の「引き込み率」(2310/9261)とほぼ同じ値になるように設定してもよい。また、上記第2の実施形態では、「デカチリの小役」の配当数(6枚)が「ベルの小役」の配当数(6枚)と等しい値に設定されていたが、両内部当選役の「期待値」がほぼ等しい値であれば、各内部当選役の配当数は任意であり、適宜変更して差し支えない。
また、上記各実施形態では、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、再遊技入賞成立可能停止テーブル群の「引き込み率」を同じ値(9261/9261)に設定し、内部当選役として「リプレイ」が抽選されると、必ず「リプレイ」の入賞が成立する構成とした。しかしながら、通常確率再遊技中一般遊技状態では、高確率再遊技中一般遊技状態で選択されるものと「引き込み率」が異なる停止テーブル群を用い、各遊技状態における内部当選役の「リプレイ」の抽選値を調整して、通常確率再遊技中一般遊技状態と高確率再遊技中一般遊技状態とで、「リプレイ」の入賞が成立する確率が等しくなるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、全てのゲームにおいて「高確率再遊技中一般遊技状態」の発生または終了の抽選を行った。しかしながら、必ずしも全てのゲームにおいてこれらの抽選を行う必要はなく、例えば、特定の内部当選役が抽選又は入賞するとこれらの抽選を行うようにしてもよい。また、上記各実施の形態では、テーブルを用いた抽選によって「高確率再遊技中一般遊技状態」を発生または終了させた。しかし、「高確率再遊技中一般遊技状態」の発生条件および終了条件は任意であり、例えば、規定ゲーム数が消化されることによって「高確率再遊技中一般遊技状態」を終了させてもよい。また、各内部当選役の抽選確率も、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とでの「期待値」をほぼ等しい値に保つことができるのであれば任意である。例えば、「高確率再遊技中一般遊技状態」での「リプレイ」の抽選確率は、「通常確率再遊技中一般遊技状態」での「リプレイ」の抽選確率よりも高い値であれば任意であり、適宜変更して差し支えない。また、「グループ役」を構成する小役の組み合わせは任意であり、左,中,右の各リール2〜4のシンボル列に表されたシンボルの種類等に応じて適宜変更して差し支えない。また、上記各実施形態では、変動表示手段として外周にシンボル列が表されたリール2〜4を用いた場合について説明した。しかし、変動表示手段として液晶表示装置等の画像表示装置を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、「高確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選したときには、所定のタイミングでストップボタン31〜33が操作されると、「スイカの小役」の入賞が成立するものとした。また、上記第2実施形態では、「通常確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選したときには、所定のタイミングでストップボタン31〜33が操作されると、「デカチリの小役」の入賞が成立するものとした。しかし、例えば、所定の押し順でストップボタン31〜33が操作されると、必ず「スイカの小役」または「デカチリの小役」といった所定の小役の入賞が成立するようにしてもよい。この場合、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とで、少なくとも「グループ役」についての「期待値」を略同一とすることが好ましい。また、所定の条件が成立すると、前述した所定の押し順を報知し、いわゆる取りこぼしを排除するようにしてもよい。これにより、遊技者は目押しを必要とすることなく、「スイカの小役」または「デカチリの小役」といった所定の小役の入賞を成立させることができる。
また、上記第1実施形態では、「通常確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選すると、ベル入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブル群を抽選で選択し、「高確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選すると、スイカ入賞成立可能停止テーブル群を選択した場合について説明した。しかし、これら各遊技状態で「グループ役」が内部当選すると、ベル入賞成立可能停止テーブル群またはスイカ入賞成立可能停止テーブル群を抽選で選択するように構成してもよい。また、上記第2実施形態では、「通常確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選すると、デカチリ入賞成立可能停止テーブル群を選択し、「高確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選すると、ベル入賞成立可能停止テーブル群または全入賞役入賞不成立停止テーブル群を抽選で選択した場合について説明した。しかし、これら各遊技状態で「グループ役」が内部当選すると、ベル入賞成立可能停止テーブル群またはデカチリ入賞成立可能停止テーブル群を抽選で選択するように構成してもよい。例えば、上記第1実施形態では、「通常確率再遊技中一般遊技状態」または「高確率再遊技中一般遊技状態」で「グループ役」が内部当選すると、ベル入賞成立可能停止テーブル群またはスイカ入賞成立可能停止テーブル群を抽選で選択し、「通常確率再遊技中一般遊技状態」ではベル入賞成立可能停止テーブル群の抽選確率をスイカ入賞成立可能停止テーブル群の抽選確率より高い値または等しい値とし、「高確率再遊技中一般遊技状態」ではベル入賞成立可能停止テーブル群の抽選確率をスイカ入賞成立可能停止テーブル群の抽選確率より低い値または等しい値としてもよい。この構成によれば、「通常確率再遊技中一般遊技状態」と「高確率再遊技中一般遊技状態」とのいずれでも、スイカ入賞成立可能停止テーブル群が用いられることがあり、「スイカの小役」に対応するシンボル組み合わせを狙ってストップボタン13〜33を操作する機会が増えるため、遊技媒体の獲得数に遊技者の技量をより反映させることができる。
また、上記実施の形態では、「高確率再遊技中一般遊技状態」を1種類のみ設けた場合について説明した。しかし、例えば、終了条件の異なる複数種類の「高確率再遊技中一般遊技状態」を設けて、各「高確率再遊技中一般遊技状態」の継続間隔を異ならせ、相対的に長い間継続する「高確率再遊技中一般遊技状態」と、相対的に短い間継続する「高確率再遊技中一般遊技状態」とが生じるようにしてもよい。また、開始条件の異なる複数種類の「高確率再遊技中一般遊技状態」を設けてもよい。その他、BBが内部当選していないゲーム数が所定のゲーム数に達すると、遊技者に有利な特典遊技に遊技状態を移行するパチスロ機では、特典遊技に移行する条件となる上記の所定のゲーム数、いわゆる天井の設定条件や、それぞれの間での移行条件が異なる複数種類の「高確率再遊技中一般遊技状態」を設けてもよい。このような構成によれば、遊技者に有利な状態(または不利な状態)が続く期間に差を設けることができ、遊技の面白みが向上する。
また、上記実施の形態では、ベル入賞成立可能停止テーブル群が選択された場合には、ストップボタン31〜33の操作タイミングや操作順序に関わらず、必ずベルの入賞が成立するものとしたが、ストップボタン31〜33の操作タイミングや操作順序によっては「ベルの小役」の入賞が成立しないようにして取りこぼしが発生する箇所を設け、若干の技術介入性を持たせてもよい。