JP2005095944A - 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属製シート、板材またはブロックからなる金属基板と、該金属基板の上面にろう材を介して接合する厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料とからなることを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体および金属基板と炭素基金属複合材料との間にろう材を介在させ、500℃以上の温度および0.2MPa以上の加圧下に保持し、冷却する工程を含むことを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、半導体または半導体の回路基板に用いられるセラミックスの熱膨張係数が4〜8ppm/℃であるのに対して、アルミニウム、銅の熱膨張係数は16〜23ppm/℃と大きいために、かかる熱膨張係数の差違により接合層に高い熱応力が発生し単純な両者の接合はできない。
しかしながら、これらの材料の問題点として、熱伝導率が、銅を使用した材料の場合で200〜300W/m・K、アルミニウムを使用した材料の場合で150〜200W/m・Kと銅、アルミニウム単体の熱伝導率より20%以上低いこと、また、基板のヤング率が高いため、熱膨張係数が4ppm/℃程度のシリコン、窒化アルミニウム等との接合では、接合層に生じる熱応力が大きくなり、大面積での接合が難しいという問題がある。
また、樹脂の場合は、吸湿性および耐熱性が低く、はんだの場合では実用温度域での降伏応力が低く熱疲労を起こしやすい等の難点も指摘されている。
なお、本願明細書において、「熱応力緩和作用」とは、熱膨張係数の異なる二つの材料を接合する場合、接合界面に発生する応力は、二つの材料の熱膨張係数と各材料の弾性率に比例することが知られていることから、弾性率の低い材料に発生する応力は小さくなり、熱膨張係数が大きく異なる材料の接合においても接合が可能であり、かつ加熱、冷却の繰り返しによって発生する熱疲労にも耐えることが可能な作用をいう。
金属基板と、該金属基板の上面にろう接してなる厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料とからなることを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体
が提供される。
金属基板と、該金属基板の上面にろう接してなる厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料とからなる金属基板−炭素基金属複合材料の製造方法であって、前記金属基板と前記炭素基金属複合材料との間にろう材を介在させ、該ろう材の融点の温度以上に加熱保持した後、少なくとも加圧下において冷却する工程を含むことを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法
が提供される。
(1)厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料と、該複合材料の下面にろ
う材を介して上面を接合する銅またはアルミニウム基板とからなる電子機
器放熱用金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
(2)銅箔シートと、該銅箔シートの下面にろう材を介して上面を接合する厚さ
0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料と、該複合材料の下面にろう材
を介して上面を接合する銅またはアルミニウム基板とからなる電子機器放
熱用金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
(3)アルミナ等のセラミックス絶縁基板の下面にろう材を介して上面を接合す
る厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料と、該複合材料の下面に
ろう材を介して上面を接合する銅またはアルミニウム基板とからなる電子
機器放熱用金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
(4)銅またはアルミニウム基板のくぼみに厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金
属複合材料を収納し、該複合材料の上下面にろう材を介して銅またはアル
ミニウムの箔あるいは基板を接合することで、複合材料が金属に覆われた
形状からなる電子機器放熱用金属基板−炭素貴金属複合材料構造体。
(5)金属基板と、該金属基板の上面にろう材を介して下面が接合された厚さ0
.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料と、該炭素基金属複合材料の上面
にろう材を介して下面が接合されたシリコン素子とからなる電子機器放熱
用金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
本発明の金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法は、ろう材を用いるろう接によるものであり、具体的には金属基板としての銅、アルミニウムと炭素基金属複合材料との間に、ろう材を介在させて高温に保持し、ろう材をすき間に溶融し流入させることにより接合層を形成させ、少なくとも加圧下で冷却する工程を有するものであり、そりの少ない放熱用基板として適する金属基板−炭素基金属複合材料構造体を提供する。該接合層の形成工程では加圧条件は必ずしも必要でないが、冷却工程では加圧条件は必須とされる。
加圧圧力は、アルミニウム基板または銅基板が著しい塑性変形を起こさない程度の圧力条件として、アルミニウム基板では0.2MPaから30MPa、銅基板では3MPaから50MPaに設定することが、そりの少ない基板をうるために好ましいが、前記温度より低い圧力でも接合は可能である。
図2は、図1で示す金属基板−炭素基金属複合材料3の上面が金属箔5で被覆された構成のものである。
図3は、本発明に係る炭素基金属複合材料構造体のCPUキャップへの適用例であり、アルミニウムまたは銅基板4と炭素基金属複合材料3がろう材3’を介して接合されたものである。
また、図4は、アルミニウムまたは銅基板4の枠内に接合した炭素基金属複合材料3の上下面をろう材3’を介して金属箔5で被覆した構造体の断面図である。
図5は、本発明に係る金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造用ホットプレス炉内の各ユニットの基本配置図を例示したものである。図中、Aは、本発明に係る金属基板であり、その上下にそれぞれスペーサー7が配置され、受台8に対し、ラム6により所定の条件にて押圧される。
なお、金属基板−炭素基金属複合材料構造体等の性能評価には次に示す測定方法を用いた。
(1)そり測定
三次元非接触レーザー計測器(シグマ光機株式会社販売、COMS株式会社製三次元形状側プログラムを使用。)を用い、試料片の炭素基金属複合材料側の対角線上の凸部を測定した。
(2)熱伝導率
熱伝導率は、熱拡散率と比熱および密度の積として求めた。熱拡散率は、レーザーフラッシュ法により真空理工(株)製TC−7000を用いて25℃で測定した。また、照射光としてルビーレーザー光(励起電圧2.5kv、均一フィルターおよび滅光フィルター1枚)を使用した。
(3)熱膨張率
マックスサイエンス社製熱分析装置001、TD−5020を用いて室温から300℃までの熱膨張率を測定した。
A:銅箔厚み0.02mm、B:銅を一方向炭素繊維炭素複合材料に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ500)厚み0.5mmおよびC:銅C1020、厚み2mmを各50mm×50mmを用意した。接合層として錫箔0.01mmと銅箔0.02mmを組み合わせた金属箔をA、BおよびB、C間に挿入し、ホットプレス内にセットした。真空雰囲気、温度800℃で30分間ホールドし、ホールド終了時に20MPa加圧し冷却した。試作品のそりは、複合材料側を凸としてほぼ50×50mmの対角線上で0.05mmであった。
A:銅箔厚み0.02mm、B:銅を一方向炭素繊維炭素複合材料に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ500)厚み1mmおよびC:銅C1020厚み1mmのA、BおよびCを各50mm×50mm用意した。錫箔0.01mmと銅箔0.02mmを組み合わせた金属箔を接合層としてA、BおよびB、C間に挿入し、ホットプレス内にセットした。ホットプレス内は真空雰囲気、温度800℃30分間ホールドし、ホールド終了時に20MPaで加圧し、次いで冷却して得られた試作品のそりは、複合材料側を凸としてほぼ50mm×50mmの対角線上で0.12mmであった。
組織断面を600倍で観察したところ、複合材料中の銅とろう材および銅基板が一体化し接合面でのわれ、空隙等の欠陥はなかった。また、同試作品を窒素ガス中、700℃、2時間再加熱、冷却後の外観観察では、銅箔、基板のはがれ等の破壊およびそり量の増大は認められなかった。
実施例2で試作した試作品を2分割し、それぞれの試作品の銅箔上中央部に銀ろうBAg−7を底部につけたコバール製フランジ(外寸12.7mm×20.8mm、板厚1mm)を設置し、約2kgの重しを置いて760℃で接合した。銅基板側の30×20mmの対角線上でのそりは0.02mmであり、フランジ接合前後でそりの変化はほとんどなかった。フランジ接合した同試作品を350℃に加熱したホットプレート上に5分間、熱容量の大きな鉄製台(常温)で10分間の簡易熱サイクル試験を10回行ったがフランジのはがれは認められなかった。
以上のように、本発明に係る金属基板−炭素基金属複合材料構造体にコバール製フランジ(熱膨張係数約5ppm/℃@30℃〜40℃)を接合できることおよび簡易ヒートサイクル試験でも破壊しないことから熱応力緩和作用のあることが証明された。
B:アルミニウムを炭素材料に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ300)厚み1mmおよびC:アルミニウムA1050厚み3mmを各50mm×50mm用意した。接合層としてA4047(Al合金。以下同じ。)、0.3mmのシートをA、B間に挿入し、ホットプレス内にセットした。窒素雰囲気、温度600℃30分間ホールドし、ホールド終了時に15MPa加圧し冷却した。試作品のそりは、複合材料側を凸としてほぼ50×50mmの対角線上で0.03mmであった。
A:アルミナ96%基板、厚さ0.6mm、B:アルミニウムを炭素材に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ300)厚み0.5mmおよびC:アルミニウムA1050厚み3mmを各50mm×50mm用意した。接合層としてA4047,0.3mmのシートをA、B間およびB、C間に挿入し、ホットプレス内にセットした。窒素雰囲気、温度600℃で30分間ホールドし、ホールド終了時に15MPa加圧し冷却した。試作品のそりは、アルミナ側を凸として50×50mmの対角線上で0.15mmであった。同試作品を350℃に加熱したホットプレート上に5分間、熱容量の大きな鉄製台(常温)で10分間の簡易熱サイクル試験を10回行ったが異常は認められなかった。またそり量は、サイクル試験前後で変化はなかった。
以上のように、本発明に係る金属基板−炭素基金属複合材料構造体にアルミナ基板(熱膨張係数約8ppm/℃@RT−800℃)を接合できることおよび簡易ヒートサイクル試験でも破壊しなかったことから熱応力緩和作用があることが証明された。
B:アルミニウムを炭素材に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ300)厚み0.5mmおよびC:アルミニウムA1050厚み3mmを各50mm×50mm用意した。接合層としてA4047,0.3mmのシートをA、B間に挿入し、10Kgの重しをのせ、窒素雰囲気、温度595℃で30分間ホールドの条件で接合した。試作品のそりは、複合材料側を凸としてほぼ50×50mmの対角線上で0.2mmであったが、検査後試作品の端部から引き剥がすと簡単に剥離した。
A:アルミナ96%基板、厚さ0.6mmおよびC:アルミニウムA1050厚み3mmを各50mm×50mmを用意した。接合層としてA4047,0.3mmのシートをA、C間に挿入し、ホットプレス内にセットした。窒素雰囲気、温度595℃で30分間ホールドし、ホールド終了時に15MPa加圧し冷却した。試作品のそりは、アルミナ側を凸としてほぼ50×50mmの対角線上で0.3mm超(計測不能)となり、アルミナ基板に割れが生じた。
A:アルミナ96%基板、厚さ0.6mm、B:アルミニウムを炭素材に含浸した製品(株式会社先端材料製SZ300)厚み0.5mmおよびC:アルミニウムA1050厚み3mmを各50mm×50mm用意した。接合層としてA4047,0.3mmのシートをA、B間およびB、C間に挿入し、ホットプレス内にセットした。窒素雰囲気、温度620℃、30分間ホールドし、ホールド時に50MPa加圧し冷却した。厚さ3mmのアルミ基板は左右に0.3mm以上ふくらみ、アルミナおよび複合材料が半融解しアルミニウム基板に沈み込み変形した。
加圧条件を20MPaの代わりに0.04MPaとしたこと以外すべて実施例2と同一の条件および操作により試作品を調製した。試作品のそりは複合材料側を凸としてほぼ50mm×50mmの対角線上で0.15mm超であった。中央部は接合していたが、四隅は接合していなかった。
加圧条件を15MPaの代わりに0MPaとしたこと以外すべて実施例4と同一の条件および操作により試作品を調製した。試作品のそりは複合材料側を凸としてほぼ50mm×50mmの対角線上で0.2mm超であった。中央部は接合していたが、四隅は接合していなかった。
2 はんだ
3 炭素基金属複合材料
3’ろう材
4 アルミニウムまたは銅基板
5 被覆金属箔
6 ラム
7 スペーサー(平板または型板)
8 受台
9 ホットプレス炉内
A 金属基板−炭素基金属複合材料構造体
Claims (11)
- 金属基板と、該金属基板の上面にろう接してなる厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料とからなることを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記金属基板の金属が、銅、アルミニウムまたは各金属の合金である請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記金属基板の形態が、シート、板材またはブロックである請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記金属基板−炭素基金属複合材料構造体の炭素基金属複合材料側のそりが、50mm×50mmの対角線上で0.15mm以下に制御された請求項1または2に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記炭素基金属複合材料の被覆層の構成成分が、セラミックスまたは金属箔である請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記炭素基金属複合材料の端部が、前記金属基板内に埋設されてなる請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記炭素基金属複合材料の金属が、マグネシウム、アルミニウム、銅、銀または該各金属の合金である請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 前記炭素基金属複合材料の三軸方向のいずれかの一方向の特性が、熱伝導率;100W/m・K以上、熱膨張係数;4ppm/℃〜15ppm/℃、ヤング率;25GPa以下である請求項1に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体。
- 金属基板と、該金属基板の上面にろう接してなる厚さ0.1mm〜2mmの炭素基金属複合材料とからなる金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法であって、前記金属基板と前記炭素基金属複合材料との間にろう材を介在させ、該ろう材の融点以上の温度に加熱保持した後、少なくとも加圧下において、冷却する工程を含むことを特徴とする金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法。
- 前記加圧条件が0.2MPa以上である請求項9に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法。
- 前記加熱保持温度が350℃以上である請求項9に記載の金属基板−炭素基金属複合材料構造体の製造方法。
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