JP2010098059A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール、緩衝層付パワーモジュール用基板及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁基板11の一方の面に回路層12が形成されたパワーモジュール用基板10と、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンク4と、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、絶縁基板11とヒートシンク4との間には、炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたアルミニウム基複合材料からなる緩衝層30が設けられ、この緩衝層30の熱膨張係数Kが、絶縁基板11の熱膨張係数Kc及びヒートシンク4の熱膨張係数Ktに対して、Kc<K<Ktの関係とされており、緩衝層30のうちヒートシンク4側には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるスキン層31が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子の半導体チップが搭載される。
そこで、例えば特許文献1の図4に示すように、パワーモジュール用基板をヒートシンクの天板部に直接接合したヒートシンク付パワーモジュール用基板が提案されている。
また、絶縁基板がヒートシンクに緩衝層を介して接合されるとともに、この緩衝層が、炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたアルミニウム基複合材料で構成されているので、緩衝層の熱伝導率が比較的高く、パワーモジュール用基板側で発生した熱をヒートシンク側へと効率良く放散することができる。
この場合、前記スキン層の平均厚さtsが0.03mm以上とされているので、このスキン層においても熱応力を確実に吸収することができる。また、前記スキン層の平均厚さtsが3mm以下とされているので、熱伝導性を確保することができ、熱の放散を効率良く行うことができる。なお、この効果をさらに奏功せしめるためには、スキン層の平均厚さtsを0.05mm≦ts≦0.6mmの範囲内に設定することが好ましい。
純度99%以上のアルミニウム、いわゆる純アルミニウムは、比較的軟らかく応力を吸収しやすいため、前記スキン層を純度99%以上のアルミニウムで構成することによって、スキン層において熱応力を確実に吸収することができる。なお、この効果をさらに奏功せしめるためには、スキン層を、純度99.9%以上あるいは純度99.99%以上の高純度アルミニウムで構成することが好ましい。
この場合、第2スキン層を介することにより、緩衝層とパワーモジュール用基板(絶縁基板)とを強固に接合することが可能となる。
この場合、アルミニウム基複合材料中のアルミニウムが、例えばAl−Si等のろう材の融点よりも高くなることから、緩衝層とヒートシンク及び緩衝層と絶縁基板をろう付けによって接合することができる。
この場合、緩衝層とヒートシンク及び緩衝層と絶縁基板を積層方向に加圧した状態で前記融点以上に加熱することにより、アルミニウム基複合材料中のアルミニウム合金が溶融または半溶融し、緩衝層とヒートシンク及び緩衝層と絶縁基板を接合することが可能となる。
この場合、緩衝層が、炭素成分量が比較的高く強度に優れるとともに熱伝導性が確保されているので、熱サイクル信頼性を向上させることができるとともに熱の放散を促進することができる。
この構成のヒートシンク付パワーモジュールによれば、電子部品から発生する熱を効率良くヒートシンク側に放散することができるとともに、熱サイクル信頼性を向上させることができる。
この構成の緩衝層付パワーモジュール用基板によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンクに接合することにより、前述のヒートシンク付パワーモジュール用基板を構成することができる。
この構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法によれば、絶縁基板と緩衝層との接合が、緩衝層を構成するアルミニウム基複合材料を成形する際に行われるので、絶縁基板と緩衝層の接合界面における熱抵抗が低くなり効率良く熱を放散させることが可能なヒートシンク付パワーモジュール用基板を得ることができる。
この場合、天板部とパワーモジュール用基板(回路層及び絶縁基板)とを、同一の製造工程で製出することが可能となる。
このヒートシンク付パワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク4とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板11は、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されており、その厚さが、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
また、アルミニウムの熱伝導率は約238W/m・Kとされ、緩衝層30の熱伝導率は300〜400W/m・K程度とされている。
また、前述の第1スキン層31、第2スキン層32は、緩衝層30に充填された純度99.98%以上のアルミニウム(純アルミニウム)で構成されている。
図3に示すように、気孔率10〜30体積%の黒鉛板35を準備し、この黒鉛板35の両面にそれぞれ気孔率5体積%以下の黒鉛からなる挟持板36、36を配設し、この挟持板36と黒鉛板35とを、ステンレス製の押圧板37,37によって挟持する。これを、例えば200〜300MPaで加圧した状態で750〜850℃に加熱し、純度99.98%以上の溶融アルミニウムを黒鉛板35に含浸させ、これを冷却凝固させ、アルミニウム基複合材料を得る。このとき、溶融アルミニウムの一部が、黒鉛板35の表面に滲み出してアルミニウム層38が形成される。このアルミニウム層38に切削加工を施して第1スキン層31、第2スキン層32の厚さを調整することにより、前述の緩衝層30が製出される。
そして、この緩衝層付パワーモジュール用基板40の緩衝層30の下面側に、ろう材箔25を介してヒートシンク4を積層させ、これを積層方向に加圧した状態で加熱してろう材箔25を溶融させた後に冷却して凝固させ、緩衝層付パワーモジュール用基板40の緩衝層30とヒートシンク4の天板部5を接合し、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板50が製造される。
さらに、緩衝層30を構成するアルミニウム基複合材料は、そのヤング率が比較的小さいため、熱サイクルを負荷した際にセラミックス基板11に作用する応力自体を低く抑えることができ、セラミックス基板11の破損を防止することができる。
さらに、第1スキン層31が純度99.98%以上のアルミニウム(純アルミニウム)で構成されており、比較的軟らかく応力を吸収しやすいため、第1スキン層31における熱応力の吸収をさらに促進させることができる。
なお、本実施形態では、ろう材箔24、25を介して緩衝層30を接合していることから、第1スキン層31及び第2スキン層32の一部において、ろう材箔24、25の成分元素であるSiが拡散していて、純度が99.98%未満となっている。
また、緩衝層30とセラミックス基板11とをろう付けする際に、セラミックス基板11に金属板22をろう付けすることによって回路層12を形成することができる。このように回路層12を形成することで、パワーモジュール用基板10の反りの発生を抑制することができる。
この第2の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール101においては、緩衝層130の構成が第1の実施形態と異なっている。
また、前述の第1スキン層131は、緩衝層130に充填された純度99.98%以上のアルミニウム(純アルミニウム)で構成されている。
図7に示すように、気孔率10〜30体積%の黒鉛板135を準備し、この黒鉛板135の片面側に、AlNからなるセラミックス基板111を配設する。黒鉛板135とセラミックス基板111を、気孔率5体積%以下の黒鉛からなる挟持板136、136を介して、ステンレス製の押圧板137,137によって挟持する。これを、例えば200〜300MPaで加圧した状態で750〜850℃に加熱し、純度99.98%以上のアルミニウムからなる溶融アルミニウムを黒鉛板135に含浸させる。これを冷却凝固させることによって、セラミックス基板111が接合されたアルミニウム基複合材料を得ることになる。このとき、溶融アルミニウムの一部が、黒鉛板135の表面に滲み出してアルミニウム層138が形成される。このアルミニウム層138に切削加工を施して第1スキン層131の厚さを調整することにより、セラミックス基板111と緩衝層130との接合体が製出される。
次に、この緩衝層付パワーモジュール用基板140の緩衝層130の第1スキン層131側に、ろう材箔124を介してヒートシンク4を積層する。これを積層方向に加圧(0.1〜0.3MPa)した状態で真空炉内に装入して加熱し、ろう材箔124を溶融して凝固させることにより、緩衝層130とヒートシンク4とが接合され、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板150が製造される。
この第3の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール201においては、緩衝層230の構成が、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なっている。
また、図9に示すように、緩衝層230のうちヒートシンク4の天板部5側部分には、Al−Si合金からなる第1スキン層231が形成されている。
まず、図10に示すように、緩衝層230の上面に、セラミックス基板211を直接積層する。また、緩衝層230の第1スキン層231が設けられた側の面に、ヒートシンク4の天板部5を直接積層する。なお、緩衝層230の外面のうち、セラミックス基板211及びヒートシンク4が積層される面以外の部分には、緩衝層230中のAl−Si合金の滲み出しによる溶着を防止するために、黒鉛あるいはBN(窒化硼素)の粉末を塗布しておく。
さらに、セラミックス基板211の上に、ろう材箔223を介して回路層212となる金属板222を配置する。
また、ろう材箔223が溶融・凝固することによって、回路層212となる金属板222とセラミックス基板211が接合される。
このようにして、金属板222とセラミックス基板211と緩衝層230とヒートシンク4の天板部5が接合され、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板250が製造される。
また、ろう材箔を用いることなく緩衝層230とセラミックス基板211、緩衝層230とヒートシンク4を接合することができる。
例えば、第1の実施形態において、第1スキン層及び第2スキン層を備えた緩衝層をろう材箔を介して接合したものとして説明したが、これに限定されることはなく、第2スキン層を有していない緩衝層をろう付けによって接合してもよい。
一方、第3の実施形態において、第2スキン層が形成されていない緩衝層をろう材を使用せずに接合したものとして説明したが、これに限定されることはなく、第1スキン層及び第2スキン層を備えた緩衝層をろう材を使用せずに接合してもよい。
さらに、第3の実施形態において、セラミックス基板と金属板とをろう付けしてパワーモジュール用基板を製出し、このパワーモジュール用基板と緩衝層、ヒートシンクと緩衝層とを接合するものとして説明したが、これに限定されることはなく、金属板とセラミックス基板と緩衝層とヒートシンクとを同時に接合してもよい。
さらに、回路層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)等で構成されていてもよい。
3 半導体チップ(電子部品)
4、404、504 ヒートシンク
5、405、505 天板部
10、110、210、410、510 パワーモジュール用基板
11、111、211 セラミックス基板
12、112、212 回路層
30、130、230、330、430、530 緩衝層
31、131、231、331 第1スキン層
32 第2スキン層
40、140 緩衝層付パワーモジュール用基板
50、150、250、450、550 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
Claims (11)
- 絶縁基板の一方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる回路層が形成されたパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板に接合されるアルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記絶縁基板と前記ヒートシンクとの間には、炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたアルミニウム基複合材料からなる緩衝層が設けられ、この緩衝層の熱膨張係数Kが、前記絶縁基板の熱膨張係数Kc及び前記ヒートシンクの熱膨張係数Ktに対して、Kc<K<Ktの関係とされており、
前記緩衝層のうち前記ヒートシンク側には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるスキン層が形成されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 前記スキン層の平均厚さtsが、0.03mm≦ts≦3mmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記スキン層が、純度99%以上のアルミニウムで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記緩衝層のうち前記絶縁基板側に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第2スキン層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記アルミニウム基複合材料において、前記炭素質部材には、純度が99%以上のアルミニウムが充填されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記アルミニウム基複合材料において、前記炭素質部材には、融点が600℃以下のアルミニウム合金が充填されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記アルミニウム基複合材料は、平均面間隔d002が0.340nm以下の黒鉛結晶含有炭素質マトリックス中に、アルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたものであり、前記黒鉛結晶含有炭素質マトリックスの気孔の90体積%以上が前記アルミニウム又はアルミニウム合金によって置換され、前記アルミニウム又はアルミニウム合金の含有率が、前記アルミニウム基複合材料全体積基準で35%以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板に用いられる緩衝層付パワーモジュール用基板であって、
前記緩衝層のうち前記パワーモジュール用基板とは反対側の面には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるスキン層が形成されていることを特徴とする緩衝層付パワーモジュール用基板。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記緩衝層を構成する前記アルミニウム基複合材料を成形する際に、前記炭素質部材とともに前記絶縁基板を配設しておき、この炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金を充填することにより、前記絶縁基板が接合された前記緩衝層を成形することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記緩衝層を構成する前記アルミニウム基複合材料を成形する際に、前記炭素質部材とともに前記絶縁基板を配設しておき、この炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金を充填することにより、前記絶縁基板が接合された前記緩衝層を成形するとともに、前記絶縁基板の表面に回路層を形成することを特徴とする請求項10に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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