JP5648705B2 - ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール及び緩衝層付パワーモジュール用基板 - Google Patents
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Description
この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子の半導体チップが搭載される。
そこで、例えば特許文献1の図4に示すように、パワーモジュール用基板をヒートシンクの天板部に直接接合したヒートシンク付パワーモジュール用基板が提案されている。
また、緩衝層のうちヒートシンク側に、アルミニウム合金からなるスキン層が形成されているので、ヒートシンクと緩衝層との間の熱膨張係数の差がさらに小さくなる。これにより、スキン層によって熱応力を効果的に吸収することが可能となる。
さらに、このスキン層を介することにより、ヒートシンクと緩衝層とがアルミニウム又はアルミニウム合金同士の接合となるため、ヒートシンクと緩衝層とを強固に接合することが可能となる。
また、金属層がヒートシンクに緩衝層を介して接合されるとともに、この緩衝層が、炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたアルミニウム基複合材料で構成されているので、緩衝層の熱伝導率が比較的高く、パワーモジュール用基板側で発生した熱をヒートシンク側へと効率良く放散することができる。
この場合、第2スキン層を介することにより、緩衝層とパワーモジュール用基板(金属層)との接合がアルミニウム又はアルミニウム合金同士の接合となるため、パワーモジュール用基板と緩衝層とを強固に接合することが可能となる。
この場合、緩衝層とヒートシンク及び緩衝層とパワーモジュール用基板を積層方向に加圧した状態で前記融点以上に加熱することにより、アルミニウム基複合材料中のアルミニウムが溶融または半溶融し、緩衝層とヒートシンク及び緩衝層とパワーモジュール用基板を接合することが可能となる。
この場合、緩衝層が、炭素成分量が比較的高く強度に優れるとともに熱伝導性が確保されているので、熱サイクル信頼性を向上させることができるとともに熱の放散を促進することができる。
この構成のヒートシンク付パワーモジュールによれば、電子部品から発生する熱を効率良くヒートシンク側に放散することができるとともに、熱サイクル信頼性を向上させることができる。
この構成の緩衝層付パワーモジュール用基板によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンクに接合することにより、前述のヒートシンク付パワーモジュール用基板を構成することができる。
このヒートシンク付パワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク4とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本参考形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本参考形態では、0.635mmに設定されている。
また、アルミニウムの熱伝導率は約238W/m・Kとされ、緩衝層30の熱伝導率は300〜400W/m・K程度とされている。つまり、緩衝層30の熱伝導率は、金属層13やヒートシンク4の熱伝導率よりも高くされているのである。
また、前述の第1スキン層31、第2スキン層32は、緩衝層30に充填された純度99.98%以上のアルミニウム(純アルミニウム)で構成されている。
図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、回路層12となる金属板22(4Nアルミニウムの圧延板)がろう材箔24を介して積層され、セラミックス基板11の他方の面に金属層13となる金属板23(4Nアルミニウムの圧延板)がろう材箔25を介して積層される。
このようにして形成された積層体20をその積層方向に加圧(0.1〜0.3MPa)した状態で真空炉内に装入して加熱し、ろう材箔24、25を溶融して凝固させる。
このようにして、回路層12及び金属層13となる金属板22、23とセラミックス基板11とが接合され、前述のパワーモジュール用基板10が製造される。
図4に示すように、気孔率10〜30体積%の黒鉛板35を準備し、この黒鉛板35の両面にそれぞれ気孔率5体積%以下の黒鉛からなる挟持板36、36を配設し、この挟持板36と黒鉛板35とを、ステンレス製の押圧板37,37によって挟持する。これを、例えば200〜300MPaで加圧した状態で750〜850℃に加熱し、純度99.98%以上の溶融アルミニウムを黒鉛板35に含浸させ、これを冷却凝固させ、アルミニウム基複合材料を得る。このとき、溶融アルミニウムの一部が、黒鉛板35の表面に滲み出してアルミニウム層38が形成される。このアルミニウム層38に切削加工を施して第1スキン層31、第2スキン層32の厚さを調整することにより、前述の緩衝層30が製出される。
図5に示すように、第1スキン層31及び第2スキン層32を有する緩衝層30の上面に、ろう材箔33を介して前述のパワーモジュール用基板10を積層する。これを積層方向に加圧した状態で加熱してろう材箔33を溶融させた後に冷却して凝固させ、パワーモジュール用基板10の金属層13と緩衝層30を接合することにより、本参考形態である緩衝層付パワーモジュール用基板40が製出される。
そして、この緩衝層付パワーモジュール用基板40の下面(緩衝層30の下面)に、ろう材箔34を介してヒートシンク4を積層させる。これを積層方向に加圧した状態で加熱してろう材箔34を溶融させた後に冷却して凝固させ、緩衝層付パワーモジュール用基板40の緩衝層30とヒートシンク4の天板部5を接合し、本参考形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板50が製出される。
よって、熱サイクルが負荷された際の熱変形や反りが抑えられ、このヒートシンク付パワーモジュール1の熱サイクル信頼性を大幅に向上させることができる。
本参考形態では、第1スキン層31の平均厚さtsが0.03mm以上とされているので、この第1スキン層31において熱応力を確実に吸収することができる。また、第1スキン層31の平均厚さtsが3mm以下とされているので、熱伝導性を確保することができ、熱の放散を効率良く行うことができる。
さらに、第1スキン層31が純度99.98%以上のアルミニウム(純アルミニウム)で構成されており、比較的軟らかく応力を吸収しやすいため、第1スキン層31における熱応力の吸収をさらに促進させることができる。
なお、本参考形態では、ろう材箔33、34を介して、パワーモジュール用基板10と緩衝層30及び緩衝層30とヒートシンク4を接合していることから、第1スキン層31及び第2スキン層32においては、ろう材箔33,34の成分元素であるSiが拡散していて、純度が99.98%未満となることもある。
この実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール101においては、緩衝層130の構成が参考形態と異なっている。
また、前述の第1スキン層131は、緩衝層130に充填されたAl−Si合金で構成されている。
図8に示すように、第1スキン層131を有する緩衝層130の上面に前述のパワーモジュール用基板10(金属層13)を直接積層し、緩衝層130の下面にヒートシンク4の天板部5を直接積層させる。なお、緩衝層130の外面のうち、パワーモジュール用基板10及びヒートシンク4が積層される面以外の部分には、緩衝層130中のAl−Si合金の滲み出しによる溶着を防止するために、黒鉛あるいはBN(窒化硼素)の粉末を塗布しておく。
このようにして、パワーモジュール用基板10の金属層13と緩衝層130、緩衝層130とヒートシンク4の天板部5が接合され、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板150が製造される。
また、ろう材箔を用いることなく緩衝層130とパワーモジュール用基板10及び緩衝層130とヒートシンク4とを接合することができる。
例えば、参考形態において、第1スキン層のみが形成された緩衝層をろう材を使用せずに接合したものとして説明したが、これに限定されることはなく、第1スキン層及び第2スキン層が形成された緩衝層をろう材を使用せずに接合してもよい。
さらに、回路層及び金属層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)等で構成されていてもよい。
3 半導体チップ(電子部品)
4、404、504 ヒートシンク
5、405、505 天板部
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
13 金属層
30、130、230、430、530 緩衝層
31、131、231 第1スキン層(スキン層)
32 第2スキン層
40 緩衝層付パワーモジュール用基板
50、150 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
Claims (6)
- 絶縁基板の一方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる回路層が形成されるとともに前記絶縁基板の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属層が形成されたパワーモジュール用基板と、前記金属層側に接合されるアルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記金属層と前記ヒートシンクとの間には、炭素質部材中にアルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたアルミニウム基複合材料からなる緩衝層が設けられ、この緩衝層の熱膨張係数Kが、前記絶縁基板の熱膨張係数Kc及び前記ヒートシンクの熱膨張係数Ktに対して、Kc<K<Ktの関係とされており、
前記緩衝層のうち前記ヒートシンク側には、融点が600℃以下のアルミニウム合金からなるスキン層が形成され、前記スキン層の平均厚さtsが、0.03mm≦ts≦3mmの範囲内に設定されており、
前記緩衝層と前記ヒートシンクとが直接積層され、前記スキン層の表面の一部を溶融させることにより前記緩衝層と前記ヒートシンクとが接合されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 前記緩衝層のうち前記金属層側に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第2スキン層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記アルミニウム基複合材料において、前記炭素質部材には、融点が600℃以下のアルミニウム合金が充填されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記アルミニウム基複合材料は、平均面間隔d002が0.340nm以下の黒鉛結晶含有炭素質マトリックス中に、アルミニウム又はアルミニウム合金が充填されたものであり、前記黒鉛結晶含有炭素質マトリックスの気孔の90体積%以上が前記アルミニウム又はアルミニウム合金によって置換され、前記アルミニウム又はアルミニウム合金の含有率が、前記アルミニウム基複合材料全体積基準で35%以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板に用いられる緩衝層付パワーモジュール用基板であって、
前記緩衝層のうち前記パワーモジュール用基板とは反対側の面には、融点が600℃以下のアルミニウム合金からなり、平均厚さtsが、0.03mm≦ts≦3mmの範囲内に設定されたスキン層が形成されていることを特徴とする緩衝層付パワーモジュール用基板。
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