JPH09321190A - 放熱板 - Google Patents

放熱板

Info

Publication number
JPH09321190A
JPH09321190A JP15750196A JP15750196A JPH09321190A JP H09321190 A JPH09321190 A JP H09321190A JP 15750196 A JP15750196 A JP 15750196A JP 15750196 A JP15750196 A JP 15750196A JP H09321190 A JPH09321190 A JP H09321190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite material
plate
thickness
flat plate
carbon fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15750196A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiki Tsushima
栄樹 津島
Jun Takayasu
潤 高安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tonen Corp filed Critical Tonen Corp
Priority to JP15750196A priority Critical patent/JPH09321190A/ja
Publication of JPH09321190A publication Critical patent/JPH09321190A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さ方向の熱伝導率が大きく、且つ広さ方向
の熱膨張係数や弾性率が小さく、その上十分な強度、平
面性及び気密性を有し、しかも半導体及びセラミックス
等の封止材料との接着性が良好で、使用時の温度変化に
よる熱応力の発生が十分に小さく、剥がれや割れや半導
体への悪影響が生じない、信頼性の高い放熱板を提供す
る。 【解決手段】 炭素繊維が厚さ方向に配列している一方
向性炭素繊維強化複合材料の表裏両面が、薄板状の金属
部材によって拡散接合により被覆されている構造からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放熱板に関しする
ものであって、特にコンピュータ等に使用される集積回
路(MPU,CPU,DRAM等)及びパワートランジ
スタ等のパワーデバイスとして使用される半導体素子等
の発熱による温度上昇を防ぐために、それらの面に接着
して用いられている放熱板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの高性能化、特に高
速化が著しい。これらは主に、MPUと呼ばれる半導体
集積回路の周波数の高周波数化による処理高速の向上に
よるものであるが、これらの高周波数化に伴い、半導体
素子からの発熱が増大し、その放熱が重要な問題となっ
てきている。半導体素子の発熱による温度上昇が問題に
なると、半導体素子をプラスチック等で封止したパッケ
ージの外面にアルミニウム等の放熱フィンを接着した
り、パッケージの外面を冷却ファンで気流を流して冷却
する方法がとれてきた。ただ、この方法では、放熱冷却
は熱伝導率の低いセラミックスあるいはプラスチックス
等のパッケージ封止層を介して行われるので、放熱冷却
の効率が悪く、また放熱フィンあるいは冷却ファン等の
とりつけが必要で、全体の容積、重量が大きくなってし
まうという問題点があった。
【0003】更に、集積度が大きくなり、あるいは高速
処理、高出力になって、素子の発熱による温度上昇が大
きくなってくると、半導体素子の裏面に、熱伝導率の高
い放熱板(放熱窓、ヒートシンク板などと呼ぶ)を接着
し、放熱板の一面がパッケージの外側に露出するように
封止して、この面から放熱冷却するような工夫がなされ
る。この場合の放熱板付半導体パッケージの断面は例え
ば図4で示される。図4において、4は放熱板を、5は
半導体(シリコンチップ)を、6はセラミックス封止体
を、7はボンディングワイヤーを、8は(入出力)端子
を、それぞれ示す。
【0004】この場合の放熱板は、厚さ1mm前後
(0.5〜2mm)、広さ数cm角の熱伝導率が十分大
きい薄板であるが、それ自体十分な強度を有し、気密性
があることが必要で、更にそれはシリコン等の半導体材
料と十分熱抵抗の小さい層を介して接着できること、ま
た接着時あるいは使用時に半導体及びセラミックス等の
封止材との接着面に温度変化により熱応力が発生して、
剥がれ、素子不良などを生じることが全くないことが重
要である。
【0005】従って、このような放熱板は、熱伝導率、
強度、気密性、コストの視点からは、銅、アルミニウム
などの金属板が考えられる。たゞ、半導体として使用さ
れているシリコン材料は、熱膨張係数(CTE)が4.
2×10-6/℃と銅[CTE=17×10-6/℃,熱伝
導率(C.T)=390W/m・K]、アルミニウム
(CTE=24×10-6/℃,C.T=270W/m・
K)などの放熱性の高い金属に対して小さいために、そ
れらの安価な金属を高発熱の半導体素子の放熱材として
使用することは困難であった。
【0006】このような観点から、この放熱板の材料と
して適したものは数少なく、銅/タングステン複合材
料、金属被覆CBN焼結体、窒化アルミニウム、ダイヤ
モンド等が検討されている(特開昭60−226149
号、特公平3−29309号、特開平5−186804
号各公報等)が、現在は、銅/タングステン複合材料が
一部実用化されている。(なお、タングステンはCTE
=4.5×10-6/℃,C.T=167W/m・Kであ
り、モリブデンはCTE=5.1×10-6/℃,C.T
=142W/m・Kである。) しかしながら、タングステン及びモリブデンは弾性率が
それぞれ390GPa及び330GPaと高いために、
わずかな熱膨張率の違いでも高い熱応力の発生は避けら
れないという難点がある。
【0007】また、超LSIなどの半導体パッケージが
MPUなどとして用いられるパーソナルコンピューター
などは、携帯用として増々小さく、薄く、軽く、且つ低
コストで、更に高速処理が要求されているが、従来技術
では、半導体パッケージの温度上昇がネックになって処
理速度を抑えざるを得ない場合も起っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、高速処
理用あるいは高出力用半導体パッケージの放熱板として
最適のもので、厚さ方向の熱伝導率が大きく、厚さが1
mm程度(0.5〜2mm)の薄板であるにもかかわら
ずそれ自体十分な強度、平面性及び気密性を有し、しか
も半導体及びセラミックス等と高温はんだ接合が可能で
あり、且つ接着時及び使用時の温度変化による接着面の
剥がれや素子不良の原因となるような熱応力の発生が十
分に小さい、信頼性の高い放熱板を提供することを、そ
の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、炭素繊
維が厚さ方向に配列している一方向性炭素繊維強化複合
材料の平板の表裏両面が、厚さ約50μm以下の薄板状
金属部材によって拡散接合により被覆されている構造か
らなることを特徴とする放熱板が提供される。
【0010】本発明者らは、先に一方向性炭素繊維強化
複合材料の高熱伝導性(炭素繊維の長さ方向)、軽量、
易加工性、低弾性率(低熱応力)などの利点(金属やセ
ラミックスに対して)に着目し、且つその欠点である気
密性、強度(繊維と直角方向の強度が低い)、接合性
(ハンダ濡れ性がないためハンダ接合が困難)等の面を
改良することによる、すなわち炭素繊維が厚さ方向に配
列している一方向性複合材料の表裏両面が金属部材によ
って高分子接着層を介して被覆されている構造からなる
ことを特徴とする放熱板を提案した(特願平7−303
450号)。この放熱板は、熱伝導率の極めて大きな炭
素繊維が厚さ方向に配列した一方向性複合材料の平板
と、その表裏両面を覆う熱伝導率の大きな金属部材及び
十分に薄くすることができる高分子接着層からなるもの
としたことから、厚さ方向の熱伝導率を銅/タングステ
ン複合材料のそれと同等又はそれ以上とすることがで
き、また複合材料の平板は多孔質で通気性を有するが、
被覆金属部材により、気密性、封止性に優れたものとな
り、且つ反りや割れのないものである。その上、この放
熱板は、厚さの大部分を占める複合材料の広さ方向(即
ち、厚さ方向に直角の方向)の熱膨張係数がシリコン半
導体やアルミナ等のセラミックスのそれと近いものであ
り、また、広さ方向の弾性率も小さいものとすることが
できるので、温度変化による熱応力発生が小さく、剥が
れ、割れ等や半導体への悪影響を生じない。たゞ、炭素
繊維強化複合材料平板に薄板状の金属部材をエポキシ樹
脂などの接着剤を用いて接合する場合は、エポキシ樹脂
では耐熱温度が低い、電気抵抗が大きいなどの欠点があ
った。
【0011】更に、本発明者らは、最近一方向性炭素繊
維強化複合材料の表裏両面が金属部材によって金属ロウ
を介して被覆されている構造からなることを特徴とする
放熱板を提案した(平成8年5月1日特許出願)。この
放熱板は耐熱温度が高いため、シリコン、アルミナ等と
接合する場合高温ハンダ付けが可能であり、しかも電気
抵抗が低いので、パワ−トランジスタ用として使用可能
という利点を有する。ただ、金属ロウは合金であるため
熱伝導率が悪く、使用量を出来るだけ少なくすることが
要望されるとか、極端に薄い金属部材を使用した場合、
金属ロウが金属部材を溶かして表層に露出してくること
があるとか、あるいは金属ロウは通常粉体で供給される
ため、金属ロウ粉を均一に試料に塗布することが困難で
あるとかという難点がある。従って、本発明は、金属ロ
ウを使用しないで直接金属部材を炭素繊維強化複合材料
と接合させることによって、上記難点を解決するもので
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の放熱板について、
詳しく説明する。本発明の放熱板は、炭素繊維が厚さ方
向に配列している一方向性炭素繊維強化複合材料の表裏
両面が、薄板状の金属部材によって拡散接合により被覆
されている構造からなることを特徴とする。
【0013】すなわち、本発明の放熱板の外観は図1で
示されるものであり、その構造は図2に示されるような
積層構造からなるものである。図2において、1は炭素
繊維が厚さ方向に配列している一方向性炭素繊維強化複
合材料の平板を、2は薄板状の金属部材を、3は拡散溶
融接合部を、4は放熱板を、それぞれ示す。
【0014】本発明で使用される炭素繊維が厚さ方向に
配列している一方向性炭素繊維強化複合材料の平板は、
炭素繊維の長さ方向の熱伝導率が十分に大きいものを用
いることによって、その平板の厚さ方向の熱伝導率は、
銀、銅、アルミニウム等の金属よりも大きくすることが
できる。例えば、液晶ピッチを原料にしたピッチ系炭素
繊維で約3,000℃迄熱処理したものでは、長さ方向
の熱伝導率は1,000W/(m・K)以上のものがあ
り、そのような炭素繊維を用いて繊維容積含有率50%
の一方向性複合材料を成形すると、母材の種類にかから
わず、炭素繊維の配列方向の熱伝導率は500W/m・
K以上のものが得られる。
【0015】この複合材料の母材としては、炭素、シリ
コンカーバイド等のセラミックス、金属シリコン、ガラ
スなど種々のものが用い得るが、薄い板に切削加工する
迄の成形コストなどの面を考慮すると、次に述べるよう
な炭素母材が好ましい。すなわち、本発明の放熱板を構
成する主要部分である一方向性複合材料の平板は、補強
繊維が炭素繊維であって、母材が炭素を主成分とする炭
素繊維強化炭素母材複合材料(炭素/炭素複合材料)が
好適である。一方向性炭素/炭素複合材料の中でも、特
に特願平6−323507号で提供されるもの、あるい
は特開平3−247563号公報や特開平5−5125
7号の製造方法により製造されるものなどを用いること
が好ましい。
【0016】上述の一方向性炭素/炭素複合材料(以
降、UD C/C複合材料と記すことがある)は、一方
向に配列した炭素繊維の束に、固体のピッチあるいはコ
ークスなどの微粉体を分散したフェノール樹脂などの熱
硬化性樹脂の溶液(溶媒としてフルフリルアルコールな
どを用いる)を含浸した後、溶媒を乾燥除去しつつ、炭
素母材前駆体が含浸され、且つ一方向に繊維が配列して
いるシート状物(プリプレグ)を形成し、これを一方向
に多数枚積層して、加圧下に加熱して熱硬化性樹脂部分
を硬化させて、その後不活性雰囲気中で高温焼成して、
フェノール樹脂とピッチあるいはコークスの微粉体を炭
素化するという方法によって製造されるものである。こ
の方法によれば、再含浸、再焼成のような緻密化処理な
しで、一回の焼成炭化処理にて、必要十分に緻密な母材
組織が得られることが特徴である。
【0017】上述の方法で得られたUD C/C複合材
料は、その所定の大きさのブロックを繊維の配列方向に
対して直角方向に、ワイヤーソーあるいは回転ダイヤモ
ンドソーなどで、厚さ1mmのような薄板を精度良く切
出すことができるので、特に好ましい。また、上述のU
D C/C複合材料は、繊維の配列方向と直角方向の弾
性率が5〜10GPaと低いため、この方向の伸縮性が
あり、金属やセラミックスなどの熱膨張係数の異なる材
料とこの方向で接合した場合、熱応力緩和作用が発現さ
れる。特に、繊維軸方向の熱伝導率が400W/m・K
以上であり、繊維軸と直角方向の弾性率が10GPa以
下の値であるUD C/C複合材料を用いるのが好まし
い。
【0018】このような複合材料の平板は、半導体やセ
ラミックスと接着しても、−40〜150℃のような温
度範囲で、金属の平板と比べて熱応力の発生が小さい。
その理由は、炭素繊維の断面方向の熱膨張係数及び母材
の炭素、シリコンカーバイド、金属シリコン、あるいは
ガラスの熱膨張係数が4〜8×10-6/Kと、シリコン
などの半導体やアルミナなどのセラミックスのそれと比
較的近いためである。
【0019】このような複合材料の平板は、熱伝導率、
接着時の熱応力の観点からすれば、それ自体、半導体パ
ッケージ用の放熱板として優れているが、更に十分な強
度を有し、反りのない平面性の良い表面を有し、また十
分な気密性、封止性を有するようにするために、上述し
た複合材料の平板の表裏両面に薄板状の金属部材を被覆
接合することが、本発明の特徴である。
【0020】上述した複合材料の平板の表裏両面に金属
部材を被覆接合しない場合は、この平板は厚さが1mm
前後(0.5〜2mm)であるので、半導体パッケージ
組立加工時に破損が起るおそれがあり、また使用時の信
頼性にも問題があり、更に厚さ方向に微細な気孔が連通
しているので、気密性が低い。
【0021】また、上述した複合材料の平板の表裏両面
に金属部材を被覆接合するのではなくて、片面にのみ金
属部材を被覆接合した場合は、接合終了時あるいはその
後の取扱い時に片側の応力集中により反りが生じ、また
多くの場合は、複合材料側に割れが生じるので使用でき
ない。これは、金属部材の熱膨張係数及び弾性率が複合
材料部分に比べて大きいために、高温時に熱歪みがなく
ても、冷却時に片側の金属部材が収縮し、一方反対側の
複合材料はあまり収縮しないので、金属部材側が凹に複
合材料側が凸に反りが生じ、またひび割れも生ずる結果
となる。もちろん、複合材料面の露出による取扱い時の
複合材料粉の発生の問題も生じる。
【0022】本発明の場合は、複合材料部分が1mm前
後の厚さであり、非常に薄いので“反り”やすく、また
用途が半導体に接着して用いるものであるので、小さい
“反り”も問題となる。複合材料の表裏両面に同じ材料
の金属部材か又は熱膨張係数が近い金属部材を接合する
ことにより、表裏面がほぼ均等な熱応力を生ずるため
に、この“反り”を極めて小さくすることができる。従
って、本発明においては、複合材料平板の表裏両面に金
属部材を接合被覆することが必須であり、製作時は表裏
面同時に、金属部材を接合することが好ましく、また両
面とも同一材料の金属部材を接合することが好ましい。
【0023】上述の金属部材としては、金属箔、金属板
及び金属放熱フィンなどがあり、銀、銅、アルミニウム
あるいは合金などの熱伝導率が高く接着性の良い、箔、
板、放熱フィンとして用いられる材料から選ぶことがで
きるが、価格及び低温ハンダでの接着性を考慮すると、
銅箔、銅板等が好ましい。また、熱膨張の点からはモリ
ブデン、コバール、42%ニッケル合金等が好ましい。
【0024】また、上述の金属部材の厚さは十分薄い、
すなわち50μm以下(好ましくは5〜40μm)であ
ることが必要で、あまり厚いと、金属は熱膨張係数が大
きく且つ弾性率も大きいので、シリコンなどの半導体や
セラミックス等の封止材との接着において、温度変化に
よる熱応力の発生が大きくなり、剥がれや破損を生じる
し、更に前述の複合材料の平板の表裏面への接合におい
ても、剥がれが生じる場合がある。また、この金属部材
を両面に接合した放熱板は、全体の厚さに制約があるた
め、金属部材を厚くすると、その分複合材料の板を薄く
する必要が生じるが、前述のような炭素繊維が厚さ方向
に配列した一方向性複合材料の板を0.8mmより薄い
厚さに加工することは困難を伴ない、加工歩留りを悪化
させる。このような理由によって、0.1mm厚以上の
金属部材は不適当であり、50μm厚以下の金属部材が
使用される。
【0025】このような金属部材を、前述した複合材料
の平板の両面に接合する方法としては、エポキシ樹脂系
高分子接着剤を用いる接着や金属ロウを用いる接合など
が知られている。ただ、高分子接着剤を用いる方法で
は、耐熱温度が低く、また電気抵抗が大きいなどという
欠点がある。また、金属ロウを用いて接合する方法で
は、多量の金属ロウを用いると熱電導率が低下すると
か、極端に薄い金属部材を用いると金属ロウが表面に露
出することがあるとか、あるいは工程管理が難しいとい
うような難点がある。
【0026】そこで、このような点を改善するために、
本発明では金属部材を炭素繊維強化複合材料に拡散接合
によって直接接合させる。ここで言う拡散接合とは、真
空又は保護雰囲気中で、被接合材に圧力を加えて、固相
線以下の温度又は固相線よりわずかに高い温度に加熱
し、被接合材と接合材の相互間に拡散を行わせて接合す
る方法を意味する。拡散接合技術によると、固相線以上
の温度では被接合材(炭素複合材料)に接合している接
合材(金属部材)部分が溶融し、その結果、炭素複合材
料の凹凸に合って接合面が良好に形成されると同時に、
金属部材全体は溶融しないために、ピンホールなどの欠
陥が形成されないという利点がある。
【0027】本発明における拡散接合について、具体的
に説明すると、本発明においては、被接合材(金属部
材)として炭素を固溶するもので、しかも炭素が固溶さ
れると融点が低下する金属を使用する。例えば、鉄の融
点は1535℃であるが、炭素が4.3%融け込むと1
145℃で溶解する。この点は、γ鉄(オーステナイト
固溶体、面心立法晶)とFe3C(セメンタイト)の共
晶点であり、レデブライト共晶という。すなわち、鉄を
主成分とする金属と炭素を接触させて1145℃以上に
加熱すると、炭素が鉄に拡散して、溶融する。鉄と炭素
はFe3C反応を起こして、互いによく濡れると共に、
良好な接合が実現される。Fe(1145℃)以外とし
ては、Ni(1320℃)、Cr(1500℃)、Ti
(1650℃)、Mo(2200℃)、Ta(2750
℃)、W(1220℃)等があるが、反応温度が低いこ
と及び金属の箔加工が簡単であることなどの理由から、
Fe、Ni、Cr、Ti、Mo及びそれらを主成分とす
る合金(ステンレス、コバール、42%ニッケル合金
等)や、それら材料を少なくとも片面に用いたクラッド
材が好ましい。
【0028】上記の反応は、時間と温度と圧力、雰囲気
の条件で調整が可能であり、条件をコントロールするこ
とにより、金属部材の組成を、炭素に接触している面に
カーボンリッチに、他の面は金属部材の組成のままにす
ることが可能であり、すなわち傾斜組成にして接合する
ことも可能である。また、反応層の厚さのコントロール
も容易であり、薄い金属部材を使用しても、金属部材全
体が融けることなく、必要な部分のみを溶かして炭素複
合材料に接合することも容易である。また、上記の傾斜
組成にすると、材料の境界層があいまいになり、同時に
物性も連続的に変化するために、不連続(急激)な物性
の変化がなく、層間剥離強度が向上して良好な接続とな
る。また、固相以下の温度で処理すれば、金属が溶融す
ることなく拡散のみで接合が可能である。
【0029】本発明の放熱板は、炭素繊維が厚さ方向に
配列している一方向性炭素繊維強化複合材料の平板の表
裏両面に、薄板状金属部材を拡散接合により接合してな
る構造のものとしたことから、厚さ方向に高熱伝導性
(250W/m・K)を有しているため放熱性が良好で
薄い金属部材を使用できるし、また広さ方向に低弾性率
(40GPa以下)を有するため熱応力の発生が低く、
薄い金属部材を使用できる。更に、高耐熱温度(900
℃以上)を有するため、シリコン、アルミナ等と接合す
る場合、高温の金属ロウ付け(Niロウ、Cuロウ、銀
ロウ付け)が可能であり、しかも低電気抵抗(500μ
Ωcm以下)であるため、大電流の流れるパワートラン
ジスタ用として使用可能である。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定される
ものではない。
【0031】実施例1 UD C/C複合材料として、表1に示す物性を有する
ブロック材料を用い、そのブロックをマルチワイヤーソ
ーを用いて繊維配列方向と直角方向に切断し、サイズ2
5.4×25.4×1.0mm(繊維方向は1mm)の
薄板に切り出した。
【表1】
【0032】金属箔として厚さ10μmのSUS430
箔を使用した。アルミナ板(厚さ1mm)をスペーサー
として使用して、図3に示すようにアルミナ板/SUS
430箔/UD C/C複合材料/SUS430箔/ア
ルミナ板の順に、サンプルのセットを行った。(図3
中、11はUD C/C複合材料、12はSUS430
箔、15はアルミナ板を、それぞれ示す。)真空ホット
プレスで5MPaの圧力をかけて、1150℃に1時間
保持した。
【0033】その結果、SUS430にカーボンが拡散
して、カーボンとSUS430箔との良好な接合に成功
した。得られた接合板の厚さ方向の熱伝導率は300W
/m・Kで、広さ方向の熱膨張率は7.6×10-6
℃、広さ方向の弾性率は9.4GPaであり、電気抵抗
は測定値限界以下(ミリオームテスター使用)であっ
た。
【0034】次に、シリコン板とアルミナ板との間に、
作製した放熱板をハンダ(錫60%、鉛40%)で接合
して、熱サイクル(−40℃から150℃)を繰り返し
100回与えて、テストを実施したが、剥離や破損など
の問題は発生しなかった。
【0035】実施例2 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板を用い、た
ゞ金属箔としては厚さ20μmのニッケル箔を使用し
た。実施例1と同様にしてサンプルをセットし、真空ホ
ットプレスで5MPaの圧力をかけて、1350℃に1
時間保持した。
【0036】その結果、実施例1と同様に良好な接合が
出来た。また、接合テストも問題なかった。得られた接
合板の厚さ方向の熱伝導率は420W/m・Kであり、
広さ方向の熱膨張率は9.4×10-6/℃であり、広さ
方向の弾性率は11.1GPaであり、電気抵抗は測定
値限界以下(ミリオームテスター使用)であった。
【0037】実施例3 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板を用い、た
ゞ金属箔として10μm厚の42%ニッケル合金箔を使
用した。実施例1と同様にしてサンプルをセットし、真
空ホットプレスで5MPaの圧力をかけて、1300℃
に1時間保持した。
【0038】その結果、実施例1と同様に良好な接合が
出来た。また、接合テストも問題なかった。得られた接
合板の厚さ方向の熱伝導率は250W/m・Kであり、
広さ方向の熱膨張率は6.7×10-6/℃であり、広さ
方向の弾性率は9.0GPaであり、電気抵抗は測定値
限界以下(ミリオームテスター使用)であった。
【0039】実施例4 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板を用い、た
ゞ金属箔としては厚さ20μm厚のクロム箔を使用し
た。実施例1と同様にしてサンプルをセットし、真空ホ
ットプレスで5MPaの圧力をかけて、1200℃に1
時間保持した。
【0040】その結果、実施例1と同様に良好な接合が
出来た。また、接合テストも問題なかった。得られた接
合板の厚さ方向の熱伝導率は370W/m・Kであり、
広さ方向の熱膨張率は6.7×10-6/℃であり、広さ
方向の弾性率は11.9GPaであり、電気抵抗は測定
値限界以下(ミリオームテスター使用)であった。
【0041】比較例1 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板を用い、た
ゞ金属箔としては厚さ20μmの銅箔を使用した。実施
例1と同様にしてサンプルをセットし、真空ホットプレ
スで5MPaの圧力をかけて、温度1150℃に1時間
保持した。しかしながら、銅にはカーボンの拡散が起こ
らないため、接合はできなかった。
【0042】比較例2 実施例1において圧力をかけなかったこと以外は、実施
例1と同じ材料、同じ条件で接合を実施した。その結
果、炭素にふれていた部分のみが溶融接合されたが、炭
素と接触がなかったところは接合されていなかった。す
なわち、部分的に、まだらに接合されており、使用に耐
え得るものではなかった。
【0043】実施例5 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板を用い、た
ゞ金属箔としてモリブデン(厚さ20μm)とSUS4
30(厚さ10μm)の張り合わさったクラッド箔を使
用した。カーボンとモリブデン箔の共晶温度は2200
℃と高いが、SUS430は1145℃程度と低いた
め、この共晶温度を利用して接合を行った。すなわち、
カーボンの面にSUS430が接するように、アルミ
ナ、(モリブデン+SUS430)、カーボン、(SU
S430+モリブデン)、アルミナの順に、サンプルの
セットを行った。真空ホットプレスで5MPaの圧力を
かけて、950℃に1時間保持した。
【0044】その結果、SUS430にカーボンが拡散
して、カーボンと(モリブデン+SUS430)のクラ
ッド箔を接合することに成功した。また、接合テストも
問題なかった。得られた接合板の厚さ芳香の熱伝導率は
350W/m・Kであり、広さ方向の熱膨張率は7.4
×10-6/℃であり、広さ方向の弾性率は25GPaで
あり、電気抵抗は測定値限界以下(ミリオームテスター
使用)であった。(モリブデンがあるために、低熱膨張
の良好は物性となった。)
【0045】比較例3 実施例1と同じUD C/C複合材料の薄板の表裏面に
厚さ35μmの銅箔を、ニッケルロウ(BNi−7、融
点890℃)を用いて接合することを試みた。すなわ
ち、銅箔/ニッケルロウ/複合材料/ニッケルロウ/銅
箔の順に重ねて、水素連続炉中で950℃に加熱して接
合した。この時、特に圧力はかけなかった。その結果、
接合は順調に行われたが、たゞニッケルロウの厚さが4
0μmできてしまった。得られた接合板の厚さ方向の熱
伝導率は200W/m・Kであり、広さ方向の熱膨張率
は13.0×10-6/℃であり、広さ方向の弾性率は1
8GPaであり、実施例1〜5のサンプルに比較して、
物性が劣る結果となった。
【0046】実施例1〜5及び比較例3で得られた厚さ
約1mmの放熱板の性能を各種の金属製の放熱板の性能
とあわせて、表2に示す。表2から、実施例1〜5の放
熱板は、Si(厚さ0.5mm)、Al23(厚さ1m
m)と接合した場合、いずれも従来材より低い熱歪率と
なっていることがわかる。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の放熱板は、炭素繊維が厚さ方向
に配列している一方向性炭素繊維強化複合材料の平板の
表裏両面が、薄板状金属部材によって拡散接合により被
覆されている構造からなるものとしたことから、厚さ方
向の熱伝導率が銅/タングステン複合材料のそれと同等
か又はそれ以上という高いものとすることができるため
放熱性が非常に良好であり、また広さ方向の熱膨張係数
がシリコン半導体やアルミナ等のそれと近く、しかもそ
の広さ方向の弾性率も小さいものとすることができるた
め、半導体パッケージとしたときに、温度変化による熱
応力発生が小さく、剥がれたり、割れたりすることや、
半導体への悪影響を生じない。もちろん、気密性、封止
性も良好である。その上、1000℃以上という高耐熱
温度を有するため、高温ハンダ付け、銀ロウ付けが可能
であり、更に電気抵抗が低いので、パワートランジスタ
用としても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放熱板の外観図である。
【図2】本発明の放熱板の模式断面図である。
【図3】実施例1の実験方法を示す概略図である。
【図4】放熱板付き半導体パッケージの模式断面図であ
る。
【符号の説明】
1 一方向性炭素繊維強化複合材料の平板 2 薄板状の金属部材 3 拡散溶融接合部 4 放熱板 5 半導体(シリコンチップ) 6 セラミックス封止体 7 ボンディングワイヤー 8 端子 11 UD C/C複合材料 12 SUS430箔 15 アルミナ板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維が厚さ方向に配列している一方
    向性炭素繊維強化複合材料の平板の表裏両面が、厚さ約
    50μm以下の薄板状金属部材によって拡散接合により
    被覆されている構造からなることを特徴とする放熱板。
JP15750196A 1996-05-29 1996-05-29 放熱板 Pending JPH09321190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15750196A JPH09321190A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 放熱板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15750196A JPH09321190A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 放熱板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09321190A true JPH09321190A (ja) 1997-12-12

Family

ID=15651072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15750196A Pending JPH09321190A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 放熱板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09321190A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000043186A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Nippon Steel Corp 熱良導複合材料
JP2001144361A (ja) * 1999-11-10 2001-05-25 Furukawa Electric Co Ltd:The 光半導体素子用パッケージ
JP2001215025A (ja) * 2000-02-01 2001-08-10 Ulvac Japan Ltd パネルヒータ
JP2005095944A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Sentan Zairyo:Kk 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法。
JP2007103685A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Nec Schott Components Corp レーザダイオード用ステム
EP2065932A1 (en) * 2006-09-22 2009-06-03 Nternational Business Machines Corporation Thermal interface structure and method for manufacturing the same
JP2012199598A (ja) * 2007-10-22 2012-10-18 Fujitsu Ltd シート状構造体及びその製造方法並びに電子機器
US9390999B2 (en) 2005-03-23 2016-07-12 Noriaki Kawamura Metal substrate/metal impregnated carbon composite material structure and method for manufacturing said structure
JP2020057648A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社カネカ 異方性グラファイト複合体の製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000043186A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Nippon Steel Corp 熱良導複合材料
JP2001144361A (ja) * 1999-11-10 2001-05-25 Furukawa Electric Co Ltd:The 光半導体素子用パッケージ
JP2001215025A (ja) * 2000-02-01 2001-08-10 Ulvac Japan Ltd パネルヒータ
JP2005095944A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Sentan Zairyo:Kk 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法。
US9390999B2 (en) 2005-03-23 2016-07-12 Noriaki Kawamura Metal substrate/metal impregnated carbon composite material structure and method for manufacturing said structure
JP2007103685A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Nec Schott Components Corp レーザダイオード用ステム
EP2065932A1 (en) * 2006-09-22 2009-06-03 Nternational Business Machines Corporation Thermal interface structure and method for manufacturing the same
EP2065932A4 (en) * 2006-09-22 2011-08-24 Ibm THERMAL INTERFACE STRUCTURE AND MANUFACTURING METHOD THEREOF
JP2012199598A (ja) * 2007-10-22 2012-10-18 Fujitsu Ltd シート状構造体及びその製造方法並びに電子機器
US8743546B2 (en) 2007-10-22 2014-06-03 Fujitsu Limited Sheet structure and method of manufacturing the same
JP2020057648A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社カネカ 異方性グラファイト複合体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4664816B2 (ja) セラミック回路基板、その製造方法およびパワーモジュール
JPH0261539B2 (ja)
JP4986830B2 (ja) 基板保持体及びその製造方法
WO2006100769A1 (ja) 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法
JPH04162756A (ja) 半導体モジュール
JP6494802B2 (ja) 電力用半導体装置および電力用半導体装置を製造する方法
JPH09321190A (ja) 放熱板
JP4360847B2 (ja) セラミック回路基板、放熱モジュール、および半導体装置
JPH09298260A (ja) 放熱板
US6534792B1 (en) Microelectronic device structure with metallic interlayer between substrate and die
JPH10107190A (ja) 半導体パッケージ
JP2002064169A (ja) 放熱構造体
US20060102373A1 (en) Member for semiconductor device
JP2004253736A (ja) ヒートスプレッダモジュール
JP2003338641A (ja) 熱電素子
JPH09129793A (ja) 半導体パッケージ用の熱伝プレート
JP2005095944A (ja) 金属基板−炭素基金属複合材料構造体および該構造体の製造方法。
JP2000022055A (ja) 炭素繊維複合放熱板
JP3794454B2 (ja) 窒化物セラミックス基板
JP2005032833A (ja) モジュール型半導体装置
Carlson et al. Thermal expansion mismatch in electronic packaging
US6914330B2 (en) Heat sink formed of diamond-containing composite material with a multilayer coating
Roshanghias et al. High temperature MEMS packages: die-attach solutions for LiNbO 3 under low bonding pressures
KR102671539B1 (ko) 전자 부품 모듈, 및 질화규소 회로 기판
JP7192100B2 (ja) 窒化珪素回路基板、及び、電子部品モジュール