JPH09129793A - 半導体パッケージ用の熱伝プレート - Google Patents

半導体パッケージ用の熱伝プレート

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JPH09129793A
JPH09129793A JP7303450A JP30345095A JPH09129793A JP H09129793 A JPH09129793 A JP H09129793A JP 7303450 A JP7303450 A JP 7303450A JP 30345095 A JP30345095 A JP 30345095A JP H09129793 A JPH09129793 A JP H09129793A
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plate
heat transfer
carbon
transfer plate
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JP7303450A
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English (en)
Inventor
Eiki Tsushima
栄樹 津島
Jun Takayasu
潤 高安
Takayuki Izumi
孝幸 泉
Shunichi Fujii
俊一 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Kyocera Corp
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さ方向の熱伝導率が大きく、十分な強度、
平面性及び気密性を有し、しかも半導体及びセラミック
ス等の封止材料との接着性が良好で、使用時の温度変化
による熱応力の発生が十分に小さく、剥がれや割れや半
導体への悪影響が生じない、信頼性の高い熱伝プレート
を提供する。 【解決手段】 炭素繊維が厚さ方向に配列している一方
向性複合材料の表裏両面が金属部材によって高分子接着
層を介して被覆されている構造からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体パッケージ用
の熱伝プレートに関し、詳しくはSi等の半導体材料か
らなる超LSIなどの半導体電子素子、半導体光/電子
素子及びこれらを含む高速処理用あるいは高出力用半導
体パッケージの半導体素子部分の発熱による温度上昇を
防ぐために、半導体素子の面に接着して用いられている
熱伝プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体素子は、シリカ系、アル
ミナ系などのセラミックスあるいはエポキシ樹脂系のプ
ラスチック等で封止されたパッケージとして用いられる
が、集積度が大きくなり、あるいは高速処理、高出力に
なって、素子の発熱による温度上昇が問題になると、パ
ッケージの外面にアルミニウム等の放熱フィンを接着し
たり、パッケージの外面を冷却ファンで気流を流して冷
却する方法がとれてきた。ただ、この方法では、放熱冷
却は熱伝導率の低いセラミックスあるいはプラスチック
ス等のパッケージ封止層を介して行われるので、放熱冷
却の効率が悪く、また放熱フィンあるいは冷却ファン等
のとりつけが必要で、全体の容積、重量が大きくなって
しまうという問題点があった。
【0003】更に、集積度が大きくなり、あるいは高速
処理、高出力になって、素子の発熱による温度上昇が大
きくなってくると、半導体素子の裏面に、熱伝導率の高
い熱伝プレート(放熱窓、ヒートシンク板などと呼ぶ)
を接着し、熱伝プレートの一面がパッケージの外側に露
出するように封止して、この面から放熱冷却するような
工夫がなされる。この場合の熱伝プレート付半導体パッ
ケージの断面は例えば図2で示される。図2において、
4は熱伝プレートを、5は半導体を、6はセラミックス
封止体を、それぞれ示す。この場合の熱伝プレートは、
厚さ1mm前後(0.5〜2mm)、広さ数cm角の熱
伝導率が十分大きい薄板であるが、それ自体十分な強度
を有し、気密性があることが必要で、更にそれはシリコ
ン等の半導体材料と十分熱抵抗の小さい層を介して接着
できること、また接着時あるいは使用時に半導体及びセ
ラミックス等の封止材との接着面に温度変化により熱応
力が発生して、剥がれ、素子不良などを生じることが全
くないことが重要である。
【0004】従って、このような熱伝プレートは、熱伝
導率、強度、気密性、コストの視点からは、銅、アルミ
ニウムなどの金属板が考えられるが、これらの熱膨張係
数は16〜30×10-6/Kと、半導体やセラミックス
のそれ(4〜8×-6/K)と比べて非常に大きく、また
これらの金属の弾性率は70〜120GPaと大きいた
め、接着時あるいは使用時の温度変化による接着界面の
熱応力が非常に大きくなり、接着不良あるいは、半導体
素子の破損を生じるおそれがあるので好ましくない。
【0005】このような観点から、この熱伝プレートの
材料として適したものは数少なく、銅/タングステン複
合材料、金属被覆CBN焼結体、窒化アルミニウム、ダ
イヤモンド等が検討されている(特開昭60−2261
49号、特公平3−29309号、特開平5−1868
04号各公報等)が、現在は、銅/タングステン複合材
料が一部実用化されている。銅/タングステン複合材料
の熱伝プレートは、熱膨張係数が約7×10-6/K、熱
伝導率が約200W/(m・K)となるように銅とタン
グステンの微粒子を配合焼結したものであるが、原料コ
ストのほか加工成形が難しいため価格が高く、密度が約
15g/cm3と大きいため重いという問題点がある。
【0006】また、超LSIなどの半導体パッケージが
MPUなどとして用いられるパーソナルコンピューター
などは、携帯用として増々小さく、薄く、軽く、且つ低
コストで、更に高速処理が要求されているが、従来技術
では、半導体パッケージの温度上昇がネックになって処
理速度を抑えざるを得ない場合も起っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、高速処
理用あるいは高出力用半導体パッケージの冷却熱伝プレ
ートとして最適のもので、厚さ方向の熱伝導率が大き
く、厚さが1mm程度(0.5〜2mm)の薄板である
にもかかわらずそれ自体十分な強度、平面性及び気密性
を有し、しかも半導体及びセラミックス等の封止材料と
の接着性が良好で、且つ接着時及び使用時の温度変化に
よる接着面の剥がれや素子不良の原因となるような熱応
力の発生が十分に小さい、信頼性の高い熱伝プレートを
提供することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、半導体素子、該素子を封止するための封止体及び該
素子の裏面に接着された熱伝プレートから少なくとも構
成されてなる半導体パッケージ用の熱伝プレートであっ
て、炭素繊維が厚さ方向に配列している一方向性複合材
料の表裏両面が金属部材によって高分子接着層を介して
被覆されている構造からなることを特徴とする半導体パ
ッケージ用の熱伝プレートが提供される。
【0009】第二に、上記第一に記載した半導体パッケ
ージ用の熱伝プレートにおいて、厚さ方向の熱伝導率が
200〔W/(m・K)〕以上であり、しかも広さ方向
の熱膨張係数β〔10-6/K〕と広さ方向の弾性率E〔G
Pa〕とが下記式(1)
【数1】E・(β−6)≦190 (1) の関係を満足するものである半導体パッケージ用の熱伝
プレートが提供される。
【0010】即ち、本発明の半導体パッケージ用の熱伝
プレートは、熱伝導率の極めて大きな炭素繊維が厚さ方
向に配列した一方向性複合材料の平板と、その表裏両面
を覆う熱伝導率の大きな金属部材及び十分に薄くするこ
とができる高分子接着層からなるものとしたことから、
厚さ方向の熱伝導率を銅/タングステン複合材料のそれ
と同等又はそれ以上とすることができ、また複合材料の
平板は多孔質で通気性を有するが、被覆金属部材によ
り、気密性、封止性に優れたものとなり、且つ反りや割
れのないものとなる。その上、本発明の熱伝プレート
は、厚さの大部分を占める複合材料の広さ方向(即ち、
厚さ方向に直角の方向)の熱膨張係数がシリコン半導体
やアルミナ等のセラミックスのそれと近いものであり、
また、広さ方向の弾性率も小さいものとすることができ
るので、温度変化による熱応力発生が小さく、剥がれ、
割れ等や半導体への悪影響を生じないものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の半導体パッケージ
用の熱伝プレートについて、詳しく説明する。本発明の
熱伝プレートは、炭素繊維が厚さ方向に配列している一
方向性複合材料の表裏両面が金属部材によって高分子接
着層を介して被覆されている構造からなることを特徴と
する。即ち、本発明の熱伝プレートは、図1で示される
ような積層構造からなるものである。図1において、1
は炭素繊維が厚さ方向に配列している一方向性炭素複合
材料の平板を、2は金属部材を、3は高分子接着層を、
それぞれ示す。
【0012】本発明で使用される炭素繊維が厚さ方向に
配列している一方向性複合材料の平板は、炭素繊維の長
さ方向の熱伝導率が十分に大きいものを用いることによ
って、その平板の厚さ方向の熱伝導率は、銀、銅、アル
ミニウム等の金属よりも大きくすることができる。例え
ば、液晶ピッチを原料にしたピッチ系炭素繊維で約3,
000℃迄熱処理したものでは、長さ方向の熱伝導率は
1,000W/(m・K)以上のものがあり、そのよう
な炭素繊維を用いて繊維容積含有率50%の一方向性複
合材料を成形すると、母材の種類にかからわず、炭素繊
維の配列方向の熱伝導率は500W/m・K以上のもの
が得られる。
【0013】この複合材料の母材としては、炭素、シリ
コンカーバイド等のセラミックス、金属シリコン、ガラ
スなど種々のものが用い得るが、薄い板に切削加工する
迄の成形コストなどの面を考慮すると、次に述べるよう
な炭素母材が好ましい。即ち、本発明の熱伝プレートを
構成する主要部分である一方向性複合材料の平板は、補
強繊維が炭素繊維であって、母材が炭素を主成分とする
炭素繊維強化炭素母材複合材料(炭素/炭素複合材料)
が好適である。一方向性炭素/炭素複合材料の中でも、
特に特願平6−323507号で提供されるもの、ある
いは特開平3−247563号公報や特開平5−512
57号の製造方法により製造されるものなどを用いるこ
とが好ましい。
【0014】上述の一方向性炭素/炭素複合材料は、一
方向に配列した炭素繊維の束に、固体のピッチあるいは
コークスなどの微粉体を分散したフェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂の溶液(溶媒としてフルフリルアルコール
などを用いる)を含浸した後、溶媒を乾燥除去しつつ、
炭素母材前駆体が含浸され、且つ一方向に繊維が配列し
ているシート状物(プリプレグ)を形成し、これを一方
向に多数枚積層して、加圧下に加熱して熱硬化性樹脂部
分を硬化させて、その後不活性雰囲気中で高温焼成し
て、フェノール樹脂とピッチあるいはコークスの微粉体
を炭素化するという方法によって製造されるものであ
る。この方法によれば、再含浸、再焼成のような緻密化
処理なしで、一回の焼成炭化処理にて、必要十分に緻密
な母材組織が得られることが特徴である。
【0015】上述の方法で得られた炭素/炭素複合材料
は、その所定の大きさのブロックを繊維の配列方向に対
して直角方向に、ワイヤーソーあるいは回転ダイヤモン
ドソーなどで、厚さ1mmのような薄板を精度良く切出
すことができるので、特に好ましい。また、上述の炭素
/炭素複合材料は、その母材中に直径が1〜10μmの
ような微細な気孔を有し、その大部分が表面に連通した
開気孔となっているように作ることができるので、この
表面に金属部材を接着する際に、接着剤の液体がこの気
孔に浸入し、薄い接着層を形成し且つ強く接着されるの
で、特に好ましい材料である。更に、上述の炭素/炭素
複合材料は、繊維の配列方向と直角方向の弾性率が5〜
10GPaと低いため、この方向の伸縮性があり、金属
やセラミックスなどの熱膨張係数の異なる材料とこの方
向で接着した場合、熱応力緩和作用が発現される。
【0016】このような複合材料の平板は、半導体やセ
ラミックスと接着しても、−40〜150℃のような温
度範囲で、金属の平板と比べて熱応力の発生が小さい。
その理由は、炭素繊維の断面方向の熱膨張係数及び母材
の炭素、シリコンカーバイド、金属シリコン、あるいは
ガラスの熱膨張係数が4〜8×10-6/Kと、シリコン
などの半導体やアルミナなどのセラミックスのそれと比
較的近いためである。
【0017】このような複合材料の平板は、熱伝導率、
接着時の熱応力の観点からすれば、それ自体、半導体パ
ッケージ用の熱伝プレートとして優れているが、更に十
分な強度を有し、反りのない平面性の良い表面を有し、
また十分な気密性、封止性を有するようにするために、
上述した複合材料の薄板の表裏両面に金属部材を被覆接
着することが、本発明の特徴である。
【0018】上述した複合材料の薄板の表裏両面に金属
部材を被覆接着しない場合は、この薄板は厚さが1mm
前後(0.5〜2mm)であるので、半導体パッケージ
組立加工時に破損が起るおそれがあり、また使用時の信
頼性にも問題があり、更に厚さ方向に微細な気孔が連通
しているので、気密性が低い。
【0019】また、上述した複合材料の薄板の表裏両面
に金属部材を被覆接着するのではなくて、片面にのみ金
属部材を被覆接着した場合は、接着終了時あるいはその
後の取扱い時に片側の応力集中により反りが生じ、また
多くの場合は、複合材料側に割れが生じるので使用でき
ない。これは、金属部材の熱膨張係数及び弾性率が複合
材料部分に比べて大きいために、高温時に熱歪みがなく
ても、冷却時に片側の金属部材が収縮し、一方反対側の
複合材料はあまり収縮しないので、金属部材側が凹に複
合材料側が凸に反りが生じ、またひび割れも生ずる結果
となる。
【0020】本発明の場合は、複合材料部分が1mm前
後の厚さであり、非常に薄いので“反り”やすく、また
用途が半導体に接着して用いるものであるので、小さい
“反り”も問題となる。複合材料の表裏両面に同じ材料
の金属部材か又は熱膨張係数が近い金属部材を接着する
ことにより、表裏面がほぼ均等な熱応力を生ずるため
に、この“反り”を極めて小さくすることができる。従
って、本発明においては、表裏両面に金属部材を接着被
覆することが必須であり、製作時は表裏面同時に、金属
部材を接着することが好ましく、また両面とも同一材料
の金属部材を接着することが好ましい。
【0021】上述の金属部材としては、金属箔、金属板
及び金属放熱フィンなどがあり、銀、銅、アルミニウム
あるいは合金などの熱伝導率が高く接着性の良い、箔、
板、放熱フィンとして用いられる材料から選ぶことがで
きるが、価格及び低温ハンダでの接着性を考慮すると、
銅箔、銅板等が好ましい。また、上述の金属部材の厚さ
は十分薄いことが必要で、あまり厚いと、金属は熱膨張
係数が大きく且つ弾性率も大きいので、シリコンなどの
半導体やセラミックス等の封止材との接着において、温
度変化による熱応力の発生が大きくなり、剥がれや破損
を生じるし、更に前述の複合材料の板の表裏面への接着
においても、剥がれが生じる場合がある。また、この金
属部材を両面に接着した熱伝プレートは、全体の厚さに
制約があるため、金属部材を厚くすると、その分複合材
料の板を薄くする必要が生じるが、前述のような炭素繊
維が厚さ方向に配列した一方向性複合材料の板を0.8
mmより薄い厚さに加工することは困難を伴ない、加工
歩留りを悪化させる。このような理由によって、0.1
mm厚以上の金属部材は不適当であり、0.05mm
(50μm)厚以下、より実用的には0.04mm(4
0μm)以下の厚さの金属部材を使用することが好まし
い。また、いうまでもなくあまり薄い、例えば0.00
5mm厚のような金属部材を用いると、取扱い時に皺や
破れが生じやすく好ましくない。
【0022】このような金属部材を、前述した複合材料
の薄板の両面に接着する方法としては、真空ろう付、ホ
ットプレスによる拡散接合なども用いることができる
が、これらは1,000℃近くの高温と高真空の炉を必
要とし、接着面の熱応力歪みも大きくなるので好ましく
ない。本発明においては、高分子接着剤を用いることに
より予想外な好結果をもたらすことが見出された。高分
子接着剤としては、一般的なエポキシ樹脂系、フェノー
ル樹脂系あるいはこれらの混合系などの有機高分子系接
着剤のほか、ポリシラザンなどの無機高分子系接着剤も
使用し得る。また、これらの高分子接着剤中に、銅、
銀、アルミニウムなどの熱伝導率の大きな金属の微粉体
を混合したものも用いることができる。
【0023】より詳細に説明すると、これらの高分子接
着剤を前述した金属部材の一面に5〜50μmの厚さに
均一に塗付し、溶剤を含む場合は乾燥した後、前述した
複合材料の平板の表裏両面に、この金属部材の接着剤塗
付面を合わせて重ね、ホットプレスによって加圧下に7
0〜150℃程度の温度で加熱し、高分子接着剤を重合
硬化させる方法が好適である。この場合、金属部材に塗
付した高分子接着剤は予め少し加熱して、重合を少し進
め、いわゆるBステージ化して室温では固体の塗膜にし
た状態で用いることが好ましい。
【0024】また、このようにして作られた金属部材と
炭素繊維複合材料の板との間に形成される高分子接着層
は、一般には熱伝導率が非常に小さいので、この厚さが
大きいと、熱伝プレート全体の厚さ方向の熱伝導率の特
性を低下させるので、5μm以下、好ましくは1μm以
下の極力薄い接着層を形成することが重要である。その
ためには炭素繊維複合材料の平板の表裏面の平面性を良
くすることのほか、複合材料の接着面に直径が1〜10
μmの微細孔が十分多数存在しているようなものを使用
することが有効である。即ち、高分子接着剤を塗付した
金属部材と多孔性の表面を持った複合材料の平板を重ね
合せてホットプレスで加圧しつつ加熱すると、高分子接
着剤が硬化する前に、一時低い粘度となって複合材料の
面の微細孔の中に浸入し、接着力を高め、且つ極めて薄
い高分子接着層が形成される。
【0025】更にこの場合、用いる金属部材の表面ある
いは裏面を予め化学的にエッチング等を行ない1〜10
μm程度の凹凸のある粗面としてから用いることによっ
て、接着力を高めると同時に、高分子接着層の厚さを十
分薄く、金属部材の表面の凸部と複合材料の表面がほと
んど接触した構造を形成することができ、高分子接着層
による熱伝導抵抗が十分小さいものとすることができ
る。
【0026】半導体パッケージにおいて、厚さ0.5m
mのシリコン半導体の板に、厚さ1.0mmの熱伝プレ
ートを接着した時、100℃の温度変化によって生ずる
シリコン半導体板の熱応力歪み率は、長さ1cm当り約
3μm以下がほぼ許容されるが、より好ましくは約2μ
m以下である。
【0027】一方、材料Iの薄板と材料IIの薄板を接着
したときの、温度変化△Tにおける薄板Iの熱応力歪み
率は、一般力学から次の式(2)で近似的に推定でき
る。
【数2】 1、t2:薄板I、IIの厚さ E1、E2: 〃 の弾性率 β1、β2: 〃 の熱膨張係数
【0028】これより、厚さ0.5mmのシリコン半導
体(熱膨張係数4×10-6/K、弾性率190GPa)
の板に、厚さ1.0mmの熱伝プレートを接着した場合
の熱伝プレートの熱膨張係数β(10-6/K)と弾性率
E(GPa)との間の好ましい関係として(β≧6の場
合)、下記式(1)を満足する条件が好ましいことが見
出された。
【数1】 E・(β−6)≦190 ・・・(1) 式(1)はシリコン半導体と熱伝プレートの関係である
が、アルミナ等のセラミックスに対する関係はよりゆる
やかであり、式(1)を満足するかぎりは通常問題がな
い。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定される
ものではない。
【0030】実施例1 液晶ピッチ系炭素繊維が体積含有率で55%炭素母材の
中に一方向に配列されている一方向性炭素/炭素複合材
料のブロック(35×35×100mm)を、マルチワ
イヤーソーを用いて繊維配列方向と直角方向に切断し、
35×35×0.93mmの薄板を多数切出した。この
複合材料の母材部分は多孔質であり、水銀圧入法で細孔
を測定すると、平均細孔径が1.4μmで、開気孔容積
が全体の12%あり、10μm以上の径の細孔は細孔容
積の5%以下であった。
【0031】次に、厚さ35μmの銅箔の片面に、エポ
キシ系接着剤を約40μmの厚さに均一に添付したもの
を用意し、上記複合材料の薄板の表裏両面に、銅箔の接
着剤塗布面を向けて張り合わせ、ホットプレスで接着面
当り50Kg/cm2の圧力を加え、150℃にて2時
間保持して、接着剤の硬化を終了して取り出し、カッタ
ーで周辺を切り落して30×30×1mmのプレートを
得た。
【0032】このプレートの厚さ方向の断面を研磨して
光学顕微鏡で観察すると、複合材料部分は炭素繊維が厚
さ方向に平行に配列され、表裏面の接着部分は銅箔面と
複合材料面の凹凸が噛み合っており、非常に薄い高分子
接着層を介して接着されていた。このプレートの厚さ方
向の熱伝導率は290W/(m・K)で、広さ方向(厚
さ方向に直角の方向)の熱膨張係数は約12×10-6
Kであった。
【0033】次に、このプレートの中央に、厚さ0.5
mm、10mm角の単結晶シリコン板を、エポキシ系接
着剤で接着したもの及び厚さ1mm、30mm角のアル
ミナ板にこのプレートをエポキシ系接着剤で接着したも
のを、それぞれ5個作成し、熱サイクルテスト(−60
〜200℃、100サイクル)を行なったところ、接着
剥がれ、割れなど全く生じなかった。この場合E・(β
−6)の値は90である。
【0034】実施例2 実施例1と同じ一方向性炭素/炭素複合材料の薄板を用
い、この表裏両面に厚さ50μmの銅箔を、エポキシ系
接着剤を介して張り合わせ、実施例1と同様に、ホット
プレスで接着硬化し、周辺を切削して30×30×1m
mのプレートを得た。得られたプレートの厚さ方向の熱
伝導率は280W/(m・K)で、広さ方向の熱膨張係
数βは約13×10-6/K、広さ方向の弾性率Eは約1
8GPaであり、E×(β−6)の値は126である。
【0035】得られたプレートを実施例1と同様に、単
結晶シリコン板とアルミナ板に接着して、熱衝撃テスト
と熱サイクルテストを行なったところ、接着剥がれ、割
れなど全く生じなかった。
【0036】実施例3 厚さ35μmの銅箔の代りに、厚さ100μmの銅板を
用いた他は、実施例1と同じ方法で30×30×1.1
mmのプレートを得た。このプレートの厚さ方向の熱伝
導率は230W/(m・k)、広さ方向の熱膨張係数β
は15×10-6/K、広さ方向の弾性率Eは約30GP
aであり、E×(β−6)の値は270となる。
【0037】このプレートを実施例1と同様に単結晶シ
リコン板とアルミナ板に接着し、熱衝撃テストと熱サイ
クルテストを行なったところ、熱サイクルテストにおい
てごく一部の試料に接着剥がれが認められた。
【0038】比較例1 実施例1と同じ一方向性炭素/炭素複合材料の薄板を、
金属部材接着なしで30×30×0.93mmの形状に
加工し、実施例1と同様に単結晶シリコン板とアルミナ
板に接着して、熱衝撃テスト及び熱サイクルテストを行
ない合格した。このプレートの厚さ方向の熱伝導率は5
20W/(m・K)であり、広さ方向の熱膨張係数は約
6×10-6/K、広さ方向の弾性率は7GPaであっ
た。
【0039】しかし、このプレートの厚さ方向のガスリ
ークテストを行なったところ、約0.3cm2/atm
・secの通気性があり、気密性の点で不合格であっ
た。
【0040】比較例2 実施例1と同じ一方向性炭素/炭素複合材料の薄板を用
い、その片面だけに実施例1と同じ銅箔に接着剤を塗布
したものを張り、ホットプレスで実施例1と同条件で接
着硬化し、ホットプレスから取出したところ、銅箔側に
凹の反りがあり、複合材料側にヒビ割れが生じていた。
【0041】実施例1〜3及び比較例1で得られた厚さ
1mmの熱伝プレートの性能を、各種の金属製の熱伝プ
レートの性能とあわせて、表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】請求項1の半導体パッケージ用の熱伝プ
レートは、炭素繊維が厚さ方向に配列してる一方向性複
合材料の表裏両面が金属部材によって十分薄い厚さの高
分子接着層を介して被覆されている構造からなるものと
したことから、熱伝プレートの厚さ方向の熱伝導率が銅
/タングステン複合材料のそれと同等か又はそれ以上と
することができ、また一方向性複合材料の平板は多孔質
で通気性を有するが、その両面を金属部材で接着被覆し
たことにより、気密性、封止性に優れ、且つ反りや割れ
のないものとすることができる。その上、本熱伝プレー
トは、その厚さの大部分を占める一方向性複合材料の広
さ方向(即ち、厚さ方向に直角の方向)の熱膨張係数が
シリコン半導体やアルミナ等のセラミックスのそれと近
いものであり、加えてその広さ方向の弾性率も小さいも
のとすることができるので、半導体パッケージとしたと
きに、温度変化による熱応力発生が小さく、剥がれた
り、割れたりすることや、半導体への悪影響を生じな
い。
【0044】請求項2の半導体パッケージ用の熱伝プレ
ートは、厚さ方向の熱伝導率が200〔W/(m・
K)〕以上であり、しかも広さ方向の熱膨張係数β〔1
-6/K〕と広さ方向の弾性率E〔GPa〕とが、下記
式(1)
【数1】 E・(β−6)≦190 ・・・(1) の関係を満足するものとしたことから、より十分な熱伝
除熱能力を有し、且つシリコン半導体及びセラミックス
等の封止体と接着使用した際の温度変化による熱応力発
生がより小さくなるという効果が加わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱伝プレートの模式断面図であ
る。
【図2】熱伝プレート付半導体パッケージの模式断面図
である。
【符号の説明】
1.一方向性炭素繊維複合材料の平板 2.金属部材 3.高分子接着層 4.熱伝プレート 5.半導体 6.セラミックス封止体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高安 潤 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 泉 孝幸 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 藤井 俊一 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体素子、該素子を封止するための封
    止体及び該素子の裏面に接着された熱伝プレートから少
    なくとも構成されてなる半導体パッケージ用の熱伝プレ
    ートであって、炭素繊維が厚さ方向に配列している一方
    向性複合材料の表裏両面が金属部材によって高分子接着
    層を介して被覆されている構造からなることを特徴とす
    る半導体パッケージ用の熱伝プレート。
  2. 【請求項2】 厚さ方向の熱伝導率が200〔W/(m
    ・K)〕以上であり、しかも広さ方向の熱膨張係数β
    〔10-6/K〕と広さ方向の弾性率E〔GPa〕とが下記
    式(1) 【数1】E・(β−6)≦190 … (1) の関係を満足するものである請求項1記載の半導体パッ
    ケージ用の熱伝プレート。
JP7303450A 1995-10-27 1995-10-27 半導体パッケージ用の熱伝プレート Pending JPH09129793A (ja)

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