JP2005279789A - 研削・研磨用真空チャック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも多孔質セラミックスからなる吸着層12と空気の透過を遮断する環状隔壁層16a〜16cとから構成された、被吸着体を吸着、保持するための吸着板18を備え、環状隔壁層は、非酸化物系セラミックス粉末が配合されたガラスにより形成されている。
【選択図】図1
Description
このシリコンウエハの研削・研磨工程は、精密な半導体製品(半導体チップ)を製造するために必要不可欠な重要な工程であり、このようなシリコンウエハの研削・研磨工程では、シリコンウエハを固定して研削・研磨を行うウエハ研削・研磨装置が必要となる。そこで、従来から様々な種類のウエハ研削・研磨装置が提案されている。
また、空気を遮断するための層をエポキシ樹脂を含浸させて形成している場合(特許文献1参照)、この層の幅が広くなり、吸着面の精度出し加工をする際に、エポキシ樹脂が含浸されている部位と含浸されていない部位との研削性が異なるため、段差が生じ、吸着面の平面精度が悪化し、被吸着体の研削、研磨精度が低くなることがあった。
上記環状隔壁層は、非酸化物系セラミックス粉末が配合されたガラスにより形成されていることを特徴とする。
上記環状隔壁層の外縁は、上記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されていることが望ましい。
なお、以下の説明においては、被吸着体を吸着する面を保持面、吸着板内の空気を吸引する面を吸引面ともいう。
さらに、上記環状隔壁層は、非酸化物系セラミックス粉末が配合されているため、熱伝導性にすぐれ、上記研削・研磨用真空チャックでは、研磨時に発生する熱を素早く逃がすことができる。
上記環状隔壁層は、非酸化物系セラミックス粉末が配合されたガラスにより形成されていることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの実施形態の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
図1に示したように、研削・研磨用真空チャック10は、空気が透過する吸着部12a〜12dと、空気の透過を遮断する環状隔壁層16a〜16cとからなる吸着板18を備えている。吸着板18は、半導体ウエハ(被吸着体)15を吸着、保持するための保持面18aと、保持面18aの反対面の空気を吸引するための吸引面18bとを有している。また、吸着板18は、直径の異なる2枚の円板が積み重ねられ一体化した形状(ツバ付き円板状)を有している。
環状隔壁層16a〜16cは、非酸化物系セラミックス粉末が配合されたガラスにより形成されている。
なお、吸着板18を構成するツバ付きドーナツ状の吸着部12dは、被吸着体を吸着する機能を有さないため、実質的には吸着部に該当しないが、被吸着体を吸着する機能を有する他の吸着部12a〜12cと同様、多孔質セラミックスからなるものであるため、便宜的に吸着部12dということとする。
また、保持台20には、吸着板18の吸引面18bに接する部分に溝14a〜14cが形成された空気吸引部13a〜13cが設けられている。
また、吸着板の下面であって、最外周の環状隔壁層16cの外側の部分には、空気不透過層17が形成されている。なお、空気不透過層17は、必ずしも形成する必要はなく、必要に応じて形成すればよい。
従って、研削・研磨用真空チャック10は、空気吸引部13a〜13c及び真空ポンプ(図示せず)により、吸着部12a〜12c内の空気を吸引するように構成されている。
さらに、いずれの吸着部内の空気を吸引するかを適宜選択することにより、被吸着部の大きさの異なる半導体ウエハ等の被吸着体を吸着することができる。具体的には、平面視した際の被吸着部の大きさが、最外周の環状隔壁層16cの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、全ての空気吸引部13a〜13cから空気を吸引するように真空ポンプを作動させることにより被吸着体を吸着する。平面視した際の被吸着部の大きさが、平面視した環状隔壁層16bの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、空気吸引部13a、13bから空気を吸引することにより吸着板を吸着する。平面視した際の被吸着部の大きさが平面視した環状隔壁層16aの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、空気吸引部13aからのみ空気を吸引することにより、被吸着体を吸着する。
また、被吸着体の大きさが一定の場合には、1層の環状隔壁層が形成されていればよく、この場合、吸着部の側面にのみ環状隔壁層が形成されていてもよい。
本発明の研削・研磨用真空チャックでは、吸着板が少なくとも2つの吸着部と、少なくとも2層の環状隔壁層とから構成されている場合には、大きさの異なる被吸着体を確実に吸着、保持することが可能な研削・研磨用真空チャックとして機能することとなる。
上記環状隔壁層の外縁が0.5mm未満の領域に位置するように構成されている場合には、通常、被吸着体となるシリコンウエハの外縁には面取りが施されていることに起因して、該被吸着体を吸着しようとした際に空気漏れが生じることがあり、また、上記環状隔壁層の外縁が15mmを超える領域に位置するように構成されている場合には、被吸着体を吸着した際に充分な保持力を得ることができない場合がある。
一方、上記環状隔壁層の外縁が上記範囲の領域に位置するように構成されている場合には、吸着力が高く、かつ、吸着板の吸着力が全体的に均一であり、被吸着体の均一な研削・研磨を実現することができる。また、このような構成にすることにより、保持面は、全て被吸着体で覆われることとなるため、研削・研磨加工時に多孔質セラミックスからなる吸着層の目詰まりが生じることがなく、被吸着体を長時間に渡って、高精度で研削・研磨することができる。
なお、環状隔壁層の外縁が上記被吸着体の外縁が、被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するとは、平面視した際に被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域中に、環状隔壁層の外縁が視認されることをいう。
上記段差が、0.5μmを超えると、被吸着体を確実に吸着、保持することができないことがあり、また、仮に吸着、保持することができたとしても、シリコンウエハ等の被吸着体の表面形状に段差が生じてしまうことがある。そのため、被吸着体の研削・研磨精度が低下することとなる。より望ましい段差は、0.1μm以下である。
なお、本明細書において、上記段差とは、上記吸着部の吸引面から保持面までの平均高さと、環状隔壁層の吸引面から保持面までの平均高さとの差をいう。
なお、本明細書において、ヤング率及び熱膨張率が略同一であるとは、多孔質セラミックスのヤング率及び熱膨張率の値に対して、環状隔壁層のヤング率及び熱膨張率の値が、それぞれ80〜120%の範囲にあることをいう。勿論、100%に近ければ近いほど望ましい。
上記吸着板の形状は、特に限定されず、円板状であってもよく、ツバ付き円板状であってもよく、平面視楕円形の板状であってもよく、直方体形状や立方体形状であってもよい。さらにはこれらを組み合わせた形状であってもよい。
なお、上述したセラミックスに金属珪素を配合した珪素含有セラミックス、珪素や珪酸塩化合物で結合されたセラミックスも用いることができる。
吸着板の保持面が円形状である場合、その直径としては、研磨対象物である半導体ウエハの直径等を考慮して適宜決定されるが、通常、100〜400mmであることが望ましい。
なお、上記気孔率は、水銀圧入法のほか、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。
上記ガラスとしては、例えば、Al2O3、SiO2、Na2O−SiO2、Na2O−CaO−SiO2、K2O−CaO−SiO2、K2O−PbO−SiO2、BaO−SiO2−B2O3、Na2O−B2O3−SiO2等を主要成分とするガラス等が挙げられる。また、上記ガラスは無機系ガラスが望ましい。膨潤等の形状変化を起こしにくいからである。
50重量部未満では、熱伝導の効果が少なく、研磨時に、摩擦熱による歪が被吸着体に発生しやすい傾向にあり、一方、150重量部を超えると、環状隔壁層に隙間等が生じやすくなるため、吸着層と環状隔壁層との接合強度が不充分となり、クランプ時や加工の加重により、環状隔壁層が破壊されることがあるからである。
上記非酸化物系セラミックス粉末は、ガラス成分100重量部に対して、100重量部配合されていることがより望ましい。
また、上記環状隔壁層の材質は、そのヤング率及び熱膨張率が、吸着板を構成する多孔質セラミックスのヤング率及び熱膨張率と略同一であることが望ましい。
従って、多孔質セラミックスと非酸化物系セラミックス粉末は、そのヤング率及び熱膨張率が略同一であることが望ましく、両者は、同一の材質であることがより望ましい。多孔質セラミックスと環状隔壁層とのヤング率及び熱膨張率を略同一にするのに適しているからである。
また、上記真空装置としては、真空ポンプのほか、エジェクター等が挙げられる。
なお、このような構成からなる研削・研磨用真空チャックの製造方法については、後述する。
図2(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの実施形態の別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
図2に示すように、本発明の研削・研磨用真空チャック30は、吸着板18のツバ部19を固定用冶具21と保持台20とで挟み込み、固定用冶具21を4本のボルト22により保持台20に固定することにより、吸着板18を保持台に取り付けている。
なお、研削・研磨用真空チャック30は、吸着板18の保持台20への固定方法が、図1に示した研削・研磨用真空チャック10と異なる以外は、研削・研磨用真空チャック10と同様であるため、その説明を省略する。
図3(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの実施形態の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
そして、この吸着板48では、保持面18a側が多孔質セラミックスからなる吸着層42(42a〜42d)、吸引面48b側が緻密質層11で構成されており、両者は一体化されている。
そして、環状隔壁層46a〜46cによって区切られた緻密質層41の各領域のそれぞれには、緻密質層41を貫通するように空気吸引孔47(47a〜47c)が形成されている。なお、上記空気吸引孔は、少なくとも緻密質層41を貫通するように形成されていればよく、例えば、緻密質層のみを貫通するように形成されていてもよいし、緻密質層と吸着層の一部とを貫通するように形成されていてもよい。
また、吸着板48は、直径の異なる2枚の円板を積み重ねた形状(ツバ付き円板状)を有している。
また、保持台50には、吸着板48の吸引面48bに接する部分に溝44(44a〜44c)が形成された空気吸引部43(43a〜43c)が設けられている。
そして、吸着板48の緻密質層41に形成された空気吸引孔47(47a〜47c)と保持台50に形成された空気吸引部43(43a〜43c)のそれぞれが、溝44(44a〜44c)を介して連通している。
従って、研削・研磨用真空チャック40は、空気吸引孔47(47a〜47c)、溝44(44a〜44c)、空気吸引部43a〜43c及び真空ポンプ(図示せず)により、吸着層42a〜42c内の空気を吸引するように構成されている。
さらに、いずれの吸着層内の空気を吸引するかを適宜選択することにより、大きさの異なる半導体ウエハ等の被吸着体を吸着することができる。
また、研削・研磨用真空チャック40においても、吸着板48を構成する環状隔壁層46のヤング率及び熱膨張率は、吸着板48を構成する吸着層42(多孔質セラミックス)のヤング率及び熱膨張率と略同一であることが望ましい。
このような構成からなる研削・研磨用真空チャックでは、吸着板の一部が緻密質層で構成されているため、吸着板の剛性が向上しており、被吸着体の研削、研磨する際に、吸着板に撓み等がより発生しにくくなっており、被吸着体の研削、研磨精度に優れることとなる。
従って、ここでは、緻密質層の構成部材についてのみ簡単に説明しておく。
上記金属としては特に限定されず、例えば、金属シリコン、金属アルミニウム等が挙げられる。
これらのなかでは、金属シリコンが望ましい。吸着板の剛性を向上させる緻密質層の機能を充分に満足することができるとともに、金属シリコンは、それ自体が高い熱伝導率を有しているため、金属シリコンを含浸させた緻密質層もまた高い熱伝導率を有することとなり、研磨時に発生する熱を素早く逃がすことができる。
上記緻密質層の厚さの割合が30%未満では、吸着板の剛性が充分でなく、被吸着体のクランプ時や研磨時の荷重により吸着板が撓み、研磨精度が低下する場合がある。一方、緻密質層の厚さの割合が90%を超えると、吸着層の吸着板に占める割合が小さくなりすぎ、被吸着体を吸着する力が小さくなり、研磨時に吸着板体がズレ場合がある。
また、上記緻密質層の厚さは、通常、10〜40mm程度が望ましい。
ここでは、異なるサイズの被吸着体を吸着することができる、環状隔壁層が形成された研削・研磨用真空チャックを例に、その製造方法を説明する。
上記セラミックス粉末は、平均粒径の0.7〜1.2倍の粒径を有するセラミックス粉末の全セラミックス粉末に対する割合が75%以上となるように調整されることが望ましい。
上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、通常、セラミックス粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が望ましい。
上記分散媒液は、混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
これらセラミックス粉末、バインダー及び分散媒液は、アトライター等で混合した後、ニーダー等で充分に混練し、さらに、スプレードライ法等により顆粒状の粉末を製造する。そして、この顆粒を所定の形状の金型に入れて成形することにより、円板状とドーナツ状(ツバ付きドーナツ状を含む、以下同じ)の生成形体を作製する。
この生成形体を、不活性ガス(アルゴン)雰囲気下、400〜650℃程度に加熱することで脱脂し、バインダー等を分解、消失させ、略セラミックス粉末のみを残留させる。
焼結体の加工は、ダイヤモンドカッターを用いた切削加工、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工等により行うことができる。
この仕上げ加工では、保持面の平坦度を5μm以下することが望ましい。また、保持面の吸着部からなる部分と保持面の環状隔壁層とからなる部分との段差を0.5μm以下とすることも望ましい。
上記仕上げ加工は、ダイヤモンドカッターを用いた切削加工、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工、ダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工等により行うことができる。
上記吸着板の製造方法は、上述した方法に限定されず、従来からセラミックスを製造するために用いられている種々の方法を適用することができる。
さらに、上述した工程を経て作製した吸着板を、ボルト等を用いて、真空ポンプ等の真空装置に接続された保持台に固定する。
このような工程を経ることにより、本発明の研削・研磨用真空チャックを製造することができる。
このような形態の研削・研磨用真空チャックは、概ね、吸着層と緻密質層とからなる円板状の吸着板用部材とドーナツ状の吸着板用部材とを別々に作製し、これらを、環状隔壁層を介在させて嵌め合わせることにより行うことができる。
上記セラミックス粉末、バインダー、及び、分散媒液としては、全体多孔質セラミックスタイプの製造方法で用いたものと同様のものを用いることができる。
上記炭素源の配合量は、セラミック粉末100重量部に対し、1〜10重量部程度が望ましい。
そして、この顆粒状の緻密質層形成用混合組成物を所定の形状(円板状又はドーナツ状)の金型の下方に、顆粒状の吸着層形成用混合組成物を金型の上方に入れて成形することにより生成形体を作製する。ここで、緻密質層形成用混合組成物及び吸着層形成用混合組成物の量を適宜調整することにより、後工程を経て得られる吸着板において、緻密質層の占める厚さの割合を調整することができる。
上記炭素質物質としては、例えば、フルフラール樹脂、フェノール樹脂、リグニンスルホン酸塩、ポリビニールアルコール、コーンスターチ、糖蜜、コールタールピッチ、アルギン酸塩等の各種有機物質を挙げることができる。また、カーボンブラック、アセチレンブラック等の熱分解炭素も同様に使用することができる。
このような工程を経た後、さらに必要に応じて、切削加工、研削加工等を施すことにより、吸着層と緻密質層とからなる円板状やドーナツ状の吸着板用部材のそれぞれを製造することができる。
なお、上記吸着板用部材の望ましい寸法設計は、全体多孔質セラミックスタイプの製造方法と同様である。
上記空気吸引孔の形成は、ドリル加工や切削加工等により行うことができる。また、空気吸引孔の形成は、各吸着板用部材を組立てる前に行ってもよい。
(1)平均粒径60μmのα型炭化珪素粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのα型炭化珪素粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の粉末を得た。
この顆粒状の粉末を金型に入れ、冷間静水圧(CIP)を利用する成形機を用いて、50MPaの圧力で、5分間保持して円板形状及びドーナツ板状の炭化珪素成形体を作製した。
また、細孔分布測定装置(島津製作所社製)を用い、水銀圧入法により細孔直径0.2〜600μmの範囲で吸着板の細孔分布を測定した。
実施例1の(4)の工程において、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)100重量部に、平均粒径10μmの炭化珪素粉末60重量部を混合した環状隔壁層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
実施例1の(4)の工程において、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)100重量部に、平均粒径10μmの炭化珪素粉末140重量部を混合した環状隔壁層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
実施例1の(4)の工程において、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)100重量部に、平均粒径10μmの炭化珪素粉末40重量部を混合した環状隔壁層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
実施例1の(4)の工程において、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)100重量部に、平均粒径10μmの炭化珪素粉末170重量部を混合した環状隔壁層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
(1)平均粒径60μmのα型炭化珪素粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのα型炭化珪素粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の吸着層形成用混合組成物を得た。
なお、空気吸引孔の形状及びサイズは、丸穴形状であり、直径3mm、深さ15mmである。
なお、この工程においては、純度99.9999重量%以上の金属シリコン粉末を用いた。
また、本実施例で製造した吸着板における吸着層と緻密質層との厚さの比は、50:50である。
実施例1の(4)の工程において、ガラスを主成分とする環状隔壁層形成用組成物を塗布する代わりに、未硬化のエポキシ樹脂を塗布し、このエポキシ樹脂を硬化させて環状隔壁層を形成した以外は実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
実施例1の(4)の工程において、非酸化物系セラミックス粉末を含まない、ペースト状のガラスからなる環状隔壁層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
なお、シリコンウエハ温度は、表面温度計により測定した。
また、クランプ圧(ウエハクランプ時の到達圧力)は圧力計を用いて測定し、さらに、空気漏れの有無はクランプ圧を基準に評価した。
研削・研磨用真空チャックの特性を表1に、研磨したシリコンウエハの評価結果を表2に示した。
このように、シリコンウエハの平坦度が劣る理由は、実施例4に係る研削・研磨用真空チャックでは、非酸化物系セラミックス粉末の配合量が少ないため、熱伝導率が小さく、研磨時に、十分に摩擦熱を逃がすことができず、シリコンウエハに若干の歪が生ずる原因となっているものと考えられ、実施例5に係る研削・研磨用真空チャックは、非酸化物系セラミックス粉末の配合量が多いため、吸着層と環状隔壁層との接合強度が実施例1の研削・研磨用真空チャックより低く、そのためクランプ時や加工時の加重により、環状隔壁層の一部に破壊された部分が生じているためであると考えられる。
12 吸着部
13、43 空気吸引部
15、45 半導体ウエハ
16、46 環状隔壁層
17、47 空気吸引孔
18、48 吸着板
20、40 保持台
41 緻密質層
42 吸着層
Claims (4)
- 少なくとも多孔質セラミックスからなる吸着層と空気の透過を遮断する環状隔壁層とから構成された、被吸着体を吸着、保持するための吸着板を備え、
前記環状隔壁層は、非酸化物系セラミックス粉末が配合されたガラスにより形成されていることを特徴とする研削・研磨用真空チャック。 - 前記吸着層には、1又は2以上の前記環状隔壁層が形成されており、
前記環状隔壁層の外縁は、前記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されている請求項1に記載の研削・研磨用真空チャック。 - 前記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmである請求項1又は2に記載の研削・研磨用真空チャック。
- 前記環状隔壁層のヤング率および熱膨張率は、前記多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一である請求項1〜3のいずれか1に記載の研削・研磨用真空チャック。
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