JP2005094993A - 保持部材、冷媒、冷却方法及び冷却装置、リニアモータ装置及びステージ装置、並びに露光装置 - Google Patents

保持部材、冷媒、冷却方法及び冷却装置、リニアモータ装置及びステージ装置、並びに露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 物体を冷却する際、物体の各部分での温度分布の発生を抑えつつ冷却できる粒子状の保持部材及び冷媒を提供する。
【解決手段】 冷媒は、第1要素と、第1要素に分散された第2要素とを備える。所定の熱量が第1及び第2要素のそれぞれに吸収されたとき、第2要素は第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、保持部材、冷媒、冷却方法及び冷却装置、リニアモータ装置及びステージ装置、並びに露光装置に関するものである。
半導体素子や液晶表示素子等のマイクロデバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、所謂フォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持して2次元移動するマスクステージと基板を支持して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。いずれの露光装置においてもマスクと基板との相対位置を高精度に一致させてマスクパターンの転写を行うことが要求されるため、マスクステージ及び基板ステージの位置決め精度は露光装置の最も重要な性能の一つである。
従来より、上記基板ステージ及びマスクステージ(以下、両者を総称して「ステージ」と称する)の駆動源としてリニアモータが用いられているが、リニアモータからの発熱は、ステージ位置決め精度の低下などステージ位置決め精度に影響を及ぼす。例えば、リニアモータからの発熱が周囲の部材・装置を熱変形させたり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度を変化させて測定値に誤差を生じさせる。したがって、リニアモータからの発熱が周囲部分に伝達されることを防ぐために、従来より、リニアモータのコイルはハウジング(ジャケット)に収容され、そのハウジング内部に冷媒が供給される(特許文献1参照)。このようなリニアモータは、ハウジング内部に対して冷媒を入れる入口と、ハウジング内部の冷媒を出す出口とを有している。入口から供給されハウジング内部を流れる冷媒は、コイルからの発熱を回収し、出口からハウジング外部に出る。
特開2001−25227号公報
しかしながら、上述した従来のリニアモータには以下に述べる問題が生じるようになった。
上述したように、ハウジング内部に供給された冷媒はコイルの熱を吸収してからハウジング外部に出るので、その冷媒はハウジングに入るときよりハウジングから出るときのほうが高い温度を有する。それ故、ハウジングに入る冷媒とハウジングから出る冷媒との間に温度差が生じる。なぜならば、冷媒はハウジング内部を流れている間にコイルから熱を吸収するので、ハウジングから出る冷媒はハウジングに入る冷媒よりも高い温度を有する。この温度差によって課題が生じる。例えば、この温度差は、装置内の空気の変動(揺らぎ)の原因となり、そのため、光干渉式測長計の測定精度が低下する。更に、出口周辺の部材等が熱変形(熱膨張)する。
本発明は上述の課題を扱うものである。本発明の目的は、ハウジングに収容されたコイル等の物体を冷却する際、物体の各部分での温度差(温度分布)の発生を実質的に低減、好ましくは除去できる保持部材、冷媒、冷却方法及び冷却装置、リニアモータ装置及びステージ装置、及び露光装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図12に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様に従えば、第1要素と、該第1要素に分散された第2要素とを備え、所定の熱量が第1及び第2要素のそれぞれに吸収されたとき、第2要素は第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する冷媒が提供される。また、第1の態様において、第2要素は所定の熱量を吸収するために相変化する態様が提供される。
第1の態様によれば、第2要素は所定の熱量を吸収したときに、第1要素よりも温度上昇が少ないため、冷媒の温度上昇を押さえることができる。また、第2要素が相変化する態様によれば、第2要素が相変化する際の潜熱により熱量が吸収されるので、第2要素の温度は上昇せず、冷媒の温度上昇をより確実に抑えることができる。具体的には、第2要素が固相から液相へ相変化する際の潜熱、または液相から気相へ相変化する際の潜熱により熱量が吸収される。
また、上述の態様において、第2要素は保持部材(200、210、220)に保持することができる。これによれば、第2要素は保持部材に保持されているので、保持部材に保持されたまま第1要素の中を移動可能となる。特に、第2要素が相変化する場合には、第2要素は所望の相状態で第1要素中を移動可能となる。そして、第2要素は保持部材に保持されている間は所望の相状態に変換可能であり、再利用することもできる。
また、上述の態様において、第1要素と第2要素とは同じ物質であり、第2要素を第1要素とは異なる相として設けることができる。これによれば、第1要素または第2要素のいずれかが相変化する際に熱量を吸収するので、熱量を吸収したことによる冷媒の温度上昇を低く抑えることができる。
また、上述の態様において、第1要素と第2要素とは異なる物質であり、第2要素を第1要素とは異なる相として設けることができる。これによれば、第1要素と第2要素とを吸収したい熱量に応じて任意に選択し、組み合わせて使用することができる。特に、第2要素を第1要素よりも高い熱容量(すなわち、ある量の物質の温度を所定量(例えば摂氏1度)だけ上昇させるためにその物質に与える熱量)を持つものを選択した場合には、第2要素が相変化する際の潜熱により所定の熱量を吸収することができるので、単に第1要素だけで構成された冷媒に比べて、同じ熱量を吸収した場合であっても冷媒の温度上昇を低く抑えることができる。
また、上述の態様において、第2要素はゲルであってもよい。これによれば、第2要素の取り扱いが容易となる。
また、上述の態様において、保持部材としては、中空のもの、溝を含むもの、孔を有するものを用いることができる。これによれば、その中空部分、溝部分、孔部分に第2要素を配置することができる。また、保持部材は磁性体からなるものとすることができる。これによれば、保持部材は周囲の磁力により容易に回収及び分離が可能となる。
本発明の第2の態様に従えば、内部空間(67)を有するハウジング(60)と、ハウジングの内部空間に配置されるコイル(70)と、本発明の第1の態様による冷媒を使ってコイルを冷却する冷却装置(S)とを備え、冷却装置は、ハウジングの出口からハウジングの入口に向かって設けられ冷媒が流れる流路と、その流路中に設けられ第1要素と第2要素とを混合する混合装置(92)と、混合装置で混合された冷媒をハウジングの内部空間に供給するポンプ(93)とを備えたリニアモータ装置が提供される。
これによれば、コイルを冷却する際に冷媒の温度上昇が低く抑えられるので、リニアモータ装置の各位置における温度分布の発生が抑えられつつ良好な冷却効果が得られる。
上記の態様において、混合装置(92)は、コイルから発生する熱量に応じて第1要素と第2要素との混合比を設定するようにしてもよい。これによれば、例えばコイルなど周辺環境を所望の温度に冷却するために、第1要素と第2要素とを最適な混合比で混合することができる。
本発明の第3の態様に従えば、物体の冷却方法であって、物体(60、70)に冷媒を流す工程を含み、冷媒は第1要素とその第1要素に分散された第2要素とを含み、所定の熱量が第1及び第2要素のそれぞれに吸収されたとき、第2要素は第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する冷却方法を提供する。これによれば、冷媒の温度上昇を抑えつつ、物体の冷却を効果的に行なうことができる。
上記の態様において、冷媒を所定の温度に維持するために、物体を通過した後の冷媒のうち少なくとも第2要素から熱を奪うようにすることができる。このとき、第2要素から熱を奪って第2要素の相を変える工程を含んでもよい。たとえば、第2要素は所定の熱量を吸収するために固相から液相に変化し、第2要素から熱を奪って第2要素を固相に戻す工程を含むようにしてもよい。また、第2要素は保持部材に保持されるようにしてもよい。
また、上記の態様において、冷却される物体はリニアモータ装置のハウジング(60)の内部空間(67)に配置されたコイル(70)であり、そのコイルに冷媒を通過させることによりコイルを冷却する冷却装置(S)を有し、更に、第1要素と第2要素とを混合する工程と、混合された冷媒をハウジングの内部空間にポンプ(93)を使って供給する工程とを含むようにすることができる。これによれば、コイルを冷却する際に冷媒の温度上昇が低く抑えられるので、リニアモータ装置の各位置における温度分布の発生が抑えられつつ良好な冷却効果が得られる。この場合において、混合する工程は、コイルから発生する熱量に応じて、第1要素と第2要素との混合比を設定することを含んでもよい。これによれば、コイルなど周辺環境を所望の温度に冷却するために、第1要素と第2要素とを最適な混合比で混合することができる。
本発明の第4の態様に従えば、中空部分、溝、及び孔のうち少なくとも1つを有する保持部材(200、210、220)と、固相、液相、気相の少なくとも2相間における相変化により熱量を吸収する冷却物質とを備え、冷却物質は、保持部材の中空部分、溝、及び孔のうち少なくとも1つに保持される冷却部材が提供される。
第4の態様によれば、保持部材に保持された冷却物質が相変化する際の潜熱により物体が冷却されるので、冷却物質の温度上昇を伴わずに熱量を吸収することができる。また、冷却物質は保持部材の中空部分、溝、及び孔の少なくとも1つに保持されているので、保持部材に保持されたまま移動可能となる。
上記態様において、保持部材の内部圧力は冷却物質の目標相変化温度に基づいて設定されている態様が提供される。これによれば、冷却物質は設定された内部圧力に応じて任意の温度で相変化できるので、冷却対象物を所望の温度で安定して冷却することができる。
また、上記態様において、保持部材は少なくとも冷却物質を保持する内部空間(211、221)と、保持部材の外部と内部空間とを接続するスルーホール(212)とを備えるものとすることができる。これによれば、保持部材に保持されている冷却物質が相変化した際、冷却物質は例えばスルーホールを介して保持部材から離れることができる。特に、冷却物質が保持部材の中空部分に保持され、保持部材が所定の液体に分散されている場合、冷却物質はスルーホールを介して、その保持部材を分散した液体との間で移動しつつ、その液体の温度上昇を伴うことなく物体を冷却できる。また、保持部材は例えば多孔体によって形成可能である。これによれば、保持部材は多孔体の孔の中に冷却物質を保持可能である。
本発明の第5の態様に従えば、物体の冷却方法であって、保持部材(200、210、220)に冷却物質を保持する工程と、所定の液体に保持部材を分散する工程とを含み、冷却物質が固相、液相、気相間の少なくとも2相間において相変化することにより周囲から所定の熱量を吸収する物体の冷却方法が提供される。
第5の態様によれば、冷却物質は保持部材に保持された状態で、所望の相状態で液体中を容易に移動することができるとともに、冷却物質が相変化する際に潜熱として熱量を吸収するので、冷却物質は温度上昇を伴わずに物体を冷却することができる。
本発明の第6の態様に従えば、物体の冷却方法であって、冷却物質を保持した保持部材(200、210、220)が所定の液体中に分散された冷媒を物体に当てることによってその物体を冷却する工程を含み、その保持部材は外部と連通する内部空間(211、221)を有しており、冷却物質が、固相、液相、及び気相の少なくとも2相間において相変化することにより物体より所定の熱量を吸収する冷却方法が提供される。
第6の態様によれば、冷却物質は保持部材を介して例えば液体状態など所望の状態に移ることができる。したがって、冷却物質は、保持部材の内部空間に対して外部にある液体との間で熱交換を行ないつつ物体を冷却することができる。また、物体は、冷却物質が相変化する際の潜熱により冷却されるので、冷却物質は温度上昇を伴わずに物体を冷却することができる。
上記態様において、所定の液体は液体状態の冷却物質であり、保持部材に保持された冷却物質は固体状態であるものとすることができる。これによれば、例えば保持部材に保持された冷却物質が固体から液体に状態変化する際の大きな潜熱により、物体を効果的に冷却することができる。
本発明の第7の態様に従えば、冷却物質を含む冷媒を使って物体を冷却する冷却装置であって、液体状態の冷却物質(液体物質)と固体状態の冷却物質(固体物質)とを混合する混合装置(92)と、混合装置で生成された冷媒を物体に供給する供給装置(93)とを備えた冷却装置(S)が提供される。
第7の態様によれば、液体状態及び固体状態それぞれの冷却物質を混合装置が混合し、生成された冷媒を供給装置が物体に供給することにより、冷媒は固体状態から液体状態へ状態変化する際の潜熱により物体を効果的に冷却することができる。したがって、物体を冷却する際に冷媒の温度上昇が生じないので、物体に温度分布が生じることなく、良好な冷却効果が得られる。
上記態様において、冷却装置は更に、液体状態から固体状態に冷却物質を固体化する固化装置(90)を備えるものとすることができる。これによれば、物体の熱を吸収することで液体状態になった冷却物質は固化装置によって固体状態に変換され、物体を冷却するために再利用される。
本発明の第8の態様に従えば、冷却物質を保持した保持部材が所定の液体に分散されている冷媒を使って物体を冷却する冷却装置であって、所定の液体と保持部材(200、210、220)とを混合する混合装置(92)と、混合装置で生成された冷媒を物体(60、70)に供給する供給装置(93)とを備えた冷却装置(S)が提供される。
第8の態様によれば、冷却物質を保持した保持部材が液体中に分散されて冷媒となり、生成された冷媒中の冷却物質は液体との間で熱交換を行ないつつ液体中を容易に搬送されて物体を効果的に冷却することができる。また、冷却装置は更に、保持部材を回収する回収装置(98)を備えるものとすることができる。これによれば、回収装置で回収された保持部材は物体を冷却するために再利用される。この場合において、回収装置(98)はフィルタ(98A)を含むようにしてもよい。これによれば、保持部材はフィルタ部により容易に回収される。また、冷却装置は更に、保持部材の中にある冷却物質を固体化する固化装置(90)を備えるものとすることができる。これによれば、物体の熱を吸収することで液体状態になった保持部材に保持されている冷却物質は固体状態に変換され、物体を冷却するために再利用される。冷却装置は更に、供給装置で供給される冷媒を攪拌する攪拌装置を備えるものとすることができる。これによれば、液体と保持部材との比重が異なっていても冷媒が攪拌装置で攪拌されることにより冷媒中の保持部材は液体中に均一に分散された状態で物体に供給される。したがって、物体は均一に冷却される。
本発明の第9の態様に従えば、内部空間(67)を有するハウジング(60)とその内部空間に配置されたコイル(70)とを備えたリニアモータ装置であって、冷却物質を含む冷媒を使ってコイルを冷却する冷却装置(S)を備えたリニアモータ装置(20、30、40)が提供される。冷却装置(S)は、液体状態の冷却物質(液体物質)と固体状態の冷却物質(固体物質)とを混合する混合装置(92)と、混合装置で生成された冷媒を内部空間に供給する供給装置(93)とを備えた構成を有する。
第9の態様によれば、液体状態及び固体状態それぞれの冷却物質を混合装置が混合し、生成された冷媒を供給装置がハウジングの内部空間に供給されるので、ハウジングの内部空間に配置されたコイルは、冷媒が固体状態から液体状態へ状態変化する際の潜熱によって効果的に冷却される。したがって、コイルを冷却する際に冷媒の温度上昇が生じないので、リニアモータの各位置における温度分布が発生が抑えられる。
この場合において、混合装置は、コイルから発生する熱量に応じて、液体状態の冷却物質と固体状態の冷却物質との混合比を設定するものとすることができる。これによれば、例えばコイルなど周辺環境を所望の温度に冷却するための固体状態の冷却物質の量を最小限に設定でき、冷媒は良好な流動性を維持できる。すなわち、例えば、発熱量の小さいコイルに対しては、固体状態の冷却物質の比を小さく設定しても冷媒は温度上昇を伴うことなく物体を冷却できる。この場合、冷媒は固体状態の冷却物質の比が小さいため十分な流動性を有し、ハウジング部の内部空間を円滑に移動できる。一方、発熱量の大きいコイルに対しては、固体状態の冷却物質の比を大きく設定することにより、冷媒は温度上昇を伴うことなくコイルを所望の温度に冷却できる。
本発明の第10の態様に従えば、内部空間(67)を有するハウジング(60)とその内部空間に配置されたコイル(70)とを備えたリニアモータ装置であって、冷却物質を保持した保持部材が所定の液体に分散されている冷媒を使ってコイルを冷却する冷却装置(S)を備えたリニアモータ装置(20、30、40)が提供される。冷却装置(S)は、所定の液体と保持部材とを混合する混合装置(92)と、混合装置で生成された冷媒をコイルに供給する供給装置(93)とを備えた構成を有する。
第10の態様によれば、冷却物質を保持した保持部材が液体中に分散されて冷媒となり、生成された冷媒中の冷却物質は液体との間で熱交換を行ないつつ液体中を容易に搬送されてリニアモータを効果的に冷却することができるので、コイルを冷却する際に冷媒の温度上昇が生じず、リニアモータの各位置における温度分布が発生が抑えられる。
上記態様において、リニアモータ装置は、保持部材に保持されている冷却物質の熱を奪う冷却器を備えるようにしてもよい。これによれば、保持部材に保持されている冷却物質が例えば固体状態であり、コイルの熱を吸収することで液体状態に変換された際にも、冷却器で液体状態の冷却物質から熱を奪って再び固体状態に変換することができ、この冷却物質をコイルを冷却するために再利用できる。
本発明の第11の態様に従えば、上記記載のリニアモータ装置(20、30、40)を備えたステージ装置(1、2、MST、PST)が提供される。また、本発明の第12の態様に従えば、マスク(M)を保持するマスクステージ(1、MST)及び基板(P)を支持する基板ステージ(2、PST)を備え、マスクステージ及び基板ステージのうち少なくともいずれか一方に上記記載のステージ装置が用いられている露光装置(EX)が提供される。
本発明の第11及び第12の態様によれば、リニアモータ装置(複数のリニアモータ装置間を含む)において温度分布が生じるのを抑えることができるので、周囲の各部材・装置の熱変形や光干渉式測長計の測定誤差の発生を抑えることができ、高い位置決め精度を有するステージ装置、及び高い露光精度を有する露光装置が提供される。
冷媒を、第1要素と、第1要素に分散された第2要素とで構成し、所定の熱量が第1要素および第2要素のそれぞれに吸収されたとき、第2要素は第1要素よりも少ない量だけ温度上昇するようにしたので、該冷媒を用いて物体を冷却したときにも温度上昇を抑えることができる。また、第2要素の状態変化に伴う潜熱により熱量を吸収するようにしたので、熱量を吸収しても冷媒の温度上昇を低く抑えることができる。
また、冷却物質の状態変化に伴う潜熱により物体であるコイルを冷却するようにしたので、冷却物質は温度上昇を伴わずにコイルを冷却できる。したがって、リニアモータ装置の各位置における温度分布の発生を抑えることができるので、装置内の空気の揺らぎや装置の熱変形といった不都合の発生を抑えることができる。したがって、高いステージ位置決め精度及び露光処理精度を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は本発明のリニアモータ装置及びステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板(基板)Pとを同期移動しつつマスクMに設けられているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸まわり、Y軸まわり、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。また、ここでいう「感光基板」は半導体ウエハ上にレジストが塗布されたものを含み、「マスク」は感光基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置1と、光源を有し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光で照明する照明光学系ILと、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを支持する基板定盤4を有するステージ装置2と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置1及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム5と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム5は床面に水平に載置されたベースプレート6上に設置されており、このリアクションフレーム5の上部側及び下部側には内側に向けて突出する段部5a及び5bがそれぞれ形成されている。
照明光学系ILはリアクションフレーム5の上面に固定された支持コラム7により支持される。照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。
ステージ装置1のうちマスク定盤3は各コーナーにおいてリアクションフレーム5の段部5aに防振ユニット8を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にマスクMのパターン像が通過する開口3aを備えている。マスクステージMSTはマスク定盤3上に設けられており、その中央部にマスク定盤3の開口3aと連通しマスクMのパターン像が通過する開口Kを備えている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング9が設けられており、マスクステージMSTはエアベアリング9によりマスク定盤3に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
図2はマスクステージMSTを有するステージ装置1の概略斜視図である。図2に示すように、ステージ装置1(マスクステージMST)は、マスク定盤3上に設けられたマスク粗動ステージ16と、マスク粗動ステージ16上に設けられたマスク微動ステージ18と、マスク定盤3上において粗動ステージ16をY軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ、駆動装置)20、20と、マスク定盤3の中央部の上部突出部3bの上面に設けられ、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内する一対のYガイド部24、24と、粗動ステージ16上において微動ステージ18をX軸、Y軸、及びθZ方向に微小移動可能な一対のXボイスコイルモータ17X及び一対のYボイスコイルモータ17Yとを備えている。なお、図1では、粗動ステージ16及び微動ステージ18を簡略化して1つのステージとして図示している。
Yリニアモータ20のそれぞれは、マスク定盤3上においてY軸方向に延びるように設けられたコイルユニット(電機子ユニット)からなる一対の固定子21と、この固定子21に対応して設けられ、連結部材23を介して粗動ステージ16に固定された磁石ユニットからなる可動子22とを備えている。そして、これら固定子21及び可動子22によりムービングマグネット型のリニアモータ20が構成されており、可動子22が固定子21との間の電磁気的相互作用により駆動することで粗動ステージ16(マスクステージMST)がY軸方向に移動する。固定子21のそれぞれは非接触ベアリングである複数のエアベアリング19によりマスク定盤3に対して浮上支持されている。このため、運動量保存の法則により粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて固定子21が−Y方向に移動する。この固定子21の移動により粗動ステージ16の移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。なお、固定子21は、マスク定盤3に変えてリアクションフレーム5に設けられてもよい。固定子21をリアクションフレーム5に設ける場合にはエアベアリング19を省略し、固定子21をリアクションフレーム5に固定して粗動ステージ16の移動により固定子21に作用する反力をリアクションフレーム5を介して床に逃がしてもよい。
Yガイド部24のそれぞれは、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内するものであって、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面においてY軸方向に延びるように固定されている。また、粗動ステージ16とYガイド部24、24との間には非接触ベアリングである不図示のエアベアリングが設けられており、粗動ステージ16はYガイド部24に対して非接触で支持されている。
微動ステージ18は不図示のバキュームチャックを介してマスクMを吸着保持する。微動ステージ18の+Y方向の端部にはコーナーキューブからなる一対のY移動鏡25a、25bが固定され、微動ステージ18の−X方向の端部にはY軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡26が固定されている。そして、これら移動鏡25a、25b、26に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMSTのX軸、Y軸、及びθZ方向の位置が高精度で検出される。制御装置CONTはこれらレーザ干渉計の検出結果に基づいて、Yリニアモータ20、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Yを含む各モータを駆動し、微動ステージ18に支持されているマスクM(マスクステージMST)の位置制御を行う。
図1に戻って、開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ部10が設けられている。そして、投影光学系PLはリアクションフレーム5の段部5bに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤12にフランジ部10を係合している。
ステージ装置2は、基板ステージ(可動部)PSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤4と、基板ステージPSTをX軸方向に案内しつつ移動自在に支持するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35に設けられ、基板ステージPSTをX軸方向に移動可能なXリニアモータ(リニアモータ、駆動装置)40と、Xガイドステージ35をY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ、駆動装置)30、30とを有している。基板ステージPSTは感光基板Pを真空吸着保持する基板ホルダPHを有しており、感光基板Pは基板ホルダPHを介して基板ステージPSTに支持される。また、基板ステージPSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング37が設けられており、これらエアベアリング37により基板ステージPSTは基板定盤4に対して非接触で支持されている。また、基板定盤4はベースプレート6の上方に防振ユニット13を介してほぼ水平に支持されている。
Xガイドステージ35の+X側には、Xトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。また、Xトリムモータ34の固定子34bはリアクションフレーム5に設けられている。このため、基板ステージPSTをX軸方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34及びリアクションフレーム5を介してベースプレート6に伝達される。
図3は基板ステージPSTを有するステージ装置2の概略斜視図である。図3に示すように、ステージ装置2は、X軸方向に沿った長尺形状を有するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35で案内しつつ基板ステージPSTをX軸方向に所定ストロークで移動可能なXリニアモータ40と、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられ、このXガイドステージ35を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ30、30とを備えている。
Xリニアモータ40は、Xガイドステージ35にX軸方向に延びるように設けられたコイルユニットからなる固定子41と、この固定子41に対応して設けられ、基板ステージPSTに固定された磁石ユニットからなる可動子42とを備えている。これら固定子41及び可動子42によりムービングマグネット型のリニアモータ40が構成されており、可動子42が固定子41との間の電磁気的相互作用により駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTはXガイドステージ35に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ35に非接触支持された状態でXリニアモータ40によりX軸方向に移動する。
Yリニアモータ30のそれぞれは、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられた磁石ユニットからなる可動子32と、この可動子32に対応して設けられコイルユニットからなる固定子31とを備えている。ここで、固定子31、31はベースプレート6に突設された支持部36、36(図1参照)に設けられている。なお、図1では固定子31及び可動子32は簡略化して図示されている。これら固定子31及び可動子32によりムービングマグネット型のリニアモータ30が構成されており、可動子32が固定子31との間の電磁気的相互作用により駆動することでXガイドステージ35がY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ30、30のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ35はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ30、30により基板ステージPSTがXガイドステージ35とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
図1に戻って、基板ステージPSTの−X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡51が設けられ、X移動鏡51に対向する位置にはレーザ干渉計50が設けられている。レーザ干渉計50はX移動鏡51の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡52とのそれぞれに向けてレーザ光(検出光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてX移動鏡51と参照鏡52との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡53(図1には不図示、図3参照)が設けられ、Y移動鏡53に対向する位置にはYレーザ干渉計(不図示)が設けられており、Yレーザ干渉計はY移動鏡53の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡(不図示)とのそれぞれに向けてレーザ光を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてY移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計の検出結果に基づいてリニアモータ30、40を介して基板ステージPSTの位置制御を行う。
次に、図4〜図6を参照しながら本発明のリニアモータ40(20、30)及び冷却装置の第1実施形態について説明する。以下の説明では基板ステージPSTに設けられたXリニアモータ40について説明するが、Yリニアモータ30及びマスクステージMSTに設けられたリニアモータ20もほぼ同等の構成を有する。
図4はリニアモータ(リニアモータ装置)40の概略斜視図である。図4に示すように、リニアモータ40は、X軸方向(所定方向)を長手方向とするコイルユニットからなる固定子41と、磁石ユニットからなる可動子42とを備えている。このうち固定子41は、内部空間67を有するハウジング部60と、内部空間67に配置されたコイル70とを有している。コイル70は空芯部71を有しており、空芯部71にはこのコイル70を支持する支持部72が配置されている。コイル70を支持した支持部72は、固定部材としての不図示のねじによりハウジング部60に対して固定される。コイル70はX軸方向(所定方向)に複数並んで配置されている。コイル70には制御装置CONTにより電流量を制御された駆動用電流が流れる。一方、可動子42は複数の磁石81を有し、固定子41のハウジング部60を挟んで設けられたヨーク部80を備えている。磁石81のそれぞれは永久磁石であってヨーク部80に所定方向(X軸方向)に複数並んで取り付けられており、異なる磁極の磁石が交互に並んで配置されている。更に、磁石81はハウジング部60(固定子41)を挟んで異なる磁極どうしが互いに対向して配置されている。
図5は固定子41のコイル70を冷却する冷却装置Sの概略構成図である。図5において、リニアモータ装置40は、ハウジング部60のうち、コイル70が配置されている内部空間67に対して冷媒を供給することによりコイル70を冷却する冷却装置Sを備えている。ハウジング部60は、ハウジング部60の内部空間67と連通しこの内部空間67に対して冷媒を入れる入口部63と、内部空間67と連通しこの内部空間67の冷媒を外部に出す出口部64とを備えている。入口部63はハウジング部60の長手方向(X軸方向、所定方向)一端部に設けられ、出口部64はハウジング部60の長手方向他端部に設けられている。そして、冷却装置Sは冷媒を入口部63を介して内部空間67に供給する。入口部63を介して内部空間67に供給された冷媒は内部空間67を流通した後、出口部64から出るようになっている。
冷却装置Sにより内部空間67に供給される冷媒は、固体、液体、及び気体のうち異なる2つ以上の状態からなる冷却物質を含んでいる。本実施形態において、冷媒は、冷却物質からなる第1要素としての液体とこの液体内に分散された冷却物質からなる第2要素としての固体とにより構成されている。すなわち、本実施形態においては、第1要素と第2要素とは異なる相として設けられている。ここで、以下の説明において、冷却物質からなる液体を「液体物質」、冷却物質からなる固体を「固体物質」と適宜称する。冷却物質としては不活性なものが好ましく、例えば、ハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)や、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)などが挙げられる。あるいは冷却物質は水であってもよい。冷却物質が水である場合、冷媒は水(液体物質)とこの水に分散された氷(固体物質)とにより構成される。なお、冷媒には冷却物質としての水及び氷以外の物質が混合されてもよい。また、冷媒としては、水(液体物質)に粒子状の氷(固体物質)が分散されたもでもよいし、シャーベット状のものでもよい。また、混合物あるいは溶液は、スラリー状であってもよい。いずれの場合であっても、所定の熱量が第1要素(本実施形態においては液体物質)及び第2要素(本実施形態においては固体物質)のそれぞれに吸収されたとき、第2要素は第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する。また、コイル70の表面には導線自体が冷媒に直接触れないように表面処理が施されている。
冷却装置Sは、前記冷媒に含まれるべき固体物質(例えば氷)を生成する固化装置90と、前記冷媒に含まれるべき液体物質(例えば水)の温度を調整する温度調整装置91と、固化装置90で生成された固体物質と温度調整装置91で温度調整された液体物質とを混合する混合装置92と、混合装置92で生成した冷媒(液体物質と固体物質との混合物)をハウジング部60の内部空間67に供給するポンプ(供給装置)93とを備えている。固化装置90で生成された固体物質は流路101を介して混合装置92に対して供給され、温度調整装置91で温度調整された液体物質は流路102を介してポンプ94の駆動により混合装置92に対して供給される。温度調整装置91は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは温度調整装置91により混合装置92(ひいては内部空間67)に供給する液体物質の温度を調整する。また、流路101には弁95が設けられ、流路102には弁96が設けられている。これら弁95、96の動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは、弁95により固化装置90から混合装置92に対して供給される固体物質の量(単位時間当たりの供給量)を調整するとともに、弁96により温度調整装置91から混合装置92に対して供給される液体物質の量(単位時間当たりの供給量)を調整可能である。また、固化装置90は液体物質を凝固点以下に冷却することによりこの液体物質を固体物質に変換するものである。そして、固化装置90は液体物質を固体物質にした後、この固体物質を粉砕して粒子状にしてから混合装置92に供給する。なお、本実施形態において、混合装置92は固体物質と液体物質とを攪拌することで混合して冷媒を生成し、供給装置としてのポンプ93が生成された冷媒を内部空間67に供給する構成であるが、例えば混合装置92をインジェクション装置により構成し、作動流体の作用により混合及び供給する構成でもよい。
次に、上述した冷却装置Sを用いてリニアモータ40を冷却する方法について説明する。
冷却装置Sはコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に対して冷媒を供給する。冷却装置Sでは、混合装置92に対して固化装置90から固体物質が所定量供給されるとともに、温度調整装置91から液体物質が所定量供給される。ここで、制御装置CONTは弁95、96を調整し、混合装置92に対して供給する固体物質及び液体物質のそれぞれの量を調整する。これにより、制御装置CONTは混合装置92で混合する固体物質と液体物質との混合比を設定する。
混合装置92は供給された固体物質及び液体物質を所定の混合比で混合し、冷媒を生成する。生成された冷媒はポンプ93により入口部63を介してコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に供給される。内部空間67に供給された冷媒は、コイル70の熱を吸収しながら複数のコイル70の並び方向(X軸方向、所定方向)に沿って流れる。ここで、冷媒に含まれている固体物質は、制御装置CONTの制御により駆動電流が供給され発熱したコイル70の熱を吸収することにより徐々に溶解する(例えば固体状態から液体状態に変化する)。このとき、冷媒に含まれる固体物質は、固体状態から液体状態へ状態変化するときにコイル70の熱を吸収する。つまり、冷媒は冷却物質の固体状態から液体状態への状態変化によりコイル70の熱を吸収してコイル70を冷却する。コイル70は冷却物質の状態変化による吸熱、すなわち、冷却物質が状態変化する際の潜熱により冷却される。したがって、冷媒はコイル70を冷却する間、温度上昇しない。
コイル70の熱を吸収しつつ内部空間67を出口部64に向かって流れる冷媒はやがて出口部64からハウジング部60の外部に出る。ここで、出口部64から出る冷媒に含まれる固体物質の量は、入口部63に入る固体物質の量に対して少ない。これは、内部空間67を流通してコイル70の熱を吸収することで固体物質が溶解するためである。出口部64から出た冷媒は、流路103を流れた後、流路104と流路105とに分岐する。ここで、流路103(流路104及び流路105)を流れる冷媒中、液体物質が大部分を占め、固体物質は僅かである。分岐した冷媒のうち流路104を流れる冷媒は固化装置90に供給される。固化装置90は、大部分が液体物質である冷却物質を冷却し、液体物質を固体物質に変換する。固化装置90により固体化された冷却物質(固体物質)は再び混合装置92に供給され、再利用される。一方、流路105を流れる冷媒(液体物質)は温度調整装置91に供給されて温度調整される。温度調整装置91により温度調整された冷却物質(液体物質)は再び混合装置92に供給され、再利用される。このように、冷却物質(冷媒)は、混合装置92、ハウジング部60の内部空間67、固化装置90、及び温度調整装置91を含む流路において循環するようになっている。
ところで、本発明の冷却装置Sは、冷却物質の状態変化に基づく潜熱により温度上昇を伴わずにコイル70を冷却する構成である。したがって、入口部63から内部空間67に供給された冷媒に含まれる固体物質の少なくとも一部が、出口部64から出るまで溶解せずに冷媒中に存在していることが必要である。一方、冷媒中に固体物質が過剰に存在すると冷媒の流動性が低下する。したがって、内部空間67に供給される冷媒に含まれる固体物質の量は、状態変化の潜熱でコイル70を冷却可能な範囲において最小量に設定されることが好ましい。そのため、混合装置92は、内部空間67に供給する冷媒中の固体物質と液体物質との混合比を、予め最適値に設定してから供給する。
すなわち、図6(a)に示す模式図のように、入口部63と出口部64とのX軸方向(所定方向)における距離がL1であるハウジング部60内のコイル70を冷却する場合において、X軸方向に複数並んだコイル70のそれぞれを状態変化の潜熱で冷却可能な範囲で最小量となるように、混合装置92は冷媒中の固体物質と液体物質との混合比を設定する。この場合、出口部64近傍において冷媒中には僅かに固体物質が存在する程度である。一方、図6(b)のコイル70のそれぞれが発生する熱量と図6(a)のコイル70のそれぞれが発生する熱量とが同じであると仮定し(全体の熱量は図6(b)の系のほうが図6(a)の系よりも小さい)、すなわち、図6(a)及び図6(b)のそれぞれの系において、単位長さ当たりの発生熱量は同じであると仮定し、図6(b)に示すように入口部63と出口部64との距離がL2である(L2はL1より短い)ハウジング部60内のコイル70を冷却する場合において、図6(a)での混合比を有する冷媒を内部空間67に供給すると、固体物質の量が過剰であり、出口部64近傍においても固体物質が多量に存在する状態が生じ、内部空間67における冷媒の流動性が低下する。したがって、入口部63と出口部64との距離がL2である場合には、図6(c)に示すように、入口部63を介して内部空間67に供給する冷媒中の液体物質に対する固体物質の量を少なく設定することにより、冷媒の良好な流動性が維持される。このように、入口部63と出口部64との距離に応じて液体物質と固体物質との混合比が最適に設定されることにより、冷媒は良好な流動性を維持しつつ所望の冷却効果を発揮できる。
同様に、固体物質と液体物質との混合比がコイル70の発熱量に応じて設定されることによっても、冷媒は良好な流動性を維持しつつ所望の冷却効果を発揮できる。具体的には、コイル70の発熱量が大きい場合には、内部空間67に供給する際の液体物質に対する固体物質の量を多く設定し、コイル70の発熱量が小さい場合には、液体物質に対する固体物質の量を少なく設定することができる。
以上説明したように、リニアモータ40は冷却物質の状態変化に伴う潜熱により冷却される構成であるので、冷却物質の温度上昇を伴わずに冷却される。したがって、入口部63と出口部64との温度分布が発生しないので、装置内の空気の変動(揺らぎ)の発生に伴う光干渉式測長計の測定精度の低下や、出口部64周辺の部材等の熱変形(例えば熱膨張による)といった不都合の発生を抑えることができる。したがって、高いステージ位置決め精度を実現でき、精度良い露光処理を行うことができる。
なお、本実施形態において、混合装置92に対して供給される液体物質は温度調整装置91により温度調整されてから供給される構成であるが、温度調整装置91は、混合装置92に供給する液体物質の温度を、混合装置92において混合される固体物質を溶解させずに、且つ内部空間67に供給されてこの内部空間67を移動した際、出口部64近傍において冷媒中に固体物質を僅かに存在させる程度に調整する。また、リニアモータ40を冷却するための冷却物質の種類(冷却物質が固相から液相に溶解する温度)は、コイル70の目標冷却温度に応じて選択される。
また、本実施形態においては、第1要素としての液体物質と第2要素としての固体物質とは同一の物質(水と氷)である場合について説明したが、第1要素と第2要素とは異なる物質であっても構わない。その場合であっても、第2要素は第1要素の相(例えば液相)とは異なる相(例えば固相)を有している。第1要素と第2要素とを異なる物質で構成する場合、凝固点が異なる物質を選択することが好ましい。これによって固化装置90で第2要素のみを固体化することができ、第1要素と第2要素とを分離することが可能となる。
また、第2要素は、ゲル化剤によりゲル化されたゲル状の物質であってもよい。ゲルは、固相(凍った状態)と液相(正確には凍っていない状態)との間で相変化可能である。また、ゲルは凍っていない状態のゲルの中で存在することもできるし、例えば固相と液相との間で相変化する材料(例えば氷や水の粒子)を内部に分散された状態で有することもできる。ゲルは相変化する必要はないが、ゲル(第2要素)を分散した液体(第1要素)と比べて高い熱容量を有する材料によって形成されている必要がある。熱容量とは、ある量の物質の温度を所定量(例えば摂氏1度)だけ上昇させるためにその物質に与える熱量である。例えば、10ワットの熱エネルギーを吸収したときに温度が1℃上昇する第1の材料は、2ワットの熱量を吸収したときに温度が1℃上昇する第2の材料よりも高い熱容量を有している。したがって、例えば、第2要素としてのゲルが第1要素としての水に混合されている場合、ゲルは、水の熱容量よりも高い熱容量を有する。この場合、ゲルはリニアモータ装置のコイルから発生した熱の大部分を吸収し、冷媒の温度(水およびその水に分散されたゲルの温度)の上昇量は、単に水だけを用いる場合に比べて、かなり少ない量となる。このように、ハウジング部60の入口部63と出口部64との間での冷媒の温度上昇は、第2要素が相変化する冷媒を用いた上記実施形態に比べると大きいが、第1要素と第2要素とで構成されない従来の冷媒よりは改善され、温度上昇が小さくなっている。上述のゲル(例えば、相変化しないゲル)を使用した場合は、固化装置90はゲルを固体化せず、単に冷却器として働いてゲルの温度を低下させるためだけに用いても良い。
次に、本発明のリニアモータ装置及び冷却装置の第2実施形態について図7及び図8を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、上述した第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7において、冷却装置Sは、粒子状の保持部材200の内部に冷却物質(第2要素)が封入された冷却部材が所定の液体(第1要素)中に分散されている冷媒を用いてリニアモータ40のコイル70を冷却するものである。冷却装置Sは、リニアモータ40のハウジング部60の内部空間67に供給するべき液体の温度を調整する温度調整装置91と、保持部材200に保持されている冷却物質を固体化する固化装置90と、温度調整装置91で温度調整された液体と固化装置90により固体化された冷却物質を保持している保持部材200とを混合する混合装置92と、混合装置92で生成した冷媒をハウジング部60の内部空間67に供給する供給装置としてのポンプ93とを備えている。ポンプ93は流路106及び入口部63を介して冷媒を内部空間67に供給する。また、流路106の途中には、ポンプ93で内部空間67に供給する冷媒を攪拌する攪拌装置97が設けられている。これにより、液体と保持部材200との比重が異なっていても、攪拌装置97による攪拌により保持部材200は液体中に均一に分散されてから内部空間67に供給されるようになっている。なお、攪拌装置97は混合装置92とハウジング部60との流路中であれば任意の位置に設置可能である。あるいは、攪拌装置97がハウジング部60の内部空間67の入口部63近傍に設けられた構成であってもよい。
また、ハウジング部60の内部空間67を通過した冷媒は出口部64よりハウジング部60の外部に出るようになっており、出口部64に接続する流路103の途中には、冷媒中に含まれる保持部材200を回収する回収装置98が設けられている。回収装置98は、保持部材200を捕集可能なフィルタ部98Aを備えており、出口部64から出た冷媒中の保持部材200はフィルタ部98Aに捕集される。
図8は保持部材200の第1実施例を示す図であって、図8(a)は外観図、図8(b)は図8(a)の断面図である。図8に示すように、保持部材200はカプセル状部材であって中空部201を有する球状部材である。保持部材200は例えば外径数mm〜数μm程度の大きさを有する。そして、中空部201に、固相、液相、気相に相変化可能な冷却物質が配置されている。ここで、冷却物質としては、第1実施形態同様、ハイドロフルオロエーテルやフッ素系不活性液体などが挙げられる。あるいは冷却物質は水であってもよい。また、中空部201に配置される冷却物質は所定のゲル化剤によりゲル化されたゲル状の冷却物質であってもよい。そして、中空部201に保持されている冷却物質は、保持部材200に保持された状態でハウジング部60の内部空間67に供給された際、相変化に伴う潜熱により熱量を吸収する。また、冷却物質として、保持部材200が分散される液体よりも熱容量の大きな物質を用いることもできる。この場合、冷却物質は相変化をすることなく熱量を吸収することができるが、冷媒の温度は僅かに上昇する。ただし、その温度上昇は、保持部材200を有しない冷媒を用いた場合に比べて小さな温度上昇である。
一方、本実施形態において、保持部材200が分散される液体は、保持部材200に保持されている冷却物質とは異なる材料により構成されている。例えば、保持部材200に保持されている冷却物質が水(氷)である場合、液体はハイドロフルオロエーテルである。こうすることにより、冷却物質が相変化する温度(例えば固体から液体へ)を、保持部材を分散した液体が固相と液相との間で相変化する温度に対して異なる値に設定することが可能となる。したがって、コイル70の目標冷却温度に応じて冷却物質の種類を選択することにより液体の温度上昇を生じさせることなくコイル70の冷却動作を行うことができる。なお、保持部材200に保持されている冷却物質と、保持部材200が分散される液体とが同じ材料により構成されてもよい。
保持部材200は例えばセラミックスにより形成されている。あるいは、保持部材200は金属等の磁性体により構成されていてもよい。冷却物質を保持した保持部材200は、混合装置92で混合される液体に対してほぼ同じ比重を有することが好ましい。例えば、保持部材200に保持されている冷却物質の比重が液体の比重より大きい場合には、保持部材200の材料は液体の比重より小さい材料に選択される。これにより、冷却物質を保持した保持部材200は液体中に均一に分散される。
また、保持部材200を金属などの磁性体により形成した場合、回収装置98に磁力発生装置を設けておくことにより、回収装置98は磁力発生装置の磁力により保持部材200を回収できる。
次に、上述した構成を有する保持部材200が液体に分散されている冷媒を用いてコイル70を冷却する方法について説明する。
冷却装置Sはコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に対して冷媒を供給する。冷却装置Sでは、混合装置92に対して固化装置90により固体化された冷却物質(固体物質)を封入した粒子状の保持部材200が所定量供給されるとともに、温度調整装置91により温度調整された液体が所定量供給される。ここで、制御装置CONTは弁95、96を調整し、混合装置92に対して供給する保持部材200及び液体のそれぞれの量を調整する。これにより、制御装置CONTは混合装置92で混合する保持部材200と液体との混合比を設定する。
混合装置92は供給された保持部材200及び液体を所定の混合比で混合し、冷媒を生成する。生成された冷媒はポンプ93により入口部63を介してコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に供給される。内部空間67に供給された冷媒は、コイル70の熱を吸収しながら複数のコイル70の並び方向(X軸方向、所定方向)に沿って流れる。ここで、冷媒に含まれている保持部材200に封入されている固体物質はコイル70の熱を保持部材200を介して吸収することにより徐々に溶解する。このとき、保持部材200に保持されている固体物質は、固体状態から液体状態へ状態変化するときにコイル70の熱を吸収する。つまり、冷媒は冷却物質の固体状態から液体状態への状態変化によりコイル70の熱を吸収してコイル70を冷却する。コイル70は冷却物質の状態変化による吸熱、すなわち、冷却物質が状態変化する際の潜熱により冷却される。したがって、冷媒はコイル70を冷却する間、温度上昇しない。このように、コイル70を冷却している間、冷媒は温度上昇しない。なお、相変化しないが比較的高い熱容量を有するゲルが使われている場合、出口部63の温度は入口部64の温度よりも高くなる可能性がある。しかし、この温度差は液体だけを冷媒として使ったときよりも僅かである。
コイル70の熱を吸収しつつ内部空間67を出口部64に向かって流れる冷媒はやがて出口部64からハウジング部60の外部に出る。ここで、出口部64から出る冷媒中の保持部材200に保持されている冷却物質は、内部空間67を流通してコイル70の熱を吸収することで固体物質から液体物質に変換されている。出口部64から出た冷媒は、流路103を介して回収装置98に流れる。回収装置98は、冷媒に含まれている保持部材200を回収する。回収装置98に回収された保持部材200は流路104を介して固化装置90に供給される。固化装置90は保持部材200に保持されている液体物質を固体化して固化物質に変換する。固化装置90により固体化された固体物質を封入した保持部材200は再び混合装置92に供給され、再利用される。一方、流路103を流れる冷媒のうち、回収装置98を通過した液体は、流路105を介して温度調整装置91に供給されて温度調整される。温度調整装置91により温度調整された液体は再び混合装置92に供給され、再利用される。
そして、第2実施形態においても、入口部63から内部空間67に供給される複数の保持部材200のそれぞれに保持されている冷却物質(固体物質)の少なくとも一部が、出口部64から出るまで溶解せずに固体状態を維持していることが必要である。そのため、混合装置92は、内部空間67に供給する冷媒中の保持部材200と液体との混合比を、予め最適値に設定してから供給する。そして、混合装置92は、この保持部材200と液体との混合比を、コイル70の発熱量に応じて設定する。あるいは、混合装置92は、保持部材200と液体との混合比を、ハウジング部60の入口部63と出口部64との距離に応じて設定する。
図9は保持部材200の製造工程の一例を示す図である。図9(a)に示すように、保持部材200の中空部201に対して注射針状の注入装置202が孔200Aを介して挿入される。そして、注入装置202により中空部201に冷却物質が注入される。このとき、冷却物質がゲル状物質であると注入動作を円滑に行うことができる。そして、中空部201に冷却物質が注入されたら、注入装置202が配置されていた保持部材200の孔200Aが封止部材203により封止される。この場合においても、冷却物質がゲル状物質により構成されていることにより、中空部201内の冷却物質は孔200Aを介して外部に漏出し難くなっているため、封止部材203を孔200Aに配置する際の作業性が向上される。
なお、図9に示す保持部材200の製造工程は一例であって、保持部材200は他の製造方法により製造されてもよい。例えば、2つもしくはそれ以上の半球状部材を用意し、半球状部材の凹部に冷却物質を配置した後、これら2つの半球状部材どうしを貼り合わせることにより、冷却物質を保持した保持部材200が製造可能である。
ところで、保持部材200の内部圧力は任意に設定可能である。例えば保持部材200の中空部201内を減圧したい場合には、図9に示した方法によって中空部201に冷却物質を注入後、孔200Aから中空部201の空気を吸引すればよい。あるいは、図9に示した作業を減圧環境下において行うことにより保持部材200の圧力を減圧することができる。一方、保持部材200の中空部201内を加圧したい場合には、図9に示した注入装置202を用いて、保持部材200の中空部201に所定の流体(空気など)を所定量注入すればよい。上述したようなさまざまな方法により、保持部材200の内部圧力を調整可能である。そして、保持部材200の中空部201の圧力を調整することにより、保持部材200の中空部201に保持されている冷却物質が固体状態から液体状態に変換される温度(相変化温度)を調整することができる。すなわち、保持部材200の内部圧力を冷却物質の目標相変化温度に基づいて設定することが可能であり、内部圧力を調整することによりコイル70を任意の温度に冷却可能となる。
図10は保持部材の第2実施例を示す図であって、図10(a)は外観図、図10(b)は図10(a)の断面図である。図10に示す保持部材210は、例えば固相、液相、気相の少なくとも2相における相変化により熱量を吸収する冷却物質(または高い熱容量を持つゲル)を保持する粒子状部材であって、冷却物質を保持する内部空間211と、内部空間211と外部とを連通する複数の連通孔(スルーホール)212とを有している。図10において、内部空間211は保持部材210内部に形成された中空部であり、冷却物質はこの中空部(内部空間)211に保持されている。そして、図8に示した保持部材200同様、保持部材210は保持した冷却物質を固化装置90で固体化されてから混合装置92に供給される。混合装置92は、固化装置90からの保持部材210及び温度調整装置91からの液体を混合し、ハウジング部60の内部空間67に供給する。
保持部材210に保持される冷却物質としては、上述した実施形態同様、ハイドロフルオロエーテルやフッ素系不活性液体などが挙げられる。あるいは冷却物質は水であってもよい。そして、中空部211に保持されている固体状の冷却物質は、保持部材210に保持された状態でハウジング部60の内部空間67に供給された際、相変化に伴う潜熱により熱量を吸収する。ここで、中空部211に配置される冷却物質をゲル状物質とすることにより取り扱いが容易となる。ゲルは相変化する間、一定の温度を維持して熱を吸収する。あるいはゲルは相変化しないで熱を吸収可能であるが、ゲル(あるいはゲルを保持した保持部材)を分散した液体の熱容量よりも高い熱容量を有しているため、冷媒は僅かに温度上昇する。
本実施形態において、保持部材210が分散される液体は、保持部材210に保持されている冷却物質と同じ材料により構成されている。例えば、保持部材210に保持されている冷却物質が氷(水)である場合、液体は水である。こうすることにより、連通孔212を介して中空部211より液体中に移動した冷却物質と液体とは分離せず、また、液体が連通孔212を介して中空部211に配置され、固化装置90で固体化可能となる。
本実施形態において、連通孔(スルーホール)212は、冷却物質が毛細管現象によって保持部材210に保持されるように、適度な大きさであることが好ましい。保持部材210は芯(ウイック(wick))のように振る舞い、保持部材210を混合した液体(例えばハイドロフルオロエーテル)とは異なる冷却物質(例えば水/氷)を表面張力によって堅固に保持する。なお、保持部材210に保持されている冷却物質と、保持部材210が分散される液体とが同じ材料により構成されてもよい。
保持部材210は例えばセラミックス、あるいは金属からなる磁性体により構成されている。保持部材210を磁性体とすることにより、回収装置98に磁力発生装置を設けておくことで保持部材210を磁力により回収できる。また、冷却物質を保持した保持部材210は、混合装置92で混合される液体に対してほぼ同じ比重を有することが好ましい。これにより、冷却物質を保持した保持部材210は液体中に均一に分散される。
次に、上述した構成を有する保持部材210が液体に分散されている冷媒を用いてコイル70を冷却する方法について説明する。
制御装置CONTの制御によりコイル70に駆動用電流が供給されてコイル70が発熱すると、冷却装置Sはコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に対して冷媒を供給する。冷却装置Sでは、混合装置92に対して固化装置90から固体化された冷却物質(固体物質)を中空部211に保持した粒子状の保持部材210が所定量供給されるとともに、温度調整装置91から温度調整された液体が所定量供給される。ここで、制御装置CONTは弁95、96を調整し、混合装置92に対して供給する保持部材200及び液体のそれぞれの量を調整する。これにより、制御装置CONTは混合装置92で混合する保持部材210と液体との混合比を設定する。
混合装置92は供給された保持部材210及び液体を所定の混合比で混合し、冷媒を生成する。生成された冷媒はポンプ93により入口部63を介してコイル70が配置されているハウジング部60の内部空間67に供給される。内部空間67に供給された冷媒は、コイル70の熱を吸収しながら複数のコイル70の並び方向(X軸方向、所定方向)に沿って流れる。ここで、冷媒に含まれている保持部材210に保持されている固体物質はコイル70の熱を吸収することにより徐々に溶解する。このとき、保持部材210に保持されている固体物質は、固体状態から液体状態へ状態変化するときにコイル70の熱を吸収する。つまり、冷媒は冷却物質の固体状態から液体状態への状態変化によりコイル70の熱を吸収してコイル70を冷却する。コイル70は冷却物質の状態変化による吸熱、すなわち、冷却物質が状態変化する際の潜熱により冷却される。したがって、冷媒はコイル70を冷却する間、温度上昇しない。コイル70の熱を吸収することにより溶解した冷却物質は、連通孔212を介して外部の液体中に移動する。外部に移動した冷却物質は液体と混合した状態でハウジング部60の内部空間67中を移動する。一方、保持部材210を分散している液体の一部は、連通孔212を介して中空部211に移動する。
コイル70の熱を吸収しつつ内部空間67を出口部64に向かって流れる冷媒はやがて出口部64からハウジング部60の外部に出る。出口部64から出た冷媒は、流路103を介して回収装置98に流れる。出口部64から出る冷媒に含まれる保持部材210の中空部211の冷却物質は液体状に変換されている。液体(及びこの液体と同じ材料からなる液体物質)は連通孔212を介して保持部材210の中空部211と外部との間を移動しつつ、流路103を流通する。回収装置98は冷媒に含まれている保持部材210を回収する。回収装置98に回収された保持部材210は液体の一部とともに流路104を介して固化装置90に供給される。固化装置90は保持部材210の中空部211に保持されている液体(液体物質)を固体化し、中空部211の液体(液体物質)を固体物質に変換する。固化装置90により固体化された固体物質を保持した保持部材210は再び混合装置92に供給され、再利用される。一方、流路103を流れる冷媒のうち、回収装置98を通過した液体は、流路105を介して温度調整装置91に供給されて温度調整される。温度調整装置91により温度調整された液体は再び混合装置92に供給され、再利用される。
図11は保持部材の第3実施例を示す図であって、図11(a)は保持部材の外観図、図11(b)は図11(a)の断面図である。図11に示す保持部材220は、多孔質体で形成され、多孔質体内部に冷却物質を保持している。すなわち、図11に示す保持部材220において、多孔質体の複数の孔部221のうち一部の孔部が冷却物質を保持する内部空間となっている。保持部材220は、例えば焼結金属粒子、焼結金属繊維などの多孔質材料(ウィックのような液体吸収能力のあるもの)により形成されている。図11に示す保持部材220を用いてコイル70を冷却する際には、図10に示した保持部材210同様、まず、固化装置90で保持部材220に保持されている冷却物質(液体物質)が固体化される。そして、混合装置92は固化装置90で生成された固体物質を保持する保持部材220と温度調整装置91から供給され冷却物質と同じ材料からなる液体とを混合する。混合装置92で生成された冷媒は、ポンプ93によりハウジング部60の内部空間67に供給される。ハウジング部60の内部空間67を流れる保持部材220に保持されている固体物質はコイル70の熱を吸収し、熱を吸収することにより溶解する。出口部64よりハウジング部60の外部に出た冷媒は流路103を流れる。流路103を流れる冷媒中、保持部材220は回収装置98に回収された後、液体の一部とともに固化装置90に搬送され、次いで混合装置92に搬送されて再利用される。一方、回収装置98を通過した液体の残りの一部は温度調整装置91に搬送されて温度調整された後、混合装置92に搬送されて再利用される。
なお、上記第1、第2の各実施形態において、コイル70は冷却物質の固相から液相に相変化する際の潜熱に基づく吸熱により冷却される構成であるが、冷却物質の液相から気相に相変化する際の潜熱に基づいて冷却される構成であってもよい。
なお、上記各実施形態におけるリニアモータは、コイルユニットを固定子とし、磁石ユニットを可動子とした所謂ムービングマグネット型のリニアモータとして説明したが、コイルユニットを可動子とし、磁石ユニットを固定子としたムービングコイル型のリニアモータにも適用可能である。この場合、可動子であるコイルユニットがステージPST、MSTに接続し、固定子である磁石ユニットがステージPST、MSTの移動面側(ベース)に設けられる。
なお、上記実施形態の感光基板Pとしては、半導体デバイス用の半導体ウエハのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと感光基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、ウエハに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限られず、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、露光用照明光の光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、Fレーザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB)、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、マスクMを用いる構成としてもよいし、マスクMを用いずに直接ウエハ上にパターンを形成する構成としてもよい。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高周波などを用いてもよい。
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、FレーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクMも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系PLを用いることなく、マスクMと基板Pとを密接させてマスクMのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
上記実施形態のように基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイスは、図12に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ301、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ302、デバイスの基材である基板を製造するステップ303、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ304、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)305、検査ステップ306等を経て製造される。
コイルは、冷却物質の状態変化による潜熱により冷却されるので、冷却物質は温度上昇することなくコイルを冷却できる。したがって、リニアモータ装置の各位置における温度分布の発生が回避され、装置の熱変形や、装置内の空気の変動(揺らぎ)の発生を防止することができる。したがって、ステージ装置の位置精度及び露光精度の高精度化を実現することができる。
以上、上述した好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態や説明に限定されない。反対に本発明は、種々の修飾や等価の脚色を含むことを意図している。また、上述の実施形態においては、種々のエレメントの典型的な結合や配置が示されているが、別の結合や配置であってもよいし、1つのエレメントが本発明の範疇の範囲内に含まれるものである。
ステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。 マスクステージを示す概略斜視図である。 基板ステージを示す概略斜視図である。 リニアモータ装置の一実施形態を示す概略斜視図である。 リニアモータ装置及び冷却装置の第1実施形態を示す概略構成図である。 リニアモータ装置の入口部と出口部との距離に応じて固体状及び液体状の冷却物質の混合比が設定される様子を説明するための図である。 リニアモータ装置及び冷却装置の第2実施形態を示す概略構成図である。 保持部材の第1実施例を示す図であって、図8(a)は外観図、図8(b)は(a)の断面図である。 保持部材の製造工程の一例を示す図である。 保持部材の第2実施例を示す図であって、図10(a)は外観図、図10(b)は(a)の断面図である。 保持部材の第3実施例を示す図であって、図11(a)は外観図、図11(b)は(a)の断面図である。 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
1、2…ステージ装置、20、30、40…リニアモータ(リニアモータ装置)、60…ハウジング部、63…入口部、64…出口部、67…(ハウジング部の)内部空間、70…コイル、90…固化装置、92…混合装置、93…ポンプ(供給装置)、97…攪拌装置、98…回収装置、98A…フィルタ部、200、210、220…保持部材、201…中空部、211、221…(保持部材の)内部空間、212…連通孔、EX…露光装置、MST…マスクステージ(ステージ装置)、PST…基板ステージ(ステージ装置)、S…冷却装置

Claims (71)

  1. 第1要素と;
    前記第1要素に分散された第2要素と;
    を備え、
    所定の熱量が前記第1及び第2要素のそれぞれに吸収されたとき、前記第2要素は前記第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する冷媒。
  2. 前記第2要素は所定の熱量を吸収するために相変化する請求項1記載の冷媒。
  3. 前記第2要素は所定の熱量を吸収するために固相から液相に変化する請求項2記載の冷媒。
  4. 前記第2要素は前記第1要素と同じ物質であり、前記第1要素とは異なる相として設けられている請求項2記載の冷媒。
  5. 前記第2要素は前記第1要素とは異なる物質であり、前記第1要素とは異なる相として設けられている請求項2記載の冷媒。
  6. 更に、保持部材を備え、
    前記第2要素は前記保持部材に保持される請求項2記載の冷媒。
  7. 前記第2要素は温度変化無しに所定の熱量を吸収する請求項2記載の冷媒。
  8. 前記第2要素は前記第1要素よりも高い熱容量を有する請求項1記載の冷媒。
  9. 前記第2要素は、その第2要素が所定の熱量を吸収したとき、相変化しない請求項8記載の冷媒。
  10. 更に、保持部材を備え、
    前記第2要素は保持部材に保持される請求項8記載の冷媒。
  11. 前記第2要素はゲルである請求項8記載の冷媒。
  12. 更に、保持部材を備え、
    前記第2要素は保持部材に保持される請求項1記載の冷媒。
  13. 前記保持部材は中空であり、その中に第2要素が配置される請求項12記載の冷媒。
  14. 前記保持部材は溝を含み、その溝に第2要素が配置される請求項12記載の冷媒。
  15. 前記保持部材は孔を含み、その孔に第2要素が配置される請求項12記載の冷媒。
  16. 前記保持部材は磁性体からなる請求項12記載の冷媒。
  17. 前記第2要素は所定の熱量を吸収するために液相から気相に変化する請求項2記載の冷媒。
  18. 内部空間を有するハウジングと;
    前記ハウジングの内部空間に配置されるコイルと;
    請求項1記載の冷媒を使って前記コイルを冷却する冷却装置と;
    を備え、
    前記冷却装置は:
    前記ハウジングの出口から前記ハウジングの入口に向かって設けられ、冷媒が流れる流路と;
    前記流路中に設けられ、第1要素と第2要素とを混合する混合装置と;
    前記混合装置で混合された冷媒を前記ハウジングの内部空間に供給するポンプと;
    を備えたリニアモータ装置。
  19. 前記混合装置は、コイルから発生する熱量に応じて、前記第1要素と前記第2要素との混合比を設定する請求項18記載のリニアモータ装置。
  20. 更に、前記ハウジングの内部空間に前記冷媒を入れる入口より前に、少なくとも前記第2要素から熱を奪う冷却装置を備えた請求項18記載のリニアモータ装置。
  21. 請求項18記載のリニアモータ装置を備えたステージ装置。
  22. マスクを保持するマスクステージ及び基板を支持する基板ステージを備え、
    マスクステージ及び基板ステージのうち少なくともいずれか一方に請求項21記載のステージ装置が使われている露光装置。
  23. 請求項22記載の露光装置によって製造されたデバイス。
  24. 物体の冷却方法であって:
    前記物体に冷媒を流す工程を含み、
    前記冷媒は、第1要素とその第1要素に分散された第2要素とを含み、所定の熱量が前記第1及び第2要素のそれぞれに吸収されたとき、前記第2要素は前記第1要素よりも少ない量だけ温度上昇する冷却方法。
  25. 更に、冷媒を所定の温度に維持するために、前記物体を通過した後の冷媒のうち少なくとも前記第2要素から熱を奪う請求項24記載の方法。
  26. 前記第2要素は所定の熱量を吸収するために相変化し、
    前記第2要素から熱を奪って第2要素の相を変える工程を含む請求項25記載の方法。
  27. 前記第2要素は所定の熱量を吸収するために固相から液相に変化し、
    前記第2要素から熱を奪って前記第2要素を固相に戻す工程を含む請求項26記載の方法。
  28. 前記第2要素は前記第1要素と同じ物質であり、前記第2要素から熱を奪う工程が行われた後、前記第1要素とは異なる相として設けられる請求項26記載の方法。
  29. 前記第2要素は前記第1要素とは異なる物質であり、前記第2要素から熱を奪う工程が行われた後、前記第1要素の相とは異なる相として設けられる請求項26記載の方法。
  30. 前記第2要素は保持部材に保持される請求項26記載の方法。
  31. 前記第2要素は温度変化無しに所定の熱量を吸収する請求項26記載の方法。
  32. 前記第2要素は第1要素よりも高い熱容量を有する請求項24記載の方法。
  33. 前記第2要素は、その第2要素が所定の熱量を吸収したとき、相変化しない請求項32記載の方法。
  34. 前記第2要素は保持部材に保持される請求項32記載の方法。
  35. 前記第2要素はゲルである請求項32記載の方法。
  36. 前記第2要素は保持部材に保持される請求項24記載の方法。
  37. 前記保持部材は中空であり、その中に第2要素が配置される請求項36記載の方法。
  38. 前記保持部材は溝を含み、その溝に第2要素が配置される請求項36記載の方法。
  39. 前記保持部材は孔を含み、その孔に第2要素が配置される請求項36記載の方法。
  40. 冷却される物体はリニアモータ装置のハウジングの内部空間に配置されたコイルであり、そのコイルに冷媒を通過させることによりコイルを冷却する冷却装置を有し、更に、
    第1要素と第2要素とを混合する工程と;
    混合された冷媒をハウジングの内部空間にポンプを使って供給する工程と;
    を含む請求項24記載の方法。
  41. 前記混合する工程は、前記コイルから発生する熱量に応じて、前記第1要素と前記第2要素との混合比を設定することを含む請求項40記載の方法。
  42. 前記リニアモータ装置はステージ装置の一部である請求項40記載の方法。
  43. 前記ステージ装置はマスクを保持するマスクステージ及び基板を支持する基板ステージを備えた露光装置の一部であって、そのステージ装置はマスクステージ及び基板ステージのうち少なくともいずれか一方に使われている請求項42記載の方法。
  44. 中空部分、溝、及び孔のうち少なくとも1つを有する保持部材と;
    固相、液相、気相間の少なくとも2相間における相変化により熱量を吸収する冷却物質と;
    を備え、
    冷却物質は、保持部材の中空部分、溝、及び孔のうち少なくとも1つに保持される冷却部材。
  45. 前記保持部材の内部圧力は冷却物質の目標相変化温度に基づいて設定されている請求項44記載の冷却部材。
  46. 前記保持部材は磁性体からなる請求項44記載の冷却部材。
  47. 前記冷却物質はゲルである請求項44記載の冷却部材。
  48. 所定の液体に分散された請求項44記載の冷却部材を含む冷媒。
  49. 前記所定の液体は前記冷却物質とは異なる物質である請求項48記載の冷媒。
  50. 前記所定の液体は前記冷却物質と同じ物質である請求項48記載の冷媒。
  51. 前記保持部材は、少なくとも前記冷却物質を保持する内部空間と、前記保持部材の外部と前記内部空間とを接続するスルーホールとを備えた請求項44記載の冷却部材。
  52. 前記内部空間は前記保持部材内部に形成された中空部分であり、前記冷却物質は前記中空部分に保持される請求項51記載の冷却部材。
  53. 前記保持部材は多孔体で形成され、前記内部空間はその多孔体の少なくとも一つの孔であり、前記保持部材はその孔に前記冷却物質を保持する請求項51記載の冷却部材。
  54. 物体の冷却方法であって:
    保持部材に冷却物質を保持する工程と;
    所定の液体に前記保持部材を分散する工程と;
    を含み、
    前記冷却物質が、固相、液相、気相間の少なくとも2相間において相変化することにより周囲から所定の熱量を吸収する物体の冷却方法。
  55. 物体の冷却方法であって:
    冷却物質を保持した保持部材が所定の液体中に分散された冷媒を物体に当てることによってその物体を冷却する工程を含み;
    その保持部材は外部と連通する内部空間を有しており、
    前記冷却物質が、固相、液相、気相間の少なくとも2相間において相変化することにより前記物体より所定の熱量を吸収する冷却方法。
  56. 前記冷却物質は、固体、液体、及び気体のうち少なくとも異なる2つの状態で存在する請求項55記載の冷却方法。
  57. 所定の液体は液体状態の冷却物質であり、保持部材に保持された冷却物質は固体状態である請求項56記載の冷却方法。
  58. 冷媒は、固体状態の冷却物質が液体状態に変化するときに、冷却物質の温度上昇無しに物体より熱を吸収する請求項56記載の冷却方法。
  59. 冷却物質を含む冷媒を使って物体を冷却する冷却装置であって:
    液体状態の前記冷却物質と固体状態の前記冷却物質とを混合する混合装置と;
    混合装置で生成された冷媒を前記物体に供給する供給装置と;
    を備えた冷却装置。
  60. 更に、液体状態から固体状態に前記冷却物質を固体化する固化装置を備えた請求項59記載の冷却装置。
  61. 冷却物質を保持した保持部材が所定の液体に分散されている冷媒を使って物体を冷却する冷却装置であって:
    前記所定の液体と前記保持部材とを混合する混合装置と;
    前記混合装置で生成された冷媒を物体に供給する供給装置と;
    を備えた冷却装置。
  62. 更に、前記保持部材を回収する回収装置を備えた請求項61記載の冷却装置。
  63. 更に、前記保持部材の中にある冷却物質を固体化する固化装置を備えた請求項61記載の冷却装置。
  64. 前記回収装置はフィルタを含む請求項62記載の冷却装置。
  65. 更に、前記供給装置で供給される冷媒を攪拌する撹拌装置を備えた請求項61記載の冷却装置。
  66. 内部空間を有するハウジングとその内部空間に配置されたコイルとを備えたリニアモータ装置であって:
    冷却物質を含む冷媒を使って前記コイルを冷却する冷却装置を備え、
    前記冷却装置は:
    液体状態の前記冷却物質と固体状態の前記冷却物質とを混合する混合装置と;
    前記混合装置で生成された前記冷媒を前記内部空間に供給する供給装置と;
    を備えたリニアモータ装置。
  67. 前記混合装置は、前記コイルから発生する熱量に応じて、液体状態の前記冷却物質と固体状態の前記冷却物質との混合比を設定する請求項66記載のリニアモータ装置。
  68. 内部空間を有するハウジングとその内部空間に配置されたコイルとを備えたリニアモータ装置であって:
    冷却物質を保持した保持部材が所定の液体に分散されている冷媒を使ってコイルを冷却する冷却装置を備え、
    前記冷却装置は:
    前記所定の液体と前記保持部材とを混合する混合装置と;
    前記混合装置で生成された冷媒を前記コイルに供給する供給装置と;
    を備えたリニアモータ装置。
  69. 更に、前記保持部材に保持されている冷却物質の熱を奪う冷却器を備えた請求項68記載のリニアモータ装置。
  70. 請求項66又は68記載のリニアモータ装置を備えたステージ装置。
  71. マスクを保持するマスクステージ及び基板を支持する基板ステージを備え、
    マスクステージ及び基板ステージのうち少なくともいずれか一方に請求項70記載のステージ装置が使われている露光装置。
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