JP2010268604A - モータ装置及びステージ装置並びに露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管を用いることによる悪影響を排除できるモータ装置を提供する。
【解決手段】固定子と可動子の一方にコイル体Cが設けられ、固定子と可動子の他方に発磁体が設けられる。コイル体を収容し、冷媒が装填される第1空間81aを有する第1収容部81と、第1空間との間で冷媒が流動可能に装填される第2空間82aを有する第2収容部82と、冷媒の流動経路に設けられ冷媒の熱を輻射により放熱する放熱装置86と、第2空間に設けられ可動子の移動に伴う慣性力で移動して、冷媒を少なくとも第1空間から放熱装置に向けて流動させる流動装置83とを備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、モータ装置及びステージ装置並びに露光装置に関するものである。
半導体等を製造する際に用いられる露光装置におけるステージ駆動には、発塵がないことや駆動機構の構成が簡単であること等の理由からリニアモータ等のモータ装置が多く用いられている。このステージ駆動用リニアモータには、使用環境の要望から種々の厳格な仕様が求められており、その一つに温度に関する仕様がある。
通常、露光装置のステージ駆動においては、精密な位置決め動作が必要とされ、その動作制御にはステージの位置を計測するための測長器が用いられており、リニアモータ(の可動子)はこの測長器の計測結果を基にサーボ制御されることで、ステージの高精度の位置決めが可能となっている。
ところが、リニアモータの駆動時には、モータからの発熱によって測長器に悪影響を及ぼし、位置決め精度が低下するという問題が生じる。また、コイル体により発生する磁力線は、コイルを収容するケースや永久磁石、それを支持しているヨークに作用するが、導電体であるケースや永久磁石、ヨークに変動磁場が作用すると、その磁場変動を打ち消すように導体表面近傍に渦電流が生じ、ジュール損失による発熱が生じる。
そして、測長器として光干渉測長器を用いた場合に、モータの発熱により周囲の温度が上昇すると空気揺らぎが生じ、光路変化が起こることにより測長器に微小な読取誤差を生じさせる。従って、露光装置においてはモータの温度上昇には厳格な制限が設けられている。
そのため、従来からリニアモータの温度上昇を抑えるために種々の工夫がなされおり、例えば特許文献1には発熱体であるコイルをハウジング内に封入して電機子を構成し、この電機子内に冷媒を流出入させて冷却する方法が開示されている。また、磁石を支持して閉磁路を形成するヨークを冷却する技術として、特許文献2にはヨークに冷媒用流路を設けたリニアモータが開示されている。また、特許文献3には、ヨークを薄板からなる積層鋼板で形成することにより渦電流の発生を低減させ、ヨークの発熱を抑える技術が開示されている。
特開平8−167554号公報 特開2000−245130号公報 特開平10−146037号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
ステージ内部に配置されたモーターを冷却する冷却液配管や、ステージを所定の温度に保つための冷却液配管が接続されているため、ステージの移動に伴って引張力を与えたり、その反力で微振動を発生させたりして、上述のパターン転写精度を低下させる可能性がある。
また、特に真空環境下(負圧環境下)で露光処理を行う場合には、配管や配管接続部から液体や気体が漏れやすいという問題もある。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、配管を用いることによる悪影響を排除できるモータ装置及びステージ装置並びに露光装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図14に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のモータ装置は、固定子(62A、62B)と可動子(64A、64B)の一方にコイル体(C)が設けられ、固定子と可動子の他方に発磁体が設けられるモータ装置であって、コイル体を収容し、冷媒が装填される第1空間(81a)を有する第1収容部(81)と、第1空間との間で冷媒が流動可能に装填される第2空間(82a)を有する第2収容部(82)と、冷媒の流動経路に設けられ冷媒の熱を輻射により放熱する放熱装置と、第2空間に設けられ可動子の移動に伴う慣性力で移動して、冷媒を少なくとも第1空間から放熱装置に向けて流動させる流動装置と、を備えるものである。
従って、本発明のモータ装置では、可動子が移動すると、その移動に伴う慣性力により流動装置が移動することによって第2空間の冷媒が流動し、第1空間でコイル体の熱を吸熱した冷媒を放熱装置に向けて流動させる。そして、放熱装置は、冷媒が吸熱した熱を輻射により放熱する。このように、本発明では、可動子の移動に伴う慣性力を冷媒の循環の駆動力とし、また吸熱した熱も非接触の輻射で放熱しているため、配管を接続した循環冷却系を構築する必要がなくなり、振動や冷媒の漏れ等の悪影響を排除することが可能になる。
また、本発明のステージ装置は、先に記載のモータ装置を備えるものである。
従って、本発明のステージ装置では、配管の存在に起因する振動等の悪影響がなく、高精度の位置決めが可能なステージ装置を得ることができる。
そして、本発明の露光装置は、先に記載のモータ装置を備えるものである。
また、本発明の露光装置では、配管の存在に起因する振動等の悪影響がなく、高精度の露光処理を実施することができる。
なお、本発明をわかりやすく説明するために、一実施例を示す図面の符号に対応付けて説明したが、本発明が実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明では、配管を用いることによる悪影響を排除した冷却が可能になる。
一実施形態に係る露光装置を概略的に示す図である。 図1のウエハステージ装置を示す斜視図である。 ウエハステージを−X側から見た図である。 ウエハステージ及び固定子ユニットを示す平面図である。 電機子ユニット62A、62BのY軸方向に沿った断面図である。 電機子ユニット62A、62BのY軸方向に沿った断面図である。 電機子ユニット62A、62BのY軸方向に沿った断面図である。 第2実施形態に係る電機子ユニット62A、62BのY軸方向に沿った断面図である。 第3実施形態に係る接続経路の概略構成図である。 第4実施形態に係るウエハステージの概略構成図である。 ステージユニットSUの正面断面図である。 第2収容部82をXY平面で断面した図である。 マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。 図13におけるステップS13の詳細工程の一例を示す図である。
以下、本発明のモータ装置及びステージ装置並びに露光装置の実施の形態を、図1ないし図14を参照して説明する。
ここでは、本発明に係るモータ装置が露光装置においてステージ駆動に用いられる場合について説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
(第1実施形態)
図1には、一実施形態の露光装置10が一部断面して概略的に示されている。
この露光装置10は、マスクとしてのレチクルRと感光物体(及び物体)としてのウエハWとを一次元方向(ここでは、図1における紙面直交方向であるY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを投影光学系PLを介してウエハW上の複数のショット領域にそれぞれ転写する、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
露光装置10は、照明光ILによりレチクルRを照明する照明系12、レチクルRが載置されるレチクルステージRST、レチクルRから射出される照明光ILをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWが載置されるステージ装置20等を備えている。
前記照明系12は、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、あるいは回折光学素子など)等を含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。この照明系12では、回路パターン等が形成されたレチクルR上でX軸方向に細長く延びるスリット状(又は矩形状)の照明領域(この照明領域はレチクルブラインドで規定される)を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)あるいはFレーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
ここで、照明系12内の各駆動部、例えば可変NDフィルタ、レチクルブラインド等は、主制御装置50からの指示に応じ不図示の照明制御装置(露光コントローラ)によって制御される。
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルステージ駆動部22によって、照明系12の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内でX軸方向、Y軸方向及びθz方向(Z軸回りの回転方向)に微少駆動可能であるとともに、レチクルステージベース30の上面に沿って所定の走査方向(Y軸方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。なお、レチクルステージ駆動部22は、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする機構であるが、図1では図示の便宜上から単なるブロックとして示されている。なお、レチクルステージRSTとしては、Y軸方向に一次元駆動する粗動ステージと、該粗動ステージに対してレチクルRを少なくとも3自由度方向(X軸方向、Y軸方向、及びθz方向)に微小駆動可能な微動ステージとを有する粗微動構造のステージを採用しても勿論良い。
レチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報(θz回転量(ヨーイング量)などの回転情報を含む)は主制御装置50に供給される。主制御装置50では、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動部22を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。なお、移動鏡15に代えて、例えば、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成しても良い。
前記投影光学系PLとしては、物体面側(レチクル側)と像面側(ウエハ側)の両方がテレセントリックでその投影倍率が1/4(又は1/5)の縮小系が用いられている。このため、レチクルRに照明系12から照明光(紫外パルス光)ILが照射されると、レチクルR上に形成された回路パターン領域のうちの紫外パルス光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その照明光ILの照射領域(前述の照明領域)内の回路パターンの像(部分倒立像)が紫外パルス光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の視野の中央にX軸方向に細長いスリット状(又は矩形状(多角形))に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
投影光学系PLとしては、照明光ILとしてKrFエキシマレーザ光又はArFエキシマレーザ光などを用いる場合には、屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る屈折系が主として用いられるが、照明光ILとしてFレーザ光を用いる場合には、例えば特開平3−282527号公報及びこれに対応する米国特許第5,220,454号などに開示されるような、屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射系が主として用いられる。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。但し、Fレーザ光を用いる場合に、屈折系を用いることは可能である。
前記ステージ装置20は、投影光学系PLの図1における下方に配置され、ウエハWを保持するステージとしてのウエハステージWST、該ウエハステージWSTをX軸(第1軸)方向に所定ストロークで駆動するとともに、Y軸(第2軸)方向及びZ軸(第3軸)回りの回転方向(θz方向)に微小駆動する第1駆動機構、及び該第1駆動機構と一体的にウエハステージWSTをY軸方向に駆動する第2駆動機構等を備えている。
以下、このステージ装置20の構成各部について、図2を中心に、適宜その他の図面を参照しつつ詳述する。
前記ウエハステージWSTは、クリーンルームの床面Fで複数(例えば3つ)の防振ユニット92を介して略水平に支持された平面視(上方から見て)長方形の第1定盤44の上方に配置されている。この第1定盤44の上面44aは、平坦度が非常に高く仕上げられ、ウエハステージWSTを案内するガイド面とされている。以下においては、第1定盤44の上面44aを「ガイド面44a」とも記述する
上記複数の防振ユニット92は、床面Fから第1定盤44に伝達される微振動(暗振動)を、マイクロGレベルで絶縁する。なお、複数の防振ユニット92として、第1定盤44の所定個所にそれぞれ固定された半導体加速度計等の振動センサの出力に基づいて第1定盤44をそれぞれ積極的に制振する、いわゆるアクティブ防振装置を用いることは勿論可能である。
前記ウエハステージWSTは、図2に示されるように、ウエハWを保持するウエハテーブルWTBと、該ウエハテーブルWTBをZ・チルト駆動機構96a〜96cを介して支持するステージ本体100とを備えている。
ステージ本体100は、図3に示されるように、YZ断面が矩形の枠状体によって構成されている。このステージ本体100は、Z軸方向に関して所定間隔を隔てて配設された天板99a及び底板99bと、当該天板99a及び底板99b相互間にY軸方向に所定間隔を隔てて配置され、両者を連結する2枚の側板99c,99dとを有している。このうち、天板99aとしては、平面視(上方から見て)多角形の板部材が用いられ、残りの板99b、99c、99dとしては、長方形の板部材が用いられている。
底板99bの底面には、図3に示されるように、第1の軸受け機構としての複数の気体静圧軸受け(例えばエアベアリング)94が設けられている。この気体静圧軸受け94から前述した第1定盤44のガイド面44aに向けて加圧気体(例えばヘリウム又は窒素ガス(あるいはクリーンな空気)など)を噴き付けることにより、その加圧気体の静圧とウエハステージWST(全体)の自重との釣り合いによりウエハステージWSTがガイド面44aの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持される。
前記天板99aの下面の中央部には、図3に示されるように、磁極ユニット76Aが固定されている。また、天板99aの下面の磁極ユニット76AのY軸方向の一側及び他側には、一対の磁極ユニット76B,76Cが設けられている。これら磁極ユニット76A〜76Cのうち、磁極ユニット76Aは、YZ断面矩形の磁性体から成る枠状部材31と該枠状部材31の内側の一対の対向面(上面及び下面)にそれぞれ設けられた一対のX軸方向に細長く延びる永久磁石33A、33Bとを備えている。永久磁石33Aと永久磁石33Bとは、互いに逆極性とされている。従って、永久磁石33Aと永久磁石33Bとの間には、磁束の向きが+Z方向(又は−Z方向)の磁界が生じている。
残りの磁極ユニット76B,76Cのうちの一方の磁極ユニット76Bは、YZ断面矩形の磁性体から成る枠状部材35と、該枠状部材35の内側の一対の対向面(上面及び下面)にX軸方向に沿って所定間隔でそれぞれ配設された複数の界磁石37とを有している。この場合、X軸方向に隣り合う界磁石37同士、Z軸方向で向かい合う界磁石37同士は互いに逆極性とされている。このため、枠状部材35の内部空間には、X軸方向に関して交番磁界が形成されている。なお、もう一方の磁極ユニット76Cも前記磁極ユニット76Bと同様に構成されている。
固定子ユニット60は、図3及び図4を総合するとわかるように、X軸方向に延びるYZ断面がH字状の電機子ユニット61Aと、該電機子ユニット61Aの±Y側に所定間隔を隔ててかつ平行に延設された断面H字状の一対の電機子ユニット61B,61Cと、これら電機子ユニット61A〜61Cの長手方向の一端部と他端部をそれぞれ一体化する一対の取り付け部材65A,65Bとを有している。
このうち、電機子ユニット61Aは、前述した磁極ユニット76Aを構成する永久磁石33A、33Bと枠状部材31とによって形成される空間内に挿入されている。また、電機子ユニット61Bは、前述した磁極ユニット76Bの内部空間に挿入されている。また、電機子ユニット61Cは、前述した磁極ユニット76Cの内部空間に挿入されている。本実施形態では、固定子ユニット60とウエハステージ本体100とを組み付けるに際しては、電機子ユニット61A〜61Cの長手方向の一端部を、例えば取り付け部材65Aで連結した状態で、電機子ユニット61A〜61Cの長手方向の他端部を、対応する磁極ユニット76A〜76Cの内部空間にそれぞれ挿入し、その挿入後に電機子ユニット61A〜61Cの長手方向の一端部を、取り付け部材65Bで連結することとすれば良い。
前記電機子ユニット61Aの内部には、例えば磁極ユニット76A内に形成されたZ軸方向の磁界中で+X方向にのみあるいは−X方向にのみ電流を流すことができるような配置で1つ又は複数の電機子コイルが配設されている。この場合、電機子コイルとしては、例えばY軸方向に所定間隔で配置されたX軸方向に細長く延びる環状の一対のコイルを用いることができる。
本実施形態では、この電機子ユニット61Aを構成する電機子コイルに供給される電流の大きさ及び方向が主制御装置50によって制御されるようになっており、これによって、磁極ユニット76Aを電機子ユニット61Aに対してY軸方向に駆動する駆動力(ローレンツ力)の大きさ及び方向が任意に制御される。すなわち、電機子ユニット61Aと、磁極ユニット76Aとによって、ウエハステージWSTをY軸方向に微小駆動するY軸微動モータ75Aが構成されている。以下においては、電機子ユニット61AをY軸微動固定子61Aとも呼び、磁極ユニット76AをY軸微動可動子76Aとも呼ぶものとする。
また、前記電機子ユニット61B,61Cの内部には、X軸方向に沿って所定間隔(所定ピッチ)で複数の電機子コイルが配設されている。本実施形態では、磁極ユニット76B,76Cの内部空間にそれぞれ形成されるX軸方向に関する交番磁界の中に位置する少なくとも1つの電機子コイルに対して供給される電流の大きさ及び方向が主制御装置50によって制御されるようになっており、これによってステージ本体100に設けられた磁極ユニット76B,76Cのそれぞれを、電機子ユニット61B,61Cに対して、X軸方向に駆動する駆動力(ローレンツ力)の大きさ及び方向が任意に制御される。この場合、ウエハステージWSTの重心に関して対称な位置にX軸方向の駆動力を生じさせることで、ウエハステージWST(の重心)をX軸方向に駆動することができる。また、ウエハステージWSTの重心に関して対称な位置に同一の大きさ、かつ反対方向の駆動力を発生させることにより、ウエハステージWSTを重心回りに回転させることができる。
すなわち、電機子ユニット61B,61Cと、これらにそれぞれ係合する磁極ユニット76B,76Cとによって、ウエハステージWSTをX軸方向に所定ストロークで駆動し、かつウエハステージWSTをZ軸回りの回転方向に微小駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータ75B,75Cが構成されている。
また、これまでの説明から明らかなように、ステージ本体100に設けられたY軸微動可動子76A及びX軸可動子76B,76Cによって、可動子ユニットが構成され、該可動子ユニットと、前述の固定子ユニット60とによって、電磁相互作用によりウエハステージWSTを、X軸方向に所定ストロークで駆動するとともに、Y軸方向及びZ軸回りに微小駆動する第1の駆動機構が構成されている。
前記第1定盤44のX軸方向の一側(−X側)及び他側(+X側)には、図1に示されるように、XZ断面L字状でY軸方向を長手方向とする一対の第2定盤46A、46Bが左右対称な状態で配置されている。このうち、第1定盤44の−X側に位置する一方の第2定盤46Aは、クリーンルームの床面F上に固定されており、その+X側(内側)の端部が凸部とされている。この凸部の上面(以下、便宜上「第1面」とも呼ぶ)146a(図2参照)は、前述の固定子ユニット60を後述するようにしてZ軸方向に関して支持する支持面とされている。また、凸部の外側の一段下がった面(以下、便宜上「第2面」とも呼ぶ)146bには、図2に示されるように、Y軸方向を長手方向とする断面U字状のガイド部材48Aが固定されている。
第1定盤44の+X側に位置する他方の第2定盤46Bは、クリーンルームの床面F上に気体静圧軸受け(例えばエアベアリング)42を介して浮上支持されている。この第2定盤46Bは、第2定盤46Aと左右対称ではあるが同様の形状を有している。なお、この第2定盤46Bは、前述した第2定盤46Aに比べY軸方向の長さが幾分長く形成されている(図2参照)。
図2に示されるように、第2定盤46Bは、−X側(内側)端部が凸部とされており、該凸部の上面(以下、便宜上「第1面」とも呼ぶ)146c及び±X側の側面(146e,146f(図4参照))は、固定子ユニット60を後述するようにしてZ軸方向及びX軸方向に関してそれぞれ支持する支持面とされている。また、凸部の外側の一段下がった面(以下、便宜上「第2面」とも呼ぶ)146dには、前述したガイド部材48Aと同様の形状を有するガイド部材48Bが固定されている。
前記固定子ユニット60の長手方向(X方向)一端部及び他端部には、図4に示されるように、取り付け部材65A,65Bをそれぞれ介して可動子としての正面視コ字状の一対の磁極ユニット64A、64Bが設けられている。
これら磁極ユニット64A、64Bは、図2に示されるように、平面視(上方から見て)矩形板状の上板部材54Aと、該上板部材54Aと同一形状を有する下板部材54Bと、これら上板部材54A及び下板部材54Bとを連結する状態で設けられた断面コ字状(U字状)の中間部材56とから成るヨーク60Aと、このヨーク60Aの一対の対向面(上面及び下面)にY軸方向に沿って所定間隔でそれぞれ配設された複数の界磁石108とを有している。この場合、Y軸方向に隣り合う界磁石108同士、Z軸方向で向かい合う界磁石108同士が逆極性とされている。このため、ヨーク60Aの内部空間には、Y軸方向に関して交番磁界が形成されている。
また、取り付け部材65A、65Bの底面には、第2の軸受け機構としての気体静圧軸受け(例えばエアベアリング)51A、51Bが設けられている。
一方の取り付け部材65Aに設けられた気体静圧軸受け51Aは、図2に示されるように、前述した第2定盤46Aの凸部の上面(第1面)146aに対向して配置されている。気体静圧軸受け51Aからは第1面146aに向けて加圧気体(例えばヘリウム又は窒素ガス(あるいはクリーンな空気)など)が噴出され、その加圧気体の静圧によって気体静圧軸受け51Aの軸受け面と第1面146aとの間に数μm程度のクリアランスが形成されている。
同様に、他方の取り付け部材65Bに設けられた気体静圧軸受け51Bは、第2定盤46Bの第1面146cに対向して配置されている。この気体静圧軸受け51Bからは、第1面146cに向けて加圧気体が噴出され、その加圧気体の静圧によって気体静圧軸受け51Bの軸受け面と第1面146cとの間に数μm程度のクリアランスが形成されている。
すなわち、固定子ユニット60及び一対の磁極ユニット64A、64Bの全体が、気体静圧軸受け51A、51Bによって第2定盤46A、46Bの第1面146a,146cに対して非接触でZ軸方向に関して支持されている。
前記エアベアリング51Bには、第2定盤46Bの凸部の両側面146e、146fにそれぞれ対向して配置され、各側面146e、146fに向けて加圧気体を噴出する一対の気体静圧軸受け151a、151bがそれぞれ固定されている。気体静圧軸受け151a、151bからそれぞれ噴出される加圧気体の静圧(隙間内圧力)の釣り合いにより、凸部とそれぞれの気体静圧軸受けとの間には、それぞれ数μm程度のクリアランスが形成され、かつ維持されるようになっている。本実施形態では、第2定盤46Bの凸部は、固定子ユニット60のヨーガイドの役目を兼ねている。また、気体静圧軸受け151a、151bによってウエハステージWST(可動子ユニット)のX軸方向への駆動時に生じる反力を固定子ユニット60を介して第2定盤46Bに伝達する伝達機構が構成されている。
前記一対の磁極ユニット64A、64Bにそれぞれ対向して、第2定盤46A,46B上方には、固定子としての一対の電機子ユニット62A、62BがY軸方向に沿って延設されている。
電機子ユニット62A、62Bは、内部が中空とされた筐体と、該筐体内にY軸方向に沿って所定間隔で配設された電機子コイル(コイル体)C(図2では不図示、図5参照)とにより構成されている。なお、電機子ユニット62A、64Bの内部構成については、後述する。
電機子ユニット62A、62Bをそれぞれ構成する電機子コイルCを流れる電流と、磁極ユニット64A、64Bをそれぞれ構成する界磁石108の発生する磁界(交番磁界)との間の電磁相互作用により発生するローレンツ力により、磁極ユニット64A、64B(すなわち固定子ユニット60)が電機子ユニット62A、62Bに沿ってY軸方向に駆動される。すなわち、本実施形態では、磁極ユニット64A、64Bと電機子ユニット62A、62Bとによって、ムービングマグネット型のリニアモータから成る、一対のY軸リニアモータ66A、66Bが、それぞれ構成されている。従って、以下では、電機子ユニット62A、62BをY軸固定子62A、62Bとも呼び、磁極ユニット64A、64BをY軸可動子64A、64Bとも呼ぶ。
また、一方の電機子ユニット(Y軸固定子)62Aの下面には、Y軸方向を長手方向とする角柱状のスライド部材68Aが固定され、他方の電機子ユニット(Y軸固定子)62Bの下面には、Y軸方向を長手方向とする角柱状のスライド部材68Bが固定されている。
一方のスライド部材68Aは、図2に示されるように、そのX軸方向両側の側面及び下面が、前述したU字状のガイド部材48Aの内側の3面にそれぞれ対向する状態で配置されており、スライド部材68Aは3方向(+X方向、−X方向及び−Z方向)から不図示の気体静圧軸受け(例えばエアベアリング)をそれぞれ介してガイド部材48Aによって、電機子ユニット62Aと一体的にY方向に移動自在に非接触で支持されている。この場合、Y軸固定子62Aの下面とガイド部材48Aとの間には、所定のクリアランスが形成されている。
他方のスライド部材68Bは、図2に示されるように、そのX軸方向両側の側面及び下面が、前述したU字状のガイド部材48Bの内側の3面にそれぞれ対向する状態で配置されており、スライド部材68Bは3方向(+X方向、−X方向及び−Z方向)から不図示の気体静圧軸受け(例えばエアベアリング)をそれぞれ介してガイド部材48Bによって、電機子ユニット62Bと一体的にY方向に移動自在に非接触で支持されている。この場合、Y軸固定子62Bの下面とガイド部材48Bとの間には、所定のクリアランスが形成されている。
図5は、図2における電機子ユニット62A、62BのY軸方向に沿った断面図である。この図に示すように、電機子ユニット62A、62Bには、Y軸方向に延びる第1空間81aにコイル体Cが収容されるとともに、当該第1空間81aに冷媒が装填される第1収容部81が設けられている。また、スライド部材68A、68Bには、第1収容部81の−Z側に一体的に設けられY軸方向に延びる第2空間82aにピストンブロック(質量体、流動装置)83及び上記冷媒が装填される第2収容部82とを備えている。ピストンブロック83の径は、第2空間82aの径よりも僅かに小さく形成されて、Y方向への移動に支障を来さない大きさとなっている。
冷媒としては、不活性なものが好ましく、例えばハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)や、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)などが挙げられる。
第1空間81aと第2空間82aとは、第1収容部81及び第2収容部82のY方向両端部に設けられた接続流路84A、84Bによって連通し、冷媒が第1空間81aと第2空間82aとの間を接続流路84A、84Bを介して流動可能となっている。
ピストンブロック83は、冷媒よりも大きな比重を有する、例えばタングステンで形成されており、Y方向両端部においてバネ部材(付勢部材)85A、85Bの一端に接続されている。バネ部材85A、85Bは、略同一のバネ諸元(自有長、バネ定数等)を有し、他端はそれぞれ第2収容部82の側壁に固定されている。また、バネ部材85A、85Bのバネ定数は、第2空間82aにおいて慣性力によるピストンブロック83のY方向への移動を可能とし、且つ、慣性力が作用しないときには弾性復元力による付勢力の釣り合いでピストンブロック83をY方向の略中央に位置させる大きさに設定されている。
第2収容部82の底部には、第2空間82aにおける冷媒の熱を吸熱するとともに、吸熱した熱を輻射により、主に−Z側に放熱する放熱装置としてのペルチェ素子86が、第2収容部82の長さ全体に亘って設けられている。ペルチェ素子86に対する駆動(通電)は、主制御装置50により制御される。
これら第1収容部81及び第2収容部82、第1空間81a及び第2空間82aを流動する冷媒、ピストンブロック83、ペルチェ素子86を主体として、コイル体Cを冷却する冷却システムが構成される。
また、ガイド部材48A、48Bのペルチェ素子86と間隔をあけて対向する位置には、スライド部材68A、68B(ペルチェ素子86)の移動範囲に亘って、冷却装置87が設けられている。この冷却装置87は、アルミニウム等の熱伝達特性に優れた吸熱板87aに冷媒流路87bが形成された構成を有している。
図2に戻り、Z・チルト駆動機構96a〜96cは、ステージ本体100の上面のほぼ正三角形の頂点となる位置にそれぞれ配置されている。Z・チルト駆動機構96a〜96cのそれぞれは、ウエハテーブルWTBを支持するとともに、独立してZ軸方向に微少駆動するボイスコイルモータを含む。従って、Z・チルト駆動機構96a〜96cによって、ウエハテーブルWTBはZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、及びθy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向について微少駆動される。本実施形態では、Z・チルト駆動機構96a〜96cは、図1の主制御装置50によって制御される。
Z・チルト駆動機構96a〜96cによってステージ本体100上で支持されたウエハテーブルWTB上には、図1に示されるように、ウエハホルダ25を介してウエハWが静電吸着又は真空吸着により固定されている。ウエハテーブルWTBのXY面内の位置(θz回転を含む)は、ウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)104により、移動鏡102を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されている。
ここで、ウエハテーブルWTB上には、実際には、図2に示されるように、Y軸方向の一側(+Y側)の端部にX軸方向に延びるY移動鏡102aが固定され、X軸方向の一側(−X側)の端部にY軸方向に延びるX移動鏡102bが固定されている。これらの移動鏡102a、102bの外面は、鏡面加工がなされた反射面とされている。また、上記の移動鏡102a、102bに対応して、ウエハ干渉計も、Y移動鏡102aの反射面にレーザビーム(測長ビーム)を照射するY干渉計と、X移動鏡102bの反射面にレーザビーム(測長ビーム)を照射するX干渉計とが設けられている。
このように、移動鏡、ウエハ干渉計はそれぞれ複数設けられているが、図1では、これらが代表的に移動鏡102、ウエハ干渉計104として示されている。
ウエハ干渉計104で計測されるウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の位置情報(又は速度情報)は主制御装置50に送られ、主制御装置50ではウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)に基づいてY軸リニアモータ66A,66B、X軸リニアモータ75B,75C、Y軸微動モータ75Aを介してウエハステージWSTのXY面内位置を制御する。
図1に戻り、本実施形態の露光装置10は、主制御装置50によってオンオフが制御される光源を有し、投影光学系PLの結像面に向けて多数のピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する照射系AFaと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光系AFbとから成る斜入射方式の多点焦点位置検出系から成る焦点位置検出系を、更に備えている。
続いて、上記の露光装置10による露光動作について説明する。
まず、主制御装置50では、ウエハテーブルWTB上に保持されたウエハW上の第1ショット領域(ファーストショット領域)の露光のための加速開始位置にウエハステージWSTを移動する。この移動は、主制御装置50により、ウエハ干渉計104の計測値に基づいて、Y軸リニアモータ66A、66B、及びX軸リニアモータ75B、75Cを制御することによって行われる。
次いで、主制御装置50では、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY軸方向の相対走査を開始して、ウエハW上のファーストショット領域に対する走査露光を行い、そのファーストショット領域にレチクルRの回路パターンを投影光学系PLを介して縮小転写する。ここで、走査露光の際に、主制御装置50は、レチクル干渉計22、ウエハ干渉計104の計測値をモニタしつつ、レチクルステージ駆動部22及びY軸リニアモータ66A、66Bを制御することにより、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを相対走査するが、この相対走査中(少なくとも露光中)は、両者を精度良く同期させる必要がある。かかる点を考慮して、レチクルステージRSTのウエハステージWSTに対する追従誤差が極力生じないように、主制御装置50はY軸微動モータ75Aを用いて、ウエハステージWSTのY軸方向位置の微調整を行っている。
このようにして、ファーストショットの走査露光が終了すると、主制御装置50により、ウエハステージWSTがX軸方向にステップ移動され、セカンドショット領域(第2番目のショット領域)の露光のための加速開始位置に移動される。そして、主制御装置50の管理の下、セカンドショット領域に対して上記と同様の走査露光が行われる。ウエハW上のショット領域の走査露光とショット領域間のステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の全ての露光対象ショット領域にレチクルRの回路パターンがステップ・アンド・スキャン方式の露光動作により順次転写される。
上述のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中に、ウエハステージWSTが固定子ユニット60とともにY軸方向へ駆動されると、その駆動による反力がY軸リニアモータ66A,66Bを構成するY軸固定子62A,62Bに作用する。この反力の作用により、Y軸固定子62A,62Bはガイド48A,48Bに沿ってY軸方向に駆動される。この場合、ガイド48A,48Bと、Y軸固定子62A,62Bに固定されたスライダ68A,68Bとの間は気体静圧軸受けにより非接触とされているので、運動量保存則が略成立するようにY軸固定子62A,62Bがスライダ68A、68Bとともに、固定子ユニット60とは逆方向に移動し、前述の反力がほぼ完全にキャンセルされる。
ここで、ウエハステージWSTが固定子ユニット60とともに、例えば、図6に示すように、−Y方向に移動した際には、上述したようにY軸固定子62A,62B(すなわち、第1収容部81及び第2収容部82)は反力により+Y方向に移動する。第1収容部81及び第2収容部82の+Y方向への移動時に、ピストンブロック83は慣性力によりY位置に関しては略同一の位置に留まるが、第2収容部82の移動によって、第2空間82a内においては、バネ部材85A、85Bの付勢力に抗して−Y側に相対移動した状態となる。
なお、以下の説明では、ピストンブロック83が第2空間82aに対して相対移動して進む側を前方側、逆側を後方側と称するものとする。
第2空間82a内でピストンブロック83が−Y側に相対移動すると、第2空間82aにおいてピストンブロック83よりも−Y側に位置する冷媒の液圧が高まる一方で、ピストンブロック83よりも+Y側に位置する冷媒の液圧が低下することから、第2空間82a内で前方側に位置する冷媒は、第2空間82aから接続流路84Bを介して第1空間81aに流動する一方で、第1空間81a内の冷媒は、−Y側から+Y側へ流動し、接続流路84Aを介して第2空間82aに流入する。
このとき、第1空間81aにおける冷媒は、ウエハステージWST及び固定子ユニット60を駆動する際のコイル体Cへの通電に伴って生じる熱を熱交換により吸熱した後に、接続流路84Aを介して第2空間82aに流入する。
コイル体Cの熱を吸熱して第2空間82aに流入した冷媒の熱は、第2収容部82の壁部を介してペルチェ素子86に伝達され、このペルチェ素子86の作動によって、冷却装置87に向けて−Z側に輻射により放熱される。放熱された熱の大部分は、吸熱板87aに伝わった後に、冷媒流路87bを流動する冷媒により回収される。
このときの、ペルチェ素子86の作動(通電)は、主制御装置50により制御されるが、主制御装置50は、ウエハステージWST及び固定子ユニット60を駆動する際、動作パターンに応じたコイル体Cへの通電量、冷媒圧損、ピストンブロック83の質量及び断面積から推定される冷媒の吸熱量に応じた量でペルチェ素子86に通電させる。
なお、ウエハステージWSTが固定子ユニット60とともに+Y側に移動した場合には、上記とは逆に、図7に示すように、慣性力によってピストンブロック83は、第2空間82aにおいて+Y側に相対移動する。そして、第2空間82aにおいてピストンブロック83の前方側に位置する冷媒が接続路84Aを介して第1空間81aに流入するとともに、第1空間81aの冷媒がコイル体Cの熱を吸熱した後に、接続路84Bを介して第2空間82aに流入して、ペルチェ素子86によって非接触で輻射放熱される。
このように、ピストンブロック83の慣性力により生じた冷媒の流動により、コイル体Cで生じた熱は冷媒に吸熱された後に、ペルチェ素子86によって輻射により放熱される。
なお、第2空間82aに対して相対移動したピストンブロック83は、バネ部材85A、85Bの弾性復元力により付勢されて、図5に示した第2空間82aの略中央部に戻される。
以上説明したように、本実施形態では、ウエハステージWST及び固定子ユニット60の移動時に、ピストンブロック83の慣性力を用いて冷媒を流動させてコイル体Cの熱を吸熱するとともに、吸熱した熱をペルチェ素子86により非接触で放熱するため、冷媒を冷却・循環させるための配管等を用いる必要がなくなる。そのため、本実施形態では、配管を介して振動や冷媒の漏れ等の問題が生じることを防止でき、パターンの転写精度を向上させることが可能になる。特に、本実施形態は、真空中でコイル体Cを冷却する場合のように、冷媒の漏れが生じやすい環境下で効果的に適用可能である。
また、本実施形態では、ペルチェ素子86から放熱された熱を冷却装置87により回収するため、ステージ近傍の雰囲気温度が上昇して空気揺らぎの原因となる等の不具合を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、バネ部材85A、85Bによってピストンブロック83を付勢した状態で支持しているため、慣性力で移動したピストンブロック83を第2空間82aにおける基準位置となるY軸方向の略中央に位置決めすることが可能になる。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態について、図8を参照して説明する。
この図において、図1乃至図7に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
第2実施の形態と上記の第1実施形態とが異なる点は、第1空間81aとペルチェ素子86との間に位置する冷媒の流動経路に温度センサを設けた点である。
本実施形態では、図8に示すように、接続流路84A、84Bの第1空間81a側に、冷媒の温度を検出する温度センサ(検出装置)88A、88Bが設けられている。温度センサ88A、88Bの検出結果は主制御装置(制御装置)50に出力される。
上記構成の露光装置10では、ウエハステージWST及び固定子ユニット60の移動に伴って、ピストンブロック83が第2空間82aに対して相対移動することで冷媒が流動して、コイル体Cの熱を吸熱して第2空間82aに流入する前に、当該冷媒の温度が温度センサ88A、88Bで検出されて主制御装置50に出力される。主制御装置50は、ウエハステージWST及び固定子ユニット60の移動方向に応じて、参照すべき温度センサ88A、88Bを選択し(例えばウエハステージWST及び固定子ユニット60が−Y側へ移動する場合には温度センサ88Aの検出結果を参照し、逆側へ移動する場合には温度センサ88Bの検出結果を参照する)、検出された冷媒温度に応じて、ペルチェ素子86への通電量を調整する。すなわち、主制御装置50は、第2空間82aに流入する冷媒温度を事前に検知することにより、予めペルチェ素子86の作動による熱回収をフィードフォワード方式により、迅速、且つ高精度に実行することが可能になる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態について、図9を参照して説明する。
この図において、図1乃至図7に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
第3実施の形態と上記の第1実施形態とが異なる点は、冷媒の流動経路にフィルタを設けた点である。
図9に示すように、本実施形態では、接続経路84A、84Bのそれぞれが2つの流路に分岐された分岐流路89A、89Bを有している。分岐流路(第2流路)89Aには、逆止弁(第2逆止弁)90Aと、フィルタ(第2フィルタ)91Aとが介装されている。逆止弁90Aは、第2空間82aから第1空間81aに向かう方向にのみ冷媒を流動可能とするものである。フィルタ91Aは、冷媒に含まれる異物を除去するものであって、逆止弁90Aよりも第1空間81a側に配置されている。
同様に、分岐流路(第1流路)89Bには、逆止弁(第1逆止弁)90Bと、フィルタ(第1フィルタ)91Bとが介装されている。逆止弁90Bは、第1空間81aから第2空間82aに向かう方向にのみ冷媒を流動可能とするものである。フィルタ91Bは、冷媒に含まれる異物を除去するものであって、逆止弁90Bよりも第2空間82a側に配置されている。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
上記の構成の露光装置では、冷媒が第1空間81aから第2空間82aに流動する際には、分岐流路89Bを流動し、冷媒に含まれる異物はフィルタ91Bで捕捉される。また、冷媒が第2空間82aから第1空間81aに流動する際には、分岐流路89Aを流動し、冷媒に含まれる異物はフィルタ91Aで捕捉される。
そして、各分岐流路89A、89Bにおいては、逆止弁90A、90Bが介装されていることから冷媒の逆流が防止され、フィルタ91A、91Bに捕捉されていた異物が冷媒の逆流で離脱して、第1空間81a及び第2空間82aに混入してしまうことを防止できる。
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態について、図10乃至図12を参照して説明する。
これらの図において、図1乃至図7に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
第4実施の形態と上記の第1実施形態とが異なる点は、上述したような冷却システムを二次元で移動する平面モータに適用した点である。
図10に示すように、ウエハステージWSTは、ベース部材114と、このベース部材114の上面の上方に数μm程度のクリアランスを介してエアベアリングによって浮上支持されたステージユニットSUと、これらのステージユニットSUの各々をXY面内で2次元方向に駆動する駆動装置115と、ステージユニットSUのXY平面における位置を検出する検出装置(不図示)とを備えて構成されている。ステージユニットSUはウエハWを保持・搬送するために設けられている。
ステージユニットSUに設けられた駆動装置115を駆動することで、ステージユニットSUをXY面内の任意の方向に移動させることができる。
駆動装置115は、ベース部材114の上部に設けられた(埋め込まれた)固定部(固定子)116と、ステージユニットSUの底部(ベース対向面側)に固定され、固定部116上の移動面116aに沿って移動する移動部(可動子)117とを含んで構成される平面モータを備えている。また、移動部117、ベース部材114、及び駆動装置115によって平面モータ装置が構成されている。尚、以下の説明においては、上記の駆動装置115を、便宜上、平面モータ装置115と呼ぶものとする。
固定部116には、隣接するものが互いに異なる極となるよう不図示の永久磁石(発磁体)がXY面内に所定のピッチで格子状に配列されている。この配列によって、X方向及びY方向の両方向に交番磁界が形成される。永久磁石としては、例えばネオジウム・鉄・コバルト磁石、アルミニウム・ニッケル・コバルト(アルニコ)磁石、フェライト磁石、サマリウム・コバルト磁石、又はネオジム・鉄・ボロン磁石等の希土類磁石を用いることが可能である。
図11は、ステージユニットSUの正面断面図である。
移動部117は、固定部116と対向する位置で第1空間81aにコイル体Cを収容するとともに、当該第1空間81aに冷媒が装填される第1収容部81と、第1収容部81とウエハテーブルWTとの間に挟持される位置に配置される第2収容部82とを有している。
図12は、第2収容部82をXY平面で断面した図である。
この図に示すように、第2収容部82の第2空間82aには、ピストンブロック83、バネ部材85A、85B、85C、85D、ピストン枠体(支持装置)71が配置されるとともに、上記冷媒が装填される。第1空間81aと第2空間82aとは、第1収容部81及び第2収容部82のX方向両端部に設けられた接続流路84A、84Bと、Y方向両端部に設けられた接続流路84C、84Dとによって連通し、冷媒が第1空間81aと第2空間82aとの間を接続流路84A〜84Dを介して流動可能となっている。
ピストン枠体71は、ピストンブロック83と同様に冷媒よりも大きな比重を有する、例えばタングステンで形成されており、X軸方向に延びる矩形枠状に形成されている。ピストン枠体71の内部空間にはピストンブロック83がバネ部材85A、85BによってX方向に付勢された状態で、当該バネ部材85A、85Bを介してX方向に移動自在に支持されている。
また、ピストン枠体71は、Y方向の両端側におけるX方向略中央部において、バネ部材85C、85Dの一端に接続されている。バネ部材85C、85Dは、略同一のバネ諸元(自有長、バネ定数等)を有し、他端はそれぞれ第2収容部82のY方向の側壁にそれぞれ固定されている。また、バネ部材85C、85Dのバネ定数は、第2空間82aにおいて慣性力によるピストン枠体71のY方向への移動を可能とし、且つ、慣性力が作用しないときには弾性復元力による付勢力の釣り合いでピストン枠体71をY方向の略中央に位置させる大きさに設定されている。
各接続流路84A〜84Bには、ペルチェ素子86の吸熱面が当接して設けられている。また、ペルチェ素子86の放熱面は、図11に示すように、第1収容部81にXY平面と略平行に支持された放熱板72の+Z側の面に当接支持されている。放熱板72は、アルミニウム等の熱伝達特性に優れた材料で平面視ロ字状に、且つペルチェ素子86の放熱面よりも大きな投影面積で形成されており、固定部116と隙間をあけて対向して設けられている。
上記構成のウエハステージWSTにおいては、コイル体Cに電流が供給されると、コイル体Cにローレンツ電磁力が発生し、このローレンツ電磁力の反力によりステージユニットSU(ひいてはウエハW)をローレンツ電磁力の大きさ及び方向に応じて移動させることができる。
ステージユニットSUが、例えば+X方向に移動した際には、ピストンブロック83は慣性力によりX位置に関しては略同一の位置に留まるが、第2収容部82の移動によって、第2空間82a内においては、バネ部材85A、85Bの付勢力に抗して−X側に相対移動した状態となる。
第2空間82a内でピストンブロック83が−X側に相対移動すると、第2空間82aにおいてピストンブロック83よりも−X側に位置する冷媒の液圧が高まる一方で、ピストンブロック83よりも+X側に位置する冷媒の液圧が低下することから、第2空間82a内で前方側に位置する冷媒は、第2空間82aから接続流路84Aを介して第1空間81aに流動する一方で、第1空間81a内の冷媒は、−X側から+X側へ流動し、接続流路84Bを介して第2空間82aに流入する。
このとき、第1空間81aにおける冷媒は、ステージユニットSUを駆動する際のコイル体Cへの通電に伴って生じる熱を熱交換により吸熱した後に、接続流路84Aを流動する。コイル体Cの熱を吸熱して接続流路84Aに流入した冷媒の熱は、ペルチェ素子86に伝達され、このペルチェ素子86の作動によって放熱板72に伝達され、固定部116に向けて輻射により放熱される。
一方、ステージユニットSUが、例えば+Y方向に移動した際には、質量体(流動装置)としてのピストンブロック83及びピストン枠体71は、慣性力によりY位置に関しては略同一の位置に留まるが、第2収容部82の移動によって、第2空間82a内においては、バネ部材85C、85Dの付勢力に抗して−Y側に一体的に相対移動した状態となる。
第2空間82a内でピストンブロック83及びピストン枠体71が−Y側に相対移動すると、第2空間82aにおいてピストン枠体71よりも−Y側に位置する冷媒の液圧が高まる一方で、及びピストン枠体71よりも+Y側に位置する冷媒の液圧が低下することから、第2空間82a内で前方側に位置する冷媒は、第2空間82aから接続流路84Dを介して第1空間81aに流動する一方で、第1空間81a内の冷媒は、−Y側から+Y側へ流動し、接続流路84Cを介して第2空間82aに流入する。
このときも、第1空間81aにおける冷媒は、ステージユニットSUを駆動する際のコイル体Cへの通電に伴って生じる熱を熱交換により吸熱した後に、接続流路84Cを流動する。コイル体Cの熱を吸熱して接続流路84Cに流入した冷媒の熱は、ペルチェ素子86に伝達され、このペルチェ素子86の作動によって放熱板72に伝達され、固定部116に向けて輻射により放熱される。
このように、本実施形態においても、ステージユニットSUがX方向、Y方向のいずれの方向(または双方の成分を含む方向)に移動する場合でも、移動に伴う慣性力によって冷媒を流動させてコイル体Cの熱を吸熱するとともに、吸熱した熱をペルチェ素子86により非接触で放熱するため、冷媒を冷却・循環させるための配管等を用いる必要がなくなる。そのため、本実施形態でも上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができることに加えて、ペルチェ素子86の放熱面を放熱板72で当接支持しているため、ペルチェ素子86の放熱面から輻射で放熱する場合と比較して、より大きな放熱面から輻射で放熱することが可能となり、放熱効率を効果的に向上させることができる。さらに、本実施形態では、ウエハテーブルWTと第1収容部81(コイル体C)との間に、冷媒が装填された第2収容部82が配置されるため、第2収容部82が断熱材として機能することになり、ウエハWに熱が伝達されることを抑制でき、パターンの転写精度に悪影響が及ぶことを回避できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では冷媒として液体を用いる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、窒素やアルゴン等の気体を用いる構成としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係るモータ装置をステージ装置(露光装置)に適用する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばアームを有するロボット装置において、アームの回転駆動装置として、上述したモータ装置を設ける構成を採ることができる。この場合、アームの回転に伴う質量体の慣性力で冷媒を流動させて、モータ装置で生じた熱を吸熱し、放熱装置により輻射で放熱することができ、冷媒の循環装置を別途設けることなく、アームの駆動に伴って生じた熱を放熱することが可能になる。
また、上記第1実施形態では、運動量保存の法則に従って移動する固定子である電機子ユニット62A、62Bに本発明に係る流動装置及び放熱装置を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばウエハステージWSTを駆動するY軸微動可動子76A及びX軸可動子76B,76Cに本発明を適用できることは言うまでもない。
また、上記第1実施形態では、Y軸リニアモータ66A、66Bをムービングマグネット型として説明したが、これに限定されるものではなく、ムービングコイル型であっても適用可能であり、この場合は可動子に対して本発明に係る流動装置及び放熱装置を設ければよい。
また、上記実施形態では、放熱装置としてペルチェ素子86を用いる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばヒートパイプを用いる構成であってもよい。
露光装置10としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを一括露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上記実施形態の基板としては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、本発明が適用される露光装置の光源には、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、Fレーザ(157nm)等のみならず、g線(436nm)及びi線(365nm)を用いることができる。さらに、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでもよい。また、上記実施形態では、屈折型の投影光学系を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、反射屈折型や屈折型の光学系でもよい。
また、本発明は、投影光学系と基板との間に局所的に液体を満たし、該液体を介して基板を露光する、所謂液浸露光装置にも適用可能である。液浸露光装置については、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている。さらに、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
また、本発明は、ステージユニットが複数(2基)設けられる構成にも適用可能である。また、ステージユニットが複数設けられるのではなく、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載して、露光に関する情報を計測する計測ステージとをそれぞれ備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
露光装置10としては、マスクとしてのレチクルRと、基板としてのウエハWとを同期移動してマスクのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを一括露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板上に転写した後、第2パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
露光装置10の種類としては、基板に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いてもよい。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板上に形成することによって、基板上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置10は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図13は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップS13(ウエハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図14は、半導体デバイスの場合におけるステップS13の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS21(酸化ステップ)おいては、ウエハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においては、ウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においては、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においては、ウエハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
10…露光装置、 20…ステージ装置、 50…主制御装置(制御装置)、 62A、62B…電機子ユニット(固定子)、 64A、64B…磁極ユニット(可動子)、 71…ピストン枠体(支持装置、質量体、流動装置)、 72…放熱板、 81…第1収容部、 81a…第1空間、 82…第2収容部、 82a…第2空間、 83…ピストンブロック(質量体、流動装置)、 84A、84B、84C、84D…接続流路、 86…ペルチェ素子(放熱装置)、 88A、88B…温度センサ(検出装置)、 89A…分岐流路(第2流路)、 89B…分岐流路(第1流路)、 90A…逆止弁(第2逆止弁)、 90B…逆止弁(第1逆止弁)、 91A…フィルタ(第2フィルタ)、 91B…フィルタ(第1フィルタ)、 116…固定部(固定子)、 117…移動部(可動子)、 C…電機子コイル(コイル体)

Claims (11)

  1. 固定子と可動子の一方にコイル体が設けられ、前記固定子と前記可動子の他方に発磁体が設けられるモータ装置であって、
    前記コイル体を収容し、冷媒が装填される第1空間を有する第1収容部と、
    前記第1空間との間で前記冷媒が流動可能に装填される第2空間を有する第2収容部と、
    前記冷媒の流動経路に設けられ前記冷媒の熱を輻射により放熱する放熱装置と、
    前記第2空間に設けられ前記可動子の移動に伴う慣性力で移動して、前記冷媒を少なくとも前記第1空間から前記放熱装置に向けて流動させる流動装置と、
    を備えるモータ装置。
  2. 前記流動装置は、前記冷媒の比重よりも大きな比重を有し前記第2空間に移動自在に設けられた質量体を備える請求項1記載のモータ装置。
  3. 前記第2空間には、前記質量体を第1方向に移動自在に支持し、且つ、前記可動子の前記第1方向と交差する第2方向への移動に伴う慣性力で前記質量体と一体的に移動して、前記冷媒を少なくとも前記第1空間から前記放熱装置に向けて流動させる流動させる支持装置が設けられる請求項2記載のモータ装置。
  4. 前記第1収容部、前記第2収容部は、前記可動子の移動に伴い運動量保存の法則に従って移動する前記固定子に設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ装置。
  5. 前記発磁体は、前記可動子の移動面に沿って配列された前記固定子に設けられ、
    前記第1収容部、前記第2収容部及び前記コイル体は、前記移動面に沿って二次元で移動する前記可動子に設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ装置。
  6. 前記第1空間と前記放熱装置との間に位置する前記流動経路に設けられ前記冷媒の温度を検出する検出装置と、
    前記検出装置の検出結果に基づいて、前記放熱装置の駆動を制御する制御装置とを有する請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ装置。
  7. 前記第1収容部と前記第2収容部との間には、前記第1空間と前記第2空間とを接続する接続流路が設けられ、
    前記接続流路は、前記第1空間から前記第2空間へ向かう方向のみ前記冷媒を流動可能とする第1逆止弁、及び該第1逆止弁よりも第2空間側に配置された第1フィルタを有する第1流路と、
    前記第2空間から前記第1空間へ向かう方向のみ前記冷媒を流動可能とする第2逆止弁、及び該第2逆止弁よりも第1空間側に配置された第2フィルタを有する第2流路とを備える請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ装置。
  8. 前記放熱装置と間隔をあけて対向配置される冷却装置を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のモータ装置。
  9. 前記放熱装置は、一面側が前記冷媒の流動経路に当接して設けられたペルチェ素子と、該ペルチェ素子の他面側に当接して設けられ、前記ペルチェ素子の他面側よりも大きな投影面積を有する放熱板とを備える請求項1から8のいずれか一項に記載のモータ装置。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ装置を備えるステージ装置。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ装置を備える露光装置。
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