以下、本発明の一実施形態について、図1〜図11に基づいて説明する。
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する平面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された露光ステーション(露光処理領域)200、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された計測ステーション(計測処理領域)300、2つのウエハステージWST1,WST2を含むステージ装置50、及びこれらの制御系等を、備えている。図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWST1が位置しており、ウエハステージWST1上にウエハWが保持されている。また、計測ステーション300には、ウエハステージWST2が位置しており、ウエハステージWST2上に別のウエハWが保持されている。
露光ステーション200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明光ILとしては、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図6参照)によって、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定のストローク、所定の走査速度で駆動可能であるとともに、X軸方向にも微小駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図6参照)に送られる。なお、例えば国際公開第2007/083758号(対応米国特許出願公開第2007/0288121号明細書)などに開示されているように、エンコーダシステムによってレチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。
レチクルステージRSTの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに詳細に開示されるような、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態では照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2(図1では、レチクルアライメント系RA2は、レチクルアライメント系RA1の紙面奥側に隠れている)が配置されている。一対のレチクルアライメント系RA1,RA2は、投影光学系PLの直下に微動ステージWFS1(又はWFS2)上の後述する計測プレートが位置する状態で、主制御装置20により、レチクルRに形成された一対のレチクルアライメントマーク(図示省略)の投影像と対応する計測プレート上の一対の第1基準マークとを投影光学系PLを介して検出することで、投影光学系PLによるレチクルRのパターンの投影領域の中心と計測プレート上の基準位置、すなわち一対の第1基準マークの中心との位置関係を検出するために用いられる。レチクルアライメント系RA1,RA2の検出信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図6参照)。なお、レチクルアライメント系RA1,RA2は設けなくても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるように、後述する微動ステージに光透過部(受光部)が設けられる検出系を搭載して、レチクルアライメントマークの投影像を検出することが好ましい。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレームとも呼ばれる)BDによってその外周部に固定されたフランジ部FLGを介して支持されている。メインフレームBDは、前記支持部材に防振装置等を設けることによって、外部から振動が伝わらないように、また外部に振動を伝えないように構成しても良い。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを照明光ILが通過する。そして、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWST1(又はWST2)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われる。これにより、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光(露光光)ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。ここで、投影ユニットPUはメインフレームBDに保持され、本実施形態では、メインフレームBDが、それぞれ防振機構を介して設置面(床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材によってほぼ水平に支持されている。なお、その防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。また、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルベースなどに対してメインフレームBD(投影ユニットPU)を吊り下げ支持しても良い。
局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図6参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図2参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。
本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図7参照)を制御して、先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図7参照)を制御して、先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、先端レンズ191とウエハWとの間に、一定量の液体Lq(図1参照)を常に入れ替えつつ保持すべく、供給される液体の量と回収される液体の量とを制御する。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水(屈折率n≒1.44)を用いるものとする。
計測ステーション300は、メインフレームBDに設けられたアライメント装置99を備えている。アライメント装置99は、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されているように、図2に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、図2に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心が、プライマリアライメント系AL1の検出中心で、基準軸LVと垂直に交差するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)Laに沿って配置されている。なお、図1では、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24及びこれらを保持する保持装置(スライダ)を含んでアライメント装置99として示されている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書などに開示されているように、可動式のスライダを介してメインフレームBDの下面に固定されており(図1参照)、図示しない駆動機構により、少なくともX軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24の構成については、例えば国際公開第2008/056735号などに詳細に開示されている。アライメント系AL1,AL21〜AL24それぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20(図6参照)に供給される。
なお、露光装置100は、図示されていないが、ウエハステージWST1に対してウエハの搬送作業を行う第1ローディングポジションと、ウエハステージWST2に対してウエハの搬送作業を行う第2ローディングポジションとを有するものとする。本実施形態の場合、第1ローディングポジションは定盤14A側、第2ローディングポジションは定盤14B側に設けられる。
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12、ベース盤12の上方に配置された一対の定盤14A、14B(図1では、定盤14Bは、定盤14Aの紙面奥側に隠れている。)、一対の定盤14A,14Bの上面によって形成されるXY平面に平行なガイド面上を移動する2つのウエハステージWST1,WST2、ウエハステージWST1,WST2それぞれに配管・配線系(以下、便宜上チューブと呼ぶ)Ta2、Tb2(図1では不図示、図2、図3参照)を介して接続されたチューブキャリアTCa、TCb(チューブキャリアTCbは図1では不図示。図2、図3等参照)、ウエハステージWST1,WST2の位置情報を計測する計測系などを備えている。ウエハステージWST1,WST2のそれぞれに、チューブTa2、Tb2を介して、外部から各種センサ類、モータなどのアクチュエータ用の電力、アクチュエータに対する温度調整用冷媒、エアベアリング用の加圧空気等が、供給される。なお、以下では、電力、温度調整用冷媒、加圧空気等をまとめて用力とも呼ぶ。真空吸引力が必要な場合には、バキューム用力(負圧)も用力に含まれる。
ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成り、図1に示されるように、床面102上に防振機構(図示省略)を介してほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12の上面のX軸方向に関する中央部には、図3に示されるように、Y軸に平行な方向に延びる凹部12a(凹溝)が形成されている。ベース盤12の上面側(ただし、凹部12aが形成された部分を除く)には、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイルを含む、コイルユニットCUが収容されている。なお、前記防振機構は必ずしも設ける必要はない。
定盤14A、14Bのそれぞれは、図2に示されるように、平面視で(上方から見て)Y軸方向を長手方向とする矩形板状の部材から成り、基準軸LVの−X側、+X側にそれぞれ配置されている。定盤14Aと定盤14Bとは、基準軸LVに関して対称に、X軸方向に関して僅かの間隙を隔てて配置されている。定盤14A,14Bそれぞれの上面(+Z側の面)は、平坦度を非常に高く仕上げることで、ウエハステージWST1、WST2それぞれがXY平面に倣って移動する際のZ軸方向に対するガイド面として機能させることができる。あるいは、ウエハステージWST1、WST2に後述する平面モータによりZ軸方向の力を作用させて定盤14A、14B上を磁気浮上するように構成することもできる。本実施形態の場合は、その平面モータを用いた構成として気体静圧軸受を用いないようにしたので、前述のように定盤14A、14B上面の平坦度を高くする必要はなくなる。
定盤14A、14Bは、図3に示されるように、ベース盤12の凹部12aの両側部分の上面12b上に、不図示のエアベアリング(又は転がり軸受)を介して、支持されている。
定盤14A、14Bは、上記ガイド面がその上面に形成された比較的厚さの薄い板状の第1部分14A1、14B1と、該第1部分14A1、14B1の下面それぞれに、一体的に固定された比較的厚くX軸方向寸法が短い板状の第2部分14A2、14B2と、をそれぞれ有している。定盤14Aの第1部分14A1の+X側の端部は、第2部分14A2の+X側の端面から幾分+X側に張り出しており、定盤14Bの第1部分14B1の−X側の端部は、第2部分14B2の−X側の端面から幾分−X側に張り出している。ただし、このような構成に限定されるものではなく、張り出しを設けない構成としても良い。
第1部分14A1、14B1それぞれの内部には、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイルを含むコイルユニット(図示省略)が収容されている。各コイルユニットを構成する複数のコイルそれぞれに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20(図6参照)によって制御される。
定盤14Aの第2部分14A2の内部(底部)には、ベース盤12の上面側に収容されたコイルユニットCUに対応して、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された、複数の永久磁石(及び図示しないヨーク)から成る磁石ユニットMUaが収容されている。磁石ユニットMUaは、ベース盤12のコイルユニットCUと共に、例えば米国特許出願公開第2003/0085676号明細書などに開示される電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る定盤駆動系60A(図6参照)を構成している。定盤駆動系60Aは、定盤14AをXY平面内の3自由度方向(X、Y、θz)に駆動する駆動力を発生する。
同様に、定盤14Bの第2部分14B2の内部(底部)にも、ベース盤12のコイルユニットCUと共に、定盤14BをXY平面内の3自由度方向に駆動する平面モータから成る定盤駆動系60B(図6参照)を構成する、複数の永久磁石(及び図示しないヨーク)から成る磁石ユニットMUbが収容されている。なお、定盤駆動系60A,60Bそれぞれを構成する平面モータのコイルユニット及び磁石ユニットの配置は、上記(ムービングマグネット型)の場合と逆(ベース盤側に磁石ユニット、定盤側にコイルユニットをそれぞれ有するムービングコイル型)でも良い。
定盤14A,14Bの3自由度方向の位置情報は、例えばエンコーダシステムを含む第1及び第2定盤位置計測系69A,69B(図6参照)によってそれぞれ独立に求められる(計測される)。第1及び第2定盤位置計測系69A,69Bそれぞれの出力は、主制御装置20(図6参照)に供給され、主制御装置20は、定盤位置計測系69A,69Bの出力を用いて(に基づいて)、定盤駆動系60A,60Bのコイルユニットを構成する各コイルに供給する電流の大きさ及び方向を制御し、定盤14A,14BそれぞれのXY平面内の3自由度方向の位置を、必要に応じて制御する。主制御装置20は、定盤14A,14Bが、後述するカウンタマスとして機能した際に、定盤14A,14Bの基準位置からの移動量が所定範囲に収まるように、その基準位置に戻すため、定盤位置計測系69A,69Bの出力を用いて(に基づいて)、定盤駆動系60A,60Bを介して定盤14A,14Bを駆動する。すなわち、定盤駆動系60A,60Bは、トリムモータとして使用される。
第1及び第2定盤位置計測系69A,69Bの構成は、特に限定されないが、例えば第2部分14A2,14B2それぞれの下面に配置されたスケール(例えば二次元グレーティング)に計測ビームを照射して得られる反射光(二次元グレーティングからの回折光)を用いて、定盤14A,14BそれぞれのXY平面内の3自由度方向の位置情報を求める(計測する)エンコーダヘッドがベース盤12に配置された(又は第2部分14A2,14B2にエンコーダヘッド、ベース盤12にスケールがそれぞれ配置された)エンコーダシステムを用いることができる。なお、定盤14A、14Bの位置情報は、例えば光干渉計システム、あるいは光干渉計システムとエンコーダシステムを組み合わせた計測系により求める(計測する)ようにしても良い。
一方のウエハステージWST1は、図2に示されるように、ウエハWを保持する微動ステージ(テーブルとも呼ぶ)WFS1と、微動ステージWFS1の周囲を囲む矩形枠状の粗動ステージWCS1とを備えている。他方のウエハステージWST2は、図2に示されるように、ウエハWを保持する微動ステージWFS2と、微動ステージWFS2の周囲を囲む矩形枠状の粗動ステージWCS2とを備えている。図2から明らかなように、ウエハステージWST2は、ウエハステージWST1に対し左右が反転した状態で配置されている点を除き、その駆動系、位置計測系などを含み、全く同様に構成されている。従って、以下では、代表的にウエハステージWST1を取り上げて説明するものとし、ウエハステージWST2に関しては、特に説明が必要な場合にのみ説明する。
粗動ステージWCS1は、図4(A)に示されるように、Y軸方向に関して離れて互いに平行に配置され、それぞれX軸方向を長手方向とする直方体状の部材から成る一対の粗動スライダ部90a、90bと、それぞれY軸方向を長手方向とする直方体状の部材から成り、Y軸方向の一端と他端とで一対の粗動スライダ部90a、90bを連結する一対の連結部材92a、92bとを有している。すなわち、粗動ステージWCS1は、中央部にZ軸方向に貫通する矩形の開口部を有する矩形枠状に形成されている。
粗動スライダ部90a、90bそれぞれの内部(底部)には、図4(B)及び図4(C)に示されるように、磁石ユニット96a、96bが収容されている。磁石ユニット96a、96bは、定盤14A、14Bの第1部分14A1、14B1それぞれの内部に収容されたコイルユニットに対応して、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の磁石から成る。磁石ユニット96a、96bは、定盤14A、14Bのコイルユニットと共に、例えば米国特許出願公開第2003/0085676号明細書などに開示される、粗動ステージWCS1に対して6自由度方向に駆動力を発生可能な電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系62A(図6参照)を構成している。また、これと同様に、ウエハステージWST2の粗動ステージWCS2(図2参照)が有する磁石ユニットと、定盤14A、14Bのコイルユニットとにより、平面モータから成る粗動ステージ駆動系62B(図6参照)が構成されている。この場合、粗動ステージWCS1(又はWCS2)にはZ軸方向の力が作用しているため、定盤14A、14B上を磁気浮上している。そのため、比較的高い加工精度が要求される気体静圧軸受を用いる必要がなく、その分、定盤14A、14B上面の平坦度を高くする必要もなくなる。
なお、本実施形態の粗動ステージWCS1,WCS2は、粗動スライダ部90a、90bのみが平面モータの磁石ユニットを有する構成であるが、これに限らず、連結部材92a、92bにも併せて磁石ユニットを配置しても良い。また、粗動ステージWCS1,WCS2を駆動するアクチュエータとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータなどを用いても良い。また、粗動ステージWCS1,WCS2の駆動方向は、6自由度方向に限られず、例えばXY平面内の3自由度方向(X,Y、θz)のみであっても良い。この場合、例えば気体静圧軸受(例えばエアベアリング)により粗動ステージWCS1,WCS2を定盤14A,14B上で浮上させると良い。また、本実施形態では、粗動ステージ駆動系62A,62Bとして、ムービングマグネット式の平面モータが用いられるが、これに限らず、定盤に磁石ユニットが配置され、粗動ステージにコイルユニットが配置されるムービングコイル式の平面モータを用いても良い。
粗動スライダ部90aの−Y側の側面、及び粗動スライダ部90bの+Y側の側面それぞれには、微動ステージWFS1を微少駆動する際のガイドとして機能するガイド部材94a、94bが固定されている。ガイド部材94aは、図4(B)に示されるように、X軸方向に延設された断面L字状の部材から成り、その下面は粗動スライダ部90aの下面と同一面上に配置されている。ガイド部材94bは、ガイド部材94aに対して左右対称ではあるが、同様に構成され、同様に配置されている。
ガイド部材94aの内部(底面)には、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイルをそれぞれ含む一対のコイルユニットCUa、CUbが、X軸方向に関して所定間隔で収容されている(図4(A)参照)。一方、ガイド部材94bの内部(底部)には、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイルを含む1つのコイルユニットCUcが収容されている(図4(A)参照)。コイルユニットCUa〜CUcを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20(図6参照)によって制御される。
連結部材92a、92bは、中空に形成されており、その内部に微動ステージWFS1に用力を供給するための図示しない配管部材、配線部材などが収容されている。連結部材92a及び/又は92bの内部に、各種光学部材(例えば、空間像計測器、照度むら計測器、照度モニタ、波面収差計測器など)を収容しても良い。
ここで、ウエハステージWST1が粗動ステージ駆動系62Aを構成する平面モータによって定盤14A上で加減速を伴ってY軸方向に駆動される際(例えば、露光ステーション200と計測ステーション300との間を移動する際)に、定盤14Aは、ウエハステージWST1の駆動による反力の作用により、いわゆる作用反作用の法則(運動量保存の法則)に従ってウエハステージWST1と反対の方向に駆動される。また、定盤駆動系60AによってY軸方向に関して駆動力を発生させて、前記作用反作用の法則を満たさない状態とすることも可能である。
また、ウエハステージWST2が、定盤14B上でY軸方向に駆動される際に、定盤14Bも、ウエハステージWST2の駆動力の反力の作用により、いわゆる作用反作用の法則(運動量保存の法則)に従ってウエハステージWST2と反対の方向に駆動される。すなわち、定盤14A、14Bがカウンタマスとして機能し、ウエハステージWST1、WST2及び定盤14A、14Bの全体から成る系の運動量が保存され、重心移動が生じない。従って、ウエハステージWST1、WST2のY軸方向の移動によって定盤14A,14Bに偏荷重が作用するなどの不都合が生じることがない。なお、ウエハステージWST2に関しても、定盤駆動系60BによってY軸方向に関して駆動力を発生させて、前記作用反作用の法則を満たさない状態とすることが可能である。
また、ウエハステージWST1,WST2のX軸方向の移動の際には、その駆動力の反力の作用によって、定盤14A,14Bが、カウンタマスとして機能する。
微動ステージWFS1は、図4(A)及び図4(B)に示されるように、平面視矩形の部材から成る本体部80と、本体部80の+Y側の側面に固定された一対の微動スライダ部84a、84bと、本体部80の−Y側の側面に固定された微動スライダ部84cとを備えている。
本体部80は、熱膨張率の比較的小さい材料、例えばセラミックスあるいはガラスなどで形成され、その底面が粗動ステージWCS1の底面と同一平面上に位置する状態で、粗動ステージWCS1によって非接触で支持されている。本体部80は、軽量化のために中空とされても良い。なお、本体部80の底面は、粗動ステージWCS1の底面と必ずしも同一平面とはしなくても良い。
本体部80の上面中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が配置されている。本実施形態では、例えば環状の凸部(リム部)内に、ウエハWを支持する複数の支持部(ピン部材)が形成される、いわゆるピンチャック方式のウエハホルダが用いられ、一面(表面)がウエハ載置面となるウエハホルダの他面(裏面)側に後述する二次元グレーティングRGなどが設けられる。なお、ウエハホルダは、微動ステージWFS1(本体部80)と一体に形成されていても良いし、本体部80に対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等の保持機構を介して着脱可能に固定されていても良い。この場合、グレーティングRGは、本体部80の裏面側に設けられることになる。また、ウエハホルダは、接着等により本体部80に固定されていても良い。本体部80の上面には、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)の外側に、図4(A)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ本体部80に対応する矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)82が取り付けられている。プレート82の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。本実施形態において、プレート82の表面は、例えば金属、セラミックス、あるいはガラスなどから成る基材と、その基材の表面に形成された撥液性材料の膜とを含む。撥液性材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でも良い。また、プレート82全体が、PFA、PTFE、テフロン(登録商標)、アクリル系樹脂、及びシリコン系樹脂の少なくとも1つで形成されても良い。本実施形態において、液体Lqに対するプレート82の上面の接触角は、例えば90度以上である。前述した連結部材92bの表面にも、同様の撥液化処理が施されている。
プレート82は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように本体部80の上面に固定されている。また、プレート82及びウエハWの表面は、前述した連結部材92bの表面とほぼ同一面上に位置している。また、プレート82の+X側かつ+Y側のコーナーの近傍には、円形の開口が形成され、該開口内に計測プレートFM1がウエハWの表面とほぼ同一面となる状態で隙間無く配置されている。計測プレートFM1の上面には、前述した一対のレチクルアライメント系RA1,RA2(図1、図6参照)のそれぞれにより検出される一対の第1基準マーク、及びプライマリアライメント系AL1により検出される第2基準マーク(いずれも図示せず)が形成されている。ウエハステージWST2の微動ステージWFS2には、図2に示されるように、プレート82の−X側かつ+Y側のコーナーの近傍に計測プレートFM1と同様の計測プレートFM2がウエハWの表面とほぼ同一面となる状態で固定されている。なお、プレート82を微動ステージWFS1(本体部80)に取り付ける代わりに、例えばウエハホルダを微動ステージWFS1と一体に形成し、微動ステージWFS1の、ウエハホルダを囲む周囲領域(プレート82と同一の領域(計測プレートの表面を含んでも良い)の上面に撥液化処理を施して、撥液面を形成しても良い。
微動ステージWFS1の本体部80の下面の中央部には、図4(B)に示されるように、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)と計測プレートFM1(微動ステージWFS2の場合は、計測プレートFM2)とをカバーする程度の大きさの所定形状の薄板状のプレートが、その下面がその他の部分(周囲の部分)とほぼ同一面上に位置する(プレートの下面の方が、周囲の部分より下方に突出することはない)状態で配置されている。プレートの一面(上面(又は下面))には、二次元グレーティングRG(以下、単にグレーティングRGと呼ぶ)が形成されている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。プレートは、例えばガラスによって形成され、グレーティングRGは、回折格子の目盛りを、例えば138nm〜4μmの間のピッチ、例えば1μmピッチで刻んで作成されている。なお、グレーティングRGは、本体部80の下面の全体をカバーしていても良い。また、グレーティングRGに用いられる回折格子の種類は、機械的に溝等が形成されたもののみならず、例えば、感光性樹脂に干渉縞を焼き付けて作成したものであっても良い。なお、薄板状プレートの構成は必ずしもこれに限定されるものではない。
一対の微動スライダ部84a、84bは、図4(A)に示されるように、平面視略正方形の板状部材であり、本体部80の+Y側の側面に、X軸方向に関して所定距離隔てて配置されている。微動スライダ部84cは、平面視X軸方向に細長い長方形の板状部材であり、その長手方向の一端と他端とが、微動スライダ部84a、84bの中心とほぼ同一のY軸に平行な直線上に位置する状態で、本体部80の−Y側の側面に固定されている。
一対の微動スライダ部84a、84bは、それぞれ前述したガイド部材94aに支持され、微動スライダ部84cは、ガイド部材94bに支持されている。すなわち、微動ステージWFSは、粗動ステージWCSに対して、同一直線上に無い3箇所で支持されている。
微動スライダ部84a〜84cそれぞれの内部には、粗動ステージWCS1のガイド部材94a、94bが有するコイルユニットCUa〜CUcに対応して、XY二次元方向を行方向、列方向とするマトリックス状に配置された複数の永久磁石(及び図示しないヨーク)から成る磁石ユニット98a、98b、98cが収容されている。磁石ユニット98aは、コイルユニットCUaと共に、磁石ユニット98bは、コイルユニットCUbと共に、磁石ユニット98cは、コイルユニットCUcと共に、それぞれ、例えば米国特許出願公開第2003/0085676号明細書などに開示される、X,Y,Z軸方向に駆動力を発生可能な電磁力(ローレンツ力)駆動方式の3つの平面モータを構成し、これら3つの平面モータにより微動ステージWFS1を6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy及びθz)に駆動する微動ステージ駆動系64A(図6参照)が構成されている。
ウエハステージWST2においても、同様に粗動ステージWCS2の有するコイルユニットと、微動ステージWFS2の有する磁石ユニットとから成る3つの平面モータが構成され、これらの3つの平面モータにより微動ステージWFS2を6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy及びθz)に駆動する微動ステージ駆動系64Bが構成されている(図6参照)。
微動ステージWFS1は、X軸方向に関しては、X軸方向に延設されたガイド部材94a、94bに沿って、その他の5自由度方向に比べて長ストロークでの移動が可能になっている。微動ステージWFS2も同様である。
以上のような構成によって、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1に対して6自由度方向に移動可能となっている。また、このとき、微動ステージWFS1の駆動による反力の作用により、前述と同様の作用反作用の法則(運動量保存の法則)が成り立つようになっている。すなわち、粗動ステージWCS1が微動ステージWFS1のカウンタマスとして機能し、粗動ステージWCS1は微動ステージWFS1と反対の方向に駆動される。微動ステージWFS2と粗動ステージWCS2との関係も同様である。
なお、本実施形態では、主制御装置20は、微動ステージWFS1(又はWFS2)を、加減速を伴って、X軸方向に関して大きく駆動する際(例えば、露光中にショット領域間のステッピング動作を行う際など)には、微動ステージ駆動系64A(又は64B)を構成する平面モータにより微動ステージWFS1(又はWFS2)をX軸方向に駆動する。また、これに併せて、粗動ステージ駆動系62A(又は62B)を介して粗動ステージWCS1(又はWCS2)に微動ステージWFS1(又はWFS2)と同一方向に駆動するような初速を与える(粗動ステージWCS1(又はWCS2)を微動ステージWFS1(又はWFS2)と同一方向に駆動する)。これにより、粗動ステージWCS1(又はWCS2)をいわゆるカウンタマスとして機能させるとともに、微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の移動に伴う(駆動力の反力に起因する)粗動ステージWCS1(又はWCS2)の反対方向への移動距離を短くすることができる。特に、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、X軸方向へのステップ移動を含む動作を行う、すなわち、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、X軸方向への加速と減速とを交互に繰り返す動作を行う場合には、粗動ステージWCS1(又はWCS2)の移動に必要なX軸方向に関するストロークを最も短くすることができる。このとき、主制御装置20は、微動ステージと粗動ステージとを含むウエハステージWST1(又はWST2)の系全体の重心がX軸方向に関して等速運動をするような初速を、粗動ステージWCS1(又はWCS2)に与えると良い。このようにすると、粗動ステージWCS1(又はWCS2)は、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置を基準として、所定の範囲内で往復運動をする。従って、粗動ステージWCS1(又はWCS2)のX軸方向の移動ストロークとして、その所定の範囲に幾分のマージンを加えた距離を用意しておけば良い。かかる詳細については、例えば、米国特許出願公開第2008/0143994号明細書などに開示されている。
また、前述のように、微動ステージWFS1は、粗動ステージWCS1によって同一直線上に無い3箇所で支持されているので、主制御装置20は、例えば微動スライダ部84a〜84cそれぞれに作用させるZ軸方向の駆動力(推力)を適宜制御することにより、微動ステージWFS1(すなわちウエハW)をXY平面に対してθx及び/又はθy方向に任意の角度(回転量)で傾けることができる。また、主制御装置20は、例えば微動スライダ部84a、84bそれぞれに+θx方向(図4(B)で紙面左回り方向)の駆動力を作用させるとともに、微動スライダ部84cに−θx方向(図4(B)で紙面右回り方向)の駆動力を作用させることによって、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向に(凸状に)撓ませることができる。また、主制御装置20は、例えば微動スライダ部84a、84bそれぞれに−θy、+θy方向(ぞれぞれ+Y側から見て左回り、右回り)の駆動力を作用させることによっても、微動ステージWFS1の中央部を+Z方向に(凸状に)撓ませることができる。主制御装置20は、微動ステージWFS2に対しても、同様のことを行うことができる。
なお、本実施形態では、微動ステージ駆動系64A、64Bとして、ムービングマグネット式の平面モータが用いられるが、これに限らず、微動ステージの微動スライダ部にコイルユニットが配置され、粗動ステージのガイド部材に磁石ユニットが配置されるムービングコイル式の平面モータを用いても良い。
粗動ステージWCS1の連結部材92aと微動ステージWFS1の本体部80との間には、図4(A)に示されるように、外部から連結部材92aに供給された用力を微動ステージWFS1に伝達するための一対のチューブ86a、86bが架設されている。なお、図4(A)を含み、各図面では図示が省略されているが、実際には、一対のチューブ86a、86bは、それぞれ複数本のチューブによって構成されている。チューブ86a、86bそれぞれの一端は、連結部材92aの+X側の側面に接続され、他端は、本体部80の上面に−X側の端面から+X方向に所定の長さで形成された所定深さを有する一対の凹部80a(図4(C)参照)をそれぞれ介して本体部80の内部に接続されている。チューブ86a、86bは、図4(C)に示されるように、微動ステージWFS1の上面よりも上方に突出しないようになっている。粗動ステージWCS2の連結部材92aと微動ステージWFS2の本体部80との間にも、図2に示されるように、外部から連結部材92aに供給された用力を微動ステージWFS2に用力を伝達するための一対のチューブ86a、86bが架設されている。
本実施形態では、微動ステージ駆動系64A,64Bとして、ムービングマグネット型の3つの平面モータが用いられているので、チューブ86a,86bを介して、電力以外の用力が、粗動ステージと微動ステージとの間で伝達される。なお、チューブ86a,86bに代えて、例えば国際公開第2004/100237号に開示されるような構成、手法を採用して、粗動ステージと微動ステージとの間での用力の伝達を非接触で行うこととしても良い。
一方のチューブキャリアTCaは、図2に示されるように、チューブTa2を介して粗動ステージWCS1の連結部材92a内部の配管部材、配線部材に接続されている。チューブキャリアTCaは、図3に示されるように、ベース盤12の−X側の端部に形成された段部の上に配置されている。チューブキャリアTCaは、ベース盤12の段部上でリニアモータなどのアクチュエータにより、ウエハステージWST1に追従してY軸方向に駆動される。
他方のチューブキャリアTCbは、図3に示されるように、ベース盤12の+X側の端部に形成された段部の上に配置され、チューブTb2を介して粗動ステージWCS2の連結部材92a内部の配管部材、配線部材に接続されている(図2参照)。チューブキャリアTCbは、ベース盤12の段部上でリニアモータなどのアクチュエータにより、ウエハステージWST2に追従してY軸方向に駆動される。
チューブキャリアTCa、TCbそれぞれには、図3に示されるように、外部に設置された図示しない用力供給装置(例えば、電源、ガスタンク、コンプレッサ、あるいはバキュームポンプなど)に一端が接続されたチューブTa1,Tb1の他端が接続されている。用力供給装置からチューブTa1を介して、チューブキャリアTCaに供給された用力は、チューブTa2、粗動ステージWCS1の連結部材92aに収容された図示しない配管部材,配線部材、及びチューブ86a、86bを介して微動ステージWFS1に供給される。同様に、用力供給装置からチューブTb1を介して、チューブキャリアTCbに供給された用力は、チューブTb2、粗動ステージWCS2の連結部材92aに収容された図示しない配管部材,配線部材、及びチューブ86a、86bを介して微動ステージWFS2に供給される。
次にウエハステージWST1、WST2の位置情報を計測する計測系について説明する。露光装置100は、微動ステージWFS1,WFS2の位置情報を計測する微動ステージ位置計測系70(図6参照)と、粗動ステージWCS1,WCS2それぞれの位置情報を計測する粗動ステージ位置計測系68A,68B(図6参照)と、を有している。
微動ステージ位置計測系70は、図1に示される計測バー71を有している。計測バー71は、図3に示されるように、一対の定盤14A、14Bそれぞれの第1部分14A1、14B1の下方に配置されている。計測バー71は、図1及び図3から明らかなように、Y軸方向を長手方向とする断面矩形の梁状部材から成り、その長手方向の両端部が吊下部材74をそれぞれ介してメインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。すなわち、メインフレームBDと計測バー71とは、一体である。なお、梁状部材は、ウエハステージの移動の妨げにならない構成を採用する場合には、両端支持に限らず、その長手方向の一端で片持ち支持されても良い。また、梁状部材は、前述したベース盤12の下方に配置されていれば良い。さらに、梁状部材はメインフレームBDに支持されるものとしたが、例えば防振機構を介して設置面(床面など)に設けても良い。この場合、メインフレームBDと梁状部材との相対的な位置関係を計測する計測装置を設けることが好ましい。梁状部材は、計測用部材などとも呼ぶことができる。
計測バー71は、+Z側半部(上半部)が定盤14A、14Bそれぞれの第2部分14A2、14B2相互の間に配置され、−Z側半部(下半部)がベース盤12に形成された凹部12a内に収容されている。また、計測バー71と、定盤14A,14B及びベース盤12それぞれとの間には、所定のクリアランスが形成されており、計測バー71は、メインフレームBD以外の部材に対しては、機械的に非接触な状態となっている。計測バー71は、熱膨張率が比較的低い材料(例えばインバー、又はセラミックスなど)によって形成されている。なお、計測バー71の形状は特に限定されるものではない。例えば、断面が円(円柱状)や台形や三角形状であったりしても良い。また、必ずしも棒状、あるいは梁状部材などのような長手部材により形成する必要もない。
計測バー71には、図5に示されるように、投影ユニットPUの下方に位置する微動ステージ(WFS1又はWFS2)の位置情報を計測する際に用いられる第1計測ヘッド群72と、アライメント装置99の下方に位置する微動ステージ(WFS1又はWFS2)の位置情報を計測する際に用いられる第2計測ヘッド群73と、が設けられている。なお、図面をわかりやすくするため、図5ではアライメント系AL1、AL21〜AL24が仮想線(二点鎖線)で示されている。また、図5では、アライメント系AL21〜AL24についての符号は図示が省略されている。
第1計測ヘッド群72は、図5に示されるように、投影ユニットPUの下方に配置され、X軸方向計測用1次元エンコーダヘッド(以下、Xヘッド又はエンコーダヘッドと略述する)75xと、一対のY軸方向計測用1次元エンコーダヘッド(以下、Yヘッド又はエンコーダヘッドと略述する)75ya、75ybと、3つのZヘッド76a、76b、76cと、を含む。
Xヘッド75x、Yヘッド75ya、75yb、及び3つのZヘッド76a〜76cは、計測バー71の内部に、その位置が変化しない状態で配置されている。Xヘッド75xは、基準軸LV上に配置され、Yヘッド75ya、75ybが、Xヘッド75xの−X側、+X側にそれぞれ同じ距離離れて配置されている。本実施形態では、3つのエンコーダヘッド75x、75ya、75ybのそれぞれとして、例えば国際公開第2007/083758号(対応米国特許出願公開第2007/0288121号明細書)などに開示されるエンコーダヘッドと同様の、光源、受光系(光検出器を含む)、及び各種光学系がユニット化された構成の回折干渉型のヘッドが用いられている。
Xヘッド75x、Yヘッド75ya、75ybのそれぞれは、ウエハステージWST1(又はWST2)が投影光学系PL(図1参照)の直下に位置する際、定盤14Aと定盤14Bとの間の空隙、又は定盤14A,14Bそれぞれの第1部分14A1、14B1に形成された光透過部(例えば開口)を介して、微動ステージWFS1(又はWFS2)の下面に配置されたグレーティングRG(図4(B)参照)に計測ビームを照射する。さらに、Xヘッド75x、Yヘッド75ya、75ybのそれぞれは、グレーティングRGからの回折光を受光することにより、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)を求める。すなわち、グレーティングRGが有するX回折格子を用いて微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を計測するXヘッド75xによって、Xリニアエンコーダ51(図6参照)が構成されている。また、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFS1(又はWFS2)のY軸方向の位置を計測する一対のYヘッド75ya、75ybによって、一対のYリニアエンコーダ52、53(図6参照)が構成されている。Xヘッド75x、Yヘッド75ya、75ybそれぞれの計測値は、主制御装置20(図6参照)に供給され、主制御装置20は、Xヘッド75xの計測値を用いて(に基づいて)、微動ステージWFS1(又はWFS2)のX軸方向の位置を、一対のYヘッド75ya、75ybの計測値の平均値に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のY軸方向の位置をそれぞれ計測(算出)する。また、主制御装置20は、一対のYリニアエンコーダ52、53それぞれの計測値を用いて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のθz方向の位置(Z軸回りの回転量)を計測(算出)する。
ここで、Xヘッド75xから照射される計測ビームのグレーティングRG上における照射点(検出点)は、ウエハW上の露光領域IA(図1参照)の中心である露光位置に一致する。また、一対のYヘッド75ya、75ybそれぞれから照射される計測ビームのグレーティングRG上の一対の照射点(検出点)の中点は、Xヘッド75xから照射される計測ビームのグレーティングRG上の照射点(検出点)と一致する。主制御装置20は、微動ステージWFS1(又はWFS2)のY軸方向の位置情報を、2つのYヘッド75ya、75ybの計測値の平均に基づいて算出する。そのため、微動ステージWFS1(又はWFS2)のY軸方向に関する位置情報は、実質的にウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置で計測される。すなわち、Xヘッド75xの計測中心、及び2つのYヘッド75ya、75ybの実質的な計測中心は、露光位置に一致する。従って、主制御装置20は、Xリニアエンコーダ51及びYリニアエンコーダ52、53を用いることで、微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)の計測を、常に露光位置の直下(裏側)で行うことができる。
Zヘッド76a〜76cとしては、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式の変位センサのヘッドが用いられる。3つのZヘッド76a〜76cは、二等辺三角形(又は正三角形)の各頂点に対応する位置に配置されている。Zヘッド76a〜76cそれぞれは、微動ステージWFS1(又はWFS2)の下面に対し下方からZ軸に平行な計測ビームを照射し、グレーティングRGが形成されたプレートの表面(又は反射型回折格子の形成面)によって反射された反射光を受光する。これにより、Zヘッド76a〜76cそれぞれは、各照射点における微動ステージWFS1(又はWFS2)の面位置(Z軸方向の位置)を計測する面位置計測系54(図6参照)を構成する。3つのZヘッド76a〜76cそれぞれの計測値は、主制御装置20(図6参照)に供給される。
また、3つのZヘッド76a〜76cそれぞれから照射される計測ビームのグレーティングRG上における3つの照射点を頂点とする二等辺三角形(又は正三角形)の重心は、ウエハW上の露光領域IA(図1参照)の中心である露光位置に一致する。従って、主制御装置20は、3つのZヘッド76a〜76cの計測値の平均値に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)のZ軸方向の位置情報(面位置情報)の取得を、常に露光位置の直下で行うことができる。また、主制御装置20は、3つのZヘッド76a〜76cの計測値を用いて(に基づいて)、微動ステージWFS1(又はWFS2)のZ軸方向の位置に加えて、θx方向及びθy方向の回転量を計測(算出)する。
第2計測ヘッド群73は、Xリニアエンコーダ55(図6参照)を構成するXヘッド77x、一対のYリニアエンコーダ56、57(図6参照)を構成する一対のYヘッド77ya、77yb、及び面位置計測系58(図6参照)を構成する3つのZヘッド78a、78b、78cを有している。Xヘッド77xを基準とする、一対のYヘッド77ya、77yb及び3つのZヘッド78a〜78cそれぞれの位置関係は、前述のXヘッド75xを基準とする、一対のYヘッド75ya、75yb及び3つのZヘッド76a〜76cそれぞれの位置関係と同様となっている。Xヘッド77xから照射される計測ビームのグレーティングRG上における照射点(検出点)は、プライマリアライメント系AL1の検出中心に一致する。すなわち、Xヘッド77xの計測中心、及び2つのYヘッド77ya、77ybの実質的な計測中心は、プライマリアライメント系AL1の検出中心に一致する。従って、主制御装置20は、微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報、及び面位置情報の計測を、常にプライマリアライメント系AL1の検出中心で行うことができる。
なお、本実施形態のXヘッド75x、77x、及びYヘッド75ya、75yb、77ya、77ybは、それぞれ図示しない光源、受光系(光検出器を含む)、及び各種光学系がユニット化されて計測バー71の内部に配置されているが、エンコーダヘッドの構成は、これに限らない。例えば、光源及び受光系が計測バーの外部に配置されていても良い。この場合、計測バーの内部に配置された光学系と、光源及び受光系とを、例えば光ファイバなどを介してそれぞれ接続するようにしても良い。また、エンコーダヘッドを計測バーの外部に配置し、計測ビームのみを計測バーの内部に配置した光ファイバを介してグレーティングに案内する構成でも良い。また、ウエハのθz方向の回転情報は、一対のXリニアエンコーダを用いて計測しても良い(この場合、Yリニアエンコーダは1つで良い)。また、微動ステージの面位置情報は、例えば光干渉計を用いて計測しても良い。また、第1計測ヘッド群72、第2計測ヘッド群73の各ヘッドの代わりに、X軸方向及びZ軸方向を計測方向とするXZエンコーダヘッドと、Y軸方向及びZ軸方向を計測方向とするYZエンコーダヘッドとを、少なくとも各1つ含む合計で3つのエンコーダヘッドを、前述のXヘッド、及び一対のYヘッドと同様の配置で設けても良い。
また、計測バー71を複数に分割しても良い。例えば、第1計測ヘッド群72を有する部分と、第2計測ヘッド群73を有する部分とに分割し、それぞれの部分(計測バー)がメインフレームBD(の計測基準面)を基準としてメインフレームBDとの相対位置を検出し、その位置関係が一定となるよう制御しても良い。この場合、各部分(計測バー)の両端に複数のエンコーダヘッド及びZヘッド(面位置計測系)を含むヘッドユニットを設けて、各部分(計測バー)のZ軸方向の位置、及びθx、θy方向の回転量を算出することができる。
粗動ステージ位置計測系68A(図6参照)は、ウエハステージWST1が定盤14A上で露光ステーション200と計測ステーション300との間を移動する際に、粗動ステージWCS1(ウエハステージWST1)の位置情報を計測する。粗動ステージ位置計測系68Aの構成は特に限定されず、エンコーダシステム、あるいは光干渉計システム(光干渉計システムとエンコーダシステムとを組み合わせても良い)を含む。粗動ステージ位置計測系68Aがエンコーダシステムを含む場合には、例えばウエハステージWST1の移動経路に沿ってメインフレームBDに吊り下げ状態で固定された複数のエンコーダヘッドから、粗動ステージWCS1の上面に固定(又は形成)されたスケール(例えば二次元グレーティング)に計測ビームを照射し、その回折光を受光して粗動ステージWCS1の位置情報を計測する構成とすることができる。粗動ステージ位置計測系68Aが光干渉計システムを含む場合には、X軸及びY軸に平行な測長軸をそれぞれ有するX光干渉計、Y光干渉から粗動ステージWCS1の側面に測長ビームを照射し、その反射光を受光してウエハステージWST1の位置情報を計測する構成とすることができる。
粗動ステージ位置計測系68B(図6参照)は、粗動ステージ位置計測系68Aと同様の構成を有し、粗動ステージWCS2(ウエハステージWST2)の位置情報を、計測する。主制御装置20は、粗動ステージ位置計測系68A、68Bの計測値に基づいて、粗動ステージ駆動系62A、62Bを個別に制御し、粗動ステージWCS1,WCS2(ウエハステージWST1,WST2)それぞれの位置を制御する。
また、露光装置100は、粗動ステージWCS1と微動ステージWFS1との相対位置、及び粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2との相対位置を、それぞれ計測する相対位置計測系66A,66Bをも備えている(図6参照)。相対位置計測系66A,66Bの構成は、特に限定されないが、例えば静電容量センサを含むギャップセンサにより構成することができる。この場合、ギャップセンサは、例えば粗動ステージWCS1(又はWCS2)に固定されたプローブ部と、微動ステージWFS1(又はWFS2)に固定されたターゲット部と、により構成することができる。なお、相対位置計測系の構成は、これに限られず、例えばリニアエンコーダシステム、光干渉計システムなどを用いて、相対位置計測系を構成しても良い。
図6には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、前述の局所液浸装置8、定盤駆動系60A,60B、粗動ステージ駆動系62A,62B、及び微動ステージ駆動系64A,64Bなど、露光装置100の構成各部を統括制御する。
次に、2つのウエハステージWST1,WST2を用いた並行処理動作について、図7〜図11に基づいて、説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、液体供給装置5と液体回収装置6とが前述の如く制御され、投影光学系PLの先端レンズ191の直下に、一定量の液体Lqが保持されることにより、常時、液浸領域が形成されている。
図7には、露光ステーション200において、ウエハステージWST1の微動ステージWFS1上に載置されたウエハWに対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、これと並行して、第2ローディングポジションにおいて、ウエハ搬送機構(不図示)とウエハステージWST2の微動ステージWFS2との間でウエハ交換が行なわれている状態が、示されている。
ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われた、ウエハアライメントの結果(例えばエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)により得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標を計測プレートFM1上の第2基準マークを基準とする座標に変換した情報)、及びレチクルアライメントの結果等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWST1を移動させるショット領域間移動(ショット間ステッピング)動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式でウエハW上の各ショット領域に転写する走査露光動作と、を繰り返すことにより行われる。このステップ・アンド・スキャン動作中に、ウエハステージWST1の例えば走査露光の際のY軸方向の移動に伴って、前述の如く、定盤14A,14Bが、カウンタマスとしての機能を発揮する。また、主制御装置20により、ショット間ステッピング動作のために、微動ステージWFS1をX軸方向に駆動する際に、粗動ステージWCS1に初速を付与することで、粗動ステージWCS1が微動ステージに対するローカルなカウンタマスとして機能する。従って、ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1、微動ステージWFS1)の移動が、定盤14A,14Bの振動要因となったり、ウエハステージWST2に悪影響を与えたりすることがない。
上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハW(ショット領域の位置によっては、ウエハW及びプレート82)との間に液体Lqを保持した状態で、すなわち液浸露光により行われる。
本実施形態の露光装置100では、上述の一連の露光動作中、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70の第1計測ヘッド群72を用いて微動ステージWFS1の位置が計測され、この計測結果に基づいて微動ステージWFS1(ウエハW)の位置が制御される。
ウエハ交換は、微動ステージWFS2が、第2ローディングポジションにあるときに、不図示のウエハ搬送機構によって、露光済みのウエハが微動ステージWFS2上からアンロードされるとともに、新たなウエハが微動ステージWFS2上へロードされることで行われる。ここで、第2ローディングポジションは、ウエハステージWST2上でウエハ交換が行われる位置であって、本実施形態では、プライマリアライメント系AL1の直下に計測プレートFM2が位置決めされる微動ステージWFS2(ウエハステージWST2)の位置と定められているものとする。
上記のウエハ交換中、及びそのウエハ交換後、ウエハステージWST2が第2ローディングポジションに停止している間に、主制御装置20は、新しいウエハWに対するウエハアライメント(及びその他の前処理計測)の開始に先立って、微動ステージ位置計測系70の第2計測ヘッド群73、すなわちエンコーダ55、56,57(及び面位置計測系58)のリセット(原点の再設定)を実行している。
ウエハ交換(新しいウエハWのローディング)とエンコーダ55、56,57(及び面位置計測系58)のリセットが終了すると、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いて計測プレートFM2上の第2基準マークを検出する。そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1の指標中心を基準とする第2基準マークの位置を検出し、その検出結果と、検出時のエンコーダ55、56,57による微動ステージWFS2の位置計測の結果とに基づいて、基準軸La及び基準軸LVを座標軸とする直交座標系(アライメント座標系)における第2基準マークの位置座標を算出する。
次に、主制御装置20は、エンコーダ55、56,57を用いて、アライメント座標系における微動ステージWFS2(ウエハステージWST2)の位置座標を計測しつつ、EGAを行う(図8参照)。詳述すると、主制御装置20は、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されるように、ウエハステージWST2を、すなわち微動ステージWFS2を支持する粗動ステージWCS2を、例えばY軸方向に移動させ、その移動経路上における複数箇所に微動ステージWFS2を位置決めし、位置決めの都度、アライメント系AL1,AL22〜AL24の少なくとも1つを用いてアライメントショット領域(サンプルショット領域)におけるアライメントマークのアライメント座標系における位置座標を検出する。図8には、アライメントマークのアライメント座標系における位置座標の検出が行われているときの、ウエハステージWST2の様子が示されている。
この場合において、上記のウエハステージWST2のY軸方向への移動動作と連動して、アライメント系AL1,AL22〜AL24はそれぞれ、検出領域(例えば、検出光の照射領域に相当)内に順次配置されるX軸方向に沿って配列された複数のアライメントマーク(サンプルマーク)を検出する。このため、上記のアライメントマークの計測に際して、ウエハステージWST2は、X軸方向に駆動されない。
そして、主制御装置20は、ウエハW上のサンプルショット領域に付設された複数のアライメントマークの位置座標と設計上の位置座標とに基づいて、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに開示されている統計演算(EGA演算)を実行し、複数のショット領域のアライメント座標系における位置座標(配列座標)を算出する。
また、本実施形態の露光装置100では、計測ステーション300と露光ステーション200とが離間しているので、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の位置座標から、先に検出された第2基準マークの位置座標を減算して、第2基準マークの位置を原点とするウエハW上の複数のショット領域の位置座標を求める。
通常、上述のウエハ交換及びウエハアライメントシーケンスは、露光シーケンスより早く終了する。そのため、ウエハアライメントが終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWST2を、+X方向に駆動して、定盤14B上の所定の待機位置へ移動させる。ここで、ウエハステージWST2を+X方向に駆動すると、微動ステージWFSが微動ステージ位置計測系70の計測可能範囲から離脱する(すなわち、第2計測ヘッド群73から照射される各計測ビームがグレーティングRGから外れる)。このため、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70(エンコーダ55、56,57)の計測値と、相対位置計測系66Bの計測値とに基づいて、粗動ステージWCS2の位置を求め、以降、粗動ステージ位置計測系68Bの計測値に基づいてウエハステージWST2の位置を制御する。すなわち、ウエハステージWST2のXY平面内の位置計測を、エンコーダ55、56,57を用いた計測から、粗動ステージ位置計測系68Bを用いた計測に切り換える。そして、主制御装置20は、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するまで、ウエハステージWST2を、上記所定の待機位置に待機させる。
微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWST1,WST2を、図10に示されるそれぞれの右側スクラムポジションに向けて駆動を開始する。右側スクラムポジションへ向けてウエハステージWST1が−X方向に駆動される際、微動ステージWFS1が微動ステージ位置計測系70(エンコーダ51,52,53及び面位置計測系54)の計測可能範囲から離脱する(すなわち、第1計測ヘッド群72から照射される計測ビームがグレーティングRGから外れる)。このため、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70(エンコーダ51,52,53)の計測値と、相対位置計測系66Aの計測値と、に基づいて、粗動ステージWCS1の位置を求め、以降、粗動ステージ位置計測系68Aの計測値に基づいてウエハステージWST1の位置を制御する。すなわち、主制御装置20は、ウエハステージWST1のXY平面内の位置計測を、エンコーダ51、52,53を用いた計測から、粗動ステージ位置計測系68Aを用いた計測に切り換える。また、この時、主制御装置20は、粗動ステージ位置計測系68Bを用いてウエハステージWST2の位置を計測し、その計測結果に基づいて、図9に示されるように、ウエハステージWST2を、定盤14B上で+Y方向に駆動する(図9中の白抜き矢印参照)。このウエハステージWST2の駆動力の反力の作用により、定盤14Bが、カウンタマスとして機能する。
また、主制御装置20は、上記の右側スクラムポジションへ向けてのウエハステージWST1,WST2の移動と並行して、相対位置計測系66Aの計測値に基づいて、微動ステージWFS1を+X方向に駆動して、粗動ステージWCS1に近接又は接触させるとともに、相対位置計測系66Bの計測値に基づいて、微動ステージWFS2を−X方向に駆動して、粗動ステージWCS2に近接又は接触させる。
そして、両ウエハステージWST1、WST2が、右側スクラムポジションに移動した状態では、図10に示されるように、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが、X軸方向に関して近接又は接触するスクラム状態となる。これと同時に、微動ステージWFS1と粗動ステージWCS1とがスクラム状態となり、粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2とがスクラム状態となる。そして、微動ステージWFS1、粗動ステージWCS1の連結部材92b、粗動ステージWCS2の連結部材92b、及び微動ステージWFS2の上面によって、見かけ上一体のフルフラットな面が形成される。
ウエハステージWST1及びWST2が、上記の3つのスクラム状態を保ったまま、−X方向に移動するに従い、先端レンズ191と微動ステージWFS1との間に形成されていた液浸領域(液体Lq)は、微動ステージWFS1、粗動ステージWCS1の連結部材92b、粗動ステージWCS2の連結部材92b、微動ステージWFS2上へと、順次移動する。図10には、液浸領域(液体Lq)の移動が開始される直前の状態が示されている。なお、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とを、上記の3つのスクラム状態を保ったまま駆動する場合、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とのギャップ(クリアランス)、微動ステージWFS1と粗動ステージWCS1とのギャップ(クリアランス)、及び粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2とのギャップ(クリアランス)を、液体Lqの漏出が防止あるいは抑制されるように設定することが好ましい。ここで、近接は、上記のスクラム状態となる2つの部材間のギャップ(クリアランス)が零の場合、すなわち両者が接触する場合をも含む。
液浸領域(液体Lq)の微動ステージWFS2上への移動が完了すると、ウエハステージWST1は、定盤14A上に移動している。そこで、主制御装置20は、図11に示される第1ローディングポジションに移動させるため、ウエハステージWST1を、粗動ステージ位置計測系68Aを用いてその位置を計測しつつ、定盤14A上で−Y方向に移動させ、さらに+X方向に移動させる。この場合、ウエハステージWST1の−Y方向への移動の際に、その駆動力の反力の作用により、定盤14Aが、カウンタマスとして機能する。また、ウエハステージWST1が+X方向へ移動する際に、その駆動力の反力の作用により、定盤14Aをカウンタマスとして機能させても良い。
第1ローディングポジションにウエハステージWST1が到着後、主制御装置20は、ウエハステージWST1のXY平面内の位置計測を、粗動ステージ位置計測系68Aを用いた計測からエンコーダ55,56,57を用いた計測に切り換える。
上記のウエハステージWST1の移動と並行して、主制御装置20は、ウエハステージWST2を駆動し、投影光学系PLの直下に計測プレートFM2を位置決めする。これに先立ち、主制御装置20は、ウエハステージWST2のXY平面内の位置計測を、粗動ステージ位置計測系68Bを用いた計測からエンコーダ51,52,53を用いた計測に、切り換えている。そして、レチクルアライメント系RA1,RA2を用いて計測プレートFM2上の一対の第1基準マークを検出し、第1基準マークと対応するレチクルR上のレチクルアライメントマークのウエハ面上投影像の相対位置を検出する。なお、この検出は、投影光学系PL及び液浸領域を形成する液体Lqを介して行われる。
主制御装置20は、ここで検出された相対位置情報と、先に求めた微動ステージWFS2上の第2基準マークを基準とするウエハW上の各ショット領域の位置情報と、に基づいて、レチクルRのパターンの投影位置(投影光学系PLの投影中心)と微動ステージWFS2上に載置されたウエハW上の各ショット領域の相対位置関係を算出する。その算出結果に基づいて、主制御装置20は、前述した微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの場合と同様に、微動ステージWFS2(ウエハステージWST2)の位置を管理しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式で微動ステージWFS2に載置されたウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンを転写する。図11には、このようにして、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写されているときの様子が示されている。
上記の微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光動作と並行して、主制御装置20は、第1ローディングポジションにおいて、ウエハ搬送機構(不図示)とウエハステージWST1との間でウエハ交換を行い、微動ステージWFS1上に新しいウエハWを載置する。ここで、第1ローディングポジションは、ウエハステージWST1上でウエハ交換が行われる位置であって、本実施形態では、プライマリアライメント系AL1の直下に計測プレートFM1が位置決めされる微動ステージWFS1(ウエハステージWST1)の位置と定められているものとする。
そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いて計測プレートFM1上の第2基準マークを検出する。なお、第2基準マークの検出に先立って、ウエハステージWST1が第1ローディングポジションにある状態で、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70の第2計測ヘッド群73、すなわちエンコーダ55、56,57(及び面位置計測系58)のリセット(原点の再設定)を実行している。その後、主制御装置20は、ウエハステージWST1の位置を管理しつつ、微動ステージWFS1上のウエハWに対して、前述と同様のアライメント系AL1、AL21〜AL24を用いたウエハアライメント(EGA)を行う。
微動ステージWFS1上のウエハWに対するウエハアライメント(EGA)が終了し、かつ微動ステージWFS2上のウエハWに対する露光も終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWST1,WST2を、左側スクラムポジションに向けて駆動する。この左側スクラムポジションは、図10に示される右側スクラムポジションとは、前述の基準軸LVに関して左右対称の位置に、ウエハステージWST1、WST2が位置する位置関係を指す。左側スクラムポジションに向けての駆動中のウエハステージWST1の位置の計測は、前述のウエハステージWST2の位置計測と同様の手順で行なわれる。
この左側スクラムポジションでも、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが、前述のスクラム状態となり、これと同時に、微動ステージWFS1と粗動ステージWCS1とがスクラム状態となり、粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2とがスクラム状態となる。そして、微動ステージWFS1、粗動ステージWCS1の連結部材92b、粗動ステージWCS2の連結部材92b、及び微動ステージWFS2の上面によって、見かけ上一体のフルフラットな面が形成される。
主制御装置20は、上記の3つのスクラム状態を保ったまま、ウエハステージWST1,WST2を、先とは逆の+X方向に駆動する。それに伴い、先端レンズ191と微動ステージWFS2との間に形成されていた液浸領域(液体Lq)が、先とは逆に、微動ステージWFS2、粗動ステージWCS2の連結部材92b、粗動ステージWCS1の連結部材92b、微動ステージWFS1上へと、順次移動する。勿論、スクラム状態を保って移動する際にも、先と同様に、ウエハステージWST1,WST2の位置計測が行われている。液浸領域(液体Lq)の移動が完了すると、主制御装置20は、前述と同様の手順でウエハステージWST1上のウエハW対する露光を開始する。この露光動作と並行して、主制御装置20は、ウエハステージWST2を、前述と同様にして、第2ローディングポジションに向けて駆動し、ウエハステージWST2上の露光済みのウエハWを新しいウエハWに交換し、新しいウエハWに対するウエハアライメントを実行する。
以降、主制御装置20は、上述したウエハステージWST1,WST2を用いた並行処理動作を、繰り返し実行する。
以上説明したように、本実施形態の露光装置100では、露光動作時、及びウエハアライメント時(主としてアライメントマークの計測時)において、ウエハWを保持する微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報(XY平面内の位置情報、及び面位置情報)の計測には、計測バー71に固定された第1計測ヘッド群72、第2計測ヘッド群73がそれぞれ用いられる。そして、第1計測ヘッド群72を構成するエンコーダヘッド75x、75ya、75yb及びZヘッド76a〜76c、並びに第2計測ヘッド群73を構成するエンコーダヘッド77x、77ya、77yb及びZヘッド78a〜78cは、それぞれ微動ステージWFS1(又はWFS2)の底面に配置されたグレーティングRGに対して、真下から最短距離で計測ビームを照射することができるので、ウエハステージWST1、WST2の周辺雰囲気の温度揺らぎ、例えば空気揺らぎに起因する計測誤差が小さくなり、微動ステージWFSの位置情報の高精度な計測が可能となる。
また、第1計測ヘッド群72は、実質的にウエハW上の露光領域IAの中心である露光位置に一致する点で微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報及び面位置情報を計測し、第2計測ヘッド群73は、実質的にプライマリアライメント系AL1の検出領域の中心に一致する点で微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報及び面位置情報を計測する。従って、計測点と露光位置とのXY平面内における位置誤差に起因するいわゆるアッベ誤差の発生が抑制され、この点においても、微動ステージWFS1又はWFS2の位置情報の高精度な計測が可能になる。
また、第1計測ヘッド群72及び第2計測ヘッド群73を有する計測バー71は、鏡筒40が固定されたメインフレームBDに吊り下げ状態で固定されているので、鏡筒40に保持される投影光学系PLの光軸を基準とする、ウエハステージWST1(又はWST2)の高精度な位置制御が可能となる。また、計測バー71は、メインフレームBD以外の部材(例えば定盤14A、14B、ベース盤14など)と機械的に非接触状態となっているので、定盤14A,14B、ウエハステージWST1、WST2などを駆動する際の振動などが伝達しない。従って、第1計測ヘッド群72及び第2計測ヘッド群73を用いることで、ウエハステージWST1(又はWST2)の位置情報の高精度な計測が可能となる。
また、本実施形態のウエハステージWST1、WST2は、微動ステージWFS1(又はWFS2)の周囲に、粗動ステージWCS1(又はWCS2)が配置されるので、粗動ステージ上に微動ステージが搭載される粗微動構成のウエハステージに比べて、ウエハステージWST1、WST2の高さ方向(Z軸方向)の寸法を小さくすることができる。このため、粗動ステージ駆動系62A,62Bを構成する平面モータの推力の作用点(すなわち、粗動ステージWCS1(WCS2)の底面と定盤14A,14Bの上面との間)と、ウエハステージWST1、WST2の重心とのZ軸方向の距離を、短くすることができ、ウエハステージWST1、WST2を駆動する際のピッチングモーメント(又はローリングモーメント)を低減できる。従って、ウエハステージWST1、WST2の動作が安定する。
また、本実施形態の露光装置100では、ウエハステージWST1,WST2がXY平面に沿って移動する際のガイド面を形成する定盤が、2つのウエハステージWST1,WST2に対応して2つの定盤14A,14Bで構成されている。これら2つの定盤14A,14Bは、ウエハステージWST1、WST2が平面モータ(粗動ステージ駆動系62A,62B)により駆動される際に、独立してカウンタマスとして機能するので、例えばウエハステージWST1とウエハステージWST2とを、定盤14A,14B上でそれぞれY軸方向に関して互いに反対の方向に駆動する際であっても、定盤14A,14Bがそれぞれに作用する反力を個別にキャンセルできる。
なお、上記実施形態では、定盤上の所定範囲内をXY二次元方向に移動する粗動ステージと、粗動ステージ上で微少駆動される微動ステージとから成る粗微動ステージが、ウエハステージとして用いられる場合について説明したが、これに限らず、ウエハステージの構成は、種々の変形が可能である。図12(A)には、上記実施形態のウエハステージの一変形例の平面図が示され、図12(B)には、図12(A)のB−B線断面図が示されている。図12(A)に示される変形例のウエハステージWST3は、上記実施形態の微動ステージに相当する部材180(上面にウエハWを保持し、下面にグレーティングRGを有する平板状の部材)が、粗動ステージに相当する平面視で矩形枠状の部材190に対して一体的に固定されており、全体的な形状が平板状に形成されている。ウエハステージWST3は、+Y、−Y側の端部それぞれに、磁石ユニット196a、196bを有している。ウエハステージWST3は、磁石ユニット196a、196bと、定盤のコイルユニット(図示省略)とにより構成される6自由度方向に推力を発生可能な平面モータにより、定盤上でXY平面に沿って駆動される(すなわち、平面モータが粗微動兼用の駆動系として機能する)。なお、この場合も、平面モータはムービングマグネット型としても良いし、ムービングコイル型としても良く、どちらでも適用可能である。
また、上記実施形態の露光装置は、2つのウエハステージに対応して2つの定盤を有していたが、定盤の数はこれに限らず、例えば1つでも良いし3つ以上でも良い。また、ウエハステージの数も2つに限らず、1つでも3つ以上でも良いし、例えば米国特許出願公開第2007/0201010号明細書に開示されるような、空間像計測器、照度むら計測器、照度モニタ、波面収差計測器などを有する計測ステージが定盤上に配置されても良い。
また、定盤、あるいはベース部材を複数に分離させる境界線の位置は、上記実施形態のような位置に限るものではない。上記実施形態では、基準軸LVを含み、光軸AXと交わるようなラインに設定したが、例えば、露光ステーションに境界があるとその部分の平面モータの推力が弱くなるような場合は、境界線を別の箇所に設定するようにしても良い。
また、計測バー71は、例えば、米国特許出願公開第2007/0201010号明細書に開示されるような自重キャンセラにより長手方向の中間部分(複数箇所でも良い)がベース盤上で支持されていても良い。
また、定盤14A,14Bをベース盤12上で駆動するモータとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータ(又はリニアモータ)でも良い。また、モータは、平面モータに限らず、定盤の側面に固定された可動子と、ベース盤に固定された固定子とを含むボイスコイルモータでも良い。また、定盤は、例えば米国特許出願公開第2007/0201010号明細書などに開示されるような自重キャンセラを介してベース盤上で支持されても良い。さらに、定盤の駆動方向は、3自由度方向に限られず、例えば6自由度方向、Y軸方向のみ、あるいはXY2軸方向のみであっても良い。この場合、気体静圧軸受(例えばエアベアリング)などにより定盤をベース盤の上で浮上させても良い。また、定盤の移動方向がY軸方向のみで良い場合、定盤は、例えばY軸方向に延設されたYガイド部材上にY軸方向に移動可能に搭載されても良い。
また、上記実施形態では、微動ステージの下面、すなわち定盤の上面に対向する面にグレーティングが配置されたが、これに限らず、微動ステージの本体部を光が透過可能な中実部材とし、グレーティングを本体部の上面に配置しても良い。この場合、上記実施形態に比べ、ウエハとグレーティングとの距離が接近するので、露光点を含むウエハの被露光面と、エンコーダ51,52,53による微動ステージの位置計測の基準面(グレーティングの配置面)とのZ軸方向の差に起因して生じるアッベ誤差を小さくすることができる。また、グレーティングは、ウエハホルダの裏面に形成されても良い。この場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。
また、上記実施形態では、一例としてエンコーダシステムが、Xヘッドと一対のYヘッドを備える場合について説明したが、これに限らず、例えばX軸方向及びY軸方向の2方向を計測方向とする二次元ヘッド(2Dヘッド)を、1つ又は2つ計測バー内に配置しても良い。2Dヘッドを2つ設ける場合には、それらの検出点がグレーティング上で露光位置を中心として、X軸方向に同一距離離れた2点になるようにしても良い。また、上記実施形態では、1ヘッド群あたりのヘッドの数をXヘッド1個、Yヘッド2個としたが、さらに増やしても良い。また、露光ステーション200側の第1計測ヘッド群72が、さらに複数のヘッド群を有していても良い。例えば、露光位置(ウエハWの露光中のショット領域)に対応する位置に配されたヘッド群の周囲それぞれ(+X、+Y、−X、−Y方向の4方向)に、さらにヘッド群を設けることができる。そして、前記ショット領域の露光直前での微動ステージ(ウエハW)の位置をいわゆる先読みで測定するようにしても良い。
また、微動ステージ位置計測系70を構成するエンコーダシステムの構成は上記実施形態に限られないで任意で構わない。例えばX軸、Y軸及びZ軸の各方向に関する位置情報を計測可能な3Dヘッドを用いても良い。
また、上記実施形態では、エンコーダヘッドから射出される計測ビーム、Zヘッドから射出される計測ビームは、それぞれ2つの定盤の間の隙間、あるいは各定盤に形成された光透過部を介して微動ステージのグレーティングに照射されるものとした。この場合、光透過部としては、例えば、各計測ビームのビーム径よりも幾分大きめの孔などを、定盤14A,14Bのカウンタマスとしての移動範囲を考慮して、定盤14A,14Bにそれぞれ形成し、計測ビームがこれら複数の開口部を通過するようにしても良い。また、例えば各エンコーダヘッド、各Zヘッドとして、ペンシル型のヘッドを用い、各定盤にこれらのヘッドが挿入される開口部を形成しても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWST1,WST2を駆動する粗動ステージ駆動系62A,62Bとして平面モータを採用したことに伴って、平面モータの固定子部を有する定盤14A,14Bによって、ウエハステージWST1,WST2のXY平面に沿った移動の際のガイド面(Z軸方向の力を発生させる面)が形成される場合について例示した。しかし、上記実施形態がこれに限定されるものではない。また、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2に計測面(グレーティングRG)が設けられ、計測バー71にエンコーダヘッド(及びZヘッド)から成る第1計測ヘッド群72(及び第2計測ヘッド群73)が設けられるものとしたが、上記実施形態がこれに限定されるものではない。すなわち、上記と反対に、エンコーダヘッド(及びZヘッド)を微動ステージWFS1に設け、計測バー71側に計測面(グレーティングRG)を形成しても良い。かかる反対配置は、例えば電子ビーム露光装置、あるいはEUV露光装置などで採用される、いわゆるH型ステージに磁気浮上のステージを組み合わせた構成のステージ装置に適用することが可能である。このステージ装置では、ステージがガイドバーによって支持されるので、ステージの下方にステージに対向して位置するスケールバー(計測バーの表面に回折格子を形成したものに相当)を配置し、これに対向するステージの下面にエンコーダヘッドの少なくとも一部(光学系など)を配置する。この場合、該ガイドバーによってガイド面形成部材が構成されることとなる。勿論、他の構成であっても良い。計測バー71側としてグレーティングRGを設ける箇所は、例えば、計測バー71であっても良いし、定盤14A(14B)上の全面あるいは少なくとも一面に設けられた非磁性材料等のプレートであっても良い。
なお、上記実施形態では、計測バー71がメインフレームBDに一体的に固定されているので、内部応力(熱応力を含む)によって計測バー71にねじれ等が発生し、計測バー71とメインフレームBDとの相対位置が変化する可能性がある。そこで、かかる場合の対策として、計測バー71の位置(メインフレームBDに対する相対位置、又は基準位置に対する位置の変化)を計測し、アクチュエータ等で計測バー71の位置を微調整する、あるいは、測定結果を補正するなどしても良い。
また、上記実施形態では、計測バー71とメインフレームBDとが一体である場合について説明したが、これに限らず、計測バー71とメインフレームBDとが、物理的に分離されていても良い。この場合、メインフレームBD(あるいは基準位置)に対する計測バー71の位置(あるいは変位)を計測する計測装置(例えばエンコーダ及び/又は干渉計など)と、計測バー71の位置を調整するアクチュエータ等とを設け、主制御装置20その他の制御装置が、計測装置の計測結果に基づいて、メインフレームBD(及び投影光学系PL)と、計測バー71との位置関係を、所定の関係(例えば一定)に維持することとすれば良い。
また、計測バー71に、光学的な手法により計測バー71の変動を計測する計測システム(センサ)、温度センサ、圧力センサ、振動計測用の加速度センサ等を設けても良い。あるいは、計測バー71の変動を測定する歪みセンサ(歪みゲージ)、又は変位センサ等を設けても良い。そして、これらのセンサで求めた値を使って、微動ステージ位置計測系70及び/又は粗動ステージ位置計測系68A,68Bで得られた位置情報を補正するようにしても良い。
また、上記実施形態では、それぞれの粗動ステージWCS1,WCS2が備える連結部材92bを介して、液浸領域(液体Lq)を、微動ステージWFS1と微動ステージWFS2との間で受け渡すことで、液浸領域(液体Lq)を投影光学系PLの下方に常時維持する場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2004/0211920号明細書の第3実施形態に開示されるものと同様の構成の図示しないシャッタ部材を、ウエハステージWST1,WST2との交換で、投影光学系PLの下方に移動させることで、液浸領域(液体Lq)を投影光学系PLの下方に常時維持することとしても良い。
また、上記実施形態を露光装置のステージ装置(ウエハステージ)50に適用させる場合について説明したが、これに限られるものではなく、レチクルステージRSTに適用させるようにしても良い。
なお、上記実施形態において、グレーティングRGは、保護部材、例えばカバーガラスによって覆われて、保護されていても良い。カバーガラスは、本体部80の下面のほぼ全面を覆うように設けられていても良いし、グレーティングRGを含む本体部80の下面の一部のみを覆うように設けても良い。また、グレーティングRGを保護するのに十分な厚みを要するため板状の保護部材が望ましいが、素材に応じて薄膜状の保護部材を用いても良い。
この他、一面にグレーティングRGが固定又は形成される透明板の他面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置し、かつその透明板の一面側に保護部材(カバーガラス)を設ける、あるいは、保護部材(カバーガラス)を設けずに、グレーティングRGが固定又は形成される透明板の一面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置しても良い。特に前者では、透明板の代わりにセラミックスなどの不透明な部材にグレーティングRGを固定又は形成しても良いし、あるいは、ウエハホルダの裏面にグレーティングRGを固定又は形成しても良い。後者の場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。あるいは、従来の微動ステージにウエハホルダとグレーティングRGを保持するだけでも良い。また、ウエハホルダを、中実のガラス部材によって形成し、該ガラス部材の上面(ウエハ載置面)にグレーティングRGを配置しても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハステージは、粗動ステージと微動ステージとを組み合わせた粗微動ステージである場合を例示したが、これに限定されるものではない。また、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。さらに微動ステージWFS1,WFS2は、粗動ステージWCS1又はWCS2に接触支持されていても良い。従って、微動ステージWFS1,WFS2を粗動ステージWCS1又はWCS2に対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
なお、ウエハステージの移動範囲全域でその位置計測が可能となるように微動ステージ位置計測系を構成しても良い。この場合には粗動ステージ位置計測系が不要になる。
なお、上記実施形態の露光装置で用いられるウエハは、450mmウエハ、300mmウエハなど、各種のサイズのウエハのいずれでも良い。
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも上記実施形態は好適に適用することができる。
なお、上記実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記実施形態を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができる。そのため、エンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも上記実施形態は適用することができる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍系及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置に上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。