JP2004159493A - リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置並びにリニアモータ装置の冷却方法 - Google Patents
リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置並びにリニアモータ装置の冷却方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 装置の大型化を抑え、装置の各位置での温度分布の発生を抑えることができるリニアモータ装置を提供する。
【解決手段】 リニアモータ30は、コイルユニットである固定子31と、液体が気化する際の気化熱によって固定子31を冷却する冷却装置Sを有している。冷却装置Sは、気化用液体を固定子31に沿って拡散させる拡散部74と、拡散部74に気化用液体を供給する滴下部81とを備えている。
【選択図】 図6
【解決手段】 リニアモータ30は、コイルユニットである固定子31と、液体が気化する際の気化熱によって固定子31を冷却する冷却装置Sを有している。冷却装置Sは、気化用液体を固定子31に沿って拡散させる拡散部74と、拡散部74に気化用液体を供給する滴下部81とを備えている。
【選択図】 図6
Description
本発明は、コイルユニットを有するリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置、並びにリニアモータ装置の冷却方法に関するものである。
半導体素子や液晶表示素子等のマイクロデバイスはマスク上に形成されたパターンを基板(感光基板)上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持して2次元移動するマスクステージと基板を支持して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。いずれの露光装置においてもマスクと基板との相対位置を高精度に一致させてマスクパターンの転写を行うことが要求されるため、マスクステージ及び基板ステージの位置決め精度は露光装置の最も重要な性能の一つである。
従来より、上記基板ステージ及びマスクステージ(以下、両者を総称してステージという)の駆動源としてリニアモータが用いられているが、リニアモータからの発熱はステージ位置決め精度に影響を及ぼす。例えば、リニアモータからの発熱が周囲の部材・装置を熱変形させたり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度を変化させて測定値に誤差を生じさせる。近年における高スループット化の要求やステージ及びこのステージに支持される基板の大型化に伴ってリニアモータの高推力化が望まれているが、リニアモータの推力は駆動電流に比例し、コイルからの発熱量も駆動電流に比例するため、推力を上昇させることでコイルからの発熱量も大きくなる。したがって、リニアモータのコイルを効果的に冷却し、リニアモータからの発熱が周囲に伝わるのを防ぐ必要がある。下記文献には、キャンにより形成される内部空間を、仕切り部材によってコイルを収納する冷却空間と断熱空間とに分け、冷却空間に第1冷媒を供給してコイルを冷却し、断熱空間に第2冷媒を供給して周囲に対する断熱を行う技術が記載されている。
特開2000−114034号公報
上記従来技術は、コイルを収容するハウジングをキャンと仕切り部材との2重構造とすることで、コイルで発生した熱の除去と周囲に対する断熱とを効果的に行うことができるため有効であるが、以下に述べる問題が生じる。
上記従来技術は、冷媒を流す流路が2重に必要であるため、リニアモータ装置、特にコイルユニットが大型化する。また、2重構造とすることによりコイルユニットの厚みが増すので、このコイルユニットを挟んで対向配置される磁石どうしの間隔が拡がることになる。磁石どうしの間隔が拡がると磁束密度が低下するため、モータ効率が低下する。すると、せっかくコイルからの発熱の周囲への影響を抑える構成にしても、モータ効率が低下することで所望の推力を得るために大きな駆動電流が必要となり、結局コイルからの発熱量も大きくなってしまう。また、より有効な冷却効果を得るために空間に供給する冷媒の流量を多くすることが考えられるが、空間内の圧力が上昇するためコイルを収容するハウジング(キャンや仕切り部材)が外側に膨らむように変形する。すると、ハウジングと磁石とが接触したり、ハウジングが塑性変形するといった不都合が生じる。圧力に抗するためにハウジングを肉厚にしたのでは、磁石どうしの間隔を拡げなければならなくなるので、上述同様の問題が生じる。
上記従来技術は、冷媒を流す流路が2重に必要であるため、リニアモータ装置、特にコイルユニットが大型化する。また、2重構造とすることによりコイルユニットの厚みが増すので、このコイルユニットを挟んで対向配置される磁石どうしの間隔が拡がることになる。磁石どうしの間隔が拡がると磁束密度が低下するため、モータ効率が低下する。すると、せっかくコイルからの発熱の周囲への影響を抑える構成にしても、モータ効率が低下することで所望の推力を得るために大きな駆動電流が必要となり、結局コイルからの発熱量も大きくなってしまう。また、より有効な冷却効果を得るために空間に供給する冷媒の流量を多くすることが考えられるが、空間内の圧力が上昇するためコイルを収容するハウジング(キャンや仕切り部材)が外側に膨らむように変形する。すると、ハウジングと磁石とが接触したり、ハウジングが塑性変形するといった不都合が生じる。圧力に抗するためにハウジングを肉厚にしたのでは、磁石どうしの間隔を拡げなければならなくなるので、上述同様の問題が生じる。
また、ハウジングの内部空間に対して入口部から供給された冷媒がコイルの熱を回収して出口部から出る際、出口部における冷媒温度のほうが入口部における冷媒温度より高くなるため、この温度差により装置内の空気の揺らぎが発生して光干渉式測長計の測定精度が低下したり、出口部周辺の部材等が熱変形(熱膨張)したりするといった不都合が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置の大型化を抑え、装置の各位置での温度差(温度分布)の発生を抑えることができるリニアモータ装置、このリニアモータ装置を備えたステージ装置及び露光装置、並びにリニアモータの冷却方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図20に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のリニアモータ装置(30)は、コイルユニット(31)を有するリニアモータ装置において、液体が気化する気化熱によってコイルユニット(31)を冷却する冷却装置(S)を有することを特徴とする。本発明によれば、コイルユニットを気化熱によって冷却するようにしたので、すなわち、液体が液相から気相に相変化する際の潜熱により冷却するようにしたので、液体の相変化において温度上昇を伴わずに冷却することができる。したがって、装置の各位置における温度分布の発生を抑えることができる。また、気化熱により冷却する構成であるので、装置に対して多量の液体を供給しなくても所望の冷却効果を得ることができる。したがって、装置を大型化することなく冷却効果を得ることができる。
本発明のリニアモータ装置(30)は、コイルユニット(31)を有するリニアモータ装置において、液体が気化する気化熱によってコイルユニット(31)を冷却する冷却装置(S)を有することを特徴とする。本発明によれば、コイルユニットを気化熱によって冷却するようにしたので、すなわち、液体が液相から気相に相変化する際の潜熱により冷却するようにしたので、液体の相変化において温度上昇を伴わずに冷却することができる。したがって、装置の各位置における温度分布の発生を抑えることができる。また、気化熱により冷却する構成であるので、装置に対して多量の液体を供給しなくても所望の冷却効果を得ることができる。したがって、装置を大型化することなく冷却効果を得ることができる。
本発明のリニアモータ装置において、冷却装置(S)は、液体をコイルユニット(31)に沿って拡散させる拡散部(74)と、拡散部(74)に液体を供給する液体供給装置(102、81)とを有することを特徴とする。これによれば、液体供給装置により供給された液体は拡散部により冷却対象領域に満遍なく拡がるので、均一で良好な冷却効果を得ることができる。この場合において、拡散部(74)は、網目を介して液体を拡散する網状部材を有することができる。なお、拡散部としては、繊維状シートや多孔質体であってもよい。あるいは、ハウジング部表面に形成した溝部であってもよい。あるいはスポンジ状部材など、供給された液体を膨潤可能な膨潤部材であってもよい。すなわち、供給された液体を拡散可能であるとともに所定量保持可能な構成であればよい。またこの場合において、液体供給装置(81)は拡散部(74)表面の複数の位置のそれぞれに液体を供給する。これによれば、複数の位置において液体を気化させることができるので、より一層均一で良好な冷却効果を得ることができ、温度分布の発生を抑えることができる。
本発明のリニアモータ装置において、冷却装置(S)は、液体供給装置(102)から供給する液体の温度を調整する液体温度調整部(114)を備えることを特徴とする。これによれば、所望の温度を有する液体を供給できるので、コイルユニットの温度を調整しつつ冷却処理を行うことができる。
コイルユニット(31)は、内部空間(63)を有するハウジング部(61)と、内部空間(63)に配置されるコイル(70)とを備え、拡散部(74)はハウジング部(61)の表面に設けられる構成とすることができる。これにより、供給された液体はハウジング部の表面で気化し、熱を回収できる。この場合において、ハウジング部(61)の内部に冷媒を供給することにより、より一層良好な冷却効果を得ることができる。
本発明のリニアモータ装置において、ハウジング部(61)を囲む外側ハウジング部(62)を備えることを特徴とする。これによれば、ハウジング部と外側ハウジング部とで囲まれた空間を、液体が気化する気化空間とすることができるとともに、コイルの発熱の周囲への影響を抑える断熱空間とすることができる。この場合において、冷却装置(S)は、ハウジング部(61)と外側ハウジング部(62)とで囲まれた第2空間(64)にガスを供給するガス供給装置(104)を有するものとすることができる。これによれば、液体が第2空間で気化した気化ガスを第2空間外部に排出できるとともに、ガス供給装置から供給したガスによりハウジング部を冷却することもできる。また、冷却装置(S)は、ハウジング部(61)と外側ハウジング部(62)とで囲まれた第2空間(64)からガスを吸引するガス吸引装置(115)を有するものとすることができる。これによれば、液体が第2空間で気化した気化ガスを第2空間外部に排出できるとともに、液体の気化を促進し気化量を制御することができる。この場合において、ガス吸引装置(115)は、第2空間(64)を負圧化するのが望ましい。これにより液体の気化をより促進でき、外側ハウジング部が膨張することもない。
また、本発明のリニアモータ装置において、コイルユニット(31)は、内部空間(63)を有するハウジング部(61)と、内部空間(63)に配置されるコイル(70)とを備え、拡散部(74)はコイル(70)の表面に設けられる構成とすることもできる。すなわち、拡散部をコイルの表面に設ける場合は、気化させる液体はハウジング部の内部空間に供給されることになり、このハウジング部の内部空間が、液体が気化する気化空間となる。この場合、ハウジング部には従来のような液状冷媒が供給される構成と異なり圧力負荷がかからないのでハウジング部を薄肉にすることができ、装置の小型化を図ることができる。この場合において、冷却装置(S)は、ハウジング部(61)の内部空間(63)にガスを供給するガス供給装置104)を有するものとすることができる。これによれば、液体が内部空間で気化した気化ガスを内部空間外部に排出できるとともに、ガス供給装置から供給したガスによりハウジング部を冷却することもできる。また、冷却装置(S)は、ハウジング部(61)の内部空間(63)からガスを吸引するガス吸引装置(115)を有するものとすることもできる。これによれば、液体が内部空間で気化した気化ガスを内部空間外部に排出できるとともに、液体の気化を促進し気化量を制御することができる。この場合において、ガス吸引装置(115)は、内部空間(63)を負圧化するのが望ましい。これによれば液体の気化をより促進でき、ハウジング部が内部圧力によって膨張することもない。
本発明のリニアモータ装置において、冷却装置(S)は、液体が気化した気化ガスを回収する回収装置(110)を備えることを特徴とする。この場合において、冷却装置(S)は、回収された気化ガスを液化する液化装置(112)を備えている。これによれば、気化ガス液体に戻して再び冷却用液体として用いることができる。
本発明のリニアモータ装置において、冷却装置(S)は、コイル(70)の発熱量を検出する検出装置(90)と、検出装置(90)の検出結果に基づいて、液体供給装置(102、81)を制御する制御装置(CONT、81A)とを備えることを特徴とする。これによれば、コイルからの発熱量に応じて液体の供給動作が制御されるので、コイルユニットを所望の温度に調整することができる。この場合において、コイル(70)は所定方向に複数並んで設けられ、検出装置(90)は複数のコイル(70)それぞれの発熱量を検出し、液体供給装置(102、81)はハウジング部(61)のうち複数のコイル(70)に対応する位置のそれぞれに対して液体を滴下する複数の滴下部(81)を備え、制御装置(CONT、81A)は、検出装置(90)で検出した複数のコイル(70)それぞれの発熱量に応じて複数の滴下部(81)それぞれからの滴下動作を制御することを特徴とする。これによれば、例えば、複数のコイルのうち他のコイルに比べて発熱量が大きいコイルに対して多くの液体を滴下部から供給するといったことができる。すなわち、所定方向に複数並んだコイルのそれぞれからの発熱を個別に冷却できるので、温度分布が発生することをより一層抑制することができる。
本発明のリニアモータ装置は、内部空間(63)と外部空間(64)とを隔てるハウジング部(61)と、内部空間(63)に配置されるコイル(70)とを有するリニアモータ装置において、ハウジング部(61)の熱を吸収する液体を、内部空間(60)に供給する液体供給装置(100)と、ハウジング部(61)に設けられ、内部空間(63)と外部空間(64)とを連通する穴部(150)と、外部空間(64)に面するハウジング部(61)の外表面に設けられ、穴部(150)を介して内部空間(63)からハウジング部(61)の外表面に漏出した液体を外表面に沿って拡散させる拡散部(74)とを備えることを特徴とする。本発明によれば、コイルを冷却するためにハウジング部の内部空間に供給された液体は、穴部を介してハウジング部の外表面に漏出するので、この漏出した液体が気化してハウジング部を冷却することができる。この場合、気化用液体を供給するための供給装置を別に設けることなく、ハウジング部の内部空間に液体を供給する供給装置を用いてハウジング部の外表面に液体を配置できるので、簡略な装置構成で気化用液体をハウジング部の外表面に配置できる。この場合において、コイル(70)は所定方向に複数並んで設けられ、穴部(150)はハウジング部(61)のうち複数のコイル(70)に対応するそれぞれの位置に複数のコイル(70)の発熱量に応じて複数形成される構成とすることができる。これにより、例えば、複数のコイルのうち他のコイルに比べて発熱量が大きいコイルに対応するハウジング部の外表面に多くの穴部を設けて多くの液体を供給して気化させるといったように、所定方向に複数並んだコイルのそれぞれからの発熱を個別に冷却することができる。したがって、温度分布が発生することをより一層抑制することができる。なお、コイルの発熱量に応じて形成される穴部の数を設定する代わりに、穴部の大きさを設定するようにしてもよい。すなわち、発熱量が大きいコイルに対応するハウジング部の所定位置に、他の穴部に比べて大きな穴部を形成するようにしてもよい。
本発明のステージ装置(1、2、MST、PST)は、駆動装置を備えたステージ装置において、駆動装置に、上記記載のリニアモータ装置(20、30、40)が用いられていることを特徴とする。本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)を保持するマスクステージ(1、MST)と、基板(P)を保持する基板ステージ(2、PST)とを備えた露光装置において、マスクステージ(1、MST)及び基板ステージ(2、PST)のうち少なくともいずれか一方に、上記記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする。本発明によれば、リニアモータ装置からの発熱に基づく温度分布の発生が抑制されるので、空気の揺らぎを抑えて精度良い位置計測及び精度良い露光処理を行うことができる。
本発明のリニアモータの冷却方法は、コイルユニット(31)を有するリニアモータ装置(30)の冷却方法において、コイルユニット(31)を液体の気化に伴う吸熱によって冷却することを特徴とする。本発明によれば、コイルユニットを液体の気化に伴う吸熱によって冷却するようにしたので、すなわち、液体が液相から気相に相変化する際の潜熱により冷却するようにしたので、液体の相変化において温度上昇を伴わずに冷却することができる。したがって、リニアモータの各位置における温度分布の発生を抑えることができる。この場合において、コイルユニット(31)に液体を供給するステップと、供給された液体をコイルユニット(31)に沿って拡散するステップとを含むことを特徴とする。更に、コイルユニット(31)の発熱量を検出するステップと、検出結果に基づいて液体の供給量を制御するステップとを含むことを特徴とする。これによれば、均一で良好な冷却効果を得ることができる。
以上説明したように、リニアモータを冷却する際、液体の気化熱を利用して冷却するようにしたので、装置の大型化が抑えられ、且つ装置の各位置での温度分布の発生を抑えることができる。したがって、精度良いステージ位置決め精度を実現でき、精度良い露光処理を行うことができる。
以下、本発明のリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板Pとを同期移動しつつマスクMに設けられているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸まわり、Y軸まわり、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。また、ここでいう「感光基板」は半導体ウエハ上にレジストが塗布されたものを含み、「マスク」は感光基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置1と、光源を有し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光で照明する照明光学系ILと、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを支持する基板定盤4を有するステージ装置2と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置1及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム5と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム5は床面に水平に載置されたベースプレート6上に設置されており、このリアクションフレーム5の上部側及び下部側には内側に向けて突出する段部5a及び5bがそれぞれ形成されている。
照明光学系ILはリアクションフレーム5の上面に固定された支持コラム7により支持される。照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2 レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。
ステージ装置1のうちマスク定盤3は各コーナーにおいてリアクションフレーム5の段部5aに防振ユニット8を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にマスクMのパターン像が通過する開口3aを備えている。マスクステージMSTはマスク定盤3上に設けられており、その中央部にマスク定盤3の開口3aと連通しマスクMのパターン像が通過する開口Kを備えている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング9が設けられており、マスクステージMSTはエアベアリング9によりマスク定盤3に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
図2はマスクステージMSTを有するステージ装置1の概略斜視図である。図2に示すように、ステージ装置1(マスクステージMST)は、マスク定盤3上に設けられたマスク粗動ステージ16と、マスク粗動ステージ16上に設けられたマスク微動ステージ18と、マスク定盤3上において粗動ステージ16をY軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置)20、20と、マスク定盤3の中央部の上部突出部3bの上面に設けられ、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内する一対のYガイド部24、24と、粗動ステージ16上において微動ステージ18をX軸、Y軸、及びθZ方向に微小移動可能な一対のXボイスコイルモータ17X及び一対のYボイスコイルモータ17Yとを備えている。なお、図1では、粗動ステージ16及び微動ステージ18を簡略化して1つのステージとして図示している。
Yリニアモータ20のそれぞれは、マスク定盤3上においてY軸方向に延びるように設けられたコイルユニット(電機子ユニット)からなる一対の固定子21と、この固定子21に対応して設けられ、連結部材23を介して粗動ステージ16に固定された磁石ユニットからなる可動子22とを備えている。そして、これら固定子21及び可動子22によりムービングマグネット型のリニアモータ20が構成されており、可動子22が固定子21との間の電磁気的相互作用により駆動することで粗動ステージ16(マスクステージMST)がY軸方向に移動する。固定子21のそれぞれは非接触ベアリングである複数のエアベアリング19によりマスク定盤3に対して浮上支持されている。このため、運動量保存の法則により粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて固定子21が−Y方向に移動する。この固定子21の移動により粗動ステージ16の移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。なお、固定子21は、マスク定盤3に変えてリアクションフレーム5に設けられてもよい。固定子21をリアクションフレーム5に設ける場合にはエアベアリング19を省略し、固定子21をリアクションフレーム5に固定して粗動ステージ16の移動により固定子21に作用する反力をリアクションフレーム5を介して床に逃がしてもよい。
Yガイド部24のそれぞれは、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内するものであって、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面においてY軸方向に延びるように固定されている。また、粗動ステージ16とYガイド部24、24との間には非接触ベアリングである不図示のエアベアリングが設けられており、粗動ステージ16はYガイド部24に対して非接触で支持されている。
微動ステージ18は不図示のバキュームチャックを介してマスクMを吸着保持する。微動ステージ18の+Y方向の端部にはコーナーキューブからなる一対のY移動鏡25a、25bが固定され、微動ステージ18の−X方向の端部にはY軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡26が固定されている。そして、これら移動鏡25a、25b、26に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMSTのX軸、Y軸、及びθZ方向の位置が高精度で検出される。制御装置CONTはこれらレーザ干渉計の検出結果に基づいて、Yリニアモータ20、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Yを含む各モータを駆動し、微動ステージ18に支持されているマスクM(マスクステージMST)の位置制御を行う。
図1に戻って、開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ部10が設けられている。そして、投影光学系PLはリアクションフレーム5の段部5bに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤12にフランジ部10を係合している。
ステージ装置2は、基板ステージPSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤4と、基板ステージPSTをX軸方向に案内しつつ移動自在に支持するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35に設けられ、基板ステージPSTをX軸方向に移動可能なXリニアモータ(リニアモータ装置)40と、Xガイドステージ35をY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置)30、30とを有している。基板ステージPSTは感光基板Pを真空吸着保持する基板ホルダPHを有しており、感光基板Pは基板ホルダPHを介して基板ステージPSTに支持される。また、基板ステージPSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング37が設けられており、これらエアベアリング37により基板ステージPSTは基板定盤4に対して非接触で支持されている。また、基板定盤4はベースプレート6の上方に防振ユニット13を介してほぼ水平に支持されている。
Xガイドステージ35の+X側には、Xトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。また、Xトリムモータ34の固定子34bはリアクションフレーム5に設けられている。このため、基板ステージPSTをX軸方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34及びリアクションフレーム5を介してベースプレート6に伝達される。
図3は基板ステージPSTを有するステージ装置2の概略斜視図である。図3に示すように、ステージ装置2は、X軸方向に沿った長尺形状を有するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35で案内しつつ基板ステージPSTをX軸方向に所定ストロークで移動可能なXリニアモータ40と、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられ、Xガイドステージ35を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ30、30とを備えている。
Xリニアモータ40は、Xガイドステージ35にX軸方向に延びるように設けられたコイルユニットからなる固定子41と、この固定子41に対応して設けられ、基板ステージPSTに固定された磁石ユニットからなる可動子42とを備えている。これら固定子41及び可動子42によりムービングマグネット型のリニアモータ40が構成されており、可動子42が固定子41との間の電磁気的相互作用により駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTはXガイドステージ35に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ35に非接触支持された状態でXリニアモータ40によりX軸方向に移動する。
Yリニアモータ30のそれぞれは、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられた磁石ユニットからなる可動子32と、この可動子32に対応して設けられコイルユニットからなる固定子31とを備えている。ここで、固定子31、31はベースプレート6に突設された支持部36、36(図1参照)に設けられている。なお、図1では固定子31及び可動子32は簡略化して図示されている。これら固定子31及び可動子32によりムービングマグネット型のリニアモータ30が構成されており、可動子32が固定子31との間の電磁気的相互作用により駆動することでXガイドステージ35がY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ30、30のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ35はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ30、30により基板ステージPSTがXガイドステージ35とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
図1に戻って、基板ステージPSTの−X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡51が設けられ、X移動鏡51に対向する位置にはレーザ干渉計50が設けられている。レーザ干渉計50はX移動鏡51の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡52とのそれぞれに向けてレーザ光(検出光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてX移動鏡51と参照鏡52との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡53(図1には不図示、図3参照)が設けられ、Y移動鏡53に対向する位置にはYレーザ干渉計(不図示)が設けられており、Yレーザ干渉計はY移動鏡53の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡(不図示)とのそれぞれに向けてレーザ光を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてY移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計の検出結果に基づいてリニアモータ30、40を介して基板ステージPSTの位置制御を行う。
次に、図4〜図7を参照しながら本発明のリニアモータ30(20、40)の第1実施形態について説明する。以下の説明では基板ステージPSTに設けられたYリニアモータ30について説明するが、Xリニアモータ40及びマスクステージMSTに設けられたリニアモータ20もほぼ同等の構成を有する。
図4はリニアモータ30の概略斜視図である。図4に示すように、リニアモータ30は、Y軸方向(所定方向)を長手方向とするコイルユニットからなる固定子31と、磁石ユニットからなる可動子32とを備えている。このうち固定子31は、Y軸方向(所定方向)に複数並んで配置されたコイル70と、これらコイル70を収容するハウジング装置60とを備えている。コイル70には制御装置CONTにより電流量を制御された駆動電流が流れる。一方、可動子32は複数の磁石76を有し、固定子31のハウジング装置60を挟んで設けられたヨーク部78を備えている。磁石76のそれぞれは永久磁石であってヨーク部78に所定方向(Y軸方向)に複数並んで取り付けられており、異なる磁極の磁石が交互に並んで配置されている。更に、磁石76はハウジング装置60(固定子31)を挟んで異なる磁極どうしが互いに対向して配置されている。
図5は図4のA−A断面矢視図である。図5に示すように、ハウジング装置60は、コイル70が配置される内部空間63を有するハウジング部61と、ハウジング部61を囲む外側ハウジング部62とを有している。ハウジング部61及び外側ハウジング部62のそれぞれは断面視「口」に形成され、略同心状に配置されている。そして、ハウジング部61と外側ハウジング部62との間に第2空間64が形成されている。なお、ハウジング部61及び外側ハウジング部62の形成材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ガラス繊維充填エポキシ樹脂、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化熱硬化性プラスチック(CFRP)等の合成樹脂、またはセラミックス材料等の非導電性且つ非磁性材料、あるいはステンレス鋼やアルミニウム等の金属等が挙げられる。また、コイル70は空芯部71を有しており、空芯部71にはこのコイル70を支持する支持部72が配置されている。支持部72はコイル70と接しており、コイル70を空芯部71で支持する。
リニアモータ30は、液体(気化用液体)が気化する際の気化熱によって固定子31を冷却する冷却装置Sを備えている。冷却装置Sは、ハウジング部60の表面に設けられ、気化用液体を固定子31に沿って拡散させる拡散部74と、拡散部74に気化用液体を供給する滴下部(液体供給装置)81とを備えている。滴下部81は、ハウジング部61の表面(+Z側の外表面及び−Z側の外表面のそれぞれ)における短手方向(X軸方向)両端部の所定位置に設けられており、ハウジング部61の表面に対して、すなわち、ハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に対して気化用液体を供給する。滴下部81から滴下される気化用液体は流路82から供給されるようになっている。流路82はY軸方向に延びるように設けられており、その一端部は、ハウジング装置60の長手方向一端部に設けられた気化用液体入口部83(図4参照)に接続されている。ここで、外側ハウジング部62には磁石76の形状に沿って段部62Aが形成されており、段部62Aによって形成された第2空間64の幅広部分に流路82及び滴下部81が配置されている構成となっている。また、コイル70が配置されている内部空間63には、ハウジング装置60の長手方向一端部に設けられた冷媒入口部65(図4参照)から冷媒が供給され、内部空間63内の冷媒はハウジング装置60の長手方向他端部に設けられた冷媒出口部66から排出されるようになっている。更に、ハウジング部61と外側ハウジング部62とで囲まれた第2空間64には、ハウジング装置60の長手方向一端部に設けられたガス入口部85(図4参照)からガス(空気)が供給され、第2空間64内のガスはハウジング装置60の長手方向他端部に設けられたガス出口部86から排出されるようになっている。
コイル70には、コイル70の発熱量を検出する検出装置90が設けられている。この検出装置90は例えば温度センサにより構成されており、コイル70の温度を検出することでコイル70の発熱量を検出する。ここで、検出装置90は合成樹脂やセラミックなどからなる密閉部材により密閉されてモールド化されており、ハウジング部61の内部空間63に供給される冷媒に晒されないようになっている。検出装置90の検出結果は制御装置CONTに出力される。なお、検出装置90はハウジング部61に取り付けられていてもよい。
図6は固定子31のうち外側ハウジング部62を除いた状態の斜視図である。図6に示すように、冷却装置Sのうち、気化用液体を流通する流路82は、ハウジング部61の短手方向(X軸方向)両側においてハウジング部61の長手方向(Y軸方向)に延びるようにそれぞれ設けられている。そして、これら流路82はハウジング部61の表面(+Z側の外表面と−Z側の外表面とのそれぞれ)に設けられている。流路82の一端部は気化用液体入口部83に接続されており、他端部は閉じられている。ここで、ハウジング部61の表面に設けられた流路82及び裏面に設けられた流路82によりU字管が形成されており、気化用液体入口部83はU字管の屈曲部に接続されている。したがって、気化用液体入口部83からの気化用液体は2本の流路82のそれぞれに分岐するように供給される。
滴下部81は、ハウジング部61の長手方向(Y軸方向)に所定間隔で複数並んで設けられており、滴下部81のそれぞれは流路82に接続されている。すなわち、滴下部81はハウジング部61の表面における短手方向両端部の所定位置に互いに対向するように設けられている。滴下部81は、ハウジング部61の内部空間63にY軸方向に複数並んでいるコイル70に対応して設けられており、ハウジング部61の表面のうちコイル70に対応する複数の位置のそれぞれに対して流路82より供給された気化用液体を滴下する。
拡散部74はハウジング部61の表面及び裏面のそれぞれに設けられている。拡散部74はハウジング部61の表面(裏面)の形状に沿う平面視長方形状のシート状部材である。そして、滴下部81の液体吐出口は拡散部74に向けられており、滴下部81のそれぞれは、ハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に対して気化用液体を供給する。本実施形態において、滴下部81の液体吐出口は拡散部74に接している。拡散部74は、網目を介して気化用液体を拡散する網状部材により構成されており、供給された気化用液体をハウジング部61の表面に沿って拡散するとともに所定量保持する。なお、拡散部74としては、繊維状シートや多孔質体であってもよい。あるいは、ハウジング部61の表面に形成した溝部であってもよい。あるいはスポンジ状部材など供給された液体を膨潤可能な膨潤部材であってもよい。
また、前述したように、ハウジング装置60の一端部からは、第2空間64に対して、すなわち、気化用液体が供給された拡散部74に対してガス(空気)が供給されるようになっている。供給されたガスは気化用液体の気化を促進するとともに、第2空間64の他端部のガス出口部86(図4参照)からこの第2空間64内のガスを排出する。ここで、ガス出口部86から排出されるガスは、ガス入口部85から供給されたガス(空気)と、気化用液体が気化した気化ガスとを含む。なお、本実施形態では、第2空間64に対してガスを供給する構成であるが、第2空間64のガスを吸引するようにしてもよい。第2空間64のガスを吸引することによっても、第2空間64のガスが移動するので気化用液体の気化が促進されるとともに、ガス回収を円滑に行うことができる。
図7は、コイルユニットである固定子31を冷却する冷却装置のシステム構成図である。図7において、冷却装置Sは、前記冷媒入口部65を介してコイル70が配置されている内部空間63に冷媒を供給する冷媒供給装置100と、気化用液体入口部83、流路82、及び滴下部81を介してハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に対して気化用液体を供給する液体供給装置102と、ガス入口部85を介してハウジング部61と外側ハウジング部62とで囲まれた第2空間64にガスを供給するガス供給装置104とを備えている。冷媒供給装置100からの冷媒は流路101を介して冷媒入口部65に送られる。液体供給装置102からの気化用液体は流路103を介して気化用液体入口部83に送られる。ガス供給装置104からのガスは流路105を介してガス入口部85に供給される。ここで、各入口部65、83、及び85のそれぞれは2箇所ずつ設けられており、流路101、103、及び105のそれぞれは途中から分岐して前記入口部65、83、及び85のそれぞれに接続されている。
ここで、冷媒供給装置100から内部空間63に対して供給される冷媒としては、ハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)や、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)などの液体が挙げられる。なお、冷媒として水を用いてもよい。一方、コイル70の導線自体が冷媒に直接触れないようにコイル表面には表面処理が施されている。また、液体供給装置102から供給される気化用液体としては、上記ハイドロフルオロエーテルやフッ素系不活性液体、水を用いることができる。ここで、冷媒供給装置100から供給する冷媒と、液体供給装置102から供給する液体とは同じものでもよいし、異なるものでもよい。また、ガス供給装置104から供給されるガスとしては、空気を用いることができる。
冷媒出口部66は流路107を介して冷媒供給装置100に接続されている。すなわち、内部空間63から冷媒出口部66を介して排出された冷媒は、流路107を介して冷媒供給装置100に戻される。冷媒供給装置100に戻された冷媒は、不図示の温度調整装置により所定の温度に調整(冷却)されて再び冷媒入口部65に供給される。ここで、冷媒出口部66は2箇所設けられており、流路107はこれら2つの冷媒出口部66に接続し、途中で集合している。
冷却装置Sは、第2空間64において気化用液体が気化した気化ガスを、ガス出口部86及び流路108を介して回収する回収装置110を備えている。すなわち、ガス出口部86は流路108を介して回収装置110に接続されており、第2空間64で気化した気化ガスはガス供給装置104から第2空間64に供給されたガス(空気)とともにガス出口部86を介して回収装置110に回収される。なお、ガス出口部86は2箇所設けられており、流路108はこれら2つのガス出口部86に接続し、途中で集合している。
回収装置110は、流路111を介して液化装置112に接続している。液化装置112は、回収装置110で回収した気化ガスを液化するものである。液化装置112で液化された気化ガス、すなわち気液分離により生成された液相である気化用液体は流路113を介して液体供給装置102に戻される。一方、液化装置112における気液分離により生成された気相(ガス)はシステム外に排気される。
液体供給装置102は、この液体供給装置102から第2空間64(拡散部74)に対して供給する気化用液体の温度を調整する液体温度調整部114を備えている。本実施形態において、液体温度調整部114は流路103の途中、すなわち液体供給装置102と気化用液体入口部83との間に設けられている。
そして、液体供給装置102の液体供給動作、及び液体温度調整部114の温度調整動作は制御装置CONTに制御されるようになっている。
次に、上述したリニアモータ30の駆動方法及び冷却方法について説明する。
制御装置CONTの制御のもとで、リニアモータ30のコイル70に対して駆動電流が供給されると、コイル70は発熱する。コイル70の発熱により、ハウジング部61も温度上昇する。コイル70の発熱に応じて、冷媒供給装置100から内部空間63に対して冷媒が供給される。また、液体供給装置102から流路82及び滴下部81を介してハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に対して気化用液体が供給される。これとともに、第2空間64(拡散部74)に対してガス供給装置104よりガスが供給される。
制御装置CONTの制御のもとで、リニアモータ30のコイル70に対して駆動電流が供給されると、コイル70は発熱する。コイル70の発熱により、ハウジング部61も温度上昇する。コイル70の発熱に応じて、冷媒供給装置100から内部空間63に対して冷媒が供給される。また、液体供給装置102から流路82及び滴下部81を介してハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に対して気化用液体が供給される。これとともに、第2空間64(拡散部74)に対してガス供給装置104よりガスが供給される。
滴下部81から拡散部74に供給された気化用液体は、固定子30のハウジング部61の表面に沿って拡散する。拡散した気化用液体は、ハウジング部61の表面より気化し、この気化用液体の気化に伴う吸熱により、ハウジング部61(固定子31)は冷却される。ここで、気化用液体は複数設けられた滴下部81のそれぞれから供給される構成であって、ハウジング部61の全ての位置に対して満遍なく気化用液体が供給されるため、固定子31は均一に冷却される。そして、固定子31は、気化用液体が液相から気相に相変化する際の潜熱により冷却されるので、気化用液体は温度上昇することなく固定子31を冷却できる。
気化用液体が気化した気化ガスはガス供給装置104からのガスによりガス出口部86に搬送される。ガス供給装置104から供給されるガスにより、気化用液体の気化が促進されるとともに、気化した気化ガスはガス出口部86に円滑に搬送される。ガス出口部86から排出された気化ガスは回収装置110に回収され、液化装置112で液化されて液体供給装置102に戻され、再利用される。
液体供給装置102から第2空間64(拡散部74)に対して気化用液体を供給するに際し、液体温度調整部114は制御装置CONTの制御のもとで、供給する気化用液体の温度を調整して供給する。すなわち、液体温度調整部114は、拡散部74に気化用液体を供給した際、気化しやすく良好な冷却効果を得られる温度に気化用液体の温度調整をする。
また、制御装置CONTは、検出装置90の検出したコイル70の発熱量に基づいて、液体供給装置102から拡散部74に供給する気化用液体の供給量(単位時間あたりの液体供給量)を制御する。例えば、コイル70からの発熱量が増大したことを検出装置90で検出したら、制御装置CONTは拡散部74に対する気化用液体の供給量を多くする。これにより、固定子31を良好に冷却できる。一方、コイル70からの発熱量が低下したことを検出装置90で検出したら、制御装置CONTは拡散部74に対する気化用液体の供給量を減らす。これにより、固定子31の過冷却を防止できる。
また、制御装置CONTは、検出装置90の検出結果に基づいて、冷媒供給装置100を制御し、内部空間63に供給する冷媒の供給量(単位時間あたりの冷媒供給量)を制御することができる。すなわち、コイル70(固定子31)の温度が上昇したら冷媒供給量を増やし、コイル70の温度が低下したら冷媒供給量を減らすといった制御が可能である。
また、制御装置CONTは、検出装置90の検出結果に基づいて、ガス供給装置104を制御し、第2空間64(拡散部74)に対するガスの供給量(単位時間あたりのガス供給量、すなわちガス流速)を制御することができる。すなわち、ガス供給装置104から供給されるガスは気化用液体の気化を制御する作用を有するので、ガス流速を高めることにより、気化用液体の気化が促進され、固定子31をより一層冷却することができる。一方、ガス流速を低下することにより、気化用液体の気化が抑制されるので、固定子31の過冷却を抑えることができる。
以上説明したように、固定子31を気化熱によって冷却するようにしたので、気化用液体の温度上昇を伴わずに冷却処理を行うことができる。したがって、リニアモータ30における温度分布の発生が抑えられるので、揺らぎの発生に起因する各測定装置の測定誤差等の発生を抑制でき、良好なステージ位置決め精度で精度良い露光処理を行うことができる。また、気化熱により冷却する構成であるので、ハウジング部61の表面、すなわち第2空間64に対して少量の気化用液体を供給すれば所望の冷却効果を得ることができるので、従来のように供給される冷媒による圧力上昇に抗するためにハウジング部や外側ハウジング部を肉厚化する必要が無くなる。したがって、リニアモータ30は大型化されることなく良好な冷却効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、ガス供給装置104から第2空間64に対してガスを供給する構成であるが、ガスを供給しない構成とすることも可能である。一方、ガスを供給することにより、気化用液体の気化が促進されて良好な冷却効果が得られるとともに、気化ガスを円滑に回収することができる。
本実施形態では、コイル70が配置された内部空間63に対して冷媒を供給する構成であるが、内部空間63に冷媒を供給せずに、ハウジング部61の表面に供給した気化用液体の気化熱のみによっても固定子31を冷却することができる。一方、内部空間63に冷媒を供給することによりこの内部空間63をコイル70の冷却用空間とし、気化用液体が気化する第2空間64をコイル70からの発熱の周囲に対する断熱用空間とすることができる。
本実施形態では、ハウジング部61の表面に拡散部74が設けられた構成であるが、拡散部74は無くてもよい。この場合、滴下部81からの気化用液体はハウジング部61の表面に直接供給され、気化される。一方、拡散部74を設けたことにより、ハウジング部61の表面に満遍なく拡がるので、冷却効果を均一に得ることができる。
本実施形態では、ハウジング部61を囲むように外側ハウジング部62を設け、ハウジング部61と外側ハウジング部62とで囲まれた第2空間64に気化用液体を供給する構成であるが、外側ハウジング部62を設けずに、ハウジング部61の表面に対して気化用液体を供給するようにしてもよい。一方、外側ハウジング部62を設けて略密閉された第2空間64を形成し、この第2空間64に対して気化用液体を供給することにより、気化した気化ガスを回収できるとともに、周辺装置は気化ガスにより汚染されない。
以下、本発明のリニアモータ装置の他の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第1実施形態を同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図8は本発明のリニアモータ装置の第2実施形態を示す図であって固定子31の断面図である。図8に示すように、本実施形態に係る滴下部81は流路82とほぼ同じ径(太さ)を有しているとともに、その液体吐出口は、拡散部74に対して離間している。このように、滴下部81の形状及び太さは任意に設定可能であるとともに、拡散部74に対する滴下部81の位置も任意に設定可能である。図9は本発明のリニアモータ装置の第3実施形態を示す図であって固定子31の断面図である。図9に示すように、流路82はハウジング部61のX方向両側面のそれぞれに1本ずつ設けられており、滴下部81は第2空間64内において流路82からハウジング部61の+Z側外表面と−Z側外表面とに分岐するように設けられている。そして、滴下部81の液体吐出口は拡散部74に対して離間している。このように、第2空間64内部において1本の流路82から滴下部81を分岐させる構成とすることも可能である。
図8は本発明のリニアモータ装置の第2実施形態を示す図であって固定子31の断面図である。図8に示すように、本実施形態に係る滴下部81は流路82とほぼ同じ径(太さ)を有しているとともに、その液体吐出口は、拡散部74に対して離間している。このように、滴下部81の形状及び太さは任意に設定可能であるとともに、拡散部74に対する滴下部81の位置も任意に設定可能である。図9は本発明のリニアモータ装置の第3実施形態を示す図であって固定子31の断面図である。図9に示すように、流路82はハウジング部61のX方向両側面のそれぞれに1本ずつ設けられており、滴下部81は第2空間64内において流路82からハウジング部61の+Z側外表面と−Z側外表面とに分岐するように設けられている。そして、滴下部81の液体吐出口は拡散部74に対して離間している。このように、第2空間64内部において1本の流路82から滴下部81を分岐させる構成とすることも可能である。
図10は本発明のリニアモータ装置の第4実施形態を示す図であって外側ハウジング部を除いた状態の斜視図である。図10に示すように、滴下部81はY軸方向、すなわちハウジング部61の内部空間63に複数設けられたコイル70の並び方向に沿って複数設けられている。そして、滴下部81のそれぞれには、これら滴下部81のそれぞれの滴下動作を制御する弁81Aが設けられている。弁81Aの開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。そして、制御装置CONTは、複数のコイル70のそれぞれに設けられている検出装置90で検出した、複数のコイル70それぞれの発熱量に応じて、複数の滴下部81それぞれからの滴下動作を弁81Aを用いて制御するようになっている。これによれば、例えば、可動子32の加速区間に相当するコイル70は発熱量が大きくなる場合があるので、弁81Aのそれぞれを調整し、ハウジング部61の表面のうち前記発熱量が大きいコイル70に対応する位置に対してより多くの気化用液体を供給するように制御することができる。すなわち、例えば図10中、Y軸方向の両端部の滴下部81からの滴下量が、中央部の滴下部81からの滴下量より多くなるように調整することができる。このように、複数並んだコイル70のそれぞれの発熱量に応じて、複数の滴下部のうち所定の滴下部からの滴下量が他の滴下部からの滴下量に対して異なるように設定し、供給する気化用液体の供給量分布を制御するようにしてもよい。
図11は本発明のリニアモータ装置の第5実施形態を示す図であって固定子及び可動子の断面図である。図11において、拡散部74に対して気化用液体を供給する滴下部81は、ハウジング部61の短手方向の一端部に設けられており、他端部には設けられていない。このような構成は、気化用液体が供給される表面がほぼ鉛直方向に沿うように配置されたハウジング部、例えば図2に示したリニアモータ20に対して有効である。すなわち、図11において、ハウジング部61は、気化用液体が供給される表面をほぼ鉛直方向に沿うように配置されており、滴下部81はハウジング部61の表面の鉛直方向における上部位置に気化用液体を供給する構成となっている。これにより、上部位置に供給された気化用液体は重力により下方に移行し、ハウジング部61の表面に満遍なく拡がる。また、図5に示した例では、滴下部81及び流路82を配置するために、段部62Aをハウジング部61の短手方向両端部に形成して第2空間64の幅広部分を2箇所に設けた構成であるが、図11に示す例では、滴下部81及び流路82は上部位置にしかないので第2空間64の幅広部分も1箇所でよい。したがって、リニアモータ20をより一層小型化できる。なお、図12は図11の変形例である。すなわち、図11に示す例では、滴下部81及び流路82を配置するための第2空間64の幅広部分は+Z側に設けられ、この固定子21の幅広部分を囲むように可動子22が配置された構成であるが、図12に示す例では、固定子21の幅広部分とは反対側の部分を囲むように可動子22が配置されている。このような構成によっても、滴下部81からの気化用液体は重力の作用によりハウジング部61の表面に設けられた拡散部74に満遍なく拡がる。
図13は本発明のリニアモータ装置の第6実施形態を示す図であって固定子31を示す斜視図である。図13に示すように、固定子31は、内部空間63を有するハウジング部61と、内部空間63に配置されたコイル70とを有している。本実施形態において外側ハウジング部62は設けられていない。そして、気化用液体を流通させる流路82は内部空間63に配置され、この流路82に接続する滴下部81も内部空間63に配置されている。そして、滴下部81はハウジング部61の内部空間63に気化用液体を供給するようになっている。ここで、コイル70の表面には拡散部74が設けられており、滴下部81からの気化用液体は、コイル70の表面に設けられた拡散部74に供給される。このように、気化用液体をコイル70に直接的に供給する構成とすることも可能である。この場合、内部空間63が、気化用液体が気化する気化空間となる。そして、気化した気化ガスは、ハウジング部61に設けられたガス出口部86Aより排出され、回収される。なお、図13に示す例において、ハウジング部61の外表面に対しても気化用液体を供給するようにしてもよい。そして、この場合においても、外側ハウジング部62を設けることもできるし、設けない構成とすることもできる。更に、外側ハウジング部62を設けた場合、コイル70(内部空間63)に対して気化用液体を供給するとともに、第2空間64に対して冷媒を供給する構成とすることも可能である。
図14は本発明のリニアモータ装置の第7実施形態を示す図であって、リニアモータ30の概略斜視図である。図14に示す本第7実施形態と図4に示す第1実施形態とを比較すると、本第7実施形態の固定子31には第2空間64にガスを供給するガス入口部85が設けられておらず、ガス出口部86のみが設けられている点で相違する。
図15は本実施形態の固定子31を冷却する冷却装置のシステム構成図である。本実施形態の冷却装置Sはガス供給装置に替えてガス吸引装置115を備えている。ガス吸引装置115は、流路108を介して固定子31に設けられたガス出口部86に接続され、第2空間64に存在する気化用液体が気化した気化ガスを吸引する。吸引された気化ガスは回収装置110で回収され、液化装置112で液化されて、再び液体供給装置102によって気化用液体入り口部83を介して固定子31に供給される。固定子31には前述の通りガス入り口部85が設けられていないので、ガス吸引装置115は固定子31内の第2空間64を負圧化し、気化用液体の気化を促進する。ガス吸引装置115は制御装置CONTに接続されており、該制御装置CONTによって制御される。制御装置CONTは、検出装置90の検出結果、液体供給装置102による液体供給量、液体温度調整部114によって調整された液体温度等とによってガス吸引装置115によるガス吸引量を決定し、ガス吸引装置115を制御する。これによれば、ガス吸引装置115の吸引量を変化させることにより気化用液体の気化量を能動的にコントロールすることができ、また気化用液体の気化を促進することができるのでコイルユニットである固定子31を効率的に冷却することができる。また、第2空間64が負圧化されるので、固定子31が膨らんで可動子32と干渉するおそれもない。
本第7実施形態では外側ハウジング部62を有し、第2空間64を有するリニアモータに本発明を適用した例を説明したが、本発明は外側ハウジング部62を有さず、内部空間63に気化用液体が供給されるリニアモータに対しても適用することができる。また、ガス入口部85を有するリニアモータに対して上記冷却装置を適用してもよい。この場合、ガス供給装置は不要であり、ガス入口部85に開閉弁を設け、この開閉弁の開口面積を調整することによって第2空間64を所望の圧力で負圧化することができる。
次に、本発明のリニアモータ装置の第8実施形態について図16〜図18を参照しながら説明する。図16に示すリニアモータ30の断面図において、リニアモータ30は、内部空間63と外部空間つまり第2空間64とを隔てるハウジング部61と、内部空間63に配置されるコイル70とを有している。そして、内部空間63にはハウジング部61の熱を吸収する液体(冷媒)が供給される。ここで、本実施形態に係るリニアモータ30では、気化用液体を供給するための滴下部81及び流路82は設けられていない。そして、ハウジング部61には、内部空間63と第2空間64とを連通する穴部150が複数設けられている。また、ハウジング部61の第2空間64に面する外表面のうち穴部150が設けられている面には、穴部150を介して内部空間63から外表面に漏出した液体を外表面に沿って拡散させる拡散部74が設けられている。
図17はリニアモータ30の固定子31のうち外側ハウジング部62を除いた状態の斜視図である。図17に示すように、穴部150はハウジング部61の長手方向(コイル70の並び方向)において所定間隔で複数設けられている。本実施形態では、X軸方向に3つ並んだ穴部150が、Y軸方向に所定間隔で4箇所に設けられている。ここで、穴部150は、ハウジング部61のうち複数のコイル70に対応するそれぞれの位置に設けられている。そして、内部空間63に供給された液体(冷媒)は、内部空間63からハウジング部61の外表面に漏出し、拡散部74により拡散するようになっている。ここで、第1実施形態同様、ハウジング部61の表面(拡散部74)に対してガスが供給される。
図18は、第8実施形態に係るコイルユニットである固定子31を冷却する冷却装置のシステム構成図である。図18において、冷却装置Sは、コイル70が配置されている内部空間63に冷媒(液体)を供給する冷媒供給装置(液体供給装置)100と、ハウジング部61と外側ハウジング部62とで囲まれた第2空間64にガスを供給するガス供給装置104とを備えている。本実施形態における冷媒(液体)としては、上述した実施形態同様、ハイドロフルオロエーテルや、フッ素系不活性液体、あるいは水を用いることができる。そして、冷媒供給装置100から冷媒入口部65を介して内部空間63に供給された冷媒(液体)の大部分は内部空間63を通過してコイル70を冷却し、冷媒出口部66から排出されて冷媒供給装置100に戻される。一方、内部空間63に対して供給された冷媒の残りの部分は穴部150を介してハウジング部61の外表面に漏出する。漏出した冷媒(液体)は、ハウジング部61の熱により気化し、気化に伴う吸熱により固定子31を冷却する。そして、気化した気化ガスは、ガス供給装置104により供給されたガスにより搬送され、ガス出口部86より排気される。ガス出口部86を介して第2空間64より排気された気化ガスは回収装置110で回収され、液化装置112で液化される。液化された気化ガス、すなわち冷媒(液体)は冷媒供給装置100に戻され、再利用される。
以上説明したように、内部空間63に供給した液体(冷媒)を穴部150を介してハウジング部61の表面に漏出させ、この漏出した液体を気化させることで固定子31を冷却することもできる。この場合、図7に示した形態と異なり、気化用液体を供給するための供給装置102を別に設けることなく、ハウジング部61の内部空間63に液体を供給する供給装置100を用いてハウジング部61の外表面に液体を供給できるので、簡略な装置構成で気化用液体をハウジング部61の外表面に供給できる。なお、本実施形態では、外側ハウジング部62を設けて気化用空間である第2空間64を形成した構成であるが、外側ハウジング部62を設けない構成とすることもできる。また、本実施形態では冷却装置Sがガス供給装置104を備える構成としたが、ガス供給装置104の替わりにガス吸引装置を設け、固定子31にガス出口部のみを設ける構成とすることもできる。これによれば第2空間64を負圧化することによりハウジング部61の外表面への液体の漏出を制御することができ、効率的な冷却を行なうことができる。
図19は図18の変形例である。図19において、穴部150はY軸方向において所定間隔で複数(4箇所)設けられている。そして、本実施形態では、ハウジング部61の長手方向両端側においてX軸方向に複数並んで形成された穴部150は5つであり、中央部では3つである。このように、形成される穴部150の数は、複数並んだコイル70のそれぞれの発熱量に応じて設定されてもよい。すなわち、例えば、可動子32の加速区間に相当する位置に配置されるコイルなど、複数のコイルのうち他のコイルに比べて発熱量が大きいコイルに対応するハウジング部61の外表面に多くの穴部150を設けて多くの液体を供給して気化させる構成とすることができる。このように、複数並んだコイル70のそれぞれの発熱量に応じて、ハウジング部61の各位置における穴部150の数を調整することで、穴部150からハウジング部61の外表面に供給される液体の供給量分布を制御するようにしてもよい。なお、ここでは、穴部150の数を調整することにより液体の供給量分布を制御する構成であるが、穴部150のそれぞれの大きさを調整することで液体の供給量分布を制御するようにしてもよい。
なお、上記各実施形態におけるリニアモータは、コイルユニットを固定子とし、磁石ユニットを可動子とした所謂ムービングマグネット型のリニアモータとして説明したが、コイルユニットを可動子とし、磁石ユニットを固定子としたムービングコイル型のリニアモータにも適用可能である。この場合、可動子であるコイルユニットがステージPST、MSTに接続し、固定子である磁石ユニットがステージPST、MSTの移動面側(ベース)に設けられる。
なお、上記実施形態の感光基板Pとしては、半導体デバイス用の半導体ウエハのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと感光基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、ウエハに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限られず、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、露光用照明光の光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2 レーザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6 )、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、マスクMを用いる構成としてもよいし、マスクMを用いずに直接ウエハ上にパターンを形成する構成としてもよい。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高周波などを用いてもよい。
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2 レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクMも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系PLを用いることなく、マスクMと基板Pとを密接させてマスクMのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
上記実施形態のように基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイスは、図20に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…ステージ装置、2…ステージ装置、
20、30、40…リニアモータ(リニアモータ装置)、
21、31、41…固定子(コイルユニット)、22、32、42…可動子、
61…ハウジング部、62…外側ハウジング部、63…内部空間、64…第2空間、
70…コイル、74…拡散部、81…滴下部(液体供給装置)、
81A…弁(制御装置)、90…検出装置、100…冷媒供給装置(液体供給装置)、
102…液体供給装置、104…ガス供給装置、110…回収装置、112…液化装置、
114…液体温度調整部、115…ガス吸引装置、150…穴部、CONT…制御装置、EX…露光装置、MST…マスクステージ(ステージ装置)、
PST…基板ステージ(ステージ装置)、S…冷却装置
20、30、40…リニアモータ(リニアモータ装置)、
21、31、41…固定子(コイルユニット)、22、32、42…可動子、
61…ハウジング部、62…外側ハウジング部、63…内部空間、64…第2空間、
70…コイル、74…拡散部、81…滴下部(液体供給装置)、
81A…弁(制御装置)、90…検出装置、100…冷媒供給装置(液体供給装置)、
102…液体供給装置、104…ガス供給装置、110…回収装置、112…液化装置、
114…液体温度調整部、115…ガス吸引装置、150…穴部、CONT…制御装置、EX…露光装置、MST…マスクステージ(ステージ装置)、
PST…基板ステージ(ステージ装置)、S…冷却装置
Claims (25)
- コイルユニットを有するリニアモータ装置において、
液体が気化する気化熱によって前記コイルユニットを冷却する冷却装置を有することを特徴とするリニアモータ装置。 - 前記冷却装置は、前記液体を前記コイルユニットに沿って拡散させる拡散部と、前記拡散部に前記液体を供給する液体供給装置とを有することを特徴とする請求項1記載のリニアモータ装置。
- 前記拡散部は、網目を介して前記液体を拡散する網状部材を有することを特徴とする請求項2記載のリニアモータ装置。
- 前記液体供給装置は前記拡散部の複数の位置のそれぞれに前記液体を供給することを特徴とする請求項2又は3記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、前記液体供給装置から供給する前記液体の温度を調整する液体温度調整部を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載のリニアモータ装置。
- 前記コイルユニットは、内部空間を有するハウジング部と、前記内部空間に配置されるコイルとを備え、
前記拡散部は前記ハウジング部の表面に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項記載のリニアモータ装置。 - 前記ハウジング部を囲む外側ハウジング部を備えることを特徴とする請求項6記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、前記ハウジング部と前記外側ハウジング部とで囲まれた第2空間にガスを供給するガス供給装置を有することを特徴とする請求項7記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、前記ハウジング部と前記外側ハウジング部とで囲まれた第2空間からガスを吸引するガス吸引装置を有することを特徴とする請求項7記載のリニアモータ装置。
- 前記ガス吸引装置は、前記第2空間を負圧化することを特徴とする請求項9記載のリニアモータ装置。
- 前記コイルユニットは、内部空間を有するハウジング部と、前記内部空間に配置されるコイルとを備え、
前記拡散部は前記コイルの表面に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項記載のリニアモータ装置。 - 前記冷却装置は、前記内部空間にガスを供給するガス供給装置を有することを特徴とする請求項11記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、前記内部空間からガスを吸引するガス吸引装置を有することを特徴とする請求項11記載のリニアモータ装置。
- 前記ガス吸引装置は、前記内部空間を負圧化することを特徴とする請求項13記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、前記液体が気化した気化ガスを回収する回収装置を備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、回収された前記気化ガスを液化する液化装置を備えることを特徴とする請求項15記載のリニアモータ装置。
- 前記冷却装置は、
前記コイルの発熱量を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記液体供給装置を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項2〜16のいずれか一項記載のリニアモータ装置。 - 前記コイルは所定方向に複数並んで設けられ、
前記検出装置は前記複数のコイルそれぞれの発熱量を検出し、
前記液体供給装置は前記拡散部のうち前記複数のコイルに対応する位置のそれぞれに対して前記液体を滴下する複数の滴下部を備え、
前記制御装置は、前記検出装置で検出した前記複数のコイルそれぞれの発熱量に応じて前記複数の滴下部それぞれからの滴下動作を制御することを特徴とする請求項17記載のリニアモータ装置。 - 内部空間と外部空間とを隔てるハウジング部と、前記内部空間に配置されるコイルとを有するリニアモータ装置において、
前記ハウジング部の熱を吸収する液体を、前記内部空間に供給する液体供給装置と、
前記ハウジング部に設けられ、前記内部空間と前記外部空間とを連通する穴部と、
前記外部空間に面する前記ハウジング部の外表面に設けられ、前記穴部を介して前記内部空間から前記ハウジング部の外表面に漏出した前記液体を前記外表面に沿って拡散させる拡散部とを備えることを特徴とするリニアモータ装置。 - 前記コイルは所定方向に複数並んで設けられ、
前記穴部は前記ハウジング部のうち前記複数のコイルに対応するそれぞれの位置に前記複数のコイルの発熱量に応じて複数形成されることを特徴とする請求項19記載のリニアモータ装置。 - 駆動装置を備えたステージ装置において、
前記駆動装置に、請求項1〜請求項20のいずれか一項記載のリニアモータ装置が用いられていることを特徴とするステージ装置。 - マスクを保持するマスクステージと、基板を保持する基板ステージとを備えた露光装置において、
前記マスクステージ及び前記基板ステージのうち少なくともいずれか一方に、請求項21記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする露光装置。 - コイルユニットを有するリニアモータ装置の冷却方法において、
前記コイルユニットを液体の気化に伴う吸熱によって冷却することを特徴とするリニアモータ装置の冷却方法。 - 前記コイルユニットに前記液体を供給するステップと、
供給された前記液体を前記コイルユニットに沿って拡散するステップとを含むことを特徴とする請求項23記載のリニアモータ装置の冷却方法。 - 前記コイルユニットの発熱量を検出するステップと、
前記検出結果に基づいて前記液体の供給量を制御するステップとを含むことを特徴とする請求項24記載のリニアモータの冷却方法。
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