JP2004023960A - リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 - Google Patents
リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004023960A JP2004023960A JP2002178839A JP2002178839A JP2004023960A JP 2004023960 A JP2004023960 A JP 2004023960A JP 2002178839 A JP2002178839 A JP 2002178839A JP 2002178839 A JP2002178839 A JP 2002178839A JP 2004023960 A JP2004023960 A JP 2004023960A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- linear motor
- coils
- stage
- coil
- phase
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Abstract
【課題】周囲への熱的影響が少ないリニアモータ装置を提供する。
【解決手段】リニアモータ装置30は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部71と、内部空間に配置されるコイル111、112と、コイル111、112に電流を供給する電流供給装置と、電流供給装置とコイル111、112との間に設けられ、コイル111、112に供給する電流を制御するスイッチ部Sとを備えており、スイッチ部Sはハウジング部71の内部空間に設けられている。
【選択図】 図4
【解決手段】リニアモータ装置30は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部71と、内部空間に配置されるコイル111、112と、コイル111、112に電流を供給する電流供給装置と、電流供給装置とコイル111、112との間に設けられ、コイル111、112に供給する電流を制御するスイッチ部Sとを備えており、スイッチ部Sはハウジング部71の内部空間に設けられている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や液晶表示素子等のマイクロデバイスはマスク上に形成されたパターンを基板(感光基板)上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持して2次元移動するマスクステージと基板を支持して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。いずれの露光装置においてもマスクと基板との相対位置を高精度に一致させてマスクパターンの転写を行うことが要求されるため、マスクステージ及び基板ステージの位置決め精度は露光装置の最も重要な性能の一つである。
【0003】
従来より、上記基板ステージ及びマスクステージ(以下、両者を総称してステージという)の駆動源としてリニアモータが用いられているが、リニアモータからの発熱はステージ位置決め精度に影響を及ぼす。例えば、リニアモータからの発熱が周囲の部材を熱変形させたり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度を変化させて測定値に誤差を生じさせる。したがって、リニアモータからの発熱が周囲に伝わるのを防ぐために、リニアモータのコイルをハウジング(ジャケット)に収容し、このハウジング内部に冷媒を供給する従来技術がある。このうち、特開2001−119916号公報には、ハウジング内部に冷媒を供給することに加えて、複数のコイルによる発熱を少なくするために可動子の移動に寄与するコイルを選択して通電するリニアモータ装置に関する技術が開示されている。このリニアモータ装置は、複数のコイルに所望の電流を供給する制御部と各コイルとのそれぞれの間に複数のスイッチを設け、可動子の位置に応じて前記複数のスイッチを制御する構成である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下に述べる問題が生じるようになった。
上記リニアモータ装置において、スイッチはリニアモータの外部に設置される構成であるが、応答性を考えるとスイッチとリニアモータとを近接して設置することが好ましい。この場合、スイッチをステージ装置の一部に所定の支持部を介して取り付けるか、スイッチボックス内部に配置してリニアモータ近傍に設置することが考えられる。しかしながら、このような構成では、リニアモータ外部における配線が多くなり、リニアモータの周辺に配線スペースを確保しなければならず、省スペース化できないという問題点があった。
【0005】
また、スイッチにはMOS−FET等の半導体スイッチング素子が用いられるが、スイッチング素子自体も発熱する。しかしながら、従来においてスイッチからの発熱の周囲への影響は考慮されておらず、スイッチからの発熱により周囲の部材が熱変形したり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度が変化して測定誤差が生じるといった不都合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、周囲への熱的影響が少ないリニアモータ装置を提供することを目的とする。また、このリニアモータ装置を備えることにより高い位置決め精度を有し、省スペース化できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図16に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のリニアモータ装置(20、30、40、LM)は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部(71)と、内部空間に配置されるコイル(111、112)とを有するリニアモータ装置において、コイル(111、112)に電流を供給する電流供給装置(VS)と、電流供給装置(VS)とコイル(111、112)との間に設けられ、コイル(111、112)に供給する電流を制御する電流制御部(S、221、222、223)とを備え、電流制御部(S、221、222、223)を内部空間に設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、熱源である電流制御部を冷媒が供給されるハウジング部の内部空間に設けたことにより、この電流制御部からの発熱の周囲への影響を抑えることができる。また、電流制御部をハウジング部の内部空間に設けることにより、電流制御部とコイルとは近接して設置されることになり、リニアモータ装置外部において引き回される配線を少なくすることができる。したがって、省スペース化が実現される。
ここで、電流制御部は、コイルに電流を供給するかどうかを制御するスイッチ部(S)あるいはコイルに供給する電流を増幅するアンプ部(221)を含む。
【0009】
また、電流制御部(S、221、222、223)は支持部(92)を介してコイル(111、112)に支持されている。これによれば電流制御部をコイルと一体化できるので、電流制御部をコイルに近接して配置することができると共にリニアモータ装置の製造も容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明のリニアモータ装置は、電流制御部(S、221、222、223)を密閉する密閉部材(91)を有するものとすることができる。これによれば、電流制御部が冷媒に直接晒されることがなくなる。
【0011】
また、本発明のリニアモータ装置は、ハウジング部(71)を挟んで対向配置された磁石(63、64)を有する磁石ユニット(MU)を備え、電流制御部(S、221、222、223)は対向する磁石の間以外の部分に配置されている。これによれば、金属部材を含む電流制御部が磁石の発生する磁束中を移動することがないため、渦電流による粘性力の発生等、リニアモータの駆動に影響を及ぼす力の発生を抑えることができる。
【0012】
また、本発明のリニアモータ装置は、コイル(111、112)を複数有するコイルユニット(CU)が設けられた固定子(31)と、複数の磁石(63、64)を有する磁石ユニット(MU)が配置された可動子(32)とを備え、スイッチ部(S)は複数設けられており、可動子の位置に応じて前記複数のスイッチ部を制御するスイッチ制御部(230)を有する。これによれば、推進力Fの発生に寄与するコイルにのみ選択的に電流を供給することができ、消費電力を抑えて不要な熱が生じないようにすることができる。
【0013】
本発明のステージ装置(1、2、MST、PST)は、駆動装置を備えたステージ装置において、駆動装置に、上記記載のリニアモータ装置(20、30、40、LM)が用いられていることを特徴とする。
また、本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)を支持するマスクステージ(1、MST)と、基板(P)を支持する基板ステージ(2、PST)とを備えた露光装置において、マスクステージ(1、MST)及び基板ステージ(2、PST)のうち少なくともいずれか一方に、上記記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、リニアモータ装置からの発熱による周囲への影響を抑えることができるので、周囲の各部材・装置の熱変形や光干渉式測長計の測定誤差の発生が抑えられ、高い位置決め精度を有するステージ装置、及び高い露光精度を有する露光装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板Pとを同期移動しつつマスクMに設けられているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸まわり、Y軸まわり、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。また、ここでいう「感光基板」は半導体ウエハ上にレジストが塗布されたものを含み、「マスク」は感光基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
【0016】
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置1と、光源を有し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光で照明する照明光学系ILと、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを支持する基板定盤4を有するステージ装置2と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置1及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム5と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム5は床面に水平に載置されたベースプレート6上に設置されており、このリアクションフレーム5の上部側及び下部側には内側に向けて突出する段部5a及び5bがそれぞれ形成されている。
【0017】
照明光学系ILはリアクションフレーム5の上面に固定された支持コラム7により支持される。照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2 レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。
【0018】
ステージ装置1のうちマスク定盤3は各コーナーにおいてリアクションフレーム5の段部5aに防振ユニット8を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にマスクMのパターン像が通過する開口3aを備えている。マスクステージMSTはマスク定盤3上に設けられており、その中央部にマスク定盤3の開口3aと連通しマスクMのパターン像が通過する開口Kを備えている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング9が設けられており、マスクステージMSTはエアベアリング9によりマスク定盤3に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0019】
図2はマスクステージMSTを有するステージ装置1の概略斜視図である。
図2に示すように、ステージ装置1(マスクステージMST)は、マスク定盤3上に設けられたマスク粗動ステージ16と、マスク粗動ステージ16上に設けられたマスク微動ステージ18と、マスク定盤3上において粗動ステージ16をY軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)20、20と、マスク定盤3の中央部の上部突出部3bの上面に設けられ、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内する一対のYガイド部24、24と、粗動ステージ16上において微動ステージ18をX軸、Y軸、及びθZ方向に微小移動可能な一対のXボイスコイルモータ17X及び一対のYボイスコイルモータ17Yとを備えている。なお、図1では、粗動ステージ16及び微動ステージ18を簡略化して1つのステージとして図示している。
【0020】
Yリニアモータ20のそれぞれは、マスク定盤3上においてY軸方向に延びるように設けられたコイルユニット(電機子ユニット)からなる一対の固定子21と、この固定子21に対応して設けられ、連結部材23を介して粗動ステージ16に固定された磁石ユニットからなる可動子22とを備えている。そして、これら固定子21及び可動子22によりムービングマグネット型のリニアモータ20が構成されており、可動子22が固定子21との間の電磁気的相互作用により駆動することで粗動ステージ16(マスクステージMST)がY軸方向に移動する。固定子21のそれぞれは非接触ベアリングである複数のエアベアリング19によりマスク定盤3に対して浮上支持されている。このため、運動量保存の法則により粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて固定子21が−Y方向に移動する。この固定子21の移動により粗動ステージ16の移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。なお、固定子21は、マスク定盤3に変えてリアクションフレーム5に設けられてもよい。固定子21をリアクションフレーム5に設ける場合にはエアベアリング19を省略し、固定子21をリアクションフレーム5に固定して粗動ステージ16の移動により固定子21に作用する反力をリアクションフレーム5を介して床に逃がしてもよい。
【0021】
Yガイド部24のそれぞれは、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内するものであって、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面においてY軸方向に延びるように固定されている。また、粗動ステージ16とYガイド部24、24との間には非接触ベアリングである不図示のエアベアリングが設けられており、粗動ステージ16はYガイド部24に対して非接触で支持されている。
【0022】
微動ステージ18は不図示のバキュームチャックを介してマスクMを吸着保持する。微動ステージ18の+Y方向の端部にはコーナーキューブからなる一対のY移動鏡25a、25bが固定され、微動ステージ18の−X方向の端部にはY軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡26が固定されている。そして、これら移動鏡25a、25b、26に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMSTのX軸、Y軸、及びθZ方向の位置が高精度で検出される。制御装置CONTはこれらレーザ干渉計の検出結果に基づいて、Yリニアモータ20、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Yを含む各モータを駆動し、微動ステージ18に支持されているマスクM(マスクステージMST)の位置制御を行う。
【0023】
図1に戻って、開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ部10が設けられている。そして、投影光学系PLはリアクションフレーム5の段部5bに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤12にフランジ部10を係合している。
【0024】
ステージ装置2は、基板ステージ(可動部)PSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤4と、基板ステージPSTをX軸方向に案内しつつ移動自在に支持するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35に設けられ、基板ステージPSTをX軸方向に移動可能なXリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)40と、Xガイドステージ35をY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)30、30とを有している。基板ステージPSTは感光基板Pを真空吸着保持する基板ホルダPHを有しており、感光基板Pは基板ホルダPHを介して基板ステージPSTに支持される。また、基板ステージPSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング37が設けられており、これらエアベアリング37により基板ステージPSTは基板定盤4に対して非接触で支持されている。また、基板定盤4はベースプレート6の上方に防振ユニット13を介してほぼ水平に支持されている。
【0025】
Xガイドステージ35の+X側には、Xトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。また、Xトリムモータ34の固定子34bはリアクションフレーム5に設けられている。このため、基板ステージPSTをX軸方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34及びリアクションフレーム5を介してベースプレート6に伝達される。
【0026】
図3は基板ステージPSTを有するステージ装置2の概略斜視図である。
図3に示すように、ステージ装置2は、X軸方向に沿った長尺形状を有するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35で案内しつつ基板ステージPSTをX軸方向に所定ストロークで移動可能なXリニアモータ40と、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられ、このXガイドステージ35を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ30、30とを備えている。
【0027】
Xリニアモータ40は、Xガイドステージ35にX軸方向に延びるように設けられたコイルユニットからなる固定子41と、この固定子41に対応して設けられ、基板ステージPSTに固定された磁石ユニットからなる可動子42とを備えている。これら固定子41及び可動子42によりムービングマグネット型のリニアモータ40が構成されており、可動子42が固定子41との間の電磁気的相互作用により駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTはXガイドステージ35に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ35に非接触支持された状態でXリニアモータ40によりX軸方向に移動する。
【0028】
Yリニアモータ30のそれぞれは、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられた磁石ユニットからなる可動子32と、この可動子32に対応して設けられコイルユニットからなる固定子31とを備えている。ここで、固定子31、31はベースプレート6に突設された支持部36、36(図1参照)に設けられている。なお、図1では固定子31及び可動子32は簡略化して図示されている。これら固定子31及び可動子32によりムービングマグネット型のリニアモータ30が構成されており、可動子32が固定子31との間の電磁気的相互作用により駆動することでXガイドステージ35がY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ30、30のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ35はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ30、30により基板ステージPSTがXガイドステージ35とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
【0029】
図1に戻って、基板ステージPSTの−X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡51が設けられ、X移動鏡51に対向する位置にはレーザ干渉計50が設けられている。レーザ干渉計50はX移動鏡51の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡52とのそれぞれに向けてレーザ光(検出光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてX移動鏡51と参照鏡52との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡53(図1には不図示、図3参照)が設けられ、Y移動鏡53に対向する位置にはYレーザ干渉計(不図示)が設けられており、Yレーザ干渉計はY移動鏡53の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡(不図示)とのそれぞれに向けてレーザ光を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてY移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計の検出結果に基づいてリニアモータ30、40を介して基板ステージPSTの位置制御を行う。
【0030】
次に、図4及び図5を参照しながら本発明のリニアモータ30(20、40)の第1実施形態について説明する。以下の説明では基板ステージPSTに設けられたYリニアモータ30について説明するが、Xリニアモータ40及びマスクステージMSTに設けられたリニアモータ20もほぼ同等の構成を有する。なお、構成上、固定子31と可動子32とからなる部分をリニアモータ30と称し、リニアモータ30の外部にあるリニアモータ制御部RC(図5参照)をも含めた場合をリニアモータ装置LMと称する。
【0031】
図4はリニアモータ30の断面図であり、図5はリニアモータ30及びこのリニアモータ30の動作を制御するリニアモータ制御部RCを示す回路図である。図4及び図5に示すように、リニアモータ30は、複数のコイル111、112を有するコイルユニットからなる固定子31と、複数の磁石63、64を有する磁石ユニットからなる可動子32とを備えている。
【0032】
可動子32は、基体部61a、61bと、基体部61a、61bに対してビス64により固定された一対のヨーク部62と、ヨーク部62のそれぞれの内面に設けられた磁束発生手段としての永久磁石からなる磁石63、64とを備えている。磁石63は可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第1列の磁石63、63…を構成し、磁石64も可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第2列の磁石64、64…を構成している。なお、ここでは磁石ユニットにおける磁束発生手段として永久磁石63、64を用いているが、電磁石等他の構成を用いても良い。
【0033】
固定子31は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部71と、ハウジング部71の内部空間に配置された複数のコイル111、112とを備えている。コイル111は可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第1列のコイル111、111…を構成し、コイル112も可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第2列のコイル112、112…を構成している。そして、可動子32の中空部分に固定子31が挿入されている。ここで、第1列の磁石63(磁石ユニット)と、第2列の磁石64(磁石ユニット)とはハウジング部71を挟んで対向配置されている。リニアモータ30のコイル111、112には、リニアモータ制御部RCの電流供給装置VS(図5参照)よりアンプ部221、222、223を介して所定の電流値を有する電流が供給される。
【0034】
ハウジング部71には、内部空間に冷媒を入れるための入口部81(図4では不図示、図3参照)と、内部空間の冷媒を外部に出すための出口部82とが設けられている。なお、使用される冷媒としては液体又は気体あって特に不活性なものが好ましく、ハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)や、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)などが挙げられる。一方、コイル111、112の導線自体が冷媒に直接触れないようにコイル表面には表面処理が施されている。
【0035】
図4に示すように、ハウジング部71の内部空間においてコイル111、112の上部には電流供給装置VSからの電流をこれらコイルに供給するかどうかを制御する複数のスイッチ部(電流制御部)S(S1〜S10)が設けられている。スイッチ部Sとコイル111、112との間には回路基板(支持部)92が設けられており、スイッチ部Sは回路基板92を介してコイル111、112に支持されている。すなわち、回路基板92がスイッチ部Sを支持する支持部となっている。スイッチ部S1〜S10のそれぞれは無接点リレーやトライアック、あるいはMOS−FET等の半導体スイッチング素子により構成されており、図5に示すように、複数のコイル111、112のそれぞれに対して1つずつ設けられている。ここで、スイッチ部Sは回路基板92を介してコイル111、112の上部に設けられていることにより、対向する磁石63、64の間以外の部分に配置された構成となっている。
【0036】
スイッチ部S1〜S10のそれぞれは回路基板92の所定位置において結線され、接着剤などにより固定されている。また、回路基板92とコイル111、112とも結線され、接着剤93により固定されている。回路基板92はガラス繊維入りエポキシ樹脂やセラミックにより構成され、表面には回路パターンが形成され、結線用のランドを除いて絶縁膜で覆われている。結線用のランドも結線後にエポキシ樹脂等の合成樹脂により被覆され保護される。スイッチ部S1〜S10は合成樹脂やセラミックなどからなる密閉部材91により密閉されており、ハウジング部71の内部空間に供給される冷媒に晒されないようになっている。このため、冷媒として冷却効率の高い水を用いることもできる。更に、スイッチ部S1〜S10と回路基板92との結線部、及び回路基板92とコイル111、112との結線部にも合成樹脂が塗布、固着されており、この合成樹脂によって結線部が保護されている。また、スイッチ部Sとコイル111、112とは合成樹脂により一体モールド化されている。以下、このモールド体を適宜「コイルユニットCU」と称する。コイルユニットCU(スイッチ部S及びコイル111、112)は固定部材73を介してハウジング部71に固定されている。
【0037】
ハウジング部71の形成材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ガラス繊維充填エポキシ樹脂、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化熱硬化性プラスチック(CFRP)等の合成樹脂、またはセラミックス材料等の非導電性且つ非磁性材料、あるいはステンレス鋼やアルミニウム等の金属が挙げられる。また、これらの材料からなるシート状部材を形成し、このシート状部材を複数積層した積層体によりハウジング部71を形成するようにしてもよい。合成樹脂により積層体を形成する場合には、例えば共押出加工法を用いることができる。ここで、ハウジング部71のうち、少なくとも可動子32の磁石63、64と対向する部分は合成樹脂あるいはセラミックス材料などの非導電性且つ非磁性材料によって構成することが好ましい。こうすることにより、ハウジング部71が磁石63、64の磁束中を移動しても渦電流の発生を抑えることができ、リニアモータ駆動時の粘性抵抗を低く抑えることができる。
【0038】
前記入口部81や出口部82にはシール部材(不図示)が設けられており、ハウジング部71の内部空間を流れる冷媒が外部に漏出するのを防いでいる。そして、ハウジング部71とコイルユニットCUとの間には冷媒を通すための隙間が確保されており、リニアモータ30の外部に設置された冷媒供給装置(不図示)によって入口部81より供給された冷媒は前記隙間を通って出口部82より出て行く際に、コイル111、112やスイッチ部Sの熱を回収していく。
【0039】
図5に示すように、リニアモータ30の固定子31に設けられる第1列のコイル111、111…、第2列のコイル112、112…は、これに流れる電流の波形(V相、U相、W相)に応じてそれぞれ、V相のコイル群111(V)…、112(V)…、U相のコイル群111(U)…、112(U)…、W相のコイル群111(W)…、112(W)…に分けられる。そして、各コイル群毎に、所定の位相差の電流Iv、Iu、Iwがリニアモータ制御部RC(電流供給装置VS)より供給され、前記可動子32が固定子31に対して移動する。このとき、スイッチ部S1〜S10が各コイル111、112毎に電流を供給するかどうかのオン(通電)/オフ(遮断)を行う。
【0040】
図5に示すように、リニアモータ制御部RCは、電流Iv、Iu、Iwを生成する電流供給装置VSと、電流供給装置VSの3つの端子に現れた電圧値に応じてこれを増幅し、所望の電流Iv、Iu、Iwを発生させる3つのアンプ部221,222,223と、V相、U相、W相の各スイッチ部S1〜S10のオン/オフ(切換)を行うスイッチ切換制御部(スイッチ制御部)230とを備えている。そして、スイッチ切換制御部230には、リニアモータ30の可動子31の目標位置を入力するための入力部240と、可動子31の現在位置を検出する位置センサ(干渉計による位置検出手段)241が接続されている。また、リニアモータ制御部RCのアンプ部(V相)221、アンプ部(U相)222、アンプ部(W相)223と、V相のコイル群111(V)…、112(V)…、U相のコイル群111(U)…、112(U)…、W相のコイル群111(W)…、112(W)…との間には、V相のスイッチ部S1〜S10、U相のスイッチ部S1〜S10、W相のスイッチ部S1〜S10がそれぞれ配置されている。本実施形態では、リニアモータ30のスイッチ部S1〜S10のオン/オフ制御は各スイッチ部S1〜S10毎に個別に行われる。そして、リニアモータ制御部RCは電流供給装置VSから供給する電流Iv、Iu、Iwを、V相のスイッチ部S1〜S10、U相のスイッチ部S1〜S10、W相のスイッチ部S1〜S10のそれぞれでスイッチ切換制御部(スイッチ制御部)230によりオン/オフ制御し、実際に推進力Fを発生するコイルのみを通電することで消費電力を抑え余分な発熱が生じないようにしている。
【0041】
なお、U相、V相、W相の各コイル群で通電されるコイルの数は同じ数となっている。これはU相、V相、W相で、通電されるコイルの総ての抵抗値を各相で一致させるためである。この通電すべきコイルは、後述する第1の方法、第2の方法の何れかで決定される。また、図5に示すダミー抵抗(Dummy)は、ハウジング部71内に、U相、V相、W相のコイルの数を同数にするだけのスペースがない場合に備えたものである。これにより、全スイッチ部をオンしたときであっても、各相の抵抗値を合わせることができる。
【0042】
次に、図6〜図8を参照しながら、固定子31のハウジング部71内部に配置された第1列のコイル111…、第2列のコイル112…の形状、及び配列について説明する。
本実施形態に係る固定子31は、所謂「ドッグボーン型」固定子であり、この固定子31を構成する第1列のコイル111及び第2列のコイル112は、図6に示すように、角形に巻かれたロ字型のコイルである。固定子31での、実際のV相のコイル群111(V)、112(V)、U相のコイル群111(U)、112(U)、W相のコイル群111(W)、112(W)の配置は図中、左からW相、V相、U相となっている。固定子31の、図6中、手前側に配置される第1列のコイル111において、その縦方向に延びる部分(以下「極部分」という。)111i,111jが奥側に折り曲げられている。この極部分111i,111jが磁石ユニットMUの磁極と作用しあって推進力Fを発生する。一方、図6中、奥側に配置される第2列のコイル112において、極部分112i,112jが手前側に折り曲げられている。そして、図6の矢印で示すように、第1列のコイル111、及び第2列のコイル112のそれぞれの中空部分に、対向する第2列のコイル112の極部分112i,112j、及び第1列のコイル111の極部分111i,111jが嵌め合わされる。このため、図7に示すように、第1列のコイル111、及び第2列のコイル112において、その極部分111i、111j、及び112i、112jが固定子31の中央部分で一直線上に整列される。そして、直線状に並んだコイル111、112の上部に回路基板(支持部)92を介して複数のスイッチ部S(S1〜S10)が設けられる。このとき、スイッチ部Sと回路基板92との結線、及び回路基板92とコイル111、112との結線が行われる。そして、図8に示すように、極部分111i、111j、及び112i、112jを一直線上に配置した第1列のコイル111、及び第2列のコイル112の両側より、可動子32の磁石ユニットMU(磁石63、64)がこれらコイル111、112を挟むように配置される。
【0043】
なお、図7に示す状態のコイルユニットCUは、通電による検査工程を経てハウジング部71内部に収容され、固定部材73により固定される。この際、スイッチ部Sと、リニアモータ制御部RC(電流供給装置VS)に接続するためのハウジング部71に設けられたコネクタ部(不図示)とが結線される。
【0044】
次に、図9〜図11を参照しながら本実施形態に係るリニアモータ30の動作について説明する。
図9では、説明を簡単にするために合計8つの磁石63、64により磁石ユニットMUが構成されている。この磁石ユニットMUでは、磁石63、64により4つの磁極が形成されている。磁石ユニットMUによる図9中の波線部における磁束密度の分布が図9中に示されており、そのピーク数が磁極の数である。また、図9の第1列のコイル111、及び第2列のコイル112において、電流Iuが流れるコイルに符号“U”が、電流Ivが流れるコイルに符号“V”が、電流Iwが流れるコイルに符号“W”が付されている。また、図9には電流Iuの流れる方向の一例が示されている。以下、推進力の発生方向について説明する際は、図9の方向に電流が流れることを前提に行うものとする。
【0045】
ここで、リニアモータ30の可動子32のコイル111、112に流れる「U相」の電流Iu、「V相」の電流Iv、「W相」の電流Iwについて説明する。可動子32が図9に示す位置にあるときには、図中、符号を付した極部分111i,111j、112i,112jに、図10のt0時点に示すImaxの電流が流れる。このとき、図9の右方向への推進力Fが得られる。U相のコイル群111(U)、112(U)、V相のコイル群111(V)、112(V)、W相のコイル群111(W)、112(W)に流れる電流Iu、Iv、Iwが図10に示すように変化することで、可動子32が固定子31に対して、図9中、右方向に移動する。なお、電流Iu、Iv、Iwは、その波形が互いに2π/3の位相差となっている。そして、コイル111、112への電流の流れを遮断すれば可動子32は停止する。また、コイル111、112に流す電流Iu、Iv、Iwの位相を図10に示す波形に対して180度ずらせば可動子32は左方向に移動する。本実施形態のリニアモータ30では、固定子31側のコイル111、112の全てを通電するのではなく、磁石ユニットMUの磁極の数に応じた数のコイル111、112のみを通電することで消費電力を抑えそのモータ定数を高めている。磁石ユニットMUと対向しているコイル111、112の少なくとも1つに通電を行うことでその可動子32を駆動させるための推力を得ることができる。本実施形態では、十分な推力を得るために磁石ユニットMUと対向するコイル111、112の数に応じた数のコイルを通電している。
【0046】
ところで、磁石ユニットMUと対向するコイル111、112の数は可動子120の位置に応じて変化する。図11(a)〜(f)は、磁石ユニットMUの位置に応じてこれに対向するコイル111、112の数が変化する様子を示す図である。図11中、実線で示すコイル111、112が磁石ユニットMUと対向するコイルである。図11に示すように、U相、V相、W相の各コイルのうち、磁石ユニットMU(磁極の数が4)と対向するU相のコイル111(U)、112(U)の数は、図中斜線で示すように、「3」→「3」→「2」→「2」→「2」→「3」…と変化する。すなわち、磁極の数が「4」の磁石ユニットMUに関しては、これと対向するU相のコイル111(U)、112(U)の数は2個と3個との間で変化する。これは、V相、W相のコイルについても同じである。図12(a)には、U相の2個のコイル、V相の3個のコイル、W相の3個のコイル(一点鎖線で囲う計8個)と磁石ユニットMUとが対向している状態が示されている。
【0047】
リニアモータ30のモータ定数の最適値を考えるならば、磁石ユニットMUに対向するこれら8個のコイル111、112のみを励磁すればよい。ここで、リニアモータ30では、U相、V相、W相の各コイル群での抵抗の合計が同じ値にならなければならない。しかしながら、上記のように通電するコイルをU相では2個、V相では3個、W相では3個とすると不釣り合いになり制御上問題となる。したがって、U相、V相、W相の3つの相のコイル群で通電される個数をそろえる必要がある。そこで、本実施形態では以下に示す2つの方法でU相、V相、W相の各コイル群における通電対象のコイル111、112の個数、及び実際に通電するコイルを決定する。
【0048】
(1)第1の方法
第1の方法は、U相、V相、W相の各コイル群において、磁石ユニットMU(磁極の数が4)と対向するコイル111、112の数が変化したときその最小の値が「2」であり、また、磁石ユニットMUが左右に移動することに基づき、対向する2個のコイルとこのコイルの左右1個のコイル(対向していない2個のコイル)とを通電する。この場合、通電するコイルの数はU相、V相、W相のいずれでも各コイル群当たり合計「4個」となる。
【0049】
図12(b)〜(d)は、上記した磁石ユニットMUが2個のU相のコイル、3個のV相のコイル、3個のW相のコイルと対向している状態で通電されるコイル111、112をU相、V相、W相毎にそれぞれ示したものである。この例では、磁石ユニットMUと対向するU相のコイルは2個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す2個)。したがって、通電すべき残りの2個については、図12(b)に示すように、隣接する両側の2つのコイルである(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。このとき、磁石ユニットMUと対向するV相、W相のコイルは、図12(c)、(d)にそれぞれ示すように、共に3個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す3個)。通電すべき残りの1個については磁石ユニットMUの側端からより近い方のコイルである(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。なお、磁石ユニットMUが固定子31の端部X0に寄っているときには、通電すべき残りのコイルは端部X0とは逆側の隣接するコイルである。磁石ユニットMUと対向するコイルが2個のコイル群(図12(e)のU相)については、通電される残りの2個のコイルは共に端部X0の逆側となる。
【0050】
(2)第2の方法
第2の方法は、磁石ユニットMU(磁極の数が4)の移動に伴って、これと対向するコイル111、112の数が変化したとき、U相、V相、W相のそれぞれでその最小の値が「2」であるため、可動子32の駆動に必要最小限の電流を流すように、この2個のコイルの左右のいずれかで隣接する1個のコイルのみを通電する。この場合には、通電するコイルの数は、U相、V相、W相の何れでも各コイル群当たり「3個」となる。図13(a)は、図12(a)同様、磁石ユニットMUが2個のU相のコイル、3個のV相のコイル、3個のW相のコイル(一点鎖線で囲う計8個)と対向しているときに通電されるコイル111、112をU相、V相、W相毎にそれぞれ示したものである。この例では、磁石ユニットMUと対向するU相のコイルは2個である。したがって、通電すべき残りの1個については、図13(a)で示すように、隣接する両側の2つのコイルのうち当該磁石ユニットMUにより近い方を選択する(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。このとき、磁石ユニットMUと対向するV相、W相のコイルは、図13(b)、(c)にそれぞれ示すように、共に3個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す3個)。したがって、V相、W相に関しては、これらのコイルのみに通電すればよい。
【0051】
以上説明したように、熱源であるスイッチ部Sを、冷媒が供給されるハウジング部71の内部空間に設けたことにより、このスイッチ部Sからの発熱の周囲への影響を抑えることができる。また、スイッチ部Sをハウジング部71の内部空間に設けたことにより、スイッチ部Sとコイル111、112とは近接して配置可能となるので、リニアモータ外部で引き回される配線を少なくすることができ、省スペース化を実現できる。
【0052】
更に、可動子32の位置に応じてスイッチ切替制御部230により複数のコイルのうち通電するコイルを決定するようにしたので、可動子32の移動に寄与するコイルのみに通電することによりコイルからの発熱を最小限に抑えることができる。
【0053】
また、スイッチ部Sを、可動子31の対向する磁石63、64の間以外の部分に設けたので、磁束によるスイッチ部Sに対する影響を回避でき、スイッチ部Sのスイッチング動作を安定化できる。
【0054】
図14及び図15は、本発明のリニアモータ装置の第2実施形態を示す図である。これらの図に示すように、コイル111、112の上部には回路基板92を介してスイッチ部Sが取り付けられ、コイル111、112の下部には回路基板92を介してアンプ部221(222、223)が取り付けられている。すなわち、本実施形態は、熱源であるアンプ部221も、冷媒が供給されるハウジング部71の内部空間に配置された構成である。この場合、アンプ部221も合成樹脂やセラミックなどからなる密閉部材91により密閉されている。あるいは、アンプ部221を合成樹脂やセラミックにより被覆して保護するようにしてもよい。熱源であるスイッチ部Sに加えてアンプ部221もハウジング部71の内部空間に設けたことにより、リニアモータ周囲への放熱を抑えることができる。
【0055】
なお、上記実施形態において、複数のスイッチ部Sはコイル111、112の上部に設けられているように説明したが、複数のスイッチ部Sのうち一部のスイッチ部をコイル上部に設け、残りのスイッチ部をコイル下部に設けるなど、分割して配置するようにしてもよい。同様に、アンプ部221(222、223)も分割して配置してよい。そして、スイッチ部やアンプ部は互いに対向する磁石63、64の間以外の部分に設けられていることが好ましい。
【0056】
上記実施形態において、スイッチ部Sやアンプ部221(222、223)は、コイルに接続した回路基板92に設置されるように説明したが、ハウジング部71の内部空間に設置されればよく、例えばハウジング部71の内壁に設置することもできる。
【0057】
上記回路基板92やハウジング部71の内部空間の所定位置に冷媒の温度を検出可能な温度検出装置を設けることができる。あるいは、内部空間の冷媒の圧力を検出可能な圧力検出装置を設けることができる。こうすることにより、これら検出装置の検出結果に基づいて内部空間に供給する冷媒の温度や単位時間当たりの供給量を最適に制御することができる。
【0058】
なお、上記各実施形態におけるリニアモータは、コイルユニットを固定子とし、磁石ユニットを可動子とした所謂ムービングマグネット型のリニアモータとして説明したが、コイルユニットを可動子とし、磁石ユニットを固定子としたムービングコイル型のリニアモータにも適用可能である。この場合、可動子であるコイルユニットがステージPST、MSTに接続し、固定子である磁石ユニットがステージPST、MSTの移動面側(ベース)に設けられる。
【0059】
なお、上記実施形態の感光基板Pとしては、半導体デバイス用の半導体ウエハのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0060】
露光装置EXとしては、マスクMと感光基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置にも適用することができる。
【0061】
露光装置EXの種類としては、ウエハに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限られず、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0062】
また、露光用照明光の光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2 レーザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6 )、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、マスクMを用いる構成としてもよいし、マスクMを用いずに直接ウエハ上にパターンを形成する構成としてもよい。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高周波などを用いてもよい。
【0063】
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2 レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクMも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系PLを用いることなく、マスクMと基板Pとを密接させてマスクMのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
【0064】
上記実施形態のように基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力又はリアクタンス力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0065】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0066】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0067】
半導体デバイスは、図16に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、熱源である電流制御部を冷媒が供給されるハウジング部の内部空間に設けたので、リニアモータ装置からの発熱による周囲への影響を抑えることができ、周囲の各装置・部材の熱変形や光干渉式測長計の測定誤差の発生を抑えることができる、高い位置決め精度を有するステージ装置、及び高い露光精度を有する露光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】マスクステージを示す概略斜視図である。
【図3】基板ステージを示す概略構成図である。
【図4】本発明のリニアモータの第1実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のリニアモータの第1実施形態を示す回路図である。
【図6】コイルの形状を説明するための概略斜視図である。
【図7】コイルユニットを示す概略斜視図である。
【図8】コイルユニットと磁石ユニットとの配置関係を示す図である。
【図9】リニアモータの動作原理を説明するための図である。
【図10】コイルに供給される電流波形を示す図である。
【図11】磁石ユニットの移動により磁石ユニットと対向するコイルが変化する様子を説明するための図である。
【図12】リニアモータの動作の第1の方法を説明するための図である。
【図13】リニアモータの動作の第2の方法を説明するための図である。
【図14】本発明のリニアモータの第2実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明のリニアモータの第2実施形態を示す回路図である。
【図16】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
20、30、40 リニアモータ(リニアモータ装置)
31 固定子
32 可動子
63、64 磁石
71 ハウジング部
73 固定部材(支持部)
S(S1〜S10) スイッチ部(電流制御部)
91 密閉部材
92 回路基板(支持部)
111、112 コイル
MU 磁石ユニット
221、222、223 アンプ部(電流制御部)
230 スイッチ切替制御部(スイッチ制御部)
EX 露光装置
LM リニアモータ装置
M マスク
MST マスクステージ(ステージ装置)
P 感光基板(基板)
PST 基板ステージ(ステージ装置)
RC リニアモータ制御部
VS 電流供給装置
【発明の属する技術分野】
本発明はリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や液晶表示素子等のマイクロデバイスはマスク上に形成されたパターンを基板(感光基板)上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持して2次元移動するマスクステージと基板を支持して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。いずれの露光装置においてもマスクと基板との相対位置を高精度に一致させてマスクパターンの転写を行うことが要求されるため、マスクステージ及び基板ステージの位置決め精度は露光装置の最も重要な性能の一つである。
【0003】
従来より、上記基板ステージ及びマスクステージ(以下、両者を総称してステージという)の駆動源としてリニアモータが用いられているが、リニアモータからの発熱はステージ位置決め精度に影響を及ぼす。例えば、リニアモータからの発熱が周囲の部材を熱変形させたり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度を変化させて測定値に誤差を生じさせる。したがって、リニアモータからの発熱が周囲に伝わるのを防ぐために、リニアモータのコイルをハウジング(ジャケット)に収容し、このハウジング内部に冷媒を供給する従来技術がある。このうち、特開2001−119916号公報には、ハウジング内部に冷媒を供給することに加えて、複数のコイルによる発熱を少なくするために可動子の移動に寄与するコイルを選択して通電するリニアモータ装置に関する技術が開示されている。このリニアモータ装置は、複数のコイルに所望の電流を供給する制御部と各コイルとのそれぞれの間に複数のスイッチを設け、可動子の位置に応じて前記複数のスイッチを制御する構成である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下に述べる問題が生じるようになった。
上記リニアモータ装置において、スイッチはリニアモータの外部に設置される構成であるが、応答性を考えるとスイッチとリニアモータとを近接して設置することが好ましい。この場合、スイッチをステージ装置の一部に所定の支持部を介して取り付けるか、スイッチボックス内部に配置してリニアモータ近傍に設置することが考えられる。しかしながら、このような構成では、リニアモータ外部における配線が多くなり、リニアモータの周辺に配線スペースを確保しなければならず、省スペース化できないという問題点があった。
【0005】
また、スイッチにはMOS−FET等の半導体スイッチング素子が用いられるが、スイッチング素子自体も発熱する。しかしながら、従来においてスイッチからの発熱の周囲への影響は考慮されておらず、スイッチからの発熱により周囲の部材が熱変形したり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度が変化して測定誤差が生じるといった不都合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、周囲への熱的影響が少ないリニアモータ装置を提供することを目的とする。また、このリニアモータ装置を備えることにより高い位置決め精度を有し、省スペース化できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図16に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のリニアモータ装置(20、30、40、LM)は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部(71)と、内部空間に配置されるコイル(111、112)とを有するリニアモータ装置において、コイル(111、112)に電流を供給する電流供給装置(VS)と、電流供給装置(VS)とコイル(111、112)との間に設けられ、コイル(111、112)に供給する電流を制御する電流制御部(S、221、222、223)とを備え、電流制御部(S、221、222、223)を内部空間に設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、熱源である電流制御部を冷媒が供給されるハウジング部の内部空間に設けたことにより、この電流制御部からの発熱の周囲への影響を抑えることができる。また、電流制御部をハウジング部の内部空間に設けることにより、電流制御部とコイルとは近接して設置されることになり、リニアモータ装置外部において引き回される配線を少なくすることができる。したがって、省スペース化が実現される。
ここで、電流制御部は、コイルに電流を供給するかどうかを制御するスイッチ部(S)あるいはコイルに供給する電流を増幅するアンプ部(221)を含む。
【0009】
また、電流制御部(S、221、222、223)は支持部(92)を介してコイル(111、112)に支持されている。これによれば電流制御部をコイルと一体化できるので、電流制御部をコイルに近接して配置することができると共にリニアモータ装置の製造も容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明のリニアモータ装置は、電流制御部(S、221、222、223)を密閉する密閉部材(91)を有するものとすることができる。これによれば、電流制御部が冷媒に直接晒されることがなくなる。
【0011】
また、本発明のリニアモータ装置は、ハウジング部(71)を挟んで対向配置された磁石(63、64)を有する磁石ユニット(MU)を備え、電流制御部(S、221、222、223)は対向する磁石の間以外の部分に配置されている。これによれば、金属部材を含む電流制御部が磁石の発生する磁束中を移動することがないため、渦電流による粘性力の発生等、リニアモータの駆動に影響を及ぼす力の発生を抑えることができる。
【0012】
また、本発明のリニアモータ装置は、コイル(111、112)を複数有するコイルユニット(CU)が設けられた固定子(31)と、複数の磁石(63、64)を有する磁石ユニット(MU)が配置された可動子(32)とを備え、スイッチ部(S)は複数設けられており、可動子の位置に応じて前記複数のスイッチ部を制御するスイッチ制御部(230)を有する。これによれば、推進力Fの発生に寄与するコイルにのみ選択的に電流を供給することができ、消費電力を抑えて不要な熱が生じないようにすることができる。
【0013】
本発明のステージ装置(1、2、MST、PST)は、駆動装置を備えたステージ装置において、駆動装置に、上記記載のリニアモータ装置(20、30、40、LM)が用いられていることを特徴とする。
また、本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)を支持するマスクステージ(1、MST)と、基板(P)を支持する基板ステージ(2、PST)とを備えた露光装置において、マスクステージ(1、MST)及び基板ステージ(2、PST)のうち少なくともいずれか一方に、上記記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、リニアモータ装置からの発熱による周囲への影響を抑えることができるので、周囲の各部材・装置の熱変形や光干渉式測長計の測定誤差の発生が抑えられ、高い位置決め精度を有するステージ装置、及び高い露光精度を有する露光装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板Pとを同期移動しつつマスクMに設けられているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸まわり、Y軸まわり、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。また、ここでいう「感光基板」は半導体ウエハ上にレジストが塗布されたものを含み、「マスク」は感光基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
【0016】
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置1と、光源を有し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光で照明する照明光学系ILと、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを支持する基板定盤4を有するステージ装置2と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置1及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム5と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム5は床面に水平に載置されたベースプレート6上に設置されており、このリアクションフレーム5の上部側及び下部側には内側に向けて突出する段部5a及び5bがそれぞれ形成されている。
【0017】
照明光学系ILはリアクションフレーム5の上面に固定された支持コラム7により支持される。照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2 レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。
【0018】
ステージ装置1のうちマスク定盤3は各コーナーにおいてリアクションフレーム5の段部5aに防振ユニット8を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にマスクMのパターン像が通過する開口3aを備えている。マスクステージMSTはマスク定盤3上に設けられており、その中央部にマスク定盤3の開口3aと連通しマスクMのパターン像が通過する開口Kを備えている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング9が設けられており、マスクステージMSTはエアベアリング9によりマスク定盤3に対して所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0019】
図2はマスクステージMSTを有するステージ装置1の概略斜視図である。
図2に示すように、ステージ装置1(マスクステージMST)は、マスク定盤3上に設けられたマスク粗動ステージ16と、マスク粗動ステージ16上に設けられたマスク微動ステージ18と、マスク定盤3上において粗動ステージ16をY軸方向に所定ストロークで移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)20、20と、マスク定盤3の中央部の上部突出部3bの上面に設けられ、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内する一対のYガイド部24、24と、粗動ステージ16上において微動ステージ18をX軸、Y軸、及びθZ方向に微小移動可能な一対のXボイスコイルモータ17X及び一対のYボイスコイルモータ17Yとを備えている。なお、図1では、粗動ステージ16及び微動ステージ18を簡略化して1つのステージとして図示している。
【0020】
Yリニアモータ20のそれぞれは、マスク定盤3上においてY軸方向に延びるように設けられたコイルユニット(電機子ユニット)からなる一対の固定子21と、この固定子21に対応して設けられ、連結部材23を介して粗動ステージ16に固定された磁石ユニットからなる可動子22とを備えている。そして、これら固定子21及び可動子22によりムービングマグネット型のリニアモータ20が構成されており、可動子22が固定子21との間の電磁気的相互作用により駆動することで粗動ステージ16(マスクステージMST)がY軸方向に移動する。固定子21のそれぞれは非接触ベアリングである複数のエアベアリング19によりマスク定盤3に対して浮上支持されている。このため、運動量保存の法則により粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて固定子21が−Y方向に移動する。この固定子21の移動により粗動ステージ16の移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。なお、固定子21は、マスク定盤3に変えてリアクションフレーム5に設けられてもよい。固定子21をリアクションフレーム5に設ける場合にはエアベアリング19を省略し、固定子21をリアクションフレーム5に固定して粗動ステージ16の移動により固定子21に作用する反力をリアクションフレーム5を介して床に逃がしてもよい。
【0021】
Yガイド部24のそれぞれは、Y軸方向に移動する粗動ステージ16を案内するものであって、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面においてY軸方向に延びるように固定されている。また、粗動ステージ16とYガイド部24、24との間には非接触ベアリングである不図示のエアベアリングが設けられており、粗動ステージ16はYガイド部24に対して非接触で支持されている。
【0022】
微動ステージ18は不図示のバキュームチャックを介してマスクMを吸着保持する。微動ステージ18の+Y方向の端部にはコーナーキューブからなる一対のY移動鏡25a、25bが固定され、微動ステージ18の−X方向の端部にはY軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡26が固定されている。そして、これら移動鏡25a、25b、26に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMSTのX軸、Y軸、及びθZ方向の位置が高精度で検出される。制御装置CONTはこれらレーザ干渉計の検出結果に基づいて、Yリニアモータ20、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Yを含む各モータを駆動し、微動ステージ18に支持されているマスクM(マスクステージMST)の位置制御を行う。
【0023】
図1に戻って、開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ部10が設けられている。そして、投影光学系PLはリアクションフレーム5の段部5bに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤12にフランジ部10を係合している。
【0024】
ステージ装置2は、基板ステージ(可動部)PSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤4と、基板ステージPSTをX軸方向に案内しつつ移動自在に支持するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35に設けられ、基板ステージPSTをX軸方向に移動可能なXリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)40と、Xガイドステージ35をY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ(リニアモータ装置、駆動装置)30、30とを有している。基板ステージPSTは感光基板Pを真空吸着保持する基板ホルダPHを有しており、感光基板Pは基板ホルダPHを介して基板ステージPSTに支持される。また、基板ステージPSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング37が設けられており、これらエアベアリング37により基板ステージPSTは基板定盤4に対して非接触で支持されている。また、基板定盤4はベースプレート6の上方に防振ユニット13を介してほぼ水平に支持されている。
【0025】
Xガイドステージ35の+X側には、Xトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。また、Xトリムモータ34の固定子34bはリアクションフレーム5に設けられている。このため、基板ステージPSTをX軸方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34及びリアクションフレーム5を介してベースプレート6に伝達される。
【0026】
図3は基板ステージPSTを有するステージ装置2の概略斜視図である。
図3に示すように、ステージ装置2は、X軸方向に沿った長尺形状を有するXガイドステージ35と、Xガイドステージ35で案内しつつ基板ステージPSTをX軸方向に所定ストロークで移動可能なXリニアモータ40と、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられ、このXガイドステージ35を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ30、30とを備えている。
【0027】
Xリニアモータ40は、Xガイドステージ35にX軸方向に延びるように設けられたコイルユニットからなる固定子41と、この固定子41に対応して設けられ、基板ステージPSTに固定された磁石ユニットからなる可動子42とを備えている。これら固定子41及び可動子42によりムービングマグネット型のリニアモータ40が構成されており、可動子42が固定子41との間の電磁気的相互作用により駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTはXガイドステージ35に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ35に非接触支持された状態でXリニアモータ40によりX軸方向に移動する。
【0028】
Yリニアモータ30のそれぞれは、Xガイドステージ35の長手方向両端に設けられた磁石ユニットからなる可動子32と、この可動子32に対応して設けられコイルユニットからなる固定子31とを備えている。ここで、固定子31、31はベースプレート6に突設された支持部36、36(図1参照)に設けられている。なお、図1では固定子31及び可動子32は簡略化して図示されている。これら固定子31及び可動子32によりムービングマグネット型のリニアモータ30が構成されており、可動子32が固定子31との間の電磁気的相互作用により駆動することでXガイドステージ35がY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ30、30のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ35はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ30、30により基板ステージPSTがXガイドステージ35とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
【0029】
図1に戻って、基板ステージPSTの−X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡51が設けられ、X移動鏡51に対向する位置にはレーザ干渉計50が設けられている。レーザ干渉計50はX移動鏡51の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡52とのそれぞれに向けてレーザ光(検出光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてX移動鏡51と参照鏡52との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡53(図1には不図示、図3参照)が設けられ、Y移動鏡53に対向する位置にはYレーザ干渉計(不図示)が設けられており、Yレーザ干渉計はY移動鏡53の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に設けられた参照鏡(不図示)とのそれぞれに向けてレーザ光を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいてY移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計の検出結果に基づいてリニアモータ30、40を介して基板ステージPSTの位置制御を行う。
【0030】
次に、図4及び図5を参照しながら本発明のリニアモータ30(20、40)の第1実施形態について説明する。以下の説明では基板ステージPSTに設けられたYリニアモータ30について説明するが、Xリニアモータ40及びマスクステージMSTに設けられたリニアモータ20もほぼ同等の構成を有する。なお、構成上、固定子31と可動子32とからなる部分をリニアモータ30と称し、リニアモータ30の外部にあるリニアモータ制御部RC(図5参照)をも含めた場合をリニアモータ装置LMと称する。
【0031】
図4はリニアモータ30の断面図であり、図5はリニアモータ30及びこのリニアモータ30の動作を制御するリニアモータ制御部RCを示す回路図である。図4及び図5に示すように、リニアモータ30は、複数のコイル111、112を有するコイルユニットからなる固定子31と、複数の磁石63、64を有する磁石ユニットからなる可動子32とを備えている。
【0032】
可動子32は、基体部61a、61bと、基体部61a、61bに対してビス64により固定された一対のヨーク部62と、ヨーク部62のそれぞれの内面に設けられた磁束発生手段としての永久磁石からなる磁石63、64とを備えている。磁石63は可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第1列の磁石63、63…を構成し、磁石64も可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第2列の磁石64、64…を構成している。なお、ここでは磁石ユニットにおける磁束発生手段として永久磁石63、64を用いているが、電磁石等他の構成を用いても良い。
【0033】
固定子31は、冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部71と、ハウジング部71の内部空間に配置された複数のコイル111、112とを備えている。コイル111は可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第1列のコイル111、111…を構成し、コイル112も可動子32の移動方向に沿って複数配置されて第2列のコイル112、112…を構成している。そして、可動子32の中空部分に固定子31が挿入されている。ここで、第1列の磁石63(磁石ユニット)と、第2列の磁石64(磁石ユニット)とはハウジング部71を挟んで対向配置されている。リニアモータ30のコイル111、112には、リニアモータ制御部RCの電流供給装置VS(図5参照)よりアンプ部221、222、223を介して所定の電流値を有する電流が供給される。
【0034】
ハウジング部71には、内部空間に冷媒を入れるための入口部81(図4では不図示、図3参照)と、内部空間の冷媒を外部に出すための出口部82とが設けられている。なお、使用される冷媒としては液体又は気体あって特に不活性なものが好ましく、ハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)や、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)などが挙げられる。一方、コイル111、112の導線自体が冷媒に直接触れないようにコイル表面には表面処理が施されている。
【0035】
図4に示すように、ハウジング部71の内部空間においてコイル111、112の上部には電流供給装置VSからの電流をこれらコイルに供給するかどうかを制御する複数のスイッチ部(電流制御部)S(S1〜S10)が設けられている。スイッチ部Sとコイル111、112との間には回路基板(支持部)92が設けられており、スイッチ部Sは回路基板92を介してコイル111、112に支持されている。すなわち、回路基板92がスイッチ部Sを支持する支持部となっている。スイッチ部S1〜S10のそれぞれは無接点リレーやトライアック、あるいはMOS−FET等の半導体スイッチング素子により構成されており、図5に示すように、複数のコイル111、112のそれぞれに対して1つずつ設けられている。ここで、スイッチ部Sは回路基板92を介してコイル111、112の上部に設けられていることにより、対向する磁石63、64の間以外の部分に配置された構成となっている。
【0036】
スイッチ部S1〜S10のそれぞれは回路基板92の所定位置において結線され、接着剤などにより固定されている。また、回路基板92とコイル111、112とも結線され、接着剤93により固定されている。回路基板92はガラス繊維入りエポキシ樹脂やセラミックにより構成され、表面には回路パターンが形成され、結線用のランドを除いて絶縁膜で覆われている。結線用のランドも結線後にエポキシ樹脂等の合成樹脂により被覆され保護される。スイッチ部S1〜S10は合成樹脂やセラミックなどからなる密閉部材91により密閉されており、ハウジング部71の内部空間に供給される冷媒に晒されないようになっている。このため、冷媒として冷却効率の高い水を用いることもできる。更に、スイッチ部S1〜S10と回路基板92との結線部、及び回路基板92とコイル111、112との結線部にも合成樹脂が塗布、固着されており、この合成樹脂によって結線部が保護されている。また、スイッチ部Sとコイル111、112とは合成樹脂により一体モールド化されている。以下、このモールド体を適宜「コイルユニットCU」と称する。コイルユニットCU(スイッチ部S及びコイル111、112)は固定部材73を介してハウジング部71に固定されている。
【0037】
ハウジング部71の形成材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ガラス繊維充填エポキシ樹脂、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化熱硬化性プラスチック(CFRP)等の合成樹脂、またはセラミックス材料等の非導電性且つ非磁性材料、あるいはステンレス鋼やアルミニウム等の金属が挙げられる。また、これらの材料からなるシート状部材を形成し、このシート状部材を複数積層した積層体によりハウジング部71を形成するようにしてもよい。合成樹脂により積層体を形成する場合には、例えば共押出加工法を用いることができる。ここで、ハウジング部71のうち、少なくとも可動子32の磁石63、64と対向する部分は合成樹脂あるいはセラミックス材料などの非導電性且つ非磁性材料によって構成することが好ましい。こうすることにより、ハウジング部71が磁石63、64の磁束中を移動しても渦電流の発生を抑えることができ、リニアモータ駆動時の粘性抵抗を低く抑えることができる。
【0038】
前記入口部81や出口部82にはシール部材(不図示)が設けられており、ハウジング部71の内部空間を流れる冷媒が外部に漏出するのを防いでいる。そして、ハウジング部71とコイルユニットCUとの間には冷媒を通すための隙間が確保されており、リニアモータ30の外部に設置された冷媒供給装置(不図示)によって入口部81より供給された冷媒は前記隙間を通って出口部82より出て行く際に、コイル111、112やスイッチ部Sの熱を回収していく。
【0039】
図5に示すように、リニアモータ30の固定子31に設けられる第1列のコイル111、111…、第2列のコイル112、112…は、これに流れる電流の波形(V相、U相、W相)に応じてそれぞれ、V相のコイル群111(V)…、112(V)…、U相のコイル群111(U)…、112(U)…、W相のコイル群111(W)…、112(W)…に分けられる。そして、各コイル群毎に、所定の位相差の電流Iv、Iu、Iwがリニアモータ制御部RC(電流供給装置VS)より供給され、前記可動子32が固定子31に対して移動する。このとき、スイッチ部S1〜S10が各コイル111、112毎に電流を供給するかどうかのオン(通電)/オフ(遮断)を行う。
【0040】
図5に示すように、リニアモータ制御部RCは、電流Iv、Iu、Iwを生成する電流供給装置VSと、電流供給装置VSの3つの端子に現れた電圧値に応じてこれを増幅し、所望の電流Iv、Iu、Iwを発生させる3つのアンプ部221,222,223と、V相、U相、W相の各スイッチ部S1〜S10のオン/オフ(切換)を行うスイッチ切換制御部(スイッチ制御部)230とを備えている。そして、スイッチ切換制御部230には、リニアモータ30の可動子31の目標位置を入力するための入力部240と、可動子31の現在位置を検出する位置センサ(干渉計による位置検出手段)241が接続されている。また、リニアモータ制御部RCのアンプ部(V相)221、アンプ部(U相)222、アンプ部(W相)223と、V相のコイル群111(V)…、112(V)…、U相のコイル群111(U)…、112(U)…、W相のコイル群111(W)…、112(W)…との間には、V相のスイッチ部S1〜S10、U相のスイッチ部S1〜S10、W相のスイッチ部S1〜S10がそれぞれ配置されている。本実施形態では、リニアモータ30のスイッチ部S1〜S10のオン/オフ制御は各スイッチ部S1〜S10毎に個別に行われる。そして、リニアモータ制御部RCは電流供給装置VSから供給する電流Iv、Iu、Iwを、V相のスイッチ部S1〜S10、U相のスイッチ部S1〜S10、W相のスイッチ部S1〜S10のそれぞれでスイッチ切換制御部(スイッチ制御部)230によりオン/オフ制御し、実際に推進力Fを発生するコイルのみを通電することで消費電力を抑え余分な発熱が生じないようにしている。
【0041】
なお、U相、V相、W相の各コイル群で通電されるコイルの数は同じ数となっている。これはU相、V相、W相で、通電されるコイルの総ての抵抗値を各相で一致させるためである。この通電すべきコイルは、後述する第1の方法、第2の方法の何れかで決定される。また、図5に示すダミー抵抗(Dummy)は、ハウジング部71内に、U相、V相、W相のコイルの数を同数にするだけのスペースがない場合に備えたものである。これにより、全スイッチ部をオンしたときであっても、各相の抵抗値を合わせることができる。
【0042】
次に、図6〜図8を参照しながら、固定子31のハウジング部71内部に配置された第1列のコイル111…、第2列のコイル112…の形状、及び配列について説明する。
本実施形態に係る固定子31は、所謂「ドッグボーン型」固定子であり、この固定子31を構成する第1列のコイル111及び第2列のコイル112は、図6に示すように、角形に巻かれたロ字型のコイルである。固定子31での、実際のV相のコイル群111(V)、112(V)、U相のコイル群111(U)、112(U)、W相のコイル群111(W)、112(W)の配置は図中、左からW相、V相、U相となっている。固定子31の、図6中、手前側に配置される第1列のコイル111において、その縦方向に延びる部分(以下「極部分」という。)111i,111jが奥側に折り曲げられている。この極部分111i,111jが磁石ユニットMUの磁極と作用しあって推進力Fを発生する。一方、図6中、奥側に配置される第2列のコイル112において、極部分112i,112jが手前側に折り曲げられている。そして、図6の矢印で示すように、第1列のコイル111、及び第2列のコイル112のそれぞれの中空部分に、対向する第2列のコイル112の極部分112i,112j、及び第1列のコイル111の極部分111i,111jが嵌め合わされる。このため、図7に示すように、第1列のコイル111、及び第2列のコイル112において、その極部分111i、111j、及び112i、112jが固定子31の中央部分で一直線上に整列される。そして、直線状に並んだコイル111、112の上部に回路基板(支持部)92を介して複数のスイッチ部S(S1〜S10)が設けられる。このとき、スイッチ部Sと回路基板92との結線、及び回路基板92とコイル111、112との結線が行われる。そして、図8に示すように、極部分111i、111j、及び112i、112jを一直線上に配置した第1列のコイル111、及び第2列のコイル112の両側より、可動子32の磁石ユニットMU(磁石63、64)がこれらコイル111、112を挟むように配置される。
【0043】
なお、図7に示す状態のコイルユニットCUは、通電による検査工程を経てハウジング部71内部に収容され、固定部材73により固定される。この際、スイッチ部Sと、リニアモータ制御部RC(電流供給装置VS)に接続するためのハウジング部71に設けられたコネクタ部(不図示)とが結線される。
【0044】
次に、図9〜図11を参照しながら本実施形態に係るリニアモータ30の動作について説明する。
図9では、説明を簡単にするために合計8つの磁石63、64により磁石ユニットMUが構成されている。この磁石ユニットMUでは、磁石63、64により4つの磁極が形成されている。磁石ユニットMUによる図9中の波線部における磁束密度の分布が図9中に示されており、そのピーク数が磁極の数である。また、図9の第1列のコイル111、及び第2列のコイル112において、電流Iuが流れるコイルに符号“U”が、電流Ivが流れるコイルに符号“V”が、電流Iwが流れるコイルに符号“W”が付されている。また、図9には電流Iuの流れる方向の一例が示されている。以下、推進力の発生方向について説明する際は、図9の方向に電流が流れることを前提に行うものとする。
【0045】
ここで、リニアモータ30の可動子32のコイル111、112に流れる「U相」の電流Iu、「V相」の電流Iv、「W相」の電流Iwについて説明する。可動子32が図9に示す位置にあるときには、図中、符号を付した極部分111i,111j、112i,112jに、図10のt0時点に示すImaxの電流が流れる。このとき、図9の右方向への推進力Fが得られる。U相のコイル群111(U)、112(U)、V相のコイル群111(V)、112(V)、W相のコイル群111(W)、112(W)に流れる電流Iu、Iv、Iwが図10に示すように変化することで、可動子32が固定子31に対して、図9中、右方向に移動する。なお、電流Iu、Iv、Iwは、その波形が互いに2π/3の位相差となっている。そして、コイル111、112への電流の流れを遮断すれば可動子32は停止する。また、コイル111、112に流す電流Iu、Iv、Iwの位相を図10に示す波形に対して180度ずらせば可動子32は左方向に移動する。本実施形態のリニアモータ30では、固定子31側のコイル111、112の全てを通電するのではなく、磁石ユニットMUの磁極の数に応じた数のコイル111、112のみを通電することで消費電力を抑えそのモータ定数を高めている。磁石ユニットMUと対向しているコイル111、112の少なくとも1つに通電を行うことでその可動子32を駆動させるための推力を得ることができる。本実施形態では、十分な推力を得るために磁石ユニットMUと対向するコイル111、112の数に応じた数のコイルを通電している。
【0046】
ところで、磁石ユニットMUと対向するコイル111、112の数は可動子120の位置に応じて変化する。図11(a)〜(f)は、磁石ユニットMUの位置に応じてこれに対向するコイル111、112の数が変化する様子を示す図である。図11中、実線で示すコイル111、112が磁石ユニットMUと対向するコイルである。図11に示すように、U相、V相、W相の各コイルのうち、磁石ユニットMU(磁極の数が4)と対向するU相のコイル111(U)、112(U)の数は、図中斜線で示すように、「3」→「3」→「2」→「2」→「2」→「3」…と変化する。すなわち、磁極の数が「4」の磁石ユニットMUに関しては、これと対向するU相のコイル111(U)、112(U)の数は2個と3個との間で変化する。これは、V相、W相のコイルについても同じである。図12(a)には、U相の2個のコイル、V相の3個のコイル、W相の3個のコイル(一点鎖線で囲う計8個)と磁石ユニットMUとが対向している状態が示されている。
【0047】
リニアモータ30のモータ定数の最適値を考えるならば、磁石ユニットMUに対向するこれら8個のコイル111、112のみを励磁すればよい。ここで、リニアモータ30では、U相、V相、W相の各コイル群での抵抗の合計が同じ値にならなければならない。しかしながら、上記のように通電するコイルをU相では2個、V相では3個、W相では3個とすると不釣り合いになり制御上問題となる。したがって、U相、V相、W相の3つの相のコイル群で通電される個数をそろえる必要がある。そこで、本実施形態では以下に示す2つの方法でU相、V相、W相の各コイル群における通電対象のコイル111、112の個数、及び実際に通電するコイルを決定する。
【0048】
(1)第1の方法
第1の方法は、U相、V相、W相の各コイル群において、磁石ユニットMU(磁極の数が4)と対向するコイル111、112の数が変化したときその最小の値が「2」であり、また、磁石ユニットMUが左右に移動することに基づき、対向する2個のコイルとこのコイルの左右1個のコイル(対向していない2個のコイル)とを通電する。この場合、通電するコイルの数はU相、V相、W相のいずれでも各コイル群当たり合計「4個」となる。
【0049】
図12(b)〜(d)は、上記した磁石ユニットMUが2個のU相のコイル、3個のV相のコイル、3個のW相のコイルと対向している状態で通電されるコイル111、112をU相、V相、W相毎にそれぞれ示したものである。この例では、磁石ユニットMUと対向するU相のコイルは2個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す2個)。したがって、通電すべき残りの2個については、図12(b)に示すように、隣接する両側の2つのコイルである(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。このとき、磁石ユニットMUと対向するV相、W相のコイルは、図12(c)、(d)にそれぞれ示すように、共に3個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す3個)。通電すべき残りの1個については磁石ユニットMUの側端からより近い方のコイルである(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。なお、磁石ユニットMUが固定子31の端部X0に寄っているときには、通電すべき残りのコイルは端部X0とは逆側の隣接するコイルである。磁石ユニットMUと対向するコイルが2個のコイル群(図12(e)のU相)については、通電される残りの2個のコイルは共に端部X0の逆側となる。
【0050】
(2)第2の方法
第2の方法は、磁石ユニットMU(磁極の数が4)の移動に伴って、これと対向するコイル111、112の数が変化したとき、U相、V相、W相のそれぞれでその最小の値が「2」であるため、可動子32の駆動に必要最小限の電流を流すように、この2個のコイルの左右のいずれかで隣接する1個のコイルのみを通電する。この場合には、通電するコイルの数は、U相、V相、W相の何れでも各コイル群当たり「3個」となる。図13(a)は、図12(a)同様、磁石ユニットMUが2個のU相のコイル、3個のV相のコイル、3個のW相のコイル(一点鎖線で囲う計8個)と対向しているときに通電されるコイル111、112をU相、V相、W相毎にそれぞれ示したものである。この例では、磁石ユニットMUと対向するU相のコイルは2個である。したがって、通電すべき残りの1個については、図13(a)で示すように、隣接する両側の2つのコイルのうち当該磁石ユニットMUにより近い方を選択する(破線で示すコイルのうち斜線を引いたコイル)。このとき、磁石ユニットMUと対向するV相、W相のコイルは、図13(b)、(c)にそれぞれ示すように、共に3個である(一点鎖線で囲む8個のうち斜線で示す3個)。したがって、V相、W相に関しては、これらのコイルのみに通電すればよい。
【0051】
以上説明したように、熱源であるスイッチ部Sを、冷媒が供給されるハウジング部71の内部空間に設けたことにより、このスイッチ部Sからの発熱の周囲への影響を抑えることができる。また、スイッチ部Sをハウジング部71の内部空間に設けたことにより、スイッチ部Sとコイル111、112とは近接して配置可能となるので、リニアモータ外部で引き回される配線を少なくすることができ、省スペース化を実現できる。
【0052】
更に、可動子32の位置に応じてスイッチ切替制御部230により複数のコイルのうち通電するコイルを決定するようにしたので、可動子32の移動に寄与するコイルのみに通電することによりコイルからの発熱を最小限に抑えることができる。
【0053】
また、スイッチ部Sを、可動子31の対向する磁石63、64の間以外の部分に設けたので、磁束によるスイッチ部Sに対する影響を回避でき、スイッチ部Sのスイッチング動作を安定化できる。
【0054】
図14及び図15は、本発明のリニアモータ装置の第2実施形態を示す図である。これらの図に示すように、コイル111、112の上部には回路基板92を介してスイッチ部Sが取り付けられ、コイル111、112の下部には回路基板92を介してアンプ部221(222、223)が取り付けられている。すなわち、本実施形態は、熱源であるアンプ部221も、冷媒が供給されるハウジング部71の内部空間に配置された構成である。この場合、アンプ部221も合成樹脂やセラミックなどからなる密閉部材91により密閉されている。あるいは、アンプ部221を合成樹脂やセラミックにより被覆して保護するようにしてもよい。熱源であるスイッチ部Sに加えてアンプ部221もハウジング部71の内部空間に設けたことにより、リニアモータ周囲への放熱を抑えることができる。
【0055】
なお、上記実施形態において、複数のスイッチ部Sはコイル111、112の上部に設けられているように説明したが、複数のスイッチ部Sのうち一部のスイッチ部をコイル上部に設け、残りのスイッチ部をコイル下部に設けるなど、分割して配置するようにしてもよい。同様に、アンプ部221(222、223)も分割して配置してよい。そして、スイッチ部やアンプ部は互いに対向する磁石63、64の間以外の部分に設けられていることが好ましい。
【0056】
上記実施形態において、スイッチ部Sやアンプ部221(222、223)は、コイルに接続した回路基板92に設置されるように説明したが、ハウジング部71の内部空間に設置されればよく、例えばハウジング部71の内壁に設置することもできる。
【0057】
上記回路基板92やハウジング部71の内部空間の所定位置に冷媒の温度を検出可能な温度検出装置を設けることができる。あるいは、内部空間の冷媒の圧力を検出可能な圧力検出装置を設けることができる。こうすることにより、これら検出装置の検出結果に基づいて内部空間に供給する冷媒の温度や単位時間当たりの供給量を最適に制御することができる。
【0058】
なお、上記各実施形態におけるリニアモータは、コイルユニットを固定子とし、磁石ユニットを可動子とした所謂ムービングマグネット型のリニアモータとして説明したが、コイルユニットを可動子とし、磁石ユニットを固定子としたムービングコイル型のリニアモータにも適用可能である。この場合、可動子であるコイルユニットがステージPST、MSTに接続し、固定子である磁石ユニットがステージPST、MSTの移動面側(ベース)に設けられる。
【0059】
なお、上記実施形態の感光基板Pとしては、半導体デバイス用の半導体ウエハのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0060】
露光装置EXとしては、マスクMと感光基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置にも適用することができる。
【0061】
露光装置EXの種類としては、ウエハに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限られず、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0062】
また、露光用照明光の光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2 レーザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6 )、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、マスクMを用いる構成としてもよいし、マスクMを用いずに直接ウエハ上にパターンを形成する構成としてもよい。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高周波などを用いてもよい。
【0063】
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2 レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクMも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系PLを用いることなく、マスクMと基板Pとを密接させてマスクMのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
【0064】
上記実施形態のように基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力又はリアクタンス力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0065】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0066】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0067】
半導体デバイスは、図16に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、熱源である電流制御部を冷媒が供給されるハウジング部の内部空間に設けたので、リニアモータ装置からの発熱による周囲への影響を抑えることができ、周囲の各装置・部材の熱変形や光干渉式測長計の測定誤差の発生を抑えることができる、高い位置決め精度を有するステージ装置、及び高い露光精度を有する露光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】マスクステージを示す概略斜視図である。
【図3】基板ステージを示す概略構成図である。
【図4】本発明のリニアモータの第1実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のリニアモータの第1実施形態を示す回路図である。
【図6】コイルの形状を説明するための概略斜視図である。
【図7】コイルユニットを示す概略斜視図である。
【図8】コイルユニットと磁石ユニットとの配置関係を示す図である。
【図9】リニアモータの動作原理を説明するための図である。
【図10】コイルに供給される電流波形を示す図である。
【図11】磁石ユニットの移動により磁石ユニットと対向するコイルが変化する様子を説明するための図である。
【図12】リニアモータの動作の第1の方法を説明するための図である。
【図13】リニアモータの動作の第2の方法を説明するための図である。
【図14】本発明のリニアモータの第2実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明のリニアモータの第2実施形態を示す回路図である。
【図16】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
20、30、40 リニアモータ(リニアモータ装置)
31 固定子
32 可動子
63、64 磁石
71 ハウジング部
73 固定部材(支持部)
S(S1〜S10) スイッチ部(電流制御部)
91 密閉部材
92 回路基板(支持部)
111、112 コイル
MU 磁石ユニット
221、222、223 アンプ部(電流制御部)
230 スイッチ切替制御部(スイッチ制御部)
EX 露光装置
LM リニアモータ装置
M マスク
MST マスクステージ(ステージ装置)
P 感光基板(基板)
PST 基板ステージ(ステージ装置)
RC リニアモータ制御部
VS 電流供給装置
Claims (9)
- 冷媒が供給される内部空間を有するハウジング部と、前記内部空間に配置されるコイルとを有するリニアモータ装置において、
前記コイルに電流を供給する電流供給装置と、
前記電流供給装置と前記コイルとの間に設けられ、前記コイルに供給する電流を制御する電流制御部とを備え、
前記電流制御部を前記内部空間に設けたことを特徴とするリニアモータ装置。 - 前記電流制御部は、前記コイルに電流を供給するかどうかを制御するスイッチ部を含むことを特徴とする請求項1記載のリニアモータ装置。
- 前記電流制御部は、前記コイルに供給する電流を増幅するアンプ部を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のリニアモータ装置。
- 前記電流制御部は、支持部を介して前記コイルに支持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のリニアモータ装置。
- 前記電流制御部を密閉する密閉部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のリニアモータ装置。
- 前記ハウジング部を挟んで対向配置された磁石を有する磁石ユニットを備え、
前記電流制御部は、対向する前記磁石の間以外の部分に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のリニアモータ装置。 - 前記コイルを複数有するコイルユニットが設けられた固定子と、複数の磁石を有する磁石ユニットが配置された可動子とを備え、
前記スイッチ部は複数設けられており、
前記可動子の位置に応じて前記複数のスイッチ部を制御するスイッチ制御部を有することを特徴とする請求項2記載のリニアモータ装置。 - 駆動装置を備えたステージ装置において、
前記駆動装置に、請求項1〜請求項7のいずれか一項記載のリニアモータ装置が用いられていることを特徴とするステージ装置。 - マスクを支持するマスクステージと、基板を支持する基板ステージとを備えた露光装置において、
前記マスクステージ及び前記基板ステージのうち少なくともいずれか一方に、請求項8記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002178839A JP2004023960A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002178839A JP2004023960A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004023960A true JP2004023960A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31176439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002178839A Withdrawn JP2004023960A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004023960A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007046200A1 (ja) * | 2005-10-18 | 2007-04-26 | Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki | キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ |
JP2008283763A (ja) * | 2007-05-09 | 2008-11-20 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | リニアモータ |
JP2012143143A (ja) * | 2011-01-04 | 2012-07-26 | Asml Holding Nv | 真空環境用のリニアモータシステムおよびその設計方法 |
JP2013165642A (ja) * | 2013-05-27 | 2013-08-22 | Nikon Corp | リニアモータ、リニアモータの制御方法及びステージ装置並びに露光装置 |
WO2020196346A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 富士フイルム株式会社 | 電磁アクチュエータ |
US20220166301A1 (en) * | 2011-10-27 | 2022-05-26 | The University Of British Columbia | Displacement devices and methods for fabrication, use and control of same |
-
2002
- 2002-06-19 JP JP2002178839A patent/JP2004023960A/ja not_active Withdrawn
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007046200A1 (ja) * | 2005-10-18 | 2007-04-26 | Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki | キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ |
JPWO2007046200A1 (ja) * | 2005-10-18 | 2009-04-23 | 株式会社安川電機 | キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ |
US7635929B2 (en) | 2005-10-18 | 2009-12-22 | Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki | Canned linear motor armature and canned linear motor |
JP4524803B2 (ja) * | 2005-10-18 | 2010-08-18 | 株式会社安川電機 | キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ |
KR101222713B1 (ko) | 2005-10-18 | 2013-01-15 | 가부시키가이샤 야스카와덴키 | 캔드 리니어 모터 전기자 및 캔드 리니어 모터 |
JP2008283763A (ja) * | 2007-05-09 | 2008-11-20 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | リニアモータ |
JP2012143143A (ja) * | 2011-01-04 | 2012-07-26 | Asml Holding Nv | 真空環境用のリニアモータシステムおよびその設計方法 |
US20220166301A1 (en) * | 2011-10-27 | 2022-05-26 | The University Of British Columbia | Displacement devices and methods for fabrication, use and control of same |
US11936270B2 (en) * | 2011-10-27 | 2024-03-19 | The University Of British Columbia | Displacement devices and methods for fabrication, use and control of same |
JP2013165642A (ja) * | 2013-05-27 | 2013-08-22 | Nikon Corp | リニアモータ、リニアモータの制御方法及びステージ装置並びに露光装置 |
WO2020196346A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 富士フイルム株式会社 | 電磁アクチュエータ |
JPWO2020196346A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6590355B1 (en) | Linear motor device, stage device, and exposure apparatus | |
US8053937B2 (en) | Linear motor, stage apparatus and exposure apparatus | |
US20100167556A1 (en) | Three degree of movement mover and method for controlling a three degree of movement mover | |
JP2001218443A (ja) | リニア・モーター及びそのための流体循環システム並びに露光装置 | |
JP4765937B2 (ja) | リニアモータ、ステージ装置、及び露光装置 | |
JP2001037201A (ja) | モータ装置、ステージ装置及び露光装置 | |
JP2001086725A (ja) | リニアモータ、並びにこれを用いたステージ装置及び露光装置 | |
JP2010154596A (ja) | リニアモータ、ステージ装置及び露光装置並びにデバイスの製造方法 | |
JP2004215419A (ja) | リニアモータ、リニアモータの冷却方法及びステージ装置並びに露光装置 | |
JP2007318823A (ja) | リニアモータ、ステージ装置、露光装置及びデバイスの製造方法 | |
JP2006230127A (ja) | リニアモータ及びステージ装置並びに露光装置 | |
JP2004023960A (ja) | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置 | |
JP2004254494A (ja) | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置並びにリニアモータ装置の製造方法 | |
JP4432139B2 (ja) | ステージ装置及び露光装置 | |
JP2004015908A (ja) | リニアモータ、ステージ装置及び露光装置 | |
JP2001145328A (ja) | リニアモータ並びにこれを用いたステージ装置及び露光装置 | |
JP2006340433A (ja) | コイルモジュール、コイルユニット、リニアモータ、ステージ装置及び露光装置 | |
JP2004357426A (ja) | リニアモータ及び露光装置 | |
JP2004159493A (ja) | リニアモータ装置、ステージ装置及び露光装置並びにリニアモータ装置の冷却方法 | |
JP2001119916A (ja) | リニアモータ装置、これを用いたステージ装置、露光装置、リニアモータの駆動方法、ステージ装置の駆動方法、露光方法、及び、デバイスの製造方法。 | |
JP2002272087A (ja) | 電機子ユニット、モータ、ステージ装置、露光装置、および、デバイスの製造方法 | |
JP2002078314A (ja) | 電機子ユニット、電磁アクチュエータ、ステージ装置、露光装置及びこれを用いたデバイスの製造方法 | |
JP2009027006A (ja) | 断熱構造、断熱装置、ヒートシンク、駆動装置、ステージ装置、露光装置及びデバイスの製造方法。 | |
JP2004180361A (ja) | リニアモータ及びリニアモータ製造方法及びステージ装置並びに露光装置 | |
JP2004014983A (ja) | リニアモータ、ステージ装置及び露光装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050906 |