JP2005087003A - 食後無臭ニンニクの製造方法および食後無臭ニンニク - Google Patents
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Abstract
【課題】 ニンニクの優れた効能を保持しつつ、食後に口臭等として不快なニンニク臭が体外に発散されない食後無臭ニンニクの製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の食後無臭ニンニクの製造方法は、加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程(S104)と、ゆでたニンニクを水洗する工程(S106)と、水洗されたニンニクに付着した水分を除去する工程(S108)と、ニンニクを油で揚げる工程(S110)とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ニンニクを食べた後でも第三者に不快なニンニク臭を感じさせない食後無臭ニンニクの製造方法および食後無臭ニンニクに関する。
ニンニクは、強力なスタミナ源として、また、優れた殺菌力や薬効を有する食材として、古くから用いられてきた。このニンニクの効能は、主としてニンニクに含まれる「アリシン」という成分によると考えられている。「アリシン」は、ニンニクに含まれている主要成分である「アリイン」が、タンパク分解酵素の働きによって分解されて生成される物質であることが知られている。しかし、「アリイン」が分解されて「アリシン」になる過程においては、メルカプタン等の硫化物が生成され、この硫化物がニンニク特有のにおいの原因となると解されている。ニンニク特有のにおいは、食後に口臭や体臭として残ることから、口臭や体臭を気にかける女性や接客業務の多い曜日の食事には敬遠されがちであった。
そこで、従来から、ニンニクを食した後に発散される不快臭を消すために、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、ニンニクを牛乳中のミネラルで処理することによりニンニクを無臭化する技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載の無臭ニンニクは、主として破砕したニンニクに関するもので、少なくとも球根ニンニクに関しては開示されている程の顕著な消臭効果を得ることはできなかった。
また、特許文献2には、酵母発酵を利用して製造する食後無臭ニンニクが開示されている。しかし、特許文献2の食品加工工程では、前処理としてニンニク塊を皮むきし、次に酵母発酵を利用してニンニクを数日間熟成させるというものである。そこで、ニンニク塊を皮むき処理したり、酵母発酵熟成処理に時間がかかるという課題があった。
本発明は上述した課題を解決したもので、ニンニクの優れた効能を保持しつつ、食後に口臭等として不快なニンニク臭が体外に発散されない食後無臭ニンニク及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の食後無臭ニンニクの製造方法は、図1に示すように、加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程(S104)と、ゆでたニンニクを水洗する工程(S106)と、水洗されたニンニクに付着した水分を除去する工程(S108)と、ニンニクを油で揚げる工程(S110)とを含むことを特徴とする。
このような工程の食後無臭ニンニクの製造方法において、加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程では、牛乳により生ニンニクの臭気を低減させる処理が行われる。加熱状態とは、例えば牛乳の温度が80℃〜100℃に加熱されている状態をいい、温度管理の容易さと牛乳加熱処理時間を短くする観点からは、牛乳温度を沸騰温度に維持するのがよい。好ましくは、まず牛乳温度を沸騰温度に加熱し、次に生ニンニクを加熱状態の牛乳で強火で5〜10分程度ゆで、続いて弱火で5〜20分程度さらにゆでると、短時間の加熱時間と少ない加熱エネルギーで、ニンニクの牛乳加熱処理が行える。
牛乳加熱処理されたニンニクは、水洗処理がなされ、ニンニクに付着した牛乳成分が除去され、さらに数分程度の水洗処理を行うとニンニクの臭み、苦味、灰汁が除去される。好ましくは、水洗処理で使用する水の使用量を低減する為に、流水でニンニクに付着した牛乳成分を除去した後で、溜め水にニンニクを浸すと良い。溜め水にニンニクを浸す時間を長くとると、ニンニクの臭み、苦味、灰汁が除去され、ニンニクの食味が向上する。
水洗されたニンニクは、水切り処理により、付着した水分が除去されて、次の油揚げ処理が行われる。ニンニクを油で揚げる温度は、例えば180℃〜220℃として時間は1〜3分とするとよい。油揚げ処理は、ニンニク中に水分と分離されて含まれている臭気発生物質を、加熱により凝固させて固有物とすることで、ニンニク中の臭気原因となる物質を不活性状態とする。好ましくは、油としてフルフリール基を含む植物性油脂、例えば大豆油や大豆サラダ油を用いるよい。
好ましくは、生ニンニクをゆでる工程において、牛乳に所定量の香辛料を添加すると、無臭ニンニクの食味が向上する。香辛料としては、パセリ等の香草を用いるのがよく、さらに砂糖も添加するとよい。添加する砂糖にはミネラルや糖蜜を含む粗糖を用いるがよい。
本発明の食後無臭ニンニクは、加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程と、ゆでたニンニクを水洗する工程と、水洗されたニンニクに付着した水分を除去する工程と、ニンニクを油で揚げる工程とを含む製造方法で食品加工されたことを特徴とする。
本発明の食後無臭ニンニクによれば、牛乳加熱処理によりニンニク臭の原因物質が低減され、更に油揚げ処理によりニンニク中の臭気原因となる物質を不活性状態としているので、ニンニクが本来有している優れた効能は保持しつつ、食後に口臭等として不快なニンニク臭が体外に発散されることを防止することができる。また、食後無臭ニンニクは、油揚げ処理により高温殺菌処理が併せて行われるので、食品としての品質安定性が高く、例えば常温でも数週間程度の長期保存が可能である。そこで、食後無臭ニンニクを小容器に密封した形態で保存、販売、使用することにより、長期保存と変質を防止することができる。
以下、図面を用いて本発明の食後無臭ニンニクの製造方法を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を説明するフローチャートである。図において、まず食材を準備する(S100)。例えば、生ニンニク50個程度(約5kg)に対して、牛乳6リットル(6000cc)、生パセリ100gを準備する。また、生パセリの添加量は適宜に選定して良く、例えば200g程度でも良く、さらに生パセリに代えてパセリ粉を用いても良い。香草は生パセリに限定されるものではなく、例えばタイム、セージ、ベイリーフ、サフラン、ウイキョウ、胡椒、丁子、肉桂、ニクズク等各種の香辛料を用いることができる。また、砂糖を適量(例えば100g程度)添加しても良い。添加する砂糖には、精製糖に比較してミネラルや糖蜜を含む粗糖、例えばサトウキビを原料とする玉砂糖を用いるのがよい。
図1は、本発明の一実施形態を説明するフローチャートである。図において、まず食材を準備する(S100)。例えば、生ニンニク50個程度(約5kg)に対して、牛乳6リットル(6000cc)、生パセリ100gを準備する。また、生パセリの添加量は適宜に選定して良く、例えば200g程度でも良く、さらに生パセリに代えてパセリ粉を用いても良い。香草は生パセリに限定されるものではなく、例えばタイム、セージ、ベイリーフ、サフラン、ウイキョウ、胡椒、丁子、肉桂、ニクズク等各種の香辛料を用いることができる。また、砂糖を適量(例えば100g程度)添加しても良い。添加する砂糖には、精製糖に比較してミネラルや糖蜜を含む粗糖、例えばサトウキビを原料とする玉砂糖を用いるのがよい。
次に、牛乳を加熱する(S102)。牛乳の温度は、80℃〜100℃に加熱されていれば良いが、温度管理の容易さと牛乳加熱処理時間を短くする観点からは、牛乳温度を沸騰温度に上昇させるのがよい。牛乳の加熱には、例えば厨房ではガスコンロを用いる関係で、温度管理は火力の強さ、即ち強火、中火、弱火等によって間接的に行われる。
次に、加熱した牛乳で生ニンニクをゆでる(S104)。沸騰温度の牛乳の場合、生ニンニクをゆでる時間は、強火で5〜10分程度、続いて弱火で5〜20分程度さらにゆでる二段階加熱方式とすると、短時間の加熱時間と少ない加熱エネルギーで、ニンニクの牛乳加熱処理が行える。牛乳加熱処理によって、ニンニク中のアリール化合物が牛乳中のミネラル成分で臭気低減処理されるが、その原理は完全に解明されていないが、例えば臭気成分のアリール化合物と牛乳中のミネラル成分と錯化物を形成して、ニンニクの臭気低減化がおこるものと思われる。ここで、牛乳中のミネラル成分としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、鉛、水銀、セレン、カドミウム、ヒ素などが含まれる。なお、牛乳の加熱温度が沸騰温度よりも低い場合は、牛乳温度が10度低下する毎に加熱時間を2〜3倍程度、長くするとよい。また、圧力容器を用いて牛乳の加熱温度を通常の沸騰温度よりも高くする場合は、牛乳温度が1度上昇する毎に加熱時間を5〜7%程度、短くするとよい。
続いて、牛乳加熱処理されたニンニクの水洗処理を行う(S106)。例えば、牛乳加熱処理されたニンニクをザルに移して、流水で2〜10分程度水洗し、続いて溜め水で更に5〜15分程度浸しておく。溜め水の温度が、例えば25℃程度の常温に維持される状態を確保する為に、流水処理ではニンニクを常温近くまで冷却する作用も兼ねている。水洗処理により、ニンニクに付着した牛乳成分が除去され、さらに溜め水で水に浸す時間を長くすることでニンニクの臭み、苦味、灰汁が除去される。
続いて、水洗されたニンニクに付着した水分を除去する(S108)。水きりは、例えば厨房にザルに水洗処理をしたニンニクを放置する場合は、30分程度行うよい。水きりによって、次の油揚げ処理で、水の介在により生起される油跳ねのような好ましくない現象が防止される。
続いて、ニンニクを油で揚げる(S110)。ニンニクを油で揚げる温度は、例えば180℃〜220℃として時間は1〜3分とするとよい。油温度が180℃の場合には、揚げ時間は2分程度なので、油温度が180℃よりも高い場合には揚げ時間を2分よりも短くし、油温度が180℃よりも低い場合には揚げ時間を2分よりも長くするとよい。油揚げ処理は、ニンニク中に水分と分離されて含まれている臭気発生物質を、加熱により凝固させて固有物とすることで、ニンニク中の臭気原因となる物質を不活性状態とする。好ましくは、油としてフルフリール基を含む植物性油脂、例えば大豆油や大豆サラダ油を用いると、フルフリール基が水分の中に含まれている臭いに対して分解作用を起こして、臭気と結び付き水分から分離するので、ニンニクの脱臭処理が同時に行える。なお、ニンニクを油で揚げる前処理として、ニンニクを加熱してもよい。ニンニクの前処理加熱により、油で揚げる時間を短くすると共に、水きりを完全にできる効果がある。このニンニクの前処理加熱は、例えばマイクロウェーブ・オーブン(電子レンジ)を用いて水の沸点温度程度まで加熱しても良く、またガスコンロによりニンニクに焦げ目がつかない程度に加熱しても良い。
油揚げ処理したニンニクは、直ちに食事に供したり、あるいは常温に冷却の後、容器に入れて保存する(S112)。ニンニクは4片〜10片の房より形成されており、各房毎に食事することが可能である。本発明者の実験によると、ニンニクと同時に等量以上の食物を摂取することで、実質的にニンニク臭のない食後無臭状態となる。食後無臭ニンニクは、油揚げ処理したままの高温でもよく、また常温に冷却しても良く、さらに冷凍状態から解凍した状態でも、何れの状態でも食事に供することができる。
食後無臭ニンニクには、ニンニクの効能が完全な状態で維持されるものと考えられている。即ち、本発明者の実験によると、食後無臭ニンニクを食した翌日に排出される便にはニンニク臭が残存しており、ニンニク臭成分はニンニクの房中に含まれていると考えられる。しかし、食後無臭状態になる理由は、食事の際にニンニク臭成分が口腔内部に残存しない状態で食される為、と考えられている。
食後無臭ニンニクには、更に一時に1塊以上、好ましくは2個乃至3個の球根を食すると、整腸作用もある。そこで、便秘気味の人には、数個の球根のニンニクを食するだけで、便通がよくなり、食物繊維を多量に摂取するためにサラダを多量に摂取したり、下剤を服用する必要性もなくなる。
なお、上記実施の形態においては、食後無臭ニンニクの調理過程として厨房におけるバッチ処理を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、食後無臭ニンニクは食品加工工場において連続プロセスで調理することもできる。連続プロセスにおいては、牛乳加熱処理によりニンニク臭の原因物質が低減され、更に油揚げ処理によりニンニク中の臭気原因となる物質を不活性状態とするように、食品加工プロセスの操業条件を定めればよい。また、水切りの後でニンニクの前処理加熱を行うプロセス、例えば電子レンジを用いた加熱処理を付加してもよい。
Claims (4)
- 加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程と;
前記ニンニクを水洗する工程と;
前記水洗されたニンニクに付着した水分を除去する工程と;
前記ニンニクを油で揚げる工程と;
を含むことを特徴とする食後無臭ニンニクの製造方法。 - 加熱状態の牛乳で生ニンニクをゆでる工程と;
前記ニンニクを水洗する工程と;
前記水洗されたニンニクを水に浸す工程と;
前記水浸されたニンニクに付着した水分を除去する工程と;
前記ニンニクを油で揚げる工程と;
を含むことを特徴とする食後無臭ニンニクの製造方法。 - 請求項1乃至請求項2に記載の生ニンニクをゆでる工程において、前記牛乳に所定量の香辛料と砂糖を添加することを特徴とする食後無臭ニンニクの製造方法。
- 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の製造方法で食品加工された食後無臭ニンニク。
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JP2003320559A JP2005087003A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 食後無臭ニンニクの製造方法および食後無臭ニンニク |
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JP2012223188A (ja) * | 2011-04-08 | 2012-11-15 | Kozo Murata | 飲食料品用機能性エキス及び加工食料品の製造方法 |
KR20160007132A (ko) * | 2014-07-11 | 2016-01-20 | 박길남 | 황칠난황환의 제조 방법 및 상기 방법에 의하여 제조된 황칠난황환 |
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2003
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KR20160007132A (ko) * | 2014-07-11 | 2016-01-20 | 박길남 | 황칠난황환의 제조 방법 및 상기 방법에 의하여 제조된 황칠난황환 |
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