JP2005044722A - 非水電解液二次電池用正極活物質および非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】
より一層厳しい使用環境下においても優れた電池特性を有する非水電解液二次電池用正極活物質および非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】
非水電解液二次電池用正極活物質を、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物及び第2のリチウム遷移金属複合酸化物を有するとともに、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであり、該一次粒子の針状度係数は、60〜100%であり、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであり、該一次粒子の針状度係数は、20〜100%であり、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さい構成とする。
【選択図】 なし
より一層厳しい使用環境下においても優れた電池特性を有する非水電解液二次電池用正極活物質および非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】
非水電解液二次電池用正極活物質を、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物及び第2のリチウム遷移金属複合酸化物を有するとともに、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであり、該一次粒子の針状度係数は、60〜100%であり、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであり、該一次粒子の針状度係数は、20〜100%であり、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さい構成とする。
【選択図】 なし
Description
本発明はリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ともいう。)に関する。詳しくは、極板充填性が向上した、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する正極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、従来のニッケルカドミウム二次電池などに比べて作動電圧が高く、かつエネルギー密度が高いという特徴を有し、電子機器の電源として広く利用されている。この非水電解液二次電池の正極活物質としてはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4に代表されるリチウム遷移金属複合酸化物が用いられている。
しかしながら、現在では、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等のモバイル機器は、さまざまな機能が付与される等の高機能化のため、電池の高容量化が望まれている。また、電気自動車用バッテリー等の電源への応用が期待されており、これまでのLiCoO2を用いた非水電解液二次電池では、十分な電池特性が得られず、更なる改良が求められている。
本発明の目的は、より一層厳しい使用環境下においても優れた電池特性を有する非水電解液二次電池用正極活物質を提供することにある。特に非水電解液二次電池の高容量化を図るため、極板充填性が向上した正極活物質を提供することにある。
本発明に記載される非水電解液二次電池用正極活物質は、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物及び第2のリチウム遷移金属複合酸化物を有するとともに、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであり、該一次粒子の針状度係数は、60〜100%であり、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであり、該一次粒子の針状度係数は、20〜100%であり、前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さい。
前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも少ないことが好ましい。
本発明に記載される非水電解液二次電池用正極活物質は、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該二次粒子は、該二次粒子の内部に充填部と、空洞部とを有し、該二次粒子の中位径は3μm以上である。
前記リチウム遷移金属複合酸化物について断面出しを行ったときの、前記空洞部の、前記充填部と前記空洞部の合計に対する面積割合は、0%より大きく20%より小さいことが好ましい。
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子径を大きくする元素を有することが好ましい。
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、フッ素、バナジウムおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。
本発明に記載される非水電解液二次電池は、本発明のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状正極と、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状負極と、帯状セパレータとを具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを前記帯状セパレータを介して積層した状態で複数回巻回させて、前記帯状正極と前記帯状負極との間に前記帯状セパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成してなる。
極板充填性が向上すれば、単位体積当たりの充放電容量が向上し、電池の高容量化を図ることができる。極板充填性はプレス圧を上げることで向上させることができる。しかし、プレス圧を上げれば極板表面部のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子がつぶれるため、正極活物質層が、電解液を吸液する速度が低下する。そのため、電池の高温保存時におけるガス発生量が多くなり、サイクル特性が低下すると考えられる。
少なくとも2種以上のリチウム遷移金属複合酸化物を有し、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物が第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さいことで、極板に対する充填性が向上し極板充填性が向上する。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径を0.1〜5μmとし、その一次粒子の針状度係数を60〜100%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径を0.1〜10μmとし、その一次粒子の針状度係数を20〜100%とするように第1と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子を制御することにより、プレス圧を上げて極板充填性を向上させても、高温保存時のガス発生およびサイクル特性の低下を防止することができる正極活物質を得ることができる。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径を0.1〜5μmとし、その一次粒子の針状度係数を60〜100%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径を0.1〜10μmとし、その一次粒子の針状度係数を20〜100%とするように第1と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子を制御することにより、プレス圧を上げて極板充填性を向上させても、高温保存時のガス発生およびサイクル特性の低下を防止することができる正極活物質を得ることができる。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物が、第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも少ないことで、大粒子間に存在する隙間を小粒子で充填することが可能となる。これにより、プレス圧が低くても極板充填性を向上させることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該二次粒子は、該二次粒子の内部に充填部と、空洞部とを有し、該二次粒子の中位径は3μm以上であることで、負荷特性が向上する。
二次粒子の内部に存在する空洞部に、電解液が入り込むと、リチウムの拡散距離が短くなり、リチウムの拡散が容易になる。これによって負荷特性が向上すると考えられる。
二次粒子の内部に存在する空洞部に、電解液が入り込むと、リチウムの拡散距離が短くなり、リチウムの拡散が容易になる。これによって負荷特性が向上すると考えられる。
リチウム遷移金属複合酸化物について断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は、0%より大きく20%より小さいことで負荷特性の向上を妨げることなく、極板充填性を向上させることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子径を大きくする元素を有することで、低温焼成においても一次粒子の大きさを制御することができるため、負荷特性の向上を妨げることなく、より効果的に極板充填性を向上させることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物が、フッ素、バナジウムおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することにより、低温焼成においても一次粒子の大きさを制御することができるため、負荷特性の向上を妨げることなく、より効果的に極板充填性を向上させることができる。
非水電解液二次電池が、本発明のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状正極と、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状負極と、帯状セパレータとを具備し、帯状正極と帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で複数回巻回させて、帯状正極と帯状負極との間に帯状セパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成することで、製造工程が簡単であるとともに、正極活物質層および負極活物質層の割れや帯状セパレータからの剥離を生じ難く、電池容量を大きく、エネルギー密度を高くすることができる。特に本発明の非水電解液二次電池用正極活物質は、極板充填性が高く充填性に優れ、かつ結合材となじみやすい。そのため高い充放電容量を有し、かつ結着性、表面の平滑性に優れた正極になるため、さらに正極活物質層の割れや剥がれを防ぐことができる。
以下、本発明に係る非水電解液二次電池用正極活物質および非水電解液二次電池を、実施の形態、実施例及び図1〜図6を用いて説明する。ただし、本発明は、この実施の形態、実施例及び図1〜図6に限定されない。
本発明の正極活物質は、少なくとも層状構造(層状の結晶構造)のリチウム遷移金属複合酸化物を有する。層状構造とは、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造が層状であることを意味する。層状構造は、特に限定されず、例えば、層状岩塩構造、ジグザグ層状岩塩構造が挙げられる。中でも、層状岩塩構造が好ましい。
図1は、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造を示す模式図である。図1において、リチウム原子3は3bサイトを占有し、酸素原子2は6cサイトを占有し、遷移金属原子1は3aサイトを占有している。
図1は、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造を示す模式図である。図1において、リチウム原子3は3bサイトを占有し、酸素原子2は6cサイトを占有し、遷移金属原子1は3aサイトを占有している。
層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物は特に限定されない。例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、クロム酸リチウム、バナジウム酸リチウム、マンガン酸リチウム、鉄酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムである。
中でも、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムが好ましい。ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであると、携帯電話や電動工具等の用途に特に好適に用いることができる。ニッケルコバルトアルミン酸リチウムであると、電気自動車等の用途に特に好適に用いることができる。
中でも、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムが好ましい。ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであると、携帯電話や電動工具等の用途に特に好適に用いることができる。ニッケルコバルトアルミン酸リチウムであると、電気自動車等の用途に特に好適に用いることができる。
本発明の正極活物質においては、リチウム遷移金属の好適な態様として、以下の(i)〜(iv)が挙げられる。
(i)リチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケルおよびコバルトと同一でない遷移金属、周期表の2族、アルミニウムと同一でない13族および14族の元素ならびにハロゲン元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムまたはニッケル、コバルトおよびマンガンと同一でない遷移金属、周期表の2族、13族および14族の元素ならびにハロゲン元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムである態様。
態様(i)は、上記の元素を含むことで、極板充填性の向上を損なうことなくサイクル特性と負荷特性の向上が実現できる。
態様(i)は、上記の元素を含むことで、極板充填性の向上を損なうことなくサイクル特性と負荷特性の向上が実現できる。
(ii)リチウム遷移金属複合酸化物は、Co、Niおよび下記式においてZがMnの場合はMnと同一でない遷移金属、周期表の2族、下記式においてZがAlの場合はAlと同一でない13族および14族の元素ならびにハロゲン元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、一般式がLiaNibCocZ(1−b−c)Od(式中、ZはAlまたはMnを表し、aは0.95≦a≦1.10を満たす数を表し、bは0.1≦b≦0.9を満たす数を表し、cは0.1≦c≦0.9を満たす数を表し、dは1.8≦d≦2.2を満たす数を表す。)で表される態様。
態様(ii)のような一般式で表されるリチウム遷移金属複合酸化物であることで、極板充填性の向上を損なうことなくサイクル特性と負荷特性の向上が実現できる。
態様(ii)のような一般式で表されるリチウム遷移金属複合酸化物であることで、極板充填性の向上を損なうことなくサイクル特性と負荷特性の向上が実現できる。
(iii)リチウム遷移金属複合酸化物は、マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有するニッケルコバルトアルミン酸リチウムまたはマグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有するニッケルコバルトマンガン酸リチウムである態様。
態様(iii)は、極板充填性の向上を損なうことなく電池内で発生するガス量が低減し、出力特性が向上する。理由は以下に述べる。
マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有することによって格子定数が小さくなり、充放電に伴う体積変化が減少して、粒子に与える応力が緩和されると考えられる。これにより電解液の酸化分解反応が抑制される結果、電池内で発生するガス量が低減されると考えられる。
また、マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有することにより、正極活物質の結晶中の酸素欠損量を減少させることになり、出力特性が向上すると考えられる。
マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有することによって格子定数が小さくなり、充放電に伴う体積変化が減少して、粒子に与える応力が緩和されると考えられる。これにより電解液の酸化分解反応が抑制される結果、電池内で発生するガス量が低減されると考えられる。
また、マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素を有することにより、正極活物質の結晶中の酸素欠損量を減少させることになり、出力特性が向上すると考えられる。
態様(iii)においては、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムまたはニッケルコバルトマンガン酸リチウムのLi、Ni、Co、Al、MnおよびOの組成比を一般式LiaNibCocZ(1−b−c)Od(式中、ZはAlまたはMnを表す。)で表したときに、aは0.95≦a≦1.10を満たす数を表し、bは0.1≦b≦0.9を満たす数を表し、cは0.1≦c≦0.9を満たす数を表し、dは1.8≦d≦2.2を満たす数を表すのが好ましい。
LiaNibCocMn(1−b−c)Odであると、携帯電話や電動工具等の用途に特に好適に用いることができる。LiaNibCocAl(1−b−c)Odであると、電気自動車等の用途に特に好適に用いることができる。
(iv)リチウム遷移金属複合酸化物は、マグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素と、硫黄とを有するニッケルコバルトアルミン酸リチウムまたはマグネシウム、チタン及びジルコニウムから選ばれた少なくとも一種類の元素と、硫黄とを有するニッケルコバルトマンガン酸リチウムである態様。
態様(iv)においては、硫黄の存在により導電性が向上するため、更に、サイクル特性および負荷特性が向上すると考えられる。
硫黄の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫黄の合計に対して、0.03〜0.7重量%であるのが好ましい。0.03重量%より少ないと、電子の移動抵抗が低減しにくい場合がある。0.7重量%より多いと、水分吸着によりガス発生が生じる場合がある。
硫黄の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫黄の合計に対して、0.03〜0.7重量%であるのが好ましい。0.03重量%より少ないと、電子の移動抵抗が低減しにくい場合がある。0.7重量%より多いと、水分吸着によりガス発生が生じる場合がある。
態様(iv)においては、硫黄はどのような形で存在していてもよい。例えば、硫酸根の形で存在していてもよい。
硫酸根は、硫酸イオン、硫酸イオンからその電子を除いた原子の集団およびスルホ基を含む。アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、有機硫酸塩ならびに有機スルホン酸およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましい。
中でも、アルカリ金属の硫酸塩およびアルカリ土類金属の硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましく、アルカリ金属の硫酸塩に基づくのがより好ましい。これらは、強酸強塩基の結合からなるため、化学的に安定だからである。
硫酸根は、硫酸イオン、硫酸イオンからその電子を除いた原子の集団およびスルホ基を含む。アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、有機硫酸塩ならびに有機スルホン酸およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましい。
中でも、アルカリ金属の硫酸塩およびアルカリ土類金属の硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましく、アルカリ金属の硫酸塩に基づくのがより好ましい。これらは、強酸強塩基の結合からなるため、化学的に安定だからである。
態様(iv)においては、硫酸根はリチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面に存在していることが好ましい。粒子の表面に硫酸根を有することにより、硫酸根が電子を通りやすくすると考えられる。そのため、さらに負荷特性が向上する。
硫酸根がリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面の全体を被覆している場合であっても、硫酸根がリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面の一部を被覆している場合であっても、極板充填性の向上を損なうことなく、さらに負荷特性が向上する。
硫酸根がリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面の全体を被覆している場合であっても、硫酸根がリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面の一部を被覆している場合であっても、極板充填性の向上を損なうことなく、さらに負荷特性が向上する。
態様(iv)においては、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムまたはニッケルコバルトマンガン酸リチウムのLi、Ni、Co、Al、MnおよびOの組成比を一般式LiaNibCocZ(1−b−c)Od(式中、ZはAlまたはMnを表す。)で表したときに、aが0.95≦a≦1.10を満たす数を表し、bが0.1≦b≦0.9を満たす数を表し、cが0.1≦c≦0.9を満たす数を表し、dが1.8≦d≦2.2を満たす数を表すのが好ましい。
態様(iii)の場合と同様の理由による。
態様(iii)の場合と同様の理由による。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物及び第2のリチウム遷移金属複合酸化物を有する。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、同種でも異種でもどちらでもよい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムで、第2のリチウム遷移金属複合酸化物がコバルト酸リチウムであってもよい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物がコバルト酸リチウムで、第2のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。
好ましくは、第1のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、第2のリチウム遷移金属複合酸化物もニッケルコバルトマンガン酸リチウムのときである。
このとき、非常に極板充填性が向上し、単位体積当たりの充放電容量が向上するため、携帯電話やノートパソコン等の用途に特に好適に用いることができる。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、同種でも異種でもどちらでもよい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムで、第2のリチウム遷移金属複合酸化物がコバルト酸リチウムであってもよい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物がコバルト酸リチウムで、第2のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。
好ましくは、第1のリチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、第2のリチウム遷移金属複合酸化物もニッケルコバルトマンガン酸リチウムのときである。
このとき、非常に極板充填性が向上し、単位体積当たりの充放電容量が向上するため、携帯電話やノートパソコン等の用途に特に好適に用いることができる。
本発明において、針状度係数は、以下のようにして求められる。
リチウム遷移金属複合酸化物を試料として、倍率4000倍のSEMで粒子像の写真を撮る。図6に示すようにSEM写真からランダムに複数個(例えば、20個、50個、100個など)の粒子像を抽出する。そして、各々の粒子像についてa(粒子像の最長径)及びb(aに垂直な最大径)を求め、bの値をaの値で除して、その値の平均値を針状度係数とする。
リチウム遷移金属複合酸化物を試料として、倍率4000倍のSEMで粒子像の写真を撮る。図6に示すようにSEM写真からランダムに複数個(例えば、20個、50個、100個など)の粒子像を抽出する。そして、各々の粒子像についてa(粒子像の最長径)及びb(aに垂直な最大径)を求め、bの値をaの値で除して、その値の平均値を針状度係数とする。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径は、0.2μm以上であるのが好ましく、0.3μm以上であるのがより好ましく、また、4μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるのがより好ましい。一次粒子の平均粒径が小さすぎると、リチウム遷移金属複合酸化物の空洞部が大きくなり、緻密度が低下するため好ましくない。一次粒子の平均粒径が大きすぎると、拡散抵抗が増大し、負荷特性が低下するので好ましくない。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の針状度係数は、70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。針状度係数が小さすぎると、一次粒子間の隙間が増え、二次粒子の緻密度が低下し、極板充填性が低下するため好ましくない。また、リチウム脱挿入反応の面積が小さくなり、負荷特性が低下するため好ましくない。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の針状度係数は、70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。針状度係数が小さすぎると、一次粒子間の隙間が増え、二次粒子の緻密度が低下し、極板充填性が低下するため好ましくない。また、リチウム脱挿入反応の面積が小さくなり、負荷特性が低下するため好ましくない。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の平均粒径は、0.3μm以上であるのが好ましく、0.5μm以上であるのがより好ましく、また、8μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましい。一次粒子の平均粒径が小さすぎると、リチウム遷移金属複合酸化物の空洞部が大きくなり、緻密度が低下するため好ましくない。一次粒子の平均粒径が大きすぎると、拡散抵抗が増大し、負荷特性が低下するので好ましくない。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の針状度係数は、25%以上であるのが好ましく、30%以上であるのがより好ましい。針状度係数が小さすぎると、一次粒子間の隙間が増え、二次粒子の緻密度が低下し、極板充填性が低下するため好ましくない。また、リチウム脱挿入反応の面積が小さくなり、負荷特性が低下するため好ましくない。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物の一次粒子の針状度係数は、25%以上であるのが好ましく、30%以上であるのがより好ましい。針状度係数が小さすぎると、一次粒子間の隙間が増え、二次粒子の緻密度が低下し、極板充填性が低下するため好ましくない。また、リチウム脱挿入反応の面積が小さくなり、負荷特性が低下するため好ましくない。
本発明において、一次粒子とは、粒子像において結像している最小の粒子のことをいう。二次粒子とは、一次粒子が凝集した粒子のことをいう。
粒子像は、特に限定されない。例えば、SEM像、SIM像、TEM像、STEM像を用いることができる。
一次粒子の平均粒径の測定方法は、特に限定されない。例えば、画像解析法(顕微鏡法)を用いて測定することができる。
粒子像は、特に限定されない。例えば、SEM像、SIM像、TEM像、STEM像を用いることができる。
一次粒子の平均粒径の測定方法は、特に限定されない。例えば、画像解析法(顕微鏡法)を用いて測定することができる。
本発明において、第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さい。
本発明において、小さいとは、粒子径あるいは比表面積径が小さいことを意味する。粒子径には、一次粒子径および二次粒子径が含まれる。二次粒子径には中位径が含まれる。好ましくは二次粒子径、中位径が小さいことである。より好ましくは中位径が小さいことである。
一般的なリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶形を反映して成長した一次粒子と、これが凝集または焼結等で構成された二次粒子からなる。このような一次粒子の直径を一次粒子径といい、二次粒子の直径を二次粒子径という。
本発明において、小さいとは、粒子径あるいは比表面積径が小さいことを意味する。粒子径には、一次粒子径および二次粒子径が含まれる。二次粒子径には中位径が含まれる。好ましくは二次粒子径、中位径が小さいことである。より好ましくは中位径が小さいことである。
一般的なリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶形を反映して成長した一次粒子と、これが凝集または焼結等で構成された二次粒子からなる。このような一次粒子の直径を一次粒子径といい、二次粒子の直径を二次粒子径という。
比表面積径の測定方法は、特に限定されない。例えば、空気透過法によるフィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(F.S.S.S)を用いて測定することができる。中位径とは、二次粒子の粒度分布の体積累積頻度が50%に達する粒径を意味する。中位径の測定方法は、特に限定されない。例えば、レーザー回折散乱法により粒度分布を測定し、体積基準の粒子径の対数を用いた積算分布を求め、リチウム遷移金属複合酸化物粉末全体の50%を占めるときの粒子径、即ちオーバーサイズ50%の粒径として測定することができる。一次粒子径の測定方法は、特に限定されない。例えば、画像解析法(顕微鏡法)を用いて測定することができる。
本発明において、第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも少ないことが好ましい。
本発明において、少ないとは、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合が、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合よりも少ないことをいう。また、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の重量が、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の重量よりも少なくてもよい。
本発明において、少ないとは、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合が、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合よりも少ないことをいう。また、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の重量が、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の重量よりも少なくてもよい。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、50重量%〜90重量%であり、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、10重量%〜50重量%であることが好ましい。混合割合がこの範囲であれば、効率的に極板充填性を上昇させることができる。より好ましくは、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、55重量%〜75重量%であり、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、25重量%〜45重量%である。
本発明のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、この二次粒子は、二次粒子の内部に充填部と、空洞部とを有し、二次粒子の中位径は3μm以上である。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、図7および図8からわかるように内部に充填部と、空洞部とを有した二次粒子からなる。空間部は、粒子内に1箇所だけでなく数カ所存在していてもよい。
二次粒子の中位径は、4μm以上であるのが好ましく、5μm以上であるのがより好ましく、また、20μm以下であるのが好ましく、15μm以下であるのがより好ましい。二次粒子の中位径が小さすぎると、極板充填性が上がらないため好ましくない。二次粒子の中位径が大きすぎると、リチウムの拡散抵抗が増大し、負荷特性が低下するため好ましくない。
二次粒子の中位径は、4μm以上であるのが好ましく、5μm以上であるのがより好ましく、また、20μm以下であるのが好ましく、15μm以下であるのがより好ましい。二次粒子の中位径が小さすぎると、極板充填性が上がらないため好ましくない。二次粒子の中位径が大きすぎると、リチウムの拡散抵抗が増大し、負荷特性が低下するため好ましくない。
FIB加工部とは、集束イオンビーム加工観察装置により断面出しをされたリチウム遷移金属複合酸化物粒子の断面部分をいう。サブミクロンオーダーに絞られた集束イオンビームで、リチウム遷移金属複合酸化物のFIB加工部の表面を走査し、このとき表面から放出される二次電子を検出して走査イオン像として観察し、これを二次イオン像とする。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物について断面出しを行ったときの、前記空洞部の、前記充填部と前記空洞部の合計に対する面積割合は、0%より大きく20%より小さいことが好ましい。
本発明において、断面出しは次のように行う。本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物の数ある粒子の中から、平均粒子径のリチウム遷移金属複合酸化物を選択する。ここで平均粒子径は中位径を意味する。選択したリチウム遷移金属複合酸化物の粒子断面像が最大粒径となる部分まで断面出しを行う。
なお、断面出しを複数回(例えば、10回)行うことによって、そこから求められた面積割合の平均値を用いるのが好ましい。
断面出しの方法は、特に限定されない。例えば、樹脂に埋包してその粒子断面を削り出す方法、FIBにて加工する方法によって行うことができる。粒子断面像は、特に限定されない。例えば、SEM像、SIM像、TEM像、STEM像を用いることができる。
本発明において、断面出しは次のように行う。本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物の数ある粒子の中から、平均粒子径のリチウム遷移金属複合酸化物を選択する。ここで平均粒子径は中位径を意味する。選択したリチウム遷移金属複合酸化物の粒子断面像が最大粒径となる部分まで断面出しを行う。
なお、断面出しを複数回(例えば、10回)行うことによって、そこから求められた面積割合の平均値を用いるのが好ましい。
断面出しの方法は、特に限定されない。例えば、樹脂に埋包してその粒子断面を削り出す方法、FIBにて加工する方法によって行うことができる。粒子断面像は、特に限定されない。例えば、SEM像、SIM像、TEM像、STEM像を用いることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物について断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は、1%以上であるのが好ましく、2%以上であるのがより好ましく、また、18%以下であるのが好ましく、15%以下であるのがより好ましい。空洞部が小さすぎると、粒子内部への電解液の浸透量が少ないため、高負荷放電時の容量が低下するため好ましくない。空洞部が大きすぎると、粒子の緻密度が下がり、極板充填性が低下するため好ましくない。
空洞部が複数存在する場合には、本発明における空洞部とは、複数存在する空洞部の合計を意味する。
空洞部が複数存在する場合には、本発明における空洞部とは、複数存在する空洞部の合計を意味する。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、フッ素、バナジウムおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。フッ素を有することがより好ましい。
フッ素を有すれば、電池特性の低下の原因となる焼成温度の上昇に依らず、一次粒子の大きさを増大させ、粒子の緻密度を上げることが可能となるからである。これにより、さらに極板充填性を向上させることができる。
フッ素を有すれば、電池特性の低下の原因となる焼成温度の上昇に依らず、一次粒子の大きさを増大させ、粒子の緻密度を上げることが可能となるからである。これにより、さらに極板充填性を向上させることができる。
本発明の正極活物質は、製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(1)および(2)のようにして製造することができる。
(1)原料混合物の作製
後述する化合物を各構成元素が所定の組成比となるように混合して、原料混合物を得る。原料混合物に用いられる化合物は、目的とする組成を構成する元素に応じて選択される。
混合の方法は、特に限定されず、例えば、粉末状の化合物をそのまま混合して原料混合物とする方法;水および/または有機溶媒を用いてスラリー状として混合した後、乾燥させて原料混合物とする方法;上述した化合物の水溶液を混合して沈殿させ、得られた沈殿物を乾燥させて原料混合物とする方法;これらを併用する方法が挙げられる。
後述する化合物を各構成元素が所定の組成比となるように混合して、原料混合物を得る。原料混合物に用いられる化合物は、目的とする組成を構成する元素に応じて選択される。
混合の方法は、特に限定されず、例えば、粉末状の化合物をそのまま混合して原料混合物とする方法;水および/または有機溶媒を用いてスラリー状として混合した後、乾燥させて原料混合物とする方法;上述した化合物の水溶液を混合して沈殿させ、得られた沈殿物を乾燥させて原料混合物とする方法;これらを併用する方法が挙げられる。
以下に、原料混合物に用いられる化合物を例示する。
リチウム化合物は、特に限定されないが、例えば、Li2CO3、LiOH、LiOH・H2O、Li2O、LiCl、LiNO3、Li2SO4、LiHCO3、Li(CH3COO)、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過酸化リチウムが挙げられる。中でも、Li2CO3、LiOH、LiOH・H2O、Li2O、LiCl、LiNO3、Li2SO4、LiHCO3、Li(CH3COO)が好ましい。
リチウム化合物は、特に限定されないが、例えば、Li2CO3、LiOH、LiOH・H2O、Li2O、LiCl、LiNO3、Li2SO4、LiHCO3、Li(CH3COO)、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過酸化リチウムが挙げられる。中でも、Li2CO3、LiOH、LiOH・H2O、Li2O、LiCl、LiNO3、Li2SO4、LiHCO3、Li(CH3COO)が好ましい。
コバルト化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、ヨウ化コバルト、硫酸コバルト、臭素酸コバルト、硝酸コバルトが挙げられる。中でも、CoSO4・7H2O、Co(NO3)・6H2Oが好ましい。
ニッケル化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ギ酸ニッケルが挙げられる。中でも、NiSO4・6H2O、Ni(NO3)2・6H2Oが好ましい。
アルミニウム化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムが挙げられる。中でも、Al2(SO4)3、Al(NO3)3が好ましい。
マンガン化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化マンガン、水酸化マンガン、炭酸マンガン、塩化マンガン、ヨウ化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガンが挙げられる。中でも、MnSO4、MnCl2が好ましい。
硫黄含有化合物は、特に限定されないが、例えば、硫化物、ヨウ化硫黄、硫化水素、硫酸とその塩、硫化窒素が挙げられる。中でも、Li2SO4、MnSO4、(NH4)2SO4、Al2(SO4)3、MgSO4が好ましい。
ハロゲン元素を含む化合物は、特に限定されないが、例えば、フッ化酸素、フッ化水素酸、塩化水素、塩酸、酸化塩素、フッ化酸化塩素、酸化臭素、フルオロ硫酸臭素、ヨウ化水素、酸化ヨウ素、過ヨウ素酸が挙げられる。中でも、NH4F、NH4Cl、NH4Br、NH4I、LiF、LiCl、LiBr、LiI、MnF2、MnCl2、MnBr2、MnI2が好ましい。
ホウ素化合物は、特に限定されないが、例えば、ホウ化物、酸化ホウ素、リン酸ホウ素が挙げられる。中でも、B2O3(融点460℃)、H3BO3(分解温度173℃)が好ましい。
バナジウム化合物は、特に限定されないが、例えば、フッ化バナジウム、塩化バナジウム、酸化バナジウム、臭化バナジウム、水酸化バナジウム、バナジ酸リチウムが挙げられる。中でも、V2O5、VO2、LiV2O5、LiV3O8が好ましい。
また、上述した各元素の2種以上を含有する化合物を用いてもよい。
また、上述した各元素の2種以上を含有する化合物を用いてもよい。
以下に、原料混合物を得る好適な方法を、リチウム遷移金属複合酸化物がニッケルコバルトマンガン酸リチウムである正極活物質を例に挙げて、具体的に説明する。
上述したコバルト化合物、ニッケル化合物およびマンガン化合物から調製した。所定の組成比のコバルトイオン、ニッケルイオンおよびマンガンイオンを含有する水溶液を、かくはんしている純水中に滴下する。
同時にpH8〜11となるように水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、40〜80℃、回転数500〜1500rpmでコバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、コバルト、ニッケルおよびマンガンの塩を得る。なお、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、炭酸水素アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ溶液を用いることもできる。
上述したコバルト化合物、ニッケル化合物およびマンガン化合物から調製した。所定の組成比のコバルトイオン、ニッケルイオンおよびマンガンイオンを含有する水溶液を、かくはんしている純水中に滴下する。
同時にpH8〜11となるように水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、40〜80℃、回転数500〜1500rpmでコバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、コバルト、ニッケルおよびマンガンの塩を得る。なお、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、炭酸水素アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ溶液を用いることもできる。
つぎに、水溶液をろ過して沈殿物を採取し、採取した沈殿物を洗浄し、熱処理した後、上述したリチウム化合物と混合して、原料混合物を得る。
(2)原料混合物の焼成および粉砕
ついで、原料混合物を焼成する。焼成の温度、時間、雰囲気等は、特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。
焼成温度は、650℃以上であるのが好ましく、700℃以上であるのがより好ましい。焼成温度が低すぎると、未反応の原料が正極活物質中に残留し、正極活物質の本来の特徴を生かせない場合がある。また、焼成温度は、1100℃以下であるのが好ましく、1050℃以下であるのがより好ましい。焼成温度が高すぎると、副生成物が生成しやすくなり、単位重量当たりの放電容量の低下、サイクル特性の低下、作動電圧の低下を招く。
焼成時間は、一般に5〜30時間であるのが好ましく、10〜20時間であるのがより好ましい。焼成時間が短すぎると、原料粒子間の拡散反応が完全でないため好ましくない。焼成時間が長すぎると、焼結により粗大粒子が形成されるため好ましくない。
ついで、原料混合物を焼成する。焼成の温度、時間、雰囲気等は、特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。
焼成温度は、650℃以上であるのが好ましく、700℃以上であるのがより好ましい。焼成温度が低すぎると、未反応の原料が正極活物質中に残留し、正極活物質の本来の特徴を生かせない場合がある。また、焼成温度は、1100℃以下であるのが好ましく、1050℃以下であるのがより好ましい。焼成温度が高すぎると、副生成物が生成しやすくなり、単位重量当たりの放電容量の低下、サイクル特性の低下、作動電圧の低下を招く。
焼成時間は、一般に5〜30時間であるのが好ましく、10〜20時間であるのがより好ましい。焼成時間が短すぎると、原料粒子間の拡散反応が完全でないため好ましくない。焼成時間が長すぎると、焼結により粗大粒子が形成されるため好ましくない。
焼成の雰囲気は、例えば、大気、酸素ガス、酸素濃度(酸素分圧)を制御した雰囲気、弱酸化雰囲気が挙げられる。
なお、空洞部を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得るためには、酸素分圧を低圧にして焼成することもできる。
なお、空洞部を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得るためには、酸素分圧を低圧にして焼成することもできる。
焼成後、所望により、らいかい乳鉢、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル等を用いて粉砕し、目的とする粒度の粉体とすることもできる。
上述した製造方法により、一次粒子の平均粒径が0.1〜5μmであり、一次粒子の針状度係数が60〜100%である第1のリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
同様に上述した製造方法により、一次粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、一次粒子の針状度係数が20〜100%である第2のリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
同様に上述した製造方法により、一次粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、一次粒子の針状度係数が20〜100%である第2のリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
得られた第1のリチウム遷移金属複合酸化物と、第2のリチウム遷移金属複合酸化物を混合する。混合方法は特に限定されない。例えば、高速攪拌機、ホモジナイザーにより混合することができる。
上述した製造方法により、本発明の正極活物質を得ることができる。
本発明の正極活物質は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等の非水電解液二次電池に好適に用いられる。
非水電解液二次電池は、従来公知の非水電解液二次電池において、正極活物質の少なくとも一部として本発明の正極活物質とすればよく、他の構成は特に限定されない。以下、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。
非水電解液二次電池は、従来公知の非水電解液二次電池において、正極活物質の少なくとも一部として本発明の正極活物質とすればよく、他の構成は特に限定されない。以下、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物を使用することができる。リチウム合金としては、例えば、LiAl合金,LiSn合金,LiPb合金が挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料としては、例えば、グラファイト,黒鉛等が挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン等の酸化物が挙げられる。
電解液としては、作動電圧で変質したり、分解したりしない化合物であれば特に限定されない。
溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン,ジエトキシエタン,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,メチルホルメート,γ−ブチロラクトン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジメチルスルホキシド,スルホラン等の有機溶媒が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン,ジエトキシエタン,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,メチルホルメート,γ−ブチロラクトン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジメチルスルホキシド,スルホラン等の有機溶媒が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム,四フッ化ホウ酸リチウム,四フッ化リン酸リチウム,トリフルオロメタン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられる。
上述した溶媒と電解質とを混合して電解液とする。ここで、ゲル化剤等を添加し、ゲル状として使用してもよい。また、吸湿性ポリマーに吸収させて使用してもよい。更に、無機系または有機系のリチウムイオンの導電性を有する固体電解質を使用してもよい。
上述した溶媒と電解質とを混合して電解液とする。ここで、ゲル化剤等を添加し、ゲル状として使用してもよい。また、吸湿性ポリマーに吸収させて使用してもよい。更に、無機系または有機系のリチウムイオンの導電性を有する固体電解質を使用してもよい。
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製等の多孔性膜等が挙げられる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドアクリル樹脂等が挙げられる。
本発明の正極活物質と、上述した負極活物質、電解液、セパレーターおよび結
着剤を用いて、定法に従い、リチウムイオン二次電池とすることができる。
これにより従来達成できなかった優れた電池特性が実現できる。
着剤を用いて、定法に従い、リチウムイオン二次電池とすることができる。
これにより従来達成できなかった優れた電池特性が実現できる。
正極活物質として、本発明の正極活物質とともにマンガン酸リチウムを用いることにより、極板充填性の向上により、単位体積当たりの充放電容量が向上するだけでなく、過充電特性および安全性にも優れた非水電解液二次電池を得ることができる。
一般式LiaMn3−aO4+f(aは0.8≦a≦1.2を満たす数を表し、fは−0.5≦f≦0.5を満たす数を表す。)で表されるマンガン酸リチウムが好ましい。前記マンガン酸リチウムは、その一部がマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バナジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ホウ素およびスズからなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
正極活物質として本発明の正極活物質とともに次のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることがより好ましい。第1のマンガン酸リチウム及び第2のマンガン酸リチウムを有するリチウム遷移金属複合酸化物であって、第1のマンガン酸リチウムは、ホウ素を含有する第2のマンガン酸リチウムよりも小さいリチウム遷移金属複合酸化物である。本発明の正極活物質とともにこのリチウム遷移金属複合酸化物を用いることにより両者の相乗効果により極板充填性が非常に向上し、過充電特性、安全性にも優れ、ドライアウトも防止できる非水電解液二次電池を得ることができる。
小さいとは、粒子径あるいは比表面積径が小さいことを意味する。粒子径には、一次粒子径および二次粒子径が含まれる。二次粒子径には中位径が含まれる。好ましくは二次粒子径、中位径が小さいことである。より好ましくは中位径が小さいことである。
小さいとは、粒子径あるいは比表面積径が小さいことを意味する。粒子径には、一次粒子径および二次粒子径が含まれる。二次粒子径には中位径が含まれる。好ましくは二次粒子径、中位径が小さいことである。より好ましくは中位径が小さいことである。
本発明の正極活物質を用いて正極を製造する好ましい方法を以下に説明する。
本発明の正極活物質の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛等のカーボン系導電剤、結着剤および結着剤の溶媒または分散媒とを混合することにより正極合剤を調製する。得られた正極合剤をスラリーとし、アルミニウム箔等の帯状の集電体に塗布し、または担持させ、プレス圧延して正極活物質層を帯状集電体に形成させる。
図2は、正極の模式的な断面図である。図2に示されているように、正極13は、正極活物質5を結着剤4により帯状集電体12上に保持させてなる。
本発明の正極活物質の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛等のカーボン系導電剤、結着剤および結着剤の溶媒または分散媒とを混合することにより正極合剤を調製する。得られた正極合剤をスラリーとし、アルミニウム箔等の帯状の集電体に塗布し、または担持させ、プレス圧延して正極活物質層を帯状集電体に形成させる。
図2は、正極の模式的な断面図である。図2に示されているように、正極13は、正極活物質5を結着剤4により帯状集電体12上に保持させてなる。
本発明の正極活物質は、導電剤粉末との混合性に優れ、電池の内部抵抗が小さいと考えられる。したがって、充放電特性、特に放電容量に優れる。
また、本発明の正極活物質は、結着剤と混練するときも、流動性に優れ、また、結着剤の高分子と絡まりやすく、優れた結着性を有する。
さらに、本発明の正極活物質は、粗大粒子を含まず、球状であるため、作製した正極の塗膜面の表面が平滑性に優れたものになる。このため、正極板の塗膜面は結着性に優れ、剥がれにくくなる。また、表面が平滑で充放電に伴う塗膜面表面のリチウムイオンの出入りが均一に行われるため、サイクル特性において顕著な改善がみられる。
また、本発明の正極活物質は、結着剤と混練するときも、流動性に優れ、また、結着剤の高分子と絡まりやすく、優れた結着性を有する。
さらに、本発明の正極活物質は、粗大粒子を含まず、球状であるため、作製した正極の塗膜面の表面が平滑性に優れたものになる。このため、正極板の塗膜面は結着性に優れ、剥がれにくくなる。また、表面が平滑で充放電に伴う塗膜面表面のリチウムイオンの出入りが均一に行われるため、サイクル特性において顕著な改善がみられる。
リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型等とすることができる。
図3は、円筒型電池の模式的な断面図である。図3に示されるように、円筒型電池20においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とがセパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
図4は、コイン型電池の模式的な部分断面図である。図4に示されるように、コイン型電池30においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、負極11とが、セパレーター14を介して、積層されている。
図5は、角型電池の模式的な断面斜視図である。図5に示されるように、角型電池40においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とが、セパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
図3は、円筒型電池の模式的な断面図である。図3に示されるように、円筒型電池20においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とがセパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
図4は、コイン型電池の模式的な部分断面図である。図4に示されるように、コイン型電池30においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、負極11とが、セパレーター14を介して、積層されている。
図5は、角型電池の模式的な断面斜視図である。図5に示されるように、角型電池40においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とが、セパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
正極、負極、セパレーターおよび非水電解液を有する非水電解液二次電池であって、下記Iを正極の正極活物質として、下記IIを負極の負極活物質として用いる非水電解液二次電池を得ることができる。
I:本発明に記載の非水電解液二次電池用正極活物質に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物と、一般式LiaMn3−aO4+f(aは0.8≦a≦1.2を満たす数を表し、fは−0.5≦f≦0.5を満たす数を表す。)で表されるマンガン酸リチウムを、前記リチウム遷移金属複合酸化物の重量をAとし、前記コバルト酸リチウム及び/又は前記ニッケル酸リチウムの重量をBとした場合に0.2≦B/(A+B)≦0.8の範囲になるように混合する非水電解液二次電池用正極活物質。
II:金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料およびリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる非水電解液二次電池用負極活物質。
I:本発明に記載の非水電解液二次電池用正極活物質に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物と、一般式LiaMn3−aO4+f(aは0.8≦a≦1.2を満たす数を表し、fは−0.5≦f≦0.5を満たす数を表す。)で表されるマンガン酸リチウムを、前記リチウム遷移金属複合酸化物の重量をAとし、前記コバルト酸リチウム及び/又は前記ニッケル酸リチウムの重量をBとした場合に0.2≦B/(A+B)≦0.8の範囲になるように混合する非水電解液二次電池用正極活物質。
II:金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料およびリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる非水電解液二次電池用負極活物質。
この非水電解液二次電池は、極板充填性の向上により、単位体積当たりの充放電容量が向上するだけでなく、過充電特性、安全性にも優れている。正極活物質は、0.4≦B/(A+B)≦0.6の範囲になるように混合することが好ましい。0.4≦B/(A+B)≦0.6の範囲であれば、極板充填性の向上により、単位体積当たりの充放電容量が向上するだけでなく、過充電特性、安全性の向上が著しいからである。負極活物質に用いられるリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物としては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むスピネル構造からなる一般式がLiaTibO4+c(aは0.8≦a≦1.5を満たす数を表し、bは1.5≦b≦2.2を満たす数を表し、cは−0.5≦c≦0.5を満たす数を表す。)で表される非水電解液二次電池用負極活物質が好ましい。このとき極板充填性の向上により、単位体積当たりの充放電容量が向上するだけでなく、サイクル特性が非常に向上した非水電解液二次電池を得ることができる。
本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池の用途は特に限定されない。例えばノートパソコン、ペン入力パソコン、ポケットパソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤ、携帯電話、コードレスフォン子機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバ、電動工具、電子翻訳機、自動車電話、携帯プリンタ、トランシーバ、ページャ、ハンディターミナル、携帯コピー、音声入力機器、メモリカード、バックアップ電源、テープレコーダ、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ハンディクリーナ、ポータブルコンパクトディスク(CD)プレーヤ、ビデオムービ、ナビゲーションシステム等の機器の電源として用いることができる。
また、照明機器、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、冷蔵庫、オーブン電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥器、ゲーム機器、玩具、ロードコンディショナ、医療機器、自動車、電気自動車、ゴルフカート、電動カート、電力貯蔵システム等の電源として用いることができる。
さらに、用途は、民生用に限定されず、軍需用または宇宙用とすることもできる。
また、照明機器、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、冷蔵庫、オーブン電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥器、ゲーム機器、玩具、ロードコンディショナ、医療機器、自動車、電気自動車、ゴルフカート、電動カート、電力貯蔵システム等の電源として用いることができる。
さらに、用途は、民生用に限定されず、軍需用または宇宙用とすることもできる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.正極活物質の作製
〔実施例1〕
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を3時間かけて滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、一次粒子の平均粒径が0.9μmであり、一次粒子の針状度係数が83%である第1のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中位径は5μmであった。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、Li1.02Ni0.33Co0.33Mn0.33O2であった。
同様に、反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を10時間かけて滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、一次粒子の平均粒径が1.2μmであり、一次粒子の針状度係数が50%である第2のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中位径は13μmであった。第2のリチウム遷移金属複合酸化物を組成式で表すとLi1.02Ni0.33Co0.33Mn0.33O2であった。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物を高速攪拌機にて混合した。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、30重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、70重量%とした。こうして本発明の正極活物質を得た。
〔実施例1〕
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を3時間かけて滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、一次粒子の平均粒径が0.9μmであり、一次粒子の針状度係数が83%である第1のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中位径は5μmであった。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、Li1.02Ni0.33Co0.33Mn0.33O2であった。
同様に、反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を10時間かけて滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、一次粒子の平均粒径が1.2μmであり、一次粒子の針状度係数が50%である第2のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中位径は13μmであった。第2のリチウム遷移金属複合酸化物を組成式で表すとLi1.02Ni0.33Co0.33Mn0.33O2であった。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物を高速攪拌機にて混合した。第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、30重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、70重量%とした。こうして本発明の正極活物質を得た。
[実施例2]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、10重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、90重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、10重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、90重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例3]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、20重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、80重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、20重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、80重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例4]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、40重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、60重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、40重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、60重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例5]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、50重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、50重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、50重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、50重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例6]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、60重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、40重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、60重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、40重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例7]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、70重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、70重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例8]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、80重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、20重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、80重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、20重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例9]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、90重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、10重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、90重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、10重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
[実施例10]
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムおよびフッ化リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、こうしてLi1.00Ni0.33Co0.33Mn0.33O2F0.0025が得られた。
断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は2%であった。
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムおよびフッ化リチウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、こうしてLi1.00Ni0.33Co0.33Mn0.33O2F0.0025が得られた。
断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は2%であった。
[実施例11]
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムおよび酸化バナジウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、こうしてLi1.00Ni0.33Co0.33Mn0.33V0.005O2が得られた。
断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は4%であった。
反応槽の純水を80℃にし、攪拌回転数650rpmとして、pH9となるように水酸化ナトリウムを滴下しながら、所定の組成比の硫酸コバルト、硫酸ニッケルおよび硫酸マンガン水溶液を滴下した。これにより、コバルト、ニッケルおよびマンガンを沈殿させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過、水洗後、熱処理したのち、炭酸リチウムおよび酸化バナジウムと混合し、大気中にて900℃で15時間焼成した。こうして、こうしてLi1.00Ni0.33Co0.33Mn0.33V0.005O2が得られた。
断面出しを行ったときの、空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合は4%であった。
[比較例1]
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、100重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、0重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、100重量%とし、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の第1のリチウム遷移金属複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物の合計に対する混合割合は、0重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の正極活物質を得た。
2.正極活物質の性状
(1)正極活物質の一次粒子の平均粒径および中位径
画像解析法(顕微鏡法)を用いて測定した。中位径は、レーザー回折散乱法により粒度分布を測定し、体積基準の粒子径の対数を用いた積算分布を求め、リチウム遷移金属複合酸化物粉末全体の50%を占めるときの粒子径、即ちオーバーサイズ50%の粒径として測定した。測定結果は、実施例1に示す。
(1)正極活物質の一次粒子の平均粒径および中位径
画像解析法(顕微鏡法)を用いて測定した。中位径は、レーザー回折散乱法により粒度分布を測定し、体積基準の粒子径の対数を用いた積算分布を求め、リチウム遷移金属複合酸化物粉末全体の50%を占めるときの粒子径、即ちオーバーサイズ50%の粒径として測定した。測定結果は、実施例1に示す。
(2)正極活物質の一次粒子の針状度係数
リチウム遷移金属複合酸化物を試料として、倍率4000倍のSEMで粒子像の写真を撮る。このSEM写真からランダムに20個の粒子像を抽出した。そして、各々の粒子像についてa(粒子像の最長径)及びb(aに垂直な最大径)を求め、bの値をaの値で除して、その値の平均値を針状度係数とした。結果は、実施例1に示す。
リチウム遷移金属複合酸化物を試料として、倍率4000倍のSEMで粒子像の写真を撮る。このSEM写真からランダムに20個の粒子像を抽出した。そして、各々の粒子像についてa(粒子像の最長径)及びb(aに垂直な最大径)を求め、bの値をaの値で除して、その値の平均値を針状度係数とした。結果は、実施例1に示す。
(3)正極活物質の空洞部の充填部と空洞部の合計に対する面積割合
本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物の数ある粒子の中から、平均粒子径のリチウム遷移金属複合酸化物を選択し、選択したリチウム遷移金属複合酸化物の粒子断面像が最大粒径となる部分までFIBにて加工する方法により断面出しを行った。このときの空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合を計算した。結果は、実施例10および実施例11に示す。
本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物の数ある粒子の中から、平均粒子径のリチウム遷移金属複合酸化物を選択し、選択したリチウム遷移金属複合酸化物の粒子断面像が最大粒径となる部分までFIBにて加工する方法により断面出しを行った。このときの空洞部の、充填部と空洞部の合計に対する面積割合を計算した。結果は、実施例10および実施例11に示す。
(4)正極活物質の極板充填性
正極活物質3gを直径20mmの円柱状金型に投入し、2.1ton/cm2で30秒間プレスを2回行った。成形されたペレットの厚みを測定した。加圧後のペレットの厚みと正極活物質の重量からプレス密度を算出した。プレス密度が大きいほど、極板充填性が向上していると言える。
結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の正極活物質は、極板充填性が非常に向上していた。
正極活物質3gを直径20mmの円柱状金型に投入し、2.1ton/cm2で30秒間プレスを2回行った。成形されたペレットの厚みを測定した。加圧後のペレットの厚みと正極活物質の重量からプレス密度を算出した。プレス密度が大きいほど、極板充填性が向上していると言える。
結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の正極活物質は、極板充填性が非常に向上していた。
本発明の非水電解液二次電池用正極活物質は、非水電解液二次電池に利用することができる。
本発明の非水電解液二次電池は、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等のモバイル機器および電気自動車用バッテリー等の電源等に利用することができる。
本発明の非水電解液二次電池は、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等のモバイル機器および電気自動車用バッテリー等の電源等に利用することができる。
1 3aサイト
2 6cサイト
3 3bサイト
4 結着剤
5 活物質
11 負極
12 集電体
13 正極
14 セパレーター
20 円筒型電池
30 コイン型電池
40 角型電池
2 6cサイト
3 3bサイト
4 結着剤
5 活物質
11 負極
12 集電体
13 正極
14 セパレーター
20 円筒型電池
30 コイン型電池
40 角型電池
Claims (7)
- 少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくとも第1のリチウム遷移金属複合酸化物及び第2のリチウム遷移金属複合酸化物を有するとともに、
前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであり、該一次粒子の針状度係数は、60〜100%であり、
前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、該一次粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであり、該一次粒子の針状度係数は、20〜100%であり、
前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも小さい非水電解液二次電池用正極活物質。 - 前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物よりも少ない請求項1に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
- 少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の凝集体である二次粒子を有し、
該二次粒子は、該二次粒子の内部に充填部と、空洞部とを有し、
該二次粒子の中位径は3μm以上である非水電解液二次電池用正極活物質。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物について断面出しを行ったときの、前記空洞部の、前記充填部と前記空洞部の合計に対する面積割合は、0%より大きく20%より小さい請求項3に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子径を大きくする元素を有する請求項3または4に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、フッ素、バナジウムおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する請求項3または4に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状正極と、
金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成させることにより構成した帯状負極と、
帯状セパレータとを具備し、
前記帯状正極と前記帯状負極とを前記帯状セパレータを介して積層した状態で複数回巻回させて、前記帯状正極と前記帯状負極との間に前記帯状セパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成してなる非水電解液二次電池。
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