JP2005036057A - 低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物及び低温収縮性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A−1)スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、しかも共役ジエン化合物を含有せず、下記に示すガラス転移温度が55〜73℃であるスチレン系共重合体と
(A−2)スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、下記に示すガラス転移温度が60〜90℃で、且つスチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度よりも5℃以上高いスチレン系共重合体と(B)スチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b2)よりなるブロック共重合体
を含有する低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてPETボトルやガラス瓶などの飲料ボトルの包装用シュリンクラベルとして好適な熱収縮性と透明性を有する低温収縮性フィルム及び該フィルム用透明樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来公知の技術】
熱収縮性フィルムは、PETボトルやガラス瓶などの飲料ボトルの意匠性向上の目的からシュリンクラベルとして広く用いられている。以前は、熱収縮性、強度、印刷適性、収縮後の仕上がりの良さから塩化ビニル樹脂系のシュリンクフィルムが多用されていたが、近年、塩化ビニル樹脂が燃焼時にダイオキシンを発生する問題から、日本国内の飲料ボトル用シュリンクラベルのほとんどがスチレン系樹脂フィルムあるいはPET系フィルムに置き換わっており、特に、収縮後の仕上がりの良さからスチレン系樹脂フィルムの需要が高い。例えば、ビニル芳香族系炭化水素(例えば、スチレン)と脂肪族不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリル酸ブチル)の二元共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体の混合組成物が低温延伸フィルムの原料として好適であることが報告され、既に公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
旧来のPETボトル用飲料充填ラインは、内容物を高温殺菌したままPETボトルに充填するホットフィル方式が一般的であったが、近年では完全無菌ラインにより内容物を低温充填するアセプティック方式が増加傾向にある。ホットフィル方式では、PETボトルの熱変形を防止するため、ある程度肉厚化されたボトルが使用されていたが、アセプティック方式の採用により内容物が常温充填できるため、コストダウンの観点からボトルの薄肉化が進展している。PETボトルが薄肉化したことにより、ボトルの熱容量が減少するため、シュリンクラベルには従来のスチレン系樹脂フィルムと比べて5〜10℃程度の比較的低温での収縮性が強く要求されるようになり、従来のスチレン−アクリル系共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体の混合組成物からなるフィルムでは、スチレン−アクリル系共重合体の軟化温度を低温化させることにより、かかる低温時の収縮性が向上するものの、比較的低温で延伸処理した場合延伸フィルムの透明性低下が著しいという問題がある。
【0004】
また、PET系フィルムは、スチレン系樹脂フィルムと比較して、低温での収縮が可能であるためアセプティック方式のシュリンクラベルとして多用されているが、収縮勾配(熱収縮曲線における温度に対する収縮率の変化量)が高いため収縮ラベルにシワが入ることが多く、生産性を低下させるという問題があった。
また、アクリル−スチレン共重合体を主体成分とするスチレン系樹脂フィルムでも低温収縮性の改良がなされているが、延伸倍率を4倍以上にする必要があるため、アクリル−スチレン共重合体の軟化点の低温化、又は、可塑剤等の添加により低温収縮性を達成させると収縮勾配が高くなるという問題があり、低温収縮性と適正な収縮勾配を兼ね備えた低温収縮性フィルムを得るのが困難であった(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭62−25701号公報
【特許文献2】
特公平03−12535号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が達成しようとする課題は、低温での収縮が可能で、且つ収縮勾配が高すぎず適正であり、透明性に優れた低温収縮性フィルムを与える透明樹脂組成物及び該透明樹脂組成物を成膜・延伸加工してなる低温収縮性フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、共役ジエン化合物を含有しない、2種類の異なる特定なスチレン系共重合体と特定なスチレン−共役ジエンブロック共重合体とを混合することにより上記の課題を解決し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、ガラス転移温度が55〜73℃であるスチレン系共重合体(A−1)と、スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、ガラス転移温度が60〜90℃で、且つスチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度よりも5℃以上高いスチレン系共重合体(A−2)とスチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)と共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)よりなるブロック共重合体(B)を含有する透明樹脂組成物に関し、また、該樹脂組成物を成膜・延伸加工することにより、低温収縮性と適正な収縮勾配を兼備し、且つ優れた透明性を有する熱収縮性フィルムに関する。
尚、本発明でのガラス転移温度とは、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を用いて昇温速度20℃/分の測定条件により得た温度である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物は、前記した通り、スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、ガラス転移温度が55〜73℃であるスチレン系共重合体(A−1)とスチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、ガラス転移温度が60〜90℃で、且つスチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度よりも5℃以上高いスチレン系共重合体(A−2)、及び、スチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)と共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)よりなるブロック共重合体(B)から構成されるものである。また、本発明の低温収縮性フィルムは、スチレン系共重合体(A−1)とスチレン系共重合体(A−2)とブロック共重合体(B)を含有する透明樹脂組成物を成膜・延伸加工することにより得られるものである。
【0009】
前記スチレン系共重合体(A−1)は、本発明の課題である低温収縮性を実現するため、ガラス転移温度が55〜73℃、好ましくは60〜73℃であることを特徴とする。また、前記スチレン系共重合体(A−2)は、適正な収縮勾配を実現するために必須であり、そのガラス転移温度は60〜90℃、好ましくは70〜85℃で、且つスチレン系共重合体(A−2)のガラス転移温度よりも5℃以上、好ましくは5〜20℃高いことを特徴とする。スチレン系共重合体(A−1)とスチレン系共重合体(A−2)のガラス転移温度の差が5℃未満である場合は、前記二者の相溶性が高くなり、スチレン系共重合体(A−2)による収縮勾配の弛緩効果が不十分となるため本発明の効果が得られ難い。また、かかるガラス転移温度差が20℃を越えない範囲であると前記二者の相溶性が高く、延伸フィルムの透明性が良好となる。
【0010】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)を構成するスチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられる。これらの中でも反応性が良好で重合が容易である等の理由からスチレンが好ましい。
【0011】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)の主成分であるアクリル系化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステル類が挙げられ、これらモノマーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせにより、(A−1)及び(A−2)のガラス転移温度が所望の値となれば良い。
【0012】
かかるアクリル系化合物の中でも、低温収縮性及びブロック共重合体(B)との相溶性の観点から、特に好ましくはアクリル酸ブチルで、その含有量としては6〜28質量%が好適である。更に、(A−1)及び(A−2)の高分子量化による分散不良及びゲル化による外観不良を抑制する観点から、その他脂肪族不飽和カルボン酸エステルを併用することがより好ましい。前記その他脂肪族不飽和カルボン酸エステルとしては、(A−1)及び(A−2)の高分子量化を抑制する観点からメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等を0.1〜10質量%含有することが好ましい。即ち、本発明のスチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)に含有されるスチレン系化合物が62〜85質量%の範囲であることが、ブロック共重合体(B)との相溶性が良好で、本発明の組成物から得られる低温収縮性フィルムの透明性が良好となる点から好ましい。
【0013】
上記(A−1)及び(A−2)を構成するアクリル系化合物は、同一である事が好ましいが、異なるモノマーの組み合わせでも良く、例えば、(A−1)に使用するアクリル系化合物が1種であって(A−2)に使用するアクリル成分が2種以上であっても良い。該(A−1)と該(A−2)とのTgが5℃以上の差があるようにするために、使用されるアクリル系化合物の種類が同じであった場合にはその含有量を変えることによって、両者のTg差をもたらすように調製する。例えば、(A−1)と(A−2)とがスチレン、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートからなるものであった場合、Tgの低いブチルアクリレートとTgの高いメチルメタクリレートとの含有量を調製することにより両者のTgの差を生じるようにする。また、スチレン系共重合体(A−1)&(A−2)は、共役ジエン化合物をモノマー成分として含有しないものであり、かかるモノマーを含有すると、得られる延伸フィルムの透明性が低下し、しかも強度的にも劣ることになり好ましくない。
【0014】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)のメルトマスフローレート(MFR)は、特に限定されるものではなく、フィルム化の加工法の選択に基づいて適宜調整すれば良いが、JIS K7210に準拠した、温度200℃、荷重5kgfで測定した数値で4〜12g/10minの範囲内であれば、本発明の組成物から得られる低温収縮性フィルムの成膜加工性、延伸加工性、透明性、耐衝撃性についてバランスがとれた特性を与えることができるため好ましい。
【0015】
前記スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)の質量平均分子量Mwは、強度と成形加工性の点から、20X104〜60X104の範囲が好ましく、より好ましくは25X104〜45X104の範囲が好ましい。4
【0016】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)は、特に製造方法が特定されるものではなく、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合または塊状重合等の方法により製造することができるが、特に、生産性、コスト面及び組成の均一性に優れる点から連続塊状重合が好ましい。
【0017】
連続塊状重合法の中でも、可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定された管状反応器を複数連結した連続塊状重合ラインを用いて重合する方法が、組成の均一性が良好となることから特に好ましい。また、各原料成分を混合させた後、1個以上の撹拌式反応器で重合させて、更に前記の連続塊状重合ラインに導入して連続塊状重合を行うことも好ましい。
【0018】
ここで、攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定された管状反応器を複数連結した連続塊状重合ラインとは連結させた連続重合ラインとして用いることが生産性の点から好ましく、かかる連続重合ラインとしては、例えば、図1に示すようなa.撹拌式反応器と、b.撹拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている1個以上の管状反応器からなる初期重合ラインと、c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている1個以上の管状反応器からなる主重合ラインと、d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期重合ライン内に戻る還流ラインとによって構成される重合ラインであることが特に好ましい。
尚、ここで用いるミキシングエレメントとしては、例えば管内に流入した重合液の流れの分割と流れ方向を変え、分割と合流を繰り返すことにより重合液を混合するものが挙げられる。このような管状反応器としては、例えば、SMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタティックミキサー、東レ式の管状ミキサー等が挙げられる。
【0019】
以下に、この連続塊状重合ラインを用いたスチレン系共重合体(A)の重合方法を、図1の工程図により説明する。
プランジャーポンプ(1)によって原料成分は、まず攪拌式反応器(2)へ送られ、攪拌下で初期グラフト重合させた後、ギアポンプ(3)により、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器(4),(5)および(6)とギアポンプ(7)とを有する循環重合ライン(I)に送られる。
攪拌式反応器(2)での初期重合は、スチレン系化合物とアクリル系化合物の合計の重合転化率が、該反応器(2)の出口において10〜40重量%、好ましくは14〜30重量%となる迄実施することが好ましい。また、攪拌式反応器(2)としては、例えば攪拌式槽型反応器、攪拌式塔型反応器等が挙げられ、攪拌翼としては、例えばアンカー型、タービン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型、ログボーン型等の攪拌翼が挙げられる。
次に、循環重合ライン(I)内で、重合液は循環しながら重合が進み、その一部の重合液は、次の非循環重合ライン(II)へ送られる。ここで、循環重合ライン(I)内を循環する重合液の流量と、非循環重合ライン(II)へ流出する重合液の流量との比、還流比Rは、非循環重合ライン(II)に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量をF1 (リットル /時間)とし、循環重合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量F2 (リットル/時間)とした場合、通常R=F1 /F2 が3〜15の範囲であることが好ましい。
また、該循環重合ライン(I)での重合は、該循環重合ライン(I)出口でのスチレン系化合物とアクリル系化合物の合計の重合転化率が、通常30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%になる様に重合させる。重合温度としては120〜140℃が適している。
非循環重合ライン(II)での重合温度は、通常140〜160℃の重合温度であり、重合転化率60〜90質量%となるまで連続的にグラフト重合される。
次に、この混合溶液はギアポンプ(11)により予熱器、次いで脱揮発槽に送られ、減圧下にて未反応単量体および溶剤を除去した後、ペレット化することにより目的とする組成物が得られる。
【0020】
また、重合反応中の粘性を低下させるために溶剤を使用しても良く、その使用量は原料モノマーの合計100質量部に対して5〜20質量部が好ましい。溶剤の種類としては、スチレン系樹脂の塊状重合法で一般的に使用されている溶媒が使用でき、中でも、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等が適している。
【0021】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)の分子量調節のためにアルキルメルカプタン類やα−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を添加することもできる。前記連鎖移動剤の添加量は、通常、原料モノマーの合計100質量部に対して0.005〜0.5質量部の範囲である。
【0022】
また、スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)の重合においては、適宜重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、押出成形時のネックイン現象が改善される点から、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンが好ましい。
【0023】
スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)は、例えば上記手法で重合された後、更に、減圧下にて未反応モノマー、オリゴマー及び溶剤を除去し、最終的にペレット化することにより得られる。
【0024】
本発明で用いるブロック共重合体(B)は、スチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)と共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)から構成されるブロック共重合体であることを特徴とする。スチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)を構成するスチレン系化合物としては、前記にスチレン系化合物として例示した各種化合物が挙げられ、特にスチレンが好ましい。共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)を構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、スチレン系化合物との反応性に優れる点かブタジエンが好ましい。
【0025】
前記ブロック共重合体(B)は、スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)との相溶性の観点から、重合体ブロック(b1)を30〜80質量%、重合体ブロック(b2)を70〜20質量%含有することが好ましい。特に、透明性が良好となる点から、重合体ブロック(b1)を70〜80質量%、重合体ブロック(b2)を20〜30質量%含有するものを主体成分とすることが好ましいが、重合体ブロック(b1)を30〜70質量%、重合体ブロック(b2)を70〜30質量%含有するブロック共重合体(B′)を併用することにより、透明性と耐衝撃性のバランスが良好となる。
【0026】
前記ブロック共重合体(B)は、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b2)に由来するガラス転移温度より高温側に検出されるガラス転移温度が90〜110℃の範囲内であることが、前記スチレン系共重合体(A−1)及び前記スチレン系共重合体(A−2)との三成分間の相溶性が良好となり、本発明の樹脂組成物から得られる延伸フィルムの透明性と強度のバランスが優れることから好ましく、更に、前記ガラス転移温度が85〜105℃のブロック共重合体(B′)を併用することがより好ましい。また、ブロック共重合体(B′)のガラス転移温度は、ブロック共重合体(B)のガラス転移温度に比べ低温であることが、更に各成分間の相溶性を向上することから好ましい。尚、重合体ブロック(b1)及び(b2)の比率は、FT−IRあるいは1H−NMRで算出できる。
【0027】
ブロック共重合体(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により製造することができる。例えば、特公昭47−4361号公報、特開昭48−48546号公報により開示される方法により製造できる。
【0028】
前記スチレン系共重合体(A−1)と前記スチレン系共重合体(A−2)の質量比率により、本発明の樹脂組成物より得られる延伸フィルムの収縮勾配を適宜調整することができ、その比率は30:70〜95:5の範囲内が好ましい。スチレン系共重合体(A−1)の比率が前記範囲より低いと低温収縮性が不十分となり、前記範囲より大きいと収縮勾配が高くなり、適正な収縮勾配が得られない。
【0029】
また、スチレン系共重合体(A−1)と(A−2)の合計100質量部に対して、ブロック共重合体(B)が40〜400質量部の範囲内であれば、本発明の樹脂組成物より得られる低温収縮性フィルムの衝撃強度が優れる点から好ましく、50〜300重量部の範囲内がより好ましい。ブロック共重合体(B)の含有量が前記範囲より小さいと得られる低温収縮性フィルムの耐衝撃性が不十分となり、前記範囲より大きいと該フィルムの透明性が損なわれる。更に、ブロック共重合体(B)100質量部に対して、ブロック共重合体(B′)を5〜40質量部の範囲内で添加することが好ましい。
【0030】
更に、スチレン系共重合体(A−1)とスチレン系共重合体(A−2)とブロック共重合体(B)からなる樹脂組成物に、ゴム状重合体を分散粒子として含有するゴム変性スチレン系重合体(C)を含有させることにより、樹脂組成物から得られる低温収縮性フィルムの熱収縮性能や透明性を阻害することなく、フィルム表面を均一に荒らすことができるため、該フィルムにアンチブロッキング性及び滑り性を付与することができる。
【0031】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)及びメタクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)等が挙げられるが、樹脂組成物から得られる延伸フィルムのアンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスに優れることからHIPSが好ましい。
【0032】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)中に含有されるゴム状重合体の平均粒子径は、透明性が良好である点から2μm未満が好ましい。平均粒子径が2μm以上であると、樹脂組成物から得られる延伸フィルムのアンチブロッキング性及び滑り性が向上するが、透明性が著しく低下する。また、該フィルムの透明性とアンチブロッキング性及び滑り性のバランスが良いことから、ゴム状重合体の平均粒子径が0.5〜2μmの範囲であり、且つ樹脂練り込み型の滑剤を併用することがより好ましい。
【0033】
前記滑剤としては、熱収縮時の滑剤のブリードアウトによる透明性低下を避けるため、融点が100℃以上のものが好ましく、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属縁、及び、高級脂肪酸アミド等が挙げられるが、アンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスが優れる点から、高級脂肪酸アミドがより好ましく、具体的には、エチレン−ビス−ステアリン酸アミド、ヘキサメチレン−ビス−ステアリン酸アミド、ヘキサメチレン−ビス−ベヘン酸アミド等が挙げられる。
【0034】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)は、樹脂組成物から得られる延伸フィルムのアンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスが良好である点から、前記スチレン系共重合体(A−1)と前記スチレン系共重合体(A−2)との合計100重量部に対して、1〜10質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0035】
本発明の樹脂組成物、即ち、スチレン系共重合体(A−1)とスチレン系共重合体(A−2)とブロック共重合体(B)により構成される組成物において、これらを混合する方法としては、特に限定されないが、溶融ブレンドにより行うことが組成物の均一性の点から好ましい。具体的には、両者を加熱、溶融させることによって混合する方法が挙げられ、例えば、スチレン系共重合体(A−1)、スチレン系共重合体(A−2)及びブロック共重合体(B)のペレットあるいはパールを、押出機にて190〜240℃で溶融ブレンドし、そのままフィルム化する方法、及び、一旦ペレット化した後に再度押出機で溶融フィルム化する方法が挙げられる。また、混合の方法としては、従来公知のあらゆる混合方法により製造することができる。例えば、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダー、オープンロール等により溶融混練し、目的とする組成物を得ることができる。また、前記手法における溶融混合時の樹脂温度は、ブロック共重合体(B)中の共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)等のゲル化を防止するため240℃以下とすることが好ましい。
【0036】
また、本発明の樹脂組成物中には、共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b2)等のゲル化を防止する目的で、得られる低温収縮性フィルムの透明性を阻害しない範囲で酸化防止剤を適量添加することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物に代表される一次酸化防止剤、リン系化合物に代表される二次酸化防止剤を単独若しくは併用で用いることができる。その他、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、可塑剤、染料等の一般的にスチレン系樹脂に添加できる各種添加剤を混在させても良い。これらの添加剤は、樹脂組成物の混練時、あるいは各重合体の重合中に添加することができる。具体的には、ミネラルオイル、エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等の可塑剤、連鎖移動剤、シリコンオイル等が挙げられ、これらを1種以上添加して用いることができる。
【0037】
本発明の組成物は、前記した諸条件を兼備させることにより、低温収縮性フィルムとしてこれまで実現できなかった、低温収縮性、適正な収縮勾配と優れた透明性を併せ持たせることができる。本発明の低温収縮性フィルムは、本発明の樹脂組成物を用いて得ることを特徴とするが、その製造方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の手法により得ることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を押出機などを用いて溶融状態とした後、T−ダイを通してフィルム状に押し出し、チルロールやエアーナイフ等でフィルムを一旦冷却した後、延伸装置を用いて1軸または2軸に、同時あるいは逐次に延伸する方法が挙げられる。
【0038】
本発明の樹脂組成物をT−ダイを通してフィルム状に押し出す場合、押出機中の樹脂温度は190〜240℃が好ましく、更に200〜230℃とすることがブロック重合体(B)等のゲル化防止や微分散化効果が高まるためより好ましい。
【0039】
本発明の低温収縮性フィルムは、本発明の樹脂組成物を2種類以上用いた多層化延伸フィルムであっても良い。また、本発明の樹脂組成物を主体層とし、片側若しくは両側の表層に、本発明範囲外のスチレン系樹脂を用いた2種2層、2種3層、3種3層の多層化延伸フィルムであっても良い。ただし、この場合、本発明の特徴である低温収縮性を発現させるため、本発明の組成物を主体とする層を60%以上とすることが好ましい。
【0040】
本発明の低温収縮性フィルムは、70℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が5%以上、80℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が30〜50%の範囲であることを特徴とする。
【0041】
PETボトルやガラス瓶等の飲料ボトル用シュリンクラベルは、ラベル装着部の最大円周長さに対して弛緩率が約5〜10%となるよう円筒状に製袋加工される。そのため5%収縮温度が重要であり、前述したアセプティック方式用シュリンクフィルムの場合は、更に、ボトルの軽量化が進んでいるため、5%収縮温度を70℃以下とする必要がある。また、ボトル形状によっては最大50%以上の熱収縮率が必要となるため、シュリンクラベルの80℃熱収縮率が30%未満であると収縮不足によりラベルの波打ちが発生し、50%を越えると収縮勾配が高すぎるため適正な収縮温度範囲が狭くなり、シュリンクラベルにシワが入る場合がある。
【0042】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター法、インフレーション法を用いることができるが、主延伸方向については延伸配向の均一性が良好となることからテンター法が好ましい。延伸倍率は、本発明の樹脂組成物から得られる延伸フィルムの収縮勾配が適性となることから、主延伸方向に2〜6倍、好ましくは3〜4倍であり、延伸温度は、(前記スチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度)〜(前記スチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度+20℃)の範囲内が好ましい。
また、主延伸方向と鉛直方向に延伸処理を施しても良く、その方法としては加熱ロール間の速度差を用いたロール延伸法、並びに、テンター内での同時二軸延伸法が挙げられ、延伸倍率はシュリンクラベルの収縮後の仕上がりが良好となることから1.05〜2.0倍が好ましく、更に好ましくは1.05〜1.5倍である。
【0043】
また、本発明の樹脂組成物は、T−ダイを通してフィルム状とする場合、T−ダイ出口部での溶融樹脂の線速度と比べて第1冷却ロールの引取速度を早くすることにより、フィルム引取方向にドラフト現象と呼ばれる流動配向が発生する。該フィルムを引取方向と鉛直方向に一軸延伸した場合、結果的に、ドラフト現象により主延伸方向と鉛直方向に延伸処理を施すことと同様の効果が得られる。この場合、前述の効果を得るため、T−ダイ温度が190〜230℃、ドラフト比(第1冷却ロールの引取速度/T−ダイリップ部での溶融樹脂の線速度)が2〜15であることが好ましい。
【0044】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下の部または%は特に断りが無い限り、質量基準での部または%を表す。実施例及び比較例の評価方法を以下に示す。
【0045】
(ガラス転移温度測定)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、JIS K 7121に準拠して加熱速度20℃/分で測定した。
【0046】
(メルトマスフローレート測定)
JIS K7210に準拠し、温度200℃、荷重5kgfでメルトマスフローレート(MFR)を測定した。
【0047】
(分子量測定)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)RI検出器、TSKgel G6000H×1+G5000H×+G4000H×1+G3000H×1+TSKguard columH×1−H、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃にて測定した。分子量が既知のポリスチレンで作製した検量線により、Mw、Mn、Mw/Mnを測定した。
【0048】
(ヘイズ測定)
JIS K7105に準拠して、濁度・曇り度計(日本電色工業製)を用い、実施例及び比較例により得た延伸フィルム(厚み:0.06mm)の透明性を示すヘイズ値を測定した。
【0049】
(熱収縮率測定)
実施例及び比較例により得た延伸フィルムを100mm角に切り取り、70℃、80℃に調整した恒温水槽中に10秒間浸し、各温度における収縮率を測定した。
【0050】
(連続塊状重合装置)
本実施例で得られるスチレン樹脂組成物は、図1に示すように配列された装置により得られる。各種モノマー及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌翼による動的混合下で初期重合した。次いで、この混合溶液をギアポンプ(3)により循環重合ライン(I)へ送る。循環重合ライン(I)は入口から順に内径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューター・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー・静的ミキシングエレメント30個内蔵)、(4)、(5)及び(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)には入口から順に上記と同様の管状反応器(8)、(9)及び(10)とギアポンプ(11)が直結されている。
【0051】
[スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)の製造例]
(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)
スチレン(St)75部、アクリル酸ブチル(BuA)19部、メタクリル酸メチル(MMA)6部、エチルベンゼン8部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.03部の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、図1の工程図で示した重合ラインを用い以下の条件下で連続塊状重合によりスチレン系共重合体(A−1−▲1▼)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:123℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:145℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で245℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン系共重合体の物性を表1に示す。
【0052】
(スチレン系共重合体(A−1−▲2▼)の製造)
スチレン(St)77部、アクリル酸ブチル(BuA)19部、メタクリル酸メチル(MMA)4部、エチルベンゼン8部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.025部の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン系共重合体(A−1−▲2▼)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:120℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:135℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で248℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン系共重合体の物性を表1に示す。
【0053】
(スチレン系共重合体(A−2−▲1▼)の製造)
スチレン(St)82部、アクリル酸ブチル(BuA)12部、メタクリル酸メチル(MMA)6部、エチルベンゼン9部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.025部の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン系共重合体(A−2−▲1▼)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:132℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:143℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で245℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン系共重合体の物性を表1に示す。
【0054】
(スチレン系共重合体(A−2−▲2▼)の製造)
スチレン(St)83部、アクリル酸ブチル(BuA)17部、エチルベンゼン10部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.029部の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン系共重合体(A−2−▲2▼)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:132℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:143℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で245℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン系共重合体の物性を表1に示す。
【0055】
(スチレン系共重合体(A−2−▲3▼)の製造)
スチレン(St)80部、アクリル酸ブチル(BuA)16部、メタクリル酸メチル(MMA)4部、エチルベンゼン7部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.025部の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン系共重合体(A−2−▲3▼)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:132℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:137℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で245℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン系共重合体の物性を表1に示す。
【0056】
[ブロック共重合体(B)]
ブロック共重合体(B)としては、シェブロン・フィリップス化学製「KレジンDK11」(B−1)(スチレン系化合物の含有率:75質量%、ブタジエン含有率:25質量%、ガラス転移温度:102℃)を用いた。また、ブロック共重合体(B′)として、JSR製「TR2000」(B′−1)(スチレン系化合物の含有量:40質量%、ブタジエン含有量:60質量%、ガラス転移温度:99℃)を用いた。
【0057】
[ゴム変性スチレン系重合体(C)の製造例]
(ゴム変性スチレン系重合体(C−1)の製造)
スチレン100部、ポリブタジエン(旭化成製720A)7部、エチルベンゼン7部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100部に対して0.015部のt−ブチルパーオキシベンゾエートを加え、(スチレン系共重合体(A−1−▲1▼)の製造)と同装置を用い、連続塊状重合によりゴム変性スチレン系重合体(C−1)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:134℃
循環重合ライン(I)での反応温度:136℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:150℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で250℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。平均ゴム粒子径0.9μm、ポリブタジエンゴム含有量:7.6%であった。
【0058】
[その他添加剤]
酸化防止剤として、チバスペシャルティケミカルズ製「イルガノックスB900FF」及び住友化学製「スミライザーGS(F)」を用いた。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):35部、スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):35部、ブロック共重合体(B−1):30部の合計100部に対して、イルガノックスB900FF:0.5部、スミライザーGS(F):0.5部を添加した樹脂組成物を、T−ダイを通してフィルム状に押し出し、ロール延伸法により縦フィルム引取方向に1.2倍、テンター法により横鉛直方向に3.5倍延伸して0.06mmの延伸フィルム(1)を得た。尚、フィルムの加工条件を以下に示す。また、評価結果を表2に示す。
シート押出機:田辺製作所製50mmφ単軸押出機
シリンダー温度:230℃
T−ダイ温度:200℃
T−ダイリップ開度:0.9mm
冷却ロール温度:70℃
低速ロール温度:90℃
高速ロール温度:70℃
テンター延伸温度:80℃
テンター熱セット温度:60℃
【0061】
実施例2
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):40部、スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):20部、ブロック共重合体(B−1):40部を使用する以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(2)を得た。評価結果を表2に示す。
【0062】
実施例3
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):35部、スチレン系共重合体(A−2−▲2▼):15部、ブロック共重合体(B−1):50部を使用する以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(3)を得た。評価結果を表2に示す。
【0063】
実施例4
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):30部、スチレン系共重合体(A−2−▲2▼):30部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(4)を得た。評価結果を表2に示す。
【0064】
実施例5
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):30部、スチレン系共重合体(A−2−▲3▼):30部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(5)を得た。評価結果を表2に示す。
【0065】
実施例6
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):45部、スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):15部、ブロック共重合体(B−1):30部、ブロック共重合体(B′−1):10部を用いる以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(6)を得た。評価結果を表2に示す。
【0066】
実施例7
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):35部、スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):32部、ブロック共重合体(B−1):30部、ブロック共重合体(B′−1):10部、ゴム変性スチレン系重合体(C−1):3部を用いる以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(7)を得た。評価結果を表3に示す。
【0067】
実施例8
スチレン系共重合体(A−1−▲2▼):45部、スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):12部、ブロック共重合体(B−1):30部、ブロック共重合体(B′−1):10部、ゴム変性スチレン系重合体(C−1):3部を用いる以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(8)を得た。評価結果を表3に示す。
【0068】
実施例9
テンター延伸温度が76℃である以外は実施例9と同様にして延伸フィルム(9)を得た。評価結果を表3に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
表2及び3の結果の通り、実施例1〜9により得られた延伸フィルム(1)〜(9)は、いずれも良好な透明性を示し、70℃熱収縮率が6〜12%、80℃熱収縮率が38〜46%であり、適正な収縮勾配を有することが解った。
【0072】
比較例1
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):60部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(1′)を得た。評価結果を表4に示す。
【0073】
比較例2
スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):60部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(2′)を得た。評価結果を表4に示す。
【0074】
比較例3
スチレン系共重合体(A−2−▲2▼):60部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(3′)を得た。評価結果を表4に示す。
【0075】
比較例4
スチレン系共重合体(A−2−▲1▼):30部、スチレン系共重合体(A−2−▲3▼):30重量部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(4′)を得た。評価結果を表4に示す。
【0076】
比較例5
スチレン系共重合体(A−1−▲1▼):30部、スチレン系共重合体(A−1−▲2▼):30重量部、ブロック共重合体(B−1):40部を用いる以外は実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(5′)を得た。評価結果を表4に示す。
【0077】
表4に示す結果の通り、比較例1及び5では比較用延伸フィルム(1′)及び(5′)の80℃熱収縮率が50%を越えるため、収縮勾配が適正範囲外であり、また、ヘイズ値が著しく劣っていた。また、比較例2,3,4では、比較用延伸フィルム(2′)、(3′)、(4′)の70℃熱収縮率が5%未満となり、低温収縮性に劣っていた。
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、主としてPETボトルやガラス瓶などの飲料ボトルの包装用シュリンクラベルとして好適な熱収縮性と透明性を有する低温収縮性フィルム及び該フィルムを与える樹脂組成物を提供することができる。
特に、本発明の樹脂組成物を用いれば、低温収縮性と収縮勾配の制御が可能であるため、様々なボトル形状に適用可能なシュリンクフィルムの製造が可能となり、アセプティック方式用のシュリンクフィルムとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図である。
【符号の説明】
(1):プラジャーポンプ
(2):攪拌式反応器
(3):ギアポンプ
(4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(7):ギアポンプ
(8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(I):循環重合ライン
(II):非循環重合ライン
Claims (11)
- (A−1)スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、しかも共役ジエン化合物を含有せず、下記に示すガラス転移温度が55〜73℃であるスチレン系共重合体と
(A−2)スチレン系化合物とアクリル系化合物を主成分とし、共役ジエン化合物を含有せず、下記に示すガラス転移温度が60〜90℃で、且つスチレン系共重合体(A−1)のガラス転移温度よりも5℃以上高いスチレン系共重合体と(B)スチレン系化合物を主体とする重合体ブロック(b1)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b2)よりなるブロック共重合体
を含有する低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。 - 前記スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)が、スチレン系化合物とアクリル酸ブチルと他の脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなるものである請求項1記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記他の脂肪族不飽和カルボン酸エステルが、メタクリル酸アルキルエステルである請求項2記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記スチレン系共重合体(A−1)及び(A−2)が、スチレン系化合物を62〜85質量%含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体(B)が、前記重合体ブロック(b1)を30〜80質量%含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記スチレン系共重合体(A−1)と前記スチレン系共重合体(A−2)との質量比率が30:70〜95:5であり、且つ、該A−1と該A−2の合計100質量部に対して、前記ブロック共重合体(B)が50〜300質量部である請求項1乃至5のいずれかに記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- ゴム状重合体を分散粒子として含有するゴム変性スチレン系重合体(C)を含有する請求項1乃至6のいずれかに記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記ゴム変性スチレン系重合体(C)中の分散粒子の平均粒子径が2μm未満である請求項7記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 前記スチレン系共重合体(A−1)と前記スチレン系共重合体(A−2)との合計100質量部に対して、前記ゴム変性スチレン系重合体(C)が1〜10質量部である請求項7又は8に記載の低温収縮性フィルム用透明樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれかの透明樹脂組成物から得られる低温収縮性フィルム。
- 70℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が5%以上、80℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が30〜50%である請求項10に記載の低温収縮性フィルム。
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