JP2005031489A - マスクブランクス等の収納容器及びマスクブランクスの収納方法並びにマスクブランクス収納体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上方が開口した容器本体3と、該容器本体3に被せる蓋4とを備えて、内部に、レジスト膜を有するマスクブランクス1を収納する収納容器である。ここで、上記容器本体3の開口縁部にポリオレフィンエラストマー等で構成された環状の弾性体5を周設して、容器本体3に蓋体4を被せたときにその接合部に上記弾性体5を介在させ、収納容器を密閉状態にする。
【選択図】 図3
Description
すなわち、従来のマスクブランクスを収納保管する容器は、キャリアなどと呼ばれている内ケースにマスクブランクスを数枚乃至数十枚並べて保持させ、このマスクブランクスを保持した内ケースを外箱(ケース本体)内に収容し、さらに外箱上に蓋を被せて、マスクブランクスを収納する構造となっていた。そして、外箱と蓋との接合部上には粘着テープを貼付することにより、ケースを密封するとともに、外気や異物等の進入を防ぐようにしていた。
ところで、最近、フォトマスク用のレジストとして化学増幅型レジストが着目されている。この化学増幅型レジストに関しては例えば特開2000−66380号公報等に記載がある。この化学増幅型レジストは、感度やコントラストなどの特性が従来のフォトレジストに比べて優れているため、微細化パターンを形成するのに有利であると言える。但し、この化学増幅型レジストは、その反応メカニズム上、化学成分のコンタミによる影響を受けやすいことが指摘されている。つまり、ある種の化学成分のコンタミがあると、化学増幅反応の触媒となる物質の機能を抑制乃至阻害させ(例えば、失活)、所望の性能が得られなくなる場合が生じる。このため、化学増幅型レジスト膜が形成されたマスクブランクスの場合は、単にパーティクル等の異物を排除するだけでは足りず、化学成分のコンタミの影響をも排除するため特に清浄な雰囲気で保管する必要がある。
さらには、収納容器の材質として何らかの化学成分等が放出され難いプラスチック等を用いたとしても、粘着テープの基材や粘着剤に使用されている化学成分が経時的に収納容器内に進入して汚染する場合がある。特に、上述の温度変化や気圧変化などの雰囲気の変動があった場合は、テープから発生する化学成分による汚染が加速的に進行する恐れがある。
このように、クリーンルーム等でマスクブランクスを容器に収納梱包し、外箱と蓋との接合部を粘着テープで封止するという方法は、一見、外気の進入を阻止して、マスクブランクスを清浄な雰囲気で保管できるように思われるが、実際には、外気の進入による汚染や、粘着テープの化学成分等による汚染を回避することは困難であった。
従って、本発明は、上記従来の問題点を解消し、外気の進入を阻止して化学成分等による汚染を防止でき、収納時の清浄な雰囲気を保ったままマスクブランクス等を保管できる収納容器及び収納方法を提供することを第1の目的とする。また、特に清浄な雰囲気で保管される必要がある化学増幅型レジスト膜を形成したマスクブランクスに好適な収納方法及び収納容器を提供することを第2の目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、収納容器の本体の開口縁部又は蓋体の下縁部の少なくとも一方に周設した弾性体を本体と蓋体との接合部に介在させることにより、外気の進入を防止でき、収納容器の内部を清浄な雰囲気に保ったままマスクブランクスを保管出来ることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
(構成1)上方が開口した容器本体と、該容器本体に被せる蓋体とを備えて、内部にマスクブランクス等を収納するマスクブランクス等の収納容器であって、前記容器本体の開口縁部又は前記蓋体の下縁部の少なくとも一方に弾性体を周設して、前記容器本体に前記蓋体を被せたときに容器を密閉状態にすることを特徴とするマスクブランクス等の収納容器。
(構成2)上方が開口した容器本体と、該容器本体に被せる蓋体とを備えて、内部にマスクブランクス等を収納するマスクブランクス等の収納容器であって、前記容器本体の開口縁部又は前記蓋体の下縁部の少なくとも一方に弾性体を周設し、前記容器本体に前記蓋体を被せたときの容器本体の開口縁部と蓋体の下縁部との接合部に前記弾性体を介在させることを特徴とするマスクブランクス等の収納容器。
(構成4)構成1乃至3の何れかに記載のマスクブランクス等の収納容器に、レジスト膜を有するマスクブランクスを収納することを特徴とするマスクブランクスの収納方法。
(構成5)前記レジスト膜は化学増幅型レジスト膜であることを特徴とする構成4に記載のマスクブランクスの収納方法。
(構成6)構成4又は5に記載の収納方法によりマスクブランクスが収納されたことを特徴とするマスクブランクス収納体。
本発明によれば、特に清浄な雰囲気で収納保管することが要求されるレジスト膜を有するマスクブランクス、とりわけ化学物質等による汚染を絶対に防止する必要がある化学増幅型レジスト膜を有するマスクブランクスの収納保管に好適である。
図1乃至図5は本発明に係るマスクブランクス等の収納容器の一実施形態を示すもので、図1は収納容器の蓋を示す斜視図、図2はマスクブランクスを中ケースに収納する状態を示す斜視図、図3は収納容器の容器本体(外ケース)を示す斜視図、図4は収納容器にマスクブランクスを収納した状態の縦方向の断面図、図5は蓋と容器本体との接合部を拡大して示す縦方向断面図である。
本実施形態の収納容器は、主表面が正方形のガラス基板の一主表面上にクロム膜等の遮光性薄膜を成膜し、その上に例えば前述の化学増幅型レジスト膜を形成したマスクブランクス1を中ケース2に収納し、この中ケース2を容器本体3に収納し、この容器本体3の開口部側に蓋4を被せる構造である(図4)。
なお、上記中ケース2を使用せずに、マスクブランクス1を容器本体3に直接溝等を設けて収納する形態とすることもできる。但し、本実施形態のように中ケース2を使用すると、数枚乃至数十枚のマスクブランクスをまとめて中ケース2に入れた状態で取り扱えるので便利である。
本実施形態の蓋4は、その一方の対向する下方縁(容器本体へ差し込む開口部側の縁であって、図1では上方へ向いている)47から延びた係合片41,42に凹部43,44を形成している。これにより、蓋4を容器本体3に被せたときに、上記凹部43,44が前記容器本体3の凸部33,34とそれぞれ係合することで、蓋4と容器本体3とが固定される(図4)。また、中ケース2の開口部側上端面25と当接して中ケース2を垂直方向において支持固定するストッパー45,46を一方の内側面に互いに対向させて形成している(図1)。なお、蓋4の凹部43,44と容器本体3の凸部33,34を設けないで、蓋4を容器本体3にそのまま被せる構成としてもよい。また、蓋4の凹部と容器本体3の凸部とを係合させる構成とする場合においても、対向する一方の側だけでなく、四方にそれぞれこのような係合手段を形成してもよい。
本実施形態では、容器本体3の開口縁35に続く外周面に沿って環状の弾性体5を嵌め込んでいる(図3)。これにより、容器本体3の上から蓋4を被せて、蓋4の凹部43,44を容器本体3の凸部33,34と係合させて蓋4と容器本体3とを固定すると、図5に示すように、蓋4の下方縁に続く外周面48と容器本体3の開口縁に続く外周面36とが前後に重なり合って接合されるとともに、その接合部に上記弾性体5が介在するので、容器内部を密閉状態にすることができる。
上記弾性体5は、その断面が四角形状のものでも或いは円状のものでも構わない。使用する弾性体5の厚み或いは太さ等は一概には言えないが、厚み或いは太さ等が大き過ぎると蓋の着脱がし難くなり、厚み或いは太さ等が小さ過ぎると蓋と容器本体との接合部への密着が不完全で容器内部を密閉状態にする作用が得られ難い場合があるので、収納容器の大きさや、その接合部の形状や寸法等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、適当な大きさの環状の弾性体5を容器本体の開口縁部に嵌め込んでいるが、最初から貼り付けておいてもよい。
また、図7はその他の実施形態を示すもので、蓋4の下方縁に鍔部49を設けるとともに、容器本体3の開口縁にも鍔部37を設ける。そして、蓋4を容器本体3に被せて固定したときに、これらの鍔部49,37同士がその間に弾性体5を挟み込むようにして接合される。
さらに、図8もその他の実施形態を示すもので、容器本体3の開口縁の鍔部に凹部を形成しておき、弾性体5を若干埋設するようにしておいてもよい。
また、以上説明した各実施形態では、弾性体を容器本体側に設けているが、これに限らず、蓋側に弾性体を貼り付けるなどして設けてもよいし、容器本体側と蓋側の両方に弾性体を設けるようにしてもよい。いずれにしても本発明の作用が好ましく得られる。
また、本発明は、正方形状のマスクブランクス等に限らず、その他の形状、例えば円盤状の基板を収納する場合にも適用できることは言うまでもない。
以下、具体的な実施例により本発明を説明する。
このようにして製造した10枚のマスクブランクスを前述の図1乃至図5に示す実施形態の収納容器に収納した。なお、蓋と容器本体の材質はポリカーボネート、中ケースの材質はポリブチレンテレフタレートを用い、弾性体としてはポリオレフィンエラストマー製の環状のパッキング材を用いた。収納作業は活性炭フィルター及びULPAフィルターで清浄化されたクリーンルーム内で行った。
この収納容器を更に梱包袋に梱包して、航空機でカーゴ輸送を行った。そして、輸送された収納容器を上記と同様のクリーンルーム内で開封し、取り出したマスクブランクスに所定の電子線描画を行い、続いて所定の現像、エッチングを行って、位相シフト型転写マスクを製造した。製造した位相シフト型マスクの品質を走査型電子顕微鏡で詳細に検査したところ、10枚の何れからも特に問題となる欠陥は発見されなかった。
上述の実施例において、弾性体を容器の接合部に用いていない従来の収納容器(蓋、容器本体及び中ケースの材質は実施例と同じ材質を用いた)を使用し、マスクブランクス収納後、容器の接合部に粘着テープを貼り付けて封止した点以外は、実施例と同様にしてマスクブランクスを製造し、収納し、輸送を行った。
輸送後のマスクブランクスを用いて実施例と同様にして製造された位相シフト型マスクの品質を走査型電子顕微鏡で詳細に検査したところ、10枚の何れからもパターンの線幅に乱れが生じていることが発見された。これは、収納容器の密閉性が完全ではないために、輸送中に外気が収納容器内に進入し、何らかの化学成分等によってマスクブランクスの化学増幅型レジスト膜が化学的に汚染されたことに起因しているものと考えられる。
2 中ケース
3 容器本体
4 蓋
5 弾性体
6 スライド式の固定具
Claims (6)
- 上方が開口した容器本体と、該容器本体に被せる蓋体とを備えて、内部にマスクブランクス等を収納するマスクブランクス等の収納容器であって、前記容器本体の開口縁部又は前記蓋体の下縁部の少なくとも一方に弾性体を周設して、前記容器本体に前記蓋体を被せたときに容器を密閉状態にすることを特徴とするマスクブランクス等の収納容器。
- 上方が開口した容器本体と、該容器本体に被せる蓋体とを備えて、内部にマスクブランクス等を収納するマスクブランクス等の収納容器であって、前記容器本体の開口縁部又は前記蓋体の下縁部の少なくとも一方に弾性体を周設し、前記容器本体に前記蓋体を被せたときの容器本体の開口縁部と蓋体の下縁部との接合部に前記弾性体を介在させることを特徴とするマスクブランクス等の収納容器。
- 前記容器本体と前記蓋体との接合部を挟み込むスライド式の固定具により前記接合部を固定することを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランクス等の収納容器。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のマスクブランクス等の収納容器に、レジスト膜を有するマスクブランクスを収納することを特徴とするマスクブランクスの収納方法。
- 前記レジスト膜は化学増幅型レジスト膜であることを特徴とする請求項4に記載のマスクブランクスの収納方法。
- 請求項4又は5に記載の収納方法によりマスクブランクスが収納されたことを特徴とするマスクブランクス収納体。
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Legal Events
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A521 | Written amendment |
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