JP2005015328A - ジルコニウムを含むガラス組成物、化学強化ガラス物品、磁気記録媒体用ガラス基板、およびガラス板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のガラス組成物は、質量%で示して、SiO2:59〜68%、Al2O3:9.5〜15%、Li2O:0〜1%、Na2O:3〜18%、K2O:0〜3.5%、MgO:0〜15%、CaO:1〜15%、SrO:0〜4.5%、BaO:0〜1%、TiO2:0〜2%、ZrO2:1〜10%を含む。本発明のガラス組成物は、磁気記録媒体用ガラス基板に適しており、イオン交換処理により化学強化ガラス物品としてもよい。
【選択図】なし
Description
SiO2 59〜68%
Al2O3 9.5〜15%
Li2O 0〜 1%
Na2O 3〜18%
K2O 0〜 3.5%
MgO 0〜15%
CaO 1〜15%
SrO 0〜 4.5%
BaO 0〜 1%
TiO2 0〜 2%
ZrO2 1〜10%
の成分を含むことを特徴とする。
SiO2 60〜65%
Al2O3 9.5〜15%
Na2O+K2O 11〜18%
Na2O 8〜16%
K2O 0〜 3.5%
MgO 2〜 5%
CaO 3〜 7.5%
SrO 0〜 4.5%
ZrO2 1〜 5%
からなることが好ましい。この好ましいガラス組成(ガラス組成A)を有するガラス組成物は、化学強化処理をすることによって、より確実に大きな機械的強度を付与することができる。また、ガラスが高温に加熱されても、よりガラスの変形が生じにくく、さらに、ガラス内部からのアルカリ溶出に起因する凹凸形成物の生成をより確実に防止することができる。
SiO2は、ガラスを構成する主要成分であり、その含有率が59%未満になると、ガラスの化学的耐久性が悪化する。また、ガラスの耐熱性を維持するために、SiO2の含有率は60%以上が好ましい。
Al2O3は、ガラスの耐熱性および化学的耐久性を向上させ、さらに化学強化を容易にする必須成分である。その最低量を9.5%とすることで、高い耐熱性を実現すると共に、化学強化後の強度を維持することが可能になる。
Li2Oは、溶融塩中でLiイオンがNaイオン、Kイオンなど他の陽イオンと置換されることによりガラスの強度を向上させる成分である。しかし、その含有率が増すとガラスの耐熱性を損ねるという欠点をもつ。したがって、Li2Oの含有率は1%以下が好ましく、実質的に不純物量であることがより好ましい。
Na2Oは、溶融塩中でKイオンなど他の陽イオンと置換されることにより、ガラスの強度を向上させる必須成分である。その割合が3%未満では、イオンの置換が十分に起こらず、化学強化処理を行なっても、十分な効果が得られない。この観点から、その含有率は8%以上がさらに好ましい。
K2Oは、Na2Oと同じくガラスの溶解性を向上させる成分であり、Na2Oとの合計量を11%以上とすることでガラスの溶解を容易にすることができる。また、K2Oは、Na2Oと比較してガラスの耐熱性を大きく損なわない。このため、Na2OとK2Oとの合計量を18%以下、Na2Oの含有率を16%以下とすることで高い溶解性と高い耐熱性の両方を得ることができる。
MgOは、ガラスの粘性を下げて溶解性を向上させる成分であり、化学強化におけるイオン交換を妨げないという利点を有するが、ガラスの失透温度を上昇させる傾向が強い。そのため、MgOの含有率は、0〜15%、特に0〜5%が好ましく、ガラスの化学的性質を維持する観点からは2〜5%がより好ましい。
CaOは、ガラスの失透温度に顕著な悪影響を与えずに、粘性を下げる必須成分である。CaOは、同様の効果を有するSrOと比較すると、化学強化におけるイオン交換を妨げずに溶解性を改善することができる。CaOは、その含有率が1%未満ではその効果が十分に現れないが、15%を超えるとガラスの失透温度が上昇してガラス成形性が悪化する。したがって、CaOの含有率は1〜15%が好ましい。CaOの含有率は、化学強化が行なえるガラスでかつ高い溶解性を確保するためには3%以上が好ましく、ガラスの失透温度が高くなるのを抑制するためには7.5%以下が好ましい。
SrOは、ガラスの粘性を下げ、失透温度を上昇させない利点を持つ。しかし、SrOは、ガラス中のアルカリ成分の移動を妨げるため、その含有率が4.5%を超えると化学強化が困難になる。また、ガラス中に多量に含まれると密度が高くなる。したがって、SrOの含有率は0〜4.5%が好ましい。
BaOは、ガラスの粘性を下げ、失透温度を上昇させない利点を持つ。しかし、BaOは、特にガラス中でのアルカリの移動を妨げるため、その含有率が高くなるとガラスのイオン交換による化学強化が困難になる。また、ガラス中に多量に含まれると密度が高くなる。さらに、バリウム原料は劇物であり取り扱いが難しい。したがって、BaOの割合は1%以下が好ましく、実質的に不純物量であることがより好ましい。
TiO2は、ガラスの耐熱性を下げずに溶解性を向上させる成分である。しかし、TiO2の含有率が2%を超えるとガラスの失透温度が上昇して成形性が悪化する。
ZrO2は、ガラスの耐熱性を向上させる必須成分である。しかし、その含有率が1%未満ではその効果が十分に得られない。一方、その含有率が5%を超えると十分な強化が困難になり、さらに10%を超えるとガラスの失透温度が上昇して成形性が悪化する。したがって、ZrO2の含有率は1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましく、11%を超え5%以下が特に好ましい。
以下に、本発明について実例を挙げて詳細に説明する。本発明のガラス組成物の実施例1〜6に示したガラス組成を有するガラスを溶融実験により作製し、得られたガラスの溶融温度、作業温度、ガラス転移点、熱膨張係数、比重、ヤング率、クラック発生率50%の荷重をそれぞれ測定した結果を表1に示す。また、比較例として、特開平9−2836号公報の実施例1に開示されているガラスを溶融実験により作製し、比較例1とした。さらに、ZrO2を含まないガラスを比較例2,3として表2に示した。
まず、表1または表2に示すガラス組成となるように、通常のガラス原料であるシリカ、アルミナ、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウムを用いてガラス原料(バッチ)を調合した。調合したバッチを白金ルツボに投入し、電気炉内において1550℃で4時間加熱・保持して溶融ガラスとし、それを炉から取り出した後、鉄板上に流し出し、冷却してガラスブロックとした。このガラスブロックを再び電気炉に入れ、650℃で30分間保持した後、炉の電源を切り、室温まで徐冷して試料ガラスとした。
次いで、実施例1、比較例1のガラス組成で示される磁気記録媒体用ガラス基板を用いて、磁気記録媒体を以下のように作製した。試料ガラスを外径68mm、内径20mmのドーナッツ状に切り出し、内周および外周の端面を研磨し、記録面となる表裏両面をアルミナ砥粒により研削し、酸化セリウムを主成分とする研磨砥粒を用いて鏡面研磨(表面粗さRa:2nm以下;JIS B 0601−1994)を行ない、厚さ0.635mmのガラスとした。なお、それぞれの研磨の順序は入れ換えてもよい。
Claims (15)
- 質量%で示して、
SiO2 59〜68%
Al2O3 9.5〜15%
Li2O 0〜 1%
Na2O 3〜18%
K2O 0〜 3.5%
MgO 0〜15%
CaO 1〜15%
SrO 0〜 4.5%
BaO 0〜 1%
TiO2 0〜 2%
ZrO2 1〜10%
を含むガラス組成物。 - 質量%で示して、本質的に、
SiO2 60〜65%
Al2O3 9.5〜15%
Na2O+K2O 11〜18%
Na2O 8〜16%
K2O 0〜 3.5%
MgO 2〜 5%
CaO 3〜 7.5%
SrO 0〜 4.5%
ZrO2 1〜 5%
からなる請求項1に記載のガラス組成物。 - ガラス転移点が、少なくとも590℃である請求項1または2に記載のガラス組成物。
- −50〜70℃の範囲における熱膨張係数が少なくとも70×10-7/℃であり、50〜350℃の範囲における熱膨張係数が少なくとも80×10-7/℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス組成物。
- ZrO2の含有率が、1%を超える請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス組成物を含むガラス物品をNaイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に浸漬することにより、前記ガラス物品に含まれるNaイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して得た化学強化ガラス物品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス組成物を含む磁気記録媒体用ガラス基板。
- 平面視したときに円形の外形を有する請求項7に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
- 請求項7または8に記載の磁気記録媒体用ガラス基板をNaイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に浸漬することにより、前記ガラス基板に含まれるNaイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して得た磁気記録媒体用化学強化ガラス基板。
- マイクロビッカース硬度計のダイアモンド圧子の押圧により50%の確率でクラックの発生する荷重が、少なくとも800gである請求項9に記載の磁気記録媒体用化学強化ガラス基板。
- 質量%で示して、
SiO2 59〜68%
Al2O3 9.5〜15%
Li2O 0〜 1%
Na2O 3〜18%
K2O 0〜 3.5%
MgO 0〜15%
CaO 1〜15%
SrO 0〜 4.5%
BaO 0〜 1%
TiO2 0〜 2%
ZrO2 1〜10%
の成分を含む溶融ガラスとなるようにガラス原料を調合する工程と、前記ガラス原料を溶融して得られた溶融ガラスを錫浴上に導いて板状に成形する工程と、を含むフロート製法によるガラス板の製造方法。 - 質量%で示して、本質的に、
SiO2 60〜65%
Al2O3 9.5〜15%
Na2O+K2O 11〜18%
Na2O 8〜16%
K2O 0〜 3.5%
MgO 2〜 5%
CaO 3〜 7.5%
SrO 0〜 4.5%
ZrO2 1〜 5%
の成分からなる溶融ガラスとなるようにガラス原料を調合する請求項11に記載のガラス板の製造方法。 - 前記ガラス板のガラス転移点が、少なくとも590℃である請求項11または12に記載のガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板の−50〜70℃の範囲における熱膨張係数が少なくとも70×10-7/℃であり、50〜350℃の範囲における熱膨張係数が少なくとも80×10-7/℃である請求項11〜13のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板のZrO2の含有率が、1%を超える請求項11〜14のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
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