JP2005015108A - クレーン車のジブ格納装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤの接続作業や野外作業を必要とせず、運転席からの簡単な操作でジブを格納することのできるクレーン車のジブ格納装置を提供すること。
【解決手段】ブーム2の先端に揺動部材24を設け、主巻ワイヤ9の巻き取りによってメインフック10を上昇させ、メインフック10を揺動部材24に押し当ててブーム2の裏面に接近する方向に揺動させる構成を採用する。揺動部材24に設けたローラ28とジブ3上のドック27を介して揺動部材24の揺動をジブ3に伝達し、揺動部材24と共にジブ3を揺動させてブーム2の裏面に格納する。ジブ3の格納に必要とされる操作は、主巻ワイヤ9を駆動する主巻ウインチ7の操作のみで済み、運転席からの簡単な操作でジブ3を格納することができるので、予備ワイヤの接続作業を始めとする野外作業が不要となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車のジブ格納装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
クレーン車のジブを格納する方法としては、補巻ワイヤと予備ワイヤを利用してブームの下面にジブを引き寄せ、ジブとブームを自動ロックピンで固定するようにしたものが特許文献1として公知である。
この方法は、ブームを立ち上げてブーム先端にジブを垂下した状態で補巻ワイヤの先端に予備ワイヤを接続し、この予備ワイヤの先端をジブ先端のシーブを介してブーム基部に接続した後、補巻ワイヤの巻き取り操作によって予備ワイヤを牽引してジブを引き寄せ、ブームの下面にジブを格納するものである。
しかし、このような方法では、予備ワイヤの接続等のために野外作業が必要となり、また、予備ワイヤの接続や脱着作業自体も煩わしいといった不都合があった。
【0003】
そこで、予備ワイヤを利用した煩わしい野外作業を解消して運転席からの操作でジブを格納できるようにしたものとして、特許文献2に開示されるようなジブ格納装置が提案されている。
このジブ格納装置は、前記と同様にブームを立ち上げてブーム先端にジブを垂下した状態で、ジブに設けられた案内ローラをブームに固設されたガイドに係合させ、ブーム先端を更に縮退させてガイドの斜面に沿って案内ローラを移動させることにより、ジブをブームの下面に引き寄せて固定するようにしたものである。
しかし、実際には、クレーンの構造上、ブーム先端の縮退動作に伴ってメインフックを懸吊する主巻ワイヤに弛みが生じる問題があり、メインフックが揺れて可動部に干渉するのを防止する必要上、ブームの縮退に同期して主巻ワイヤの巻き取り操作を行なわなければならず、レバー操作等の煩雑さの点で不都合が残っている。
【0004】
【特許文献1】
実開昭51−46779号公報(第2頁右上欄)
【特許文献2】
特開2000−44173号公報(段落番号0023,0024,図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、前記従来技術の欠点を解消し、ワイヤの接続作業や野外作業を必要とせず、運転席からの簡単な操作でジブを格納することのできるクレーン車のジブ格納装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブーム先端部に枢着されるジブと、ブーム先端部の主巻ワイヤ用トップシーブに掛けられた主巻ワイヤに懸吊されたメインフックとを備えたクレーン車のジブ格納装置であり、前記課題を達成するため、特に、
揺動部材本体の先端にメインフック当接面を備えた揺動部材を設け、メインフック当接面の中央部を通る法線からブーム先端に向かう方向にオフセットされてメインフック当接面から離間した揺動部材本体上の位置に、この揺動部材をブームに取り付けるための枢着部を形成し、
主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置よりもブーム先端寄りのブーム上の位置に、前記枢着部を介して揺動部材を揺動自在に枢着すると共に、
この揺動部材に、ジブ上に形成された受圧部を押圧するための加圧部を設けたことを特徴とする構成を有する。
【0007】
前記構成においてブーム先端部のジブを格納する際には、まず、従来と同様に、ブームを立ち上げてブーム先端にジブを垂下し、ジブがブーム下面に接近した状態とする。
次いで、主巻ワイヤ用のウインチを駆動して主巻ワイヤの巻き取りを開始し、主巻ワイヤ用トップシーブに掛けられた主巻ワイヤに懸吊されているメインフックを上昇させる。
メインフックが上昇していくと、主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置よりもブーム先端寄りの位置でブームに枢着され、其の自重によって、先端に固設されたメインフック当接面を下方に向けた姿勢を保持している揺動部材のメインフック当接面に、メインフックが当接する。
揺動部材は、メインフック当接面の中央部を通る法線からブーム先端に向かう方向にオフセットされてメインフック当接面から離間した揺動部材本体上の位置に形成された枢着部を介して、主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置よりもブーム先端寄りの位置でブームに枢着され、且つ、メインフックを上昇させる力は主巻ワイヤ用トップシーブとメインフックとを結ぶ線、つまり、メインフック当接面の中央部を通る法線に沿って作用しているので、メインフック当接面にメインフックが当接することによって揺動部材に作用する力は、揺動部材本体上の枢着部を中心として、揺動部材先端のメインフック当接面をブームの下面側に揺動させる方向に働く。
従って、メインフックの上昇に伴って揺動部材が徐々にブームの下面側に向けて揺動し、揺動部材に設けられた加圧部が、ジブ上に形成された受圧部に当接して此れを押圧する。
この結果、ブーム先端部に枢着されたジブが、ブーム下面に接近した状態から更にブームの下面側に向けて揺動され、格納位置に位置決めされる。
最終的に、従来公知の自動ロックピン等を作動させてブーム下面にジブを固定した状態で主巻ワイヤ用のウインチの駆動を停止し、ジブの格納作業を完了する。
以上に述べた通り、ジブの格納に必要とされる操作は、主巻ワイヤの巻き取り操作、即ち、主巻ワイヤ用のウインチの駆動操作のみであるから、運転席からの極めて簡単な操作でジブを格納することができ、この際、ワイヤの接続作業を始めとする野外作業は全く不要である。
【0008】
また、受圧部と加圧部の構造に関しては、受圧部と加圧部のうち少なくとも一方を回転自在なローラによって構成し、ジブがブーム下面と接近する予備格納位置に揺動した状態で揺動部材をブームの下面に向けて揺動させた際に、受圧部および加圧部が相互に当接する位置に配備することが望ましい。
【0009】
前述した通り、揺動部材の揺動中心は主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置よりもブーム先端寄りの位置にあり、また、ジブの揺動中心は主巻ワイヤ用トップシーブと同軸上もしくは其の近傍にあるので、揺動部材の加圧部をジブの受圧部に当接させた状態で両者を揺動させると、加圧部と受圧部とが圧接した状態で両者間に相対移動が生じる。受圧部と加圧部のうち少なくとも一方を回転自在なローラによって構成することで、圧接状態での相対移動によって生じる可能性のあるカジリや磨耗等の損傷を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明を適用した一実施形態のクレーン車のジブ格納装置の要部を示した側面図、図2は同実施形態のジブ格納装置を含めてクレーンの全体構造を示した側面図、また、図5はジブ格納装置を備えたクレーンを装着したクレーン車の外観を示した側面図である。
【0011】
まず、図2を参照してクレ−ン1の全体構造について簡単に説明する。
【0012】
クレーン1は、図示しない油圧シリンダによって伸縮されるテレスコピック構造のブーム2と、該ブーム2に取り付けられるジブ3によって構成される。
【0013】
ブーム2の先端には、主巻ワイヤ用トップシーブ4が回転自在に枢着され、図5に示されるクレーン車6側に配備された主巻ウインチ7からガイドローラ8および主巻ワイヤ用ガイドシーブ5を経由して導かれた主巻ワイヤ9が主巻ワイヤ用トップシーブ4に掛け回され、この主巻ワイヤ9によってメインフック10が懸吊されている。
【0014】
また、補巻ワイヤ用トップシーブ11と補巻ワイヤ用ガイドーシーブ12には図5に示されるような補巻ワイヤ13が掛け回されるが、図2では、主巻ワイヤ9の経路を明確に示す必要上、補巻ワイヤ13については記載を省略している。
【0015】
ジブ3は二股状の基部を有して主巻ワイヤ用トップシーブ4と同軸上に枢着され、ブーム2に対して揺動自在とされている。ジブ3の先端には補巻ワイヤ13を掛け回すためのシーブ14が回転自在に枢着され、シーブ14から導き出された補巻ワイヤ13に図5に示されるようなサブフック15が懸吊されるようになっている。
【0016】
また、ジブ3の先端には、シーブオフセット角が調整可能なテンションロッドとして機能する油圧シリンダ16のシリンダボトムが枢着され、ジブ3をブーム2に対して立ち上げた状態で、ピストンロッド17の先端をブーム2の先端のロッド固定用ブラケット18にテンションロッド本体を介してピンで枢着することにより、ジブ3の立ち上げ状態が保持されるようになっている。
【0017】
ジブ3の裏面側にはジブ3を折り畳んだ状態で固定するための係止片19が突設される一方、此れに対応するブーム2の下面側の位置には、遠隔操作が可能な自動ロックピン20が設けられ、係止片19と自動ロックピン20との嵌合によってジブ3の折り畳み固定状態が確保されるようになっている。
【0018】
ブーム2の基部は図5に示されるようにクレーン車6の旋回体21に対して揺動自在に枢着されており、ブーム2の下面に固設されたステープル22と旋回体21との間に設置された図示しないブーム起伏シリンダの伸縮動作によって、図2に示される姿勢を上限、また、図5に示される姿勢を下限として、ブーム2の立ち上げ角度が自由に調整できるようになっている。
【0019】
次に、図1を参照して、本実施形態に固有のクレーン車のジブ格納装置23の構成について詳細に説明する。
【0020】
ジブ格納装置23の主要部は、ブーム2に対して揺動自在に枢着された揺動部材本体24aと、この揺動部材本体24aの先端に形成されたメインフック当接面24bとからなる揺動部材24によって構成される。
【0021】
揺動部材本体24aの先端に設けられたメインフック当接面24bの中央部には、メインフック10を懸吊した主巻ワイヤ9の通過を許容する図示しないスリットが形成されて主巻ワイヤ9の巻き取り巻き戻し操作によるメインフック10の上下移動が許容される一方、主巻ワイヤ9の巻き取り操作によってメインフック10が限界近くにまで上昇した際には、メインフック10の基部がメインフック当接面24bの下面側に当接するようになっている。
【0022】
揺動部材本体24aには、メインフック当接面24bの中央部を通る法線Aからブーム2の先端に向かう方向Bにオフセットされ、且つ、メインフック当接面24bから離間した位置に枢着部25が形成され、この枢着部25を介して、揺動部材24が、主巻ワイヤ用トップシーブ4の枢着位置26よりもブーム2の先端寄りの位置で、ブーム2に対して揺動自在に枢着されている。
【0023】
また、二股状に分かれたジブ3の基部の片側には、受圧部として機能するドック27が一体的に固着される一方、揺動部材24の一部を構成する揺動部材本体24aの片側には、ドック27を押圧するための加圧部として機能するローラ28が回転自在に枢着されている。ドック27は、二股状に分かれたジブ3の基部の内側に突出するかたちで固設されており、また、揺動部材本体24aの片側に枢着されたローラ28は、ドック27と当接可能で、且つ、二股状に分かれたジブ3の内側には干渉しない範囲で、揺動部材本体24aの片側に突出して配備される。
【0024】
ジブ3上のドック27と揺動部材本体24a上のローラ28は、ジブ3がブーム2の下面と接近する予備格納位置、つまり、図2に示されるように、ブーム2を70°前後の角度で立ち上げてジブ3が枢着位置26から鉛直に垂下された状態において相互に当接する位置に配備されており、揺動部材24を図2中で更にブーム2の下面に向けて揺動させることにより、ローラ28がドック27を押圧するようになっている。
【0025】
次に、図2〜図4を参照して、ジブ格納装置23を利用したジブ3の格納作業について説明する。
【0026】
ジブ3の格納に際しては、まず、図2に示されるように、ブーム2を70°前後の角度に立ち上げてブーム2の先端にジブ3を垂下し、ジブ3がブーム2の下面に接近した予備格納状態とする。
【0027】
この操作は、従来と同様、一旦ブーム2とジブ3を寝かせ、補巻ワイヤ13をジブ3の先端に取り付けてから、テンションロッドとして機能する油圧シリンダ16のピストンロッド17とテンションロッド本体およびロッド固定用ブラケット18との係合を解除し、ブーム起伏シリンダの伸長動作でブーム2を立ち上げながら補巻ワイヤ13を巻き戻してブーム2およびジブ3をインチワーム状に屈曲させることによって行なわれる。
【0028】
図2の予備格納状態では、メインフック10を懸吊する主巻ワイヤ9の巻き取りは開始されておらず、揺動部材24におけるメインフック当接面24bの下面とメインフック10の基部との間には或る程度の間隙があり、ジブ3には重力が作用するのみである。従って、ジブ3は其の自重によって、図2に示される通り、枢着位置26から鉛直に垂下された状態に保持され、また、揺動部材24も、其の自重によって、枢着部25から鉛直に垂下された状態に保持されている。
【0029】
次いで、オペレータが運転席からの操作で主巻ウインチ7を駆動して主巻ワイヤ9の巻き取りを開始すると、メインフック10が徐々に上昇し、図3に示されるようにして、メインフック当接面24bを下方に向けた姿勢を保持している揺動部材24のメインフック当接面24bにメインフック10の基部が当接する。
【0030】
揺動部材24は、主巻ワイヤ用トップシーブ4の枢着位置26よりもブーム2の先端寄りの位置でブーム2に枢着され、且つ、メインフック10を上昇させる力は主巻ワイヤ用トップシーブ4とメインフック10とを結ぶ線、つまり、メインフック当接面24bの中央部を通る法線Aに沿って作用しているので、メインフック当接面24bにメインフック10の基部が当接することによって揺動部材24に作用する力は、枢着部25を中心として揺動部材24の先端のメインフック当接面24bをブーム2の下面側に揺動させる方向、要するに、図3中の反時計方向に働くことになる。
【0031】
従って、メインフック10の上昇に伴って揺動部材24が徐々にブーム2の下面側に向けて揺動し、揺動部材24に設けられたローラ28がジブ3上のドック27に当接して此れを押圧する。
【0032】
この結果、主巻ワイヤ用トップシーブ4と同軸上に枢着されたジブ3が、図2および図3に示されるような予備格納位置から更にブーム2の下面側に向けて揺動し、図4に示されるような格納位置に位置決めされることになる。
【0033】
この際、通常の荷役作業の場合よりも駆動トルクを制限した状態で主巻ウインチ7を駆動することで、主巻ワイヤ9の過剰なテンションで生じる可能性のある機構各部の損傷を未然に防止することができる。
【0034】
最終的に、ブーム2側の自動ロックピン20を作動させてジブ3の係止片19を係止することでブーム2の下面にジブ3を固定し、主巻ウインチ7の駆動を停止して、ジブ3の格納作業を完了する。
【0035】
ジブ3の格納に必要とされる操作は、主巻ワイヤ9の巻き取りに必要とされる主巻ウインチ7の駆動操作のみであり、この操作は運転席からのレバー操作で簡単に行なうことができるので、オペレータによる野外作業が大幅に軽減される。
【0036】
揺動部材24の揺動中心となる枢着部25はジブ3の枢着位置よりもブーム2の先端寄りの位置にあるので、揺動部材24のローラ28をジブ3のドック27に当接させた状態で揺動部材24およびジブ3を揺動させると、ローラ28とドック27との間に相対移動が生じ、図3および図4に示されるように、ローラ28がドック27の斜面に沿ってジブ3の基部側に移動することになるが、ローラ28は回転自在な状態で揺動部材24に取り付けられているので、ローラ28とドック27との間にカジリや磨耗等の損傷が発生することはない。
【0037】
また、クレーン車6を移動させる場合には、図5に示されるように、ジブ3を格納したブーム2を完全に寝かせた状態でクレーン車6を走行させることになるが、メインフック10は、ジブ3を格納した段階で既にブーム2の裏面側の揺動限度に格納されているので、メインフック10の先端が不用意に地面に接触したり、走行中の振動でメインフック10が振り回されるといった問題が発生することもない。
【0038】
つまり、本実施形態の揺動部材24は、メインフック10を格納するフックインブラケットの機能も兼ねており、メインフック10の格納は、ジブ3の格納時に同時に行なわれることになる。
【0039】
一方、格納状態にあるジブ3の振り出し作業に際しては、前記と逆の作業手順を踏むことになる。
【0040】
ジブ3を振り出す際には、まず、図4に示されるように70°前後の角度までブーム2を立ち上げ、ブーム2の姿勢を保持したまま、自動ロックピン20の係合を解除して主巻ウインチ7を駆動し、主巻ワイヤ9の巻き戻しを開始する。
【0041】
この結果、メインフック10の基部が揺動部材24のメインフック当接面24bを押圧する力が徐々に緩み、ジブ3は其の自重によって枢着位置26を中心として図4中の時計方向に徐々に揺動し、図3に示されるように、枢着位置26から鉛直に垂下された状態にまで振り出されることになる。
【0042】
この際、主巻ワイヤ9の巻き戻しに伴って揺動部材24がジブ3を支えながら徐々に時計方向に揺動するので、従来のように、予備ワイヤを利用してジブ3の飛び出しを防止する必要はない。つまり、ジブ3の格納時と同様、ジブ3の振り出し作業に際しても、実際にオペレータに要求される作業は主巻ウインチ7の駆動操作のみであり、オペレータによる野外作業は不要である。
【0043】
最終的に、図2に示されるように、揺動部材24におけるメインフック当接面24bの下面とメインフック10の基部との間に或る程度の間隙が形成され、メインフック10の基部が揺動部材24に干渉しなくなった時点で主巻ウインチ7の巻き戻しを停止し、補巻ワイヤ13をジブ3の先端に取り付けて、ブーム起伏シリンダの縮退動作でブーム2を倒しながら補巻ワイヤ13を巻き取って、ブーム2およびジブ3をインチワーム状に伸長させることでジブ3の振り出し作業を完了させる。
【0044】
揺動部材24の枢着部25とジブ3の枢着位置26はブーム3の長手方向にオフセットして配置されているので、揺動部材24のローラ28とジブ3のドック27とが実際に当接するのは、ジブ3がブーム2に対してかなり接近した状態、つまり、図2〜図4に示されるような予備格納状態や格納状態の周辺の姿勢に限られる。
【0045】
これに対し、ジブ3がブーム2に対して大きく振り出されて揺動部材24がジブ3の下面から離間する方向に揺動した状態では、前述した枢着位置のオフセットのためにローラ28がドック27の位置を越えてジブ3の先端側に移動し、ローラ28とドック27との干渉が解消される。前述した通り、ドック27は二股状に分かれたジブ3の基部の内側に固設されており、また、揺動部材24の片側に枢着されたローラ28は、二股状に分かれたジブ3の内側に干渉しないように配備されているので、揺動部材24がジブ3の下面から離間する方向に大きく揺動してローラ28とドック27との干渉が解消された状態では、ローラ28を支えるものは存在せず、揺動部材24は、其の自重によって、枢着部25から鉛直に垂下された状態に保持されることになる。
【0046】
従って、ジブ3を完全に振り出した状態においても揺動部材24およびメインフック10を鉛直に垂下することが可能である。
【0047】
以上、一実施形態として、揺動部材24の側にローラ28を配備して加圧部とする一方、ジブ3にドック27を配備して受圧部とした例について述べたが、揺動部材24側の加圧部とジブ3側の受圧部を共にローラによって構成してもよいし、また、揺動部材24側の加圧部としてドックを設ける一方、ジブ3側の受圧部としてローラを設けるようにしてもよい。更には、揺動部材24側の加圧部とジブ3側の受圧部を共にドックによって構成することも可能である。
【0048】
また、加圧部と受圧部とが当接するブーム2の立ち上げ角度を検知するセンサや該センサからの信号を受けて作動する表示器あるいはブザー等の報知手段を設けることにより、ジブ3の格納や振り出し作業を更に円滑に実施することが可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によるクレーン車のジブ格納装置は、主巻ワイヤの巻き取りによってメインフックを上昇させてジブの枢着位置よりもブーム先端寄りに枢着した揺動部材をブーム裏面に接近する方向に揺動させ、揺動部材に設けた加圧部をジブ上の受圧部に当接させて揺動部材と共にジブを揺動させることでブームの裏面にジブを折り畳むようにしたので、ジブの格納に必要とされる操作は主巻ワイヤ用のウインチの駆動操作のみで済み、運転席からの極めて簡単な操作でジブを格納することができ、ワイヤの接続作業を始めとする野外作業も不要となる。
【0050】
また、揺動部材の動きをジブに伝達するために必要とされる受圧部と加圧部のうち、少なくとも其の一方を回転自在なローラによって構成しているので、圧接状態で相対移動する受圧部と加圧部との間に生じる可能性のあるカジリや磨耗等の損傷も未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態のクレーン車のジブ格納装置の要部を示した側面図である。
【図2】クレーンの全体構造を示した側面図である。
【図3】ジブの予備格納状態でメインフックの基部がメインフック当接面に当接したときの状況を示した側面図である。
【図4】ジブの格納が完了した状態を示した側面図である。
【図5】ジブ格納装置を備えたクレーンを装着したクレーン車の外観を示した側面図である。
【符号の説明】
1 クレ−ン
2 ブーム
3 ジブ
4 主巻ワイヤ用トップシーブ
5 主巻ワイヤ用ガイドシーブ
6 クレーン車
7 主巻ウインチ
8 ガイドローラ
9 主巻ワイヤ
10 メインフック
11 補巻ワイヤ用トップシーブ
12 補巻ワイヤ用ガイドーシーブ
13 補巻ワイヤ
14 シーブ
15 サブフック
16 油圧シリンダ
17 ピストンロッド
18 ロッド固定用ブラケット
19 係止片
20 自動ロックピン
21 旋回体
22 ステープル
23 クレーン車のジブ格納装置
24 揺動部材
24a 揺動部材本体
24b メインフック当接面
25 枢着部
26 主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置(ジブの枢着位置)
27 ドック(受圧部)
28 ローラ(加圧部)
A メインフック当接面の中央部を通る法線
B 法線からブーム先端に向かう方向

Claims (2)

  1. ブーム先端部に枢着されるジブと、ブーム先端部の主巻ワイヤ用トップシーブに掛けられた主巻ワイヤに懸吊されたメインフックとを備えたクレーン車のジブ格納装置において、
    揺動部材本体の先端にメインフック当接面を備えた揺動部材を設け、前記メインフック当接面の中央部を通る法線からブーム先端に向かう方向にオフセットされて前記メインフック当接面から離間した揺動部材本体上の位置に、この揺動部材を前記ブームに取り付けるための枢着部を形成し、
    前記主巻ワイヤ用トップシーブの枢着位置よりもブーム先端寄りのブーム上の位置に、前記枢着部を介して前記揺動部材を揺動自在に枢着すると共に、
    この揺動部材に、前記ジブ上に形成された受圧部を押圧するための加圧部を設けたことを特徴とするクレーン車のジブ格納装置。
  2. 前記受圧部と加圧部のうち少なくとも一方が回転自在なローラによって構成され、これらの受圧部および加圧部は、前記ジブがブーム下面と接近する予備格納位置に揺動した状態で前記揺動部材を前記ブームの下面に向けて揺動させた際に、相互に当接する位置に配備されていることを特徴とする請求項1記載のクレーン車のジブ格納装置。
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