JP2005013863A - 排水処理剤及び排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比べて高い水質改善効果を得ることができる。
【解決手段】排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去する。また、排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去する。水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムの組成は、重量比(水酸化アルミニウム/硫酸アルミニウム)で1/1000〜1/10の範囲内である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤及び硫酸アルミニウムを用いる排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硫酸アルミニウムは、製紙用、浄水用、排水PH調整用、塗料及び顔料用、医薬品用等、各種の産業分野において極めて重要な工業用薬品であり、中でも上水道、工業用水、工業排水、都市下水等の浄水用の無機凝集剤として従来から広く用いられている。硫酸アルミニウムを用いた凝集剤としては従来から様々なものが提案されており、例えば、硫酸アルミニウム20〜40重量部、硫酸カルシウム30〜60重量部と、PH調整剤として前記硫酸アルミニウムに対して重量比で約3:2の割合のアルカリ金属炭酸塩と凝集フロック沈降剤としてセメント粉末5〜15重量部が配合された凝集主剤に対してゼオライト粉粒体が5〜20重量部均一に配合されてなる凝集剤等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−136409号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年の環境保全への関心の高まりから、排水処理後の放流水の水質についても規制がより厳しくなる傾向にある。このため、例えば特許文献1等のような既存の凝集剤を上回る凝集性能を示し、水質改善効果の高い排水処理剤の開発が待ち望まれている。
【0005】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、従来に比べて高い水質改善効果を得ることができる排水処理剤及び排水処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る排水処理剤は、水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有することを特徴とする。
【0007】
以上のような排水処理剤は、無機系凝集剤として一般に利用されている硫酸アルミニウム中に水酸化アルミニウムを混在させることによって、排水処理に用いられたときに高い凝集性能を示すものとなる。
【0008】
また、本発明に係る排水処理方法は、排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去することを特徴とする。また、本発明に係る排水処理方法は、排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る排水処理方法によれば、排水処理に際して、無機系凝集剤として一般に利用されている硫酸アルミニウムとともに、水酸化アルミニウムを利用することによって、硫酸アルミニウム単独で利用する場合に比べて凝集性能を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る排水処理剤及び排水処理方法について説明する。本発明の排水処理剤は、無機系凝集剤の一種である硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、及び水酸化アルミニウムを含有するものである。
【0011】
ここで用いられる硫酸アルミニウムとしては、浄水用(水道水)、工場排水用(工業用水、下水産業排水、製紙排水、土木排水、染料排水等の各種産業排水)や、顔料、消火器、プール及び浴場浄化、染色助剤、サイジング、医薬品、皮革なめし剤、建材、コンクリート急結剤等のいずれの用途のものであってもよいが、中でも浄水用や工場排水用の硫酸アルミニウムが凝集性及びコストの面で好適である。用いられる硫酸アルミニウムの形状としては、粉末状や塊状の固体や、液体等のいずれであってもよく、具体的には日本工業規格JIS K 1450−1996(水道用硫酸アルミニウム)及びJIS K 1423−1970(硫酸アルミニウム)の液体状のものを挙げることができる。
【0012】
水酸化アルミニウムとしては、通常、ボーキサイトを苛性ソーダ溶液で溶解して得たアルミン酸ソーダ水溶液に炭酸ガスを通すか、又は種晶を加えて水酸化アルミニウムを晶出させて製造される。形状としては、粉末状(ウェット、ドライ等)、水とのスラリー状等が挙げられ、また、医薬品、陶磁器、硝子、耐火物、触媒及び触媒単体、樹脂、ゴム、紙用難燃剤、人造大理石、歯磨き剤、硫酸バンドの原料等として使用されているもの等、いずれも使用可能である。中でも、低価格であることから、硫酸バンドの原料として使用されている水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0013】
本発明の排水処理剤は、上述したような硫酸アルミニウム(粉体品や液状品)及び水酸化アルミニウムを所定量混合することによって製造することができる。
【0014】
また、本発明の排水処理剤は、硫酸と水酸化アルミニウムとを反応させて硫酸アルミニウムを製造する際に、硫酸のモル数に対して過剰の水酸化アルミニウムを存在させて反応させることによって製造することもできる。具体的には、例えば特開2003−160334号公報に記載されるような、硫酸と水酸化アルミニウムとを過酸化水素や過酸化水素水等の過酸化物の存在下に反応させることにより、加熱源を必要とすることなく低温且つ短時間で硫酸アルミニウムを製造できる硫酸アルミニウムの製造方法を応用することによって、本発明の排水処理剤を製造することができる。すなわち、上記の方法において、硫酸に対して過剰量の水酸化アルミニウムを反応系に存在させることによって、硫酸アルミニウム中に未反応の水酸化アルミニウムが不溶解成分として混入した、本発明の排水処理剤を製造することができる。通常、硫酸アルミニウムを製造する際には、フィルター等を用いて未反応の水酸化アルミニウムを分離する工程が存在するが、本発明ではこの工程は不要である。
【0015】
排水処理剤の原料として用いる硫酸の品質としては、工業用や試薬グレードのもの、半導体工業等で利用される高純度品、各種部品や製品の洗浄液として使用されたもの、中でも半導体の製造工程でレジスト剥離や洗浄液として利用されたもの等のいずれであってもよい。また、発煙硫酸や無水硫酸もしくはこれらの廃液であってもよい。特に、資源の有効利用やコストダウンの観点から、一度ある目的に使用された廃硫酸を用いることが望ましい。
【0016】
また、排水処理剤の原料として用いられる過酸化水素水等の過酸化物は、濃度や品質は試薬グレードや工業グレードのもの、一度ある目的に使用された過酸化水素水を含む廃液等であってもよい。例えば、半導体製造工場でレジスト剥離等の洗浄液として使用された硫酸廃液中に含有される過酸化水素水等の過酸化物であってもよい。なお、資源の有効利用、コストダウンの観点から、この廃硫酸中に含まれる過酸化水素水等の過酸化物を原料として用いることがより望ましい。
【0017】
なお、排水処理剤の製造原料として用いられる廃硫酸は、事業所から回収された廃硫酸に過酸化水素水及び/又は水を混合することによって濃度調整を行い、付加価値を高めた再資源化硫酸であってもよい。
【0018】
本発明の排水処理方法では、上述の硫酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムを含む排水処理剤を用いて、例えば以下のように排水処理を行うことができる。
【0019】
先ず、排水に、水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を添加する。本発明の処理対象となる排水は、工場から排出される無機系の排水や、一般家庭等から排出される生活排水(下水、屎尿、その他各種有機系排水)等のいずれであってもよい。
【0020】
次に、排水と排水処理剤とが均一に混合するように撹拌して、排水処理剤と微粒子や懸濁物質等の物質とを接触させてこれらを凝集させ、凝集物(フロック)を形成する。このとき、必要に応じて後述するような他の種類の無機系凝集剤や、高分子凝集剤等を排水中に存在させても構わない。
【0021】
次に、形成したフロックを例えばろ過等によって排水から除去する。必要に応じて、除去されたフロックを脱水し、ケーキを作製する等の処理を行う。脱水機としては、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、遠心脱水機、真空脱水機、スクリュープレス脱水機等の従来からこの分野で使用されている脱水機を使用することができる。脱水されたケーキに対しては、公知の方法によって焼却処理や埋め立て処理を施すことができる。
【0022】
従来の排水処理では、排水中に添加された硫酸アルミニウム(Al(SO)は、pH5.5〜pH8.0の範囲内で排水中のアルカリ成分と反応して水酸化アルミニウム(Al(OH))を生じ、この生成した水酸化アルミニウムが排水中の微粒子や懸濁物質等の物質を吸着し、さらにそれらが吸着及び凝集しあって次第に大きな重いフロックに成長し、沈降する。
【0023】
本発明は、排水へ硫酸アルミニウムとともに水酸化アルミニウムを添加することによって、排水中で水酸化アルミニウムを生成させる場合に比べて、硫酸アルミニウムから水酸化アルミニウムを生成し易くすることができる。すなわち、水酸化アルミニウムによる凝集物の種を形成させ易くし、これにより凝集効果を向上させることができる。以上のように、硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとを併用することによって、高い凝集効果を得ることができ、水質を大幅に改善することができる。
【0024】
なお、本発明の排水処理方法は、上述の水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を用いる方法に限らず、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとを別々に排水に添加する方法であってもよい。
【0025】
この場合、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとを排水に添加する順序としては、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとを同時に添加する場合、水酸化アルミニウムを先に添加する場合、又は硫酸アルミニウムを先に添加する場合が考えられるが、特に同時添加又は水酸化アルミニウムを先に添加する順序が好ましい。また、排水処理の同一工程内で両者を添加してもよいし、2箇所以上の異なる工程でそれぞれの薬剤を添加してもよい。
【0026】
排水への排水処理剤(水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウム)の添加量は、排水の種類や被凝集物質の濃度等によって異なるが、通常は排水に対して数〜数千ppmが好ましく、数十〜数百ppmがより好ましい。
【0027】
また、水酸化アルミニウムの添加によって、排水中で硫酸アルミニウムから水酸化アルミニウムを生成し易くするためには、排水処理剤中の硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの含有比率は、純分の重量比で水酸化アルミニウム/硫酸アルミニウム=1/1000〜1/10であることが好ましく、5/1000〜5/100であることがより好ましい。水酸化アルミニウムの含有比率が上記範囲より少ないと凝集効果の向上が不充分であり、逆に上記範囲を上回ると排水中の水酸化アルミニウム(不溶解成分)が増加することになり、処理水の水質(濁度)を低下させるおそれがある。なお、硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとを別々に排水へ添加する場合の添加比率は、上述の排水処理剤中の含有比率と同様とすることができる。
【0028】
なお、本発明では、必要に応じて以下に示すような他の無機系凝集剤や、高分子凝集剤等を併用することができる。
【0029】
具体的な他の無機系凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、塩化コッパラス、変性塩基性硫酸アルミニウム(LACS)、活性シリカ等が挙げられる。
【0030】
高分子凝集剤としては、アニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤を挙げることができる。
【0031】
アニオン性高分子凝集剤としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド又はメタクリルアミドとの共重合体及びその塩類、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド又はメタクリルアミドと2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸又はビニルメチルスルホン酸との3元共重合体及びその塩類、アルギン酸やグアーガム、カルボキシメチルセルロース、澱粉の各ソーダ塩、ポリスチレンスルホン酸及びその塩類、ポリアクリロニトリルの加水分解物等を挙げることができる。
【0032】
カチオン性高分子凝集剤としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級化物若しくは酸塩、又はこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体又は共重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの4級化物若しくは酸塩、又はこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体又は共重合体、ポリアクリルアミドのカチオン変性物、エピハロヒドリン−アミン縮合物、ポリビニルイミダゾリンとその4級化物若しくは酸塩、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド縮合物、ポリエチレンイミンとその4級化物若しくは酸塩、ポリビニルイミダゾールとその4級化物若しくは酸塩、ポリ−4ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、キトサンとその塩類、N−ビニルホルムアミド/アクリロニトリルコポリマーの酸性加水分解物と4級化物若しくは酸塩、ポリビニルピリジンと4級化物若しくは酸塩、水溶性アニリン樹脂と4級化物若しくは酸塩、アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、アニリン−ホルムアルデヒド重縮合物、ポリヘキサメチレンチオ尿素酢酸塩、ポリアミノ酸等を挙げることができる。
【0033】
ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
【0034】
両性高分子凝集剤としては、アクリルアミドモノマーとN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー(又はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー及び両者)、及びアクリル酸との共重合物等を挙げることができる。
【0035】
なお、排水処理の際には、上述の凝集剤以外に、(有機)凝結剤、キレート樹脂、キレート剤、活性炭、オゾン、イオン交換樹脂、イオン交換膜、吸水性樹脂、過酸化水素水、塩素、液体塩素、次亜塩素酸ソーダ、二酸化炭素、さらし粉、塩素化イソシアヌル、けいそう土、酸化チタン等の光触媒、生物処理剤の各種副処理剤を併用してもよい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0037】
無機系凝集剤(排水処理剤)として、以下の(a)〜(d)の4種類を用意した。
(a)硫酸アルミニウム:住友化学社製(工業用液体 8%品)
(b)PAC(ポリ塩化アルミニウム):住友化学社製(JIS−PAC品 10.3%品)
(c)水酸化アルミニウム:住友化学社製(C12S)
(d)合成硫酸アルミニウム
【0038】
合成硫酸アルミニウム(d)は、以下のようにして合成した。すなわち、先ず、保温材により反応釜外壁を覆った撹拌機付きの反応釜に、水18gと粉末状の水酸化アルミニウム(和光純薬社製の試薬)22.5gとを加え、撹拌を行い、次に、室温下で、撹拌を行いながら80重量%の硫酸(和光純薬社製の試薬を80重量%に調整したもの)を5分かけて滴下した。滴下終了後、5分間熟成を行った後、反応液に水28gを加えて希釈を行い、これを合成硫酸アルミニウム(d)とした。得られた反応液は、未反応の水酸化アルミニウムによって白濁していた。この合成硫酸アルミニウム中の、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの重量比は、水酸化アルミニウム(純分重量)/硫酸アルミニウム(純分重量)=0.019である。
【0039】
排水として、半導体工場からのフッ素系排水(pH:10.3、SS(suspended solid):750mg/l、フッ素イオン:25mg)を用い、以下の手順によってジャーテストによる凝集処理評価を行った。
【0040】
〈サンプル1〉
1)排水に、無機系凝集剤として硫酸アルミニウム(a)を700mg添加し、pH調整(pH6.0)を行った。
2)反応釜内を150rpmで撹拌した。
3)反応釜内に高分子凝集剤(オルガノ社製、オルフロックAP−1)を3mg/l添加した。
4)40rpmで撹拌を行った。
5)30分静置後に上澄み液を採集し、分析を行った。
【0041】
無機系凝集剤添加後のフロック形成については、該無機凝集剤添加後の形成凝集物が、攪拌により形状変化を受けない(つぶれない)ものを◎、一部変化を受けてものを○、攪拌時間とともに変化して行く(小さくなって行く)ものを△として評価した。また、無機系凝集剤添加後の凝集速度を測定した。
【0042】
また、高分子凝集剤添加後の処理水(上澄み液)の外観については、目視確認で濁りや着色が全くないものを◎、わずかに確認できるのものを○、明らかに確認できるのものを△として評価した。また、高分子凝集剤添加後の処理水について、pH、SS、フッ素イオン濃度及び濁度を測定した。
【0043】
〈サンプル2〉
無機系凝集剤としてPAC(b)を700mg/l用いたこと以外は、サンプル1と同様にして凝集処理評価を行った。
【0044】
〈サンプル3〉
無機系凝集剤として、水酸化アルミニウム(c)を0.5mg/lと硫酸アルミニウム(a)を699.5mg/lとを、(c)を先、(a)を後で逐次添加したこと以外は、サンプル1と同様にして凝集処理評価を行った。
【0045】
〈サンプル4〉
無機系凝集剤として、水酸化アルミニウム(c)を100mg/lと硫酸アルミニウム(a)を600mg/lとを添加したこと以外は、サンプル3と同様にして凝集処理評価を行った。
【0046】
〈サンプル5〉
無機系凝集剤として、水酸化アルミニウム(c)を2mg/lと硫酸アルミニウム(a)を690mg/lとを添加したこと以外は、サンプル3と同様にして凝集処理評価を行った
【0047】
〈サンプル6〉
無機系凝集剤として、水酸化アルミニウム(c)を10mg/lと硫酸アルミニウム(a)を690mg/lとを添加したこと以外は、サンプル3と同様にして凝集処理評価を行った。
【0048】
〈サンプル7〉
無機系凝集剤として、合成硫酸アルミニウム(d)を700mg/l添加したこと以外は、サンプル1と同様にして凝集処理評価を行った。
【0049】
以上のサンプル1〜サンプル7について、無機系凝集剤添加後の凝集状態、及び高分子凝集剤添加後の上澄み液についての評価及び測定結果を、下記表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2005013863
表1から、サンプル5〜サンプル7においては、硫酸アルミニウムを単独で用いたサンプル1及び他の無機系凝集剤を用いたサンプル2に比べて、無機系凝集剤添加後の凝集特性が良好であり、また、処理後の水質の各項目も優れた値を示した。したがって、水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを併用すること、または、水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を用いることによって、排水の水質改善効果を向上できることがわかる。
【0051】
また、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの添加比率が0.5/699.5であるサンプル3は、硫酸アルミニウムを単独で用いたサンプル1とほとんど評価結果が変わらず、また、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの添加比率が100/600であるサンプル4は、サンプル5及びサンプル6に比べて凝集特性及び水質の評価結果が劣っていた。このことから、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの添加量には最適範囲が存在することがわかる。具体的には、水酸化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの添加量(重量)を、水酸化アルミニウム/硫酸アルミニウム=1/1000〜1/10とすることが好ましく、5/1000〜5/100とすることがより好ましい。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、従来の排水処理剤に比べてより高い凝集性能を示し、排水の水質を大幅に改善することができる排水処理剤を提供することができる。また、本発明によれば、硫酸アルミニウムとともに水酸化アルミニウムを用いることによって、高い水質改善効果を得ることができる排水処理方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有することを特徴とする排水処理剤。
  2. 上記水酸化アルミニウムと上記硫酸アルミニウムの組成が、重量比(水酸化アルミニウム/硫酸アルミニウム)で1/1000〜1/10の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の排水処理剤。
  3. 上記水酸化アルミニウムと上記硫酸アルミニウムの組成が、重量比(水酸化アルミニウム/硫酸アルミニウム)で5/1000〜5/100の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の排水処理剤。
  4. 排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含有する排水処理剤を添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去することを特徴とする排水処理方法。
  5. 排水に水酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムを添加し、排水中の物質を凝集させて凝集物とし、当該凝集物を排水から除去することを特徴とする排水処理方法。
  6. 上記水酸化アルミニウムと上記硫酸アルミニウムとを同時に添加、又は上記水酸化アルミニウムを先に添加することを特徴とする請求項5記載の排水処理方法。
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