しかしながら、上述の従来の構成においては、位置ずれを正確に読取るため、基準となる画像のテストチャート等を周辺機器の画像読取装置を用いて読取る際に、正しく調整の済んだ、読取りずれのない画像読取装置が必要になるという問題がある。また、画像形成装置の調整のために多数回の操作が必要となり、調整が面倒であるという問題がある。
すなわち、従来の構成においては、まず発生している位置ずれを正しく把握するために、シート上に形成された画像を例えば目視で確認し、位置ずれの状態や量を画像読取装置で判断する。そして、その結果に基づいて画像形成装置を調整している。このため、読取りずれのある画像読取装置を用いると、位置ずれを正しく把握することができずに、調整できなくなってしまう。なお、このような調整は、製造段階、サービスマンによる設置段階や、画像形成に関わる部品やユニットを交換した場合等に、組立て調整担当者やサービスマンが行っている。
また、例えば画像形成装置と画像読取装置とがセットとなった複合機(複写装置)を考えると、この複合機の画像形成を調整するためには、画像読取装置側の調整も必須となる。すなわち、画像データを画像形成装置に入力するための画像読取装置では、原稿を読取った場合に位置ずれした画像データが生成してしまうと、そのままの状態でデータを画像形成装置に入力してしまう。このため、調整が完了している画像形成装置であっても、位置ずれした画像形成が行われる。なお、画像読取装置も、このように読取位置の調整が必要となるので、組立て調整担当者やサービスマンが調整を行っている。
このため、例えば画像形成装置に画像読取装置がセットされた複合機(複写装置)では、基準のデータに基づいて画像形成され出力された印刷物(画像形成物:テストチャート)を画像読取装置で読取り、画像形成装置のシートに対する画像の位置や倍率を調整するのが一般的である。そのためには、調整済みの画像読取装置が必要となる。つまり、画像読取装置と画像形成装置の両者が調整前の状態である場合には、画像読取装置が先に調整されその後に画像形成装置を調整する手順で調整がされる。
この場合、画像読取装置を調整するために基準となる原稿(基準チャート)が必要となり、サービスマンなどは常にその基準チャート持参する必要がある。また、基準チャートを忘れた場合には調整ができないという問題がある。
また、従来は、テストチャートを読み込んで画像読取装置を調整した後に、再度テストチャートを読み取って、そのデータを画像形成装置にてシートに印刷し、そのシートを再度読み取りして画像形成装置を調整するといった手順で調整をしている。このため、調整のための操作が多数回にわたり、非常に面倒であるという問題がある。
また、シートを収容する収容手段が画像形成装置に複数設けられている場合に、シートに形成する画像の位置や倍率を調整する際には、調整をシート収容手段ごとに行うことになる。しかしながら、収容手段を区別してそれぞれ調整を行う作業は非常に面倒である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成された画像を読み取る読取装置等の読取手段が正しく調整されていなくても、画像形成装置のシートに対する画像の位置や倍率など、画像の形成条件の調整を正しく行うことのできる画像形成装置の調整方法と、その方法を用いて調整を行う画像形成装置を提供することにある。
また、本発明は、画像読取装置と上述の画像形成装置とを備え、画像読取装置の画像読取条件の調整を正しく行うことのできる画像形成システムの調整方法、および画像形成システムを提供することを目的とする。また、本発明は、上述の画像形成装置と組み合わせて、画像読取条件の調整を正しく行うことのできる画像読取装置の調整方法を提供することも目的とする。
また、本発明は上記の問題に臨みて、シートを収容する収容手段が画像形成装置に複数設けられている場合であっても、シート収容手段ごとの調整を容易に行うことのできる画像形成装置の調整方法、画像形成装置、および画像形成システムを提供することも目的とする。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成する形成工程を含み、これによりシートに形成された画像を読取手段で読み取り、読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、該補正値を用いて画像形成装置を調整することを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記形成工程において、シートの縁辺全てを含む領域に画像を形成することを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記補正値は、上記シートのサイズを基準として求められることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記形成工程では、画像形成装置の副走査方向にシートの長手方向が設けられていることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記読取手段の副走査方向にシートの長手方向を設けて読み取りを行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記読取手段の読取領域にシートを載置するときに、読取手段の原稿基準部材とシートの端部との間に隙間を設けることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、さらに、上記読取手段で上記シートのサイズを読み取る工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、さらに、上記シートに形成された画像のうち、シートの搬送方向と直交する方向の前方に形成された画像の幅を求める工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、さらに、上記シートに形成された画像のうち、シートの搬送方向と平行な方向の前方に形成された画像の幅を求める工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記読取手段は3色の光電変換素子を備えたカラー読取手段であり、上記3色の光電変換素子のうちいずれか1色の光電変換素子を用いて上記シートに形成された画像を読み取ることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記読取手段は、シートに画像を形成するときに使用する色材の補色となる色の光電変換素子を用いて読み取りを行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述のいずれかの調整方法を用いて調整を行う画像形成装置であって、画像データに応じて、像担持体に静電潜像を形成する書込み手段と、シートを搬送する搬送手段と、シートに形成された画像を読み取る読取手段と、上記読取手段でシートに形成された画像を読取ることで得られる読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める演算手段と、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成するよう上記書込み手段の動作を制御し、上記補正値に基づいて上記書込み手段および上記搬送手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述のいずれかの調整方法で調整を行う画像形成装置であって、画像データに応じて、像担持体に静電潜像を形成する書込み手段と、シートを搬送する搬送手段と、読取手段でシートに形成された画像を読み取ることで得られる読取データが入力されるデータ入力手段と、上記読取データから得られるシートに対する画像の形成条件を補正する補正値が入力される操作手段と、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成するよう上記書込み手段の動作を制御し、上記補正値に基づいて上記書込み手段および上記搬送手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、さらにレジスト補正データを有しているとともに、複数の色材を用いて画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えており、上記色材のうち1つの色材を用いて上記形成工程を行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記複数の画像形成ステーションではそれぞれ異なる調整を行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、画像形成装置と画像読取装置とを含む画像形成システムを調整する画像形成システムの調整方法であって、シートに対する画像の形成条件を補正するための形成補正値およびシートに対する画像の読取条件を補正するための読取補正値を求めるために、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして、上記画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成工程と、上記画像形成工程において画像が形成された上記シートを上記画像読取装置にて読取ることによって、上記形成補正値および上記読取補正値を求める補正値取得工程とを含んでおり、さらに、上記補正値取得工程にて取得した上記読取補正値を用いて、上記画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正する読取補正工程、および上記補正値取得工程にて取得した上記形成補正値を用いて、上記画像形成装置におけるシートに対する画像の形成条件を補正する形成補正工程、を有していることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記画像形成工程において、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域として、上記シートの縁辺全てを含む領域に、枠状の枠画像を形成することを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程において、上記読取補正値を、上記シートのサイズを基準として求めることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記画像形成工程において、上記シートとして、上記画像読取装置の読取り可能な最大サイズに満たないサイズのシートを使用することを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記シートの長手寸法が、上記画像読取装置の読取り可能な最大サイズのシートの短手寸法と同じである場合に、上記画像形成工程において、上記シートの長手方向が上記シートの搬送方向と平行となるように上記シートに画像を形成し、上記補正値取得工程において、上記画像読取装置の原稿台に設けられた原稿基準部材に対して上記シートの短手側の辺が平行となるように、または当接させるように、上記原稿台に載置された上記シートを読取ることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程において、上記画像読取装置の原稿台に設けられた原稿基準部材の基準マークに合わせるように上記原稿台に載置された上記シートから、上記シートに形成された上記枠画像の外枠を読取ることによって上記読取補正値を求め、上記読取補正工程において、上記読取補正値を用いて、上記画像読取装置の読取領域を補正することを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、上記枠画像の外枠の主走査方向における両端位置を読取ることによって、上記画像読取装置の読取領域における主走査方向のセンター位置の補正値を求める主走査読取補正値取得工程を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、上記枠画像の外枠の副走査方向の読取りにおける後端位置を読取ることによって、上記画像読取装置の副走査方向における読取開始位置の補正値を求める副走査読取補正値取得工程を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記シートに形成された上記枠画像の外枠と内枠とを読取ることによって、上記形成補正値として、上記画像形成装置の画像書込み倍率と画像書込み開始タイミングとの補正値を求める形成補正値取得工程を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、読取位置ずれの補正値を取得する読取位置補正値取得工程を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程において、上記シートを上記画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、上記読取位置補正値取得工程および上記形成補正値取得工程を行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取位置補正値取得工程の前に、上記読取補正値として、読取倍率の補正値を取得する読取倍率補正値取得工程を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程において、上記シートを上記画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、上記読取位置補正値取得工程および上記読取倍率補正値取得工程を行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムは、シートに画像を形成するための画像形成部と、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取るための読取手段と、上記読取手段にて上記シートを読み取って得た、上記画像形成部による上記シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるための演算手段とを有し、上記画像形成部が上記演算手段の求めた上記補正値を用いて画像形成を行う画像形成システムであって、上記補正値を求めるために、上記画像形成部が、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして画像を形成することを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムは、上記構成において、上記画像形成部は、複数の色材を用いて画像を形成可能であり、上記画像形成部は、上記補正値を求めるために、少なくとも何れか1つの色材を用いて画像を形成することを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムは、上記構成において、上記読取手段は、3原色の光電変換素子を備えた、カラー画像を読取るカラー読取手段であり、上記読取手段が、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取る際に、上記3原色の光電変換素子のうち何れか1色の上記光電変換素子を用いて読取りを行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムは、上記構成において、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取る際に、上記読取手段は、上記3原色の光電変換素子のうち、上記画像形成部が上記シートに画像を形成したときに使用した色材に対して補色となる色の上記光電変換素子を用いて読取りを行うことを特徴としている。
本発明に係る画像形成システムは、上記構成において、ユーザからの入力指示を検出する操作手段を備えており、上記操作手段が、上記画像形成部の使用するシートの外形寸法、またはその補正寸法値の入力指示を検出することを特徴としている。
本発明に係る画像読取装置の調整方法は、画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正するための読取補正値を取得する読取補正値取得工程と、上記読取補正値取得工程にて取得した上記読取補正値を用いて上記画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正する読取補正工程とを含む画像読取装置の調整方法において、上記読取補正値取得工程において上記シートから上記読取補正値を求めるために、上記読取補正値取得工程よりも前に、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして、上記画像読取装置に接続された画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成工程を含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記形成工程において、上記画像形成装置の各シート収容手段からそれぞれ給送したシートに、シート収容手段に対応させて予め定めた識別マークを付加して画像を形成し、これによりシートに形成された画像を読取手段で読取り、読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値をシート収容手段に対応させて求め、該補正値を用いて画像形成装置を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記形成工程においてシート収容手段に対応した識別マークが付加された画像が形成された複数のシートを、その後にまとめて読取手段にて読取り、それぞれのシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記複数のシートを、上記読取手段の読取部に原稿を給送する原稿搬送装置にて順次給送することによって、上記読取手段にて読取りすることを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記識別マークが、上記形成工程における上記画像形成装置の画像形成部での搬送方向を表示することを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、異なるシート収容手段から給送されて画像の形成された複数のシートを読取りして上記補正値を求めるときに、画像を形成する倍率の補正値についてはいずれか1つのシートを読取りして求め、画像を形成する位置の補正値についてはシートをそれぞれ読取りして求めることを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記複数のシートを読取手段にて読取ったとき、同一のシート収容手段より給送されたシートを複数認識した場合には、同一のシート収容手段より給送されたシートから得られた補正値を平均化して、そのシート収容手段についての補正値とすることを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置は、シート収容手段から給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、上記画像形成部による上記シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める演算手段とを有し、上記画像形成部が上記演算手段の求めた上記補正値を用いて画像形成を行う画像形成装置であって、上記補正値を求めるために、上記画像形成部が、上記シート収容手段から給送されるシートに対して、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして画像を形成するとともに、シート収容手段に対応させて予め定めた識別マークを上記画像とともに上記シートに形成し、上記シートに形成した画像を上記画像形成部に接続可能な読取手段によって画像データとして読み取って、上記読取手段から送信された上記画像データを用いて上記演算手段にて上記シート収容手段に対応させて上記補正値を求め、上記画像形成部が上記シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記構成に加えて、ユーザによる選択指示を検出する操作手段を備え、シートに調整用の画像を形成するときに、1つのシート収容手段から複数のシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードと、複数のシート収容手段からそれぞれシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードとが、上記操作手段にて選択可能であることを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成システムは、上述のいずれかの画像形成装置と、上記画像形成装置の上記画像形成部によって画像が形成された複数のシートをまとめて読取り、読取って得た画像データを上記画像形成装置へと送信する読取手段とを含み、上記画像形成装置が、上記読取手段から送信された画像データを用いて、上記演算手段にて上記シート収容手段ごとに補正値を求めて、シートに対する画像の形成条件を調整することを特徴としている。
本発明の画像形成装置の調整方法は、上記の課題を解決するために、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成する形成工程を含み、これによりシートに形成された画像を読取手段で読み取り、読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、該補正値を用いて画像形成装置を調整することを特徴としている。
これによれば、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成することで、シートに形成された画像を読取手段で読み取ったときに、シートの角部を容易に読み取ることができる。そして読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める。
例えば、画像形成装置の像担持体に、少なくともシートの3つの角部をはみ出すような静電潜像を形成し、現像材像とする。これによって、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成できる。
また、例えば、印刷されたシートの3つの角部からシートのサイズを得て、これを予め記憶したシートサイズと比較する。これによって、読取手段の倍率誤差を把握して、倍率誤差の補正値を計算できる。また、例えば倍率誤差を補正した後のシートの角部のサイズと、予め記憶した角部のサイズとを比較して、位置ずれを正確に求めることができる。このようにして、補正値を求めることができる。
このように、読み取りに用いた読取手段が正確に調整されていなくても、読取手段でシートの角部に形成された画像を読み取れれば、シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求めることができる。それゆえ画像形成装置の調整を容易かつ正確に行うことができる。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、シートに対する画像の形成条件を補正するための補正値を求める補正値取得ステップと、上記補正値取得ステップにて取得した上記補正値を用いてシートに対する画像の形成条件を補正する形成補正ステップとを含む画像形成装置の調整方法において、上記補正値取得ステップにて上記補正値を求めるために、上記補正値取得ステップよりも前に、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして上記シートに画像を形成する画像形成ステップを含んでいる構成である、と表現することもできる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、上記形成工程において、シートの縁辺全てを含む領域に画像を形成することを特徴としている。
これによれば、読取手段でシートに形成された画像の前後、左右の位置関係を読み取ることで、正確な補正値を求めることができる。
また本発明の画像形成装置の調整方法は、上記補正値は、上記シートのサイズを基準として求められることを特徴としている。
画像形成装置では、一般に、縦・横の寸法が決まった既製のサイズのシートが使用される。そこで画像形成装置を調整するために用いるシートのサイズを基準として補正値を求めれば、画像形成装置を調整するための専用の基準原稿等を用いる必要がなくなる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、上記形成工程では、画像形成装置の副走査方向にシートの長手方向が設けられていることを特徴としている。
少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成するには、例えば、上記形成工程においてシートの角部から食み出す画像を形成すればよい。ところが、一般的に、画像形成装置ではシートの周辺に余白を残して画像形成を行うようになっているので、画像形成装置のタイプによっては、画像形成装置の書込み手段における書込み範囲の主走査方向の長さが、シートの長手方向の長さぎりぎりに設計されているものがある。このような画像形成装置の場合に、シートの長手方向が画像形成装置の主走査方向と平行となるように設置されると、書込み手段でシートの角部から食み出す画像を形成できないという問題がある。また、確実にシートの角部から食み出す画像を形成するためには、上記書込み範囲を広くする必要がある。そこで、形成工程において、画像形成装置の副走査方向にシートの長手方向が平行となるようにシートが設置されるようにすれば、上記書込み範囲を広くしなくても、シートの角部から食み出す画像を容易に形成することができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、上記読取手段の副走査方向にシートの長手方向を設けて読み取りを行うことを特徴としている。
読取手段における読取領域の主走査方向の長さを長くすると、読取手段のサイズが大きくなるので、その分、画像の読み取りに必要な読取センサを増やさなければならならず、コストアップとなる。また、読取手段で正確に読み取りを行うには、上記読取領域にシートを正確に載置しなければ、読み取りミスが発生してしまう。そこで、読取手段の副走査方向にシートの長手方向が平行となるようにシートを設置して読み取りを行えば、読取手段のサイズを最小限にすることで読取手段のコストを抑えることができる。またこれによれば読取領域内に余裕を持ってシートを載置することができるので、読み取りミスの発生を抑えることができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、上記読取手段の読取領域にシートを載置するときに、読取手段の原稿基準部材とシートの端部との間に隙間を設けることを特徴としている。
読取手段の読取領域にシートを載置するときに、読取手段に設けられシートの位置や大きさを示す原稿基準部材に対してシートの端部とが当接するようにシートを載置すると、シートの端部と原稿基準部材とを区別するのが困難となり、それによりシートの角部に形成された画像の読取精度が低下するおそれがある。そこで原稿基準部材とシートの端部との間に隙間を設けてシートを載置すれば、シートの角部に形成された画像を精度よく読み取ることができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、さらに、上記読取手段で上記シートのサイズを読み取る工程を含むことを特徴としている。
これによれば、画像形成装置の調整に用いるシートのサイズは予め分かっているので、このシートのサイズと、読取手段で読み取ったシートのサイズと、読み取り手段で読み取った画像データとから、画像形成装置の主走査方向および副走査方向それぞれの方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を得ることができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、さらに、上記シートに形成された画像のうち、シートの搬送方向と直交する方向の前方に形成された画像の幅を求める工程を含むことを特徴としている。
これによれば、シートの搬送方向と直交する方向の前方に形成された画像の幅と、画像形成装置の主走査方向の倍率補正値とから、主走査方向の書込みタイミングを求めることができ、この書込みタイミングから、予め設定されている主走査方向の書込みタイミングに対する補正値を求めることができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、さらに、上記シートに形成された画像のうち、シートの搬送方向と平行な方向の前方に形成された画像の幅を求める工程を含むことを特徴としている。
これによれば、シートの搬送方向と平行な方向の前方に形成された画像の幅と、画像形成装置の副走査方向の倍率補正値とから、副走査方向の書込みタイミングを求めることができ、この書込みタイミングから、予め設定されている副走査方向の書込みタイミングに対する補正値を求めることができる。
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、上記読取手段は3色の光電変換素子を備えたカラー読取手段であり、上記3色の光電変換素子のうちいずれか1色の光電変換素子を用いて上記シートに形成された画像を読み取ることを特徴としている。
カラー読取手段では、カラーCCDを用い所定の間隔で形成されたR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の光電変換素子を備えたイメージセンサで画像を3色に分解してカラー画像の読み取りを行っている。しかしながら、画像形成装置の調整を行うときには、シートに形成された画像の位置さえ読み取れればよいので、上記いずれか1色の光電変換素子を用いて読み取るほうが、読み取りを容易に行うことができ、また読み取りによって得られるデータの数が少なくなるので、読取データを演算する時間を短くすることができる。
また本発明の画像形成装置の調整方法は、上記読取手段がカラー読取手段である場合には、シートに画像を形成するときに使用する色材の補色となる色の光電変換素子を用いて読み取りを行うことを特徴としている。
これによれば、読取手段で鮮明な読み取りを行うことができるので、正確な読取データを得ることができる。
また本発明では、上記いずれかの方法によって画像形成装置の調整を行う画像形成装置を提供する。この画像形成装置は、画像データに応じて、像担持体に静電潜像を形成する書込み手段と、シートを搬送する搬送手段と、シートに形成された画像を読み取る読取手段と、上記読取手段でシートに形成された画像を読取ることで得られる読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める演算手段と、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成するよう上記書込み手段の動作を制御し、上記補正値に基づいて上記書込み手段および上記搬送手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
これによれば、画像形成装置が読取手段を有しているので、画像形成装置を調整するために、スキャナ等の専用の読取装置を準備する必要がなくなる。
また、上記いずれかの方法を用いて調整を行う画像形成装置として、画像データに応じて、像担持体に静電潜像を形成する書込み手段と、シートを搬送する搬送手段と、読取手段でシートに形成された画像を読み取ることで得られる読取データが入力されるデータ入力手段と、上記読取データから得られるシートに対する画像の形成条件を補正する補正値が入力される操作手段と、予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成するよう上記書込み手段の動作を制御し、上記補正値に基づいて上記書込み手段および上記搬送手段の動作を制御する制御手段とを有する構成としてもよい。
上記の構成によれば、読取手段で読み取った読取データに基づいて、例えばコンピュータでシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、この補正値を、操作手段を介して画像形成装置に入力することで、画像形成装置の調整を行うことができる。
また、上記画像形成装置を、さらにレジスト補正データを有しているとともに、複数の色材を用いて画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えており、上記色材のうち1つの色材を用いて上記形成工程を行う構成としてもよい。
これによれば、1つの色材を用いてシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、残りの色材に対応するレジスト補正データから補正値を求めることができる。これによれば、1つの色材を用いるだけでよいので、画像形成装置の調整を経済的に行うことができる。なお、上記構成においては、例えば書込み手段が、画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えていてもよい。
また、上記画像形成装置は、上記複数の画像形成ステーションではそれぞれ異なる調整を行う構成としてもよい。
これによれば、例えば1つの画像形成ステーションでは主走査方向および副走査方向の倍率および位置の調整を行い、残りの画像形成ステーションに関しては、主走査方向の倍率の調整を行い、副走査方向の倍率調整はレジスト補正データを用いて行うことができる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、画像形成装置と画像読取装置とを含む画像形成システムを調整する画像形成システムの調整方法であって、シートに対する画像の形成条件を補正するための形成補正値およびシートに対する画像の読取条件を補正するための読取補正値を求めるために、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして、上記画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成工程と、上記画像形成工程において画像が形成された上記シートを上記画像読取装置にて読取ることによって、上記形成補正値および上記読取補正値を求める補正値取得工程とを含んでおり、さらに、上記補正値取得工程にて取得した上記読取補正値を用いて、上記画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正する読取補正工程、および上記補正値取得工程にて取得した上記形成補正値を用いて、上記画像形成装置におけるシートに対する画像の形成条件を補正する形成補正工程、を有している構成である。
上記方法によれば、画像読取装置を調整するためのシート(印刷物)を画像形成装置からいつでも出力することができる(画像形成工程)ので、画像読取装置を調整するための特別なシート(基準原稿)が不要となり、またその特別なシートを忘れることが無い。
上記方法の補正値取得工程においては、少なくとも3つの角部を含む領域に画像が形成されたシートを読取るので、このシートの規定のサイズおよび画像形成装置にて形成した画像のサイズを基準とし、読取データと比較することによって、画像形成装置における形成条件(形成誤差)、画像読取装置における読取条件(読取誤差)を求めることができる。
また、画像形成装置から出力されたシートを少なくとも1度画像読取装置にて読取ることによって補正値を取得する(補正値取得工程)ので、その後に、画像形成装置と画像読取装置との両者を調整できる(読取補正工程、形成補正工程)。例えば、補正値取得工程におけるシートの読取を一度のみとすることもできるので、この場合には1プリント1スキャンで画像形成装置と画像読取装置との両方を調整できる。このように、上記方法によれば、調整のための手順を容易にできる。また、調整時間を短縮できる。また、シートを画像形成装置にて読取って、自動的に調整するので、サービスマン等による調整のように、個人差によって調整結果に差を生ずることがない。
なお、上記構成において、読取補正工程および形成補正工程は、どちらを先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
また、上述の画像形成システムの調整方法を、予め決められた画像データに基づいて、少なくとも3つの角部を含む領域に画像形成装置で画像を形成する工程を含み、これによりシートに形成された画像を画像読取装置で読取り、読取ったデータから画像読取装置の読取条件を補正する補正値と、画像形成装置のシートに対する画像の形成条件を補正する補正値とを求め、それぞれの補正値を用いて画像読取装置と画像形成装置とをほぼ同時に調整する構成の複合機の調整方法である、と表現することもできる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記画像形成工程において、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域として、上記シートの縁辺全てを含む領域に、枠状の枠画像を形成する構成である。
この構成によれば、シートに形成される画像が、シートから食み出すエッジいっぱいの部分と、シートの中に確実に形成される部分とを有することになる。このため、エッジと内部に形成される部分とをそれぞれ用いて、形成されている画像の倍率や左右,前後の位置関係を読取り、正確に補正値を求めることができる。特に、シートのエッジは画像形成装置による画像ずれの影響を受けないので、枠画像の外枠の情報を画像読取装置の補正に用いることができる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程において、上記読取補正値を、上記シートのサイズを基準として求める構成である。
この構成によれば、シートのサイズを基準とするので予め基準とするサイズが定まっていることと、特殊な基準原稿等を用いることなく、通常、記録シートとして用いているシートや市販の既製サイズのシートを用いることができる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記画像形成工程において、上記シートとして、上記画像読取装置の読取り可能な最大サイズに満たないサイズのシートを使用する構成である。
この構成によれば、読取り可能な最大サイズに満たない小さいサイズのシートを用いるので、確実にシートの全面を読取ることができる。一方、画像読取装置が調整前の場合に、読取り可能な最大シートを用いた場合には、画像読取装置の読取り範囲がずれていた場合にシート全面を読取ることができない場合がある。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記シートの長手寸法が、上記画像読取装置の読取り可能な最大サイズのシートの短手寸法と同じである場合に、上記画像形成工程において、上記シートの長手方向が上記シートの搬送方向と平行となるように上記シートに画像を形成し、上記補正値取得工程において、上記画像読取装置の原稿台に設けられた原稿基準部材に対して上記シートの短手側の辺が平行となるように、または当接させるように、上記原稿台に載置された上記シートを読取る構成である。
この構成によれば、副走査方向にサイズが長くなるようにシート搬送させて画像形成を行い、同じように原稿台に載置することで、それぞれの装置を必要以上に大きな装置サイズしなくとも済み、コストアップを防止できる。また、画像形成領域,読取領域に余裕ができ、調整エラーの発生を未然に防ぐことができる。
なお、画像読取装置、画像形成装置の両方に共通して言えることであるが、調整に用いるシートの最大寸法を予め定めない場合には、画像読取装置では読取範囲を、画像形成装置では画像形成範囲を、必要以上に広く構成しておかなければならず、装置のサイズが大きくなるため、読取センサや書込みユニットのためにコストアップを生じてしまう。
また、上述の画像形成システムの調整方法を、シートの長手寸法が画像読取装置で読み取れる最大サイズのシートの短手寸法と同じ寸法のシートを用いる場合には、シートをシートの長手方向に搬送させて画像を形成し短手部分を画像読取装置の原稿載置ガイドに平行にあるいは当接させて原稿台にセットして調整を行う構成である、と表現することもできる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程において、上記画像読取装置の原稿台に設けられた原稿基準部材の基準マークに合わせるように上記原稿台に載置された上記シートから、上記シートに形成された上記枠画像の外枠を読取ることによって上記読取補正値を求め、上記読取補正工程において、上記読取補正値を用いて、上記画像読取装置の読取領域を補正する構成である。
この構成によれば、外枠画像は予めサイズが決まっている画像であり、その画像を読取ることで、画像読取装置の読取領域のセンター調整や読取開始位置を調整することができる。
なお、上述の画像形成システムの調整方法を、前記読取装置の調整は、画像形成装置から出力されたシートを原稿載置ガイドの基準マークに合わせて原稿台に載置し、前記シートの枠画像のうち外枠を読取ることで画像読取装置の読取り領域を補正する補正値を求め画像読取装置を調整する構成である、と表現することもできる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、上記枠画像の外枠の主走査方向における両端位置を読取ることによって、上記画像読取装置の読取領域における主走査方向のセンター位置の補正値を求める主走査読取補正値取得工程を含んでいる構成である。また、本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、上記枠画像の外枠の副走査方向の読取りにおける後端位置を読取ることによって、上記画像読取装置の副走査方向における読取開始位置の補正値を求める副走査読取補正値取得工程を含んでいる構成である。
この構成によれば、画像形成出力されたシートを原稿載置ガイドの基準マークに合わせて載置して読取るだけで、画像読取装置の読取領域のセンターを調整することができる。また、画像形成出力されたシートを原稿載置ガイドの基準マークに合わせて載置して、シートの後端を読取ることで、読取開始位置を容易に調整することができる。
なお、上述の画像形成システムの調整方法を、上記外枠画像の主走査方向の両端にて画像読取装置の読取領域のセンターを、外枠画像の読取後端部エッジで画像読取装置の読取り開始位置を調整する構成である、と表現することもできる。
本発明の画像形成システムの調整方法は、上記構成において、上記補正値取得工程が、上記シートに形成された上記枠画像の外枠と内枠とを読取ることによって、上記形成補正値として、上記画像形成装置の画像書込み倍率と画像書込み開始タイミングとの補正値を求める形成補正値取得工程を含んでいる構成である。
この構成によれば、予め分かっている長さである副走査方向の枠画像の外側間隔と、予め定められたデータを基に形成された副走査方向の枠画像の内側間隔より、画像形成装置の副走査方向の画像形成倍率を求めることができる。そこで、その倍率に基づいて先端に形成された画像を判定すれば、容易に先端画像の書込み開始タイミングの補正値を求めることができる。
なお、上述の画像形成システムの調整方法を、上記画像形成装置の調整は、画像形成装置から出力されたシートを原稿載置ガイドの基準マークに合わせて原稿台に載置し、前記シートの枠画像のうち外枠と内枠とを読取ることで画像形成装置の画像書込み倍率と画像書込み開始タイミングとを補正する補正値を求め画像形成装置を調整する構成である、と表現することもできる。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程が、上記読取補正値として、読取位置ずれの補正値を取得する読取位置補正値取得工程を含んでいる構成である。
読取補正値として、読取位置ずれの補正値を取得するので、この補正値を用いて読取位置ずれを補正できる。なお、補正値取得工程は、シートを一度のみ読取ることによって行うものであってもよいし、またはシートを複数回読取ることによって行うものであってもよい。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程において、上記シートを上記画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、上記読取位置補正値取得工程および上記形成補正値取得工程を行う構成である。
この構成であれば、シートを画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、読取位置ずれの補正値と形成補正値とを取得できる。したがって、シートの一度の読取りで、画像形成装置の形成条件の補正と、画像読取装置の位置ずれの補正とを行うことができる。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程が、上記読取位置補正値取得工程の前に、上記読取補正値として、読取倍率の補正値を取得する読取倍率補正値取得工程を含んでいる構成である。
画像読取装置に倍率誤差が生じている可能性がある場合には、このように読取倍率補正値取得工程にて読取倍率の補正値を取得した後に、読取位置補正値取得工程にて読取位置の補正値を取得すれば、正確な補正値を求めることができる。
本発明に係る画像形成システムの調整方法は、上記構成に加えて、上記補正値取得工程において、上記シートを上記画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、上記読取位置補正値取得工程および上記読取倍率補正値取得工程を行う構成である。
画像形成装置にて枠画像が形成されたシートを画像読取装置にて一度のみ読取ることによって、画像形成装置と画像読取装置との調整を全て完了できる。
本発明の画像形成システムは、シートに画像を形成するための画像形成部と、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取るための読取手段と、上記読取手段にて上記シートを読み取って得た、上記画像形成部による上記シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるための演算手段とを有し、上記画像形成部が上記演算手段の求めた上記補正値を用いて画像形成を行う画像形成システムであって、上記補正値を求めるために、上記画像形成部が、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして画像を形成する構成である。
この構成であれば、画像形成装置と画像読取装置とを備えた複合機のような画像形成システムにおいて、上述の画像形成システムの調整方法と同様の効果を得ることができる。
本発明の画像形成システムは、上記構成に加えて、上記画像形成部は、複数の色材を用いて画像を形成可能であり、上記画像形成部は、上記補正値を求めるために、少なくとも何れか1つの色材を用いて画像を形成する構成である。
ここで、一般的に、多色の画像形成装置では、何れか1つの色材の画像形成を基準として残りの色材の画像形成位置を補正する色レジスト補正データを有している。そこで、上述のように少なくとも何れか1つの色材の画像形成によって、シートに対する画像の形成位置を補正する補正値を求めるだけで、残りの色材に対応する補正値は色レジスト補正データを考慮して容易に求めることができる。したがって、何れか1つの色材だけの画像形成で済むので、経済的な調整を行うことができる。なお、このように多色の画像形成装置を備えている場合には、全ての色材について画像を形成し、それぞれの色材に対応する補正値を求めてもよい。
本発明の画像形成システムは、上記構成に加えて、上記読取手段は、3原色の光電変換素子を備えた、カラー画像を読取るカラー読取手段であり、上記読取手段が、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取る際に、上記3原色の光電変換素子のうち何れか1色の上記光電変換素子を用いて読取りを行う構成である。
通常、カラーの画像読取装置では、カラーCCDを用い、所定の間隔で形成されたRGBのイメージセンサで画像を色分解して読取っている。しかしながら、調整のために出力された画像の位置を読取るだけなので、色分解して読取をする必要はない。
そこで、上記構成のように、何れか1つの色のイメージセンサで読取れば、制御が容易で、得られるデータ数も少なく、演算する時間も短くて済む。例えば、黒色の色材で画像を形成した場合には、Gのイメージセンサで画像を読取る。
本発明の画像形成システムは、上記構成に加えて、上記画像形成部によって上記シートに形成された画像を読取る際に、上記読取手段は、上記3原色の光電変換素子のうち、上記画像形成部が上記シートに画像を形成したときに使用した色材に対して補色となる色の上記光電変換素子を用いて読取りを行う構成である。
この構成によれば、画像形成を行ったときに用いた色材と補色の関係となる色を用いて読取りを行うことにより、鮮明な読取を行うことができ、正確なデータを得ることができる。例えば、画像形成を行ったときに用いた色材がYであれば読取をBで行う。同様に、画像形成を行ったときに用いた色材がMであれば読取をGで行い、画像形成を行ったときに用いた色材がCであれば読取をRで行う。
なお、上記構成の画像形成システムを、シートに画像を形成したときに使用した色材と補色となる色の光電変換素子を用いて読取りを行う構成であると表現することもできる。
本発明の画像形成システムは、上記構成に加えて、ユーザからの入力指示を検出する操作手段を備えており、上記操作手段が、上記画像形成部の使用するシートの外形寸法、またはその補正寸法値の入力指示を検出する構成である。
この構成によれば、使用するシートの外形寸法などを入力できるので、市販されている規定のサイズのシートだけでなく、任意のサイズのシートを調整に用いることができる。
また、画像形成に用いる規制サイズのシートが、若干の寸法誤差を有している場合がある。また、厳密に言えば画像形成時の定着部での熱と圧力によって、定着工程においてシートの寸法が若干変化することもある。このため、使用するシートの外形寸法を予め計測し、また好ましくは画像形成を完了後にシートの外形サイズを計測し、上述のように操作手段から計測した寸法あるいは基準寸法からの差である補正寸法値の入力を可能とする。この構成であれば、精度の高い調整を行うことができる。
また、上記構成において、ユーザによる入力を促すために、画像形成システムの表示部が、上記画像形成部の使用するシートの外形寸法、またはその補正寸法値の入力指示を促す画面を表示する構成であってもよい。
なお、上述の画像形成システムを、操作部を備えており、該操作部にて使用するシートの外形寸法をまたはその補正寸法値を入力可能とし、調整時のシートの基準値を補正して調整できる構成の複合機である、と表現することもできる。
本発明の画像読取装置の調整方法は、画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正するための読取補正値を取得する読取補正値取得工程と、上記読取補正値取得工程にて取得した上記読取補正値を用いて上記画像読取装置におけるシートに対する画像の読取条件を補正する読取補正工程とを含む画像読取装置の調整方法において、上記読取補正値取得工程において上記シートから上記読取補正値を求めるために、上記読取補正値取得工程よりも前に、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして、上記画像読取装置に接続された画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成工程を含んでいる構成である。
この構成であれば、画像読取装置に接続された画像形成装置を用いて印刷したシートを読取ることによって、画像読取装置の読取条件の補正値を取得し、この補正値を用いて読取条件を補正できる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記形成工程において、上記画像形成装置の各シート収容手段からそれぞれ給送したシートに、シート収容手段に対応させて予め定めた識別マークを付加して画像を形成し、これによりシートに形成された画像を読取手段で読取り、読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値をシート収容手段に対応させて求め、該補正値を用いて画像形成装置を調整する構成である。
画像形成装置はシートを収容するためのシート収容手段を備えており、このシート収容手段からシートを給送して、画像形成装置の画像形成部にて画像形成(印刷)を行う。画像形成装置がシート収容手段を複数備えているときには、各シート収容手段から画像形成部までのシートの搬送経路は、シート収容手段ごとに全て異なるものとなる。このため、シートに対する画像の形成条件を正確に調整するためには、厳密にはシート収容手段ごとに調整することになる。
そこで、調整のためのモードが選択され、実行された場合には、上述のように、シート収容手段ごとにシートを順次給送し、給送されたシートに調整用の画像を形成する。このようにして、各シート収容手段から搬送されたシートにそれぞれ調整用の画像を形成して、1度に調整用のシートを得ることができる。よって、効率的な画像形成を行うことができ、得られた画像形成物を読取ることによって効率的な調整作業を行うことができる。
また、各シート収容手段から給送されたシートごとに、シート収容手段に対応させて予め定めた認識マークを付加するので、画像の形成されたシートがどのシート収容手段から搬送されたものかを誤ることがない。すなわち、調整用の画像形成物(シート)が1度に複数得られても、間違うことがない。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、基準画像データに基づいて画像形成手段で画像形成された画像形成物を読取手段で読取り、得られた補正値に基づいてシートに対する画像の形成条件を調整する機能を有する画像形成装置の調整方法において、前記画像形成装置にて前記機能が実行された場合に、シート収容手段に対応させて予め決められた識別マークを付加し、シート収容手段から給送されるシートに順次画像を形成し調整用の画像形成物を作成した後、該画像形成物を画像読取手段で読取り、シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整する構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記形成工程においてシート収容手段に対応した識別マークが付加された画像が形成された複数のシートを、その後にまとめて読取手段にて読取り、それぞれのシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整する構成である。
これによれば、例えば枠画像のような調整用画像が、シート収容手段に対応させて予め定めた識別マークとともにシートに印刷される。このシートを、自動原稿搬送装置を用いた一度の動作で、または例えばガイダンスを表示するなどしてユーザにシートを交換させることによる一連の動作で、まとめて読取手段にて読取る。これによって、間違うことなく、1度に、シートに対する画像形成条件の補正値をシート収容手段ごとに求めることができる。したがって、効率的な調整作業を行って、作業時間を短縮できる。
また、シートには、それぞれ何れのシート収容手段から給送されたのかを認識できる識別マーク(認識マーク)が施されている。このため、例えば読取手段によってシートを読取る順番が異なってしまう場合でも、また例えば画像形成から相当時間が経過した後に読取りを行う場合にも、読取りを間違ったり、どのシート収容手段から給送されたかを誤ったりすることがなく、安心して調整作業を行うことができる。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、画像形成手段によってシート収容手段ごとに識別マークが付加され形成された複数の調整用の画像形成物をまとめて画像読取手段にて読取り、それぞれの画像形成物のシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、画像形成手段のシート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整する構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記複数のシートを、上記読取手段の読取部に原稿を給送する原稿搬送装置にて順次給送することによって、上記読取手段にて読取りする構成である。
ここで、調整用の画像が印刷されたシートが複数ある場合には、1枚ずつ読取りを行って補正値を得るのは非常に手間である。
そこで、例えば原稿が載置されたことを検出すると自動的に原稿を順次給送し、または例えばユーザの指示を検出して原稿を順次給送する、原稿搬送装置を用いれば、シートが複数枚ある場合であっても、簡単に読取りを行える。このため、読取り時間の短縮、調整時間の短縮を図ることができる。また、読取るための原稿(シート)の位置の調整は原稿搬送装置が行うので、例えば原稿台にシートを載置する場合のように載置位置の調整にユーザが気を配る必要がない。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、上記画像読取手段には、原稿を自動的に読取部に給送する原稿搬送手段を備えており、複数の調整用の画像形成物を、前記原稿搬送手段にて読取部に順次給送し、それぞれの画像形成物に対する補正値を求める構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記識別マークが、上記形成工程における上記画像形成装置の画像形成部での搬送方向を表示する構成である。
これによれば、識別マークによって、シート収容手段についての情報を識別(認識)できるだけでなく、画像形成部でのシートの搬送方向も識別できる。したがって、読取手段において、例えば原稿台上に90度回転や180度回転した状態にセットされるなど、不適切な方向にシートが載置されて読取りが行われた場合であっても、識別マークを判別することによって正しい向きを識別して、正しい補正値を求めることができる。したがって、読取手段に読取らせるためにシートを載置する際に、シートの向きに気を配る必要がない。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、上記識別マークはさらに画像形成部での搬送方向を識別可能に付加されている構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、異なるシート収容手段から給送されて画像の形成された複数のシートを読取りして上記補正値を求めるときに、画像を形成する倍率の補正値についてはいずれか1つのシートを読取りして求め、画像を形成する位置の補正値についてはシートをそれぞれ読取りして求める構成である。
ここで、シートに対する画像形成条件のうち、画像の倍率は、シートを供給するシート収容手段に関係しない。このため、何れのシート収容手段から給送されたシートに対して画像を形成し読取りしても同じ結果が得られる。そこで、上述のように、何れか1枚のシートを読取りして補正値を求める。一方、画像を形成する位置の補正値については、シートを供給するシート収容手段ごとに異なる値となるので、上述のようにシートをそれぞれ読取りして補正値を求める。これによって、正確な補正値を得ることを保証した上で、読取のための時間を短縮できる。
また、上記構成において、さらに、複数のシートを読取った結果を全て用いて補正値を求める場合には、シートごとの補正値に対して適当な平均化処理を行って、シート収容手段ごとの補正値を得るようにしてもよい。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、異なるシート収容手段から給送されたシートにより形成された画像形成物を用いて調整を行う場合には、シートに対する画像形成条件を補正する補正値のうち、画像の倍率の補正値については何れか1つの画像形成物にて求め、画像の形成位置の補正値については全ての画像形成物について求める構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置の調整方法は、上記構成に加えて、上記複数のシートを読取手段にて読取ったとき、同一のシート収容手段より給送されたシートを複数認識した場合には、同一のシート収容手段より給送されたシートから得られた補正値を平均化して、そのシート収容手段についての補正値とする構成である。
上記構成のように、同一のシート収容手段から複数枚のシートを給送して、それぞれのシートに調整用の画像を形成してもよい。この場合には、同一のシート収容手段から給送された各シートを読取って得られた補正値を、例えば平均化することによって、そのシート収容手段についての補正値とする。これによって、調整精度を上げて、精度の高い調整が行える。なお、本発明はこれに限るものではなく、それぞれのシート収容手段から1枚ずつ給送されたシートに対して調整用の画像を形成し、このシートを読取って調整を行う構成であってもよいことはいうまでもない。
なお、上述の画像形成装置の調整方法を、複数の画像形成物を読取った場合に、同一のシート収容手段より給送された画像形成物が複数認識された場合は、同一のシート手段により形成された画像形成物より得られた補正値を平均化して求める構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置は、シート収容手段から給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、上記画像形成部による上記シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める演算手段とを有し、上記画像形成部が上記演算手段の求めた上記補正値を用いて画像形成を行う画像形成装置であって、上記補正値を求めるために、上記画像形成部が、上記シート収容手段から給送されるシートに対して、上記シートのサイズに応じて予め定めたデータに基づいて、上記シートの少なくとも3つの角部を含む領域に、上記シートをはみ出すようにして画像を形成するとともに、シート収容手段に対応させて予め定めた識別マークを上記画像とともに上記シートに形成し、上記シートに形成した画像を上記画像形成部に接続可能な読取手段によって画像データとして読み取って、上記読取手段から送信された上記画像データを用いて上記演算手段にて上記シート収容手段に対応させて上記補正値を求め、上記画像形成部が上記シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整することを特徴としている。
この構成の画像形成装置であれば、上述の画像形成装置の調整方法を実行して、上述と同様の効果を得ることができる。
なお、上述の画像形成装置を、基準画像データに基づいて画像形成手段で画像形成された画像形成物を読取手段で読取り、得られた補正値に基づいてシートに対する画像の形成条件を調整する機能を有する画像形成装置において、前記画像形成装置にて前記機能が実行された場合に、シート収容手段に対応させて予め決められた識別マークを付加し、前記シート収容手段から給送されるシートに順次画像を形成し調整用の画像形成物を作成し、シート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整する構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記構成に加えて、ユーザによる選択指示を検出する操作手段を備え、シートに調整用の画像を形成するときに、1つのシート収容手段から複数のシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードと、複数のシート収容手段からそれぞれシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードとが、上記操作手段にて選択可能であることを特徴としている。
例えば、1つのシート収容手段から複数のシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードを選択すれば、例えばその後に各シートを読取りしてそれぞれ補正値を求め、その値を平均化して、調整精度を高めた調整を行うことができる。
また、例えば、複数のシート収容手段からそれぞれシートを給送して、調整用の画像が形成されたシートを出力するモードを選択すれば、複数のシート収容手段についての補正値を、1度に求めて調整することができる。
したがって、この画像形成装置によれば、複数のシート収容手段に対する調整を容易に行うことができ、または精度を高めた調整を行うことができる。
また、上記構成の画像形成装置は、上述の二つのモードを択一的に選択可能であってもよいし、または二つのモードを同時に選択可能であってもよい。
なお、上述の画像形成装置を、調整用の画像形成を行う場合に1つのシート収容手段から複数のシートを給送して調整用の画像形成物を出力するモードと、複数のシート収容手段からシートを給送して調整用の画像形成物を出力するモードとを有している構成である、と表現することもできる。
また、本発明に係る画像形成システムは、上述のいずれかの画像形成装置と、上記画像形成装置の上記画像形成部によって画像が形成された複数のシートをまとめて読取り、読取って得た画像データを上記画像形成装置へと送信する読取手段とを含み、上記画像形成装置が、上記読取手段から送信された画像データを用いて、上記演算手段にて上記シート収容手段ごとに補正値を求めて、シートに対する画像の形成条件を調整する構成である。
この構成の画像形成システムであれば、読取手段を用いて読取りをして、画像形成装置の調整を確実に実行できる。
なお、上述の画像形成システムの読取手段を、画像形成手段によってシート収容手段ごとに識別マークが付加され形成された複数の調整用の画像形成物より、それぞれの画像形成物におけるシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求め、画像形成手段のシート収容手段に対応するシートに対する画像の形成条件を調整するために前記画像形成物を読取る読取装置で、前記複数の画像形成物をまとめて読取り、画像形成手段のシート収容手段に対応させてシートに対する画像の形成条件を調整する構成の読取装置である、と表現することもできる。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図1〜図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の画像形成システムは、一つの筐体内に画像読取装置と画像形成装置とを備えた複合機である。複合機1は、図1の内部構成図に示すように、概略的に、自動原稿搬送装置210、読取手段(画像読取装置)200、画像形成部(画像形成装置)100、および給紙デスク装置20を備えている。
本実施形態においては、複合機1の上部に読取手段200が配置され、読取手段200の上面に透明ガラスからなる原稿台209が設けられている。原稿台209の上に、自動原稿搬送装置210が備えられている。また、読取手段200の下部に画像形成部100が配置され、さらに画像形成部100の下に給紙デスク装置20が備えられている。
自動原稿搬送装置210は、原稿セットトレイ211上にセットされた複数枚のシート(原稿)を1枚ずつ自動的に原稿台209上へ搬送する装置である。
読取手段200は、原稿台209上に載置されたシートの画像を走査して読み取る装置である。本実施形態の読取手段200は、カラー読取手段である。読取手段200は、原稿台209の下方に、第1の走査ユニット201・第2の走査ユニット202、光学レンズ203、および光電変換素子であるCCDラインセンサ204を有している。
第1の走査ユニット201は、シート面上を露光する露光ランプ205と、シートからの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー206等から構成されている。第2の走査ユニット202は、第1の走査ユニット201の第1ミラー206から反射されてくるシートからの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラー207および第3ミラー208より構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させる。CCDラインセンサ204は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3ラインのイメージセンサを用いており、3色に分解して画像を読み取れるようになっている。
次に、画像形成部100の構成、および画像形成部100に関連する各部の構成について説明する。
画像形成部100は、画像形成部100の外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するものである。
画像形成部100は、カラー画像を扱うための4つの画像形成ステーションを有している。この画像形成部100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。
このため、画像形成部100は、図1に示すように、露光ユニット10(10a、10b、10c、10d)、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム(像担持体)3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)を、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれの画像形成ステーションごとに備えている。各画像形成ステーションは、それぞれ、aがブラック(K)に対応し、bがシアン(C)に対応し、cがマゼンタ(M)に対応し、dがイエロー(Y)に対応するように設定されている。各画像形成ステーションを区別する必要がない場合には、以下では簡単のため、露光ユニット10、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5のように呼ぶ。
また、画像形成部100は、図1に示すように、さらに転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ19、排紙トレイ15・33、画像処理基板300、制御回路基板400等を備えている。
以下で画像形成部100の各部について説明する。
感光体ドラム3は、画像形成部100のほぼ中心部に配置(装着)されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すチャージャー型の帯電器のほかに、接触型の帯電ローラ型やブラシ型の帯電器が用いられる。
露光ユニット10は、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドや、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。この露光ユニット10は、帯電された感光体ドラム3を入力される画像に応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じて静電潜像を形成する機能を有するものである。
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、(K、C、M、Y)のトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ベルトユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ローラ6、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74等は、転写ベルト7を張架し、転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
転写ローラ6は、転写ベルトユニットの内側のフレーム(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写するものである。
転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。この転写ベルト7は、厚さ100μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。転写ローラ6は、直径8〜10mm程度の金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。なお、本実施形態では転写電極として転写ローラ6を使用しているが、これに限らず、例えばブラシ等を用いることもできる。
このように、転写搬送ベルトユニット8の各部材が、感光体ドラム3からシートへトナー像を転写させる転写手段として機能する。転写手段の構成は、転写搬送ベルトユニット8に限るものではない。転写手段がベルトでない場合には、図3において、転写ベルト7として示す領域を、その代わりに、感光体ドラム3の展開図として考えることもできる。
また、感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。転写ベルトクリーニングユニット9には、転写ベルト7に接触する例えばクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する転写ベルト7は、裏面から転写ベルト支持ローラ74で支持されている。
給紙トレイ19は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、画像形成部100の下側に設けられている。また、画像形成部100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。また、画像形成部100の側部に設けられている排紙トレイ33は、画像形成済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
また、画像形成部100には、シートを給紙トレイ19からシート転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ19から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着ユニット12、搬送方向切り替えゲート34、シートを搬送する搬送ローラ25等が配されている。
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ19の端部に備えられ、給紙トレイ19から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す状態から破線で示す状態にすることにより搬送路Sの途中からシートを分離し、排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35、搬送切換えガイド(ゲート)34の間に形成される搬送部S’(用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
すなわち、レジストローラ14は、(図示しない)レジストセンサの出力した検知信号に基づいて、予め設定されたタイミングでレジストクラッチ(図2を参照)を制御し、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
定着ユニット12は、ヒートローラ31、加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ31は、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
なお、シートの排出先が排紙トレイ15に指定されている場合には、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ25…によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。画像処理基板300は、画像データに対して所定の処理を施す回路基板であり、制御回路基板400は画像形成プロセスを制御する回路基板であり、後述の制御手段に収容されている。
次に、給紙デスク装置20について説明する。給紙デスク装置20は、画像形成部100の給紙トレイ19の下方に備えられている。給紙デスク装置20は、3段の給紙トレイ20a〜20cを備えており、用紙搬送路Sを経由して、画像形成部100に用紙を供給できるようになっている。なお、本実施形態の複合機1は、給紙デスク装置20の構成に限らず、1段の給紙トレイを備えたものや、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、あるいは単にデスクとして機能するもの等、ユーザの要望に応じて装着できるようになっている。
なお、本実施形態では、画像形成部100を多色の画像を形成する多色画像形成装置として説明するが、モノクロ(白黒)画像形成を行う画像形成装置でも本発明の一部を除く機能を実施可能であるものとする。また、複合機1として、自動原稿搬送装置210を備えたものについて説明しているが、これに限るものではなく、自動原稿搬送装置は装着されていなくてもよい。
また、複合機1は、複合機1の動作を制御するための制御手段を備えている。制御手段は、例えば画像形成部100における制御条件を調整する。
制御手段500には、図2に示すように、定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、搬送手段505、パターン記憶部506、データ記憶部507、操作部(操作手段)508、データ入出力部509、画像データ入力部(データ入力手段)510、画像処理部511、メモリ512、書込み部(書込み手段)513が接続されており、制御手段500はこれらを制御する。搬送手段505は、搬送モータ514、レジストクラッチ515から構成されている。
複合機1における画像形成の際の制御について説明する。定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、書込み部(書込み手段)513は、それぞれ、定着ユニット12、転写ローラ6a〜6d、現像器2a〜2d、帯電器5a〜5d、露光ユニット10a〜10dと、それらの周辺機器とが含まれる。これらにより、シートに画像が形成される。
制御手段500は、帯電部504に対して、帯電器5a〜5dとしての帯電チャージャーのグリッドバイアス電圧を制御することで、感光体ドラム3a〜3dの表面電位を制御する。
制御手段500は、書込み部513の光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。また、書込み部513(露光ユニット10)がELやLED書きこみヘッドの場合には、その光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。
制御手段500は、現像部503に対して、現像器2a〜2dにおける現像ローラのバイアス電圧を制御して適正な現像が行われるよう制御する。制御手段500は、転写部502に対して、図示しない転写用の高圧電源からの転写ローラ6a〜6dへの印加電圧の制御を行う。
制御手段500は、定着部501(定着ユニット12)のヒートローラ31を、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて、所定の定着温度となるように制御する。制御手段500は、搬送手段505に対して、搬送モータ514およびレジストクラッチ515の動作の制御を行う。
また、複合機1においては、画像形成の調整を行うために、制御手段が以下の動作をする。制御手段500は、パターン記憶部506に対して、予め決められた画像データのパターンを記憶するよう制御する。制御手段500は、データ記憶部507に対して、基準値を記憶するよう制御する。
また、複合機1は、装着されていない読取手段等の外部の機器からの読み取り結果のデータ等を入力するためや、複合機に装着されている読取手段200で読取った読み取り結果のデータ等を外部の機器へ出力するためのデータ入出力部509を備えている。
また、複合機1における読取動作は、以下のように制御される。読取手段200は、図1で示した自動原稿搬送装置210との関連した動作により、自動原稿搬送装置210にて自動搬送される原稿の画像を読み取る。そして、読み取った画像を画像データとして図2に示す画像データ入力部510へと転送する。
制御手段500は、画像データ入力部510に対して、読取手段200で読み取られた画像データが、画像形成部100の画像処理部511に入力されるよう制御する。制御手段500は、画像処理部511に対して、画像データ入力部510に入力された画像データに対して所定の画像処理を行うよう制御する。このようにして、画像データ入力部510に転送された画像データに対しては、画像処理部511にて所定の画像処理が施される。
制御手段500は、メモリ512を制御して、画像処理部511で処理された画像データを一旦記憶するよう制御する。制御手段500は、書込み部513に対して、露光ユニット10a〜10dのELやLED書きこみヘッド、レーザ照射部の光ビームパワーの制御を行う。これによって、画像処理が施された画像データはメモリ512に一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ512内の画像データを読み出して書込み部513に転送される。
さらに、本実施の形態では、制御手段500には演算手段600が接続されている。演算手段600は、読取手段200でシートに形成された画像を読み取ることで得られる読取データから、シート対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるものである。この演算手段の動作については後述する。
また、複合機1は、複合機1のユーザインタフェースとしての操作パネルを、読取手段200の位置に備えている。
操作パネル220には、図8に示すように、左部分には、タッチパネル液晶表示装置(LCDと称呼する)221が配置されていて、その右側にテンキー231、スタートキー241、クリアキー251、および全解除キー261が配置されている。
このLCD221の画面上には、種々の画面が切換えられて表示される。これらの画面中では、種々の条件を設定するタッチキーが配置されており、タッチキーを指で直接押圧操作して、各種の条件設定(例えば白黒/カラーのモード選択,原稿の種類選択,自動/手動の選択,その他の特別な機能選択など)が可能になっている。また、操作のガイダンスや警告等もこのLCD221に表示される。付加画像(広告)等を付加するか否かの選択キーを画像形成装置側に設ける場合には、このLCD221にタッチキーとして設けるか、あるいはテンキーなどのように操作パネル220上にハードキーとして設ける。この場合、LCD221上にタッチキーとして設けることが好ましい。これにより本機能を画像形成部100に組込む場合にソフトウエアの追加で済み、画像形成部100を共通に使用できる。
また、LCD221とテンキー231の間には、本画像形成部100を有する複合機1が複合機として動作する時の機能を切換えるキーとして、プリンタキー271、ファクシミリ/イメージ送信キー281、コピーキー291、およびそれぞれの機能ごとに登録されているジョブ状況を確認するためのジョブキー311等が配置されている。
LCD221の右側に配置されたキー群のうち、テンキー231はLCD221画面における数値(複写枚数等)を入力するのに使用するキーであり、スタートキー241はそれぞれの処理モードでの画像形成動作や読取動作の開始を指示するためのキーである。クリアキー251はLCD221に表示される設定値をクリアしたり、画像形成動作など現在実行中の動作の中断を行ったりするキーであり、全解除キー261は、読取の条件や画像の形成条件等の設定をデフォルト値に戻すためのキーである。割込キー321は、実行中の画像形成動作などを一時中断して他の画像形成を許容するためのキーである。
なお、図8ではカラー画像形成モードが選択されている状態を表している。このときコピー濃度などの画像形成や読取時の濃度は自動的に原稿に応じて制御されるようになっている。
複合機1に入力される、画像形成動作や読取動作の開始の指示等を操作パネル220にて検出すると、制御手段500は、画像形成部100の書込み部513や搬送手段505が動作するよう制御する。
以下では、複合機1における画像の形成条件の補正について詳細に説明する。
本複合機1で使用可能な最大シートサイズはA3サイズ(297mm×420mm)とする。この場合、例えば、A4サイズ(210mm×297mm)や、B5サイズ(182mm×257mm)、B4サイズ(257mm×364mm)等のシートを用いて画像の形成条件を調整する補正値を求めることもできるが、画像形成部100で使用可能な最大サイズのシートよりも小さいシートを用いることが好ましい。なぜなら、使用可能な最大サイズよりも大きなシートを用いると、シートのサイズが大きくなる分、大きな画像を形成しなければならいために現像材(トナー)の消費が増え、また画像形成部100の調整にかかる時間が長くなってしまうからである。
画像の形成条件の調整を開始すると、まず、パターン記憶部506に記憶されている予め決められた画像データに基づいて、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成する。
本実施形態では、詳しくは以下で説明するが、シートの角部を食み出す画像を形成することで、シートの3つの角部を含む領域に画像を形成する。なお、上記「角部」とは、シートの頂点、すなわちシートの辺と辺との交点を含む領域を意味しており、上記交点を含んでいれさえすれば、上記領域の大きさおよび形状は特に限定されるものではない。
ここで、仮に画像形成部100の書込み範囲(画像形成領域K)がA4サイズのシートの長手方向と同じ長さであるとする。この場合、B5サイズのシートを用いればシートの角部を食み出す画像を形成することができる。しかしながら、本実施の形態のように画像形成部100の調整のためにA4サイズのシートを用いる場合には、横送り、すなわち、画像形成部100の副走査方向(シートの搬送方向)に対して垂直にシートの長手方向を設けると、上記画像形成領域Kがシートの長手方向ぎりぎりになり、シートの角部から食み出す画像を形成することができなくなってしまう。そこで本実施の形態では、縦送り、すなわち、画像形成部100の副走査方向に、A4サイズのシートの長手方向を設けてシートを搬送する。これにより、確実にシートの角部から食み出す画像を形成することができる。
本実施形態では、上述したパターン記憶部506に、図3に基準画像Pとして示すような枠状のパターン(以下、このパターンを「枠画像」という)が記憶されているものとする。本実施の形態では、A4サイズのシートを用いる場合には、パターン記憶部506には、図3に示す主走査方向D2の枠画像の外端部から外端部までの距離J3が230mm、副走査方向の枠画像の外端部から外端部までの距離J1が317mm、そして枠と枠との間の距離J4、J2が、それぞれ180mm、267mmとなるような枠画像が記憶されている。そして枠画像が、図3に示すように、枠画像の内枠部分はシートN内に含まれ、枠画像の外枠は、シートNの角部をはみ出すようになっている(図3では、シートNを点線で示し、枠画像を斜線で示している)。このような枠画像とすることで、シートNの縁辺全てを含む領域に画像を形成することができる。なお、枠画像は、図3に示すように、転写ベルト7の画像形成領域K内に含まれる大きさとなっている。
なお、パターン記憶部506には、1つのサイズの枠画像だけを記憶させておいてもよく、複数のシートサイズに対応できるよう複数の枠画像を記憶させておいてもよい。
さらに、本実施形態では、図3に示すような、枠画像の内側に形成される、画像の方向を示す長方形の方向マークMが記憶されている。これにより枠画像の形成されたシートを読取手段200にセットする場合に、画像の方向を間違えることはない。なお、視覚性を重視して矢印型の方向マークとしてもよいが、これによればパターン記憶部506でのデータ容量を多くとり、また読取手段200でシートに形成された画像を読み取る際に、読取結果を判定するのが複雑になるので、本実施の形態のように、単純な長方形のマークにすることが好ましい。また、方向マークMを形成せずに、自動的に読取手段200にセットされたシートの向きを検出するような構成としてもよい。また、画像形成部100で出力されたシートが原稿台209で大きく傾いて載置される場合も考えられるので、これを防ぐために、傾きの許容範囲を定めておき、読み取り時に許容値を越えた場合にはエラーを発生させ、その旨を操作部508の操作パネル220に表示させ、再度読み取りを行うように制御してもよい。
データ記憶部507には、基準値が記憶されている。本実施の形態では、A4サイズのシートの縦・横の長さが基準値として記憶されており、このA4のサイズを基準として補正値を求めるようになっている。
次に、図7に基づいて、複合機1における、画像形成部100の画像形成条件を調整するための具体的な処理の流れを説明する。
画像形成部100で枠画像を形成し、シートに対して転写してシートを出力する(S1)。ここで、画像形成部100の感光体ドラム3に形成され、シートNおよび転写ベルト7に対して転写される枠画像は、図3に示す基準画像Pのようになっている。画像が転写され、定着ユニット12などを介して例えば排紙トレイ33に排出されたシートは、図4に示すシートQ0のように、縁辺全てに画像が形成された状態となっている。ここで、図4に示すシートQ0における長さL3は、図3に示す枠画像における長さJ2に対応する。また、図4に示すシートQ0における長さW3は、図3に示す枠画像における長さJ4に対応する。
そして出力されたシートが読取手段200にセットされたことを例えばユーザの指示あるいは読取手段200の図示しない原稿検知手段により検出すると(S2)、読取手段の読取動作が可能となり、ユーザがスタートキー241を押すことにより発生するスタート信号により、読取手段200がシートに形成された枠画像の読み取りを行う(S3)。
このとき、図5に示すように、読取手段200の原稿載置ガイド(原稿基準部材)810に対して、読み取るためのシートQ1が当接するようにすれば、シートを正確に載置することができる。また、原稿載置ガイド810に、シートの位置や大きさを示す目印(図示しない基準マーク)を設けてもよい。この基準マークを用いれば、シートの載置がさらに正確になると期待できる。
ただし、例えば原稿載置ガイド810の材質などによっては、原稿載置ガイド810とシートの端部との区別が困難となり、その結果シートの角部に形成された画像の読み取りが困難となり、読取精度が低下してしまう場合がある。このような場合には、図6に示すように、原稿載置ガイド810と読み取るためのシートQ1の端部との間に隙間を設けてシートを載置する。このようにすれば、シートの角部に形成された画像を、確実に、精度よく読み取ることができる。
また、図5および図6にシートQ2として示すように、シートの長手方向が読取手段200の主走査方向と平行となるように、読取手段200の読取領域800に載置することもできる。しかしながら、これによれば、読取手段200の必要なサイズが大きくなる分、画像の読み取りに必要な図示しない読取センサを増やさなければならないため、読取手段200のコストアップとなってしまう。また、読取手段200で正確に読み取りを行うには、読取領域800内にシートを正確に載置しなければ読み取りミスが発生してしまう。
そこで、図5および図6にシートQ1として示すように、シートの長手方向が読取手段200の副走査方向と平行となるように、シートを読取手段200の読取領域800に載置する。これによれば、読取手段200の必要なサイズを最小限にすることで、読取手段200のコストを抑えることができる。また読取領域800内に余裕を持ってシートを載置することができるので、読み取りミスの発生を抑えることができる。
ここで、上述のように、S3においては読取手段200によってシートの図4のような枠画像を読取り、ここからまずシートのサイズを得る。
本実施の形態では、シートのサイズとして、図4に示すシートQ0の長さW0およびL0を読取る。そして、図4に示す枠画像の主走査方向・副走査方向それぞれの前方および後方それぞれに形成された画像と画像との間の距離(図4に示すW3およびL3)を読み取る。さらに、シートの搬送方向の前方に形成された枠画像(シートの搬送方向と平行な方向の前方に形成された枠画像の幅)、および、後方それぞれに形成された枠画像の幅(図4に示すL1およびL2)、並びにシートの搬送方向と直交する方向の前方(シートの搬送方向の前方に形成された枠画像の幅)、および、後方それぞれに形成された枠画像の幅(図4に示すW2およびW1)を読み取る。これらの値は、図2に示す読取手段200から画像データ入力部510に入力された画像データを用いて、制御手段500によって画像データ入力部510から画像データを転送された演算手段600が算出する。
本実施の形態では、データ記憶部507には、A4サイズのシートにおける長手方向の長さおよびこの長手方向と直交する方向の長さ(すなわちA4サイズシートの縦の長さ(210mm)、および、横の長さ(297mm))が記憶されている。
S4では、データ記憶部507に記憶されているデータと、読取手段200にて読み取って得た所定のサイズとを比較して、演算手段600が読取手段200における倍率補正値を求める。
まず、読み取った画像データが画像データ入力部510に入力されると、演算手段600で、読み取ったW0と、データ記憶部507に記憶されたA4サイズのシートの長手方向と直交する方向の長さ210mmとを比較する。これにより、読取手段200の倍率が調整されておらず、W0が210mmでないと判別された場合には、読取手段200における主走査方向の倍率を求めることができる。また、演算手段600で、L0とデータ記憶部507に記憶されたA4サイズにおけるシートの長手方向の長さ297mmとを比較する。これにより、読取手段200の副走査方向の倍率を求めることができる。
S5においては、画像形成部100側の倍率補正値を求める。これには、まず、図4に示すW3に対して、S4で求めた読取手段200の主走査方向の倍率補正値を用いて、画像形成部100がシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算手段600が比較して、画像形成部100における主走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。また、図4に示すL3に対して、S4で求めた読取手段200の副走査方向の倍率補正値を用いて、画像形成部100がシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算手段600が比較して、画像形成部100における副走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。
次のS6、S7では、演算手段600が、書込み部513において静電潜像の書込みを行うタイミングを補正する補正値を求める。なお、この補正値を求める手順はS6、S7の順に限るものではなく、S7、S6の順におこなってもよい。
S6では、S5において得た主走査方向の倍率補正値に基づいて、主走査方向の枠画像前方(図4に示すW2)を判定することで、主走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えばW2の値に対して、読取手段200の読取倍率補正をし、さらに画像形成部100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値とどの程度異なっているか判別することによって、書込み部513における書込みタイミングの補正値を求めることができる。
また、副走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示す主走査方向のW2を読み取れば、シートに対して形成された画像の傾きを求めることができる。演算手段600は、この傾きを補正する補正値も求める。
S7では、S5において得た副走査方向の倍率補正値に基づいて、副走査方向の枠画像前方(図4に示すL1)を判定することで、副走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えばL1の値に対して、読取手段200の読取倍率補正をし、さらに画像形成部100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値とどの程度異なっているか判別することによって、書込み部513における書込みタイミングの補正値を求めることができる。
また、主走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示す副走査方向のL1を読み取れば、シートに対して形成された画像の傾きを求めることができる。演算手段600は、この傾きを補正する補正値も求める。
S8では、S6、S7において得た書込みタイミングの補正値を、制御手段500が、複合機1の画像形成部100に対して反映させる。
主走査方向のタイミングは以下のように調整する。画像形成部100の書込み部513(露光ユニット10)がレーザビーム走査方式の場合には、ビームディテクタを通過してからのタイミングを制御手段500が調整して、主走査方向の書き出し位置を補正する。また、画像形成部100の書込み部513(露光ユニット10)がLEDヘッド等を用いた固体走査方式の場合には、主走査方向の何処から点灯させるか最初の発光素子を決定する(ずらす)ことで、主走査方向の書き出し調整を行う。なお、固体走査方式の場合には、主走査方向の倍率はほぼ決定しているので通常特に調整する必要はないが、ずれが目立つ場合には何れかの画像データを間引いたり、画像データを補完して増加させ、点灯させる発光素子の数を増減させたりして調整する。
副走査方向のタイミングは以下のように調整する。ここでは、S7で求めた副走査方向の書込みタイミングの補正値を用いて、書込み部513における書込みタイミングを制御手段500が調整し、副走査方向の書き出し位置を補正する。なお、これに限るものではなく、例えば図2に示す搬送手段505のレジストクラッチ515の接続タイミングを調整することによって、副走査方向の書き出し位置を補正することもできる。
また、副走査方向の倍率補正を、搬送手段505の搬送モータ514の搬送速度を調整し、シートの搬送速度を調整することによって行う。また、転写部502の転写ローラ6を所定の速度で回転させることによって、シートの搬送速度を調整してもよい。また、これに限るものではなく、例えば感光体ドラム3の回転速度を調整して、副走査方向の倍率を補正することもできる。ただし、例えば搬送モータ514の搬送速度を調整する構成であれば、画像形成のプロセス条件を変化させずに済むので好ましい。
このようにして、S8において、得られた補正値を画像形成部100に反映させて、処理を終了する。
また、以上で説明した図7においては、簡単のために画像形成ステーションごとの調整については触れなかったが、複合機1においては、実際には以下のように画像形成ステーションごとの調整を行っている。
すなわち、本実施形態の複合機1のように、画像形成部100において複数の色材を用いて画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えている場合には、図2に示すデータ記憶部507に、レジスト補正データを記憶させておく。そして、1つの色材を用いて画像を形成して、その色材の画像形成ステーションにおける、画像の形成条件を補正する補正値を求める。残りの色材に対しては、既に得た補正値とレジスト補正データから、その残りの色材の画像形成ステーションにおける補正値を求めることができる。これによれば、1つの色材を用いるだけでよいので、シートに対する画像の形成条件の調整を経済的に行うことができる。
また、上述の構成に限るものではなく、複数の画像形成ステーションにおいて、それぞれ異なる調整を行う構成としてもよい。具体的には、例えば、上記いずれか1つの画像形成ステーションでは主走査方向および副走査方向それぞれの位置および倍率の調整を行い、残りの画像形成ステーションでは主走査方向の倍率を調整する構成としてもよい。これによれば、シートに対する画像形成条件の調整をより正確に行うことができる。
また、本実施の形態のように、読取手段200がカラー読取手段である場合には、3色の光電変換素子のうちいずれか1色の光電変換素子を用いてシートに形成された画像を読み取ることが好ましい。これにより、読取りが容易になるとともに、読み取りによって得られるデータの数が少なくなるので読取データを演算する時間を短くすることができる。
また、読取手段200では、シートに画像を形成するときに使用する色剤の補色となる色の光電変換素子を用いることが好ましい。したがって、例えば読取手段200で用いた光電子素子の色がB、G、Rであれば、それぞれ、Y、M、Cの各色を用いたカラー画像を形成すればよい。これにより、読取手段200で鮮明な読み取りを行うことができるので、より正確な読取データを得ることができる。
また、画像形成装置と画像読取装置とを含む画像形成システムの実施形態は、上述の複合機1に限るものではなく、例えば図9に示す画像形成装置100aとスキャナ(読取手段)200aとを含む画像形成システムであってもよい。画像形成装置100aは画像形成部100と同様の機能を備えている。スキャナ200aは読取手段200と同様の機能を備えている。コンピュータ600aは、演算手段600と同様の機能を備えている。このように、読取手段としてのスキャナ200aと、演算手段などに相当するパソコンなどのコンピュータ600aとを、画像形成装置100aに外付けする構成であってもよい。なお、このシステムにおいてスキャナ200aで読取って画像形成装置100aで印刷する場合には、スキャナ200aで読み取った画像データは、画像形成装置100aのデータ入力手段である画像データ入力部510へと入力される。
この画像形成システムにおける画像形成条件の補正は以下のように行う。まず、図9に示すように、画像形成装置100aでシートに画像を形成してシートQとして出力する。次に、スキャナ200aでシートQに形成された画像を読み取る。そしてこれによる画像データをコンピュータ600aに取り込む。
コンピュータ600aには、例えば画像の形成条件を調整するための補正値を求めるプログラムをインストールする。このプログラムは例えば予め作成しておくようにする。また、コンピュータ600aに、画像形成装置100aからパターン記憶部506、データ記憶部507のデータを転送する。コンピュータ600aにおいて、プログラムを用いて補正値を求める。補正値は、コンピュータに入力された画像データを解析演算して求めて、コンピュータ600aの図示しないディスプレイに表示する。そして、表示された補正値を、画像形成装置100aの図示しない操作手段を介して、画像形成装置100aに入力すれば、シートに対する画像の形成条件を調整することができる。
なお、図9に示す構成の場合には、スキャナ200aより入力される読取データに基づいて、画像形成装置100aにおいて、図示しない演算手段で演算し、補正値を求め、その結果を画像形成装置100aの図示しない書込み部に反映させる構成としてもよい。あるいは、スキャナ200aの図示しないCPUにて補正値を演算し、その結果の補正値データを、画像形成装置100aに情報として転送して調整する構成としてもよい。これらは使用するプログラムによりいずれの構成をも採用できるものとする。
このように、本実施の形態によれば、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成することで、シートに形成された画像を読取手段で読み取ったときに、シートの角部を容易に読み取ることができる。そして読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるので、読み取りに用いた読取手段が正確に調整されていなくても、画像形成装置の調整を行うことができる。
また、シートに形成する画像のデータを、画像形成部100のパターン記憶部506に保存しており、このパターン記憶部506に保存されていたデータをシートに印刷するので、調整の際にテストチャートのような基準チャートを不要にできる。また、始めに画像読取装置において基準チャートを読み取らせる工程が不要となる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図10〜図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の画像形成システムは、画像形成部と画像読取装置とが一体となった、図1に示すような複合機である。以下では、上述の実施の形態1で説明した装置・部材と同じ構成、同じ機能を有する装置・部材については、特に必要がない限り説明は省略し、同じ符号を付して参照する。また、本実施形態の複合機についても、簡単のため複合機1として参照する。
本実施形態の複合機1は、図10に示すように、画像形成部(画像形成装置)100および読取手段(画像読取装置)200aを含んでいる。この複合機1は、画像形成部100の調整だけでなく、読取手段200aの調整も行う。画像形成部100側の補正は、上述の実施の形態1と同様に行う。
なお、本実施形態の複合機1は、簡単のため、読取手段200aの読取倍率については、既に正しく調整されているものとする。これは、通常、画像読取装置は、工場での組立時に、治具などによって主走査方向の倍率は既に機械的に調整されるからである。また、副走査方向の倍率は、第1・第2走査ユニットなどを移動させて読み取りする際の移動速度に応じて決まるのであるが、第1・第2走査ユニットなどを移動させるためのワイヤを巻き取るプーリ等は高い精度で制作されており、倍率に関わる調整は組立段階で完了していると見なすことができるからである。
本実施形態の複合機1は、図10に示すように、上述の実施の形態1における図2に示す複合機1とは、読取手段200a、制御手段500a、および演算手段600aが異なっている。
ここで、本実施形態の演算手段600aは、読取手段200aにて読み取った枠画像のデータに応じて、画像形成部100の画像形成条件の補正値だけでなく、読取手段200aの画像読取条件の補正値についても算出する点が、上述の実施の形態と異なっている。制御手段500aは、演算手段600aの算出した補正値を、画像形成部100だけでなく、読取手段200aに対しても設定する。読取手段200aは読取条件を設定して調整することが可能であり、演算手段600aの算出した補正値が制御手段500aによって設定されるようになっている。
上記構成の複合機1は、例えば操作部508においてユーザからの調整指示を検出すると、制御手段500aがパターン記憶部506にアクセスして、枠画像のデータを取得する。制御手段500aは、帯電部504を制御して感光体ドラム3を均一に帯電する。また、制御手段500aは、データを一旦メモリ512に記憶し、書込み部513に対して出力指示するとともにデータを書込み部513に転送する。書込み部513によって感光体ドラム3に枠画像の静電潜像が形成される。現像部503によって感光体ドラム3の静電潜像が現像される。転写部502にて現像材像がシートに転写される。定着部501によって画像がシートに定着される。このように枠画像を印刷すれば、シートのサイズを確実に読み取ることができ、例えば読取の倍率補正もすることができる。ここまでの手順は実施の形態1と同様である。
複合機1の制御手段500aは、以下のように、画像形成部100の用いるシートのサイズを決定する。
制御手段500aは、図1に示す複合機1の給紙トレイ19および給紙デスク装置20の給紙トレイ20a〜20cに備えられたシートのサイズを、図示しない検知手段によって検知する。あるいは、給紙トレイごとに予め設定された情報に基づいて給紙トレイを判別し、そして、適切なサイズのシートが載置された給紙トレイを選択する。選択した給紙トレイからシートを搬送手段505によって搬送させ、シートに枠画像を印刷する。制御手段500aは、印刷するシートとして、画像形成部100で使用可能な最大シートサイズよりも小さいシートを選択する。
例えば、画像形成部100で使用可能な最大のシートサイズ、すなわち最大画像形成サイズがA3サイズ(297mm×420mm)の場合について説明する。また、このとき、画像形成部100の有効画像形成幅は、最大シート(A3)のサイズと同じ幅である297mmとする。この場合に、制御手段500aは、A4サイズ(210mm×297mm)やB5サイズ(182mm×257mm)のシートを選択する。
例えば、B5サイズのシートを用いれば、縦向き横向きのいずれの方向にシートを搬送しても、シートをはみ出すように感光体ドラム3に形成した画像を、確実にB5サイズのシートに転写することができる。
また、A4サイズのシートを用いる場合には、シートの長手方向を主走査方向として搬送(横送り)すると、有効画像形成幅がシートの長手サイズと同じとなるため、シートをはみ出す画像を感光体ドラム3に形成することができなくなってしまう。そこで、A4シートを用いる場合は、シートの長手方向を副走査方向とした縦送りで行う。
A4サイズのシートを用いる場合、図4のW0は210mm、L0は297mmとなる。そして、図3に基準画像Pとして示す枠画像は、主走査方向D2の外枠の幅J3を、シートサイズの210mmを超える長さとして、例えば230mmとする。また、枠画像の副走査方向(搬送方向D1)の外枠の幅J1は、シートサイズの297mmを超える長さとなるように例えば317mmとする。また、枠画像の主走査方向における内側の間隔J4(図4に示すW3に相当)は、210mmより充分小さな間隔とし、例えば180mmの間隔とする。また、枠画像の副走査方向における内側の間隔J2(図4に示すL3に相当)は、297mmより充分小さな間隔とし、例えば267mmの間隔とする。本実施形態においては、このような枠画像のデータが、シートサイズに応じてパターン記憶部506に記憶されている。制御手段500aは、選択した給紙トレイのシートサイズに応じてパターン記憶部506から適切な枠画像のデータを取得し、演算手段600aに転送する。
ここで、枠画像をあまり大きなサイズの画像とすると、現像材(トナー)などの消耗品を多く使用してしまう。このため、調整の対象となる装置に特有のずれを、予め実験などにより定めておいてもよい。この場合、考えられる搬送ずれを考慮し、充分余裕を待たせて形成できるように枠画像の画像データを作成し、パターン記憶部506に記憶させておく。パターン記憶部506には、本実施形態のように複数のシートサイズに対応できるように複数の画像データを記憶させてもよいし、または少なくとも一つ以上のシートサイズに対応できるように定めた1つのサイズの枠画像だけ記憶させてもよい。
また、枠画像は、全周が繋がっている必要はなく、例えば図17(a)に示すシートQ9の領域R2、R3、R4を占めるように、少なくとも3隅に印刷されていればよい。この場合には、調整に使用する現像材を節約することができる。なお、枠画像の印刷において、シートの外枠全体を覆うように印刷するのは、印刷しなければシートのエッジを読取りにくいためである。シートの端まで印刷して黒枠とすれば、シートのエッジを容易に読取ることができる。
また、シートとしてB4サイズ(257mm×364mm)を用いてもよい。ただし、この場合にはシートサイズが大きく、大きな画像を形成しなければならないため、現像材の消費が増大し、調整にかかる時間が長くなってしまう。
次に、複合機1においては、出力されたシートが、例えばユーザによって、原稿台209に載置される。複合機1の操作部508においてユーザからの読取指示を検出すると、読取手段200aがシートの画像を読取る。
ここで、本実施形態においては、複合機1の制御手段500aは、読取手段200aがシートを正確に読取ることができるように、例えば操作パネル220(操作部508)のLCD221に以下のような内容のメッセージをユーザに対して表示する。すなわち、図19に示すLCD221bのように、「画像読取位置調整」として、「出力されたシートを基準マークに合わせて原稿台上にセットして下さい」と表示する。また、このようにサービスモードにおいてガイダンスをLCD221に表示する構成に限るものではなく、例えばシートに上記と同内容の指示を印刷してガイダンスしてもよい。
図11には、ユーザによって、読取手段200aの原稿台209において、原稿載置ガイド801の基準マークTに合わせてシートQ5が載置された状態を示す。
シートQ5には、形成された画像の方向を示す方向マークMが形成されている。このため、シートQ5を載置する際に、ユーザがこの方向マークMを参照して、画像形成部100での搬送方向D3を確認して載置することができる。これによって、ユーザがシートを載置する際に、例えば図11に示すようにして、セットする方向を間違えないようにできる。
また、図18に示すように、A4サイズのシートを載置する場合には、シートQ3のように短辺側を主走査方向に平行に載置して、シートの画像の読取りを確実にできるようにする。一方、例えばA4サイズのシートを、図18に示すシートQ4のように載置すると、長辺側が主走査方向と平行となり、シートが調整前の読取領域801をはみ出してしまうといったことが生ずるおそれがある。ただし、この場合であっても、読取手段200aの読取領域が調整済みであれば、図18に示すようにシートQ4が調整後の読取領域802の内部に配置されるので、読取りを行うことができる。
また、図12に示すように、シートQ6が、好ましい方向以外の方向で載置される場合も考えられる。このような場合として、例えばユーザが載置方向、搬送方向の勘違いをする場合が考えられる。そこで、複合機1においては、読取手段200aがシートQ6の画像を読み取ると、演算手段600aが、方向マークMから画像形成部100での搬送方向D4を検出した上で、シートの載置方向を判別する。そして、適切な読取条件、形成条件を求めるようになっている。このように、複合機1側で、自動的にシートのセットされた向きを検出しても良い。
なお、本実施形態では、方向マークMの形状を、簡単のため四角いパターンとしているが、これに限るものではない。例えば、視覚性を重視して、矢印のパターンとしてもよい。ただし、矢印とした場合には、記憶部でのデータ容量を多く取ってしまう。また、シートのセット状態を読取手段200aで読取らせる場合に、読取り結果を判断するのが複雑となる。このため、単純な四角のパターンとし、枠画像に対して片寄った位置に形成している。
図11に示すシートQ5のように、原稿台209上にシートが載置されると、ユーザからの読取指示を複合機1の操作部508が検出して、読取手段200aがシートの画像を読取る。ここで、本実施形態のように、画像形成部100の形成条件だけでなく、読取手段200aの読取条件についても補正する場合には、読取手段200aの読取領域を確定させるために、例えば主走査方向について読取領域のセンター位置を確定し、また副走査方向については正確な読取開始位置を確定する必要がある。
読取領域のセンター位置とは、例えば図13に示すように、読取領域の主走査方向に設けられた基準マークTのセンター位置T0に相当する。このセンター位置の調整を行うため、複合機1の制御手段500aが、操作パネル220のLCD221に、以下のような内容のメッセージをユーザに対して表示してもよい。すなわち、「シートの中心を、原稿載置ガイドの基準マークの中心に合わせて下さい。」といった内容をLCD221に表示してもよい。
そして、図13に示すように基準マークTおよびセンター位置T0に合わせて、搬送方向D5に応じて配置されたシートQ7を、読取手段200aによって読取りして、演算手段600aにて補正値を導出する。読み取った枠の真中が中央であるので、枠画像が形成されたシートQ7の主走査方向における外枠の両側のエッジの位置から中央の位置を求め、センター位置T0のための補正値を求めることができる。このように、読取手段200aの補正値を求める際には、画像形成部100での形成条件に応じた誤差を含まない、シート上の枠画像の外枠のデータを用いるようにする。この補正値を読取手段200aに反映させれば、調整前の読取領域801を調整後の読取領域802として、主走査方向の読取位置の中心を基準マークTの中心であるセンター位置T0と合わせることができる。
なお、読取手段200aにおいて、シートの外枠の画像を読取るためには、例えば図17(a)に示す領域R2、R3、R4のように、シートQ9の少なくとも3つの角部を含む領域の読取を行えばよい。ただし、より正確な補正値を求めるために、図示しない枠画像が印刷されたシートQ10に対して、図17(b)に示すような領域R5〜R7,R8〜R10の領域をそれぞれ読取りしてもよい。この構成であれば、より確実に正確な補正値を求めることができる。すなわち、シートの長手方向について領域R5〜R7、短手方向について領域R8〜R10のように、3つの箇所にわたって読取りを行えば、より確実な読取り値を得ることができる。
例えば原稿台209上で、シートが原稿載置ガイド810に対して若干傾いて配置される場合であっても、上述のように副走査方向、または主走査方向にわたって少なくとも2カ所以上となるように3カ所での読取りを行えば、シートの傾きを検出することができる。
例えば、図4に示す主走査方向の長さW0を、副走査方向に異なる2カ所以上の位置で読取りする。このとき、例えばシートの外枠を検出し始める位置(画素のカウント値)が異なっていれば、シートが傾いていることになる。副走査方向の距離と画素のカウント値の差とから、演算手段600aにてシートの傾きを求めることができる。また、主走査方向の一方の枠幅W1が、副走査方向に異なっている場合には、画像形成部100での書き出しタイミングが正確でなく、シート上に傾いた画像が印刷されていることになる。この傾きも、同様に、副走査方向の距離と枠幅W1の変化量とから求めることができる。例えば3点で読取りを行う場合には、端の2点で傾きを求めるようにしてもよい。なお、位置ずれは、例えば3点の平均値を用いて計算してもよいし、3点の真中の値を用いてもよい。傾きを計算できれば、これに応じた補正値も計算できる。副走査方向についても同様に傾きを求め、補正値を計算できる。
また、なんらかの要因によって、シートが原稿台209上で非常に大きく傾いてセットされる場合も考えられる。このような場合には、シートが原稿台209の原稿載置ガイド810に沿って載置されていないことになる。このため、後述するように、読取手段200aによるシートの読取開始位置を判別できなくなってしまう。そこで、本実施形態の複合機1においては、予め傾きの許容範囲を定めて図示しない記憶部に記憶させておき、上述のように判別したシートの傾きが予め定めた傾きの許容範囲を超えていると制御手段500aが判別した場合には、エラー表示を操作部508の表示領域に行うようになっている。例えば、シートの端と端との位置で測定した傾き量が2mm以上である場合に、エラー表示を行う。これによって、ユーザが原稿台209上のシートの載置状態を確認するので、シートが適切に載置された状態で再度の読取りを行うことができる。
また、例えば画像形成部100の主走査ラインが湾曲している場合も考えられる。例えば書込み部513がレーザ走査方式を用いているとき、偏向手段へのレーザビームの入射角度の傾きやレンズ系の光学特性により、走査線が湾曲することがある。また、書込み部513が光LEDヘッド等の固体走査方式を用いているとき、発光部の配列が一直線になっていない場合や、光書込みユニットが外力により撓んだ場合に、走査線の湾曲が発生することがある。
このような場合に、例えば副走査方向、または主走査方向にわたって2カ所のみの異なる位置での読取りを行うと、ラインの傾きを検出できないおそれがある。このような状況が予測される場合には、副走査方向、または主走査方向にわたっての読取り箇所を、3カ所以上とすることが好ましい。これによって、ラインの傾きを判別できる。
次に、図14に基づいて、副走査方向の読取開始位置の導出について説明する。画像の形成されたシートQ8は、原稿台209上で、原稿載置ガイド810に当接するように配置されている。
シートQ8に対して、原稿台209の下に配置された第1走査ユニット検出器213などを副走査方向D6に移動させることによって、シートQ8の画像の読取を行う。読取りを行う第1走査ユニット検出器213、および図示しない第2走査ユニットの駆動源には、ステッピングモータを用いているので、モータの回転ステップ数によりカウント数を求め、制御手段500aが第1走査ユニット検出器213などの移動距離を判別する。このカウント数は、制御手段500aから演算手段600aに入力される。ステッピングモータ以外の例えばDCモータを用いた場合には、伝達系にエンコーダ等を連結させることでカウント数を求めることができる。
図14に示す位置X0は、第1走査ユニット検出器213が待機しており、走査を始める際の位置である。位置X1は、調整前において、走査を始めた第1走査ユニット検出器213が読取りを開始する位置である。位置X2は、原稿載置ガイド810に突き当たるように配置されたシートQ8の先端の位置であり、本来読取りを開始するべき位置である。
本実施形態においては、読取手段200aが読取を開始するべき正確な位置X2を得るために、シートの副走査方向の後端エッジの位置X3から逆算して位置X2を得て、読取開始位置(読取開始タイミング)を調整する。
まず、調整前に予め設定されている、読取開始位置までのカウント値、すなわち位置X0からX1までの移動に要するカウント値をH0とする。そして、読取りを開始した位置X1から、シートの後端エッジで読取りを終了する位置X3までに得られたカウント値をCT1とする。また、シートQ8の長さ、基準寸法として知られているカウント値をCT0とする。
このとき、位置X0から正確な読取開始位置X2までのカウント値をHとすると、H+CT0=H0+CT1であるので、演算手段600aにてH=H0+CT1−CT0を計算して、Hを得ることができる。これによって、予め設定されていた読取開始位置のカウント値H0に対する補正値h=H−H0を得ることができる。第1走査ユニット検出器213を移動させる際に、このカウント値H、補正値hを用いれば、適切な位置X2にて第1走査ユニット検出器213による画像の読取りを開始できる。
このように、出力したシートQ8を原稿台209に載置して読取りを行う場合に、シートQ8を原稿基準部材である原稿載置ガイド810に突き当てて載置すれば、シートQ8を原稿台209上で位置決めしやすく、原稿台209にシートを正しく載置できる。このため、シートQ8の外枠画像の位置(副走査方向の後端側)を読取るだけで、容易に画像読取開始位置の調整が行える。
また、上述の説明においては、領域R1において、原稿載置ガイド810とシートQ8との間ではっきりとした境界を読取ることができない場合を考慮して、シートQ8の副走査方向の後端側の位置X3から位置X2を逆算する構成とした。これは、原稿台209の下側から第1走査ユニット検出器213などが読取りを行う際に、領域R1において、読取手段200aのフレーム811と原稿台209のガラスエッジ等とが重なる箇所となるため、はっきりとしたシートQ8のエッジを読取ることができない可能性があるからである。このため、原稿載置ガイド810に突き当てているシートQ8の部分は読取りを行わないものとした。
しかしながら、この構成に限るものではなく、例えば原稿台209のガラスエッジとその外側のフレーム811とが、原稿載置ガイド810とシートQ8とは異なる位置において突き当たるように配置され、これらのエッジとシートのエッジとが重ならない構成あれば、シートQ8の先端エッジを直接読取りしてデータを得ても構わない。すなわち、シートQ8の読取画像データより直接位置X2を読取るようにしてもよい。
また、上述のように、原稿台209の原稿載置の基準位置と原稿台209のエッジとが一致している場合に、読取精度が低下しやすくなることも考えられる。これは、原稿載置ガイド810とシートQ8の先端部との切り分けが困難となるためである。この場合には、例えば図6に示すように、原稿台209上において、シートQ1、Q2の端部を原稿載置ガイド810から離して載置する。このようにすれば、シート全体を、シートの端部まで確実に読取ることができ、原稿載置ガイド810とシートの先端部との切り分けを確実にできる。
ただし、この場合には、副走査方向の読取開始位置、すなわち読取領域の副走査方向の先端位置を、原稿の先端位置として読取ることができない。そこで、この場合には読取りを2回行うようにする。すなわち、例えば一度目はシート先端部を原稿載置ガイド810に沿うように配置して読取し、二度目は原稿載置ガイド810からシート先端部を離して載置して読取りを行うようにすればよい。
また、以上においては、シートQ8の外枠の位置を用いる場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限るものではなく、シートに形成された枠画像の内枠の位置を検出して用いてもよい。ここで、枠画像の内枠は、画像形成部100の倍率誤差をも含んでいるが、例えば誤差が±0.5mm以内という所定の精度が得られればよいとする場合には、内枠のデータを読取手段200aの調整に用いることもできる。
以上のようにして、読取手段200aの読取りの位置ずれ(主走査方向、副走査方向)について判別し、補正値を得ることができる。本実施形態においては、上述のように、読取手段200aの読取倍率については既に調整されているものとしているので、上述のように一度の読取りによって得た位置ずれの補正値を用いて、読取手段200aの読取条件を補正することができる。
次に、読取倍率が調整されていない場合についても説明する。このような場合であっても、以下のように調整が可能である。すなわち、例えば一度目の読取では、画像形成部100側のみについて、倍率誤差、位置誤差について補正をする。このようにして補正された画像形成部100を用いて枠画像を印刷したシートを、二度目の読取りにて読取って、読取手段200aを以下のように調整する。
すなわち、倍率までをきめ細かく調整する場合には、画像形成部100の調整が完了した後に、再度画像形成部100にて調整用のシートを出力する。このシートを用いて読取手段200aの細かな調整を行ってもよい。この場合は、画像形成部100が先に調整されているため、シートに対して形成する枠画像にはずれがなく、また倍率誤差もないため、読取手段200aをさらに精度よく調整できる。
より詳細には、まず主走査方向について、読取手段200aの原稿の載置基準が主走査方向についてセンター基準であるときには、読取手段200aの読取倍率に誤差がある場合であっても、画像形成部100の画像形成タイミングの補正値には影響があるものの、読取位置の調整には影響がない。
すなわち、主走査方向のセンターの位置は、単純に読取で得られたシートの両端位置の真中の位置を求めその位置を主走査方向のセンターの位置とすればよい。このため、主走査方向のセンターの位置は、シートが原稿載置ガイドの基準マークに対して正確にセットされていれば、読取手段200aの読取倍率に多少の誤差があっても影響を受けることなく、正確な位置を求めることができる。
また、副走査方向の読取開始位置については、副走査方向の後端のエッジから、シートのサイズである基準値を用いて演算手段600aにて演算して求めることができる。この場合の補正値の導出については後述する。
また、読取手段200aの原稿読取がセンター基準ではなく片側基準の場合であっても、枠画像が形成されたシートの外枠として検出した位置を、読取り開始位置と定めればよい。ただし、この場合、読取った画像データとして画像形成部100に出力する画像データは、倍率誤差を考慮した上で画像形成装置に出力するか、または、画像形成部100に対して倍率誤差の情報を画像データに合わせて出力し、画像形成部100の画像処理によって倍率誤差を補正する必要がある。
ここで、シートの外枠の位置を用いて倍率誤差を修正する手順について詳細に説明する。まず、例えば図4に示すシートQ0に対して、読取手段200aにて長さW0を読取る。長さW0の情報は、実際には画素のカウント数として得られる。その結果を、演算手段600aにて、A4サイズのシートの長さ210mmにおける本来のカウント数と比較する。これによって、読取手段200aの主走査方向の倍率(読取倍率、倍率誤差)Amが求まる。また、読取手段200aにて長さL0を読取る。この結果と、A4サイズのシートの長さ297mmにおける本来の画素カウント数とを演算手段600aにて比較する。これによって、読取手段200aの副走査方向の倍率Asが求まる。ここで、倍率(倍率誤差)は、(読取より得られた画素数)/(画像データにて構成される画素数)としている。
倍率誤差を補正するための倍率補正係数を、主走査方向について1/Am、副走査方向について1/Asとすれば、適正な倍率である等倍の“1”を得ることができる。なお、実際の長さは、読取りで求まった画素のカウント数に解像度を乗じることにより、求めることができる。
また、図14を参照して説明したように、副走査方向の読取開始位置をシート後端から求める場合については、倍率補正に応じて補正値を演算手段600aにて以下のように求める。すなわち、読取手段200aの倍率誤差を考慮するために、読取りカウント数CT1に上記の補正係数1/Asを乗じたものから、CT0を減じて補正値hを求める。なお、枠画像が形成されたシートの先端部を直接読取りして読取りの開始点を求める場合には、倍率誤差を考慮しなくてもよい。
また、上述のように、読取手段200aに読取誤差がある場合には、画像形成部100の調整をする際に、読取手段200aの倍率誤差と画像形成部100の倍率誤差との双方を考慮する必要がある。この場合の調整動作について以下で説明する。
一度目の読取りにおいて、まず読取手段200aの読取り倍率誤差を、演算手段600aにて、上述のように補正値Am、Asとして求める。次に、画像形成部100の倍率誤差を、読取手段200aの倍率誤差を考慮した上で、演算手段600aにて、枠画像の内側の枠の大きさの読取りデータから求める。この場合の誤差、補正値の導出を、図4を参照して説明する。まず、シートQ0の読取画像データに対して、先に求めた倍率補正係数Am、Asを用いて、内側のW3、L3にそれぞれ1/Am、1/Asを乗ずる。これによって、シートQ0に実際に形成されている枠画像の大きさを求めることができる。ここで得た大きさと、画像形成部100が本来印刷するべき枠画像の内枠の大きさとを比較することによって、画像形成部100による倍率誤差(形成倍率の誤差)を求めることができる。画像形成部100の倍率補正係数として、主走査方向について1/Am´,副走査方向について1/As´が求まる。画像形成部100にこの情報が入力される。
画像形成部100については、読取手段200aと画像形成部100との主走査方向の倍率誤差を考慮し、W1を読取った値に1/Amと1/Am´とを乗じた値と、画像データに基づく正しいW1の値とを演算手段600aにて比較することによって、主走査方向の書き出しタイミングを求めることができる。これによって、予め設定されている主走査方向の書き出しタイミングに対する補正値が求まる。
同様に、画像形成部100において、読取手段200aと画像形成部100との副走査方向の倍率誤差を考慮し、L1を読取った値に1/Asと1/As´を乗じた値と、画像データに基づく正しいL1の値とを演算手段600aにて比較する。これによって、副走査方向の書き出しタイミングを求めることができる。また、予め設定されている副走査方向の書き出しタイミングに対する補正値を求めることができる。
画像形成部100においてレーザビーム走査方式を用いている場合には、主走査方向の調整として、制御手段500aがビームディテクタを通過してからのタイミングを調整することにより書き出し位置を調整し、1画素当りの点灯タイミングを調整することにより主走査方向の倍率を調整する。
一方、画像形成部100においてLEDヘッド等を用いた固体走査方式を用いている場合には、主走査方向の調整として、何処から点灯させるかという最初の発光素子の位置を調整する(ずらす)ことによって、書き出し位置の調整を行う。また、主走査方向の倍率はほぼ決定しているので特に調整する必要はないが、ずれが目立つ場合には、何れかの画像データを間引いたり、画像データを補完して増加させたりして、点灯させる発光素子の数を増減させることによって調整する。
画像形成部100における副走査方向の調整は、画像形成書き出しタイミングとレジストクラッチの接続タイミングの少なくとも何れか一方のタイミングを制御手段500aによって調整すればよい。
また、副走査方向の倍率は、制御手段500aによって感光体ドラム3の回転速度あるいはシートの搬送速度の少なくとも何れか一方を調整すればよい。本実施形態においては、搬送機後部の搬送モータの速度を調整している。これは、画像形成のプロセス条件が変化しないシートの搬送方向の速度を調整する方が好ましいためである。
また、読取手段200aの倍率誤差補正については、以下のようにする。例えば、副走査方向の倍率誤差については、制御手段500aによって、スキャナの読み取り精度をスキャンスピードに応じて調整して、補正することができる。なお、主走査方向については、倍率は、ほぼ決定しているので特に調整する必要はないが、ずれが目立つ場合には、何れかの画像データを間引いたり、画像データを補完して増加させたりして調整する。
なお、本実施形態の複合機1は、読取手段200aから入力される画像データを用いて、複合機1の演算手段600aにて演算して補正値を算出し、その結果を画像形成部100に反映させる構成としているが、これに限るものではない。例えば、複合機1において、画像形成部100および読取手段200aの少なくともいずれか一方に、専用の演算手段が設けられていてもよい。この場合、補正値を画像形成部100側の演算手段にて求めてもよいし、または読取手段200a側の演算手段にて求めてもよい。また、画像形成部100および読取手段200aの少なくともいずれか一方に、CPUのような処理プロセッサが備えられ、この処理プロセッサが記憶部から読み出したプログラムを実行することによって演算手段として機能する構成であってもよい。例えば読取手段200aのCPUがプログラムを実行することによって演算手段として機能し、その結果を画像形成部100に補正値データの情報として転送して、画像形成部100側で調整する構成であってもよい。
ここで、上述の一度の読取りによる画像形成部100、読取手段200aの補正動作を、図15に基づいて説明する。S11では、複合機1の画像形成部100が、シートの縁辺全てを含む領域に枠画像を形成して出力する。S12では、出力したシートが読取手段200aにセットされたことを検知する。S13では、読取手段200aがシートの読取を行う。S14では、枠画像の外枠、内枠、枠幅などのデータを、読取手段200aが読取走査にて求める。ここまでの手順は実施形態1と同様である。
S15では、読取手段200aからの画像データを受信した複合機1の制御手段500aが、読取手段200aの倍率補正係数1/Am、1/Asを演算手段600aにて算出させる。
次に、本実施形態の複合機1では、S16〜S18にて、まず読取手段200aの補正係数を求め、調整を行う。また、S19〜S22にて画像形成部100の補正係数を求め、調整を行う。この読取手段200aの調整と画像形成部100の調整とは、どちらを先に実行してもよいし、また同時に実行してもかまわない。
S16では、読取手段200aの読取領域のセンター位置の補正値を演算手段600aにて求める。S17では、演算手段600aにて読取手段200aの読取開始位置の補正値を求める。S18では、得た補正値を制御手段500aが読取手段200aに反映させ、制御値を設定する。
S19では、枠画像のデータから、演算手段600aが画像形成部100の倍率補正係数を求める。S20では、画像形成部100の主走査方向について、演算手段600aが書込み開始タイミングの補正値を求める。S21では、画像形成部100の副走査方向について、演算手段600aが書込み開始タイミングの補正値を求める。S22では、制御手段500aが補正値を画像形成部100に反映させ、制御値を設定する。
以上のように、S11にてシートに出力し、それをS13にて読取って、その後調整することによって、1プリント1スキャンの手数のみで、複合機1の読取条件、形成条件を調整できる。
なお、上述の説明においては、市販されている規定寸法のシートを用いた調整について説明しているが、それに限るものではない。任意のサイズのシートを用いることもできる。この場合、複合機1の操作部508(操作パネル220)に、所望のシートのサイズを入力する。
この場合の操作パネル220について、図16に基づいて説明する。操作パネル220に対して所定のキー入力をすると、LCD221aには、図16に示すような項目222、223、224が表示される。
項目222は、使用する用紙サイズを設定するものである。タッチパネルとなっているLCD221a上の上移動キー225aおよび下移動キー225bを用いて、項目222の内容を変更できる。例えば、図16に示すように「A4」を表示させることができる。また、上移動キー225aおよび下移動キー225bを用いて、項目222を特殊サイズとしての「その他」に設定することもできる。この場合に、任意のシートのサイズを設定できる。また、さらにこの場合には、このシートに対して枠画像として用いる画像の外枠サイズ、内枠サイズを設定できるようにしてもよい。
項目222を選択すると、項目223には選択した用紙の主走査方向のサイズが表示され、項目224には副走査方向のサイズが表示される。項目223の内容は、上移動キー226aおよび下移動キー226bを用いて変更できる。また、項目224の内容は、上移動キー227aおよび下移動キー227bを用いて変更できる。
また、上移動キー226a・227a、下移動キー226b・227bの代わりに、テンキー231を用いて項目223,224を設定することもできる。
なお、調整に使用するシートは一般に画像形成に使用する規定サイズのシートを用いるが、例えば最大±1mm程度の多少の寸法誤差が生ずる場合も考えられる。また、画像形成に用いる定着装置(定着ユニット12)が、画像形成前後でのシートの含有水分量を変化させ、画像形成の行われたシートの水分量を減少させることによって、シートのサイズが小さくなることも考えられる。このような場合には、厳密に調整を行うために、シートのサイズ、好ましくは画像形成後のシートのサイズを計測して、上述のようにそのサイズを操作パネル220から入力する。また、この場合には、基準サイズとの差を入力するようにしてもよい。このようにすれば、シートのサイズに多少誤差があっても精度の高い調整を行うことができる。
また、得られた補正データを、画像形成部100または読取手段200aに対して制御手段500aが直接設定する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、補正値を一旦操作パネル220のLCD221に表示させ、この補正値をサービスマンや管理者が手で入力できるようにしてもよい。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図20〜図29に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の複合機(画像形成システム)1aは、画像形成部と画像読取装置とが一体となった、図20に示すような複合機である。以下では、上述の実施の形態1、2で説明した装置・部材と同じ構成、同じ機能を有する装置・部材については、特に必要がない限り説明は省略し、同じ符号を付して参照する。
複合機1aは、図20に示すように、自動原稿搬送装置210、読取手段(画像読取装置)200、画像形成部(画像形成装置)100b、給紙デスク装置22、および中継搬送装置50を備えている。このうち、画像形成部100bは、給紙トレイとして、給紙トレイ19および手差しトレイ27を含んでいる。また、給紙デスク装置22は、給紙トレイとして、2段の給紙トレイ20a・20bを含んでいる。各給紙トレイのシートは、所定の搬送経路を介して搬送され、画像形成部100bにおいて所望の画像が印刷される。
この複合機1aは、シートに対する画像形成条件を、給紙トレイごとに調節する。より詳細には、画像形成条件を調整する際には、給紙トレイからそれぞれシートを搬送して、それぞれのシートに枠画像を形成する。そのシートが自動原稿搬送装置210に載置されると、読取手段200にてシートの画像を順次読取って、画像形成部100bにて補正値を得る。この補正値を用いて、シートに対する画像形成条件を給紙トレイごとに調節する。
また、本実施形態の複合機1aにおいては、各給紙トレイから搬送されるシートは、中継搬送装置50および両面トレイユニット26を介して、両面に枠画像が印刷されるようになっている。
また、本実施形態の画像形成部100bは、定型サイズのシートのうち、処理可能な最大サイズのシートまで使用できるものとする。ただし、シートの寸法誤差や画像形成の際に生じうる寸法変化に対して精密に対応する場合や、定形外のサイズのシートを使用する場合を考慮して、操作パネル220よりシートのサイズを入力できるようになっている。
なお、本実施形態の複合機1aにおいては、簡単のため、読取手段200の読取倍率については、既に正しく調整されているものとする。これは、通常、画像読取装置は、工場での組立時に、治具などによって主走査方向の倍率は既に機械的に調整されるからである。また、副走査方向の倍率は、第1・第2走査ユニットなどを移動させて読み取りする際の移動速度に応じて決まるのであるが、第1・第2走査ユニットなどを移動させるためのワイヤを巻き取るプーリ等は高い精度で制作されており、倍率に関わる調整は組立段階で完了していると見なすことができるからである。
ここで、本実施形態における画像形成部100bは、実施の形態1における画像形成部100とは、給紙トレイとしての手差しトレイ27を備えている点が異なっている。また、画像形成部100bは、中継搬送装置50および給紙デスク装置22の両面トレイユニット26を用いて、シートの両面に印刷を行うようになっている点が異なっている。
また、本実施形態における給紙デスク装置22は、実施の形態1における給紙デスク装置20とは、両面印刷用の両面トレイユニット26を備えている点が異なっている。また、給紙デスク装置22は、給紙デスク装置20とは給紙トレイの数が異なっている。
ここで、給紙デスク装置22について、より詳細に説明すると以下のようである。後付けの給紙デスク装置22は、シートを収容する給紙トレイ20a・20bを備えている。給紙トレイ20a・20bには多種多様のシートが収容可能であり、そのうちから一つを選択して予め給紙トレイ20a・20bに収容しておく。
また、給紙デスク装置22は、両面トレイユニット26を備えている。両面トレイユニット26は、給紙デスク装置の最上部に備えられている。両面トレイユニット26は、シートの表裏の両面に画像を形成するために、片面に画像が形成されたシートを、再度画像形成装置100bに供給するものである。両面トレイユニット26は、給紙トレイ20a・20bの上部に備えられている。
両面トレイユニット26は、用紙反転トレイとして、第1トレイ26aと第2トレイ26bとを含んでいる。第1トレイ26aは、中継搬送装置50に支持されている。第2トレイ26bは、給紙デスク装置22の上部に、支持された状態で配置されている。第2トレイ26bが、第1トレイの先端を支持する。なお、給紙デスク装置22の上に画像形成部100bを載置すると、画像形成部100bのゴム足により、画像形成部100bと給紙デスク装置22との間に空間が生じるようになっている。
また、この給紙デスク装置22には、両面トレイユニット26の代わりに、他の給紙トレイを挿入することもできる。例えば、両面画像形成機能を必要としない場合に、他の給紙トレイを挿入すればよい。また、図20に示す給紙デスク装置22は3段構成になっているが、これに限らず1段構成の背の低いもの、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、単にデスクとして機能するもの等であってもよい。画像形成部100bには、ユーザの用途や予算などに応じて、複数の種類の中から所望の適切な給紙デスク装置を選択して装着できる。
次に、中継搬送装置50について説明する。中継搬送装置50は、画像形成装置100bから排出されるシートを、シートに対して所定の処理を行う機能部に中継搬送する装置である。機能部の一例としては、排紙トレイ,用紙反転トレイ,給紙デスク装置の両面トレイユニットなどがあり、本実施形態においては、排紙トレイ33a、給紙デスク装置22の両面トレイユニット(中間トレイ)26がある。中継搬送装置50は、画像形成装置100bの排紙部に装着される。この排紙部は、図1に示す画像形成装置100において排紙トレイ33が設けられていた位置に相当する。
中継搬送装置50は、第1の反転部51と第2の反転部52とを備えている。より詳細には、中継搬送装置50は第1反転路50aを有しており、その第1反転路50aの上部と下部に、第1の反転部51と第2の反転部52とをそれぞれ備えている。
第1の反転部51は、排紙トレイ33aに対してフェイスダウンさせてシートを排出するときに、反転動作(スイッチバック動作)を行うための反転部である。なお、排紙トレイ33aの代わりに、図示しない後処理装置を後付けして、この後処理装置にシートを排出してもよい。
第2の反転部52は、シートの表裏両面に画像を形成する場合に、シートを反転(スイッチバック)する反転動作をさせるための反転部である。より詳細には、第2の反転部52は、シートの表裏両面に画像を形成する場合に、シートを反転(スイッチバック)する反転動作をさせるために、上述の給紙デスク装置22と画像形成装置100bとの間に設けた第1トレイ26aに導き、スイッチバックさせたいシートを反転させる。また、第1トレイ26aと給紙デスク装置22に設けられた第2トレイ26bにおいて、反転路が形成される。
また、中継搬送装置50は、第1ゲート53および第2ゲート54を含んでいる。また、第2の反転部52から給紙デスク装置22の両面トレイユニット26までの位置に、搬送路55が設けられている。開口55aは、搬送路55の上部開口である。開口55aは、第1トレイへの開口でもある。開口55bは、搬送路55の下部開口である。開口55bは、両面トレイユニット26に接続される。
なお、自動原稿搬送装置210および読取手段200は、実施の形態1において説明したものと同じ構成である。読取手段200は、自動原稿搬送装置210との関連した動作により、自動原稿搬送装置210にて自動搬送される原稿の画像を読み取る。なお、実施の形態1においては特に説明しなかったが、読取手段200は、自動原稿搬送装置210によって搬送される原稿の表面をCCDラインセンサ204などによって読取る一方で、自動原稿搬送装置210側に設けられた密着イメージセンサを用いて原稿の裏面を読取るようになっている。あるいは、原稿の一方を読み取った後に反転させて再び読取り部(読取手段200の読取領域)に搬送し、もう一方の面の画像を読み取ることができるように搬送する、いわゆる両面自動原稿搬送装置(RADF:Reversing Automatic Document Feeder)であってもよい。そして、読み取った画像の画像データを画像形成部100bに転送する。画像形成部100bにおいては、画像データが図2に示すような画像データ入力部510に転送され、画像処理部511にて所定の画像処理が施され、一旦メモリ512に記憶される。そして、図示しない操作パネルにて検出した、ユーザによる出力指示に応じて、制御手段500にてメモリ512内の画像が読み出され、書込み部513に転送されて静電潜像が形成される。
次に、上述した画像形成部100bにおいて印刷する、画像形成条件の調整のためのシートについて説明する。本実施形態の画像形成部100bは、少なくともシートの3つの角部を含む領域に画像を形成する際に、以下のようにして、シートの縁辺全てを含む領域に、枠状の枠画像を形成する。
A4サイズのシートについて調整を行う場合には、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)上に形成する枠画像の外側のサイズを、主走査方向に、297mmを超え有効画像形成幅以下のサイズ、例えば307mmのサイズとする。また、副走査方向は、420mmを超える長さとなるように、例えば430mmのサイズとする。ただし、あまり大きなサイズの画像とすると、その画像を形成するために必要な画像形成部100bのサイズが大きくなってしまう。このため、調整の対象となる装置に特有のずれを実験などにより予め定めておいて、適切な画像サイズを決めるのが好ましい。そして、考えられる搬送ずれを考慮し、余裕を待たせて形成できるように枠画像の画像データを作成し、パターン記憶部506に記憶させておく。
また、主走査方向の内側の間隔(図4に示すW3に相当する。)は、使用シートがA4の場合には、210mmより充分小さな間隔とし、例えば30mmだけ小さい180mmの間隔とする。副走査方向の内側の間隔(図4に示すL3に相当する。)は、使用シートがA4の場合には、297mmよりも充分小さな間隔とし、例えば30mmだけ小さい267mmの間隔とする。このサイズは単なる一例であり、これに限定されない。
本実施形態においては、複数の給紙トレイ(19、20a・20b、27など)にそれぞれ備えられたシートに対応するために、複数のシートサイズについてのデータを、パターン記憶部506に記憶させておく。
また、本実施形態の複合機1aは、両面トレイユニット26に対しての補正値を求めるために、シートの片面または両面に調整用の画像形成を行う。
片面に調整用の画像形成を行う場合は、給送されたシートの第1面(一方の面)には画像形成を行わずに、シートを両面トレイユニット26に送り、両面トレイユニット26から搬送されるシートの第2面(他方の面)に調整用の画像を形成する。このときシートの第2面には、両面トレイユニットから搬送されて画像形成されたことが認識できる、マーク(識別マーク)が付加される。
一方、両面に調整用の画像形成を行う場合は、まずシートの第1面には、シートの収容されていた給紙トレイに応じたマークを枠画像とともに形成する。その後、両面トレイユニット26に送られ、両面トレイユニット26から送りだされたシートの第2面に、両面トレイユニット26から搬送されて画像形成されたことを示すマークを枠画像とともに形成する。
なお、両面トレイユニット26のような両面トレイ手段には、通常、各給紙トレイから搬送されるシートの位置などを整合させる整合手段が設けられている。このため、両面トレイユニット26について求めた補正値を、シートが最初に収容されていた給紙トレイが何れであるかを問題とせずに適用できる。したがって、1枚のシートに対する片面の画像形成だけで、両面トレイユニット26に対する補正値を求め、それを適用できる。すなわち、各給紙トレイ(19、20a・20b、27など)からそれぞれ1枚ずつシートを搬送して片面に調整用の画像を形成するとともに、いずれか一つのトレイから搬送し、両面トレイユニット26を通過させたシートの片面に調整用の画像を形成する。すなわち、給紙トレイ(シート収容手段)には、両面画像形成を行うための両面トレイユニット26を含めることができる。このように、シートの片面のみに調整用の画像を印刷して、片面だけの処理を可能とすれば、後に読取手段200や自動原稿搬送装置210を用いてまとめてシートを読取り処理する場合に好都合である。
一方、整合手段の存在を考慮に入れて、例えば両面トレイユニット26を介する一つのシートには上述のように両面に調整用の画像を形成し、残りの他のシートには片面のみに調整用の画像を形成する場合も考えられる。しかしながら、このように片面に調整用の画像が形成されたものと両面に調整画像が形成されたものとを混在させると、読取手段200などを用いて読取りを行い、補正値を求める場合の処理が煩雑となる。
また、全てのシートについて、両面に画像を印刷する場合も考えられる。このようにすれば、例えば給紙トレイごとのシートのサイズが異なる場合に、整合手段において整合誤差が生ずる場合であっても、この整合誤差を考慮して調整ができる。しかしながら、通常はこのような誤差は問題とならないので、両面に画像を印刷して無駄を生じてしまう。
次に、調整用の枠画像とともにシートに形成するマーク(識別マーク)について説明する。
本実施形態の複合機1aは、どの給紙トレイから搬送されたかを識別するための識別マークを、調整用の枠画像とともにシートに形成する。また、この識別マークは、画像形成部100bにおけるシートの搬送方向(形成された画像の方向)を示すようになっている。ユーザが、枠画像の形成されたシートを自動原稿搬送装置210の原稿セットトレイ211に載置する際には、シート上の識別マークを参照して、正しい向きにセットする。
また、本実施形態においては、識別マークの例として四角いパターンのみを示しているが、これに限るものではない。例えば、視覚性を重視して、矢印のパターンとしてもよい。ただし、この場合には、パターン記憶部506に記憶させる際にデータ容量を多く取ってしまう。また、読取手段200にて読取った画像データからシートがセットされた向きなどを判別をする際に、手順が複雑になってしまう。このため、本実施形態においては、単純な四角のパターンとしている。また、パターンを枠画像に対して片寄った位置に形成している。
次に、画像形成部100bを有する画像形成システム1aにて、調整用のシートを方向マーク(識別マーク)とともに出力した場合のシートの一例を図21(a)〜(c)に示す。
図21(a)は、給紙トレイ20a(カセット1:CS1)に載置されたA4サイズのシートに対して枠画像および方向マークM1aを形成した例を示す。図21(b)は、給紙トレイ20b(カセット2:CS2)に載置されたB5サイズのシートに対して枠画像および方向マークM1bを形成した例を示す。一方、図21(c)は、手差しトレイ27(CS3)に載置されたA4R(横置き)サイズのシートに対して枠画像および方向マークM1cを形成した例を示す。以上のように、識別マークとして、給紙トレイを識別するために給紙トレイごとに異なる大きさのマークを用意して、給紙トレイに対応してシートに付加する。この図21(a)〜(c)に示すように、方向マークM1a〜M1cの大きさを、対応するトレイごとに異ならせることによって、どのトレイから搬送されて出力されたシートかを区別できる。
また、方向マークを、シートのサイズを識別させるために用いることもできる。この場合、異なるサイズのシートを自動原稿搬送装置210にて搬送して読取って補正値を求める際に、方向マークを読取ることによってシートサイズを容易に読取って認識でき、効率的な読取動作を行うことができる。また、トレイの区別をユーザが簡単に視認できるように、給紙トレイに応じた文字列(CS1,CS2,CS3)を印刷してもよい。
なお、画像形成部100bによって形成される方向マークは、上述の構成に限るものではない。例えば、図22(a)〜(c)に示すシートにそれぞれ形成された方向マークM2a〜M2cのように、シートの角に対して共通の所定の距離だけ隔たった、所定の位置に設けられる方向マークであってもよい。また、例えば図23(a)〜(c)に示すシートにそれぞれ形成された方向マークM3a〜M3cのように、所定面積で形成されるマーク領域の個数をそれぞれ異ならせた方向マークであってもよい。このように、各マークを同じ大きさとし、個数や位置を異ならせてシートに付加し、どの給紙トレイから搬送されたものかを認識できるようにしてもよい。また、例えば図24(a)〜(c)に示すシートにそれぞれ形成された方向マークM4a〜M4cのように、マーク領域に形成する画像の濃度をそれぞれ異ならせた方向マークであってもよい。また、画像形成部100bのように、カラーの画像形成装置であれば、各マークの色を異ならせ、色により給紙トレイを識別させてもよい。
また、上述した方向マークを区別するための特徴は、それぞれ組み合わせて用いることもできる。すなわち、例えば図25(a)〜(c)に示すシートにそれぞれ形成された方向マークM5a〜M5cのように、マーク領域に形成する画像の濃度をそれぞれ異ならせるとともに、マーク領域の大きさをそれぞれ異ならせた方向マークであってもよい。
また、上述したように、ユーザが勘違いをして、シートの搬送方向を誤って認識し、自動原稿搬送装置210にシートを正しい向きにて載置しない場合も考えられる。本実施形態の複合機1aは、読取手段200にて画像を読取り、画像形成部100bの制御手段500にてシートがセットされた向きを検出して、正しい補正値を導出することもできる。
すなわち、シートQ1は、ユーザによって適切な向きで自動原稿搬送装置210に載置されると、自動原稿搬送装置210から搬送され、例えば図5に示すような状態で原稿台209上に配置されるが、図26に示すように配置される場合であっても、画像形成部100bの制御手段500がシートのセットされた向きを検出して、正しい補正値を導出する。同様に、原稿載置ガイド810と読み取るためのシートQ1の端部との間に隙間を設けて、例えば図6に示すようにシートQ1が配置されるべき場合に、図27に示すように配置されてしまったとしても、画像形成部100bの制御手段500がシートのセットされた向きを検出して、正しい補正値を導出する。このようにシートが載置された向きを自動判別する構成であってもよい。
なお、自動原稿搬送装置210を用いずに、出力したシートを原稿台209に載置して読取りを行う場合も考えられる。この場合、例えば操作パネル220のLCD221にガイダンスを表示して、ユーザにシートを原稿台209に載置させる。シートを原稿載置ガイド(原稿基準部材)810に突き当てるように載置させれば、原稿台209上でシートが正確に載置されやすくなる。この場合、シート先端部と原稿載置ガイド810との切り分けが困難となり、読取精度が低下する可能性もある。しかしながら、例えばシートに対する画像の位置ずれが±0.5mm程度許容できる場合のように、シートに対する画像の形成条件がそんなに厳しいものでなければ、実際上特に問題はない。一方、もし厳しい精度が要求される場合には、原稿載置ガイド810から離れた位置にシート先端部がくるように、シートを位置決めして原稿台209上に載置させる。このようにシートを位置決めさせれば、シートの先端部を確実に読取ることができる。この場合、シートの後端部についても確実に読取りするように、読取手段200による副走査方向の画像読取領域を長くする。一つのシートの読取りが終了すると、読取りを終了して調整を実行するのか、または次のシートの読取りを実行するのかを、操作パネル220のLCD221に表示させ、ユーザに選択させる。
一方、上述のように、出力したシートを自動原稿搬送装置210を用いて自動搬送させて読取りを行う場合には、シートの位置決めは正確に行うことができ、上述のような問題は生じない。
次に、読取手段200による読取りについて説明する。本実施形態の読取手段200は、上述のように、原稿台209の下面に配置されたCCDラインセンサ204などによって原稿の一方の面を読取るとともに、原稿台209よりも上側の自動原稿搬送装置210側に設けられた密着イメージセンサによって原稿の他方の面を読取る。ここで、例えばシートの給送の乱れによって、シートが若干斜めになって読取りされる場合がありうる。また、例えば原稿台209上のシートが、若干斜めになって載置される状態がありうる。このような場合の一例として、例えば図4に示すシートQ0が斜めになった場合について説明する。
すなわち、この場合であっても、シートQ0の主走査方向の幅W0を、副走査方向(図4に示すL0の方向)にわたって少なくとも2カ所以上の異なる位置にて測定すれば、シートQ0の傾きを求めることができる。例えば、異なる位置における、幅W0の読取開始位置および読取終了位置を比較して、シートQ0の傾きを求めることができる。この場合、W1の幅が変わらなければシートが傾いて載置されていることとなる。この傾きを考慮し、読取りで得られたW1の幅を補正するような、正しい主走査方向の書き出しタイミング調整用の補正値を求めることができる。副走査方向についても同様である。また、シートに対する形成画像の傾きなどの測定もできるので、画像形成部100bによる画像傾きの調整を行うこともできる。
また、主走査方向に形成される枠画像のエッジに対する、副走査方向における位置や距離の読取り箇所は、少なくとも3箇所以上とすることが好ましい。この場合、例えば画像形成部(画像形成装置)100bの主走査ラインが湾曲しているときであっても、読取箇所を2箇所とした場合のように湾曲を認識できなかったりラインの傾きとして認識したりすることがなく、確実に湾曲を認識して適切に補正できる。なお、光書込みユニットが例えばレーザ走査方式である場合は、偏向手段へのレーザビームの入射角度の傾きやレンズ系の光学特性により、走査線の湾曲が発生することがある。また、光書込みユニットがLEDヘッド等の固体走査方式の場合には、発光部の配列が一直線になっていないときや、光書込みユニットが外力により撓んだときに、湾曲が発生することがある。
上述のように読取手段200にてシートの画像データ(枠画像、方向マーク)を読取って、制御手段500が画像データ入力部510を介して画像データを演算手段600に送信する。演算手段600にて、シートに対する画像形成部100bによる画像形成条件を補正する補正値を計算する。
ここで、シートに対する画像形成の位置を補正する補正値は、全てのシートについて計算をする。一方、シートに対する画像形成の倍率を補正する補正値は、いずれか一つのシートについて計算するのみであってもよい。これは、画像形成を一つのみの画像形成ステーションにて行う場合には、どの給紙トレイから給送されたシートであっても画像形成の倍率は同じとなるからである。このため、ある給紙トレイから搬送された1枚のシートに対して求めた補正値を、他の給紙トレイから搬送された残りの他のシートに対する補正値とすることができ、他のシートについての計算を省略できる。これによって、処理時間が短くなり、作業時間を短くできる。
なお、倍率補正を求める際に、特定の給紙トレイから給送されるシートにて倍率誤差の補正値を求めるように規定してもよいが、実際は、いずれの給紙カセットから給送されたシートに対して行ってもほとんど同じ結果が得られる。このため、いずれの給紙カセットのシートに対して行ってもよい。好ましくは、大きなサイズのシートが格納された給紙トレイを選択して補正値を求める方が、若干ではあるが精度が高くなる。
次に、図28に基づいて、画像形成部100bの画像形成条件を調整するための複合機1aにおける具体的な処理の流れを説明する。
S25においては、画像形成部100bの制御手段500が、複合機1aの給紙トレイを順次選択し、選択したトレイからそれぞれシートを給送させて、各シートに枠画像および方向マークを印刷する。ここで、画像形成部100bの感光体ドラム3に形成され、シートNおよび転写ベルト7に対して転写される枠画像は、図3に示す基準画像Pのようになっている。画像が転写された後のシートは、図4に示すシートQ0のように、縁辺全てに画像が形成された状態となっている。
そして出力されたシートが読取手段200にセットされたことを例えばユーザの指示あるいは読取手段200の図示しない原稿検知手段により検出すると(S26)、読取手段の読取動作が可能となり、ユーザがスタートキー241を押すことにより発生するスタート信号により、自動原稿搬送装置210が各シートを読取手段200の読取領域へと順次搬送し、読取手段200がシートに形成された画像(枠画像、方向マーク)の読取りを行う(S27)。本実施形態の読取手段200は、上述のように自動原稿搬送装置210を備えているので、各トレイから出力された複数枚のシートを、一度のスタートキー241の押し下げによって順次読取りさせることができる。
ここで、上述のように、S27において読取手段200によってシートの図4のような枠画像または方向マークを読取り、ここからまず各シートのサイズを得る。
そして、S28では、読取手段200による読取倍率を求める。より詳細には、データ記憶部507に記憶されているデータと、読取手段200にて読み取って得た所定のサイズとを比較して、演算手段600が読取手段200における倍率補正値を求める。この読取手段200による読取倍率の補正値は、一つのシートについて求めれば他のシートについても同じであるので、計算を省略できる。
次に、S29では、画像形成部100bの倍率補正値を求める。より詳細には、S28で求めた読取手段200の倍率補正値を用いて、画像形成部100bがシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算手段600が比較して、画像形成部100bによる画像形成の倍率を補正する、倍率補正値を求める。この倍率補正値については、枠画像の形成を一つの画像形成ステーションを用いて行った場合には、一つのシートについてのみ求めればよい。
次のS30、31では、画像形成部100bにおける書き出し位置の補正値を求める。より詳細には、演算手段600が、書込み部513において静電潜像の書込みを行うタイミングを補正する補正値を求める。また、演算手段600は、シートに対して形成された画像の傾きを求め、この傾きを補正する補正値を求める。なお、この補正値を求める手順はS30、S31の順に限るものではなく、S31、S30の順におこなってもよい。
S32では、上述の処理において得た補正値を画像形成部100bに反映させ、処理を終了する。
また、以上の処理においては、簡単のために画像形成ステーションごとの調整については触れなかったが、実施の形態1にて説明したように、画像形成ステーションごとに調整をすることもできる。
また、本実施形態においては、複数のトレイを有する構成の一例として図20に示す複合機1aを挙げたが、これに限るものではなく、例えば図1に示す画像形成部100に手差しトレイ27aを加えた、図29に示す画像形成部100cのような構成であってもよい。この場合、図示しない読取手段200を画像形成部100cの上に配置して、複合機として機能させる。
この画像形成部100cは、手差しトレイ27aと給紙トレイ19とを備えている。この二つの給紙トレイから、上述の複合機1aの画像形成部100bと同様に、それぞれシートを給送して枠画像および方向マークを形成する。そして、上述のように、読取手段200によって読取りすることによって補正値を得て、この補正値を画像形成部100cに反映させて、画像形成条件を補正できる。
以上のように、本実施形態に係る複合機1aは、給紙トレイごとにシートを順次給送し、そのシートに、給紙トレイに対応させて予め決められた方向マーク(識別マーク)を画像形成部100b・100cにて付加して、各シートに画像を形成する。その後に、シートに形成された画像を読取手段200で読み取り、読み取って得た画像データから、シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を給紙トレイに対応させて求め、その補正値を用いて複合機1aの画像形成部100b・100cを調整する。
ここで、複数の給紙トレイを備えた画像形成装置においては、画像形成部におけるシートへの画像形成条件(印刷位置、印刷倍率)は、通常、給紙トレイに応じて異なったものとなる。
これは、例えば、給紙トレイにおいてシートをそれぞれ配置する位置が、実際にはトレイごとに微妙に異なったものとなるためである。すなわち、このように給紙トレイの位置において位置ずれがあれば、例えばレジスト手段を用いて斜め送り補正、タイミング補正を行ったとしても、主走査方向のずれを調整することができないのである。この主走査方向のずれは、上述のように、現在では、書込み位置をデータとしてずらすことによって調整できる。なお、以前のアナログの際には、レジストローラに用紙がちゃんとあたるように搬送されるように、各カセット中での用紙の位置をそれぞれ調整していた。今はデジタルなので、書込み位置を調整すればよい。
また、給紙トレイから画像形成部へとシートが搬送される経路において、誤差が生ずることも考えられる。このため、画像形成条件は、給紙トレイからから画像形成部へとシートが搬送される経路に応じて異なったものとなる、ということもできる。この場合の経路は、両面印刷用の反転経路も含む。
なお、複合機1aの給紙トレイに載置するシートを例えばA3サイズのシートからA4サイズのシートへと変更した場合には、厳密には、そこで調整のやり直しをする必要がある。また、複数の給紙トレイのうちの、第1トレイ、第2トレイに、同じA4サイズのシートを入れた場合でも、厳密には、それぞれ調整が必要となる。そこで、本実施形態の複合機1aのように、一連のボタン操作で各給紙トレイから枠画像を形成したシートをまとめて出力し、さらに各シートをまとめて一度で読取ることによって、各給紙トレイの調整を完了できれば、非常に便利である。
この場合、どの給紙トレイから搬送されたものか分かるように、給紙トレイを区別するためのマークをシートに形成する。これによって、給紙トレイに応じた誤差を読取り時に把握できる。そして、給紙トレイごとの誤差のデータを得て、画像形成部に記憶させておく。
また、両面トレイユニット26を介してシートを印刷する場合にも、厳密には、始めにシートを供給する給紙トレイごとに結果が異なる。例えば第1トレイから両面搬送経路を介した場合と、第2トレイから両面搬送経路とを介した場合には、誤差などの情報が異なる場合がある。すなわち、給紙トレイ、給紙トレイに載置された紙のサイズなどが異なれば、誤差などの状態が異なる可能性が高くなる。給紙トレイごとに誤差が異なることに応じて、給紙トレイから両面搬送経路を介したシートに対して、それぞれ両面に枠画像を形成して、調整してもよい。
また、それとは逆に、上述のように、両面トレイユニット26の整合手段を用いることを前提として、いずれかの給紙トレイから一つのシートを供給して、両面トレイユニット26を介してシートを搬送して枠画像を形成し、調整してもよい。
また、上述の実施の形態においては、一つのトレイについて一つのシートに枠画像を印刷する構成について説明したが、これに限るものではない。一つのトレイについて複数枚のシートにそれぞれ枠画像を印刷し、それぞれ得たデータを平均化して、調整のためのデータとしてもよい。このようにすれば、調整の精度を向上できる。
また、上述の実施の形態においては、枠画像の印刷されたシートを、自動原稿搬送装置210を用いて読取手段200にて読取る構成について説明しているが、これに限るものではない。但し、自動原稿搬送装置210を用いれば、複数のシートを一度に読取りできるので、上述のように調整を行う場合には特に便利である。
ここで、近年、画像形成の多様化に伴い、複数の種類のシートを効率よく使用できるように、画像形成装置に多段のシート収容手段が装着されることがある。このような画像形成装置では、それぞれのシート収容手段ごとにシートに対する画像を形成する位置の調整が行われる。特にシートと画像との位置関係は、各シート収容手段から画像形成部まで搬送される条件が同じではなく、使用されるシート収容手段によって画像形成部に給送されるシートの位置が異なりうるため、それぞれ調整を行う。調整用の画像が形成されたシートに、どのシート収容手段から出力されたかを示すマークがある場合には、誤った調整を防止することに役立つ。しかしながら、それぞれのシート収容手段から給送したシートに対する画像の倍率や位置の調整を、いちいち手作業で行うと、大変な労力であり、調整に長い時間がかかるという問題がある。
そこで、上記の問題に臨みて、それぞれのシート収容手段から給送されるシートに対して異なる基準画像を形成させることで、画像読取装置を用いて作成された画像形成物を読取った場合に、どのシート収容手段に対する補正値を求めようとしているのかが容易に判断でき、複数のシート収容手段に対する補正値をまとめて求める場合に、画像形成装置でまとめて調整用の画像形成物を作成し、画像読取装置にてまとめて作成した画像形成物をまとめて読取ることで、短時間に効率よく複数の補正値を間違わずに求め設定することができる画像形成装置の調整方法とその方法を用いた画像形成装置を提供する。
なお、上述した特開平10−4493号公報には、両面の調整をする点、複数トレイを一度に調整する点は開示されていない。本実施形態の複合機1aは、複数トレイを一度に調節するものであるが、全てのトレイを一度に調節する構成に限るものではなく、トレイを個別に選択、または複数個選択して処理することもできる。ただし、一度で調節すれば、ボタンを押す回数を減らせる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図30に基づいて説明する。本実施形態の複合機は、単色の画像形成部、読取手段を備えた構成である。すなわち、上述の実施の形態においては、実施例としてカラー画像の形成を行うことができるカラー画像形成装置、およびカラー画像の読取りが行えるカラー読取装置を用いて説明したが、単色(白黒)画像形成しかできない単色画像形成装置や単色の読取データしか得ることが単色画像読取装置を用いても同様な効果を得ることができることは言うまでもない。
本実施形態の複合機(画像形成システム)1bは、画像形成部と画像読取装置とが一体となった、図30に示すような複合機である。複合機1bは、単色(モノクロ)の画像形成を行う複合機の一例である。また、複合機1aは、モノクロの画像形成部に対して、モノクロの画像読取装置(1ラインのイメージセンサを備えた画像読取装置)を組み合わせた構成である。なお、一般的に、モノクロの画像形成部に対しては、モノクロの画像読取装置が組み合わされる。以下では、上述の実施の形態1ないし3で説明した装置・部材と同じ構成、同じ機能を有する装置・部材については、特に必要がない限り説明は省略し、同じ符号を付して参照する。
複合機1bは、図30に示すように、概略的に、自動原稿搬送装置210、読取手段(画像読取装置)200b、画像形成部(画像形成装置)100d、給紙デスク装置23、および後処理装置60を備えている。
複合機1bは、上部に自動原稿搬送装置210を備えている。自動原稿搬送装置210は、透明ガラスからなる原稿台209の上面に配置されている。自動原稿搬送装置210は、原稿セットトレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿台209上へ給送する。
読取手段200bは、単色の読取手段である。読取手段200bは、原稿台209の下部に配置される。読取手段200bは、原稿台209上に載置された原稿の画像を走査して読取る。読取手段200bは、第1の走査ユニット201、第2の走査ユニット202、光学レンズ203と光電変換素子であるCCDラインセンサ204とを有している。第1の走査ユニット201は、原稿面上を露光する露光ランプユニットと、原稿からの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー等から構成されている。第2の走査ユニット202は、第1ミラーから反射されてくる原稿からの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラーおよび第3ミラーより構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させるものである。
また、読取手段200bは、自動原稿搬送装置210との関連した動作により、自動原稿搬送装置210にて自動搬送される原稿の画像を、所定の露光位置にて読取るようになっている。上述のように、搬送される原稿の表面をCCDラインセンサ204などによって読取る一方で、自動原稿搬送装置210側の図示しない密着イメージセンサによって原稿の裏面を読取る。あるいは、原稿の一方を読み取った後に反転させて再び読み取り部に搬送し、もう一方の面の画像を読み取ることができるように搬送する、いわゆる両面自動原稿搬送装置(RADF:Reversing Automatic Document Feeder)を用いて読み取ってもよい。
この読取手段200bにて読取られた原稿画像は、画像データとして、図示しない画像データ入力部へと送られ、画像データに対して所定の画像処理が施された後、画像処理部のメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像を読出して画像形成部100dの光書込み装置である露光ユニット(レーザ書込みユニット)10eに転送される。
露光ユニット10eは、メモリから読出した画像データ、または外部の装置から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射する半導体レーザ光源、レーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、等角速度で偏向されたレーザ光が感光体ドラム3e上において等角速度で偏向されるように補正するf−θレンズなどをから構成されている。なお、本実施例では、書込み装置としてレーザ書込みユニットを用いているが、LEDやEL等の発光素子アレイを用いた固体走査型の光書込みヘッドユニットを用いてもよい。
画像形成部100dには、その他、感光体ドラム3eの周囲に、感光体ドラム3eを所定の電位に帯電させる帯電器5e、感光体ドラム3e上に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器2e、感光体ドラム3e表面に形成されたトナー像を記録紙に転写する転写ローラ(転写器、転写チャージャ等)6e、除電器(除電チャージャ等)6f、および余分なトナーを回収するクリーナユニット4eを備えている。画像形成部100dにて画像が転写された記録紙は、その後、定着ユニット12aに送られ、画像が記録紙に定着される。
画像形成部100dの排出側には、上記定着ユニット12aの他に、記録紙の裏面に再度画像を形成するために記録紙の前後を反転させるスイッチバック路S”、画像が形成された記録紙に対してステープル処理等を行うとともに昇降トレイ33cおよび排紙トレイ33dを有する後処理装置60を備えている。定着ユニット12aにてトナー像が定着されたシートは、必要に応じてスイッチバック路S”を経て排紙ローラ25aにて後処理装置60へと導かれ、ここで所定の後処理が施された後、排出される。
画像形成部100dの下部には、給紙部が配設されている。給紙部は、本体に備えられた手差しトレイ27b、両面トレイユニット26c、給紙トレイ19aを含む。また、画像形成部100dの下方には、給紙デスク装置(多段給紙部)23が備えられている。給紙デスク装置23は、給紙トレイ23a・23bを備えている。これら給紙トレイ19a、23a・23b、27bのいずれかから給紙した用紙を画像形成部100dにおける転写ローラ6eが配置された転写位置へと搬送手段により搬送する。両面トレイユニット26cは、記録紙を反転させるスイッチバック路S”に通じており、記録紙の両面に画像形成を行う時に用いられる。なお両面トレイユニット26cは通常の用紙カセットと交換可能な構成となっており、両面トレイユニット26cを通常の用紙カセットに置き換えた構成とすることも可能となっている。
上記構成の複合機1bは、実施の形態1において説明した複合機1と同様に、画像形成部100dにてシートに単色の画像(枠画像、方向マーク)を形成し、読取手段200bにて読取ることによって補正値を得て、その補正値を用いて画像形成部100dによる画像形成条件を補正できる。
また、上記構成の複合機1bは、実施の形態2において説明した複合機1と同様に、画像形成部100dにてシートに単色の画像(枠画像、方向マーク)を形成し、読取手段200bにて読取ることによって補正値を得て、その補正値を用いて画像形成部100dによる画像形成条件および読取手段200bによる読取条件を補正することもできる。
また、上記構成の複合機1bは、実施の形態3において説明した複合機1aと同様に、
各給紙トレイから搬送したシートに画像形成部100dにて単色の画像(枠画像、方向マーク)を形成し、自動原稿搬送装置210および読取手段200bを用いて読取ることによって補正値を得て、その補正値を用いて画像形成部100dによる画像形成条件を補正できる。
以上のように、本発明は、画像形成装置の調整方法、および、この調整方法を用いた画像形成装置に関し、特に、電子写真方式による画像形成装置のシートに対する画像の形成条件を調整する方法、およびこの方法を用いて調整を行う画像形成装置に関するものである。また、本発明は、基準チャートを用いることなく画像読取装置を調整できる調整方法と、画像読取装置と画像形成装置とをほぼ同時に言い換えれば調整前の画像形成装置より出力された画像が形成されたシート1枚を読取ることで両者の調整を行うことができる調整方法とその方法を用いた画像読取装置および画像形成装置を提供するものである。また、本発明は画像読取装置および電子写真方式による画像形成装置に関し、特に読取位置やシートに対する画像形成位置を調整する方法およびその方法を用いた画像形成装置に画像読取装置を備えた複合機に関するものである。
これに対して、従来の画像形成装置の調整方法は、位置誤差の補正のみであり、倍率誤差の補正については考慮されていなかった。また、従来の画像形成装置の調整方法は、調整のための操作が複数回にわたり、面倒であるという問題があった。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、変更した形態または実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。