近年、電子写真方式を用いる画像形成装置としてデジタル複写機が多用されている。このデジタル複写機は、原稿読取部と印刷部とを備え、原稿読取部が原稿の画像を読み取り、これによって得られた画像データを印刷部が記録シート上に可視画像として画像形成(印刷)する。このようなデジタル複写機の原稿読取部および印刷部は、光学部品の加工精度や取付精度が原因で倍率誤差を有している。すなわち、原稿読取部では、原稿上の画像の長さに対する、当該原稿を読み取ることで得た画像データ上の同じ画像の長さの比率である読取倍率が100%からずれる。同様に、印刷部では、印刷対象の画像データ上の画像の長さに対する、当該画像データを印刷部で印刷出力された記録シート上の同じ画像の長さの比率である印刷倍率が100%ではない場合がある。このような倍率誤差を調整するために、原稿読取部の読取調整および印刷部の印刷調整が行われている。
原稿読取部での読取倍率誤差の調整では、光学的方法により調整するのは困難であり、光学的方法を用いずに調整を行えるのが望ましい。原稿読取部では、主走査方向に延びた線上の光を当該主走査方向に垂直な方向である副走査方向に走査しながら原稿に照射し、その反射光を受光することで、原稿画像を読み取る。ここで副走査方向の読取倍率については、デジタル複写機の組立時に、原稿読取部に設けられ、副走査方向に走査速度で移動する走査部(走査ミラーユニット)の移動速度を調整することで光学的方法を用いずに容易に調整できる。一方、主走査方向を光学的方法を用いずに調整するには画像処理による変倍があるが、これを用いるとモアレ発生の虞があるので、画像形成装置の組立時ではなく原稿読取部の製造時に、許容できる仕様範囲内に予め調整されている。
一方、印刷部の印字倍率誤差については、光学的手段を用いずに調整する方法として主走査方向については画素の周期(クロック周波数の逆数)を調整する方法がある。なお、印刷部での主走査方向は、感光体上へのレーザ光の走査方向である。一方、副走査方向は、主走査方向に垂直な方向であり、感光体の軸に垂直な方向である。
図11に示されるように、画素クロック周期はレーザで感光体上に書込み形成する1画素の主走査長さを形成する点灯周期と一致している。従って、画素クロック周期を長くすれば1画素の主走査方向の長さが長くなり、印字倍率が上昇する。逆に画素クロック周期を短くすれば1画素の主走査方向の長さは短くなり、印字倍率が低下する。
また、副走査方向の印字倍率の調整方法には中間転写ベルトの駆動速度を調整すればよい。中間転写ベルトの駆動速度を早くすれば、LSUのライン走査のピッチが広がって、副走査印字方向の倍率が増大方向に変化する。
このような倍率の調整方法については、例えば特許文献1に開示されている。ここで、画像形成装置の組み立て時において、原稿読取部の読取調整を予め用意された基準チャートを使用して行い、印刷部の印刷調整をその印刷部で印刷することによって得られたテスト印刷シートを使用して行う一般的な場合について説明する。
基準チャート1001は、図12に示すように、シート一杯に矩形の枠画像が形成されたものである。テスト印刷シート1002は、図13に示すように、基準チャート1001と同様、シート一杯に矩形の枠画像が印刷されたものであり、テスト印刷パターンの画像データを調整対象となる印刷部によって印刷することにより得られたものである。なお、テスト印刷パターンの画像は、通常、基準チャートの画像と同一のものを使用可能であり、その画像データは画像形成装置が記憶している。
原稿読取部の読取調整は、基準チャート1001を原稿読取部にて読み取り、得られた画像データに基づいて行われる。印刷部の印刷調整は、テスト印刷シート1002を原稿読取部にて読み取り、得られた画像データに基づいて行われる。これら両調整の順序では、先ず原稿読取部の読取調整が行われ、その後、印刷部の印刷調整が行われる。したがって、これら調整を行う場合、作業者は、先ず画像形成装置の原稿台に基準チャート1001を配置し、スタートボタンを操作して原稿読取部に基準チャート1001を読み取らせる。そして、画像形成装置での原稿読取部の読取調整の完了後に、今度は予め印刷していた、あるいは読取調整の完了後に印刷したテスト印刷シート1002を原稿台に配置し、スタートボタンを操作して原稿読取部にテスト印刷シート1002を読み取らせるといった操作を行う。
以下に、原稿読取部の調整方法および印刷部の調整方法について具体的に説明する。なお、以下の説明においては、矩形枠画像における副走査方向の読取始端側の枠部を前枠部、読取後端側の枠部を後枠部と称し、また、主走査方向の読取始端側の枠部を上枠部、読取後端側の枠部を下枠部と称する。
原稿読取部の読取調整では、例えば、原稿読取部にて原稿画像を読み取る場合の(A1)副走査方向の読取倍率調整、(A2)副走査方向の読取先端位置調整、および(A3)主走査方向の読取オフセンター調整が行われる。なお、主走査方向の読取倍率については、原稿読取部(画像読取装置)の製造時において所定の許容範囲内に調整されているものとし、画像形成装置の組み立て時には調整を行わない。
これら調整には、例えば図12に示す、原稿読取部の読取調整用の基準チャートの画像が印刷されたシート(以下、単に基準チャートと称する)が使用される。即ち、基準チャート1001を原稿読取部にて読み取ることにより得られた、基準チャート1001の画像データを使用して調整が行われる。
基準チャート1001は、同図に示すように、矩形の枠画像を有している。同図において、P1は矩形枠の前枠部の前端位置を示し、P2は矩形枠の後枠部の後端位置を示し、P3は矩形枠の上枠部の上端位置を示し、P4は矩形枠の下枠部の下端位置を示している。
(A1)副走査方向の読取倍率調整では、基準チャート1001の画像データにおけるP1−P2間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、基準チャート1001の画像データにおける副走査方向の倍率を調整する。
(A2)副走査方向の読取先端位置調整では、基準チャート1001の画像データにおける位置P1が予めメモリに記憶されている規定の読取先端位置(読取始端位置)と一致するように、メモリ上において、基準チャート1001の画像データを副走査方向に前後移動させる。
(A3)主走査方向の読取オフセンター調整では、基準チャート1001の画像データにおける位置P3と位置P4がそれぞれ予めメモリに記憶されている規定の位置と一致するように、メモリ上において、基準チャート1001の画像データを主走査方向において前後移動させる。
印刷部の印刷調整では、(B1)副走査方向の印刷倍率調整、(B2)主走査方向の印刷倍率調整、(B3)主走査方向の印刷オフセンター調整、および(B4)副走査方向の印刷先端位置調整が行われる。
これら調整には、例えば図13に示す、印刷部の印刷調整用のテスト印刷パターンの画像をその印刷部自身で印刷して得られたシート(以下、テスト印刷シートと称する)が使用される。即ち、テスト印刷シート1002を原稿読取部にて読み取ることにより得られた、テスト印刷シート1002の画像データを使用して調整が行われる。
テスト印刷シート1002は、同図に示すように、矩形の枠画像を有している。同図において、P11は矩形枠の前枠部の後端位置を示し、P12は矩形枠の後枠部の前端位置を示し、P13は矩形枠の上枠部の下端位置を示し、P14は矩形枠の下枠部の上端位置を示している。
(B1)副走査方向の印刷倍率調整では、P11−P12間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、テスト印刷シート1002の画像データの副走査方向における倍率を調整する。
(B2)主走査方向の印刷倍率調整では、P13−P14間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、テスト印刷シート1002の画像データの主走査方向における倍率を調整する。具体的には、印刷物であるテスト印刷シート1002上の画像の主走査方向の長さが規定値と一致するように、画素クロック周期を調整する。これにより、印刷対象となる画像データにおける画像の主走査方向の長さと、当該画像データを印刷したときの印刷物上の画像の主走査方向の長さとが一致し、印刷倍率誤差0を実現できる。
(B3)主走査方向の印刷オフセンター調整では、矩形枠の上枠部の幅W2が予めメモリに記憶されている規定の印刷幅と一致するように、メモリ上において、テスト印刷シート1002の画像データを主走査方向において前後移動させる。
(B4)副走査方向の印刷先端位置調整では、矩形枠の前枠部の幅W1が予めメモリに記憶されている規定の印刷幅と一致するように、メモリ上において、テスト印刷シート1002の画像データを副走査方向に前後移動させる。
特開2006−333410号公報(2006年12月7日公開)
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置を図面に基づいて以下に説明する。
(画像形成装置の全体構造)
図2に、本発明が実施される画像形成装置100の概要を示す。なお、本実施形態に係る画像形成装置100は例えば複合機である。
画像形成装置100は、プリンタ(印刷部)110と、自動原稿処理装置120と、スキャナ(原稿読取部)200とにより構成されており、外部から伝達された画像データ、または、スキャナ200により読み取られた画像データに応じて、記録シート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するものである。
本実施形態においては、プリンタ110の上部にスキャナ200が配置され、スキャナ200の上面に原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられている。原稿載置台92の上には自動原稿搬送装置120が配置されている。
自動原稿搬送装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
スキャナ200は、原稿載置台92上に載置された原稿シートの画像を走査して読み取る装置である。本実施形態のスキャナ200はカラースキャナである。スキャナ200は、原稿載置台92の下方に、第1走査ユニット201、第2走査ユニット202、光学レンズ203、および光電変換素子であるCCDラインセンサ204を有している。
第1走査ユニット201は、主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)に沿った線上の光を原稿上に露光する露光ランプと、原稿シートからの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー等から構成されている。そして、第1走査ユニット201は、主走査方向に垂直な方向(副走査方向)、つまり、図2の紙面に平行な方向に沿って、移動可能に取り付けられている。第2走査ユニット202は、第1走査ユニット201の第1ミラーから反射されてくる原稿シートからの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラーおよび第3ミラーより構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させる。CCDラインセンサ204は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3ラインのイメージセンサを用いており、3色に分解して画像を読み取れるようになっている。
プリンタ110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
露光ユニット1は、画像書込み装置に該当するものであり、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。また露光ユニット1としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
露光ユニット1は、感光体ドラム3の表面に対して、当該感光体ドラム3の軸に平行な方向(主走査方向)に沿ってレーザビームを走査する。ここで、主走査方向の1画素の大きさは、図11に示されるように、当該1画素に対応するレーザの点灯時間、つまり、画素クロック周期で決定される。
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。またクリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
上述の様に各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によって用紙上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10もしくは前記中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、プリンタ110の露光ユニット1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、プリンタ110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
またプリンタ110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。またピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。同様にまたピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
また、レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。またヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
次にシート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、シートを1枚ずつ搬送路Sに導くようになっている。
各給紙カセット81,82から搬送されるシートは用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c,12dに導く。そしてその後レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
(画像形成装置の機能構成)
図3は、画像形成装置100の機能的構成の主要部を示すブロック図である。同図に示すように、画像形成装置100は、主制御部401、プリンタ110、プリンタ制御部402、スキャナ200、スキャナ制御部403、画像処理部301、γ調整部501および記憶部600を備えている。
プリンタ制御部402は、プリンタ110を構成する現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4、露光ユニット1などの各部の動作を制御するものである。例えば、プリンタ制御部402は、プリンタ110の動作指示が入力されると、設定された搬送速度で中間転写ベルト61を駆動させる。また、プリンタ制御部402は、設定された画素クロック周期に従って、露光ユニット1を動作させる。なお、プリンタ制御部402は、中間転写ベルト61の搬送速度の設定値、および、露光ユニット1の画素クロック周期の設定値として、それぞれ予め定められた初期値を記憶している。そして、これらの設定値は主制御部401により調整される。この調整方法については後述する。
スキャナ制御部403は、スキャナ200の動作を制御するものである。例えば、スキャナ制御部403は、設定された移動速度で第1走査ユニット201を副走査方向へ移動させる。なお、スキャナ制御部403は、第1走査ユニット201の移動速度の設定値として、予め設定された初期値を記憶している。そして、この移動速度は主制御部401により調整される。この調整方法については後述する。
画像処理部301は、印刷対象の画像データに対する画像処理を行うものである。画像処理部301は、画像データの位置調整を行う。
主制御部401は、画像形成装置100の全体を制御するものである。また、主制御部401は、予め定められた基準チャートを用いてスキャナ200の読取倍率を調査し、予め定められたテスト印刷パターンを用いてプリンタ110の印刷倍率を調査する。そして、主制御部401は、調査した読取倍率および印刷倍率に基づいて、プリンタ制御部402が記憶する中間転写ベルト61の搬送速度や露光ユニット1の画素クロック周期、ならびに、スキャナ制御部403が記憶する第1走査ユニット201の移動速度を調整する。また、主制御部401は、上記基準チャートを用いてスキャナ200における画像読取時の位置ずれの方向およびずれ量を調査し、上記テスト印刷パターンを用いてプリンタ110における印刷時の位置ずれの方向およびずれ量を調査する。そして、主制御部401は、調査した位置ずれの方向およびずれ量に基づいて、画像処理部301における画像データの位置調整の処理を制御する。
ここで、本実施形態で使用する基準チャートおよびテスト印刷シートについて説明する。図5(a)は本実施形態において使用する基準チャートを示す図であり、図5(b)は本実施形態において使用するテスト印刷シートを示す説明図である。即ち、本実施形態では、図12に示した基準チャート1001に代えて図5(a)に示す基準チャート701を使用し、図13に示したテスト印刷シート1002に代えて図5(b)に示すテスト印刷シート702を使用する。
基準チャート701は、矩形枠形状の画像からなる読取調整用チャート711の内部にγ調整に使用する画像であるγ調整用チャート(階調調整用チャート)712を有する所定形状(例えばA4サイズ)の原稿シートである。これにより、基準チャート701は、スキャナ200の読取調整およびγ調整に使用可能である。
テスト印刷シート702はテスト印刷パターン記憶部603に記憶されているテスト印刷パターンの画像データを印刷することによって得られる。テスト印刷シート702は、前記テスト印刷シート1002の画像のように連続した矩形枠形状の画像ではなく、枠形状部分の画像が部分的に間引きされた状態の画像となっている。これにより、テスト印刷シート702(テスト印刷パターン)は、これを印刷した場合のトナー使用量を低減できるようになっている。
図6は、テスト印刷パターン記憶部603に記憶されているテスト印刷パターンと、このテスト印刷パターンが印刷されたテスト印刷シート702との関係を示す説明図である。具体的には、例えば転写ベルト7上のテスト印刷シート702を含む領域に、上記テスト印刷パターンに基づいて形成されたテスト印刷パターン画像751が感光体ドラム3から転写された状態を示している。あるいは、感光体ドラム3の表面にテスト印刷パターンに基づいて形成されたテスト印刷パターン画像751とテスト印刷パターン画像751が印刷される場合の転写ベルト7上のテスト印刷シート702との対応関係を示している。
同図に示すように、テスト印刷シート702に印刷されるテスト印刷パターンは、テスト印刷シート702の用紙サイズよりも大きいものであり、これによってテスト印刷シート702の端縁部一杯まで、テスト印刷画像を印刷できるようになっている。なお、本実施の形態において、テスト印刷シート702のサイズはA4となっている。また、テスト印刷パターン画像751は、中心点に対して対称な位置は複数の矩形状のパターンが形成されている。
また、テスト印刷シート702(テスト印刷パターン)は、枠画像721の内部に方向マーク731を有している。この方向マーク731は、作業者がテスト印刷シート702を原稿載置台92上に配置する場合等のテスト印刷シート702の方向の目印となるものである。
なお、図5(a)(b)は透視図であり、画像が印刷された面を下に向けて原稿載置台92に載置された状態の基準チャート701およびテスト印刷シート702を原稿載置台92の上方から透視した状態の図である。この点は、以下の図においても同様である。
記憶部600は、画像データ記憶部601、基準データ記憶部602およびテスト印刷パターン記憶部603を備えている。
画像データ記憶部601は、スキャナ200によって読み取られた画像データ、および、コンピュータ装置などの外部装置が受信した画像データが記憶される。また、この画像データ記憶部601は主制御部401の作業領域となる。
テスト印刷パターン記憶部603には、例えばA4サイズを含む少なくとも1つのサイズのテスト印刷シート702を印刷するためのテスト印刷パターンが記憶されている。
基準データ記憶部602には、スキャナ200の読取調整およびプリンタ110の印刷調整に必要な各種の基準値が記憶されている。例えば、A4サイズを含む各種サイズのシートの縦・横の長さが基準値として記憶されている。より具体的には、基準データ記憶部602は、図5(a)で示した基準チャートにおける、P1からP2までの距離(横幅)(以下、基準P1P2距離という)、および、P3からP4までの距離(縦幅)(以下、基準P3P4距離という)を記憶している。さらに、基準データ記憶部602は、テスト印刷パターン記憶部603が記憶するテスト印刷パターンの画像(図7参照)における、P11’からP12’までの距離(以下、基準P11P12距離という)、および、P13’からP14’までの距離(以下、基準P13P14距離という)を記憶している。
(主制御部の機能的構成)
図4は、図3に示した主制御部401の機能的構成の主要部を示すブロック図である。同図に示すように、主制御部401は、画像第1切分部(画像切分部)411、画像第2切分部421、読取調整部431および印刷調整部441を備えている。
画像第1切分部411は、図8に示すように、スキャナ200によって基準チャート701とテスト印刷シート702とが同時に読み込まれることによって得られた画像から、基準チャート701の画像データ(基準チャート画像データ)とテスト印刷シート702の画像データ(テスト印刷画像データ)とを切り分ける。これによって得られた基準チャート画像データは画像第2切分部421に入力され、テスト印刷画像データは印刷調整部441に入力される。
画像第2切分部421は、基準チャート画像データから、矩形枠形状の画像である読取調整用画像データ(図5に示す読取調整用チャート711の画像データ)と、この読取調整用画像の内部の画像であるγ調整用チャート画像データ(図5に示すγ調整用チャート712の画像データ)とを切り分ける。これによって得られた読取調整用画像データは読取調整部431に入力され、γ調整用チャート画像データはγ調整部501に入力される。
読取調整部431は、基準チャート画像データから切り分けられた読取調整用画像データ(図5に示す読取調整用チャート711の画像データ)と、基準データ記憶部602が記憶する各種の基準値とに基づいてスキャナ200の読取調整を行うものである。
具体的には、読取調整部431は、スキャナ制御部403が記憶する第1走査ユニット201用の移動速度の設定値の調整を行う。また、読取調整部431は、画像処理部301における画像データの位置調整処理の調整方向および調整量を設定する。
印刷調整部441は、テスト印刷画像データと、基準データ記憶部602が記憶する各種の基準値とに基づいて、プリンタ110の印刷調整を行うものである。
具体的には、印刷調整部441は、プリンタ制御部402が記憶する、中間転写ベルト61の搬送速度、および、露光ユニット1用の画素クロック周期の設定値の調整を行う。また、印刷調整部441は、画像処理部301における画像データの位置調整処理の調整方向および調整量を設定する。
γ調整部501はγ調整用チャート画像に基づいてスキャナ200のγ調整を行う。
なお、本実施形態において、スキャナ200の主走査方向の読取倍率については、画像形成装置に組み込む前のユニット組み立て時に、治具などによって主走査方向の倍率が機械的に調整され所定の許容範囲内に調整されているものとする。
(読取調整および印刷調整の処理の流れ)
本実施形態の画像形成装置100における、スキャナ200の読取調整、並びにプリンタ110の印刷調整の処理の流れの全体について、図7のフローチャートに基づいて以下に説明する。なお、読取倍率および印刷倍率の調整は、画像形成装置100の出荷前の段階の画像形成装置100の組み立て時に行われる。
画像形成装置100において上記の調整を行う場合には、先ず、テスト印刷シート702を用意する(S1)。このテスト印刷シート702は、テスト印刷パターン記憶部603に予め記憶されているテスト印刷パターンをプリンタ110によって印刷することにより得られる。なお、このとき、プリンタ制御部402は、中間転写ベルト61の搬送速度および露光ユニット1の画素クロック周期として、各々予め定められた初期値を記憶しており、当該初期値に従って中間転写ベルト61および露光ユニット1を駆動させる。
次に、図8に示すように、原稿載置台92上に基準チャート701とテスト印刷シート702とを、この順序に走査されるように、副走査方向(第1走査ユニット201の走査方向)に並べて原稿載置台92上に配置する(S2)。
この場合、上記両者は原稿載置台92上において原稿載置ガイド101を基準として配置される。具体的には、原稿載置ガイド101は、原稿載置台92上の原稿走査方向(副走査方向)の始端側位置において主走査方向に延びる前ガイド部111と、原稿載置台92上の画像形成装置100の背部側位置において、前ガイド部111と直角に原稿走査方向(副走査方向)に延びる上ガイド部112とを有する。そこで、基準チャート701は前ガイド部111および上ガイド部112にガイドされるように原稿載置ガイド101の角部に配置され、基準チャート701は上ガイド部112のみによってガイドされ、かつ例えば基準チャート701と適当な間隔をおいて配置される。
なお、図8は原稿載置台92上に基準チャート701とテスト印刷シート702とが載置された状態を、基準チャート701とテスト印刷シート702との印刷面の透視状態によって示す説明図である。
次に、図示しない操作パネルのスタートキー(読込開始ボタンに相当)がONされると(S3)、スキャナ200が基準チャート701とテスト印刷シート702とを連続して走査し、それら画像の読み込みを開始する(S4)。なお、このとき、スキャナ制御部403は、第1走査ユニット201の移動速度として予め定められた初期値を記憶しており、当該初期値に従って第1走査ユニット201を移動させる。これによって得られた画像データは、画像処理部301を経て主制御部401に入力され、主制御部401は上記画像データを演算処理し(S5)、画像データ記憶部601に書き込む。
次に、主制御部401では、画像第1切分部411が画像データ記憶部601に記憶された画像データにおいて、基準チャート701の画像データ(基準チャート画像データ)とテスト印刷シート702の画像データ(テスト印刷画像データ)とを切り分ける(S6)。そして、画像第1切分部411は、基準チャート画像データを画像第2切分部421に出力し、テスト印刷画像データを印刷調整部441に出力する。
次に、主制御部401は、入力された基準チャート画像データによってスキャナ200の読取調整およびスキャナ200のγ調整を行なう(S7)。
次に、主制御部401は、入力されたテスト印刷画像データによってプリンタ110の印刷調整を行う(S8)。
S7,S8でのスキャナ200の読取調整、スキャナ200のγ調整、プリンタ110の印刷調整は、主制御部401が上記読取調整および印刷調整によって得られた各種調整値をスキャナ制御部403およびプリンタ制御部402に対してフィードバックすることである。この詳細については後述する。
なお、本実施の形態において、プリンタ110の印刷調整(S8)は、スキャナ200の読取調整(S7)完了後にスキャナ200にて読み込まれたテスト印刷シート702の画像データに基づいて行う必要がある。したがって、スキャナ200の読取調整は、基準チャート701とテスト印刷シート702とをこの順序で連続して読み込んでいる場合に、テスト印刷シート702の読み取りが開始される前に完了していることが好ましい。また、スキャナ200の読取調整がテスト印刷シート702の読み取り開始前に完了しない場合には、スキャナ200の読取調整の完了後に、再度スキャナ200による読取動作を行い、これによって得られたテスト印刷シート702の画像データに基づいてプリンタ110の印刷調整を行うようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態の複合機1の調整方法では、スキャナ200の読取調整およびプリンタ110の印刷調整を行う場合に、基準チャート701とテスト印刷シート702を原稿載置台92の上に並べて配置し、これら基準チャート701とテスト印刷シート702とを一度のスタートキー241操作によって同時に読み込むようにしている。また、複合機1では、上記読み込みによって得られた画像データから基準チャートの画像データとテスト印刷の画像データとを切り分け、それぞれの画像データを使用してスキャナ200の読取調整とプリンタ110の印刷調整とを行うようにしている。したがって、これら調整に伴う作業者の負担を軽減することができる。
(図7に示すS7の処理の詳細)
次に、図7に示したS7のスキャナ200の読取調整およびγ調整について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
まず、主制御部401の画像第2切分部421は、基準チャート画像データから、矩形枠形状の画像である読取調整用画像データと、この読取調整用画像の内部の画像であるγ調整用チャート画像データとを切り分ける(S11)。そして、画像第2切分部421は、読取調整用画像データを読取調整部431に出力し、γ調整用チャート画像データをγ調整部501に出力する。
γ調整部501では、γ調整用チャート画像に基づいてスキャナ200のγ調整を行う(S12)。このγ調整は周知の手法によって行われる。γ調整では、例えば、読み取った基準チャート画像データの色データがA1であり、これを初期色補正係数B1で補正したときの色データがA2であったとき、基準値ArefとA2とを比較して、許容範囲を超えていれば許容範囲内に収まるように色補正係数を変更する。これにより、出力される色データが基準値に近くなるようにする。
一方、読取調整部431は、主走査方向の読取倍率の値である主走査読取倍率値αと、副走査方向の読取倍率の値である副走査読取倍率値βとを取得する(S30)。主走査読取倍率値αとは、原稿上の画像の主走査方向の長さに対する、当該原稿をスキャナ200で読み取ることにより得られる画像データ上の同じ画像の主走査方向の長さの比のことである。主走査読取倍率値αは、以下のようにして得ることができる。すなわち、読取調整部431は、図5(a)で示される基準チャートをスキャナ200で読み取ることにより得られた読取調整用画像データに基づいて、当該読取調整用画像データにおけるP3に対応する位置からP4に対応する位置までの距離(以下、読取後P3P4距離という)を計算する。さらに、読取調整部431は、基準データ記憶部602から、基準P3P4距離を読み出す。そして、読取調整部431は、読取後P3P4距離を基準P3P4距離で割ることにより、主走査読取倍率値αを求めることができる。
同様にして、読取調整部431は、読取調整用画像データにおけるP1に対応する位置からP2に対応する位置までの距離(以下、読取後P1P2距離という)を計算し、読取後P1P2距離を基準P1P2距離で割ることにより、副走査読取倍率値βを求めることができる。
なお、上述したように、スキャナ200の主走査読取倍率値αは、画像形成装置に組み込む前のユニット組み立て時に、治具などによって主走査方向の倍率が機械的に調整され所定の許容範囲内に調整されている。
次に、読取調整部431は、取得した副走査読取倍率値βに基づいて副走査方向の読取倍率の調整を行う(S13)。具体的には、読取調整部431は、調整後の副走査読取倍率値が1になるように、副走査読取倍率値βに基づいてスキャナ制御部403が記憶する移動速度の設定値を調整する。
次に、読取調整部431は副走査方向の先端位置調整を行う(S14)。最後に、読取調整部431は主走査方向のオフセンター調整を行う(S15)。なお、副走査方向の先端位置調整、および、主走査方向のオフセンター調整は、基準チャートの違いがあるものの、図12に基づく先述の説明の通りであり、公知の技術を用いることができる。
(図7に示すS8の処理の詳細)
次に、図7に示したS8のプリンタ110の印刷調整について図10のフローチャートに基づいて説明する。
まず、主制御部401の印刷調整部441は、スキャナ200から入力されたテスト印刷画像データから、テスト印刷シート702の原稿載置台92における配置方向とサイズとを検知する(S21)。
次に、印刷調整部441は、印刷位置調整のための演算を行い(S22)、次に、副走査方向の印刷倍率調整のための演算を行う(S23)。このS23の処理は、先述の(B1)副走査方向の印刷倍率調整に相当する。
具体的には、印刷調整部441は、副走査方向の印刷倍率の値である副走査印刷倍率値β’を取得する。副走査印刷倍率値β’とは、印刷対象となる画像データ上の画像の副走査方向の長さに対する、当該画像データをプリンタ110で印刷出力した印刷物上の同じ画像の副走査方向の長さの比のことである。副走査印刷倍率値β’は、以下のようにして得ることができる。すなわち、印刷調整部441は、テスト印刷画像データに基づいて、当該テスト印刷画像データにおけるP11に対応する位置からP12に対応する位置までの距離(以下、印刷後P11P12距離という)を計算する。さらに、印刷調整部441は、基準データ記憶部602から、基準P11P12距離を読み出す。そして、印刷調整部441は、印刷後P11P12距離を副走査読取倍率値βおよび基準P11P12距離で割ることにより、副走査印刷倍率値β’を求めることができる。
そして、印刷調整部441は、取得した副走査印刷倍率値β’に基づいて、副走査方向の印刷倍率の調整を行う。ここでは、印刷調整部441は、調整後の副走査印刷倍率値が1になるように、副走査印刷倍率値β’に基づいてプリンタ制御部402が記憶する中間転写ベルト61の搬送速度の設定値を調整する。
次に、印刷調整部441は、主走査方向の印刷倍率調整のための演算を行う(S24)。さらに、印刷調整部441は、主走査方向の印刷オフセンター調整を行い(S25)、その後、副走査方向の印刷先端位置調整を行う(S26)。なお、S22、S23、S25、S26の調整処理の詳細は、使用するテスト印刷シートとして、テスト印刷シート702とテスト印刷シート1002との違いはあるものの、図13に基づく先述の説明の通りである。
(図10に示すS24の処理の詳細)
以下、本発明の特徴である、S24の処理について、図1のフローチャートを参照しながら詳説する。
まず、印刷調整部441は、読取調整部431がS30で既に得た主走査読取倍率値αを、所定の制限範囲内に制限することで制限済読取倍率LSを決定する。制限範囲は、プリンタモードの印刷倍率の仕様範囲から予め設定されている。プリンタモードの印刷倍率の仕様範囲が±0.5%内である場合、制限範囲として、上限値1.005から下限値0.995までの範囲が設定される。
具体的には、印刷調整部441は、主走査読取倍率値αが制限範囲内であるか否か判断する(S31)。主走査読取倍率値αが制限範囲内である場合、印刷調整部441は、主走査読取倍率値αを制限済読取倍率LSとして決定する(S32)。
一方、主走査読取倍率値αが制限範囲内ではない場合、印刷調整部441は、主走査読取倍率値αが制限範囲の上限値を超えているか否は判断する(S33)。主走査読取倍率値αが制限範囲の上限値を超えている場合、印刷調整部441は、当該上限値を制限済読取倍率LSとして決定する(S34)。一方、主走査読取倍率値αが制限範囲の上限値を超えていない場合、印刷調整部441は、主走査読取倍率値αが制限範囲の下限値未満であると判断し、当該下限値を制限済読取倍率LSとして決定する(S35)。
例えば、制限範囲として上限値1.005から下限値0.995までの範囲が設定されており、主走査読取倍率値αが1.01であったら、上限値を超えているので、制限済読取倍率値LSは上限値の1.005が設定される。
次に、印刷調整部441は、主走査方向の印刷倍率の値である主走査印刷倍率値α’を取得する(S36)。主走査印刷倍率値α’とは、印刷対象となる画像データ上の画像の主走査方向の長さに対する、当該画像データをプリンタ110で印刷出力した印刷物上の同じ画像の主走査方向の長さの比のことである。主走査印刷倍率値α’は、以下のようにして得ることができる。すなわち、印刷調整部441は、テスト印刷画像データに基づいて、当該テスト印刷画像データにおけるP13に対応する位置からP14に対応する位置までの距離(以下、印刷後P13P14距離という)を計算する。さらに、印刷調整部441は、基準データ記憶部602から、基準P13P14距離を読み出す。そして、印刷調整部441は、印刷後P13P14距離を主走査読取倍率値αおよび基準P13P14距離で割ることにより、主走査印刷倍率値α’を求めることができる。このように、印刷調整部441は、主走査印刷倍率値α’を取得する印刷倍率取得部としても機能している。
そして、印刷調整部441は、取得した主走査印刷倍率値α’に基づいて、調整後の主走査印刷倍率値が1になるように、プリンタ制御部が記憶する画素クロック周期の設定値を調整する。具体的には、印刷調整部441は、画素クロック周期の初期値に主走査印刷倍率値α’の逆数を乗じた第1画素クロック周期設定値を算出する(S37)。
次に、印刷制御部441は、制限済読取倍率LSの逆数を、テスト印刷シートに基づき得た上記第1画素クロック周期設定値に乗じて、第2画素クロック周期設定値を算出する(S38)。そして、印刷制御部441は、算出した第2画素クロック周期設定値を、プリンタ制御部402における画素クロック周期の設定値として設定することにより、印刷倍率の調整を行う(S39)。
例えば、S37において、テスト印刷シートに基づき、プリンタモードでの印刷倍率が100%となるように、印刷制御部441は、第1画素クロック周期設定値F1を算出したとする。ここで、第1画素クロック周期値F1が38.5μsecであり、制限済読取倍率LSが1.005とすると、印刷制御部441は、プリンタモードでの印刷倍率が下限値の1/LS=0.995となるように第2画素クロック周期設定値F2を設定する必要があるので、クロック周期値を低下させて画素の主走査長さを縮小する。具体的には、印刷制御部441は、F2=F1×1/LS に従って、F2を算出する。
これにより、プリンタモード時の印刷倍率を仕様(許容)範囲に収めるとともに、コピーモード時の複写倍率の100%からのズレをなるべく小さくすることができる。
なお、上記の説明では、S37とS38との処理を分けて記載したが、これに限らず、この2つの処理を同時に行ってもよい。つまり、印刷調整部441は、画素クロック周期の初期値に、主走査印刷倍率値α’の逆数および制限済読取倍率LSの逆数を乗じることで、第2画素クロック周期設定値を算出してもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。