JP2005010453A - 振動ミラー及びその製造方法、光書込装置、画像形成装置 - Google Patents

振動ミラー及びその製造方法、光書込装置、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】静電的に駆動される梁支持型振動ミラーにおいて、ミラー基板の振動時の変形を効果的に抑制するための新規な補強構造を提供する。
【解決手段】第1の駆動電極208,209と第2の駆動電極223,224を備える2段電極構造の振動ミラーにおいて、ミラー基板201の裏面に絶縁膜202を形成し、この絶縁膜上に補強のためのリブ250を形成する。このリブ250によりミラー基板201の振動時の変形が抑えられる。リブはエッチングにより容易に高精度に加工することができる。第2の駆動電極とリブをシリコンのエッチング加工により同時に形成する際、リブがない場合に比べてエッチング面積の偏りが少なくなるため加工精度、製造歩留まりが向上する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロマシニング技術を応用した微小光学系に係り、より詳しくは、静電力によって駆動される、ねじり梁支持型振動ミラーと、それを利用した光書込装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の振動ミラーは、デジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置の光書込装置や、バーコードリーダー、スキャナ等の光読取装置への応用が有望視されている。
【0003】
非特許文献1に記載されているこの種の振動ミラー(光走査装置)では、同一直線上に設けられた2本の梁で支持されたミラー基板を、ミラー基板に対向する位置に設けた電極との間の静電引力で、2本の梁をねじり回転軸として往復振動させる。マイクロマシンニング技術によって作成されるこの振動ミラーは、モーターによりポリゴンミラーを回転させる構成の光走査装置と比較し、構造が簡単であり、半導体プロセスでの一括形成が可能であるため、小型化が容易で製造コストも低い。また、ポリゴンミラーは複数のミラー面を利用するためミラー面毎の精度のばらつきの問題があるが、ミラー面が1つの振動ミラーには、そのような問題はない。さらに振動ミラーは、往復走査による高速走査に容易に対応できる。
【0004】
また、非特許文献2と非特許文献3に記載された振動ミラーでは、ミラー基板の振れ角を大きくするため、その振動領域に電極が重ならないようミラー基板の端面に対向電極が設けられる。これらの振動ミラーは、板厚20μmのシリコンからなる可動電極としてのミラー基板とミラー基板端面に微小なギャップを隔てて対向する固定電極の間の静電引力で駆動するもので、両電極は同一部位に形成されている。非特許文献2の振動ミラーでは、形成プロセスで生じる構造体の微小な非対称性を利用してミラー基板の振動を起動させるための初期モーメントを得るが、非特許文献3に記載された振動ミラーでは、起動のための金属薄膜電極を駆動電極と直交する面上に配備している。
【0005】
また、この種の振動ミラーにおいて、ミラー基板の振れ角を大きくとりつつ剛性を維持するために、ミラー基板を肉抜きして凹部を形成した構造が特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−249300号公報
【非特許文献1】
K.E.Petersen, ”Silicon Tortional Scanning Mirror”, IBM Journal of Research and Development 24,(1980),pp.631−637
【非特許文献2】
Harald Schenk,”An Electrostatically Excited 2D−Micro− Scanning−Mirror with an In−Plane configuration of the Driving Electrodes”, The 13th Annual International Workshop on MEMS 2000,(2000), pp.473−478
【非特許文献3】
Harald Schenk et al,”A New Driving Principle for Micromechanical Torsional Actuators”, The 1999 ASME International Mechanical Engineering Congress and Exposition, Nov.14−19,1999, pp.333−338
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
梁をねじり回転軸としてミラー基板が往復振動するタイプの振動ミラーにおいては、ミラー基板を軽くして慣性モーメントを小さくすることが、ミラー基板の振れ角の増大及び高速駆動のために有効である。しかし、ミラー基板として必要な大きさを維持しつつ軽量化のためにミラー基板の板厚を薄くすると、振動時にミラー基板が変形してミラー面の平坦性を維持できなくなり、ミラー面で反射された光ビームの断面形状や焦点位置が変動してしまう。
【0008】
ミラー基板の慣性モーメントを小さくしつつミラー基板の変形を減らす手段としては、前記特許文献1に記載されているようにミラー基板に凹部を形成した構造や、本出願人の特許出願(特願2002−216250号)に係るミラー基板の裏面に補強部を形成した振動ミラーの構造は有効である。しかし、単結晶シリコンなどからなるミラー基板にエッチングにより凹部や補強部を形成する場合、エッチング深さのばらつきにより、ミラー基板の慣性モーメントや共振周波数の精度を上げにくいという問題がある。また、ミラー基板は可動電極としても作用するため、ミラー基板そのものに凹部や補強部を形成することは、電気的に見れば可動電極の形状が複雑化することでもあり、これが可動電極と駆動電極(固定電極)との間の電界に影響を及ぼし、したがってミラー基板の挙動にも影響が及ぶという問題がある。
【0009】
さて、振動ミラーの共振周波数fは、梁のねじり弾性係数をk、ミラー基板の慣性モーメントをIとすると次式であらわすことができる。
f=1/2π√(k/I)
ねじり弾性係数kは、梁幅をc、梁高さをt、梁長さをLとすると次式であらわすことができる。なお、βは断面形状係数、Eはヤング率、νはポアソン比である。
k=βtcE/L (1+ν)
シリコンの温度係数をΔhtとすると、温度Tmtにおけるヤング率Eは
E=Eo (1−Δht*Tmt)
で与えられる。
また、ミラー基板の慣性モーメントIは、ミラー重量をM、密度をρ、ミラー基板の幅、長さ、厚さをそれぞれb、a、tとすると次式であらわすことができる。
Figure 2005010453
【0010】
ねじり梁支持型の振動ミラーは、一般に低エネルギーで大きな振れ角が得られるように、ミラー基板とねじり梁それぞれの材質、形状、寸法で決まってくる構造体の共振周波数を駆動周波数として設定しているが、以上の関係式からわかるように、ねじり梁寸法(c,t,L)とミラー基板寸法(a,b,t)並びに環境温度が振動ミラーの共振周波数に大きく影響してくる。したがって、駆動周波数を共振点に固定して振動ミラーを使用する場合に、寸法のばらつきや環境温度の変化により生じる共振点のずれによる振れ角の変動が大きいという問題がある。
【0011】
このような問題点に鑑み、本出願人は、共振点外で安定した大きな振れ角で動作させることが可能な2段電極構造の振動ミラーの発明を特許出願している(特願2003−26528号、以下先願と記す)。この先願に係る発明の振動ミラーの一例について図1を参照し説明する。図1において、(a)は振動ミラーのミラー面と反対側から見た概略平面図、(b)はA−A’ 線概略断面図、(c)はミラー面側から見た概略平面図である。
【0012】
図1において、101はミラー基板、102,103は一直線上にあるねじり梁、104は枠状支持部であり、ミラー基板101はその対向する2つの端部の中央部をねじり梁102,103を介して枠状支持部104に支持され、ねじり梁102,103をねじり回転軸として往復振動可能である。ミラー基板101のねじり梁102,103によりされない対向した2つの端部105,106は櫛歯状に形成され、この櫛歯状の辺105,106と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極107,108が枠状支持部104に形成されている。このようなミラー基板101、ねじり梁102,103及び駆動電極107,108を含む枠状支持部104からなる構造体は、第1の基板(例えば低抵抗の単結晶シリコン基板)から半導体プロセスによって一体的に作成される。ミラー基板101の一面に、反射率の高い金属膜からなるミラー面109が形成されている。
【0013】
枠状支持部104には、それと略同一形状の枠状支持部111が絶縁層110を介して接合されている。この枠状支持部111には、第1の駆動電極107,108と同一の平面形状を有する櫛歯状の第2の駆動電極112,113が形成されている。このような第2の駆動電極112,113を含む枠状支持部111は、絶縁層110を介して前記第1の基板に接合された第2の基板(例えば低抵抗の単結晶シリコン基板)から半導体プロセスによって作成される。
【0014】
枠状支持部104は、スリット120,121,122によって、ミラー基板101と電気的に導通した領域と第1の駆動電極107,108と電気的に導通した領域に絶縁分離され、それぞれの領域には金属薄膜からなる電極パッド123,124が形成されている。また、枠状支持部111は、スリット126,127,128,129によって、第2の駆動電極112と電気的に導通した領域と第2の駆動電極113と電気的に導通した領域とに絶縁分離され、それぞれの領域に金属薄膜からなる電極パッド130,131が形成されている。
【0015】
この2段電極構造の振動ミラーは、ミラー基板101、ねじり梁102,103、枠状支持部104ならなる構造体の寸法などで決まる共振点外でも大きな振れ角で安定に駆動することができる。その駆動方法を次に説明する。
【0016】
電極パッド123を接地しておく。すなわち、ミラー基板101を接地しておく。第1の駆動電極107,108の電極パッド124に電圧を印加すると、微小ギャップを介して噛み合っている第1の駆動電極107,108とミラー基板101の櫛歯状端部(可動電極)105,106の間に静電引力が働く。このとき、両電極間には厚さ方向に微小な位置ずれがあるため、両電極を最短距離とするようにミラー基板101に回転モーメントが発生する。このようにしてミラー基板101に微小変位が発生した後は、電極パッド123への電圧印加周期を振動ミラーの決まる共振周波数にあわせることでミラー基板101の振れ角を徐々に増大させていくことができる。可動電極が第1の駆動電極との最近接位置を通過した後、電極パッド123への電圧印加を停止し、次に可動電極が引き込まれる側の第2の駆動電極112又は113の電極パッド130又は131に電圧を印加することで、振れ角を増大させる方向への静電引力が作用し、振れ角をさらに増大させることができる。
【0017】
図2に、ミラー基板101の振動と各駆動電極への電圧印加のタイミング関係を示す。(a)はミラー基板101の振動波形、(b)は第1の駆動電極107,108への印加電圧波形、(c)は第2の駆動電極112への印加電圧波形、(d)は第2の駆動電極113への印加電圧波形を示す。各駆動電極による効率よく静電トルクが働くようにミラー基板101の振動と各駆動電極への印加電圧の位相関係を設定するのが望ましく、ここでは、第1の駆動電極107,108には0<α1<θ1の振れ角の範囲で電圧を印加し、第2の駆動電極112,113にはθ1<α2<θ2なる振れ角の範囲に電圧を印加するようにしている。
【0018】
かかる2段電極構造の振動ミラーは、共振点外でも大きな振れ角でミラー基板を振動させることができる。共振点外では寸法ばらつきや環境温度変化による振れ角変化が共振点付近と比較して著しく小さいため、安定した振れ角でミラー基板を往復振動させることができる。
【0019】
このような2段電極構造の振動ミラーにおいても、ミラー基板の慣性モーメントを小さくしつつ、その振動時の変形を抑えるために剛性を高めることが望まれる。しかし、ミラー基板そのもをエッチングにより肉抜きして凹部や補強部を形成する構成は前述したような問題がある。
【0020】
よって、本発明の主たる目的は、上に述べたような問題がなく、かつ、製造プロセスを格別複雑化することもなく、さらに2段電極構造の場合に製造プロセスを変更することなく駆動電極の加工精度を向上する効果をも期待できる、ミラー基板の変形抑制のための新規な構造を有し、ビーム形状や共振周波数が安定した振動ミラーを提供することにある。本発明の他の目的は、そのような振動ミラーを用いた光書込装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ミラー基板と、該ミラー基板の対向する2辺の中央部を支持する2本の梁と、前記ミラー基板を静電的に駆動するための駆動電極とを有し、前記ミラー基板が前記梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーであって、前記ミラー基板が、そのミラー面が形成された面と反対側の面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された補強用のリブとを有することを特徴とする振動ミラーである。
【0022】
請求項2の発明は、ミラー基板と、2本の梁と、該梁を介して前記ミラー基板の対向する2辺の中央部を支持する枠状支持部と、前記ミラー基板の支持されない2辺に対向する前記枠状支持部の部位に形成された第1の駆動電極と、前記第1の枠状支持部に絶縁膜を介して接合された、前記第1の駆動電極と重なる第2の駆動電極とを有し、前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーであって、前記ミラー基板は、そのミラー面が形成された面と反対側の面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された補強用のリブとを有することを特徴とする振動ミラーである。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の振動ミラーにおいて、前記ミラー基板が前記ねじり回転軸と直交する方向に長い形状を持ち並列に配列された複数の前記リブを有することを特徴とするものである。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明の振動ミラーにおいて、前記ミラー基板が筋交い状の複数の前記リブを有することを特徴とするものである。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明の振動ミラーにおいて、前記ミラー基板がハニカム状の複数の前記リブを有することを特徴とするものである。
【0026】
請求項6の発明は、請求項2の発明の振動ミラーにおいて、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極が櫛歯形状であり、前記リブの延長線上に前記第2の駆動電極の櫛歯部が位置することを特徴とするものである。
【0027】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項の発明の振動ミラーにおいて、前記リブの全体の重心位置と前記ミラー基板の重心位置とが面内方向で一致することを特徴とするものである。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項の発明の振動ミラーにおいて、前記ミラー面が前記ミラー基板の周縁部を残して凹形に肉抜きされた面に形成されることを特徴とするものである。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項の発明の振動ミラーの前記ミラー基板の振動空間を封止するための封止手段を有し、前記振動空間が減圧状態に封止されたことを特徴とする振動ミラーである。
【0030】
請求項10の発明は、絶縁膜を介して接合された2枚の単結晶シリコン基板をエッチング加工することにより請求項1乃至8のいずれか1項の発明の振動ミラーを製造することを特徴とする振動ミラー製造方法である。
【0031】
請求項11の発明は、請求項10の発明の振動ミラー製造方法において、前記リブの形成のためのエッチング加工がドライエッチングによりなされることを特徴とするものである。
【0032】
請求項12の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項の発明の振動ミラーと、前記振動ミラーのミラー基板のミラー面に光ビームを入射させる手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを被走査面に結像させるための手段とを有することを特徴とする光書込装置である。
【0033】
請求項13の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項の発明の振動ミラーと、像担持体と、記録信号によって変調された光ビームを前記振動ミラーのミラー基板のミラー面へ入射させるための手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを前記像担持体に結像させるための手段と、該結像のための手段により光ビームが結像されることにより前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、該現像手段により顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明による振動ミラーのミラー基板の変形を抑制するための構造は、図1及び図2に関連して説明した2段電極構造の振動ミラーへの適用する場合に特に好適であるため、2段電極構造の振動ミラーを例にして本発明の実施の形態を説明する。しかし、本発明は、駆動電極が1段のみの構造の振動ミラーに対しても同様に適用し得るものであることは、以下の説明から明らかであろう。したがって、本発明による1段電極構造の振動ミラーの実施例の提示は省略する。
【0035】
[実施例1]
本発明の振動ミラーの一実施例の構成を図3に示す。図3の(a)は振動ミラーのミラー面と反対側から見た概略平面図、(b)は振動ミラーのB−B’線概略断面図、(c)は振動ミラーのミラー面側から見た概略平面図である。
【0036】
図3において、200は第1の基板であり、これはミラー基板201、同軸上にある2本のねじり梁202,203、枠状支持部204からなり、ミラー基板201はその対向する2つの辺の中央部をねじり梁202,203を介して枠状支持部204に支持されている。ミラー基板201は、ねじり梁202,203をねじり回転軸として往復振動可能である。ミラー基板201のねじり梁202,203に支持されない対向した2つの辺には櫛歯状電極部(可動電極)206,207が形成されている。枠状支持部204には、櫛歯状電極部206,207と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極208,209が形成されている。このような第1の基板200は、高精度の微細加工が可能で、弾性体として使用するうえで適度な剛性をもち、かつ、電極として使用可能な低抵抗の単結晶シリコン基板を、酸化膜をエッチングマスクとしてSF6ガスを用いた高密度プラズマエッチングにより貫通エッチングすることによって一体成形されている。
【0037】
ミラー基板201の一面には、当該振動ミラーで使用される光に対して十分な反射率をもつ金属薄膜からなるミラー面205が形成されている。ミラー面205上に酸化防止のためのパッシベーション膜として絶縁膜が形成されてもよい。
【0038】
第1の基板200に形成された各部の寸法は、必要とする共振周波数が得られるように設計される。ねじり梁202,203の幅は厚さとほぼ同じであることが望ましいが、多少変えることで共振周波数を調整可能である。また、ねじり梁202,203の長さも、所望の共振周波数となるように設定される。
【0039】
枠状支持部204は、スリット210,211,212により、第1の駆動電極208,209と電気的に導通した領域とミラー基板201と電気的に導通した領域とに絶縁分離されている。絶縁分離された各領域には、表面の酸化膜をマスクエッチングで部分的に除去して低抵抗シリコン面を露出させ、スパッタ法でAl薄膜をマスク成膜することにより電極パッド213,214が形成されている。
【0040】
第1の基板200のミラー面205と反対側の面に、絶縁膜220を介して接合された第2の基板221をドライエッチング加工することにより、絶縁膜220を介して枠状支持部204と重なる枠状支持部222と、ミラー基板201の裏面に絶縁膜220を介して配設されたリブ250が形成されている。枠状支持部222の内側端面には櫛歯状の第2の駆動電極223,224が形成されている。第2の駆動電極223,224は第1の駆動電極208,209と重なる位置関係にある。このような第2の基板221としては、高精度の微細加工が可能で、電極として使用可能な低抵抗の単結晶シリコン基板が用いられる。
【0041】
枠状支持部222は、スリット225,226により、駆動電極223と電気的に導通した領域と駆動電極224と電気的に導通した領域とに絶縁分離され、その各領域には、表面の酸化膜をマスクエッチングで部分的に除去して低抵抗シリコン面を露出させ、スパッタ法でAl薄膜をマスク成膜することにより電極パッド229,230が形成されている。なお、電極パッド229,230及び電極パッド213,214の材料はAlに限定されるものではなく、十分な密着性とシリコンとの導通が得られればAu等の他の材料も選択可能であり、また、その成膜方法は真空蒸着法、イオンプレーティング法等の他の方法でもよい。
【0042】
この実施例においては、リブ250は、図3(b)に見られるように第2の基板221の厚さ相当の高さをもつ。図3(c)に見られるように、リブ250はそれぞれ梁202,203と直交する方向に長く、梁202,203の方向に複数本が等間隔に並列配置されている。リブ250の間隔は駆動電極223,224の櫛歯の間隔と一致しており、各リブ250の延長線上に駆動電極223,224の対応した櫛歯が位置する。リブ250の全体の重心はミラー基板201の重心位置と面内方向で一致させており、これはミラー基板201の走査方向の振動を安定化するためである。
【0043】
この実施例の振動ミラーは、図1に示した先願に係る発明の振動ミラーと同様の駆動方法によって駆動することができる。すなわち、ミラー基板の電極パッド213を接地し、図2の(b)に示した駆動パルスを第1の駆動電極の電極パッド214に印加し、図2の(c),(d)に示した駆動パルスを第2の駆動電極の電極パッド229,230にそれぞれ印加することにより、図2の(a)に示したようにミラー基板を往復振動させることができる。
【0044】
このように往復振動しているミラー基板201は、その慣性モーメントにより、特に梁202,203と直交する方向(ねじり回転軸と直交する方向)の変形が大きい。この方向について、ミラー基板201の裏面側に設けられたリブ250により剛性が増大するため、ミラー基板201の変形が効果的に抑えられ、したがって良好なビーム形状を得ることができる。そして、リブ250はミラー基板201とは絶縁膜220により絶縁されているため、ミラー基板201の可動電極206,207と駆動電極208,209,223,225の間の電界がリブ250によって格別影響されることがなく、したがってリブ250を設けたことがミラー基板201の挙動に悪影響を及ぼすことはない。
【0045】
また、ミラー基板201の裏面の絶縁膜220上にリブ250を設ける構造は、先に触れたように、またより具体的に後述するように、第2の基板221を絶縁膜220までドライエッチングすることにより、容易に高い寸法精度のリブ250を形成することができ、しかも、この実施例のような2段電極構造の振動ミラーの場合、第2の駆動電極223,224と同じプロセスでリブ250を形成することができ製造プロセスが複雑化することもない。さらに大きなメリットとして、2段電極構造の振動ミラーの場合、以下の製造方法に関連して説明するように、ミラー基板201の裏面側にリブ250を設けることは、第2の駆動電極223,224の加工精度の向上、振動ミラーの製造歩留まりの向上にも寄与する。
【0046】
次に、この実施例の振動ミラーの製造方法の一例について説明する。図4は製造工程を説明するための概略断面図である。
【0047】
工程a: 板厚525μmの2枚のシリコン基板301,302を厚さ5000 の熱酸化膜303を介して直接接合したシリコンウェハを用意し、一方のシリコン基板301を板厚200μmまで、他方のシリコン基板302を板厚60μmまでそれぞれ研削、研磨した。シリコン基板301は第2の基板221として用いられるもので、シリコン基板302は第1の基板200として用いられるものである。なお、2枚のシリコン基板として、0.1Ω・cm以下の低抵抗の基板を用いた。また、シリコン基板の直接接合は、各シリコン基板の接合面をミラー面研磨して十分に洗浄した後、清浄かつ減圧雰囲気中で接合面を接触させ500℃の温度で仮接合し、その後1100℃の熱処理をすることにより本接合することにより行った。なお、仮接合を減圧中で行なうのは、接合面のボイドの発生を抑えるためである。
【0048】
工程b: シリコンウエハを熱酸化し、その全面に酸化膜304を1μmの厚さに形成した。
【0049】
工程c: 次に、シリコン基板302側の酸化膜304を、レジストマスクを用い、ドライエッチングにより、ミラー基板201、梁202,203、枠状支持部204、第1の駆動電極208,208、スリット210,211,212の形状にパターニングし酸化膜マスク305を形成した。なお、この説明においては、第2の駆動電極223,334のための電極パッド229,230をミラー面側に設けるために、その部分を開口させるようにパターニングした。
【0050】
工程d: 次に、パターニングした酸化膜マスク305をマスクとして、高密度プラズマエッチングにより、シリコン基板302を接合面の酸化膜303に達するまでエッチングした。このとき、界面の酸化膜303はシリコンに対して大きなエッチング選択比を持っているため酸化膜303に達したときにエッチングが停止した。第2の駆動電極223,224の電極パッドの引き出し部分のシリコンも除去され、その部分は絶縁膜303が露出している。
【0051】
工程e: 次に、シリコン基板301に形成された酸化膜304を、レジストマスクを用い、ドライエッチングにより、枠状支持部222、第2の駆動電極223,224、リブ250、スリット225,226の形状にパターニングして酸化膜マスク306を形成した。この際、両面アライナを用いて、シリコン基板302側に形成されたパターンに合わせて、シリコン基板301の表面にレジストマスクを形成し、パターニングした。
【0052】
工程f: この酸化膜マスク306を用い、高密度プラズマエッチングにより、シリコン基板301を接合面の酸化膜303に達するまでエッチングした。界面の酸化膜303はシリコンに対して大きなエッチング選択比を持っているため、酸化膜303に達したときにエッチングは確実に停止する。
【0053】
このエッチングの際に、ミラー基板裏面にリブを設けることにより次のような効果を得られる。ドライエッチングでは、マスク開口が広い部分にはエッチングガスが入りやすいためエッチング速度が速く、マスク開口が狭い部分はエッチングガスが入りにくいためエッチング速度が遅くなる。ミラー基板裏面にリブを設けない場合、ミラー基板の部分と第2の駆動電極の部分とでマスク開口面積つまりエッチング面積が大きく違うためエッチングの進行が不均一になりやすい。これに対し、本発明の振動ミラーでは、ミラー基板裏面にリブを設けるため、エッチング面積の片寄りが少なくなるので、エッチングの進行が均一化される効果が得られる。特に、実施例1のように、リブの延長線上に第2の駆動電極の櫛歯が位置するようにリブを配置すると、第2の駆動電極の櫛歯のエッチング不足などを、より確実に防止することができるため、第2の駆動電極の加工精度が向上し、また、振動ミラーの製造歩留まりが向上する効果がある。
【0054】
工程g: 次に、基板全体をBHFウエットエッチング液にいれることで、酸化膜303の露出している部分(貫通させる部分及び電極パッド形成部)をエッチング除去した。
【0055】
工程h: 次に、電極パッド213,214としての金属薄膜307、電極パッド229,230としての金属薄膜309、及び、ミラー面205としての金属薄膜308を、メタルマスクを用いてスパッタ成膜し、振動ミラーを完成した。なお、前述したように、ここに示す製造工程例においては、第2の駆動電極223,224のための電極パッド229,230はミラー面側に形成されている。このように同じ側の面にすべての電極パッドを設ける構造は振動ミラーの実装に都合がよい。かかる構造の振動ミラーも本発明に包含されることは当然である。
【0056】
[実施例2]
本発明の振動ミラーの他の実施例を図5により説明する。図5の(a)は図3(b)に対応した概略断面図、図5の(b)は図3(c)に対応した概略平面図であり、図3と同じ符号は同一部分又は対応部分を示す。
【0057】
この実施例の振動ミラーにおいては、図5(b)に見られるように、ミラー基板201の裏面に絶縁膜220を介して形成されるリブ250は筋交い状とされている。リブ250は、その全体の重心がミラー基板201の重心位置に面内方向で一致するように配列されている。これ以外の構成は前記実施例1の振動ミラーと同じであるので、その説明を省略する。また、この実施例の振動ミラーは、図4により説明した製造プロセスと同様のプロセスで製造できる。
【0058】
この実施例の振動ミラーは、リブ250を筋交い状とすることにより、ミラー基板201の振動時に最も慣性モーメントによる変形が大きな梁202,203と直交する方向の変形を低減すると同時に、梁202,203と平行な方向の変形も低減することができる。図5(b)では筋交い状のリブ250が2組配置された状態が示されているが、さらに多くの筋交い状リブ250を配置してもよく、そのようにすることにより変形低減の効果を高めることができる。また、この実施例においても、リブ250を設けることにより、第2の基板221のエッチング面積の偏りを減らす効果を得られることは明らかである。多数組の筋交い状リブ250を、その延長線上に第2の駆動電極223,224の櫛歯部が位置するように配置すると、第2の駆動電極の加工精度の向上と振動ミラーの製造歩留まりの向上に特に効果的である。
【0059】
[実施例3]
本発明の振動ミラーの他の実施例を図6により説明する。図6の(a)は図3(b)に対応した概略断面図、図6の(b)は図3(c)に対応した概略平面図であり、図3と同じ符号は同一部分又は対応部分を示す。
【0060】
この実施例の振動ミラーにおいては、図6(b)に見られるように、ミラー基板201の裏面に絶縁膜220を介して形成されるリブ250はハニカム状とされている。このリブ250は、その全体の重心がミラー基板201の重心位置に面内方向で一致するように配列されている。ハニカム状のリブ250の空隙部分は第2の駆動電極223,224の間隔とほぼ等しい寸法となっている。ここではハニカム状のリブ250は均等に配置されているが、リブ250の全体の重心がミラー基板201の重心位置に面内方向で一致するならば必ずしも均等配置でなくてもよい。枠状支持部222の駆動電極223,224が形成される領域はスリット260,261,262,263により絶縁分離されている。これ以外の構成は前記実施例1の振動ミラーと同じであるので、その説明を省略する。この実施例の振動ミラーは、図4により説明した製造プロセスと同様のプロセスで製造できる。
【0061】
この実施例の振動ミラーは、ハニカム状のリブ250をミラー基板201の裏面に絶縁膜222を介して配列することで、ミラー基板201の振動時に最も慣性モーメントによる変形が大きな梁202,203と直交する方向の変形を効果的に低減させることができると同時に、それ以外の方向の変形も低減することができる。また、この実施例においても、リブ250を設けることにより、第2の基板221のエッチング面積の偏りを減らす効果を得られることは明らかである。
【0062】
[実施例4]
本発明の振動ミラーの他の実施例を図7により説明する。図7は図3(b)に対応した概略断面図である。
【0063】
この実施例の振動ミラーにおいては、ミラー基板201のミラー面側が、その周辺部を残し略全面的に肉抜きされて凹形状とされ、その底面にミラー面205が形成されている。ミラー基板201の裏面側には、絶縁膜220を介して前記実施例1,2又は3と同様のリブ250形成されている。このリブ250が設けられているため、ミラー基板201を肉抜きして全体を薄くしても、ミラー基板201の必要な剛性を確保することができる。これ以外の構成は前記各実施例と同様であるので説明を省略する。
【0064】
この実施例では、上に述べたようなミラー基板201の肉抜きによりミラー基板201の慣性モーメントが減少し、その分だけミラー基板201の振動時の変形がさらに生じにくくなる。また、ミラー面205の中心とミラー基板201の回転軸中心とのずれを小さくすることができ、例えば、ミラー基板201をその板厚の半分まで肉抜きするならば、ミラー面205の中心とミラー基板201の回転軸中心とを一致させることができる。
【0065】
[実施例5]
図8は、本発明の振動ミラーの他の実施例を示す概略断面図である。この実施例の振動ミラーは、前記実施例1乃至4の振動ミラーの第1の基板200の枠状支持部204と第2の基板221の枠状支持部222に、パイレックスガラスかならなるカバー基板300とベース基板301をそれぞれ陽極接合し、ミラー基板201の振動空間307を減圧状態に封止したものである。このような減圧封止手段を有する振動ミラーは、ミラー基板201の振動空間の粘性抵抗が小さいため低い駆動電圧で大きな振れ角を安定に得ることができる。また、振動ミラー内部への塵芥などの侵入が阻止され、振動ミラーの信頼性が向上する。電極パッド213,214,229,230と外部との電気的接続は、カバー基板300及びベース基板301に設けられた貫通電極302〜305を通じてなされる。
【0066】
なお、カバー基板300及びベース基板301の接合方法は陽極接合に限らないが、パイレックスガラスとシリコンとの陽極接合は長期安定な封止が可能である。また、カバー基板300は少なくとも光を通す窓部を有するならば、樹脂やセラミックスなどの材料から形成することも可能である。ベース基板301も樹脂やセラミックスなどの材料から形成することも可能である。また、封止手段として、振動ミラー全体を収容するような封止容器を用いることもできる。
【0067】
[実施例6]
以上に説明した本発明の振動ミラーは、写真印刷方式のプリンタや複写機などの画像形成装置の光走査手段に好適である。図9は、本発明の振動ミラーを用いた画像形成装置の一例を説明するための概略構成図である。
【0068】
図9において、801は光書込装置、802は光書込装置801の被走査面を提供する感光体ドラム(像担持体)である。光書込装置801は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームで感光体ドラム802の表面(被走査面)を同ドラムの軸方向に走査するものである。感光体ドラム802は、矢印803方向に回転駆動され、帯電部804で帯電された表面に光書込装置801により光走査されることによって静電潜像を形成される。この静電潜像は現像部805でトナー像に顕像化され、このトナー像は転写部806で記録紙808に転写される。転写されたトナー像は定着部807によって記録紙808に定着される。感光体ドラム802の転写部806を通過した表面部分はクリーニング部809で残留トナーを除去される。なお、感光体ドラム802に代えてベルト状の感光体を用いる構成も可能であることは明らかである。また、トナー像を転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる構成とすることも可能である。
【0069】
光書込装置801は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームを発する光源部820と、前述したような本発明の振動ミラー821と、この振動ミラー821のミラー基板のミラー面に光源部820からのレーザビームを結像させるための結像光学系822と、ミラー面で反射された1本又は複数本のレーザビームを感光体ドラム802の表面(被走査面)に結像させるための走査光学系823から構成される。振動ミラー821は、その駆動のための集積回路824とともに回路基板825に実装された形で光書込装置801に組み込まれる。
【0070】
このような構成の光書込装置801は、次のような利点を有する。本発明による振動ミラー821は、前述のようにミラー基板の変形が少なくビーム形状が安定しているため、安定したビームスポット径での書き込みが可能であるほか、回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、画像形成装置の高画質化、省電力化に有利である。振動ミラー821のミラー基板の振動時の風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、画像形成装置の静粛性の改善に有利である。振動ミラー821は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、振動ミラー821の発熱量もわずかであるため、光書込装置801の小型化が容易であり、したがって画像形成装置の小型化に有利である。また、振動ミラーは高速の往復走査が可能であるため、画像記録速度の高速化が可能である。
【0071】
なお、記録紙808の搬送機構、感光体ドラム802の駆動機構、現像部805、転写部806などの制御手段、光源部820の駆動系などは、従来の画像形成装置と同様でよいため図中省略されている。
【0072】
【発明の効果】
以上に説明したように、
(1)請求項1乃至9の発明によれば、振動ミラーのミラー基板の振動時の変形がリブにより抑えられるため、安定したビーム形状を得ることができる。ミラー基板に形成された絶縁膜上にリブが形成される構造であるため、エッチング加工により容易に寸法精度の高いリブを形成することができる。リブはミラー基板とは絶縁されているため、リブを設けたことによりミラー基板の可動電極と駆動電極の間の電界に格別の影響はなく、ミラー基板の挙動に悪影響を及ぼすことはない。
(2)請求項2の発明によれば、2段電極構造の振動ミラーにおける第2の駆動電極を形成するためのエッチング工程において、同時にリブを形成することができるため、リブを設けることによる製造プロセスの変更は不要である。しかも、ミラー基板の裏面側にリブを設けるため、それを設けない場合に比べエッチング面積の偏りが減り、第2の駆動電極の加工精度が向上する。特に、請求項6の発明によれば、第2の駆動電極の櫛歯部から均一にエッチングを進行させることができるため、第2の駆動電極の櫛歯形状やエッチング速度のばらつきが小さくなり、共振周波数などのばらつきの少ない再現性のよい振動ミラーを得られる。
(3)請求項3の発明によれば、リブによって、ミラー基板の振動時に慣性モーメントによる変形が最も大きな梁と直交する方向の変形を効果的に減らすことができる。
(4)請求項4の発明によれば、リブによって、ミラー基板の振動時に慣性モーメントによる変形が最も大きな梁と直交する方向の変形を減らすと同時に、梁と平行な方向の変形も減らすことができるため、走査方向ばかりでなくそれと直交する方向についても安定したビーム形状を得ることができる。
(5)請求項5の発明によれば、リブによって、ミラー基板の振動時に慣性モーメントによる変形が最も大きな梁と直交する方向の変形を効果的に減らすことができると同時にそれ以外の方向の変形も減らすことができるため、走査方向に対するあらゆる方向で安定したビーム形状を得ることができる。
(6)請求項7の発明によれば、ミラー基板の走査方向の振動が安定するため安定したビーム形状が得られる。
(7)請求項8の発明によれば、ミラー基板の慣性モーメントが減少し、その分だけミラー基板の振動時の変形をさらに生じにくくなる。また、ミラー面の中心とミラー基板の回転軸中心とのずれを小さくし、さらには一致させることができる。
(8)請求項9の発明によれば、ミラー基板の振動空間の粘性抵抗が減り、低い駆動電圧で大きな振れ角を安定に得ることができる。また、振動ミラー内部への塵芥などの侵入が阻止され、振動ミラーの信頼性が向上する。
(9)請求項10の発明によれば、単純な製造プロセスで、加工精度が高く共振周波数などのばらつきの少ない請求項1乃至8の発明の振動ミラーを製造することができる。請求項11の発明によれば、リブの高精度の加工が可能であり、また、リブの形状の設計の自由度が広く最適化が容易になる。
(10)請求項12の発明によれば、安定したビームスポット径での書き込みが可能で、往復走査による高速書き込みが可能であり、消費電力が小さく、静粛性に優れたコンパクトな光書込装置を実現できる。
(11)請求項13の発明によれば、高画質な画像形成を高速に行うことが可能で、消費電力が小さく静粛性も優れたコンパクトな画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願人の先願に係る発明の2段電極構造の振動ミラーの一例を示す概略平面図及び概略断面図である。
【図2】2段電極構造の振動ミラーの駆動電圧波形及びミラー基板の振動波形を示す波形図である。
【図3】本発明の振動ミラーの一実施例を説明するための概略平面図及び概略断面図である。
【図4】図3に示した振動ミラーの製造工程説明図である。
【図5】本発明の振動ミラーの他の実施例を説明するための概略断面図及び概略平面図である。
【図6】本発明の振動ミラーの他の実施例を説明するための概略断面図及び概略平面図である。
【図7】本発明の振動ミラーの他の実施例を説明するための概略断面図である。
【図8】本発明の振動ミラーの他の実施例を説明するための概略断面図である。
【図9】本発明の光書込装置及び画像形成装置の一実施例を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
200 第1の基板
201 ミラー基板
202,203 ねじり梁
204 枠状支持部
206,207 可動電極
208,209 第1の駆動電極
123,214 電極パッド
220 絶縁膜
221 第2の基板
222 枠状支持部
223,224 第2の駆動電極
229,230 電極パッド
250 リブ
300 カバー基板
301 ベース基板
302〜305 貫通電極
801 光書込装置
821 振動ミラー
802 感光体ドラム
805 現像部
806 転写部

Claims (13)

  1. ミラー基板と、該ミラー基板の対向する2辺の中央部を支持する2本の梁と、前記ミラー基板を静電的に駆動するための駆動電極とを有し、前記ミラー基板が前記梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーであって、前記ミラー基板は、そのミラー面が形成された面と反対側の面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された補強用のリブとを有することを特徴とする振動ミラー。
  2. ミラー基板と、2本の梁と、該梁を介して前記ミラー基板の対向する2辺の中央部を支持する枠状支持部と、前記ミラー基板の支持されない2辺に対向する前記枠状支持部の部位に形成された第1の駆動電極と、前記第1の枠状支持部に絶縁膜を介して接合された、前記第1の駆動電極と重なる第2の駆動電極とを有し、前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーであって、前記ミラー基板は、そのミラー面が形成された面と反対側の面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜上に形成された補強用のリブとを有することを特徴とする振動ミラー。
  3. 前記ミラー基板は、前記ねじり回転軸と直交する方向に長い形状を持ち並列に配列された複数の前記リブを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の振動ミラー。
  4. 前記ミラー基板は、筋交い状の複数の前記リブを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の振動ミラー。
  5. 前記ミラー基板は、ハニカム状の複数の前記リブを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の振動ミラー。
  6. 前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極は櫛歯形状であり、前記リブの延長線上に前記第2の駆動電極の櫛歯部が位置することを特徴とする請求項2に記載の振動ミラー。
  7. 前記リブの全体の重心位置と前記ミラー基板の重心位置とが面内方向で一致することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動ミラー。
  8. 前記ミラー面は、前記ミラー基板の周縁部を残して凹形に肉抜きされた面に形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動ミラー。
  9. 前記ミラー基板の振動空間を封止するための封止手段を有し、前記振動空間が減圧状態に封止されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動ミラー。
  10. 絶縁膜を介して接合された2枚の単結晶シリコン基板をエッチング加工することにより請求項1乃至8のいずれか1項記載の振動ミラーを製造することを特徴とする振動ミラー製造方法。
  11. 前記リブの形成のためのエッチング加工はドライエッチングによりなされることを特徴とする請求項10に記載の振動ミラー製造方法。
  12. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の振動ミラーと、前記振動ミラーのミラー基板のミラー面に光ビームを入射させる手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを被走査面に結像させるための手段とを有することを特徴とする光書込装置。
  13. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の振動ミラーと、像担持体と、記録信号によって変調された光ビームを前記振動ミラーのミラー基板のミラー面へ入射させるための手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを前記像担持体に結像させるための手段と、該結像のための手段により光ビームが結像されることにより前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、該現像手段により顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
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