JP4409858B2 - 振動ミラー、光書込装置及び画像形成装置 - Google Patents

振動ミラー、光書込装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロマシニング技術を応用した微小光学系に係り、より詳しくは、静電力によって駆動される、ねじり梁支持型振動ミラーと、それを利用した光書込装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の振動ミラーは、デジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置の光書込装置や、バーコードリーダー、スキャナー等の光読取装置への応用が有望視されている。
【0003】
非特許文献1に記載されているこの種の振動ミラー(光走査装置)では、同一直線上に設けられた2本の梁で支持されたミラー基板を、ミラー基板に対向する位置に設けた電極との間の静電引力で、2本の梁をねじり回転軸として往復振動させる。マイクロマシンニング技術によって作成されるこの振動ミラーは、モーターによりポリゴンミラーを回転させる構成の光走査装置と比較し、構造が簡単であり、半導体プロセスでの一括形成が可能であるため、小型化が容易で製造コストも低い。また、ポリゴンミラーは複数のミラー面を利用するためミラー面毎の精度のばらつきの問題があるが、ミラー面が1つの振動ミラーには、そのような問題はない。さらに振動ミラーは、往復走査による高速走査に容易に対応できる。
【0004】
このような静電駆動の振動ミラーとして、梁をS字型として剛性を下げ、小さな駆動力で大きな振れ角が得られるようにしたもの(特許文献1参照)、梁の厚さをミラー基板、フレーム基板よりも薄くしたもの(特許文献2参照)、駆動電極をミラー部の振動方向に重ならない位置に配置したもの(特許文献3,非特許文献2参照)、また、駆動電極をミラーの振れの中心位置から傾斜させて設置することで、ミラーの振れ角を変えずに駆動電圧を下げたもの(非特許文献3参照)が知られている。
【0005】
以上の振動ミラーは静電引力を用いて駆動するものであるが、駆動手段として電磁力や圧電素子を利用する振動ミラーも考案されている。
【0006】
一般に、ねじり梁支持型の振動ミラーは、低エネルギーで大きな振れ角が得られるように、ミラー基板とねじり梁の材質、形状、寸法で決まる構造体の共振周波数でミラー基板を振動させねように駆動するとともに、振動ミラーの構造としては、振動時の剛性を確保しつつ軽量化して慣性モーメントを小さくする方法がとられる。
【0007】
【特許文献1】
特許第2924200号公報
【特許文献2】
特開平7-92409号公報
【特許文献3】
特許第3011144号公報
【非特許文献1】
K.E.Petersen,“Silicon Tortional Scanning Mirror”,IBM Journal of Research and Development 24,1980,pp.631−637
【非特許文献2】
Harald Schenk,“An Electrostatically Excited 2D-Micro-Scanning-Mirror with an In-Plane configuration of the Driving Electrodes”,The 13th Annual International Workshop on MEMS 2000,(2000),pp.473−478
【非特許文献3】
Harald Schenk,“An Electrostatically Excited 2D-Micro-Scanning-Mirror with an In-Plane configuration of the Driving Electrodes”,The 13th Annual International Workshop on MEMS 2000,(2000),pp.645−650
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
振動ミラーの共振周波数fは、梁のねじり弾性係数をk、ミラー基板の慣性モーメントをIとすると次式であらわすことができる。
f=1/2π√(k/I)
ねじり弾性係数kは、梁幅をc、梁高さをt、梁長さをLとすると次式であらわすことができる。なお、βは断面形状係数、Eはヤング率、νはポアソン比である。
k=βtc3E/L(1+ν)
シリコンの温度係数をΔhtとすると、温度Tmtにおけるヤング率Eは
E=Eo(1−Δht*Tmt)
で与えられる。
また、ミラー基板の慣性モーメントIは、ミラー重量をM、密度をρ、ミラー基板の幅、長さ、厚さをそれぞれb、a、tとすると次式であらわすことができる。
I=M(a2+b2)/12
=ρtab(a2+b2)/12
【0009】
ねじり梁支持型の振動ミラーは、一般に低エネルギーで大きな振れ角が得られるように、ミラー基板とねじり梁それぞれの材質、形状、寸法で決まってくる構造体の共振周波数を駆動周波数として設定しているが、以上の関係式からわかるように、ねじり梁寸法(c,t,L)とミラー基板寸法(a,b,t)並びに環境温度が振動ミラーの共振周波数に大きく影響してくる。したがって、駆動周波数を共振点に固定して振動ミラーを使用する場合に、寸法のばらつきや環境温度の変化により生じる共振点のずれによる振れ角の変動が大きいという問題がある。図1は環境温度と振れ角の関係を示すグラフであり、θmaxはある温度範囲内で一定になる最大の振れ角である。
【0010】
このような問題点に鑑み、本出願人は、共振点から外れても安定した大きな振れ角で動作させることが可能な2段電極構造の振動ミラーの発明を特許出願している(特願2003-26528号、以下先願と記す)。この先願に係る発明の振動ミラーの一例について図2を参照し説明する。図2において、(a)は振動ミラーのミラー面と反対側から見た概略平面図、(b)はA−A'線概略断面図、(c)はミラー面側から見た概略平面図である。
【0011】
図2において、101はミラー基板、102,103は一直線上にあるねじり梁、104は枠状支持部であり、ミラー基板101はその対向する2つの端部の中央部をねじり梁102,103を介して枠状支持部104に支持され、ねじり梁102,103をねじり回転軸として往復振動可能である。ミラー基板101のねじり梁102,103により支持されない対向した2つの端部105,106は櫛歯状に形成され、この櫛歯状の辺105,106と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極107,108が枠状支持部104に形成されている。このようなミラー基板101、ねじり梁102,103及び駆動電極107,108を含む枠状支持部104からなる構造体は、第1の基板(例えば低抵抗の単結晶シリコン基板)から半導体プロセスによって一体的に作成される。ミラー基板101の一面に、反射率の高い金属膜からなるミラー面109が形成されている。
【0012】
枠状支持部104には、それと略同一形状の枠状支持部111が絶縁層110を介して接合されている。この枠状支持部111には、第1の駆動電極107,108と同一の平面形状を有する櫛歯状の第2の駆動電極112,113が形成されている。このような第2の駆動電極112,113を含む枠状支持部111は、絶縁層110を介して前記第1の基板に接合された第2の基板(例えば低抵抗の単結晶シリコン基板)から半導体プロセスによって作成される。
【0013】
枠状支持部104は、スリット120,121,122によって、ミラー基板101と電気的に導通した領域と第1の駆動電極107,108と電気的に導通した領域に絶縁分離され、それぞれの領域には金属薄膜からなる電極パッド123,124が形成されている。また、枠状支持部111は、スリット126,127,128,129によって、第2の駆動電極112と電気的に導通した領域と第2の駆動電極113と電気的に導通した領域とに絶縁分離され、それぞれの領域に金属薄膜からなる電極パッド130,131が形成されている。
【0014】
この2段電極構造の振動ミラーは、ミラー基板101、ねじり梁102,103、枠状支持部104ならなる構造体の寸法などで決まる共振点以外でも安定に駆動することができる。その駆動方法を図3により説明する。ミラー基板101のための電極パッド123を接地する。そして、(b)に示す駆動パルスを電極パッド124を通じて第1の駆動電極107,108に印加し、(c)に示す駆動パルスを電極パッド130を通じて一方の第2の駆動電極112に印加し、(d)に示す駆動パルスを電極パッド131を通じて他方の第2の駆動電極113に印加すると、ミラー基板101は図3の(a)に示す周波数foで往復振動する。つまり、ミラー基板の可動電極部が第1の駆動電極との最近接位置を通過した直後に、可動電極部が向かってくる側の第2の駆動電極に電圧を印加して駆動のためのトルクをさらに作用させるのである。
【0015】
さて、共振点外では、寸法ばらつきや環境温度変化による振れ角変化が共振点付近と比較して著しく小さいため、安定した振れ角でミラー基板を往復振動させることができるが、効率的な駆動のためには第2の駆動電極112,113の厚さ(ミラー基板振動方向の電極寸法)を最適値に設定する必要がある。より具体的には、前記先願の明細書及び図面に詳細に説明されているように、環境温度に拘わらず一定となる最大振れ角をθmax、ミラー基板幅を2L、ミラー基板及び第1の駆動電極の厚さをTo、第2の駆動電極の厚さをTとすると、
To<T<L・sinθmax−To/2
の条件を満たすTに選ぶと、共振点外で最も大きな最大振れ角θmaxで安定な駆動が可能である。参考のために、第2の駆動電極の厚さT及び環境温度と振れ角の関係を図4に示す。
【0016】
ところで、前述のように2枚のシリコン基板を絶縁層を介して接合したシリコンウェハを用い、半導体プロセスによって2段電極構造の振動ミラーを作成する場合、第2の駆動電極の厚さを最適値に設定しようとすると、シリコンウェハの厚さは200μum以下となる。このような薄いシリコンウェハは、強度が不十分であるため製造工程での取り扱いが難しく、歩留まりが低下しやすい。また、完成した振動ミラーも全体が薄く強度が十分でないため破損しやすく、取り扱いが難しいという問題がある。
【0017】
よって、本発明の目的は、上に述べた問題点などについて改良した2段電極構造の振動ミラーと、それを用いた光書込装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と;前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合される第2の枠状支持部と、該第2の枠状支持部より前記ミラー基板の振動方向の大きさが小さい、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極とが一体的に形成されてなる第2の基板とを有し;前記第2の基板は絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第2の枠状支持部の内側端面に成膜された金属薄膜からなり、前記第2の枠状支持部の前記第1の枠状支持部と接合される側の面に、前記第2の駆動電極と電気的に導通した金属薄膜が成膜され;前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーである。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明の振動ミラーにおいて、前記第2の基板は透明材料の基板から形成されることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3の発明は、対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と、;前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合される第2の枠状支持部と、該第2の枠状支持部より前記ミラー基板の振動方向の大きさが小さい、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極とが一体的に形成されてなる第2の基板とを有し;前記第2の基板は透明材料の絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第2の枠状支持部の内側端面に成膜された金属薄膜からなり;前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーである。
【0021】
請求項4の発明は、対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と;前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合され、前記第1の枠状支持部と略同一の平面形状をとり、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極が一体的に形成されてなる第2の基板と;前記第2の基板に接合された第2の枠状支持部が一体的に形成されてなる第3の基板とを有し;前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラーである。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4の発明の振動ミラーにおいて、前記第2の基板は絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第1の駆動電極と重なる、前記第2の基板の端面に成膜された金属薄膜からなることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5の発明の振動ミラーにおいて、前記第2の基板の前記第1の枠状支持部と接合されない側の面に、前記第2の駆動電極と電気的に導通した金属薄膜が成膜されたことを特徴とするものである。
【0024】
請求項7の発明は、請求項5の発明の振動ミラーにおいて、前記第2の基板は透明材料の基板から形成されることを特徴とするものである。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項の発明の振動ミラーの前記ミラー基板の振動空間を減圧状態に封止する封止手段を有することを特徴とする振動ミラーである。
【0026】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項の発明の振動ミラーと、該振動ミラーのミラー基板上のミラー面に光ビームを入射させる手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを被走査面に結像させる手段とを有することを特徴とする光書込装置である。
【0027】
請求項10の発明は、像担持体と、この像担持体を被走査面として記録信号により変調された光ビームで走査することにより前記像担持体に静電潜像を形成する請求項9の発明の光書込装置と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以上に述べた本発明の実施の形態について図面を参照し詳細に説明する。
【0029】
[実施例1]
本発明の振動ミラーの一実施例の構成を図5に示す。図5の(a)は振動ミラーのミラー面側から見た概略平面図、(b)は振動ミラーのB−B’線概略断面図、(c)は振動ミラーのミラー面と反対側から見た概略平面図である。
【0030】
図5において、200は第1の基板であり、これはミラー基板201、同軸上にある2本のねじり梁202,203、枠状支持部204からなり、ミラー基板201はその対向する2つの端部の中央部をねじり梁202,203を介して枠状支持部204に支持されている。ミラー基板201は、ねじり梁202,203をねじり回転軸として往復振動可能である。ミラー基板201のねじり梁202,203に支持されない対向した2つの端部には櫛歯状電極部(可動電極)206,207が形成されている。枠状支持部204には、櫛歯状電極部206,207と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極208,209が形成されている。このような第1の基板200は、高精度の微細加工が可能で、弾性体として使用するうえで適度な剛性をもち、かつ、電極として使用可能な低抵抗の単結晶シリコン基板を、酸化膜をエッチングマスクとしてSF6ガスを用いた高密度プラズマエッチングにより貫通エッチングすることによって一体成形されている。
【0031】
ミラー基板201の一面には、当該振動ミラーで使用される光に対して十分な反射率をもつ金属薄膜からなるミラー面205が形成されている。なお、ミラー面を反対の面に形成することも可能である。
【0032】
第1の基板200に形成された各部の寸法は、必要とする共振周波数が得られるように設計されている。枠状支持部204は、スリット210,211,212により、駆動電極208,209と電気的に導通した領域とミラー基板201と電気的に導通した領域とに絶縁分離されている。絶縁分離された各領域には、表面の酸化膜をマスクエッチングで部分的に除去して低抵抗シリコン面を露出させ、スパッタ法でAl薄膜をマスク成膜することにより電極パッド212,213が形成されている。
【0033】
第1の基板200のミラー面側に、絶縁層220を介して、第2の基板221が接合されている。この第2の基板221は、第1の基板200の枠状支持部204と重なる枠状支持部222と、その内側に段差を介して形成された第2の駆動電極223,224からなる。第2の駆動電極223,224も、第1の駆動電極208,209と同一の平面形状の櫛歯状に形成され、第1の駆動電極208,209と重なる位置関係にある。第2の駆動電極223,224の厚さは、図4に関連して説明したような振れ角を有効に拡大できるような最適条件を満たすように選ばれているが、枠状支持部222の厚さは支持部として十分な強度を得られる厚さ(例えば標準的なシリコンウエハの厚さ)に設定されている。このような第2の基板221は、高精度の微細加工が可能で、電極として使用可能な低抵抗の単結晶シリコン基板をエッチングすることにより一体成形されている。
【0034】
第2の基板221は、スリット225,226,227,228により、駆動電極223と電気的に導通した領域と駆動電極224と電気的に導通した領域が絶縁分離され、その各領域には、表面の酸化膜をマスクエッチングで部分的に除去して低抵抗シリコン面を露出させ、スパッタ法でAl薄膜をマスク成膜することにより電極パッド229,230が形成されている。
【0035】
なお、各電極パッドの材料はAlに限定されるものではなく、十分な密着性とシリコンとの導通が得られればAu等の他の材料も選択可能であり、また、その成膜方法は真空蒸着法、イオンプレーティング法等の他の方法でもよい。
【0036】
この実施例の振動ミラーは、図3により説明した先願に係る発明の振動ミラーと同様の駆動方法によって駆動することができる。すなわち、ミラー基板の電極パッド212を接地し、図3の(b)に示した駆動パルスを第1の駆動電極の電極パッド213に印加し、図3の(c),(d)に示した駆動パルスを第2の駆動電極の電極パッド223,224にそれぞれ印加することにより、図3の(a)に示すようにミラー基板を往復振動させることができる。そして、第2の電極223,224を前述の最適条件を満たすような厚さとしているため、安定した大きな振れ角を得られる。
【0037】
また、第2の基板221の枠状支持部222は十分な厚さを持つため、完成した振動ミラーの強度を十分に高めることができ、また、次に述べるような製造工程において強度の十分な厚さのシリコンウェハを用いることができるため、製造時の強度不足による歩留まり低下を回避できる。
【0038】
次に、この実施例の振動ミラーの製造方法の一例について説明する。図6は、工程の説明のための概略断面図である。
【0039】
工程a: 板厚525μmの2枚の低抵抗シリコン基板291,292を厚さ5000 の熱酸化膜293を介して直接接合したシリコンウェハを用意し、振動ミラーの第1の基板を形成するためのシリコン基板292を板厚60μmまで研削、研磨する。この段階でも、シリコンウェハの板厚は約585μmであるため、その取り扱いは用意である。このシリコンウェハのシリコン基板292側にミラー基板、ねじり梁を分離するため、界面の酸化膜まで貫通エッチングする。
【0040】
工程b: 次に、振動ミラーの第2の基板を形成するためのシリコン基板291の底面に酸化膜294を熱酸化により形成し(工程aの説明図参照)、これをエッチングマスクとしてシリコン基板291を1段エッチングする。
【0041】
工程c: 得られた段差部分に、エッチングマスクとしての酸化膜295を形成するため、熱酸化する。
【0042】
工程d: 次に、段差底面の酸化膜の一部をレジストマスクでパターニングし、エッチング除去する。この際の段差底面のフォトリソグラフィ工程では、レジストのスプレー塗布装置と、両面アライメントが可能な長焦点型の露光装置を用いる。
【0043】
工程e: この段差底面の酸化膜をマスクとして、再び高密度プラズマエッチングでシリコン基板291の段差底面を、界面の酸化膜293に達するまでエッチングする。このとき、界面の酸化膜293はシリコンに対して大きなエッチング選択比を持っているため、酸化膜293に達したときにエッチングが停止する。
【0044】
工程f: 界面の酸化膜293をバッファーフッ酸でエッチング除去する。
【0045】
工程g: 第1の基板側の電極パッドとしての金属薄膜296を形成する。
【0046】
工程h: メタルマスクを用い、ミラー面及び第2の基板側の電極パッドとしての金属薄膜297を形成する。
【0047】
[実施例2]
本発明の振動ミラーの他の実施例の構成を図7に示す。図7は図5のB−B’線に対応する切断線での本実施例振動ミラーの概略断面図である。図7において、図5と同一の参照符号は同一部分を示す。
【0048】
この振動ミラーの第1の基板200は、前記実施例1のものと同一の構成であり、低抵抗の単結晶シリコン基板から一体形成されたのものである。その枠状支持部204にはミラー基板201と第1の駆動電極208,209のための電極パッド212,213が形成され、ミラー基板201の一面にはミラー面205が形成されている。ミラー面を反対の面に形成することも可能である。
【0049】
この実施例の振動ミラーにおいては、第1の基板200のミラー面側に絶縁層220を介して接合される第2の基板221としてパイレックスガラス基板が用いられ、前記実施例1と同様の形状に枠状支持部222が加工される。ただし、第2の基板221が絶縁性材質であることから、枠状支持部222の内側の櫛歯状端面部は、そのままでは電極として利用することができないため、当該櫛歯状端面部に金属薄膜を成膜することによって第2の駆動電極223,224が形成されている。この金属薄膜は枠状支持部222の表面まで連続した形で成膜されることにより、第2の駆動電極223,224と電気的に接続した電極パッド229,230が枠状支持部222の表面に形成される。なお、金属薄膜としては例えばAlの薄膜が用いられるが、Au等の薄膜を選択することも可能であり、また、成膜方法はスパッチ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を利用できる。
【0050】
第2の駆動電極223,224のミラー基板振動方向の寸法(電極厚さ)は、前記実施例1と同様に振れ角を拡大するための最適条件を満たすように決められ、また枠状支持部222の厚さは支持部として十分な強度を持つ厚さ(例えば標準的なシリコンウェハの厚さ)に決められている。したがって、この実施例の振動ミラーは、前記実施例1のものと同様の駆動方法によって大きな振れ角で安定に駆動することができるとともに、完成状態での強度を十分に高めることができる。
【0051】
また、この実施例の振動ミラーは、絶縁層を介してシリコン基板とパイレックスガラス基板を接合したものを用意し、図6により説明した工程と同様の工程により製造することができる。第2の基板221は十分な厚さを有するため、製造工程において強度不足による歩留まり低下を回避できる。さらに、第2の基板221は透明であり、第2の基板221を通して第1の基板200の貫通部を直接確認することができるため、第2の基板221の加工時に特殊な製造装置を使うことなく容易に精度の高い振動ミラーを作製可能である。
【0052】
[実施例3]
本発明の振動ミラーの他の実施例の構成を図8に示す。図8は図5のB−B’線に対応する切断線での本実施例振動ミラーの概略断面図である。図8において、図5と同一の参照符号は同一部分を示す。
【0053】
この振動ミラーの第1の基板200は、前記実施例1のものと同一の構成であり、低抵抗の単結晶シリコン基板から一体形成されたのものである。その枠状支持部204にはミラー基板201と第1の駆動電極208,209のための電極パッド212,213が形成され、ミラー基板201の一面にはミラー面205が形成されている。ミラー面を反対の面に形成することも可能である。
【0054】
この実施例の振動ミラーにおいては、加工済みの第1の基板200のミラー面側に、加工済みの第2の基板300が絶縁層220を介して接合される。
【0055】
この第2の基板300は、少なくとも表面が絶縁性の基板、例えば、表面に酸化膜が成膜されたシリコン基板又はパイレックスガラス基板から形成される。第2の基板300は、第1の基板200の枠状支持部204と重なる枠状支持部301からなり、その内側端面には第1の固定電極208,209と重なり合う櫛歯状部を有する。この櫛歯状部に金属薄膜が成膜されることにより、第2の駆動電極302,303が形成される。第2の基板300の第1の基板200と接合される側の面には第2の駆動電極302,303と電気的に接続した金属薄膜が予め成膜されている。第1の基板200の外側にある絶縁層220は部分的にエッチング除去され、この部分から露出した第2の基板300の接合面上の金属薄膜が第2の駆動電極302,303のための電極パッド304,305とされる。上記金属薄膜としては例えばAlの薄膜が用いられるが、Au等の薄膜を選択することも可能であり、また、成膜方法はスパッチ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を利用できる。
【0056】
第2の駆動電極302,303のミラー基板振動方向の寸法(電極厚さ)は、前記実施例1と同様に振れ角を拡大するための最適条件を満たすように決められ、また枠状支持部301の厚さは支持部として十分な強度を得られるような厚さ(例えば標準的なシリコンウェハの厚さ)に決められている。したがって、この実施例の振動ミラーは、前記実施例1のものと同様の駆動方法によって大きな振れ角で安定に駆動することができるとともに、完成状態での強度を十分に高めることができる。また、第2の基板300は、加工後に第1の基板200に後付けされるため、その材質及設計の自由度が大きい。また、第2の駆動電極302,303のミラー基板振動方向の大きさは、成膜幅の調整のみによって精密に制御可能である。なお、第2の駆動電極302,303の電極パッド304,305が他の電極パッドと同じ面側に設けられるが、このことは振動ミラーを実装する際に好都合な場合が多い。
【0057】
[実施例4]
本発明の振動ミラーの他の実施例の構成を図9に示す。図9は図5のB−B’線に対応する切断線での本実施例振動ミラーの概略断面図である。図9において、図5と同一の参照符号は同一部分を示す。
【0058】
この振動ミラーの第1の基板200は、前記実施例1のものと同一の構成であり、低抵抗の単結晶シリコン基板から一体成形されたのものである。その枠状支持部204にはミラー基板201と第1の駆動電極208,209のための電極パッド212,213が形成され、ミラー基板201の一面にはミラー面205が形成されている。ミラー面を反対の面に形成することも可能である。
【0059】
第1の基板200のミラー面側に絶縁層220を介して第2の基板400が接合されている。この第2の基板400としては低抵抗の単結晶シリコン基板が用いられ、第1の基板200の枠状支持部204と略同一の平面形状に加工され、その内側端面には第1の駆動電極208,209と重なる櫛歯状の第2の駆動電極401,402が形成されている。この第2の駆動電極401,402のミラー基板振動方向の寸法(電極厚さ)は、前述のように振れ角を拡大するための最適条件を満たすような厚さに決められている。この厚さは第2の基板400の厚さでもある。なお、第2の基板400には、図5の(a)のスリット225〜228に相当する絶縁分離のためのスリットが形成されている。
【0060】
第2の基板400には第3の基板404が接合されている。この第3の基板404は、第2の基板400より小さい平面形状の枠状支持部405を構成するものであり、例えばパイレックスガラス基板から形成される。この第3の基板404の厚さは、支持部としての十分な強度を得られる厚さに選ばれる。枠状支持部405の外側に露出する第2の基板400の表面に、第2の固定電極401,402のための電極パッド406,407としての金属薄膜が成膜されている。この金属薄膜としてはAl薄膜やAu薄膜などを用いることができる。
【0061】
この実施例の振動ミラーは、前記実施例1のものと同様の駆動方法によって大きな振れ角で安定に駆動することができるとともに、完成状態での強度を十分に高めることができる。
【0062】
また、この実施例の振動ミラーは、絶縁層を介して接合された2枚のシリコン基板の一方にパイレックスガラス基板を接合したものを用意し、図6により説明した工程と同様の工程により製造することができる。第3の基板404は支持体として十分な強度を得られる厚さであるため、製造工程において強度不足による歩留まり低下を回避できる。第3の基板505の材料としてパイレックスガラスなどの透明材料を用いると、第2の基板500の加工時に同基板を通して第1の基板200の貫通部を直接観測することができるため、特殊な製造装置を使うことなく容易に精度の高い振動ミラーを作製できる。
【0063】
なお、第3の基板404の材料はパイレックスガラスに限らず、セラミックスなど支持体として十分な強度を持つ他の材料を用いることも可能である。また、表面に酸化膜を成膜したシリコン基板を第3の基板404として用いることもできる。このように、枠状支持部405を形成するための基板404を第2の駆動電極を形成するための基板400と独立させたため、基板404の材料、形状の自由度が大きくなり、支持部としての信頼性の高い構造体を容易に作成でき、また第2の駆動電極の電極パッドの取り出しも容易になる。
【0064】
[実施例5]
本発明の振動ミラーの他の実施例の構成を図10に示す。図10は、図5のB−B’線に対応する切断線での本実施例振動ミラーの概略断面図である。図10において、図5と同一の参照符号は同一部分を示す。
【0065】
この振動ミラーの第1の基板200は、前記実施例1のものと同一の構成であり、低抵抗の単結晶シリコン基板から一体成形されたのものである。その枠状支持部204にはミラー基板201と第1の駆動電極208,209のための電極パッド212,213が形成され、ミラー基板201の一面にはミラー面205が形成されている。ミラー面を反対の面に形成することも可能である。
【0066】
第1の基板200のミラー面側に絶縁層220を介して第2の基板500が接合されている。この第2の基板500としては、パイレックスガラス基板や表面に酸化膜が成膜されたシリコン基板が用いられ、第1の基板200の枠状支持部204と略同一の平面形状に加工され、その内側端面には第1の駆動電極208,209と重なる櫛歯状部が形成されている。第2の基板500は少なくとも表面は絶縁されているので、その櫛歯状部は第2の駆動電極501,502として作用させるため、また、その電極パッド503,504の引き出しのために、第1の基板400と接合されない側の第2の基板500の表面及び櫛歯状部にわたってAlやAuなどの金属薄膜が成膜されている。この第2の基板500の厚さ、すなわち、第2の駆動電極501,502のミラー基板振動方向の寸法(電極厚さ)は、前述のように振れ角を拡大するための最適条件を満たすような厚さに決められている。
【0067】
この実施例の振動ミラーにおいては、第1の基板200及び第2の基板500からなる構造体の加工後に、第3の基板505が第2の基板500に接合される。この第3の基板505は、第2の基板500より小さい平面形状の枠状支持部506を構成するものであり、例えばガラス基板から形成される。この第3の基板505の厚さは、支持部としの十分な強度を得られる厚さに選ばれる。
【0068】
この実施例の振動ミラーは、前記実施例1のものと同様の駆動方法によって大きな振れ角で安定に駆動することができるとともに、完成状態での強度を十分に高めることができる。
【0069】
なお、第3の基板505の材料として、セラミックスなど支持体として十分な強度を持つ他の材料を用いることも可能である。また、表面に酸化膜を成膜したシリコン基板を第3の基板505として用いることもできる。このように、枠状支持部506を形成するための基板505を第2の駆動電極を形成するための基板500と独立させたため、基板505の材料、形状の自由度が大きくなり、支持部としての信頼性の高い構造体を容易に作成でき、また第2の駆動電極の電極パッドの取り出しも容易になる。
【0070】
[実施例6]
図11は、本発明の振動ミラーの他の実施例を示す概略断面図である。この実施例の振動ミラーは、前記実施例1の振動ミラーの第2の枠状支持部222にパイレックスガラスかならなるカバー基板600を陽極接合し、第1の枠状支持部204にパイレックスガラスからなるベース基板601を陽極接合し、ミラー基板201の振動空間を減圧状態に封止したものである。このような減圧封止手段を有する振動ミラーは、ミラー基板201の振動空間の空気の粘性抵抗が小さいため低い駆動電圧で大きな振れ角を安定に得ることができる。また、振動ミラー内部への塵芥などの侵入が阻止され、振動ミラーの信頼性が向上する。
【0071】
ミラー基板201、第1の駆動電極及び第2の駆動電極のための電極パッドと外部との電気的接続は、カバー基板600及びベース基板601に設けられた貫通電極602を通じてなされる。
【0072】
なお、カバー基板600及びベース基板601の接合方法は陽極接合に限らないが、パイレックスガラスとシリコンとの陽極接合は長期安定な封止が可能である。また、カバー基板600は少なくとも光を通す窓部を有するならば、樹脂やセラミックスなどの材料から形成することも可能である。ベース基板602も樹脂やセラミックスなどの材料から形成することも可能である。また、封止手段として、振動ミラー全体を収容するような封止容器を用いることもできる。
【0073】
なお、前記実施例2,3,4,5の振動ミラーを同様の封止手段により封止することも可能である。図示しないが、そのような振動ミラーも本発明に包含されることは当然である。
【0074】
[実施例7]
以上に説明した本発明の振動ミラーは、写真印刷方式のプリンタや複写機などの画像形成装置の光走査手段に好適である。図12は、本発明の振動ミラーを用いた画像形成装置の一例を説明するための概略構成図である。
【0075】
図12において、801は光書込装置、802は光書込装置801の被走査面(像担持体)を提供する感光体ドラムである。光書込装置801は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームで感光体ドラム802の表面(被走査面)を同ドラムの軸方向に走査するものである。感光体ドラム802は、矢印803方向に回転駆動され、帯電部804で帯電された表面に光書込装置801により光走査されることによって静電潜像を形成される。この静電潜像は現像部805でトナー像に顕像化され、このトナー像は転写部806で記録紙808に転写される。転写されたトナー像は定着部807によって記録紙808に定着される。感光体ドラム802の転写部806を通過した表面部分はクリーニング部809で残留トナーを除去される。なお、感光体ドラム802に代えてベルト状の感光体を用いる構成も可能であることは明らかである。また、トナー像を転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる構成とすることも可能である。
【0076】
光書込装置801は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームを発する光源部820と、前述したような本発明の振動ミラー821と、この振動ミラー821のミラー基板のミラー面に光源部820からのレーザビームを結像させるための結像光学系822と、ミラー面で反射された1本又は複数本のレーザビームを感光体ドラム802の表面(被走査面)に結像させるための走査光学系823から構成される。振動ミラー821は、その駆動のための集積回路824とともに回路基板825に実装された形で光書込装置801に組み込まれる。
【0083】
本発明の振動ミラー821は、回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、画像形成装置の省電力化に有利である。振動ミラー821のミラー基板の振動時の風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、画像形成装置の静粛性の改善に有利である。振動ミラー821は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、振動ミラー821の発熱量もわずかであるため、光書込装置801の小型化が容易であり、したがって画像形成装置の小型化に有利である。また、振動ミラーは高速の往復走査が可能であるため、画像記録速度の高速化が可能である。
【0077】
なお、記録紙808の搬送機構、感光体ドラム802の駆動機構、現像部805、転写部806などの制御手段、光源部820の駆動系などは、従来の画像形成装置と同様でよいため図中省略されている。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)ミラー基板振動方向の第2の駆動電極の大きさを適切に設定し、安定した大きな振れ角でミラー基板を往復振動させることが可能であるとともに、第2の枠状支持部に十分な厚さを持たせることにより、十分な強度を持ち破損しにくく取り扱いの容易な2段電極構造の振動ミラーを実現できる。また、振動ミラーの製造段階での強度を高め、強度不足による歩留まり低下を回避することができる。
(2)ミラー基板振動方向の第2の駆動電極の大きさを金属薄膜の成膜幅の調整のみで精密に制御可能である。また、第2の基板には、各第2の駆動電極の絶縁分離のためのスリットなどを形成する必要がなくなる。
(3)第2の駆動電極のための電極パッドを、ミラー基板や第1の駆動電極の電極パッドと同じ面側に容易に設けることが可能である。
(4)第2の基板を透明材料とすることで、第2の基板の加工時に第2の基板を通して第1の基板の貫通部を直接確認することができるため、特殊な製造装置を使うことなく精度の高い振動ミラーを製造可能である。
(5)さらに、第3の基板を用いることで、第2の駆動電極のための第2の基板と独立に第3の基板の材質、形状の自由度を大きくとれるため、支持部としての信頼性の高い構造体を容易に作成できる。
(6)ミラー基板の振動空間を減圧状態に封止することで、ミラー基板の振動時の負荷を減らし、より低い駆動電圧で大きな振れ角でミラー基板を振動させることができる。また、振動ミラー内部への塵芥などの侵入を阻止し、振動ミラーの信頼性を向上できる。
(7)本発明の振動ミラーの使用により、光書込装置又は画像形成装置の省電力化、低騒音化、小型化、高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ねじり梁支持型振動ミラーの振れ角の環境温度による変動を示すグラフである。
【図2】 本出願人の先願に係る発明の2段電極構造の振動ミラーの一例を示す概略平面図及び概略断面図である。
【図3】 2段電極構造の振動ミラーの駆動パルス波形とミラー基板の振動波形を示す波形図である。
【図4】 2段電極構造の振動ミラーにおける第2の駆動電極の厚さとミラー基板の振れ角との関係を示すグラフである。
【図5】 本発明の振動ミラーの一実施例の説明のための概略平面図及び概略断面図である。
【図6】 図5に示した振動ミラーの製造工程説明図である。
【図7】 本発明の振動ミラーの他の実施例を説明するための概略断面図である。
【図8】 本発明の振動ミラーの他の実施例の説明のための概略断面図である。
【図9】 本発明の振動ミラーの他の実施例の説明のための概略断面図である。
【図10】 本発明の振動ミラーの他の実施例の説明のための概略断面図である。
【図11】 本発明の振動ミラーの他の実施例の説明のための概略断面図である。
【図12】 本発明の光書込装置及び画像形成装置の一実施例を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
200 第1の基板
201 ミラー基板
202,203 ねじり梁
204 枠状支持部
205 ミラー面
208,209 第1の駆動電極
212,213 電極パッド
220 絶縁層
221 第2の基板
222 枠状支持部
223,224 第2の駆動電極
229,230 電極パッド
300 第2の基板
301 枠状支持部
302,303 第2の駆動電極
304,305 電極パッド
400 第2の基板
401,402 第2の駆動電極
404 第3の基板
405 枠状支持部
406,407 電極パッド
500 第2の基板
501,502 第2の駆動電極
503,504 電極パッド
505 第3の基板
506 枠状支持部
600 カバー基板
601 ベース基板
602 貫通電極
801 光書込装置
821 振動ミラー
802 感光体ドラム
805 現像部
806 転写部

Claims (10)

  1. 対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と、
    前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合される第2の枠状支持部と、該第2の枠状支持部より前記ミラー基板の振動方向の大きさが小さい、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極とが一体的に形成されてなる第2の基板とを有し、
    前記第2の基板は絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第2の枠状支持部の内側端面に成膜された金属薄膜からなり、前記第2の枠状支持部の前記第1の枠状支持部と接合される側の面に、前記第2の駆動電極と電気的に導通した金属薄膜が成膜され、
    前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラー。
  2. 前記第2の基板は透明材料の基板から形成されることを特徴とする請求項1に記載の振動ミラー。
  3. 対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と、
    前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合される第2の枠状支持部と、該第2の枠状支持部より前記ミラー基板の振動方向の大きさが小さい、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極とが一体的に形成されてなる第2の基板とを有し、
    前記第2の基板は透明材料の絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第2の枠状支持部の内側端面に成膜された金属薄膜からなり、
    前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラー。
  4. 対向する2つの端部に櫛歯状電極を備えたミラー基板と、2本のねじり梁と、該ねじり梁を介して前記ミラー基板の前記櫛歯状電極を備えない対向する2つの端部の中央部を支持し、前記ミラー基板の前記櫛歯状電極と微小ギャップを隔てて噛み合う櫛歯状の第1の駆動電極を備えた第1の枠状支持部とが一体的に形成され、前記第1の枠状支持部はスリットにより前記ミラー基板と電気的に導通した領域と前記第1の駆動電極と電気的に導通した領域とに絶縁分離されてなる第1の基板と、
    前記第1の枠状支持部に絶縁層を介して接合され、前記第1の枠状支持部と略同一の平面形状をとり、前記第1の駆動電極と重なる櫛歯状の第2の駆動電極が一体的に形成されてなる第2の基板と、
    前記第2の基板に接合された第2の枠状支持部が一体的に形成されてなる第3の基板とを有し、
    前記ミラー基板が、前記第1の駆動電極及び前記第2の駆動電極により静電的に駆動されることにより前記ねじり梁をねじり回転軸として往復振動する振動ミラー。
  5. 前記第2の基板は絶縁性の基板で形成され、前記第2の駆動電極は前記第1の駆動電極と重なる、前記第2の基板の端面に成膜された金属薄膜からなることを特徴とする請求項4に記載の振動ミラー。
  6. 前記第2の基板の前記第1の枠状支持部と接合されない側の面に、前記第2の駆動電極と電気的に導通した金属薄膜が成膜されたことを特徴とする請求項5に記載の振動ミラー。
  7. 前記第2の基板は透明材料の基板から形成されることを特徴とする請求項5に記載の振動ミラー。
  8. 前記ミラー基板の振動空間を減圧状態に封止する封止手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動ミラー。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動ミラーと、該振動ミラーのミラー基板上のミラー面に光ビームを入射させる手段と、前記ミラー面で反射された光ビームを被走査面に結像させる手段とを有することを特徴とする光書込装置。
  10. 像担持体と、この像担持体を被走査面として記録信号により変調された光ビームで走査することにより前記像担持体に静電潜像を形成する請求項9に記載の光書込装置と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
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