JP2005008516A - 圧電磁器組成物及びこれを用いた圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実質的に無鉛であって、圧電特性に優れ、更には、高い熱耐久性を有する圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 本圧電磁器組成物は、2価の金属元素又は2価に相当する金属元素の組合せをM1とし、4価の金属元素又は4価に相当する金属元素の組合せをM2として、各金属元素を組成式[(1/2)aKO−(1/2)bNaO−cM1O−(1/2)dNb−eM2O]で表した場合に、0<a<0.5、0<b<0.5、0<c<0.11、0.4<d<0.56、0<e<0.12、0.4<a+b+c≦0.5、a+b+c+d+e=1を満たし、焼結助剤成分を構成する金属元素M3を、K、Na、Nb、M1及びM2の酸化物換算合計100質量部に対し5質量部以下含有する。また、本圧電素子は、この圧電磁器組成物からなる圧電体とこれに接する一対の電極を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電磁器組成物及び圧電素子に関する。更に詳しくは、鉛を実質的に含有せず、圧電特性に優れ、更には、優れた熱耐久性を有する圧電磁器組成物及び圧電素子に関する。
本発明の圧電磁器組成物及び圧電素子は、振動検知用途、圧力検知用途、発振用途及び圧電デバイス用途等に広く用いられる。例えば、各種振動を検知するセンサ類(ノックセンサ及び燃焼圧センサ等)、振動子、アクチュエータ、フィルタ等の圧電デバイス、高電圧発生装置、マイクロ電源、各種駆動装置、位置制御装置、振動抑制装置、流体吐出装置(塗料吐出及び燃料吐出等)などに利用することができる。特に、優れた熱耐久性が要求される用途(例えば、ノックセンサ及び燃焼圧センサ等)に好適である。
従来から量産されている圧電磁器の多くは鉛を含有するが、鉛が環境に影響しないように処理するためのコストは多大であり、無鉛圧電磁器の開発が必要とされている。現在、この鉛を含有しない圧電磁器としては、(Bi0.5Na0.5)TiO系化合物及びビスマス層状化合物等が知られているが、有鉛圧電磁器に比べて圧電歪定数が低く、印加された電圧に対する歪み、又は、負荷された応力に対する発生電圧が小さいという問題がある。そのため、特に振動子等の能動素子として使用することが困難であるという課題がある。これに対して、例えば、下記特許文献1及び下記特許文献2にニオブ酸アルカリ金属系化合物を主成分とする圧電磁器が開示されている。
特公昭56−12031号公報 特開平11−228227号公報
上記特許文献1には、(KNa1−x)NbOに酸化鉄及び/又は酸化コバルトを含有する圧電性磁器が開示されているが、比誘電率が十分に得られ難いという課題がある。一方、上記特許文献2には、(K1−x−yNaLi)(Nb1−zTa)O−m1m2O(m1は2価の金属元素、m2は4価の金属元素)を主成分とする圧電磁器組成物であり、上記特許文献1に対して比誘電率が向上されたものが開示されている。しかし、これらのニオブ酸アルカリ金属系酸化物は極めて難焼結性であるために、より確実に焼結できること、また、更なる圧電歪定数及び電気機械結合係数等の圧電特性の向上が望まれている。
更に、例えば、ノックセンサや燃焼圧センサ等のように高温に曝される用途において使用可能な十分な熱耐久性を有する圧電磁器が求められている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、鉛を実質的に含有せず、焼結性に優れ、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率のいずれの特性にも優れ、且つ、優れた熱耐久性を有する圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す通りである。
(1)金属元素Kと、金属元素Naと、金属元素Nbと、2価の金属元素又は全体として2価に相当する金属元素の組合せM1と、4価の金属元素又は全体として4価に相当する金属元素の組合せM2と、焼結助剤成分を構成する金属元素M3と、非金属元素Oと、を含有し、K、Na、Nb、該M1及び該M2を、組成式[(1/2)aKO−(1/2)bNaO−cM1O−(1/2)dNb−eM2O]で表した場合に、0<a<0.5、0<b<0.5、0<c<0.11、0.4<d<0.56、0<e<0.12、0.4<a+b+c≦0.5、a+b+c+d+e=1を満たし、K、Na、Nb、該M1及び該M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部とした場合に、該M3は酸化物換算で5質量部以下であることを特徴とする圧電磁器組成物。
(2)K、Na、Nb、上記M1及び上記M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部とした場合に、上記M3は酸化物換算で0.1質量部以上である上記(1)に記載の圧電磁器組成物。
(3)上記M1は、Ca、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.50.5)のうちの少なくもいずれかである上記(1)又は(2)に記載の圧電磁器組成物。
(4)上記M2は、Ti、Zr及びSnのうちの少なくともいずれかである上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(5)上記M3は、Fe、Co、Ni、Mg、Zn及びCuのうちの少なくともいずれかである上記1乃至(4)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(6)上記M3は、CuとFe、Co、Ni、Mg及びZnのうちの少なくともいずれかとの組み合わせである上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(7)(a+b)/d≦1.00である上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(8)0<c/(a+b+c)≦0.20である上記(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(9)上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてLiを含有しており、上記組成式中のK及びNaのうちの少なくとも一方の一部が該Liに置換されている上記(1)乃至(8)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(10)上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてTaを含有しており、上記組成式中のNbの一部が該Taに置換されている上記(1)乃至(9)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(11)上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてSbを含有しており、上記組成式中のNbの一部が該Sbに置換されている上記(1)乃至(9)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(12)ペロブスカイト型結晶構造を有する上記(1)乃至(11)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
(13)上記ペロブスカイト型結晶は、斜方晶系に属するものである上記(12)に記載の圧電磁器組成物。
(14)上記(1)乃至(13)のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物からなる圧電体と、該圧電体に接する少なくとも一対の電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
本発明の圧電磁器組成物によれば、優れた熱耐久性を発揮できる。また、焼結助剤を構成する金属元素M3を含有することから焼結性に優れる一方、K、Na、Nb、上記M1及び上記M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部としたときに、このM3が酸化物換算で5質量部以下の範囲内で含有されているため、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率等の圧電特性が損なわれることなく、優れた性能をバランスよく発揮できる。更に、本発明の圧電磁器組成物は、実質的に鉛(Pb)を含有しないため、環境保護の見地からも優れるものである。尚、「実質的に鉛(Pb)を含有しない」とは、意図的に添加される金属元素Pbを含まないことをいい、極微量(通常、1000ppm未満)の鉛が不可避不純物として含まれるものは本発明においては許容されるものとする。但し、環境問題を確実に引き起こさないためには、鉛を含有しないことが好ましい。
K、Na、Nb、上記M1及び上記M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部としたときに、上記M3は酸化物換算で0.1質量部以上含まれることが好ましい。圧電磁器組成物の焼結を良好に促進することができるからである。
M1が所定の金属元素又は金属元素の組合せである場合は、より優れた圧電特性を発揮できる。
M2が所定の金属元素又は金属元素の組合せである場合は、より優れた圧電特性を発揮できる。
M3が、Fe、Co、Ni、Mg、Zn及びCuのうちの少なくともいずれかである場合、又は、M3が、CuとFe、Co、Ni、Mg及びZnのうちの少なくともいずれかとの組み合わせである場合、特に優れた焼結性が発現される。
0<c/(a+b+c)≦0.20である場合は、より優れた圧電特性が発揮される。
(a+b)/d≦1.00である場合は、より優れた焼結性が発現される。
組成式中のK及びNaのうちの少なくとも一方の一部がLiに置換されている場合は、置換されていない場合と同様に、優れた熱耐久性及び優れた焼結性は維持しながら、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率等のいずれの圧電特性においても優れた性能をバランスよく発揮できる。
組成式中のNbの一部がTaに置換されている場合は、置換されていない場合と同様に、優れた熱耐久性及び優れた焼結性は維持しながら、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率等のいずれの圧電特性においても優れた性能をバランスよく発揮できる。
組成式中のNbの一部がSbに置換されている場合は、置換されていない場合と同様に、優れた熱耐久性及び優れた焼結性は維持しながら、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率等のいずれの圧電特性においても優れた性能をバランスよく発揮できるだけでなく、分極処理時のリーク電流の発生を大幅に抑制できる。
ペロブスカイト型結晶構造を有する場合は、更に優れた圧電特性を発揮できる。特にc/(a+b+c)を、0<c/(a+b+c)≦0.20の範囲に調整するのがよい。ここで、c/(a+b+c)は、ペロブスカイト型の結晶構造のAサイトを構成する金属元素に占めるM1の比率を示すものである。金属元素M1の比率を所定の範囲に規定することで、圧電特性の向上のみならず、高温下においても使用可能な十分な熱耐久性を付与するという効果も併せて奏することができる。
また、ペロブスカイト型結晶が斜方晶系に属する場合は、特に優れた圧電特性を発揮できる。
本発明の圧電素子によると、優れた熱耐久性を発揮できる。また、電気機械結合係数、圧電歪定数及び比誘電率等の圧電特性において優れた性能をバランスよく発揮できる。
本発明について、以下詳細に説明する。
[1]圧電磁器組成物
本発明の圧電磁器組成物は、金属元素Kと、金属元素Naと、金属元素Nbと、2価の金属元素又は全体として2価に相当する金属元素の組合せM1と、4価の金属元素又は全体として4価に相当する金属元素の組合せM2と、焼結助剤成分を構成する金属元素M3と、非金属元素Oと、を含有する。
上記「M1」は、2価の金属元素又は全体として2価に相当する金属元素の組合せである。
ここで、「全体として2価に相当する金属元素の組合せ」(以下、単に「2価の組合せ」という)としては、下記(1)〜(4)を挙げることができる。
(1)(Bi0.5Na0.5)、(Bi0.50.5)及び(Bi0.5Li0.5)等の2価ではない金属元素の組合せにより、全体として2価に相当する組合せとなっているもの。
(2)(Ca0.5Sr0.5)、(Sr0.5Ba0.5)及び(Ca1/3Sr1/3Ba1/3)等の2価の金属元素の組合せにより、全体として2価に相当する組合せとなっているもの。
(3)(Bi0.5Na0.50.5Ca0.5、(Bi0.5Na0.50.5Sr0.5、(Bi0.5Na0.50.5Ba0.5、(Bi0.50.50.5Ca0.5、(Bi0.50.50.5Sr0.5及び(Bi0.50.50.5Ba0.5等の2価ではない金属元素の組合せと2価の金属元素との組合せにより、全体として2価に相当する組合せとなっているもの。
(4)(Bi0.5Na0.50.5(Ca0.5Sr0.50.5、(Bi0.5Na0.50.5(Sr0.5Ba0.50.5、(Bi0.50.50.5(Ca0.5Sr0.50.5、及び(Bi0.50.50.5(Sr0.5Ba0.50.5等の2価ではない金属元素の組合せと2価の金属元素の組合せとの更に組合せにより、全体として2価に相当する組合せとなっているもの。
これらのM1のなかでも、Ca、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.50.5)のうちの少なくともいずれかが含まれるもの{即ち、Ca、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)又は(Bi0.50.5)が含まれるもの、並びに、Ca、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.50.5)のうちの少なくとも2種以上が含まれるもの}が好ましい。これらは圧電特性を向上させる効果が高いからである。
上記「M2」は、4価の金属元素又は全体として4価に相当する金属元素の組合せである。この「4価の金属元素」としては、Ti、Zr、Sn及びHf等を挙げることができる。また、「全体として4価に相当する金属元素の組合せ」(以下、単に「4価の組合せ」という)としては、下記(1)〜(4)を挙げることができる。
(1)(Ti0.5Zr0.5)、(Ti0.5Sn0.5)、(Zr0.5Sn0.5)及び(Ti1/3Zr1/3Sn1/3)等の4価の金属元素の組合せにより、全体として4価に相当する組合せとなっているもの。
(2)(Mg0.33Ta0.67)、(Al0.5Ta0.5)、(Zn0.50.5)等の4価ではない金属元素の組合せにより、全体として4価に相当する組合せとなっているもの。
(3)Ti0.5(Mg0.33Ta0.670.5、Ti0.5(Al0.5Ta0.50.5等の4価ではない金属元素の組合せと4価の金属元素との組合せにより、全体として4価に相当する組合せとなっているもの。
(4)(Ti0.5Zr0.50.5(Mg0.33Ta0.670.5、(Ti0.5Zr0.5)(Al0.5Ta0.50.5等の4価の金属元素の組合せと4価ではない金属元素の組合せにより、全体として4価に相当する組合せとなっているもの。
これらのM2のなかでも、Ti、Zr及びSnのうちの少なくともいずれかが含まれるもの(即ち、Ti、Zr又はSnが含まれるもの、並びに、Ti、Zr及びSnのうちの少なくとも2種以上が含まれるもの)が好ましい。これらは圧電特性を向上させる効果が高いからである。
上記「M3」は、焼結助剤成分を構成する金属元素である。焼結助剤成分とはM3を含有する成分であり、例えば、M3の酸化物、炭酸塩、水酸化物等の化合物により焼結助剤を構成する。この成分を含有することにより焼結が促進され、圧電磁器組成物からなる圧電体の易焼結を実現することができる。尚、M3は、K、Na、Nb、M1として適用される金属元素及びM2として適用される金属元素を除く金属元素であって、通常、遷移金属元素であり、なかでも、Fe、Co、Ni、Mg、Zn及びCuが好ましい。これらは特に得られる圧電磁器組成物の緻密化作用に優れるためである。これらの金属元素は1種のみであってもよく、2種以上であってもよく、2種以上の場合は、Cuとの組み合わせが好ましい。このCuと組み合わせて用いる金属元素としてはNiが特に好ましい。
このM3は、K、Na、Nb、M1及びM2の各々を酸化物換算した合計質量を100質量部とした場合に、酸化物換算で5質量部以下含有される。5質量部を超えて含有されると、圧電特性を低下させる場合があるからである。この酸化物換算では、M3はM3On(nはM3の価数に応じて定まる整数又は分数)として換算する。例えば、FeはFeO3/2、CoはCoO4/3、NiはNiO、CuはCuO、ZnはZnO、MgはMgOとして換算するものとする。尚、このM3の含有量の下限値は、酸化物換算で0.1質量部とすることができ、M3が0.1質量部以上含有されておれば、圧電磁器組成物からなる圧電体の易焼結性を効果的に得るうえで好ましい。また、このM3のより好ましい範囲としては、K、Na、Nb、M1及びM2の各々を酸化物換算した合計質量を100質量部とした場合に、酸化物換算で0.1〜3.5質量部、特に0.1〜2.0質量部の範囲内とすることが好ましい。
M1、M2及びM3の組み合わせは特に限定されないが、M1として前記のようにCa、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.50.5)のうちの少なくともいずれかが含まれるものを用い、M2として前記のようにTi、Zr及びSnのうちの少なくともいずれかが含まれるものを用い、且つM3として前記のようにFe、Co、Ni、Mg、Zn及びCuのうちの少なくとも1種、特にCuとFe、Co、Ni、Mg、Znとを組み合わせて用いることが好ましい。M1、M2及びM3をこのように組み合わせて用いた場合は、圧電特性をより向上させることができる。
また、本発明の圧電磁器組成物は、上記の含有される金属元素及び金属元素の組合せのうちのK、Na、Nb、M1及びM2を、組成式[(1/2)aKO−(1/2)bNaO−cM1O−(1/2)dNb−eM2O]で表した場合に、これらの金属元素又は金属元素の組合せの酸化物換算によるモル比を表すa、b、c、d及びeは下記の所定条件を満たすことが重要である。
上記「a」は、Kの酸化物{1/2(KO)}換算によるモル比を表し、0<a<0.5(好ましくは0.2≦a≦0.25)である。aが0.5以上となると焼結性が低下する場合があり好ましくない。
上記「b」は、Naの酸化物{1/2(NaO)}換算によるモル比を表し、0<b<0.5(好ましくは0.2≦b≦0.25)である。bが0.5以上となると焼結性が低下する場合があり好ましくない。
上記「c」は、M1の酸化物(M1O)換算によるモル比を表し、0<c<0.11(好ましくは0.01≦c≦0.1)である。cが0.11以上であると圧電特性の低下が大きくなる場合があり好ましくない。
上記「d」は、Nbの酸化物{1/2(Nb)}換算によるモル比を表し、0.4<d<0.56(好ましくは0.4<d<0.5)である。dが0.4以下であると圧電特性が得られない場合があり、dが0.56以上であると圧電特性が低下し易いため好ましくない。
上記「e」は、M2の酸化物(M2O)換算によるモル比を表し、0<e<0.12(好ましくは0<e<0.1)である。eが0.12以上であると圧電特性が得られない場合があり好ましくない。
上記「a+b+c」は、K、Na及びM1の合計モル比を表し、0.4<a+b+c≦0.5である。a+b+cが0.4以下又は0.5を超えると圧電特性が大きく低下する場合があるため好ましくない。
上記「c/(a+b+c)」は、K、Na及びM1の合計モル比に対するM1のモル比の割合を表す。即ち、本発明の圧電磁器組成物を構成するK、Na、Nb、M1及びM2を(KNaM1)(NbM2)Oと表した場合に、Aサイト内に含まれる金属元素のうちのM1のモル比である。このモル比は、0<c/(a+b+c)≦0.20であることが好ましい。c/(a+b+c)が0.20以下、特に0.15以下であれば、特に優れた圧電特性を得ることができるからである。
また、本発明の圧電磁器組成物に含有される金属元素のうちのK及びNa(M1として含まれるK及びNaを含む。)は、その一部がLiにより置換されていてもよい。Liによる置換量は特に限定されないが、K及びNaの合計量に対するモル比{Li/(K+Na)}で0.3以下(好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下、通常0.001以上)である。0.3以下であれば、焼結性及び圧電特性を低下させることなく、優れた圧電磁器組成物を得ることができる。
同様に、本発明の圧電磁器組成物に含有される金属元素のうちのNbは、その一部がTaにより置換されていてもよい。Taの置換量は特に限定されないが、Nbに対するモル比(Ta/Nb)で0.4以下(より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下、通常0.001以上)である。0.4以下であれば、焼結性及び圧電特性を低下させることなく、優れた圧電磁器組成物を得ることができる。
また、本発明の圧電磁器組成物に含有される金属元素のうちのNbは、その一部がSbにより置換されていてもよい。Sbの置換量は特に限定されないが、Nbに対するモル比(Sb/Nb)で0.025以下である。0.025以下であれば、比誘電率を向上させることができ、分極処理時のリーク電流の発生を効果的に抑制できる。
本発明の圧電磁器組成物の結晶構造は特に限定されないが、通常、主としてペロブスカイト結晶構造を呈する。また、このペロブスカイト結晶は、斜方晶系、立方晶系及び正方晶系等のいずれであってもよく、また、これらのうちの2種以上が含まれ、一方が主結晶相として含まれ、他方が副結晶相等として含まれていてもよい。これらの結晶相のなかでも斜方晶系が含まれることが特に好ましい。斜方晶ペロブスカイト相が含まれる場合は、特に優れた圧電特性が得られるからである。また、ペロブスカイト相の全てが斜方晶ペロブスカイトであってもよい。
本発明の圧電磁器組成物を得る方法は特に限定されないが、通常、下記の原料調合工程と、仮焼工程と、成形工程と、焼成工程と、分極工程とを行う。
原料調合工程は、K、Na、Nb、M1、M2及びM3が含有される化合物を用い、化合物中に含まれる各金属元素のモル比が上記組成式におけるa、b、c、d及びeを満たし、且つ、K、Na、Nb、M1及びM2の各々を酸化物換算した合計質量100質量部に対して、M3が酸化物換算で5質量部以下含有されるように調合する工程である。但し、用いる化合物は、M1を2価の組合せで、M2を4価の組合せで、各々含有するものであってもよいが、上記のモル比の条件を満たすことができれば、M1及びM2の各組合せを構成する金属元素の1種のみが含有される化合物であってもよい。
この原料調合工程で用いる化合物は特に限定されず、各金属元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、硝酸塩及び有機金属化合物等が挙げられる。これらの化合物の形態も特に限定されず、粉末状であってもよく、液状であってもよい。更に、化合物中に含まれる上記各金属元素は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
仮焼工程は、原料調合工程で得られた磁器原料を仮焼する工程である。この仮焼温度、仮焼時間及び仮焼雰囲気等は特に限定されない。例えば、仮焼温度は、通常、後述する焼成温度よりも低い温度であり600〜1000℃である。また、仮焼時間は1〜10時間とすることができる。仮焼環境は、通常、大気雰囲気である。
成形工程は、仮焼工程で得られた仮焼物を成形可能な状態にした後、成形する工程である。通常、仮焼後は、仮焼物を粉砕し、更に、有機バインダ、分散剤及び溶媒等を配合して混合し、その後、乾燥させて造粒して造粒粉末を得る。その後、得られた造粒粉末を所望の形状に圧粉成形する。この際には、通常、加圧成形を行う。加圧成形の方法は特に限定されない。例えば、一軸加圧法により一次成形した後、更に、冷間等方静水圧プレス(CIP)処理等の二次成形を行うことができる。
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を焼成する工程である。この焼成工程における焼成温度、焼成時間及び焼成雰囲気等は特に限定されない。例えば、焼成温度は、通常、900〜1300℃である。また、焼成時間は1〜10時間とすることができる。焼成環境は、通常、大気雰囲気である。
分極処理工程は、焼成工程を経て得られた磁器に圧電特性を発現させる処理である。通常、焼成工程後に電極を形成した磁器を、所定の温度に保持された絶縁環境下(例えば、絶縁性の高い液体中)に置き、電極間に0.5〜5kV/mmの直流電圧を1〜30分印加することで行うことができる。また、上記の電極は、焼成工程を経て得られた磁器の上下面を平行研磨し、次いで、研磨後の上下面に、導電性ペーストを塗布し、600〜800℃で10分間保持して焼き付けて形成することができる。
[2]圧電素子
本発明の圧電素子は、本発明の圧電磁器組成物からなる圧電体と、この圧電体に接する少なくとも一対の電極とを備えるものである。
上記「圧電体」は、圧電素子内において圧電特性を発揮する部分である。この圧電体の形状及び大きさは特に限定されず、振動検知用途、圧力検知用途、発振用途及び圧電デバイス用途等に応じて適宜のものとすることが好ましい。この圧電体の形状は、平面形状が方形、円形等の平板状、中央部に厚さ方向に貫通孔が設けられた平板状、角柱状、円柱状等の種々の形状とすることができる。尚、圧電素子は、これらの形状の圧電体が複数積層されて構成されていてもよい。
上記「一対の電極」は、圧電体の表面に形成された導体層である。この電極の各々は、圧電体の一面と他面とに各々形成されていてもよく、各々の電極が圧電体の同一面に形成されていてもよい。また、電極の形状、大きさ及び材質等は特に限定されず、圧電体の大きさ及び用途等により適宜のものとすることが好ましい。この電極の形状は、平面状でもよく、特に一対の電極の各々を圧電体の同一面に形成する場合は櫛歯状とすることもできる。この電極の形成方法も特に限定されないが、通常、導電性ペーストを圧電体の所望の表面に塗布した後、焼き付けて得られる。
ここで、圧電素子の一例として、非共振型ノッキングセンサに用いられる圧電素子1を図1に示す。この圧電素子100は、円板状に形成されるとともに、中央部に貫通孔11を有する圧電体1と、この圧電体1の表裏面の各々に導電性ペーストを塗布し、焼き付けてなる導体層21、22(一対の電極)とを備える。
導電性ペーストは、ガラスフリットと、導電成分と、有機媒体とを用いて調製できる。
ガラスフリットとしては、例えば、SiO、Al、ZnO及びTiOなどを含有するものを使用することができる。このガラスフリットにより、圧電磁器組成物からなる圧電体と一対の電極との接合強度を向上させることができる。
導電成分としては、銀、金、パラジウム、白金等の貴金属からなる粉末、これらの粉末の2種以上を含む混合粉末、2種以上の貴金属の合金からなる粉末等を使用することができる。その他、銅、ニッケル等からなる粉末、又はこれらの混合粉末、及びこれらの金属の合金からなる粉末等を用いることもできる。この導電成分としては、銀、パラジウム及び銀−パラジウム合金の各々の粉末が特に好ましい。導電粉末の平均粒径は20μm以下(より好ましくは1〜5μm)であることが好ましい。20μm以下であることによりスクリーン印刷法を用いて未焼成電極を形成できる。この導電成分は、通常、導電性ペーストに含まれる固形分の70〜99質量%となるように配合する。
有機媒体としては、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類等のこの種のペーストの調製に一般に用いられるものを使用することができる。この有機媒体は、導電性ペーストを100質量%とした場合に、通常、10〜40質量%程度配合される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]圧電体の作製(表1に示す実験例1〜20について)
市販のKCO粉末、NaCO粉末、CaCO粉末、SrCO粉末、BaCO粉末、Bi粉末、Nb粉末、及び、TiO粉末の各々を用い、前記組成式におけるa、b、c、d及びeの各々が表1の量比となるように秤量した。更に、市販のFe粉末、Co粉末、及び、CuO粉末の各々を用い、K、Na、Nb、M1及びM2の各々の酸化物換算における合計質量に対するM3の酸化物換算における質量が表1に示すα部となるように秤量した。これらの粉末にエタノールを加えてボールミルにて15時間湿式混合してスラリーを得た。その後、スラリーを乾燥して得られた混合粉末を大気雰囲気下600〜1000℃で1〜10時間仮焼して仮焼物とした。次いで、この仮焼物をボールミルにて、分散剤、バインダ及びエタノールを加えて粉砕・混合してスラリーとした。その後、このスラリーを乾燥し、造粒し、圧力20MPaで一軸プレスを行い、円板状(直径20mm、厚さ2mm)及び円柱状(直径3mm、高さ8mm)の2種の形状に成形した。
その後、圧力150MPaでCIP処理を行い、得られたCIPプレス体を大気雰囲気下900〜1300℃で1〜10時間保持して焼成した。
この結果、M3を含有させたものは全て焼結できたが、M3を含有させなかった実験例1〜3、12及び13では焼結できなかった。
Figure 2005008516
尚、実験例1〜20では(a+b)/dは全て1.00であるため、表1には(a+b)/dの値は記載しなかった。また、表1中、実験例の欄に付した*印は比較品であることを意味する。更に、a〜e及びαの各欄に付した*印は各値が本発明の範囲から外れることを意味する。
[2]圧電体の作製(表2に示す実験例21〜39について)
市販のKCO粉末、NaCO粉末、CaCO粉末、SrCO粉末、BaCO粉末、Nb粉末、及びTiO粉末の各々を用い、前記組成式におけるa、b、c、d及びeの各々が表2の量比となるように秤量した。
尚、表2に示す実験例21、24、26、27及び30については、圧電磁器組成物の組成式を[(1/2)aKO−(1/2)bNaO−cM1O−(1/2)dNb−eM2O]で表したときに、Nbの一部がSbに置換されるように、Sb粉末を用い、d’(Sb)が表2の量比となるように秤量した[表2におけるdの量比は、d’(Sb)とNb粉末の量比を含めた最終的な量比を示している。]。また、表2に示す実験例31については、圧電磁器組成物の組成式を上述のとおり表したときに、Nbの一部がTaに置換されるように、Ta粉末を用い、d’(Ta)が表2の量比となるように秤量した[表2におけるdの量比は、d’(Ta)とNb粉末の量比を含めた最終的な量比を示している。]。更に、表2に示す実験例37〜39については、圧電磁器組成物の組成式を上述のとおり表したときに、K又はNaの一部がLiに置換されるように、LiCO粉末を用い、表2の量比となるように秤量した(LiはK又はNaの一部に置換するものであるが、本実施例ではLiの全てがNaに置換するものとして、bの量比をLiの量比を含めたものとして示している。即ち、表2におけるbの量比は、Liの量比とNaCO粉末の量比を含めた最終的な量比を示している。)]。
次いで、市販のCo粉末、MgO粉末、NiO粉末、ZnO粉末、及びCuO粉末の各々を用い、K、Na、Nb、M1及びM2の各々の酸化物換算における合計質量に対するM3の酸化物換算における質量が表2に示すα部となるように秤量した。これらの粉末にエタノールを加えてボールミルにて15時間湿式混合してスラリーを得た。その後、スラリーを乾燥して得られた混合粉末を大気雰囲気下600〜1000℃で1〜10時間仮焼して仮焼物とした。次いで、この仮焼物をボールミルにて、分散剤、バインダ及びエタノールを加えて粉砕・混合してスラリーとした。その後、このスラリーを乾燥し、造粒し、圧力20MPaで一軸プレスを行い、円板状(直径20mm、厚さ2mm)及び円柱状(直径3mm、高さ8mm)の2種の形状に成形した。
その後、圧力150MPaでCIP処理を行い、得られたCIPプレス体を大気雰囲気下900〜1300℃で1〜10時間保持して焼成した。
実験例21〜39については全てM3を含有させたことから、全て焼結できた。
Figure 2005008516
表2中、実験例の欄に付した*印は比較品であることを意味する。また、αの欄に付した*印は各値が本発明の範囲から外れることを意味する。
[3]圧電素子の作製(電極の形成)
上記で焼結できた表1及び表2に示す実験例の各圧電体(円板状及び円柱状)の上下面を平行研磨した。次いで、研磨後の上下面に、SiO、Al、ZnO及びTiOを含むガラスフリット、銀粉末及び有機媒体を用いて調製した導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布し、600〜800℃で10分間焼き付けて電極を形成した。電極が形成された焼結体を20〜200℃に保温した絶縁オイル(シリコーンオイル)に浸漬し、0.5〜5kV/mmの直流電流を1〜30分間印加して分極処理して圧電素子を得た。
[4]圧電特性の測定
EMAS6000シリーズに従い、上記[1]で得られた圧電体を用い、上記[3]で作製された各圧電素子の圧電特性を測定し、表3に示した。表3における各特性は以下の通りである。
ε33 /ε:比誘電率
:加熱前の電気機械結合係数(円板状素子の拡がり振動モード)
*:加熱後の電気機械結合係数(円板状素子の拡がり振動モード)
Δk:k劣化率{(k−k*)/k×100、単位:%}
33:加熱前の電気機械結合係数(円柱状素子の縦振動モード)
33*:加熱後の電気機械結合係数(円柱状素子の縦振動モード)
Δk33:k33劣化率{(k33−k33*)/k33×100、単位:%}
33:加熱前の圧電歪定数(単位:pC/N)
33*:加熱後の圧電歪定数(単位:pC/N)
Δd33:d33劣化率{(d33−d33*)/d33×100、単位:%}
また、EMAS6000シリーズに従い、上記[2]で得られた圧電体を用い、上記[3]で作製された各圧電素子の圧電特性を測定し、表4に示した。表4における各特性は上記した10種の特性のうち、特に重要な特性ともいえるε33 /ε、k、d33の3種について測定したものである。
これらのうち比誘電率は、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、型式「HP4194A」)を用い、1kHzにおける静電容量の値から算出した。また、電気機械結合係数は共振反共振法により求め、圧電歪定数は得られたこれらの数値から算出した。更に、「加熱後」とは、200℃で1時間保持した後の各特性であることを示す。
Figure 2005008516
表3中、実験例の欄に付した*印は比較品であることを意味する。
Figure 2005008516
表4中、実験例の欄に付した*印は比較品であることを意味する。
[3]結晶相の同定
上記[1]及び[2]で得られた各焼結体及び各焼成体の結晶相を、X線回折測定装置を用いて同定した。その結果、全ての実験例にペロブスカイト結晶が含まれることが分かった。更に、このペロブスカイト結晶が斜方晶系である場合には、表3、4中「ペロブスカイト結晶」の欄に「斜」と表記し、立方晶系である場合には「立」と表記した。
[4]結果
(1)焼結性
M3を含有するものは全て焼結できたが、M3を含有しない実験例1〜3、12及び13は焼結できなかった。即ち、実験例1〜3の結果から、M1及びM2の含有の有無に関わらず、K及びNaのモル比を変化させても、M3を含有しなければ焼結できないことが分かる。また、実験例12は実験例8に対して、実験例13は実験例10に対して各々M3が含有されない点でのみ異なっているが、M3が含有されることで焼結したことが分かる。
(2)圧電特性
M1及びM2を含有しない比較品である実験例4〜6では、比誘電率ε33 /εが250〜440と低く、また、c、d及びeが本発明の範囲外である実験例16では、圧電特性が認められなかった。更に、M3を含有させて焼結ができた圧電素子(圧電体)であっても、M3の含有量が、K、Na、Nb、M1及びM2の各々の酸化物換算における合計質量に対する酸化物換算にて5質量部を上回った実験例36では、圧電特性が認められなかった。
これに対して、本発明品である実験例7〜11、14、15、17〜35及び37から39では、比誘電率ε33 /εは590〜1535であり、特に実験例7、8、10、11、17、18、20〜32、35及び37〜39では1000以上であり、とりわけ実験例24では1535と非常に大きい値を示した。
また、本発明品である実験例7〜11、14、15、17〜35及び37〜39では、加熱前の電気機械結合係数kは0.150〜0.415であり、実験例8、9、14、17、18、20、22、25〜27、33及び38では0.300以上であり、とりわけ実験例14、26では0.400以上と非常に大きい値をしめした。同様に電気機械結合係数k33は0.274〜0.530であり、特に実験例7を除いた実験例では0.307〜0.530と大きい値を示した(実験例21〜39については、k33の評価を行っていない。)。更に、加熱前の圧電歪常数d33は50〜200pC/Nであり、実験例18、20、26及び27では150pC/Nを超え、特に実験例26では200pC/Nと非常に大きい値を示した。
(3)熱耐久性
比較品である実験例4〜6では、Δk、Δk33及びΔd33の全てにおいて低下率が30%以上と大きく、熱耐久性が低下した。
これに対して、本発明品である実験例7〜11、14、15及び17〜20では、Δk、Δk33及びΔd33の全てにおいて低下率を28%以下に抑えられた。特に実験例7を除いた(即ち、M1がCa以外であれば)実験例では24.4%以下であり、更に、実験例8〜11、14、15及び19では20%以下を達成しており、極めて優れた熱耐久性を発揮できることが分かる(実験例21〜39については、加熱後の評価を行っていない。)。
(4)結晶相
本発明品である実験例7〜11、14、15、17〜35、37〜39の結晶相は、いずれも斜方晶ペロブスカイトに帰属されることが分かった。
本発明の圧電素子の一例の斜視図である。
符号の説明
100;圧電素子、1;圧電体、11;貫通孔、21、22;導体層。

Claims (14)

  1. 金属元素Kと、
    金属元素Naと、
    金属元素Nbと、
    2価の金属元素又は全体として2価に相当する金属元素の組合せM1と、
    4価の金属元素又は全体として4価に相当する金属元素の組合せM2と、
    焼結助剤成分を構成する金属元素M3と、
    非金属元素Oと、を含有し、
    K、Na、Nb、該M1及び該M2を、
    組成式[(1/2)aKO−(1/2)bNaO−cM1O−(1/2)dNb−eM2O
    で表した場合に、
    0<a<0.5、
    0<b<0.5、
    0<c<0.11、
    0.4<d<0.56、
    0<e<0.12、
    0.4<a+b+c≦0.5、
    a+b+c+d+e=1を満たし、
    K、Na、Nb、該M1及び該M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部とした場合に、
    該M3は酸化物換算で5質量部以下であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. K、Na、Nb、上記M1及び上記M2の各々の酸化物換算における合計質量を100質量部とした場合に、上記M3は酸化物換算で0.1質量部以上である請求項1に記載の圧電磁器組成物。
  3. 上記M1は、Ca、Sr、Ba、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.50.5)のうちの少なくもいずれかである請求項1又は2に記載の圧電磁器組成物。
  4. 上記M2は、Ti、Zr及びSnのうちの少なくともいずれかである請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  5. 上記M3は、Fe、Co、Ni、Mg、Zn及びCuのうちの少なくともいずれかである請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  6. 上記M3は、CuとFe、Co、Ni、Mg及びZnのうちの少なくともいずれかとの組み合わせである請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  7. (a+b)/d≦1.00である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  8. 0<c/(a+b+c)≦0.20である請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  9. 上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてLiを含有しており、上記組成式中のK及びNaのうちの少なくとも一方の一部が該Liに置換されている請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  10. 上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてTaを含有しており、上記組成式中のNbの一部が該Taに置換されている請求項1乃至9のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  11. 上記圧電磁器組成物は、金属元素としてK、Na、Nb、上記M1、上記M2及び上記M3に加えてSbを含有しており、上記組成式中のNbの一部が該Sbに置換されている請求項1乃至9のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  12. ペロブスカイト型結晶構造を有する請求項1乃至11のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  13. 上記ペロブスカイト型結晶は、斜方晶系に属するものである請求項12に記載の圧電磁器組成物。
  14. 請求項1乃至13のうちのいずれかに記載の圧電磁器組成物からなる圧電体と、該圧電体に接する少なくとも一対の電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
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