JP2005005412A - チップ型セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

チップ型セラミック電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チップ型セラミック電子部品において、優れた量産性をもって、部品本体の外表面上に均一かつ適正な厚みのガラス層を形成できる方法を提供する。
【解決手段】部品本体2をガラス溶液に浸漬した後、ガラス溶液が付着した部品本体2を、密度が0.4〜0.8g/cmの有機質固形体とともに容器内で混合攪拌し、それによって、部品本体2の外表面上に付着したガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う。その後、部品本体2を熱処理して、ガラス溶液に含まれるガラス成分を硬化させてガラス層14を形成し、次に、部品本体2の端面6および7上に外部電極8および9を導電性ペーストの焼き付けにより形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チップ型セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、部品本体の外表面上にガラス層が形成されたチップ型セラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チップ型セラミック電子部品において、セラミックをもって構成されるチップ状の部品本体の強度を保ち、かつ、温度および湿度等の外部環境から保護して信頼性を向上させるため、部品本体の表面にガラスをコートすることが行なわれている。
【0003】
また、半田を用いてチップ型電子部品を面実装する場合、部品本体の外表面上に形成される外部電極の、半田に対する濡れ性を向上させるため、外部電極の最外層に、たとえばSnまたは半田からなるめっき膜を形成することが行なわれている。このようなめっき膜を形成する場合、めっき液がセラミックをもって構成される部品本体内に不所望にも浸入することがある。また、部品本体が半導体セラミックをもって構成される場合には、部品本体の外表面に不所望なめっき成長が生じることがある。前述したガラスコートは、このようなめっき液の浸入およびめっき成長を防止する目的で形成されることもある。
【0004】
ガラスコートを形成する一手段として、部品本体をガラス溶液に浸漬し、それによって、ガラス溶液を部品本体の外表面上に付着させ、次いで、部品本体をガラス溶液から引き上げた後、部品本体を熱処理することによりガラスを硬化させ、それによって、部品本体の外表面上にガラス層を形成するという方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ガラス溶液から部品本体を引き上げた時、ガラス溶液は、粘度が比較的低く、水のような状態であるので、部品本体からガラス溶液が垂れ、しばしば、ガラス溶液の滴が部品本体の外表面に付着した状態になっている。
【0006】
このようなガラス溶液の滴は、余剰分であるので、これが部品本体の表面に付着していると、熱処理の結果、部品本体同士がくっついたり、別の部材にくっついたりするといった問題を引き起こす。また、ガラス溶液の余剰分は、部品本体の外表面上に形成されたガラス層を必要以上に厚くし、ガラスを硬化させた時に、ガラス層において生じる応力差によって、ガラス層が割れたり、ガラス層にクラックが生じたりするという問題を引き起こすこともある。
【0007】
上述の問題を解決し得る方法として、保持プレートに部品本体の一面を固定し、保持プレートを下降させてガラス溶液中に部品本体を浸漬した後、保持プレートに衝撃を与えてガラス溶液の余剰分を振り切り、さらに、部品本体をろ紙に接触させて、ガラス溶液の余剰分を拭い去る方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平2002−217004号公報
【特許文献2】
特開平11−251120号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献2に記載の技術によれば、部品本体に付着したガラス溶液の余剰分は除去できるものの、保持プレートに部品本体を保持させているため、保持プレートに接する面にはガラス層を形成することができないという不都合がある。また、保持プレートに部品本体を保持させる工程および部品本体をろ紙に接触させる工程が比較的煩雑である。
【0010】
そこで、この発明の目的は、上述した問題を解決し得る、チップ型セラミック電子部品の製造方法、より特定的には、ガラス層の形成方法を提供しようとすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、セラミックをもって構成されるチップ状の部品本体と、部品本体の外表面の一部上に形成される外部電極と、部品本体の外表面上であって外部電極が形成されない部分上に形成されるガラス層とを備える、チップ型セラミック電子部品を製造する方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0012】
すなわち、この発明に係るチップ型セラミック電子部品の製造方法は、上記部品本体を用意する工程と、この部品本体をガラス溶液に浸漬する工程と、ガラス溶液が付着した部品本体と密度が0.4〜0.8g/cmの有機質固形体とを容器内で混合攪拌し、それによって、部品本体の外表面上に付着したガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程と、次いで、部品本体を熱処理する工程と、部品本体の外表面の一部上に上記外部電極を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0013】
この発明において、ガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程は、複数個の部品本体と複数個の有機質固形体とを容器内で混合攪拌するように実施されることが好ましい。この場合、有機質固形体は、部品本体とほぼ同等の大きさでありかつ粒子状であることが好ましい。
【0014】
有機質固形体としては、たとえば、コルク粉、コーン粉、木材、竹材および多孔質高分子材料のいずれかからなるものを用いることが好ましい。
【0015】
ガラス溶液が、Li、NaおよびKの少なくとも1種を含むアルカリガラス溶液であるとき、特に、この発明が有利に適用される。
【0016】
また、部品本体が、外部電極に電気的に接続されるべき内部電極を内部に形成しており、外部電極を形成する工程において、内部電極の端縁と外部電極とが部品本体の外表面上において電気的に接続された状態とされるとき、特に、この発明が有利に適用される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による製造方法を適用して製造されるチップ型セラミック電子部品の一例を概略的に示す断面図である。図1に示したチップ型電子部品1は、たとえば、積層コンデンサ、積層型正特性サーミスタ、積層バリスタおよび積層型負特性サーミスタ等を構成するものである。
【0018】
図1を参照して、チップ型セラミック電子部品1は、セラミックをもって構成されるチップ状の部品本体2を備えている。部品本体2は、積層された複数のセラミック層3と、セラミック層3間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の内部電極4および5を備えている。
【0019】
内部電極4および5は、たとえばAg、Pd、Ag−PdもしくはPtのような貴金属またはNiもしくはCuのような卑金属からなる粉末を導電成分として含む導電性ペーストを用いて形成される。内部電極4および5は、部品本体2の外表面にまで到達するように形成されるが、部品本体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、部品本体2の内部において交互に配置されている。
【0020】
部品本体2の外表面の各一部である端面6および7上には、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。外部電極8および9は、それぞれ、部品本体2の端面6および7上において内部電極4および5の各端縁と電気的に接続される。外部電極8および9は、たとえば、Ag、Pd、Ag−PdもしくはPtのような貴金属またはNiもしくはCuのような卑金属からなる粉末を導電成分として含む導電性ペーストを端面6および7上に付与し、これを焼き付けることによって形成される。
【0021】
外部電極8および9上には、必要に応じて、NiまたはCuなどからなる第1のめっき膜10および11がそれぞれ形成され、さらにその上には、たとえばSnまたは半田などからなる第2のめっき膜12および13がそれぞれ形成される。
【0022】
部品本体2の外表面上であって外部電極8および9が形成されない部分上には、ガラス層14が形成される。
【0023】
このようなチップ型セラミック電子部品1を製造するため、次のような工程が実施される。
【0024】
まず、部品本体2が用意される。部品本体2は、たとえば、セラミック層3となる複数枚のセラミックグリーンシートを用意し、セラミックグリーンシートの特定のものの上に、内部電極4および5となる導電性ペースト膜を形成し、導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層体を、必要に応じてカットした後、焼成することによって製造される。図1に示した部品本体2は、直方体状をなし、その稜線部分がアール面取りされているが、これは、部品本体2に対して、たとえばバレル研磨を施すことによって形成されたものである。
【0025】
上述したセラミックグリーンシートに含まれるセラミック原料粉末は、たとえば、半導体セラミック、誘電体セラミック、圧電体セラミック、磁性体セラミックおよび絶縁体セラミックのいずれのための原料粉末であってもよく、得ようとするチップ型セラミック電子部品1の機能に応じて選択される。
【0026】
たとえば、チップ型セラミック電子部品1が積層コンデンサである場合には、誘電体セラミックが用いられ、積層型正特性サーミスタ、積層バリスタおよび積層型負特性サーミスタである場合には、半導体セラミックが用いられる。一例として、積層型正特性サーミスタの場合には、半導体セラミックとしては、正の抵抗温度特性を有するチタン酸バリウム系の材料が用いられ、積層バリスタの場合には、バリスタ特性を有する酸化亜鉛系の材料が用いられ、積層型負特性サーミスタの場合には、負の抵抗温度特性を有する遷移元素系酸化物材料が用いられる。
【0027】
次に、部品本体2をガラス溶液に浸漬する工程が実施される。ここで用いられるガラス溶液は、ガラス成分が水またはアルコール等の溶媒に溶解されているものであり、その粘度は、水またはアルコールと同程度である。ガラス溶液に含まれるガラスとしては、たとえば、シリカガラス、アルカリガラス、ホウ素系ガラスなどが挙げられ、特に、Li、NaおよびKのようなアルカリ金属元素を含むアルカリガラスが好適に用いられる。また、ガラス溶液としては、たとえばアルカリガラスやホウ酸ガラスなどの市販のガラス水溶液を、水またはアルコール等で希釈したものを用いてもよい。
【0028】
次に、部品本体2を、ガラス溶液から引き上げた後、ガラス溶液が付着した状態で、有機質固形体とともに容器内で混合攪拌する工程が実施される。これによって、部品本体2の外表面上に付着したガラス溶液の余剰分が有機質固形体によって奪われる。このとき、有機質固形体によって奪われるガラス溶液は、あくまでも余剰分だけであり、少なくとも必要最低限のガラス溶液は、部品本体2の外表面上に付着した状態となっている。
【0029】
前述したように、ガラス溶液として、Li、NaおよびKの少なくとも1種を含むアルカリガラス溶液が用いられる場合、このようなアルカリガラス溶液が部品本体2内に浸入してしまうと、アルカリ金属元素によるイオン伝導が部品本体2内で生じてしまうという問題がある。しかしながら、上述のように、ガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪うようにすれば、この不所望な導通という問題を生じさせにくくすることができる。
【0030】
上述した有機質固形体の密度は、0.4〜0.8g/cmとされる。この密度が0.4g/cm未満では、ガラス溶液の余剰分を奪う作用が不十分となり、後述する熱処理工程によって得られたガラス層14が厚くなりすぎるため、ガラス層14に割れやクラックが発生しやすくなり、逆に、0.8g/cmを超えると、ガラス層14が部分的に薄くなりすぎて、部品本体2の外表面が少なくとも一部において露出するという問題を招く。このように、有機質固形体の密度に関して適正範囲が存在するのは、この密度によって、部品本体2との衝突強度が変化し、ガラス溶液の除去度合いが変わってくるためであると考えられる。
【0031】
この工程は、複数個の部品本体2と複数個の有機質固形体とを容器内で混合攪拌するように実施されることが能率的である。この場合、有機質固形体の各々は、各部品本体2とほぼ同等の大きさでありかつ粒子状であることが好ましい。有機質固形体が極端に小さいと、部品本体2に付着したままとなり、ガラス溶液の余剰分を奪う作用が不十分になる。また、逆に大きすぎると、部品本体2と混ざりにくくなる。いずれにしても、混合攪拌の作用を受けにくくなる。
【0032】
有機質固形体を構成する材料としては、たとえば、コルク粉、コーン粉、木材、竹材、発泡ゴムもしくは発泡樹脂等の多孔質高分子材料のような多孔質材料が用いられることが好ましい。このように、多孔質材料からなる有機質固形体によれば、ガラス溶液の余剰分を吸い取るようにして奪うことができる。
【0033】
なお、有機質固形体は、ガラス溶液の余剰分を単に拭き取るような状態で奪うものであってもよい。この場合には、たとえば、表面に多数の凹凸がある有機質固形体を有利に用いることができる。
【0034】
有機質固形体は、いずれの材料から構成される場合であっても、有機質であるため、その硬度はセラミックよりも基本的に低い。したがって、上述の混合攪拌工程において、部品本体2が有機質固形体によって削られるという不都合は生じない。
【0035】
次に、上述のようにしてガラス溶液の付着量が適正量とされた部品本体2は、乾燥された後、ガラス溶液に含まれるガラスを焼き付けて硬化させるため、熱処理される。なお、熱処理されるべき部品本体2の外表面上に有機質固形体の粉塵が付着していることもあるが、このような有機質固形体の粉塵は、熱処理工程において焼失し、悪影響を及ぼすことはない。この熱処理工程を終えたとき、ガラス溶液によるガラス層14が部品本体2の外表面上に形成される。
【0036】
次に、部品本体2上に外部電極8および9を形成するため、導電性ペーストが部品本体2の端面6および7上に付与され、この導電性ペーストを焼き付けることが行なわれる。
【0037】
この焼き付け工程において、部品本体2と外部電極8および9の各々との間に存在していたガラス層14を構成するガラス成分は、外部電極8および9中に拡散し、この部分でのガラス層14は実質的に存在しなくなり、外部電極8および9と内部電極4および5との間で電気的導通が確保された状態となる。
【0038】
上述のような外部電極8および9と内部電極4および5との電気的接続に関して、仮に、ガラス溶液の余剰分を除去する工程を実施しなかった場合には、部品本体2の端面6および7上で比較的厚いガラス層14が形成されてしまうことがある。このように、比較的厚いガラス層14が形成されてしまうと、外部電極8および9の形成のための焼き付け工程において、端面6および7上にあるガラス層14が実質的になくなるまで外部電極8および9中にガラス成分を拡散させることが困難となり、外部電極8および9と内部電極4および5との間で適正な電気的導通を達成することができない場合がある。したがって、この点においても、ガラス溶液の余剰分を除去することに重要な意義がある。
【0039】
なお、セラミック層3がたとえば正の抵抗温度特性を有する半導体セラミックから構成される場合、上述の導電性ペーストの焼き付け工程は、セラミック層3の再酸化工程を兼ねるようにすることができる。
【0040】
次に、必要に応じて、外部電極8および9上に、NiまたはCuなどのめっきを施し、第1のめっき膜10および11が形成され、さらに、第1のめっき膜10および11上に、Snまたは半田などのめっきを施し、第2のめっき膜12および13が形成される。
【0041】
以上のようにして、チップ型セラミック電子部品1が完成される。
【0042】
なお、外部電極8および9は、部品本体2を得るための焼成前の生の積層体の外表面上に導電性ペーストを付与し、部品本体2を得るための焼成と同時に導電性ペーストを焼き付けることによって形成されてもよい。この場合には、外部電極8および9が形成された部品本体2に対して、前述したようなガラス溶液に浸漬する工程が実施され、次いで、ガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程および部品本体2を熱処理する工程が実施されることになる。
【0043】
以下に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。この実験例では、図1に示したチップ型セラミック電子部品1の構造を有するチップ型正特性サーミスタを作製した。
【0044】
まず、部品本体2を作製した。ここで、セラミック層3は、(Ba0.997 Sm0.003 )TiO+0.0005Mnの組成を有し、内部電極4および5は、Niを含む導電性ペーストを用いて形成した。また、部品本体2は、生の状態で2.2mm×1.4mm×1.4mmの寸法を有し、部品本体2を得るための焼成工程では、H/N=3%の還元性雰囲気において、1200℃の温度で2時間焼成する条件を採用した。
【0045】
他方、25NaO−75SiOで表されるガラス成分を溶解させたアルカリガラス水溶液を用意した。
【0046】
次に、上述のアルカリガラス水溶液に、複数個の部品本体2(300g)を浸漬した。
【0047】
次に、複数個の部品本体2を、アルカリガラス水溶液から取り出した後、各部品本体2とほぼ同等の大きさ、すなわち直径が約2mmの粒子状の複数個の有機質固形体(100g)とともに、内容積500cmのポリポット内に入れ、その状態で、10分間混合攪拌した。
【0048】
ここで、有機質固形体としては、表1の試料1〜6では、「密度」の欄に示すように、種々の密度を有するものをそれぞれ用いた。
【0049】
より詳細には、試料1〜3では、有機質固形体として、コルク粉を用い、特に、試料1では、コルク粉を単に粉砕したものを用い、試料2および3では、コルク粉を粉砕したものを加圧圧縮して表1に示すような密度に調整したものを用いた。
【0050】
他方、試料4〜6では、有機質固形体として、とうもろこしの芯を乾燥粉砕したコーン粉を用い、特に、試料4では、とうもろこしの芯を単に乾燥粉砕したものを用い、試料5および6では、とうもろこしの芯を乾燥粉砕したものを加圧圧縮して表1に示すような密度に調整したものを用いた。
【0051】
なお、試料7では、上記のようなポリポット中での有機質固形体による処理を施さなかった。
【0052】
次に、上述のような処理を終えた部品本体2を、100℃の温度で2時間乾燥した後、大気中において600℃の温度で熱処理した。これによって、部品本体2の外表面上にガラス層14が形成された。なお、部品本体2の外表面上に有機質固形体の粉塵が多少付着しているものもあったが、この熱処理によって、この粉塵は焼失した。
【0053】
上述の熱処理工程の結果、部品本体2同士のくっつきについて、目視観察により評価した。その結果が、表1の「部品本体同士のくっつき」の欄に示されている。
【0054】
次に、ガラス層14が形成された部品本体2の端面6および7上に、Agを含む導電性ペーストを塗布し、これを、大気中において600℃の温度で焼き付け、外部電極8および9を形成した。この焼き付け工程は、部品本体2に備えるセラミック層3の再酸化工程をも兼ねたものである。
【0055】
次に、外部電極8および9上に、Niめっきによる第1のめっき膜10および11を形成し、次いで、Snめっきによる第2のめっき膜12および13を形成することによって、試料となる積層型正特性サーミスタ1を得た。
【0056】
次に、各試料に係る積層型正特性サーミスタについて、表1に示すように、「めっき液浸入」、「ガラスのピンホール有無」および「ガラスのクラック有無」の各項目について評価した。「めっき液浸入」は、EDXによる組成分析によって評価した。また、「ガラスのピンホール有無」および「ガラスのクラック有無」は、SEM観察により求めた。
【0057】
ここで、「ガラスのピンホール有無」は、特に、用いられた有機質固形体の密度が適正であるかどうかが反映するものであり、「ガラスのクラック有無」は、特にガラス溶液の余剰分があるかどうかを示す指標となるものである。
【0058】
【表1】
Figure 2005005412
【0059】
表1からわかるように、まず、試料7では、ガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程を実施していないため、熱処理後において、部品本体同士のくっつきが生じ、また、ガラスのピンホールは発生しなかったが、ガラスのクラックが生じ、めっき液も浸入した。
【0060】
次に、試料1では、用いられた有機質固形体の密度が0.4g/cm未満の0.3g/cmであったため、ガラス溶液の余剰分を十分に除去することができなかった。そのため、熱処理による部品同士のくっつきがやや生じ、また、ガラスのピンホールは生じなかったが、ガラスのクラックが部分的に発生し、めっき液が浸入した。
【0061】
また、試料6では、用いられた有機質固形体の密度が0.8g/cmより高い0.9g/cmであったため、ガラス溶液の除去が過度に行なわれ、そのため、熱処理後の部品同士のくっつきやガラスのクラックについては発生しなかったが、ガラスのピンホールが無数に発生し、めっき液が浸入した。
【0062】
これらに対して、試料2〜5では、用いられた有機質固形体の密度が0.4〜0.8g/cmの範囲にあるため、熱処理後の部品同士のくっつきがなく、ガラスのピンホールおよびガラスのクラックがいずれも発生せず、また、めっき液も浸入しなかった。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ガラス溶液が付着した部品本体と密度が0.4〜0.8g/cmの有機質固形体とを容器内で混合攪拌し、それによって、部品本体の外表面上に付着したガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程を実施しているので、ガラス溶液の余剰分を能率的に除去することができ、その結果、均一かつ適正な厚みを有するガラス層が形成されたチップ型セラミック電子部品を、優れた量産性をもって製造することができる。
【0064】
また、ガラス溶液の余剰分を奪うための有機質固形体は、たとえ、その粉塵が部品本体に付着したままの状態となっても、後の熱処理工程において、容易に焼失し、悪影響を及ぼすことはない。また、有機質固形体は、その硬度が必ずセラミックよりも低いので、上述の混合攪拌において、部品本体が削られることもない。
【0065】
この発明において、ガラス溶液の余剰分を有機質固形体によって奪う工程を、複数個の部品本体と複数個の有機質固形体とを同時に容器内で混合攪拌するようにして実施すれば、量産性をより高めることができる。
【0066】
上述の実施態様において、用いられる有機質固形体を、部品本体とほぼ同等の大きさでありかつ粒子状のものとすれば、混合攪拌の作用を確実に発揮させることができる。
【0067】
この発明において、有機質固形体として、コルク粉、コーン粉、木材、竹材および多孔質高分子材料のいずれかからなるものを用いると、これら材料が有する多孔質であるという性質のため、ガラス溶液を吸い取ることができ、ガラス溶液の余剰分をより確実に除去することができる。
【0068】
この発明において、ガラス溶液として、Li、NaおよびKの少なくとも1種を含むアルカリガラス溶液が用いられる場合、このアルカリガラス溶液が部品本体内に浸入すると、アルカリ金属元素のイオン伝導により電気的導通状態となるという問題が生じるが、この発明によれば、ガラス溶液の余剰分が除去されるので、このような問題を生じさせにくくすることができる。したがって、ガラス溶液として、上述のようなアルカリガラス溶液が用いられるとき、この発明による効果がより意義深いものとなる。
【0069】
この発明が適用される部品本体が、外部電極に電気的に接続されるべき内部電極を内部に形成しており、外部電極が、内部電極の端縁と部品本体の外表面上において電気的に接続された状態とされる場合、ガラス層が必要以上に厚く形成されると、ガラス層を構成するガラスの拡散が外部電極へと十分に生じないことがあるため、外部電極と内部電極との間で良好な電気的導通状態を得ることができないことがある。この発明によれば、前述したように、ガラス溶液の余剰分を除去して、適正な厚みのガラス層を形成することができるので、上述のような不都合が生じにくくなる。したがって、内部電極の端縁と外部電極とが部品本体の外表面上において電気的に接続された状態とされなければならない状況において、この発明がより有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による製造方法を適用して製造されるチップ型セラミック電子部品1の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 チップ型セラミック電子部品
2 部品本体
3 セラミック層
4,5 内部電極
6,7 端面
8,9 外部電極
14 ガラス層

Claims (6)

  1. セラミックをもって構成されるチップ状の部品本体と、前記部品本体の外表面の一部上に形成される外部電極と、前記部品本体の外表面上であって前記外部電極が形成されない部分上に形成されるガラス層とを備える、チップ型セラミック電子部品を製造する方法であって、
    前記部品本体を用意する工程と、
    前記部品本体をガラス溶液に浸漬する工程と、
    前記ガラス溶液が付着した前記部品本体と密度が0.4〜0.8g/cmの有機質固形体とを容器内で混合攪拌し、それによって、前記部品本体の外表面上に付着した前記ガラス溶液の余剰分を前記有機質固形体によって奪う工程と、
    次いで、前記部品本体を熱処理する工程と、
    前記部品本体の外表面の一部上に前記外部電極を形成する工程と
    を備える、チップ型セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記ガラス溶液の余剰分を前記有機質固形体によって奪う工程は、複数個の前記部品本体と複数個の前記有機質固形体とを前記容器内で混合攪拌する工程を備える、請求項1に記載のチップ型セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記有機質固形体は、前記部品本体とほぼ同等の大きさでありかつ粒子状である、請求項2に記載のチップ型セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記有機質固形体は、コルク粉、コーン粉、木材、竹材および多孔質高分子材料のいずれかからなる、請求項1ないし3のいずれかに記載のチップ型セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記ガラス溶液は、Li、NaおよびKの少なくとも1種を含むアルカリガラス溶液である、請求項1ないし4のいずれかに記載のチップ型セラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記部品本体は、前記外部電極に電気的に接続されるべき内部電極を内部に形成しており、前記外部電極を形成する工程は、前記内部電極の端縁と前記外部電極とが前記部品本体の外表面上において電気的に接続された状態とする工程を備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
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