JP2005004839A - 基板成形用スタンパ、基板成形用ガラス原盤、光記録媒体用樹脂基板、光記録媒体及び基板成形用スタンパの製造方法。 - Google Patents

基板成形用スタンパ、基板成形用ガラス原盤、光記録媒体用樹脂基板、光記録媒体及び基板成形用スタンパの製造方法。 Download PDF

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安彦 国府田
Toshinori Sugiyama
寿紀 杉山
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Abstract

【課題】平滑な表面を有する光ディスク用基板を成形するためのスタンパ及びガラス原盤を提供し、高密度光記録媒体の記録・再生信号のノイズレベルを低減すること。
【解決手段】スタンパ100は、基体であるニッケル層101の裏面に、凸部102と溝部103及び側壁部104とを有する複数の凹凸状のプリフォーマットが形成され、特に、プリフォーマットの側壁部104の表面は、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、凸部102から溝部103の底部までの深さ(D)の20%以下の高さになるように平滑性が高められており、このスタンパ100は、樹脂コート層が形成された平滑な表面を有するガラス原盤の電鋳操作により、又は、めっき処理により形成された表面に再びめっき処理を施すことにより製造される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタンパ等に関し、より詳しくは、平滑な表面を有する光ディスク用基板を成形するためのスタンパ等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量の光情報を収納する光記録媒体の開発が進められている。例えば、光記録媒体の代表であるCDは、トラックピッチが1.6μmであり、640〜700メガバイト程度の情報を記録する事ができる。また、DVDは、トラックピッチ0.74μmで、片面単層で4.7ギガバイトの容量を有している。最近は、民生用DVD器機の出荷台数が家庭用VTRの出荷台数を抜き、光記録媒体の需要が増大している。今後、地上波デジタル放送等に対応する為、記録メディアは更なる記録密度の増大が益々要求されると予想される。
【0003】
一方、光記録媒体の高密度化とともに、光記録媒体表面に形成されたランド部又はグルーブ部の平滑性とノイズレベルとの関係も検討され、例えば、ノイズを減少し、信号対雑音比(C/N)を増大するために、光記録媒体表面の状態を表す表面パラメータである算術平均粗さ(Ra)を低減させる方法について報告されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−229586号公報
【特許文献2】
特開2002−304775号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体は、アドレス情報やクロックタイミングなどの情報を示すピット、トラッキングのためのグルーブが透明な樹脂製基板に予め形成されている。これらのピットやグルーブが形成された樹脂製基板は、ピットやグルーブに対応した凹凸状のプリフォーマットパターンが形成されたスタンパを射出成形機の金型内に装着して、樹脂を射出成形することにより製造される。従って、光記録媒体の基板表面の平滑性は、射出成形に使用されるスタンパの表面の平滑性に大きく影響されるので、通常、ガラス原盤に電解めっき法により作製したスタンパの裏面は、めっき終了後に研磨装置により研磨され、平滑性を向上させている。
【0006】
ところで、近年の光記録媒体に対する高密度化の要求に応えるべく、光記録媒体の記録密度を増大させる手法としては、例えば、記録マーク長の短縮化とともにトラックピッチを狭くする手法や、あるいは、従来、案内溝にのみ使用していたグルーブ部(あるいはランド部)にも記録マークを形成するランド・グルーブ記録方式等の手法が開発されている。
【0007】
しかし、このような記録マーク長の短縮化とともにトラックピッチが狭くなることにより、記録領域の絶対的な面積は小さくなる方向にあり、これに伴い信号強度は小さくなる。その結果、従来、めっき終了後に研磨装置により研磨されていたスタンパを使用して射出成形により製造された基板を用いた光記録媒体では、基板表面の僅かな凹凸に起因するノイズにより、C/Nの低下が無視できない程度に増大する問題が生じる。このようなC/Nの低下は、ランド・グルーブ記録方式においても顕著になり、再生信号のノイズの低減は、特に高密度光記録媒体における重要な問題である。
【0008】
本発明は、このような高密度化光記録媒体を開発する際に浮き彫りになった問題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、平滑な表面を有する光ディスク用基板を成形するためのスタンパを提供することにある。
また、本発明の目的は、平滑な表面を有するスタンパを成形するためのガラス原盤を提供することにある。
また、本発明の目的は、平滑な表面を有する光記録媒体用樹脂基板を提供することにある。
また、本発明の目的は、ノイズレベルが低減された光記録媒体を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、平滑な表面を有する光ディスク用基板を成形するためのスタンパの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明においては、スタンパの表面に形成された凹凸の側壁部の表面粗さに注目し、これを低減する構成を採用している。従来、表面状態を表す表面パラメータとして算術平均粗さ(Ra)を用いることが一般的であったが、本発明者等の検討によれば、表面パラメータとして粗さ曲線の最大高さ(Ry)と光記録媒体のノイズ特性との関係が深いことが分かった。即ち本発明が適用される光記録媒体の基板成形用スタンパは、金属製基体上に、光記録媒体の基板に所定のパターンを転写するための溝部を備え、この溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とするものである。本発明が適用される基板成形用スタンパを使用すれば、記録・再生信号のノイズが減少し、信号対雑音比(C/N)が増大する光記録媒体を成形することが可能である。また、本発明が適用される光記録媒体の基板成形用スタンパにおける金属製基体は、ニッケル層を有することが好ましい。また、溝部の深さが、15nm以上75nm以下であることが好ましい。
【0010】
次に、本発明は、基板上に塗布され、レーザカッティングにより、光記録媒体の基板に所定のパターンを形成するための溝部を有する感光性樹脂層と、この感光性樹脂層の表面及び溝部の表面を被覆する樹脂コート層と、を有し、樹脂コート層の溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体の基板成形用ガラス原盤として把握される。本発が適用される基板成形用ガラス原盤を使用すれば、記録・再生信号のノイズが減少し、信号対雑音比(C/N)が増大する光記録媒体を成形するための基板成形用スタンパの成形が可能である。
【0011】
本発明が適用される光記録媒体の基板成形用ガラス原盤において、樹脂コート層は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び感光性樹脂から選ばれる樹脂を用いる湿式製膜法により形成されることが好ましい。また、樹脂コート層の厚さが5nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、樹脂製基体上に形成されたトラッキング用のグルーブを備え、グルーブの側壁部の表面粗さ(Ry)が、グルーブの深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体用樹脂基板が提供される。
【0013】
本発明が適用される光記録媒体用樹脂基板は、グルーブの深さが、15nm以上75nm以下であることが好ましい。また、グルーブの幅が100nm以上500nm以下であり、ランドの幅が100nm以上であり500nm以下であることが好ましい。さらに、グルーブ及びランドの表面粗さ(Ry)が、5nm以下であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明によれば、所定のトラッキング用のグルーブが形成された基板と、この基板上に積層され、照射された光により情報が記録される記録層と、を有し、基板は、グルーブの側壁部の表面粗さ(Ry)が、グルーブの深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0015】
本発明が適用される光記録媒体における基板は、光透過性樹脂から形成されていることが好ましい。さらに、本発明が適用される光記録媒体における記録層に記録された情報は、ジッターが8%以下であることを特徴とするものである。
【0016】
一方、本発明は、ガラス基板上に塗布した感光性樹脂にレーザカッティングにより所定の溝部を形成する溝部形成工程と、この溝部形成工程により形成された感光性樹脂の表面及び溝部の表面に樹脂コート層を形成する樹脂コート層形成工程と、樹脂コート層形成工程により形成された樹脂コート層の表面に導電膜及びニッケル層からなる金属層を形成する金属層形成工程と、金属層形成工程により形成された金属層を樹脂コート層から剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法として捉えることができる。また、本発明が適用される光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法においては、樹脂コート層は、樹脂コート層を形成する樹脂の溶液を用いたスピンコート法により形成されることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、感光性樹脂を塗布したガラス基板に所定の凹凸形状を有するガラス原盤を形成するガラス原盤形成工程と、このガラス原盤形成工程により形成されたガラス原盤の表面に導電膜及びニッケル層を形成し、凹凸形状と逆転した形状を有するスタンパ前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程により形成されたスタンパ前駆体の表面に所定の厚さのめっき層を形成するめっき層形成工程と、を有することを特徴とする光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法として把握される。
【0018】
特に、本発明が適用される光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法においては、めっき層の表面は、凹凸形状と逆転した形状の溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本実施の形態が適用されるスタンパ、ガラス原盤、光記録媒体用樹脂基板、光記録媒体及びスタンパの製造方法について詳述する。
図1は、本実施の形態が適用されるスタンパを説明するための図である。図1には、スタンパ100の裏面の形状が示されている。スタンパ100は、基体であるニッケル層101と、このニッケル層101の裏面に、凸部102と溝部103及び側壁部104とを有する複数の凹凸状のプリフォーマットが形成されている。
【0020】
スタンパ100の裏面に、凹凸状に形成されたプリフォーマットは、凸部102の幅(W11)が、通常、100nm〜500nm、好ましくは、120nm〜350nmであり、溝部103の溝幅(W12)が、通常、100nm〜500nm、好ましくは、120nm〜350nmであり、凸部102から溝部103の底部までの深さ(D)が、通常、15nm〜180nm、好ましくは、15nm〜75nmであり、溝壁面角度(θ)が、通常、20度〜80度である形状を有している。
【0021】
本実施の形態が適用されるスタンパ100の裏面に形成されたプリフォーマットは、後述する製造方法により、極めて平滑な表面状態を有している。即ち、スタンパ100の側壁部104の表面は、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、凸部102から溝部103の底部までの深さ(D)の20%以下であり、好ましくは、15%以下の高さである。ここで、粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、例えば、原子間力顕微鏡(AMF)等により測定した粗さ曲線の基準長さ内における山頂線と谷底線との距離の絶対値の和として定義される(JIS B 0601)。尚、スタンパ100の凸部102及び溝部103の表面も、平滑な表面状態であることが好ましく、凸部102及び溝部103の表面の表面粗さは、最大高さ(Ry)が、通常、5nm以下、好ましくは、2nmである。
【0022】
従来、表面状態を表す表面パラメータとして算術平均粗さ(Ra)が用いられていたが、表面パラメータとして最大高さ(Ry)を用いてスタンパ100の裏面の表面状態を表すことにより、スタンパ100を用いて射出成形により成形された光記録媒体のノイズとの相関が強められ、ジッターを低減するために有利である。
【0023】
特に、本実施の形態においては、側壁部104の表面粗さが、凸部102から溝部103の底部までの深さ(D)との相関関係を有することに着目し、側壁部104の表面粗さは、最大高さ(Ry)が凸部102から溝部103の底部までの深さ(D)の20%以下であることを特徴としている。従来、ガラス原盤に電解めっき法により作製されたスタンパの裏面に形成された凹凸状のプリフォーマットは、凸部及び溝部の表面粗さに比較して側壁部分の表面粗さが大きく、平滑性に劣る表面状態であった。トラックピッチが狭い樹脂基板をこのようなスタンパにより成形すると、ランドとグルーブとの中間に表面状態が粗い側壁部分が存在する光記録媒体が製造される。このようなランドとグルーブとの中間領域である側壁部分は、光録媒体の記録・再生には寄与しない部分であるが、高密度化された光記録媒体においては、側壁部の表面粗さに起因して発生するノイズが、記録・再生信号に大きな影響を与える。本実施の形態が適用されるスタンパ100を使用して射出成形により製造された樹脂基板を用いた光記録媒体では、ランドとグルーブとの中間領域である側壁部分表面の僅かな凹凸に起因するノイズが大幅に低減され、その結果、記録・再生信号のジッターを低減することができる。
【0024】
次に、本実施の形態が適用されるガラス原盤について説明する。図2は、本実施の形態が適用されるガラス原盤を説明するための図である。図2には、ガラス原盤200の表面の形状が示されている。ガラス原盤200は、石英ガラス等からなるガラス基板201と、このガラス基板201の表面に、凸部202と溝部203及び側壁部204とを有する複数の凹凸形状と、この凹凸形状の表面を被覆する樹脂コート層205とを有する。凸部202の表面を被覆する樹脂コート層205の下側には、ガラス基板201上に塗布された感光性樹脂からなるフォトレジスト層206が形成されている。
【0025】
ガラス原盤200の表面に形成された凹凸形状は、凸部202の幅(W21)が、通常、90nm〜490nm、好ましくは、110nm〜340nmであり、溝部203の溝幅(W22)が、通常、90nm〜490nm、好ましくは、110nm〜340nmであり、凸部202から溝部203の底部までの深さ(D)が、通常、15nm〜180nm、好ましくは、15nm〜75nmであり、溝壁面角度(θ)が、通常、30度〜90度である形状を有している。また、この凹凸形状の表面を被覆する樹脂コート層205の厚さは、通常、5nm〜100nm、好ましくは、30nm〜60nmである。
【0026】
本実施の形態が適用されるガラス原盤200は、後述する製造方法により、フォトレジスト層206を被覆する樹脂コート層205により極めて平滑な表面状態を有している。即ち、ガラス原盤200の側壁部204の表面粗さは、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、凸部202から溝部203の底部までの深さ(D)の20%以下、好ましくは、15%以下の高さである。また、ガラス原盤200の凸部202及び溝部203の表面も、平滑な表面状態であることが好ましく、凸部202及び溝部203の表面の表面粗さは、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、通常、5nm以下、好ましくは、2nmである。
【0027】
樹脂コート層205を形成する樹脂は、フォトレジスト層206を被覆し平滑な表面を形成することができるものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂;エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、ガラス原盤200をレーザーカッティング法にて作製する際に、ガラス基板201上に塗布する感光性樹脂を使用することも可能である。感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩系、o−キノンジアジド系、ビスアジド系等が挙げられる。樹脂コート層205を形成する方法は、通常、これらの樹脂を適当な溶媒に溶解した溶液を、スピンコート、ディップコート、バーコート、スクリーン印刷等の方法により塗布する湿式製膜法が挙げられる。尚、既に形成されたフォトレジスト層206に使用されている感光性樹脂と同一の感光性樹脂を塗布すると、フォトレジスト層206が溶解してしまうので注意を要する。
【0028】
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体用基板について説明する。図3は、本実施の形態が適用される光記録媒体用基板を説明するための図である。図3に示された光記録媒体用基板300は、光透過性材料からなる樹脂基板301と、この樹脂基板301の表面に形成された、ランド部302とトラッキング用のグルーブ部303及び側壁部304とを有する複数の凹凸形状を有する。
【0029】
樹脂基板301の表面に形成された凹凸形状は、ランド部302の幅(L)が、通常、100nm〜500nm、好ましくは、120nm〜350nmであり、グルーブ部303の溝幅(G)が、通常、100nm〜500nm、好ましくは、120nm〜350nmであり、ランド部302からグルーブ部303の底部までの深さ(D)が、通常、15nm〜180nm、好ましくは、15nm〜75nmであり、溝壁面角度(θ)が、20度〜80度である形状を有している。
【0030】
本実施の形態が適用される光記録媒体用基板300に形成された凹凸形状は、極めて平滑な表面状態を有している。即ち、光記録媒体用基板300の側壁部304の表面粗さは、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、ランド部302からグルーブ部303の底部までの深さ(D)の20%以下、好ましくは、15%以下の高さである。また、ランド部302及びグルーブ部303の表面も、平滑な表面状態であることが好ましく、ランド部302及びグルーブ部303の表面の表面粗さは、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、通常、5nm以下、好ましくは、2nmである。
【0031】
光記録媒体用基板300の樹脂基板301を形成する樹脂は、光透過性の材料であれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、フェノール樹脂、ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート系樹脂は、光の透過性が高いので好ましい。
【0032】
本実施の形態が適用される光記録媒体用基板300において、側壁部304の表面が平滑であることが必要であり、側壁部304は、粗さ曲線の最大高さ(Ry)がランド部302からグルーブ部303の底部までの深さ(D)の20%以下である平滑性を有することを特徴としている。従来、光記録媒体に用いられる樹脂製の基板のランドおよびグルーブ表面は、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が5nm以下の高い平滑性を有している。しかし、ランドおよびグルーブの中間である側壁の表面の平滑性は低く、例えば、ランドトップからグルーブボトムまでの深さが65nmである従来の樹脂製の基板では、側壁の表面の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が15nm〜30nmであり、深さの23%〜46%の高さであり、また、深さが30nmである基板では、側壁の表面の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が7nm〜15nmであり、深さの23%〜50%の高さである。このように、従来の光記録媒体に用いられる樹脂製の基板の側壁は、その表面の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、ランドトップからグルーブボトムまでの深さに対して50%程度であることが、記録・再生光におけるノイズ源となっていた。本実施の形態においては、従来の光記録媒体に用いられる樹脂製の基板に比較して、側壁部304の表面の平滑性を高めることにより、記録・再生光におけるノイズを大幅に低減し、C/Nを向上させることができる。
【0033】
次に、本実施の形態が適用されるガラス原盤及びスタンパの製造方法について説明する。図5は、本実施の形態が適用されるガラス原盤及びスタンパの製造方法を説明するための図である。図5は、マスターマザー法を用いてガラス原盤510及びスタンパ500を製造する工程が示されている。図5(a)に示すように、例えば、直径200mm、厚さ6mm〜10mm程度のガラス基板501を用意し、セリウム等の研磨剤を用いてその表面を、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が5nm以下になるように研磨する。次いで、図5(b)に示すように、研磨剤を除去してガラス基板501の表面上にポジ型フォトレジスト層502を所定の厚さに塗布する。尚、予め、ガラス基板501の表面をシランカップリング剤により処理することが好ましい。
【0034】
続いて、図5(c)に示すように、フォトレジスト層502を塗布したガラス基板501をレーザカッティング装置(図示せず)に装着し、ガラス基板501に形成される案内溝及びプリピットと逆の凹凸パターンが形成されるようにレーザ光506を光変調しながら照射してフォトレジスト層502を感光する。次に、図5(d)に示すように、現像装置(図示せず)にガラス基板501を移し、ガラス基板501上に水酸化ナトリウムとリン酸からなる現像液(アルカリ水溶液)を滴下して、フォトレジスト層502の感光した部分を取り除き、更に、現像処理後、クリーンオーブン(図示せず)中でポストベークを行って、凹凸パターンを表面に形成する。そして、図5(e)に示すように、凹凸パターンが形成されたフォトレジスト層502表面に、例えば、樹脂溶液を用いてスピンコート法により所定の厚さの樹脂コート層503を形成し、平滑な表面を有するガラス原盤510が得られる。
【0035】
次に、スタンパの製造方法について説明する。図5(f)に示すように、樹脂コート層503が形成されたガラス原盤510の表面に、真空蒸着法又は無電解めっき法等により、例えば、ニッケル、Ni−P等の導電膜504を、100nm程度の所定の厚さに形成する。次いで、図5(g)に示すように、電鋳装置(図示せず)にて、ガラス原盤510を回転させながら、樹脂コート層503上に形成した導電膜504を陰極とし、ニッケル電着材料を陽極として、例えば、スルファミン酸ニッケル浴中で電気めっきを行い、300μm程度の所定の厚さのニッケル層505を導電膜504上に形成する。
【0036】
最後に、図5(h)に示すように、電気めっきを終えた後、ニッケル層505をガラス原盤510から剥離して、ガラス原盤510の凹凸パターンと逆転している凹凸パターンのプリフォーマットが表面に形成されたスタンパ500が形成される。このように、平滑な表面を有するガラス原盤510を用いて形成したスタンパ500の信号面又は表面は、平滑性が向上している。
【0037】
また、本実施の形態が適用されるスタンパは、他の態様の製造方法により製造することができる。即ち、図5(a)〜図5(d)に示した場合と同様な操作により、ポジ型レジストを塗布した石英ガラス基板をレーザーカッティング装置で露光し、レーザーにより露光された部分を除去して、ガラス基板上に凹凸パターンを作製する。続いて、この凹凸パターン上に導電膜を形成し、次に、例えば、ニッケルめっき浴中で所定の厚さになるまで電鋳を行い、ガラス基板から剥離して、ガラス基板上に形成された凹凸パターンと逆転している凹凸パターンのプリフォーマットが表面に形成されたスタンパ前駆体を成形する。
【0038】
次に、このスタンパ前駆体を電鋳用めっき浴中に浸漬し、スタンパ前駆体のプリフォーマットが形成されている面が信号面となるように、スタンパ前駆体をカソード電極に取付け、所定の条件でのプリフォーマットが形成されている面に、めっき処理を行い、所定の厚さのめっき層を形成する。めっき処理は、パルス電流を流すパルスめっき法が好ましい。パルスめっき法を用いて、微小な凹凸を有する金属表面にめっき処理を施すと、微小な凹部よりも凸部のほうに多く電流が流れやすいと考えられている。このため、電着する電流の逆方向である溶解側に電流が流れると、微小な凸部が選択的にエッチングされ、一種の電解研磨作用により表面が平滑になる傾向がある。その結果、スタンパ前駆体に形成されたプリフォーマットの側壁部が選択的にエッチングされ、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が凸部から溝部の底部までの深さの20%以下である平滑性を有するスタンパが形成される。
【0039】
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体について説明する。図4は、本実施の形態が適用される光記録媒体を説明するための図である。図4に示した光記録媒体400は、樹脂基板401と、樹脂基板401上に順に積層された、誘電体層402と、磁区拡大再生層403と、中間層404と、記録層405と、補助磁性層406と、保護層407と、ヒートシンク層408と、保護コート層409とを有する。
【0040】
樹脂基板401は、例えば、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂材料により形成され、直径120mm、厚さ0.6mmである。樹脂基板401の表面には、凸部であるランド部412と凹部であるグルーブ部413と、ランド部412及びグルーブ部413の中間領域である側壁部414とが形成され、ランド半値幅(L)0.5μm、グルーブ半値幅(G)0.5μm(G/L=1)、溝深さ(D)60nm、側壁面角度(θ)60°である形状を有している。
【0041】
本実施の形態が適用される光記録媒体400に使用される樹脂基板401は、前述したスタンパ100を用いて射出成形法により成形されることにより、極めて平滑な表面状態を有し、側壁部414の表面は、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、ランド部412からグルーブ部413の底部までの深さ(D)の20%以下であり、好ましくは、15%以下の高さである。また、ランド部412及びグルーブ部413の表面も、平滑な表面状態であることが好ましく、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、通常、5nm以下、好ましくは、2nmである表面であることが好ましい。
【0042】
誘電体層402は、例えば、厚さ60nm程度のSiN等の金属化合物の薄膜である。誘電体層402は、到達真空度8×10−5Paまで排気した高周波スパッタ装置の成膜室において、80℃で5時間真空ベークした樹脂基板401上に、SiNをスパッタして成膜される。
【0043】
磁区拡大再生層403は、例えば、厚さ20nm程度のGdFe等の希土類遷移金属合金の薄膜である。磁区拡大再生層403は、GdFeをGdFeのキュリー温度約240℃以上の補償温度においてスパッタして成膜される。
【0044】
中間層404は、例えば、膜厚10nmのTbGdFe等の希土類遷移金属合金の薄膜である。中間層404は、TbGdFe(TbとGdの比率は14%、キュリー温度:約150℃)を、室温以下の補償温度においてスパッタして成膜される。
【0045】
記録層405は、例えば、厚さ60nmのTbFeCo(キュリー温度:280℃、補償温度:室温付近)等の希土類遷移金属合金をスパッタして製膜した薄膜である。尚、磁区拡大再生層403、中間層404及び記録層405の3つの磁性層は、総て室温からキュリー温度まで垂直磁化膜である。
【0046】
補助磁性層406は、例えば、厚さ10nmのGdFeCo(キュリー温度:290℃、補償温度:室温以下)等の希土類遷移金属合金をスパッタして製膜した薄膜である。補助磁性層406を設けることにより、小さな記録磁界で正確な記録ができるようになる。
【0047】
保護層407は、例えば、厚さ20nmのSiNをスパッタして製膜した薄膜であり、ヒートシンク層408は、厚さ30nmのAlをスパッタして製膜した薄膜である。さらに、保護コート層409は、厚さ5μmの、例えば、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を塗布し、その後硬化させて形成した樹脂膜である。
【0048】
尚、本実施の形態は、2Pを用いたガラス基板に適用することができる。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を示し、本実施の形態について更に詳細に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(光記録媒体の記録マーク長に対する信号対雑音比(C/N)の評価)
記録再生テストでは、波長650nmのレーザー光と、開口数NAが0.60の対物レンズとを使用し、光パルス磁界変調記録方式を用いて、長さ0.125(1T)、1.00(8T)の孤立磁区をランドおよびグルーブ部に記録した。これをレーザ光の記録パワー4.6mW、再生パワー2.8mW、記録磁界±200Oe、線速度3.5m/s、記録符号化方式NRZI(Non Return to Zero Inverted)としてC/N(単位:dB)とジッター(Jitter)(単位:%)を測定した。
【0050】
(実施例1)
酸化セリウムを用いて、表面粗さを粗さ曲線の最大高さ(Ry)が5nm以下になるまで研磨した石英ガラス基板にポジ型レジストを60nm塗布し、この石英ガラス基板をレーザーカッティング装置で露光し、現像してレーザーにより露光された部分を除去して凹凸パターンを形成し、続いて、この凹凸パターン上に無電解めっき法により100nmのNi−Pの導電膜を形成し、さらに、スルファミン酸ニッケル浴中で電鋳を行い、300μmのニッケル層を形成し、その後、石英ガラス基板から剥離して、石英ガラス基板上に形成された凹凸パターンと逆転している凹凸パターンが形成されたスタンパ前駆体を得た。このスタンパ前駆体の裏面を研磨し、成形機に取り付ける金型の形状に合わせて寸法を加工した。尚、スルファミン酸ニッケル浴の組成及び電鋳の条件は以下のとおりである。
【0051】
スルファミン酸Ni 350g/l
ほう酸 30g/l
ラウリル硫酸Na 0.4g/l
浴温 50℃
浴pH 4.0
基板回転数 100rpm
めっき電流密度 20A/dm
陰極/対極間距離 3cm
スタンパ前駆体厚 300μm
【0052】
次に、このように得られたスタンパ前駆体を、上記と同じ組成のスルファミン酸ニッケル浴中に浸漬し、スタンパ前駆体の凹凸パターンが形成されている面が信号面となるように、スタンパ前駆体をカソード電極に取付け、所定の条件で凹凸パターンが形成されている面に、パルスめっき処理を行い、所定の厚さのめっき層を形成して、平滑な表面を有するスタンパを形成した。このように形成したスタンパの凹凸パターンは、凸部の幅が450nm、溝部の溝幅が450nm、凸部から溝部の底部までの深さが60nm、溝壁面角度が60度である形状を有している。このスタンパの凹凸形状についてAFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、凸部1.85nm、溝部1.98nm、側壁部9.43nmであった。特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの16%程度の高さであり、平滑性が向上していることが分かる。尚、パルスめっきの条件は以下のとおりである。また、金属が析出する方向の電流を析出側電流とし、スタンパ前駆体が溶解される方向の電流を溶解側電流と記した。
【0053】
めっき浴の組成 上記と同じ
周波数 1kHz
On−Time 90μSec
Off−Time 910μSec
析出側電流 30A
溶解側電流 1A
陰極/対極間距離 3cm
スタンパ前駆体厚さ 300μm
【0054】
(実施例2)
実施例1において調製したスタンパを用いて、所定のランド部及びグルーブ部を有するポリカーボネート製の樹脂基板を射出成形法により成形し、さらにこの樹脂基板を用いて、図4に示した光記録媒体400と同様の構成を有する光記録媒体を調製し、この光記録媒体について、AFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、ランド部1.96nm、グルーブ部2.06nm、ランド部とグルーブ部との中間部である側壁部10.52nmであり、特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの18%程度の高さであり、平滑性が向上していることが分かる。また、この光記録媒体の記録マーク長に対する信号対雑音比(C/N)を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 2005004839
【0056】
(比較例1)
実施例1において調製したスタンパ前駆体を用いて、所定のランド部及びグルーブ部を有するポリカーボネート製の樹脂基板を射出成形法により成形し、さらにこの樹脂基板を用いる他は、図4に示した光記録媒体400の構成と同様な構成の光記録媒体を調製し、この光記録媒体について、AFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、ランド部1.63nm、グルーブ部2.08nm、ランド部とグルーブ部との中間部である側壁部27.38nmであり、特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの46%程度の高さであり、平滑性が低いことが分かる。また、この光記録媒体の記録マーク長に対する信号対雑音比(C/N)、ジッターを測定した。結果を表1に示す。
【0057】
表1に示した結果から、ランド部とグルーブ部との中間部である側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの20%以下に調製した光記録媒体(実施例2)の1Tおよび8TにおけるC/Nが増大し、さらに、ジッターは7%未満に低下することが分かる。これに対して、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの20%を超える光記録媒体(比較例1)の場合は、C/Nが小さく、また、ジッターは10%以上であることが分かる。
【0058】
(実施例3)
石英ガラス基板の表面を、粗さ曲線の最大高さ(Ry)が5nm以下になるまで研磨し、ポジ型レジストを200nm塗布した後、レーザーカッティング装置を用いて所定のパターンを露光し、現像することにより露光部分を除去し、続いて、このガラス基板をRIE装置により、CHFガスを用いて、40sccm、5Pa、300Wの条件で約100秒エッチングした。次に、このガラス基板を苛性ソーダ槽に30分間浸漬し、ポジ型レジストを総て除去して、所定の凹凸パターンが形成されたガラス基板を調製した。
【0059】
このガラス基板に形成された凹凸パターンは、凸部の幅400nm、溝部の溝幅400nm、凸部と溝部の底面との深さ100nmの形状であり、AFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、凸部1.12nm、溝部1.21nm、側壁部50.31nmであった。凸部と溝部はガラス基板の表面であるためRyが小さく最も平滑な面であった。それに比べて側壁部は、エッチングを行った為に平滑性が低下し、凸部と溝部の底面との深さの50%程度の高さを有していた。尚、エッチング条件は以下のとおりである。
【0060】
ガス流量 40sccm
圧力 5Pa
RFパワー 300W
時間 100Sec
エッチング深さ 100nm
【0061】
次に、このガラス基板に、スピンコート法によりフォトレジスト(日本ゼオン(株)社製DVR300)を塗布し、厚さ35nmの樹脂層を有するガラス原盤を形成した。このガラス原盤について、AFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、凸部1.22nm、溝部1.46nm、側壁部7.19nmであった。特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの12%程度の高さであり、平滑性が大幅に向上していることが分かる。尚、スピンコート法における時間と回転数との関係は以下のとおりである。
【0062】
ステージ 時間(秒) 回転数(rpm)
1 20 20
2 20 50
3 30 150
4 180 500
【0063】
(実施例4)
実施例3において調製したガラス原盤を用いて、実施例1と同様な条件により、無電解NiめっきによりNi−P膜を作製し、さらに、スルファミン酸ニッケル浴中で電鋳を行いニッケル層を形成し、ガラス原盤上に形成された凹凸パターンと逆転している凹凸パターンが形成されたスタンパを調製した。このように形成したスタンパの凹凸パターンは、凸部の幅が425nm、溝部の溝幅が425nm、凸部から溝部の底部までの深さが60nm、溝壁面角度が50度である形状を有している。このスタンパの凹凸形状についてAFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、凸部1.48nm、溝部1.68nm、側壁部8.02nmであった。特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの13%程度の高さであり、平滑性が向上していることが分かる。
【0064】
(実施例5)
実施例4において調製したスタンパを用いて、所定のランド部及びグルーブ部を有するポリカーボネート製の樹脂基板を射出成形法により成形し、さらにこの樹脂基板を用いる以外は、図4に示した構成と同じ構成の光記録媒体を調製した。この光記録媒体について、AFMにより測定した粗さ曲線の最大高さ(Ry)は、ランド部1.74nm、グルーブ部1.92nm、ランド部とグルーブ部との中間部である側壁部8.84nmであり、特に、側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの15%程度の高さであり、平滑性が向上していることが分かる。また、この光記録媒体の記録マーク長に対する信号対雑音比(C/N)、ジッターを測定した。結果を表1に示す。
【0065】
表1の結果から、樹脂層を被覆して平滑性を向上させたガラス原盤を用いて形成したスタンパを使用することにより、ランド部とグルーブ部との中間部である側壁部の粗さ曲線の最大高さ(Ry)が、深さの20%以下の平滑性を有する光記録媒体(実施例5)を成形することが可能であり、この光記録媒体の1Tおよび8TにおけるC/Nが増大し、さらに、ジッターは6%未満に低下することが分かる。
【0066】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、平滑な表面を有する光ディスク用基板を成形するためのスタンパ等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態が適用されるスタンパを説明するための図である。
【図2】本実施の形態が適用されるガラス原盤を説明するための図である。
【図3】本実施の形態が適用される光記録媒体用基板を説明するための図である。
【図4】本実施の形態が適用される光記録媒体を説明するための図である。
【図5】本実施の形態が適用されるガラス原盤及びスタンパの製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
100…スタンパ、101…ニッケル層、102…凸部、103…溝部、104…側壁部、200…ガラス原盤、201…ガラス基板、202…凸部、203…溝部、204…側壁部、205…樹脂コート層、300…光記録媒体用基板、301…樹脂基板、302…ランド部、303…グルーブ部、304…側壁部、400…光記録媒体、401…樹脂基板、402…誘電体層、403…磁区拡大再生層、404…中間層、405…記録層、406…補助磁性層、407…保護層、408…ヒートシンク層、409…保護コート層、412…ランド部、413…グルーブ部、414…側壁部、500…スタンパ、501…ガラス基板、502…フォトレジスト層、503…樹脂コート層、504…導電膜、505…ニッケル層、506…レーザ光

Claims (17)

  1. 金属製基体上に、光記録媒体の基板に所定のパターンを転写するための溝部を備え、
    前記溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、当該溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体の基板成形用スタンパ。
  2. 前記金属製基体は、ニッケル層を有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の基板成形用スタンパ。
  3. 前記溝部の深さが、15nm以上75nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の基板成形用スタンパ。
  4. ガラス基板と、
    前記ガラス基板上に塗布され、レーザカッティングにより、光記録媒体の基板に所定のパターンを形成するための溝部を有する感光性樹脂層と、
    前記感光性樹脂層の表面及び前記溝部の表面を被覆する樹脂コート層と、を有し、
    前記樹脂コート層の前記溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、当該溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体の基板成形用ガラス原盤。
  5. 前記樹脂コート層は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び感光性樹脂から選ばれる樹脂を用いる湿式製膜法により形成されることを特徴とする請求項4記載の光記録媒体の基板成形用ガラス原盤。
  6. 前記樹脂コート層の厚さが5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項4記載の光記録媒体の基板成形用ガラス原盤。
  7. 樹脂製基体上に形成されたトラッキング用のグルーブを備え、
    前記グルーブの側壁部の表面粗さ(Ry)が、当該グルーブの深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体用樹脂基板。
  8. 前記グルーブの深さが、15nm以上75nm以下であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体用樹脂基板。
  9. 前記グルーブの幅が100nm以上500nm以下であり、ランドの幅が100nm以上であり500nm以下であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体用樹脂基板。
  10. 前記グルーブ及びランドの表面粗さ(Ry)が、5nm以下であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体用樹脂基板。
  11. 所定のトラッキング用のグルーブが形成された基板と、
    前記基板上に積層され、照射された光により情報が記録される記録層と、を有し、
    前記基板は、前記グルーブの側壁部の表面粗さ(Ry)が、当該グルーブの深さに対して20%以下であることを特徴とする光記録媒体。
  12. 前記基板は、光透過性樹脂から形成されていることを特徴とする請求項11記載の光記録媒体。
  13. 前記記録層に記録された前記情報は、ジッターが8%以下であることを特徴とする請求項11記載の光記録媒体。
  14. ガラス基板上に塗布した感光性樹脂にレーザカッティングにより所定の溝部を形成する溝部形成工程と、
    前記溝部形成工程により形成された前記感光性樹脂の表面及び前記溝部の表面に樹脂コート層を形成する樹脂コート層形成工程と、
    前記樹脂コート層形成工程により形成された前記樹脂コート層の表面に導電膜及びニッケル層からなる金属層を形成する金属層形成工程と、
    前記金属層形成工程により形成された前記金属層を前記樹脂コート層から剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
  15. 前記樹脂コート層は、当該樹脂コート層を形成する樹脂の溶液を用いたスピンコート法により形成されることを特徴とする請求項14記載の光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
  16. 感光性樹脂を塗布したガラス基板に所定の凹凸形状を有するガラス原盤を形成するガラス原盤形成工程と、
    前記ガラス原盤形成工程により形成された前記ガラス原盤の表面に導電膜及びニッケル層を形成し、前記凹凸形状と逆転した形状を有するスタンパ前駆体を形成する前駆体形成工程と、
    前記前駆体形成工程により形成された前記スタンパ前駆体の表面に所定の厚さのめっき層を形成するめっき層形成工程と、を有することを特徴とする光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
  17. 前記めっき層の表面は、前記凹凸形状と逆転した前記形状の溝部の側壁の表面粗さ(Ry)が、前記溝部の深さに対して20%以下であることを特徴とする請求項16記載の光記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
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