JP5465455B2 - 凹凸部材の製造方法 - Google Patents
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Description
この方法において、該磁気記録媒体に磁気転写用マスター担体を密着させた状態で転写磁界が印加されると、磁束が磁気転写用マスター担体の磁化状態に基づきパターン上の磁性層に吸収され、磁界がパターンの凹凸形状に対応し強められる。このパターン状に強められた磁界によって、磁気記録媒体の所定箇所のみが磁化される。よって、これまでは高飽和磁化を有する磁性材料を用いた磁性層を有する磁気転写用マスター担体が用いられてきた。
前記特許文献1の製造方法では、反転板形成工程が電鋳により行われているが、例えば、電鋳液としてスルファミン酸ニッケル溶液を用いると、磁性層中の鉄やコバルトなどが電鋳液に溶解してしまい、磁気転写用マスター担体における磁性層の厚みが減少し、その結果、転写特性が悪化することがあり、問題となっている。
ハードディスクドライブの記録密度を高めるためには、磁気記録媒体の高性能化、及び磁気ヘッド幅の狭小化という手法が従来より用いられてきたが、データトラック間隔を狭めることにより、隣接トラック間の磁気の影響(クロストーク)や、熱揺らぎの影響が無視できなくなり、磁気ヘッドの狭小化などによる面記録密度の向上には限界があった。
ディスクリートトラックメディアは、隣接するトラック間に非磁性のガードバンド領域を設けて個々のトラックを磁気的に分離したディスクリート構造とすることにより、隣接トラック間の磁気的干渉を低減したものである。
また、Ni層の代わりに、他の金属(Pt、Ru、Au、Cu)からなる層を堆積した場合は、被覆性を向上し、電鋳液に対する溶解を防止することができるが、基板との密着性が低く、剥離工程において皺が生じるという問題や、密着力が強すぎて密着力にパターンの強度がまけてしまい、複版のパターンが原盤側に残ってしまうという問題があった。
また、本発明は、磁気転写用マスター担体の磁性層の厚みの減少を抑制することができ、磁気転写によるノイズ成分が少なく転写特性に優れた磁気転写用マスター担体を製造することができる磁気転写用マスター担体の製造方法、及び該製造方法により製造された磁気転写用マスター担体、並びに、該磁気転写用マスター担体を用いた磁気転写方法、及び該磁気転写方法によって作製された垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、モールド構造体の被覆層の厚みの減少を抑制することができるモールド構造体を製造することができるモールド構造体の製造方法、及び該製造方法により製造されたモールド構造体を提供することを目的とする。
さらに、本発明者らは、少なくとも磁気転写用マスター担体作製用原盤の凹部に位置する磁性層の表面に、イオン化傾向が前記磁性層に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さい金属元素を含むバリア層を形成し、前記バリア層の表面に金属を電着し、マスター基材を形成することにより、磁気転写によるノイズ成分が少なく転写特性に優れた磁気転写用マスター担体を製造することができるという知見を得た。
<1> 基材の表面に、該基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する凹凸部材の製造方法であって、凹凸パターンが形成された凹凸部材作製用原盤の少なくとも凹部の表面に被覆層を形成する被覆層形成工程と、少なくとも凹凸部材作製用原盤の凹部に位置する前記被覆層の表面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、少なくとも凹部に被覆層と、バリア層とを有する凹凸部材作製用原盤の表面に金属を電着することにより、基材を形成する基材形成工程と、少なくとも凸部の表面に前記バリア層と、前記被覆層とを有する基材を凹凸部材作製用原盤から剥離する剥離工程とを含み、かつ、前記バリア層に含まれる金属元素のイオン化傾向が、前記被覆層に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする凹凸部材の製造方法である。
<2> 基材がマスター基材であり、凹凸部材が磁気転写用マスター担体であり、被覆層が磁性層である前記<1>に記載の凹凸部材の製造方法である。
<3> 被覆層形成工程において、厚みが10nm以上の磁性層を形成する前記<2>に記載の凹凸部材の製造方法である。
<4> バリア層形成工程において、厚みが4nm以上20nm以下のバリア層を形成する前記<2>から<3>のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法である。
<5> 磁性層に含まれる金属元素が、Fe、及びCoの少なくともいずれかであり、かつ、バリア層に含まれる金属元素が、Ni、Cu、Ru、Ag、Pt、及びAuの少なくともいずれかである前記<2>から<4>のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法である。
<6> 基材がモールド基材であり、凹凸部材がモールド構造体である前記<1>に記載の凹凸部材の製造方法である。
<7> バリア層形成工程において、厚みが3nm以上10nm以下のバリア層を形成する前記<6>に記載の凹凸部材の製造方法である。
<8> 被覆層に含まれる金属元素が、Niであり、かつ、バリア層に含まれる金属元素が、Cu、Ru、Pt、及びAuの少なくともいずれかである前記<6>から<7>のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法により製造されたことを特徴とする凹凸部材である。
<10> 基材の表面に、該基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する凹凸部材であって、少なくとも前記基材の凸部の表面にバリア層と、被覆層とを有し、かつ、前記バリア層に含まれる金属元素のイオン化傾向が、前記磁性層に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする凹凸部材である。
<11> 基材がマスター基材であり、凹凸部材が磁気転写用マスター担体であり、被覆層が磁性層である前記<10>に記載の凹凸部材である。
<12> 磁性層の厚みが、10nm以上である前記<11>に記載の凹凸部材である。
<13> バリア層の厚みが、4nm以上20nm以下である前記<11>から<12>のいずれかに記載の凹凸部材である。
<14> 磁性層に含まれる金属元素が、Fe、及びCoの少なくともいずれかであり、かつ、バリア層に含まれる金属元素が、Ni、Cu、Ru、Ag、Pt、及びAuの少なくともいずれかである前記<11>から<13>のいずれかに記載の凹凸部材である。
<15> 少なくともマスター基材の凸部の表面に、バリア層と、磁性層とがこの順に積層されてなる前記<11>から<14>のいずれかに記載の凹凸部材である。
<16> 基材がモールド基材であり、凹凸部材がモールド構造体である前記<10>に記載の凹凸部材である。
<17> バリア層形成工程において、厚みが3nm以上10nm以下のバリア層を形成する前記<16>に記載の凹凸部材である。
<18> 被覆層に含まれる金属元素が、Niであり、かつ、バリア層に含まれる金属元素が、Cu、Ru、Pt、及びAuの少なくともいずれかである前記<16>から<17>のいずれかに記載の凹凸部材である。
<19> 磁界を印加して、垂直磁気記録媒体を初期磁化させる初期磁化工程と、前記初期磁化された垂直磁気記録媒体に対して、前記<11>から<15>のいずれかに記載の凹凸部材を密着させる密着工程と、前記垂直磁気記録媒体と、前記凹凸部材とを密着させた状態で、前記初期磁化において印加した磁界と逆方向の磁界を印加して、前記垂直磁気記録媒体に磁気情報を転写する磁気転写工程と、を含むことを特徴とする磁気転写方法である。
<20> 前記<19>に記載の磁気転写方法を用いて作製されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体である。
凹凸部材の被覆層の厚みの減少を抑制することができる凹凸部材を製造することができる凹凸部材の製造方法、及び該製造方法により製造された凹凸部材、並びに、該凹凸部材を用いた磁気転写方法、及び該磁気転写方法によって作製された垂直磁気記録媒体を提供することができる。
また、本発明は、磁気転写用マスター担体の磁性層の厚みの減少を抑制することができ、磁気転写によるノイズ成分が少なく転写特性に優れた磁気転写用マスター担体を製造することができる磁気転写用マスター担体の製造方法、及び該製造方法により製造された磁気転写用マスター担体、並びに、該磁気転写用マスター担体を用いた磁気転写方法、及び該磁気転写方法によって作製された垂直磁気記録媒体を提供することができる。
さらに、本発明は、モールド構造体の被覆層の厚みの減少を抑制することができるモールド構造体を製造することができるモールド構造体の製造方法、及び該製造方法により製造されたモールド構造体を提供することができる。
本発明の凹凸部材の製造方法は、基材の表面に、該基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する凹凸部材の製造方法であって、被覆層形成工程と、バリア層形成工程と、基材形成工程と、剥離工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の凹凸部材は、基材の表面に、該基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する凹凸部材であって、少なくとも前記基材の凸部の表面にバリア層と、被覆層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<磁気転写用マスター担体の製造方法、及び磁気転写用マスター担体>
前記磁気転写用マスター担体の製造方法は、マスター基材の表面に、該マスター基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する磁気転写用マスター担体の製造方法であって、磁性層形成工程と、バリア層形成工程と、マスター基材形成工程と、剥離工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記磁気転写用マスター担体は、マスター基材の表面に、該マスター基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する磁気転写用マスター担体であって、少なくとも前記マスター基材の凸部の表面にバリア層と、磁性層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記磁気転写用マスター担体は、前記磁気転写用マスター担体の製造方法によって、好適に製造することができる。
前記磁性層形成工程は、凹凸パターンが形成された磁気転写用マスター担体作製用原盤の少なくとも凹部の表面に磁性層を形成する工程である。
前記凹凸パターンが形成された磁気転写用マスター担体作製用原盤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記磁気転写用マスター担体作製用原盤の製造方法の一実施形態を図1Aから図1Fに基づいて説明する。
前記アスペクト比(H/W)が、2.5を超えると、剥離不良(剥離が難しくなる)を起こすことがあり、1.5以下であると、内周での転写信号の出力不足や、アドレスエラーの増加を引き起こすおそれがある。
前記アスペクト比(H/W)の測定方法としては、例えば、FIB(SIIナノテクノロジー社製)でマスターより切片を切り出し、TEM(日立ハイテクノロジーズ社製)にて形状観察する方法が挙げられる。
前記磁性層は、前記凹凸パターンが形成された磁気転写用マスター担体作製用原盤の少なくとも凹部の表面に形成する(図2の[38]参照)。
前記磁性層38を形成する材料(磁性層材料)としては、後述するバリア層を形成する材料(バリア層材料)に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも、イオン化傾向が大きい金属元素を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Fe、Co、Pt、Cr、Ni、及びPdなどのうち、少なくとも1つを含有する金属、合金、及び化合物などが挙げられる。
中でも、Fe、及びCoの少なくともいずれかを主成分として含有するものが好ましく、FeとCoとからなる合金(FeCo)であることが特に好ましい。FeCoからなる磁性層を備えた磁気転写用マスター担体は、FeCoが軟磁性であるため、残留磁化が少ない点で有利である。
前記磁性層の材料として、FeCoを用いる場合、前記磁性層の組成は、主として、前記磁性層形成時のスパッタ圧(力)、Fe濃度で制御することができる。
前記スパッタ圧(力)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01Pa〜50Paが好ましく、0.01Pa〜10Paがより好ましい。 前記Fe濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、65原子%〜75原子%が好ましく、70原子%がより好ましい。
また、スパッタリングで磁性層を形成する際に使用するスパッタガスとしては、一般的なアルゴン(Ar)ガスが使用できるが、その他の希ガスを使用してもよい。
また、スパッタリングで磁性層を形成する際の投入電力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6W/cm2〜16.0W/cm2が好ましく、3.0W/cm2〜10.0W/cm2がより好ましい。
前記磁性層の厚みが、5nm未満であると、SNR(シグナル/ノイズ比)が低下することがあり、60nmを超えると、内周部で剥離不良を引き起こすことがある。一方、前記磁性層の厚みが、前記特に好ましい範囲内であると、剥離の点と、信号品質の点で有利である。
前記磁性層の厚みは、例えば、Si基板上にカプトンテープを貼り、剥がした段差を触針式膜厚計(SLOAN社製)で5点確認し、その平均値とすることができる。
前記バリア層形成工程は、少なくとも磁気転写用マスター担体作製用原盤の凹部に位置する前記磁性層の表面にバリア層を形成する工程である。
前記バリア層は、少なくとも磁気転写用マスター担体作製用原盤の凹部に位置する前記磁性層の表面に形成する(図3の[71]参照)。
前記バリア層71を形成する材料(バリア層材料)としては、上述した磁性層を形成する材料(磁性層材料)に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも、イオン化傾向が小さい金属元素を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ni、Cu、Ru、Ag、Pt、及びAuなどのうち、少なくとも1つを含有する金属、合金、及び化合物などが挙げられる。
前記磁性層材料がFe、Coであった場合において、前記バリア層材料としては、イオン化傾向がより小さいものが好ましい。前記バリア層材料のイオン化傾向の順序は、Ni>Cu>Ru>Ag>Pt>Auとなる。
また、前記バリア層材料としてNiを用いると、スパッタが行いやすく、電鋳において、電鋳層との相性が良くバリア層の形成性の点で好ましい。
前記スパッタリングにおけるスパッタ圧(力)などは、上述の磁性層の形成方法におけるスパッタリングと同様に行うことができる。
前記バリア層は、緻密な膜であることが好ましい。
前記緻密な膜とは、より膜密度の高い膜のことをいう。
前記緻密な膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリングの場合、装置によって異なるが、高電圧(例えば、3.0W/cm2以上が好ましい)、低ガス圧(例えば、5Pa以下が好ましい)で形成する方法が挙げられる。
前記緻密な膜であることを確認する方法としては、例えば、X線全反射法により測定することができる。
例えば、Niを用いた場合、膜密度が7(g/cm3)以上であれば、緻密な膜であるということができる。図15に各電力における成膜圧力と膜密度の関係の一例を示す。
前記磁気転写用マスター担体作製用原盤の凹部に位置する磁性層の表面におけるバリア層の厚みが、4nm未満であると、バリア層として機能せず、磁性層が溶解してしまうことがあり、20nmを超えると、内周部でマスター凸部にス(構造内部にできる隙間や空洞)が発生し、剥離時の剥離不良の問題を起こすおそれがある。一方、前記バリア層の厚みが、前記特に好ましい範囲内であると、バリア層としてしっかりと機能し、パターン形成性の点(剥離不良を生じない)でも有利である。
前記バリア層の厚みは、例えば、Si基板上にカプトンテープを貼り、剥がした段差を触針式膜厚計(SLOAN社製)で5点確認し、その平均値とすることができる。
前記マスター基材形成工程は、少なくとも凹部に磁性層と、バリア層とを有する磁気転写用マスター担体作製用原盤の表面に金属を電着することにより、マスター基材を形成する工程である。
前記マスター基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウムなどの金属など公知の材料が挙げられる。
前記マスター基材の形成は、図4に示されるように、磁気転写用マスター担体作製用原盤36の表面に、電鋳により所望の厚みの金属による金属板40(マスター基材となるもの)を積層することにより形成される。
前記マスター基材形成工程は、電鋳装置の電解液中に磁気転写用マスター担体作製用原盤36を浸し、磁気転写用マスター担体作製用原盤36を陽極とし、陰極との間に通電することにより行われるが、このときの電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、積層された金属板40に歪みのない最適条件で実施されることが求められる。
前記剥離工程は、少なくとも凸部の表面に前記バリア層と、前記磁性層とを有するマスター基材を磁気転写用マスター担体作製用原盤から剥離する工程である。
前記剥離工程により、少なくとも前記マスター基材の凸部の表面にバリア層と、磁性層とを有する磁気転写用マスター担体を得ることができる。
前記磁気転写用マスター担体は、前記マスター基材の表面にバリア層と、磁性層とがこの順に積層されてなることが好ましい。
前記マスター基材形成工程で形成された、金属板40(マスター基材となるもの)の積層された磁気転写用マスター担体作製用原盤36を電鋳装置の電解液から取り出し、剥離槽(図示略)内の純水に浸す。次いで、剥離槽内において、金属板40を磁気転写用マスター担体作製用原盤36から剥離し、図5に示すような、磁気転写用マスター担体作製用原盤36から反転した凹凸パターンを有する磁気転写用マスター担体42を得ることができる。
図5は、磁気転写用マスター担体42の部分断面図である。前記磁気転写用マスター担体42は、マスター基材40と、該基材40の表面上に形成されたバリア層71と、該バリア層の表面上に形成された磁性層38とを備える。前記基材40は、その表面に凸部206、及び凹部207を有する。
なお、本実施形態においては、製造が容易であるなどの理由により、凹部207の表面にも磁性層38が形成されているが、他の実施形態においては、凹部207の表面に磁性層38がなくてもよい。
前記マスター基材40の凸部206の表面(頂面)に形成された磁性層38は、転写信号に対応するビット部となる。前記ビット部は、初期磁化を反転させる部分であり、転写部に相当する。なお、凹部207は、磁気反転しない非転写部に相当する。
図6は、磁気転写用マスター担体の上面図である。図6に示されるように、磁気転写用マスター担体の表面には、凹凸パターンからなるサーボパターン52が形成される。
前記その他の工程としては、本発明の効果を害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層形成工程、潤滑剤層形成工程などが挙げられる。なお、前記磁気転写用マスター担体は、前記剥離工程後に、さらに磁性層を形成する磁性層形成工程を行ってもよい。前記磁性層形成工程は、上述の磁性層形成工程と同様に行うことができる。
前記その他の層としては、本発明の効果を害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層、潤滑剤層などが挙げられる。
前記保護層形成工程は、前記磁気転写用マスター担体の表面(磁性層上)に保護層を形成する工程である。
前記保護層を形成することにより、前記磁気転写用マスター担体の機械的、摩擦特性、耐候性を改善することができる。また、前記磁性層と、前記保護層との密着性を強化するために、前記磁性層上にSiなどの密着強化層を形成し、その後に保護層を形成してもよい。
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法、蒸着法、塗布法、ディップコート法、スピンコート法などが挙げられる。
前記潤滑剤層形成工程は、前記保護層上に潤滑剤層を形成する工程である。
前記潤滑剤層を形成することにより、前記磁気転写用マスター担体と、後述する垂直磁気記録媒体との接触の際に生じる摩擦による傷の発生などを防止し、前記磁気転写用マスター担体の耐久性を向上することができる。
前記潤滑剤層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法などが挙げられる。
<モールド構造体の製造方法、及びモールド構造体>
前記モールド構造体の製造方法は、モールド基材の表面に、該モールド基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有するモールド基材の製造方法であって、被覆層形成工程と、バリア層形成工程と、モールド基材形成工程と、剥離工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記モールド構造体は、モールド基材の表面に、該モールド基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有するモールド構造体であって、少なくとも前記モールド基材の凸部の表面にバリア層と、被覆層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記モールド構造体は、前記モールド構造体の製造方法によって、好適に製造することができる。
前記被覆層形成工程は、凹凸パターンが形成されたモールド構造体作製用原盤の少なくとも凹部の表面に被覆層を形成する工程である。
前記凹凸パターンが形成されたモールド構造体作製用原盤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アスペクト比(H/W)の測定方法としては、例えば、FIB(SIIナノテクノロジー社製)でマスターより切片を切り出し、TEM(日立ハイテクノロジーズ社製)にて形状観察する方法が挙げられる。
なお、モールド構造体には、線幅が太くアスペクト比が低い凹凸パターンが形成されていてもよい。
前記被覆層は、前記凹凸パターンが形成されたモールド構造体作製用原盤の少なくとも凹部の表面に形成する(図20の[105]参照)。
前記被覆層を形成する材料(被覆層材料)としては、後述するバリア層を形成する材料(バリア層材料)に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも、イオン化傾向が大きい金属元素を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Niを含有する金属、合金、及び化合物などが挙げられる。
前記スパッタ圧(力)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3Pa〜1Paが好ましく、0.1Pa〜0.2Paがより好ましい。
また、スパッタリングで被覆層を形成する際に使用するスパッタガスとしては、一般的なアルゴン(Ar)ガスが使用できるが、その他の希ガスを使用してもよい。
また、スパッタリングで被覆層を形成する際の投入電力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6W/cm2〜16W/cm2が好ましく、3.0W/cm2〜10W/cm2がより好ましい。
前記被覆層の厚みが、3nm未満であると、しわやもげと呼ばれる剥離不良が発生することがあり、60nmを超えると、もげが生じることがある。一方、前記被覆層の厚みが、前記特に好ましい範囲内であると、もげやしわが発生しにくいという点で有利である。
前記被覆層の厚みは、例えば、Si基板上にカプトンテープを貼り、剥がした段差を触針式膜厚計(SLOAN社製)で5点確認し、その平均値とすることができる。
前記バリア層形成工程は、少なくともモールド構造体作製用原盤の凹部に位置する前記被覆層の表面にバリア層を形成する工程である。
前記バリア層は、少なくともモールド構造体作製用原盤の凹部に位置する前記被覆層の表面に形成する(図21の[130]参照)。
前記バリア層を形成する材料(バリア層材料)としては、上述した被覆層を形成する材料(被覆層材料)に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも、イオン化傾向が小さい金属元素を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Cu、Ru、Pt、及びAuなどのうち、少なくとも1つを含有する金属、合金、及び化合物などが挙げられる。
前記被覆層材料がNiであった場合において、前記バリア層材料としては、イオン化傾向がより小さいものが好ましい。前記バリア層材料のイオン化傾向の順序は、Cu>Ru>Pt>Auとなる。
前記スパッタリングにおけるスパッタ圧(力)などは、上述の被覆層の形成方法におけるスパッタリングと同様に行うことができる
前記バリア層は、緻密な膜であることが好ましい。
前記緻密な膜とは、より膜密度の高い膜のことをいう。
前記緻密な膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリングの場合、装置によって異なるが、高電圧(例えば、3.0W/cm2以上が好ましい)、低ガス圧(例えば、5Pa以下が好ましい)で形成する方法が挙げられる。
前記緻密な膜であることを確認する方法としては、例えば、X線全反射法により測定することができる。
前記モールド構造体作製用原盤の凹部に位置する被覆層の表面におけるバリア層の厚みが、3nm未満であると、バリア層として機能せず、被覆層が溶解してしまうことがあり、10nmを超えると、内周部でモールド凸部にス(構造内部にできる隙間や空洞)が発生し、剥離時の剥離不良の問題を起こすおそれがある。一方、前記バリア層の厚みが、前記特に好ましい範囲内であると、バリア層としてしっかりと機能し、パターン形成性の点(剥離不良を生じない)でも有利である。
前記バリア層の厚みは、例えば、Si基板上にカプトンテープを貼り、剥がした段差を触針式膜厚計(SLOAN社製)で5点確認し、その平均値とすることができる。
前記モールド基材形成工程は、少なくとも凹部に被覆層と、バリア層とを有するモールド構造体作製用原盤の表面に金属を電着することにより、モールド基材を形成する工程である。
前記モールド基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウムなどの金属など公知の材料が挙げられる。
前記モールド基材の形成は、図22に示されるように、モールド構造体作製用原盤140の表面に、電鋳により所望の厚みの金属による金属板150(モールド基材となるもの)を積層することにより形成される。
前記モールド基材形成工程は、電鋳装置の電解液中にモールド構造体作製用原盤140を浸し、モールド構造体作製用原盤140を陽極とし、陰極との間に通電することにより行われるが、このときの電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、積層された金属板150に歪みのない最適条件で実施されることが求められる。
前記剥離工程は、少なくとも凸部の表面に前記バリア層と、前記被覆層とを有するモールド基材をモールド構造体作製用原盤から剥離する工程である。
前記剥離工程により、少なくとも前記モールド基材の凸部の表面にバリア層と、被覆層とを有するモールド構造体を得ることができる。
前記モールド構造体は、前記モールド基材の表面にバリア層と、被覆層とがこの順に積層されてなることが好ましい。
前記モールド基材形成工程で形成された、金属板150(モールド基材となるもの)の積層されたモールド構造体作製用原盤140を電鋳装置の電解液から取り出し、剥離槽(図示略)内の純水に浸す。次いで、剥離槽内において、金属板150をモールド構造体作製用原盤140から剥離し、図23に示すような、モールド構造体作製用原盤140から反転した凹凸パターンを有するモールド構造体160を得ることができる。
図23は、モールド構造体160の部分断面図である。前記モールド構造体160は、モールド基材150と、該モールド基材150の表面上に形成されたバリア層130と、該バリア層130の表面上に形成された被覆層105とを備える。前記モールド基材150は、その表面に凸部170、及び凹部180を有する。
前記その他の工程としては、本発明の効果を害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層形成工程、潤滑剤層形成工程などが挙げられる。
前記その他の層としては、本発明の効果を害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層、潤滑剤層などが挙げられる。
前記保護層形成工程は、前記モールド構造体の表面(被覆層上)に保護層を形成する工程である。
前記保護層を形成することにより、前記モールド構造体の機械的、摩擦特性、耐候性を改善することができる。また、前記被覆層と、前記保護層との密着性を強化するために、前記被覆層上にSiなどの密着強化層を形成し、その後に保護層を形成してもよい。
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法、蒸着法、塗布法、ディップコート法、スピンコート法などが挙げられる。
前記潤滑剤層形成工程は、前記保護層上に潤滑剤層を形成する工程である。
前記潤滑剤層を形成することにより、前記モールド構造体と、レジストとの接触の際に生じる摩擦による傷の発生などを防止し、前記モールド構造体の耐久性を向上することができる。
前記潤滑剤層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法などが挙げられる。
本発明の磁気転写方法は、初期磁化工程と、密着工程と、磁気転写工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の垂直磁気記録媒体は、前記本発明の磁気転写方法によって、作製することができる。
まず、本発明の前記磁気転写用マスター担体を適用した垂直磁気記録の磁気転写技術について図面を参照して説明する。
図7Aから図7Cは、垂直磁気記録の磁気転写方法の工程を示す説明図である。図7Aから図7Cにおいて、符号10は被転写用の磁気ディスクとしてのスレーブディスク(垂直磁気記録媒体に相当)、符号20は磁気転写用マスター担体としてのマスターディスクを表す。
初期磁化を行った後、図7Bに示されるように、前記初期磁化後のスレーブディスク10と、マスターディスク20とを密着させる(密着工程)。
さらに、両ディスク10、20を密着させた後、図7Cに示されるように、初期磁化の際に印加される磁界(Hi)とは、逆向きの磁界(Hd)を印加して、該スレーブディスク10に磁気転写する(磁気転写工程)。
図7Aから図7Cにおいて示される、前記スレーブディスク10は、円盤状の基板の表面の片面或いは、両面に磁性層が形成されたものであり、具体的には、高密度ハードディスク等が挙げられる。このスレーブディスク10を例に挙げ、図8を用いて、垂直磁気記録媒体の説明を行う。
以下、本発明の一実施形態に係る磁気転写方法について説明する。
図7Aに示されるように、スレーブディスク10の初期磁化(直流磁化)は、スレーブディスク10の表面に対し垂直に直流磁界を印加することができる装置(不図示の磁界印加手段)により初期化磁界Hiを発生させることにより行う。具体的には、初期化磁界Hiとしてスレーブディスク10の保磁力Hc以上の強度の磁界を発生させることにより行う。この初期磁化工程により、図9に示されるように、スレーブディスク10の磁性層16について、ディスク面と垂直な一方向に初期磁化Piさせる。なお、この初期磁化工程は、スレーブディスク10を磁界印加手段に対し相対的に回転させることにより行ってもよい。
次に、マスターディスク20と、初期磁化工程後のスレーブディスク10とを図7Bのように重ね合わせて両者を密着させる工程(密着工程)を行う。図7Bに示されるように、密着工程では、マスターディスク20の突起状パターン(凹凸パターン)の形成されている面と、スレーブディスク10の磁性層16の形成されている面とを所定の押圧力で密着させる。
次に、図7Cに基づき磁気転写工程を説明する。上記密着工程によりスレーブディスク10とマスターディスク20とを密着させたものについて、不図示の磁界印加手段により初期化磁界Hiの向きと反対方向に記録用磁界Hdを発生させる。記録用磁界Hdを発生させることにより生じた磁束がスレーブディスク10とマスターディスク20に進入することにより磁気転写が行われる。
Si基板上に表1に記載の各種金属をスパッタリング法により、20nm堆積させた。その後、前記基板を下記のスルファミン酸ニッケル溶液(電鋳液に相当)に2時間浸漬した。
浸漬後の基板の表面(金属面)に、X線光電子分析装置(ESCA、島津/KRATPS製、AXIS−HS)にて加速アルゴンイオンを照射し、金属面の表面を削り、表面から内部側への深さ方向への組成変化を測定した。
アルゴン圧力:0.1Pa
基板−ターゲット間距離:300mm
投入電力(DC電源):900W
装置:Ni スパッタ装置(富士第一製作所製)
スルファミン酸ニッケル ・・・ 600g/L
ホウ酸 ・・・ 40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム) ・・・ 0.15g/L
pH4
温度55℃
スパッタ深さに対するSiと各種金属との組成比の交点が10nm以上であれば、バリア層として機能する(電鋳液に溶解しない)と判断した。前記交点とは、Siと各種金属との界面である。また、前記交点が10nm以上という基準は、測定誤差を考慮すると、交点が10nm未満では、前記浸漬により金属が溶け出していることもあるため、交点が10nm以上であることをバリア層として機能するための基準とした。
結果を表1に示す。また、図13に、金属としてNiを用いた場合のスパッタ深さに対するSiとNiとの組成比の変化のグラフを示す。
Si基板上に表2に記載の第1層の金属をスパッタリング法により10nm堆積させ、次いで表2に記載の第2層の金属をスパッタリング法により10nm堆積させた以外は、試験例1−Aと同様にして試験を行い、バリア層として機能するか否かを評価した。結果を表2に示す。
Si基板上に磁性層材料としてFeCo(Fe70−Co30、原子%)を用い、スパッタリング法により厚みが50nmの磁性層を形成した。次いで、前記磁性層の表面にバリア層材料としてNiを用い、試験例1と同様の方法により表2に記載の厚みのバリア層を形成した。その後、前記基板を試験例1と同じスルファミン酸ニッケル溶液(電鋳液に相当)に2時間浸漬した。
浸漬後、X線光電子分析装置(ESCA、島津/KRATPS製、AXIS−HS)にて、前記バリア層、及び磁性層の厚みの変化を分析した。
アルゴン圧力:0.04Pa
基板−ターゲット間距離:300mm
投入電力(DC電源):500W
装置:Casper キヤノンアネルバ製
バリア層、及び磁性層の全厚みの変化を下記基準で評価した。結果を表3に示す。
◎:全く溶解しない
○:ほとんど溶解しない
△:わずかに溶解する
×:溶解する
以下のようにして、実施例1の磁気転写用マスター担体(バリア層有り)、及び、比較例1〜2の磁気転写用マスター担体(バリア層無し)を作製した。また、垂直磁気記録媒体を作製し、得られた各マスター担体から垂直磁気記録媒体への磁気転写を行った。
−磁気転写用マスター担体作製用原盤の作製−
8インチのSi(シリコン)ウェハー(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄し、除去した。除去後、該基板を乾燥したものを、磁気転写用マスター担体を調製するための磁気転写用マスター担体作製用原盤とした。
なお、本実施例1で用いたパターンは、大別すると、データ部と、サーボ部からなる。該データ部は、凸巾:90nm、凹巾:30nm(TP=120nm)のパターンで構成されている。該サーボ部は、基準信号長:80nm、総セクタ数:120、プリアンブル(40bit)/SAM(6bit)/Sectorcode(8bit)/CylinderCode(32bit)/Burstパターンで構成されている。該SAM部は、“001010”であり、SectorがBinary、CylinderはGray変換を用いている。Burst部は一般的な4バースト(各バーストは16bit)である。マンチェスター変換を使用した。
上記磁気転写用マスター担体作製用原盤上に、アルゴン圧力0.04Pa条件下で、スパッタリング法により、FeCo(Fe80−Co20、原子%)からなる磁性層を、厚みが30nmとなるように形成した。磁性層形成時のスパッタリング条件は以下の通りである。
[スパッタリング条件]
アルゴン圧力:0.04Pa
基板−ターゲット間距離:300mm
投入電力(DC電源):500W
装置:Casper キヤノンアネルバ製
上記磁気転写用マスター担体作製用原盤の磁性層の表面に、スパッタリング方法により、Ni(ニッケル)からなるバリア層を、厚みが6nmとなるように形成した。バリア層形成時のスパッタリング条件は以下の通りである。
[スパッタリング条件]
アルゴン圧力:0.1Pa
基板−ターゲット間距離:300mm
投入電力(DC電源):900W
装置:Ni スパッタ装置(富士第一製作所製)
上記バリア層を形成した後の磁気転写用マスター担体作製用原盤を、スルファミン酸Ni浴に浸漬し、30秒後、電解メッキにより、200μmの厚みのマスター基材(Ni膜)を形成した。
[スルファミン酸Ni浴]
スルファミン酸ニッケル ・・・ 600g/L
ホウ酸 ・・・ 40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム) ・・・ 0.15g/L
pH4
温度55℃
上記マスター基材形成後、磁気転写用マスター担体作製用原盤よりマスター基材を引き剥がし、洗浄して、マスター基材と、バリア層と、磁性層とからなる実施例1の磁気転写用マスター担体を得た。
また、バリア層の形成を行わず、マスター基材の形成において、スルファミン酸Ni浴に浸漬し、電解メッキを行うまでの時間を60秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の磁気転写用マスター担体を得た。
2.5インチのガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、軟磁性層、第1非磁性配向層、第2非磁性配向層、磁気記録層及び保護層を、この順に形成した。更に、該保護層の上に、ディップ法により潤滑剤層を形成した。
軟磁性層の材料として、CoZrNbを用いた。該軟磁性層の厚みは、100nmであった。ガラス基板をCoZrNbターゲットと対向させて配置し、Arガスを0.6Pa圧になるように流入させ、DC1500Wで形成した。
第1非磁性配向層としてTi:5nm、第2非磁性配向層としてRu:6nmを形成した。
第1非磁性配向層は、Tiターゲットと対向配置し、Arガスを0.5Pa圧になるように流入し、DC1000Wで放電し、5nmの厚みになるように、Tiシード層を形成した。第1非磁性配向層形成後にRuターゲットと対向させて配置し、Arガスを0.8Pa圧になるように流入させ、DC900Wで放電し、6nmの厚みになるように第2非磁性配向層を形成した。
磁気記録層として、CoCrPtO:18nmを形成した。CoCrPtOターゲットと対向させて配置し、O2を0.06%を含むArガスを14Pa圧になるように流入させ、DC290Wで放電し磁気記録層を作製した。
磁気記録層を形成した後に、C(カーボン)ターゲットと対向させて配置し、Arガスを0.5Pa圧になるように流入させ、DC1000Wで放電し、1000Wで放電し、C保護層(4nm)を形成した。この記録媒体の保磁力は、334kA/m(4.2kOe)とした。
更に、該媒体にディップ法により、PFPE潤滑剤を2nmの厚みで塗布した。
以上のようにして、垂直磁気記録媒体を調製した。
上記垂直磁気記録媒体に対して、初期化を行った(初期磁化工程)。初期化の際に印加する磁界の強度(初期磁界強度)は10kOeであった。
初期化済み垂直磁気記録媒体に対して、上記マスター担体を対向して配置し、これらを0.7MPaの圧力にて密着させた(密着工程)。互いに密着した状態で、磁界を印加して、磁気転写を行った(磁気転写工程)。磁気転写に用いた磁界強度は4.6kOeであった。磁界印加終了後、マスター担体を、垂直磁気記録媒体から剥離した。
上記磁気転写により記録された転写信号の品位を評価した。前記評価としては、プリアンブル部のTAA(Track Average Amplitude)再生出力を、半径15mm位置の全セクタに対してそのSNR(シグナル/ノイズ比)を算出し、下記基準により評価した。結果を表4に示す。
なお、評価装置には、協同電子社製 LS−90を用い、リード幅120nm、ライト幅200nmのGMRヘッドを使用した。
◎:12dB以上
△:10dBより大きく、12dB未満
×:10dB以下
<モールド構造体作製用原盤の作製>
8インチのSi(シリコン)ウェハー(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部(最小線幅のアスペクト比が3の凹部)を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄し、除去した。除去後、該基板を乾燥したものを、モールド構造体作製用原盤とした。
Si基板上にAu、Pt、Cu、Ruを用い、凹凸パターンの凹部に下記スパッタリング条件で被膜を形成した。被膜を形成した凹部について、断面TEMを観察し、下記評価基準で被覆性の評価を行った。また、剥離性についてはクロスカットテープ試験を行い剥離性を評価した。クロスカットテープを被膜に貼り付け、該クロスカットテープを剥がし、どのくらいの割合で被膜が剥がれて、クロスカットテープに剥離被膜が形成されるかで剥離性の評価を行った。例えば、クロスカットテープの面積に対して20%未満の割合で剥離被膜がクロスカットテープに形成されていれば、剥離性を〇とし、20%〜60%未満の割合で剥離被膜がクロスカットテープに形成されていれば、剥離性を△とし、60%以上の割合で剥離被膜がクロスカットテープに形成されていれば、剥離性を×とした。
アルゴン圧力:1Pa
基板−ターゲット間距離:200mm
投入電力(DC電源):500W
装置:芝浦メカトロニクス製スパッタリング装置(OctavaII)
各金属の被覆性を下記基準で評価した。結果を表5に示す。
−−評価基準−−
◎: 被覆率20%以上
○: 被覆率10%〜20%未満
△: 被覆率3%〜10%未満
×: 被覆率3%未満
各金属の剥離性を下記基準で評価した。結果を表5に示す。
−−評価基準−−
○:クロスカットテープ20%未満
△:クロスカットテープ20%〜60%未満
×:クロスカットテープ60%以上
<モールド構造体作製用原盤の作製>
8インチのSi(シリコン)ウェハー(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部(最小線幅のアスペクト比が2.7の凹部)を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄し、除去した。除去後、該基板を乾燥したものを、モールド構造体作製用原盤とした。
上記モールド構造体作製用原盤上に、スパッタリング法により、Niからなる被覆層を、厚みが6nmとなるように形成した。被覆層形成時のスパッタリング条件は以下の通りである。
−スパッタリング条件(被覆層の形成)−
アルゴン圧力:0.1Pa
基板−ターゲット間距離:300mm
投入電力(DC電源):900W
装置:Niスパッタ装置、富士第一製作所製
上記モールド構造体作製用原盤の被覆層(Ni層)の表面に、スパッタリング方法により、Pt、Ru、Cu、Auからなるバリア層を、厚みが表6に示す値となるように形成した。バリア層形成時のスパッタリング条件は以下の通りである。
[スパッタリング条件(バリア層の形成)]
アルゴン圧力:1.0Pa
基板−ターゲット間距離:200mm
投入電力(DC電源):500W
装置:芝浦メカトロニクス製スパッタリング装置(OctavaII)
簡易検査方法として複版の表面にハロゲン光を表面にあてると、剥離不良が生じた場合その部分が白く曇ったように見られる。この観察方法を用いてOK(白く曇らない)かNG(白く曇る)を判断する。この判定方法を用いて複版の得率が10回中何回OKとなったかを確認した。
〇:複版得率が80%以上
△:複版得率が40%以上80%未満
×:複版得率が40%未満
32 レジスト層
33 パターン
36 磁気転写用マスター担体作製用原盤
38 磁性層
71 バリア層
40 金属板(マスター基材となるもの)
42 磁気転写用マスター担体
52 サーボパターン
206 凸部
207 凹部
10 スレーブディスク
20 マスターディスク
12 基板
13 軟磁性層
14 非磁性層
16 磁性層
18 保護層
19 潤滑層
42 マスター基材
48 磁性層
71 バリア層
62 コア
63 コイル
60 磁界印加手段
64 ギャップ
H 磁気転写用マスター担体(モールド構造体)作製用原盤の凸部の高さ
W 磁気転写用マスター担体(モールド構造体)作製用原盤の凹部の幅
100 基板
101 Si層
102 SiO層
103 レジストパターン
104 凹部
105 Ni層
106 モールド基材
110 Ni層が十分に被覆されていない部分
120 ス(構造内部にできる隙間や空洞)
130 バリア層
140 モールド構造体作製用原盤
150 金属板
160 モールド構造体
170 凸部
180 凹部
Claims (8)
- 基材の表面に、該基材を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸パターンを有する凹凸部材の製造方法であって、
凹凸パターンが形成された凹凸部材作製用原盤の少なくとも凹部の表面に被覆層を形成する被覆層形成工程と、
少なくとも凹凸部材作製用原盤の凹部に位置する前記被覆層の表面にバリア層を形成するバリア層形成工程と、
少なくとも凹部に被覆層と、バリア層とを有する凹凸部材作製用原盤の表面に金属を電着することにより、基材を形成する基材形成工程と、
少なくとも凸部の表面に前記バリア層と、前記被覆層とを有する基材を凹凸部材作製用原盤から剥離する剥離工程とを含み、かつ、
前記バリア層がスルファミン酸ニッケル溶液である電解液に溶解しない金属からなり、
前記バリア層に含まれる全ての金属元素のイオン化傾向が、前記被覆層に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする凹凸部材の製造方法。 - 基材がマスター基材であり、凹凸部材が磁気転写用マスター担体であり、被覆層が磁性層である請求項1に記載の凹凸部材の製造方法。
- 被覆層形成工程において、厚みが10nm以上の磁性層を形成する請求項2に記載の凹凸部材の製造方法。
- バリア層形成工程において、厚みが4nm以上20nm以下のバリア層を形成する請求項2から3のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法。
- 磁性層に含まれる金属元素が、Fe、及びCoの少なくともいずれかであり、かつ、
バリア層に含まれる金属元素が、Ni、Cu、Ru、Ag、Pt、及びAuの少なくともいずれかである請求項2から4のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法。 - 基材がモールド基材であり、凹凸部材がモールド構造体である請求項1に記載の凹凸部材の製造方法。
- バリア層形成工程において、厚みが3nm以上10nm以下のバリア層を形成する請求項6に記載の凹凸部材の製造方法。
- 被覆層に含まれる金属元素が、Niであり、かつ、
バリア層に含まれる金属元素が、Cu、Ru、Pt、及びAuの少なくともいずれかである請求項6から7のいずれかに記載の凹凸部材の製造方法。
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