JP2010231842A - 磁気転写方法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気転写方法および磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスター担体の凹領域に対応する磁気記録媒体の保磁力が低い部分の磁化反転領域を減少させ、磁化パターンの分離度を向上し、高品質な磁気転写を可能とする。
【解決手段】初期磁化工程と密着工程と磁気転写工程と剥離工程とを含む磁気転写方法であって、マスター担体と記録媒体とを剥離した後、記録媒体に、初期磁化方向に、記録媒体の反転磁界の2倍以下の磁界を外部印加する追加磁化工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体に情報を磁気転写する磁気転写方法および前記磁気転写方法を用いた磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
磁気記録媒体においては一般に、情報量の増加に伴い、多くの情報を記録する大容量で、安価で、かつ、好ましくは短時間で必要な箇所が読み出せる、いわゆる高速アクセスが可能な媒体が望まれている。それらの一例としてハードディスク装置やフレキシブルディスク装置に用いられる高密度磁気記録媒体(磁気ディスク媒体)が知られ、その大容量化を実現するためには、狭いトラック幅で正確に磁気ヘッドを走査する、いわゆるトラッキングサーボ技術が大きな役割を担っている。このトラッキングサーボを行うために、ディスク中に、ある間隔でトラッキング用のサーボ信号、アドレス情報信号、再生クロック信号等が、いわゆるプリフォーマットとして記録されている。
このプリフォーマットを正確にかつ効率よく行う方法として、マスター担体が担持するサーボ信号等の情報を磁気記録媒体へ磁気的に転写する磁気転写方法がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
この磁気転写は、例えば、磁気ディスク媒体等の磁気記録媒体(スレーブ媒体)に転写すべき情報に対応する、少なくとも凸部表面に磁性層を備えた凹凸パターンを表面に有するマスター担体を用意し、このマスター担体と磁気記録媒体を密着させた状態で、転写用磁界を印加することにより、マスター担体の凹凸パターンが担持する情報(例えばサーボ信号)に対応する磁気パターンを磁気記録媒体に転写するもので、マスター担体と磁気記録媒体との相対的な位置を変化させることなく静的に記録を行うことができ、正確なプリフォーマット記録が可能であり、しかも記録に要する時間も極めて短時間であるという利点を有している。
特開2003−203325号公報 特開2000−195048号公報 米国特許第7218465B1号明細書
上記特許文献1〜3に開示された磁気転写方法においては、凹凸パターンを有するマスター担体を磁性層が初期磁化方向に一様に垂直磁化された磁気記録媒体に密着させた状態で、初期磁化方向とは反対方向の転写用磁界を印加すると、磁束密度は、マスター担体の凸領域と磁気記録媒体が接触している領域では大きく、この転写用磁界により、磁気記録媒体の磁性層のうちマスター担体の凸領域と接触している部分の磁性層の磁化向きが転写用磁界の方向に揃い、初期磁化の方向と逆方向に反転されて、磁気記録媒体の磁性層に磁気情報が転写される。
一方、マスター担体の凹凸パターンの凹領域は、転写用磁界の印加によって生じる磁束が上記の凸領域に比べて弱く、磁気転写を行った場合、磁気記録媒体の磁性層のうちマスター単体の凹領域と対応している部分の磁化方向が変わることはなく、初期磁化の状態を保ったままであることが理想である(後述の図2参照)。
しかし、実際には、マスター担体の凹領域に相当するところ(後述図5の非転写領域参照)でも、磁気転写工程後の磁気記録媒体においては、部分的に磁化が反転していることが確認されている(後述図5の磁化反転領域Qi参照)。これは、磁気記録媒体の磁性層には部分的に保磁力Hcまたは反転磁界Hnの低い部分があり、転写用磁界の印加によって凹領域に発生する弱い磁界でも、初期磁化とは逆の方向に磁化反転したものと推測され、転写された磁化パターンの分離度(マスター担体の凸領域に対応する磁気記録媒体の信号とマスター担体の凹領域に対応する磁気記録媒体の信号の分離度)を低下させ、転写品質を下げる要因となっている。
本発明は、上記事情に鑑み、マスター担体の凹凸パターンにおける凹領域に対応する磁気記録媒体の保磁力または反転磁界が低い部分の転写時における磁化反転を減少させ、転写された磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写を可能とする磁気転写方法および該転写方法を用いた磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気転写方法は、磁気記録媒体を、該記録媒体の表面に垂直な方向である初期磁化方向に初期磁化させる初期磁化工程と、該初期磁化工程後の前記記録媒体に対して、表面に磁性層を有するパターン状の凸部を備えた磁気転写用マスター担体を密着させる密着工程と、前記記録媒体と前記マスター担体とを密着させた状態で、前記初期磁化方向と逆方向に磁界を印加し、前記記録媒体に磁気情報を転写する磁気転写工程と、前記記録媒体と密着した前記マスター担体を、前記記録媒体から剥離する剥離工程とを含む磁気転写方法において、前記マスター担体と前記記録媒体とを剥離した後、前記記録媒体に、前記初期磁化方向に、前記記録媒体の反転磁界の2倍以下の磁界を印加する追加磁化工程とを備えたことを特徴とするものである。
その際、追加磁化工程で印加する磁界が記録媒体の保磁力の0.1倍以上であることが好ましい。
さらに、追加磁化工程で印加する磁界が記録媒体の反転磁界以下であることが好ましい。
「反転磁界」とは、磁気ヒステリシス曲線における磁化反転開始時の磁界の大きさHnである。
「初期磁化方向」とは、磁気記録媒体の表面の鉛直方向に対して±10°以内であることを意味し、磁気記録媒体の表面の鉛直方向に対して±7°以内であることを含む。また、「初期磁化方向と逆方向」とは、初期磁化の真逆方向のみならず、初期磁化の真逆方向に対して±7°傾斜した方向をも含む。
ここで、「密着」とは、必ずしも両者が完全に密着した状態のみならず、一様な間隔で近接して配された状態をも含むもので、さらに、両者の間に本発明の磁化工程に影響を与えないような物質などをはさむ状態も含むものである。磁気記録媒体としては、具体的にはハードディスク、フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が挙げられる。
なお、上記本発明の磁気転写用マスター担体において、凸部表面の磁性層は、軟磁性もしくは半硬質磁性であることが望ましい。
また、磁気情報としては、例えば、サーボ信号が好適である。
本発明の磁気転写方法によれば、磁気記録媒体を、該記録媒体の表面に垂直な方向である初期磁化方向に初期磁化させる初期磁化工程と、該初期磁化工程後の前記記録媒体に対して、表面に磁性層を有するパターン状の凸部を備えた磁気転写用マスター担体を密着させる密着工程と、前記記録媒体と前記マスター担体とを密着させた状態で、前記初期磁化方向と逆方向に磁界を印加し、前記記録媒体に磁気情報を転写する磁気転写工程と、前記記録媒体と密着した前記マスター担体を、前記記録媒体から剥離する剥離工程とを含む磁気転写方法において、前記マスター担体と前記記録媒体とを剥離した後、前記記録媒体に、前記初期磁化方向に、前記記録媒体の反転磁界の2倍以下の磁界を印加する追加磁化工程とを備えているので、マスター担体の凹凸パターンにおける凹領域に対応する磁気記録媒体の非転写領域内で、保磁力または反転磁界が低い部分が転写時に不本意に転写側に反転した磁化反転領域を減少させることができ、その結果、磁化パターンの分離度の低下の原因である転写側に反転した磁気反転領域を減少させることより、転写した磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写をおこなうことができる。
特に、追加磁化工程で印加する磁界が記録媒体の保磁力の0.1倍以上である場合には、非転写領域における磁化反転領域を減少させることができ、マスター担体に形成されている凹凸パターン形状に正確に対応して磁化パターンを磁気記録媒体に磁気転写することができる。この結果、信号特性が向上してサーボ信号の場合には良好なトラッキングサーボ機能を発揮することができることになる。
本発明の実施形態に係る磁気転写方法の工程を順に示す説明図である 磁気転写工程を示す説明図である。 磁気転写工程に用いる磁界印加装置の概略構成図である。 磁気記録媒体における磁気ヒステリシス曲線の特性を示す説明図である。 磁気転写後の記録媒体の磁化の状態を説明する図である。 従来方法における磁気転写後の磁気記録媒体の磁気力顕微鏡(MFM)図である。 本実施形態の転写方法における磁気転写後の磁気記録媒体の磁気力顕微鏡(MFM)図である。
先ず、図1(A)〜(E)を用いて垂直磁気記録の磁気転写技術の概要を説明する。図1(A)〜(E)は、垂直磁気記録の磁気転写方法の工程を示す説明図である。図1(A)〜(E)において、符号10は被転写用の磁気ディスクとしての磁気記録媒体(垂直磁気記録媒体用の磁気記録媒体であって、垂直磁気記録媒体ともいう)、符号20は磁気転写用マスター担体としてのマスター担体を表す。
図1(A)に示すように、磁気記録媒体10のディスク平面に対し、垂直の方向である初期磁化方向から、初期磁化磁界Hiを印加して、該磁気記録媒体10を初期磁化する(初期磁化工程)。
初期磁化を行った後、図1(B)に示されるように、前記初期磁化後の磁気記録媒体10と、マスター担体20とを密着させる(密着工程)。
さらに、両ディスク10、20を密着させた後、図1(C)に示すように、初期磁化の際に印加される磁界Hiと逆方向に転写用磁界Hdを印加して、該磁気記録媒体10に磁気転写する(磁気転写工程)。
磁気転写を行った後、図1(D)に示すように、マスター担体20と磁気記録媒体10を剥離する(剥離工程)。
図1(E)に示すように、磁気記録媒体10に、初期磁化方向に磁界Haを印加して追加磁化を行う(追加磁化工程)。
本実施形態の磁気転写方法とは、従来は図1(A)〜(D)に示す初期磁化工程、密着工程、磁気転写工程、剥離工程で構成されていた磁気転写方法に、図1(E)に示す追加磁化工程を追加するものである。
次に、本実施形態のマスター担体、磁気記録媒体について説明し、上記磁気転写方法をさらに詳細に説明する。
図2は、上記磁気転写工程における、マスター担体20と磁気記録媒体10とを密着させ、転写用磁界Hdを印加している状態を示す。
マスター担体20は、基材42と、磁性層48とを備える。基材42および磁性層48は、凸部44および凹部46(スペース)を構成する。すなわち、凸部44は、基材42による凸部の表層に磁性層48を有する。また、凸部44に、後述する保護層、潤滑剤層、下地層等を設けた場合は、これらの保護層、潤滑剤層、下地層等も凸部44に含まれるものとする。
なお、本実施形態においては、製造が容易である等の理由により、凸部44以外にも磁性層48が形成されているが、凸部44のみに磁性層48が形成されていてもよい。
凸部44に形成される磁性層48は、転写信号に対応するビット部となる。このビット部は、初期磁化を反転させる部分であり、転写部に相当する。なお、凹部46は、磁化反転しない非転写部に相当する。
上記のように磁気記録媒体10とマスター担体20とを密着させた状態で、転写用磁界Hdを印加すると、磁束Gは、マスター担体20の凸部44と磁気記録媒体10が接触している領域ではその磁束密度が高められて大きくなり、転写用磁界Hdにより、マスター担体20の磁性層48の磁化向きが初期磁化から反転して転写用磁界Hdの方向に揃い、磁気記録媒体10の磁性層に磁気情報が転写される。一方、マスター担体20の凹部46は、転写用磁界Hdの印加によって生じる磁束Gが凸部44に比べて弱く、磁気記録媒体10の磁性層の磁化向きが変わることはなく、初期磁化の状態を保ったままである。
<マスター担体の説明>
マスター担体20の基材は、ガラス、ポリカーボネート等の合成樹脂、ニッケル、アルミニウム等の金属、シリコン、カーボン等の公知の材料を用いて製造される。
また、マスター担体20の磁性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPtなどが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
磁性層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、5nm〜30nm程度である。
磁性層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば、スパッタリング法、電着(電着法)等により行うことができる。
基材と磁性層間に磁性層配向用の結晶配向層、軟磁性下地層を適宜形成してもよい。特に軟磁性下地層は単層、あるいは複数層にて構成してもよい。
マスター担体の製造方法を説明する。
表面が平滑なシリコンウエハーである原板(Si基板)を用意し、この原板の上に、電子線レジスト液をスピンコート法等により塗布して、レジスト層を形成し、ベーキング処理(プレベーク)を行う。
次いで、高精度な回転ステージ又はX−Yステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置のステージ上に原板をセットし、原板を回転させながら、サーボ信号に対応して変調した電子ビームを照射し、レジスト層の略全面に所定のパターン、例えば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に描画露光(電子線描画)する。
レジスト層を現像処理し、露光(描画)部分を除去して、残ったレジスト層による所望厚さの被覆層を形成する。この被覆層が次工程(エッチング工程)のマスクとなる。なお、基板上に塗布されるレジストはポジ型、ネガ型のどちらでも使用可能であるが、ポジ型とネガ型では、露光(描画)パターンが反転することになる。この現像処理の後には、レジスト層と原板との密着力を高めるためにベーキング処理(ポストベーク)を行う。
次いで、レジスト層の開口部より原板を表面より所定深さだけ除去(エッチング)する。このエッチングにおいては、アンダーカット(サイドエッチ)を最小にすべく、異方性のエッチングが望ましい。このような、異方性のエッチングとしては、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)が好ましく採用できる。
次に、レジスト層を除去する。レジスト層の除去方法は、乾式法としてアッシングが採用でき、湿式法として剥離液による除去法が採用できる。以上のアッシング工程により、所望の凹凸状パターンの反転型が形成された原盤が作製される。
その後、原盤の表面に均一厚さに導電層を形成する。この導電層の形成方法としては、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオンプレーティングを含む各種の金属成膜法等が適用できる。
このように、導電膜の層を1層形成すれば、次工程(電鋳工程)の金属の電着が均一に行えるという効果が得られる。導電層としては、Niを主成分とする膜であることが好ましい。このようなNiを主成分とする膜は、形成が容易であり、且つ、硬質であるため、導電膜としてふさわしい。この導電層の膜厚として、特に制限はないが、数十nm程度が一般的に採用できる。
次いで、原盤の表面に、電鋳により所望の厚さの金属(ここでは、Ni)による金属板を積層する(反転板形成工程)。この工程は、電鋳装置の電解液中に原盤を浸し、原盤を陽極とし、陰極との間に通電することにより行われるが、このときの電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、積層された金属板(基材42)に歪みのない最適条件で実施されることが求められる。
そして、上記のようにして金属板の積層された原盤が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽(図示略)内の純水に浸される。剥離槽内において、金属板を原盤から剥離し、原盤から反転した凹凸状パターンを有する基材42を得る。
次いで、基材42の凹凸表面上に磁性層48を形成する。該磁性層の材料は、例えば、FeCoからなる。該磁性層48の厚みは、10nm〜320nmの範囲が好ましく、20nm〜300nmの範囲がより好ましく、30nm〜100nmが更に好ましい。該磁性層48は、上記材料のターゲットを用いスパッタリングにより形成される。
その後、基材42の内径および外径を、所定のサイズに打抜き加工する。以上のプロセスにより、磁性層48が設けられた凹凸パターンを有するマスター担体20が作製される。
マスター担体20の表面には、凹凸パターンからなるサーボパターンが形成される。また、図には示さないが、マスター担体20表面の磁性層48の上にスパッタリング
法によりダイヤモンドライクカーボン等の保護膜(保護層)を設けてもよく、更に、保護膜上に潤滑剤層を設けてもよい。
該保護層を形成する目的は、マスター担体20と磁気記録媒体10とを密着させた際に磁性層48が傷つきやすく、マスター担体20として使用できなくなってしまうことを防止するためである。また、潤滑剤層は、磁気記録媒体10との接触の際に生じる摩擦による傷の発生などを防止し、耐久性を向上させる効果がある。
具体的には、保護層として、厚さが2〜30nmのカーボン膜を形成し、更にその上に潤滑剤層を形成した構成が好ましい。また、磁性層48と、保護層との密着性を強化するため、磁性層48上にSi等の密着強化層を形成し、その後に保護層を形成してもよい。
<磁気記録媒体の説明>
次に、磁気記録媒体(垂直磁気記録媒体)について説明する。
図1、図2において示される、磁気記録媒体10は、例えば、両面または片面に磁気記録層が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等の円盤状磁気記録媒体であり、特に、磁気記録層の磁化容易方向が記録面に対して垂直な方向に形成されている垂直磁気記録媒体である。
磁気記録媒体10は、ガラスなど非磁性の基板12上に、軟磁性層(軟磁性下地層;SUL)、非磁性層(中間層)、磁性層16(垂直磁気記録層)が順次積層形成された構造からなり、磁性層16の上は更に保護層と潤滑層とで覆われている。なお、ここでは、基板12の片面に磁性層16を形成した例を示すが、基板12の表裏両面に磁性層を形成する態様も可能である。
円盤状の基板は、ガラスやAl(アルミニウム)等の非磁性材料から構成されており、この基板上に軟磁性層を形成した後、非磁性層と、磁性層を形成する。
軟磁性層は、磁性層の垂直磁化状態を安定させ、記録再生時の感度を向上させるために有益である。軟磁性層に用いられる材料は、CoZrNb、FeTaC、FeZrN、FeSi合金、FeAl合金、パーマロイなどFeNi合金、パーメンジュールなどのFeCo合金等の軟磁性材料が好ましい。この軟磁性層は、ディスクの中心から外側に向かって半径方向に(放射状に)磁気異方性が付けられている。
軟磁性層の厚さは、20nm〜2000nmであることが好ましく、40nm〜400nmであることが更に好ましい。
非磁性層は、後に形成する磁性層の垂直方向の磁気異方性を大きくする等の理由により設けられる。非磁性層に用いられる材料は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru(ルテニウム)、Pd(パラジウム)、Ta、Pt等が好ましい。非磁性層は、スパッタリング法により上記材料を成膜することにより形成される。非磁性層の厚さは、10nm〜150nmであることが好ましく、20nm〜80nmであることが更に好ましい。
磁性層は、垂直磁化膜(磁性膜内の磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向したもの)により形成されており、この磁性層に情報が記録される。磁性層に用いられる材料は、Co(コバルト)、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Co合金-SiO2、Co合金-TiO2、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi等)等が好ましい。これらの材料は、磁束密度が大きく、成膜条件や組成を調整することにより垂直の磁気異方性を有している。磁性層16は、スパッタリング法により上記材料を成膜することにより形成される。磁性層16の厚さは、10nm〜500nmであることが好ましく、20nm〜200nmであることが更に好ましい。
次に、本発明の磁気転写用マスター担体を用いて磁気記録媒体へ情報を転写する磁気転写方法の実施形態について説明する。
<磁気転写方法>
本発明の磁気転写方法は、初期磁化工程と、密着工程と、磁気転写工程と剥離工程と追加磁化工程を少なくとも含んでなり、さらに必要に応じて、その他の工程を含む。
<初期磁化工程>
初期磁化工程は、磁気記録媒体10を、該記録媒体10の表面に垂直な方向である初期磁化方向に初期磁化させる工程である。
図1(A)に示されるように、磁気記録媒体10の初期磁化は、磁気記録媒体10の表面に対し垂直な方向である初期磁化方向に初期磁化磁界を印加することができる装置(不図示の磁界印加手段)により初期磁化磁界Hiを発生させることにより行う。具体的には、初期磁化磁界Hiとして磁気記録媒体10の保磁力Hc以上の強度の磁界を発生させることにより行う。この初期磁化工程により、磁気記録媒体10の磁性層16(図2参照)について、ディスク面と垂直な一方向(本実施形態では図中下向き方向)に初期磁化させる。なお、この初期磁化工程は、磁気記録媒体10を磁界印加手段に対し相対的に回転させることにより行ってもよい。
また、磁気記録媒体を磁化するための印加磁界には、一方向に継続的に一定磁界を印加する直流磁界と、一方向の磁界を保ちつつ磁界の大きさが周期的に変動する交流磁界があり、初期磁化磁界は直流磁界および交流磁界のいずれでもよいが、装置の簡便さから直流磁界であることが好ましい。
<密着工程>
前記密着工程は、前記初期磁化工程後の磁気記録媒体に対して、磁気転写用マスター担体を密着させる工程である。例えば、マスター担体20と、初期磁化工程後の磁気記録媒体10とを図1(B)のように重ね合わせて両者を密着させる工程(密着工程)を行う。図1(B)に示されるように、密着工程では、マスター担体20の突起状パターン(凹凸パターン)の形成されている面と、磁気記録媒体10の磁性層16(図2参照)の形成されている面とを所定の押圧力で密着させる。
磁気記録媒体10には、マスター担体20に密着させる前に、グライドヘッド、研磨体等により、表面の微少突起又は付着塵埃を除去するクリーニング処理(バーニッシング等)が必要に応じて施される。
なお、密着工程は、図1(B)に示すように、磁気記録媒体10の片面のみにマスター担体20を密着させる場合と、両面に磁性層が形成された転写用磁気ディスクについて、両面からマスター担体を密着させる場合とがある。後者の場合では、両面を同時転写することができる利点がある。
<磁気転写工程>
磁気転写工程は、磁気記録媒体と磁気転写用マスター担体とを密着させた状態で、初期磁化方向と逆方向の磁界を印加し、磁気記録媒体に磁気情報を転写する工程である。
図1(C)を用いて磁気転写工程を説明する。上記密着工程により磁気記録媒体10とマスター担体20とを密着させたものについて、不図示の磁界印加手段により初期磁化方向と逆方向に転写用磁界Hdを発生させる。転写用磁界Hdを発生させることにより生じた磁束が磁気記録媒体10とマスター担体20に進入することにより磁気転写が行われる。
本実施形態では、転写用磁界Hdの大きさは、磁気記録媒体10の磁性層16を構成する磁性材料の保磁力Hcと略同じ値である。
磁気転写は、磁気記録媒体10及びマスター担体20を密着させたものを不図示の回転手段により回転させつつ、磁界印加手段によって転写用磁界Hdを印加し、マスター担体20に記録されている突起状のパターンからなる情報を磁気記録媒体10の磁性層16(図2参照)に磁気転写する。なお、この構成以外にも、磁界印加手段を回転させる機構を設け、磁気記録媒体10及びマスター担体20に対し、相対的に回転させる手法であってもよい。
磁気転写工程における、磁気記録媒体10とマスター担体20の断面の様子を図2に示す。図2に示されるように、凹凸パターンを有するマスター担体20を磁気記録媒体10に密着させた状態で、転写用磁界Hdを印加すると、磁束Gの磁束密度は、マスター担体20の凸領域と磁気記録媒体10が接触している領域では大きく、転写用磁界Hdにより、磁気記録媒体10の磁性層16の磁化向きが転写用磁界Hdの方向に揃い、磁気記録媒体10の磁性層16に磁気情報が転写される。一方、マスター担体20の凹領域は、転写用磁界Hdの印加によって生じる磁束Gの磁束密度が凸領域に比べて小さく、磁気記録媒体10の磁性層16のうち凹部に対応する部分の磁化向きが変わることはなく、初期磁化の状態を保ったままである。
図3は、磁気転写に用いられる磁気転写装置の一例について示したものである。磁気転写装置は、コア62にコイル63が巻きつけられた電磁石からなる磁界印加手段60を有するものであり、このコイル63に電源より電流を流すことによりギャップ64において、密着させたマスター担体20と磁気記録媒体10の磁性層に対し垂直に磁界を発生する構造になっている。発生する磁界の向きは、コイル63に流す電流の向きによって変えることができる。従って、この磁気転写装置によって、磁気記録媒体10の初期磁化を行うことも、磁気転写を行うことも、追加磁化を行うことも可能である。
この磁気転写装置により初期磁化させた後、磁気転写を行う場合には、磁界印加手段60のコイル63に、初期磁化したときにコイル63に流した電流の向きと逆向きの電流を流す。これにより、初期磁化方向と逆方向に転写用磁界Hdを発生させることができる。磁気転写は、磁気記録媒体10及びマスター担体20を密着させたものを不図示の回転手段により回転させつつ、磁界印加手段60によって転写用磁界Hdを印加し、マスター担体20に記録されている突起状のパターンからなる情報を磁気記録媒体10の磁性層16に磁気転写する。なお、この構成以外にも、磁界印加手段60を回転させる機構を設け、磁気記録媒体10及びマスター担体20に対し、相対的に回転させる構成であってもよい。
本実施形態では、転写用磁界Hdは、本実施の形態に用いられる磁気記録媒体10の磁性層16の保磁力Hcの60〜130%、好ましくは、70〜120%の強度の磁界を印加することにより磁気転写を行う。印加された転写用磁界Hdは、マスター担体の凹凸パターンによって凸部44に作用する磁界が高められることにより、保磁力Hcよりも大きな磁界となって、初期磁化と逆方向に磁化反転が起きる。
また、転写用磁界Hdとしては、直流磁界と、交流磁界のいずれも用いることができる。この際、印加する磁界の周波数を変更することで、磁気記録媒体の磁化挙動を変えて、高品質な磁気転写を行えるため、転写用磁界Hdとしては交流磁界を用いる方がより好ましい。
また、マスター担体20の凹凸パターンが図2のポジパターンと逆の凹凸形状のネガパターンの場合であっても、初期磁界Hiの方向および転写用磁界Hd方向を上記と逆方向にすることによって同様の情報を磁気的に転写記録することができる。なお、初期磁界Hiおよび転写用磁界Hdは、磁気記録媒体10の保磁力、マスター担体20および磁気記録媒体10の比透磁率等を勘案して定められた値を採用する必要がある。
これにより、磁気記録媒体10の磁性層16には、サーボ信号等の磁気パターンの情報が、初期磁化方向と逆方向の磁化となる記録磁化として記録される。
<剥離工程>
前記剥離工程は、磁気転写後、密着している磁気記録媒体10をマスター担体20から剥離する工程である。
<追加磁化工程>
前記追加磁化工程は、磁気転写後の磁気記録媒体の表面に垂直な方向、つまり、再度初期磁化方向に磁界を印加する工程である。
図1(E)に示されるように、磁気記録媒体10の表面に対し垂直に初期磁化磁界を外部印加することができる装置(不図示の磁界印加手段)により追加磁界Haを発生させることにより行う。
ここで、図4に示す磁気ヒステリシス曲線、および図5に示す磁気記録媒体の磁化の状態を示す図を用いて、磁化反転領域の減少化の原理を説明する。
図4は、磁気ヒステリシス曲線を示す。図4の実線は磁気記録媒体の磁気ヒステリシスであり、破線は本発明の課題となる磁気記録媒体の非転写領域における磁化反転領域の磁気ヒステリシスである。
図5は、磁気記録媒体の磁化の状態を示す図である。非転写領域は、マスター担体20の凹部46に対応する領域であり、磁気情報の転写を行わない領域である。転写領域は、マスター担体の凸部44に対応する領域であり、磁気情報を転写した領域である。なお、図5は、説明のために縮尺を調節して示したため、磁化反転領域Qi、Qdの形状や大きさや間隔等は実際の磁化反転領域を再現したものではない。
先述のように、理想的には、非転写領域は、転写用磁界Hdの印加によって生じる磁束Gの磁束密度が凸部44に比べて小さく、磁気記録媒体10の磁性層の磁化向きが変わることはなく、初期磁化の状態を保ったままのはずである。
しかし、実際には、図5に示すように、非転写領域でも磁気転写工程後の磁気記録媒体において、部分的に磁化が反転している局所的な磁化反転領域Qiが存在する。
これは、磁気記録媒体上に、図4の破線部に示すように、保磁力Hc´または反転磁界Hn´が、保磁力Hcまたは反転磁界Hnより低い場所が局所的に存在し、転写時に凹領域に作用する弱い転写磁界によって反転してしまうことが原因と予想される。
本発明者は、このような局所的な磁化反転領域では、弱い転写磁界で磁化向きが転写側に反転するが、逆に、弱い追加磁界で磁化向きが初期磁化側にも反転すると考え、剥離工程後に、再度初期磁化方向に反転磁界Hnの2倍以下の追加磁界Haを印加する追加磁化工程を行う本発明を考案した。
本発明の追加磁化工程を行うことにより、転写領域の磁化向きを変更しない比較的弱い磁界を印加することにより、非転写領域内において不本意に磁化が反転した磁化反転領域Qiのみの磁化向きを、再度初期磁化方向に戻すことができる。
これにより、マスター担体の凹領域に対応する非転写領域内において、磁性層が転写方向に反転している磁化反転領域Qiを減少することができ、かつ、転写領域内において、磁気記録媒体10の磁性層が転写方向に磁化している状態を維持することができるため、転写された磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写を実施することができる。
また、追加磁化工程で印加する追加磁界Haを保磁力Hcの0.1倍以上にすることにより、転写領域内の磁化反転領域Qiの磁化向きを、十分初期磁化方向に戻すことができるため、転写された磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写を実施することができる。
さらに、追加磁化工程で印加する磁界を反転磁界Hn以下にする場合は、より弱い磁界を使用することで、転写領域内において、磁気記録媒体の磁性層が転写方向に磁化している状態をより維持することができるため、転写された磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写を実施することができる。
また、追加磁化工程において印加する磁界は反転磁界Hnの2倍を超えるような大きすぎるものは不適当である。具体的には、反転磁界Hnの2倍を超える磁界を印加した場合には、図5に示すように磁気情報を転写した転写領域の磁化向きが初期磁化方向に反転磁化を開始し、転写領域に初期磁化方向に磁化反転した磁化反転領域Qdが生ずるため、転写品質が低下してしまうためである。
なお、この追加磁化工程は、磁気記録媒体10のみに対して行ってもよいし、本発明の効果を得られる範囲で、磁気記録媒体10を含む他のものに対して行ってもよい。具体的には、本発明の効果を損なわない材料や媒体を、磁気記録媒体に塗布、付加、重ね合わせ、張り合わせ等を行ったものに対して、追加磁化工程を行ってもよい。
なお、この追加磁化工程は、磁気記録媒体10を磁界印加手段に対し相対的に回転させることにより行ってもよい。また、追加磁界Haとしては、直流磁界と、交流磁界のいずれも用いることができるが、装置の簡便さの点から直流磁界が好ましい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の実施に際して、マスター担体20に形成された突起状のパターンは、図2で用いたポジパターンと反対のネガパターンであってもよい。この場合、初期磁化磁界Hiの方向及び転写用磁界Hdの方向を各々逆方向にすることにより、磁気記録媒体10の磁性層16に、同様の磁化パターンを磁気転写することができるからである。
なお、上述した本発明の磁気転写方法を用いた磁気記録媒体の製造方法は、例えば、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体の製造に使用される。これにより、サーボ精度が高く、良好な記録再生特性の高記録密度磁気記録媒体を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<マスター担体の作製>
8インチのSi(シリコン)ウェハー(基板)上に、電子線レジストを、スピンコート法により、100nmの厚みで塗布した。塗布後、基板上の該レジストを、回転式電子線露光装置を用いて露光し、露光後の該レジストを現像して、凹凸パターンを有するレジストSi基板を作製した。
その後、該レジストをマスクとして用い、該基板に対して、反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸パターンの凹部を掘り下げた。該エッチング処理後、該基板上に残存するレジストを可溶溶剤で洗浄し、除去した。除去後、該基板を乾燥したものを、マスター担体を調製するための原盤とした。
次に、上記原盤からめっき法によってマスター単体中間体を作成する方法を説明する。上記原盤上に、スパッタ法を用いてNi(ニッケル)導電性膜を20nm形成した。該導電性膜を形成した後の原盤を、スルファミン酸Ni浴に浸漬し、電解メッキにより、200μmの厚みのNi膜を形成した。その後、原盤よりNi膜を引き剥がし、洗浄して、Ni製のマスター担体中間体を得た。
さらに、上記マスター担体中間体上に、Ta膜からなる下地層をスパッタリング法にて形成した。具体的には、チャンバー内に基材と200mmの距離にターゲットTaを配置し、チャンバー内が0.5Paになるように、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを導入し、DC350Wで放電し、10nmのTa層をスパッタリング成膜した。
次に、上記下地層の上に、CoPt20at%磁性層を30nmをスパッタリング法にて形成した。具体的には、チャンバー内に基材と200mmの距離にターゲットCo80Pt20を配置し、チャンバー内が0.1Paになるように、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを導入し、DC1000Wで放電し、30nmのCoPt20at%層をスパッタリング成膜した。
以上のプロセスにより、本実施例1〜11および比較例1〜3におけるマスター担体を得た。
なお、かかる本実施例で作成したマスター単体の垂直磁化膜の飽和磁界Hsは5kOeであった。本実施例で作製したマスター担体にはスペース部(凹部)とライン部(凸部)が交互に形成されていて、凹凸の周期が120nmである転写用のパターンが形成されている。
<磁気記録媒体の作製>
本実施形態では、磁気記録媒体10の基板12として、外形2.5インチの円盤状のガラス基板を用いる。
まず、軟磁性層として、スパッタリング装置のチャンバー内にガラス基板を設置し、チャンバー内が0.6Paになるように、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを導入し、チャンバー内にあるCoZrNbターゲットを用い、DC1500Wで放電し100nm厚のSUL第1層をスパッタリング成膜した。
次に、第一非磁性配向層として、軟磁性層の上に、チャンバー内にあるTiターゲットを用いて、チャンバー内が0.5Paになるように、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを導入し、DC1000Wで放電し、5nmのTiシード層をスパッタリング成膜した。
さらにその上に、第二非磁性配向層として、チャンバー内にあるRuターゲットを用いて、チャンバー内が0.8Paになるように、チャンバー内にAr(アルゴン)ガスを流入し、DC1000Wで放電し、6nmのRu層をスパッタリング成膜した。
次に磁気記録層として、チャンバー内にあるCoCrPtOターゲットを用い、O2を0.06%含むAr(アルゴン)ガスをチャンバーに14Paになるまで流入したあと、DC290Wで放電し、18nm厚の磁気記録層をスパッタリング成膜した。
さらに保護層として、チャンバー内にあるC(カーボン)ターゲットを用い、チャンバー内が0.5Paになるように、チャンバーにAr(アルゴン)ガスを流入したあと、DC1000Wで放電し、4nm厚のC保護層を成膜した。
最後に、該媒体にディップ法により、PFPE潤滑剤を2nmの厚さで塗布した。
この記録媒体の保磁力Hcは、5.0kOe、反転磁界Hnは2.0kOeとした。
以上のプロセスにより、ガラス基板に、軟磁性層、非磁性層と磁性層が成膜された本実施例1〜11および比較例1〜3における磁気記録媒体10を作製した。
<初期磁化工程>
上記磁気記録媒体10に対して、直流磁界により初期磁化を行った。初期磁化の際に印加する磁界Hiの強度(初期磁化磁界強度)は10kOeであった。
<密着工程、磁気転写工程、剥離工程>
初期磁化済み磁気記録媒体10に対して、上記マスター担体を対向して配置し、これらを0.7MPaの圧力にて間密着させた。互いに密着した状態で、15Hzの交流磁界を印加して、磁気転写を行った。磁気転写に用いた磁界強度Hdは4.6kOeであった。磁界印加終了後、マスター担体を、磁気記録媒体10から剥離した。
<追加磁化工程>
剥離後、磁気記録媒体10に、初期磁化方向と同じ方向の直流磁界を印加した。印加した追加磁界Haの磁界強度は次のとおりである。実施例1から11および比較例1から2は、印加した追加磁界Haの磁界強度以外の条件は同一である。比較例3は、追加磁化工程のない従来どおりの製造方法の場合を示している。
実施例1 100 Oe
実施例2 200 Oe
実施例3 300 Oe
実施例4 500 Oe
実施例5 1000 Oe
実施例6 1500 Oe
実施例7 2000 Oe
実施例8 2500 Oe
実施例9 3000 Oe
実施例10 3500 Oe
実施例11 4000 Oe
比較例1 4500 Oe
比較例2 5000 Oe
比較例3 0 Oe

<評価>
磁気転写後の垂直記録媒体に対して、磁気力顕微鏡(MFM:Nanoscope V、カンチレバー:SSS-QM-FMR)を用いて転写パターンを観察した。
磁化反転領域の個数としては、以下に述べる非転写領域の磁化反転領域Qiの個数と転写領域の磁化反転領域Qdの個数を評価対象とした。
非転写領域の磁化反転領域の個数としては、磁化されるべきでない非転写領域(図6A上で暗くなっている部分)において、期待に反して磁化されている磁化反転領域Qi(図6A上で明るい小斑点に見える部分)の個数を、非転写領域の反転個数とする。
転写領域の磁化反転領域の個数としては、転写領域(図6A上で明るくなっている部分)において、期待に反して初期磁化方向に磁化されている磁化反転領域Qd(図6A上で暗い小斑点に見える部分)の個数を、転写領域の反転個数とする。
2um×2umの観察エリア内で、非転写領域における磁化反転領域Qiの個数を目測でカウントした。評価基準として、磁化反転領域Qiの個数が4個以下のものを○、5個以上40個未満を△、40個以上を×とした。また、2um×2umの観察エリア内で、転写領域における磁化反転領域Qdの個数を目測でカウントした。評価基準として、磁化反転領域Qdの個数が4個以下のものを○、5個以上40個未満を△、40個以上を×とした。
評価結果を表1に示す。表1において、「非転写領域の反転個数」とは、非転写領域における磁化反転領域Qiの個数を示し、「転写領域の反転個数」とは、転写領域における磁化反転領域Qdの個数を示す。
実施例1から11では、磁気転写―剥離後の磁気記録媒体10に対して、初期磁化方向に磁界を印加することにより、比較例3に示す追加磁化工程を行わない従来方法の場合より、非転写領域の磁化反転領域Qiの個数が減少することがわかる。また、磁気記録媒体10に印加する磁界強度が大きいほど、非転写領域の磁化反転領域Qiの個数が減少することがわかる。このことから、本発明の転写方法を用いることで、転写した磁化パターンの分離度が良好であり、高品質な磁気転写をおこなうことができているといえる。
図6Aに示す従来の転写方法(比較例3)で作成した磁気記録媒体10の磁気力顕微鏡図と図6Bに示す本発明の転写方法で作成した磁気記録媒体10の磁気力顕微鏡図を比較しても、非転写領域(図6A、図6Bの暗部)における磁化反転領域Qi(図6A、図6Bの暗部における明るい小領域)が減少していることが分かる。
実施例から、磁気記録媒体10に印加する追加磁界Haは、磁気記録媒体の保磁力Hcとした時、0.1Hc以上で好ましい結果が得られている。
一方で、比較例1および2に示すように、磁気記録媒体10に印加する追加磁界Haが、本磁気記録媒体10の反転磁界Hnの2倍である4000Oeを越えると転写領域において磁化反転領域Qdが現れることがわかる。この現象は、磁気転写で形成した転写領域の磁化が初期磁化方向に追加磁界Haを印加することで反転するためである。このようなQdの存在は、磁気転写の品質に悪い影響を与えると懸念される。よって、磁気記録媒体10に印加する追加磁界Haは反転磁界Hnの2倍以下が好ましく、更には反転磁界Hn以下であることがより好ましいといえる。
10 磁気記録媒体
16 磁気記録媒体記録層
20 マスター担体
42 基材
44 凸部
46 凹部
48 磁性層
60 磁界印加手段
62 コア
63 コイル
64 ギャップ
Hi 初期磁化磁界
Hd 転写用磁界
Hc 保磁力
Hn 反転磁界
Ha 追加磁界
Qi 非転写領域の磁化反転領域
Qd 転写領域の磁化反転領域

Claims (4)

  1. 磁気記録媒体を、該記録媒体の表面に垂直な方向である初期磁化方向に初期磁化させる初期磁化工程と、
    該初期磁化工程後の前記記録媒体に対して、表面に磁性層を有するパターン状の凸部を備えた磁気転写用マスター担体を密着させる密着工程と、
    前記記録媒体と前記マスター担体とを密着させた状態で、前記初期磁化方向と逆方向に磁界を印加し、前記記録媒体に磁気情報を転写する磁気転写工程と、
    前記記録媒体と密着した前記マスター担体を、前記記録媒体から剥離する剥離工程とを含む磁気転写方法において、
    前記マスター担体と前記記録媒体とを剥離した後、前記記録媒体に、前記初期磁化方向に、前記記録媒体の反転磁界の2倍以下の磁界を印加する追加磁化工程とを
    備えたことを特徴とする磁気転写方法。
  2. 前記追加磁化工程で印加する磁界が前記記録媒体の保磁力の0.1倍以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気転写方法。
  3. 前記追加磁化工程で印加する磁界が前記記録媒体の反転磁界以下であることを特徴とする請求項1または2記載の磁気転写方法。
  4. 請求項1から3いずれか1項記載の磁気転写方法により磁気情報を転写して磁気記録媒体を製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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