JP3787515B2 - 光ディスク基板用スタンパーおよびその製造方法 - Google Patents

光ディスク基板用スタンパーおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ディスク基板用スタンパーの製造方法、該製造方法により製造する光ディスク基板用スタンパーおよび該スタンパーを用いて製造したランド・グルーブ記録方式光ディスク基板上に磁性層を積層した光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクでは記録の高密度化のために様々な試みがなされている。例えば、特開平6−290496号公報には、磁壁移動検出方式による光磁気記録媒体の高密度化が提案されている。磁壁移動検出方式では、読み出し光スポットの温度勾配による磁壁の移動現象を利用して、線(トラック)方向に光スポット径で制約される限界を超えた再生分解能を得ることが出来る。
【0003】
図1(a)(b)(c)を用いて磁壁移動検出方式について簡単に説明する。図1は、磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体およびその再生方法における作用を説明するため模式図である。
【0004】
図1(a)は、光磁気記録媒体の模式的断面図である。この媒体の磁性層は、第1の磁性層111、第2の磁性層112、第3の磁性層113が順次積層されてなる。各層中の矢印114は原子スピンの向きを表している。スピンの向きが相互に逆向きの領域の境界部には磁壁115が形成されている。116は読み出し用の光スポット、矢印118は光磁気記録媒体の光スポットに対する移動方向である。
【0005】
図1(b)は、光磁気記録媒体上に形成される温度分布を示すグラフである。この温度分布は、再生用に照射されている光スポットによって媒体上に形成され、光スポットの手前側から温度Tが上昇し、光スポットの後方に温度のピークが来る。ここで位置Xs においては、媒体温度が第2の磁性層のキュリー温度近傍の温度Ts になっている。
【0006】
図1(c)は、(b)の温度分布に対応する第1の磁性層の磁壁エネルギー密度σ の分布を示すグラフである。この様にX方向に磁壁エネルギー密度σ の勾配があると、位置Xに存在する第1の磁性層の磁壁に対して力F1=−(∂σ/∂X)が作用する。図1(d)にF1のX方向の分布を示す。この力F1 は、磁壁エネルギーの低い方に磁壁を移動させるように作用する。第1の磁性層は、磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きいので、単独では、この力F1 によって容易に磁壁が移動する。しかし、位置Xsより手前(図では右側)の領域では、まだ媒体温度がTs より低く、磁壁抗磁力の大きな第3の磁性層と交換結合しているために、第3の磁性層中の磁壁の位置に対応した位置に第1の磁性層中の磁壁も固定されている。
【0007】
磁壁移動検出方式においては、図1(a)に示す様に、磁壁115が媒体の位置Xs にあると、媒体温度が第2の磁性層のキュリー温度近傍の温度Ts まで上昇し、第1の磁性層と第3の磁性層との間の交換結合が切断される。この結果、第1の磁性層中の磁壁115は、破線矢印117で示した様に、より温度が高く磁壁エネルギー密度の小さな領域へと”瞬間的”に移動する。
【0008】
再生用の光スポット116の下を磁壁115が通過すると、光スポット内の第1の磁性層の原子スピンは一方向に揃う。そして、媒体の移動に伴って磁壁115が位置Xs に来る度に、光スポットの下を磁壁115が瞬間的に移動し光スポット内の原子スピンの向きが反転して一方向に揃う。この結果、図1(a)に示す様に、再生信号振幅は記録されている磁壁の間隔(即ち記録マーク長)によらず、常に一定かつ最大の振幅になり、光学的な回折限界に起因した波形干渉等の問題から解放される。磁壁移動の発生は、磁壁移動領域の磁化反転に伴う再生用レーザビームの偏光面の回転として、従来の光磁気ヘッドで検出することが出来る。
【0009】
図2は、光磁気記録媒体の層構成を示す模式的断面図である。この図においては、基板124上に、誘電体層123、第1の磁性層122、第2の磁性層121、第3の磁性層120、誘電体層119が順次積層されている。矢印125は記録再生のための光ビームの入射する方向である。透明基板124としてはポリカーボネート、誘電体層123としては、Si3N4を使用した。Si3N4層積層時にはArガスに加えてN2ガスを導入し、直流反応性スパッタにより層厚800Åを積層した。引き続き、第1の磁性層としてGdCo層を300Å、第2の磁性層としてDyFe層を100Å、第3の磁性層としてTbFeCo層を800Å順次積層した。各磁性層は、Gd、Dy、Tb、Fe、Coの各ターゲットに直流パワーを印加して積層した。これら各層は、マグネトロンスパッタ装置による連続スパッタリングによって被着形成できる。特に各磁性層は、真空を破ることなく連続積層されることで、互いに交換結合をしている。最後に、保護層119としてSi3N4層を同様に800Å積層した。
【0010】
各磁性層の組成は、全て補償組成近傍になるように調整し、キュリー温度は、第1の磁性層が210℃以上、第2の磁性層が120℃、第3の磁性層が290℃程度となるように設定した。このような構成の光磁気記録媒体のトラック上(トラックピッチ=0.85μm)に0.1μm間隔で記録された磁区を波長λ=680nm、NA=0.55の通常の光ヘッド(光スポット径≒1μm)を用いて、磁壁移動検出方式によりキャリアー対雑音電力比(Carrier to Noise Ratio;C/N比と表すことがある)40dBで再生することが出来た。
【0011】
図3は、図2にて説明した構成の光磁気記録媒体のランド部およびグルーブ部における層構成を示す模式的断面図である。光ビーム125の入射方向から遠い記録トラック8をランドトラック、入射方向に近い記録トラック9をグルーブトラックと呼ぶ。ランドトラックおよびグルーブトラックの双方に情報の記録を行うランド・グルーブ記録方式においては、ランドトラックを記録再生する際には、グルーブトラックがトラッキング用のガイド溝となり、グルーブトラックを記録再生する際には、ランドトラックがトラッキング用のガイド溝となって、ランドトラックとグルーブトラックの双方に記録ができるので、トラック方向の記録密度の向上に有効である。
【0012】
前述したように、磁壁移動検出方式を用いることにより、トラック方向記録密度を向上させることが出来るので、これとランド・グルーブ記録方式とを組み合わせることにより、面記録密度を従来の光磁気記録との比較で飛躍的に向上させることが可能である。
【0013】
さらに、ランド・グルーブ記録方式において、磁壁移動を容易にするための工夫としては、図3に示すような急峻なテーパ部を有する所謂深溝基板(特開平9−161321号公報参照)を用いることが効果的である。この基板に指向性の高い成膜方法で磁性膜を成膜すれば、テーパ部(即ち、ランドトラックとグルーブトラックの間の側壁部)には実質的に磁性膜が堆積しないようにすることが出来る。これより、ランドトラックとグルーブトラック夫々に対して、側壁部に磁壁が実質的に存在しない磁区を形成することが可能になり、磁気的にトラックが分断され磁壁移動が起こり易くなる。ランドトラック8とグルーブトラック9の機械的距離は、少なくとも磁性膜の合計膜厚(実施例では80nm)を超えた80〜300nm程度に選ぶと良い。
【0014】
加えて、側壁部に磁性膜が堆積しないようにすることは、隣接トラックへの熱干渉を抑制し、クロスイレーズ耐性を向上する上でも有効である。また同時に、磁壁移動検出方式にとっては、再生時に隣接トラックからのクロストークを抑制する効果が期待できる。なぜなら、再生時に隣接トラックを磁壁移動開始温度Ts以上に加熱しないように出来るからである。このため、隣接トラックに記録された磁区では、磁壁移動が起こらず、通常の光磁気再生が行われるが、記録マーク長を光スポットの分解能以下に選択しておけば、大きなクロストークが発生することはない。
【0015】
前述した磁気的なトラックの分断効果、クロスイレーズ耐性向上およびクロストーク抑制効果の相乗効果により、深溝基板と磁壁移動検出方式の組み合わせは、面記録密度を飛躍的に向上させることが可能である。(詳細な説明は、日本応用磁気学会誌 Vol.23, No.2, 1999,p764−769,白鳥「磁壁移動検出方式による光磁気ディスクの高密度化」を参照)
ここで、従来技術に基づく光ディスク基板用スタンパーの製造方法例について図4を用いて説明する。
【0016】
図4(1)において外形200mm、厚さ6mmで表面粗度5nm以下に研磨されたガラス原盤1に、シランカップリング材などのプライマーをスピンコートした。ポジ型フォトレジスト2をスピンコートしてフォトレジスト原盤を作製した後、フォトレジスト原盤をクリーンオーブン内でプリベークした。レジスト層の厚さは、200nmである。図4(2)において波長458nmのArイオンレーザーを光源として搭載した露光装置により、フォトレジスト原盤の所定の領域を露光する。3は露光装置の光ビーム、4は露光部、5は未露光部である。フォトレジストは使用目的によって、露光部分を使用するネガ型フォトレジスト、未露光部分を使用するポジ型フォトレジストに分類されることは知られており、必要によって使い分けられる。例えば、トラックピッチは1.0μm、現像後にランドトラック8(あるいはグルーブトラック9)幅が略0.5μmに形成されるようにレーザビーム強度を設定して連続的に露光した。露光時のフォトレジスト原盤の回転数は900rpm、レーザースポット直径は約0.45μmである。
【0017】
図4(3)では無機アルカリ液と超純水とを混合し希釈した現像液でスピン洗浄し、露光部を除去した。この後、純水洗浄、スピン乾燥を行い、その後、クリーンオーブンでポストベークしガラスマスター原盤を作製した。フォトレジストが除去された部分が、グルーブトラック9、残留した部分がランドトラック8となる。
【0018】
図4(4)ではその後ガラスマスター原盤表面にNi層をスパッタリングして導電層6を成膜した。図4(5)において、このNi導電層上にNi電鋳を行った。15はNi電鋳層である。図4(6)にて、Ni電鋳面を裏面研磨後、ガラスマスター原盤より金属スタンパーを剥離した。
【0019】
図4(7)にてスタンパー7として完成する。
【0020】
また上記のようにスタンパー作製は長い工程を必要としているがガラス原盤1枚からスタンパーは1枚しか取れず、コスト的にも高いものとなっている。スタンパー1枚あたりのコストを低減させるために、剥離した金属スタンパーをマスタースタンパーとし、表面に酸化処理を行いマザースタンパー/サンスタンパーと言ったスタンパーファミリーを作製することにより大量にスタンパーを作製し1枚あたりのコスト低減を行っている。
【0021】
図5を用いて、ファミリースタンパーの作製方法について説明する。
【0022】
マスタースタンパー71より、マザースタンパー72を作製する際、マスタースタンパー71表面へ直接Ni電鋳を行うと、同じ金属同士のため剥離が不可能となってしまう。
【0023】
その為、マスタースタンパー71とマザースタンパー72、マザースタンパー72とサンスタンパー73の剥離を可能とする為、マスタースタンパー71またはマザースタンパー72表面に酸化処理を行い剥離層を形成する。
【0024】
図5(1)においてマスタースタンパー71を重クロム酸溶液内70に所定の時間、浸漬し表面に酸化層74を形成し、図5(2)に示すように酸化層を形成したマスタースタンパー71上にNi導電層処理を施し、さらに、図5(3)に示すようにNi電鋳を行い所望の層厚のNi電鋳層15を得る。その後、図5(4)に示すように、マスタースタンパー71とNi電鋳層15を剥離し、マザースタンパー72を得ることとなる。同様の工程をマザースタンパー72に行うことによって、サンスタンパー73を得ることが可能となる。また一度ファミリー作製に使用されたマスタースタンパー71およびマザースタンパー72は表面処理を行い、再びファミリースタンパー作製に使用され、複数回同様の工程を行うことによって大量のサンスタンパー73を得ることが可能となる。
【0025】
また重クロム酸溶液70に浸漬する方法以外の方法でスタンパー表面に酸化層74を得る方法として、特開昭54−40239号公報では導電層6のNi層に相当する表面を次亜ハロゲン酸で酸化する方法や、特開昭59−173288号公報では導電化膜6のNi膜に相当する表面に酸素プラズマ処理すること、などが提案されており、Ni導電膜上あるいは、Ni膜に相当する導電化膜への酸化処理を行うことで剥離層を形成することが可能である。
【0026】
その後、プレス打ち抜きや、裏面研磨を行い所望の形状にし、金属スタンパーが完成する。この金属スタンパーを使用して、射出成形法や光重合法(Photo-Polymerization法;2P法と表すことがある)によってランド・グルーブ記録方式光ディスク基板を複製する。この後光ディスク基板上にアルミニウム等の金属反射膜や磁性膜を形成して光ディスクを形成する。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
当初より磁壁移動検出方式には矩形性の良いランド部およびグルーブ部から形成される凹凸形状(ランド/グルーブ形状と表すことがある)が最適と思われていたが、ランド/グルーブ形状と磁壁移動検出方式の関係を調べた結果、矩形性が高いランド/グルーブ形状よりもランドトラックとグルーブトラックとの間の側壁部分にある程度のテーパ角を有しており、ランド/グルーブ形状も平坦ではなくある程度曲率を有しているほうが、磁壁移動検出方式に最適な形状であることが判明した。
【0028】
本発明者は磁壁移動検出方式に最適なランド/グルーブ形状を有する基板の作製を試み、上記スタンパー作製工程のプロセス条件を検討し最適化を進めたが、問題点の(1)として単発的にスタンパーのランド/グルーブ形状を最適化することは可能であるが、複数枚のスタンパー作製を行うと個々のスタンパーのランド/グルーブ形状の再現が難しく、同一ランド/グルーブ形状を有するスタンパーを大量に作製することは困難であった。
【0029】
また、同一ランド/グルーブ形状を有する光ディスク基板用スタンパーを作製する方法として、前記ファミリースタンパーによるスタンパーの複製を行う方法が知られている。しかしながら、ファミリースタンパーによる方法では金属スタンパー同士の剥離を可能とする為に、スタンパー表面へ剥離層である酸化皮膜形成が必須であり、それによって表面へ酸化皮膜の残留物が発生し表面性状の劣化へと繋がる虞があることが問題点の(2)として挙げられている。磁壁移動検出方式においては、表面性状が荒れることは磁壁の移動を妨げる要因となり得ることから、表面性状が劣化し表面粗さが増大しているスタンパーで作製した基板を用いて光磁気記録媒体を作製すると、表面性状が荒れるために磁壁の移動が妨げられる虞がある。従って、この方法により磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体用基板のスタンパーを作製することは非常に困難であろうと推定される。
【0030】
その他にランド/グルーブ形状を変化させる方法として、2P法より得られた光ディスク基板にUVオゾン処理をすることにより、磁壁移動検出方式に適したランド/グルーブ形状を作製することも可能である。
【0031】
しかし、生産性およびコストを考慮すると2P法で光ディスク基板を生産することは実現性に乏しく、更にUVオゾン処理を行わなければ磁壁移動検出方式として実使用に適する光ディスク基板とするのが困難であるところからこの方法によって実生産された例は見られない。
【0032】
そこで本発明者は、金属スタンパーより2P法によって2P原盤を作製し、この2P原盤からスタンパーを作製する方法を用いて複製スタンパーの作製を試みた。
【0033】
2P原盤にUVオゾン処理を行い、ランド/グルーブ形状を磁壁移動検出方式に適した形状とすることは可能であったが、問題点(3)としてUVオゾン処理を行うことによって2P原盤の表面が荒れ、2P原盤より得られるスタンパー表面も荒れるという現象が観察された。前記のごとくスタンパー表面が荒れることは、磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体用の光ディスク基板の作製に使用するうえにおいては好ましいことではない。
【0034】
また問題点(4)として2P法で作製しUVオゾン照射により磁壁移動に適したランド/グルーブ形状を作製した光ディスク基板単体と、2P原盤へUVオゾン処理を行ないこれからスタンパーを作製し、該スタンパーから2P法で光ディスク基板を作製した場合にはランド/グルーブ形状、特にランド/グルーブ形状の深さ(グルーブ深さと表すことがある)が当初より浅くなり磁壁移動検出方式を用いた光磁気記録媒体として信号再生を行うとドライブ側のフォーカスが掛からない事が判明した。それに対する対策としてグルーブ深さの変化量に相当する分、グルーブ深さを深くしたスタンパーを作製しUVオゾン処理を行い、最終的に得られるスタンパーのグルーブ深さを当初、最適化されたグルーブ深さと同じになるようにスタンパーを作製したが、それでは磁壁移動検出方式に最適な状態のランド/グルーブ形状とするのが困難であることが明らかとなった。
【0035】
このように、従来より行われていた技術では、磁壁移動検出方式に最適なランド/グルーブ形状を有するスタンパーもしくは基板単品を作製することは可能であるが、上述した如く、大量に、磁壁移動検出方式に最適なランド/グルーブ形状を有するスタンパーまたは基板を、バラツキ少なく、作製することは困難であった。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来のスタンパー製造方法とは異なり、磁壁移動検出方式に最適なランド/グルーブ形状のスタンパーを大量に作製することを可能にし、且つランド/グルーブ形状をランド部またはグルーブ部の各々で変化させることが可能な製造方法を提供することにある。
【0037】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次に記載する事項により特定することができる。
(1)ガラス原盤にフォトレジストを塗布して作製したフォトレジスト原盤に光ビームを用いて記録パターンを露光する工程A、露光したフォトレジスト原盤を現像してガラスマスター原盤を作製する工程B、ガラスマスター原盤から2P樹脂を用いて表面のランド/グルーブ形状を転写して2Pマスター原盤を作製する工程C、2Pマスター原盤に剥離層を形成して剥離層形成2Pマスター原盤を作製する工程D、剥離層形成2Pマスター原盤から2P樹脂を用いて表面のランド/グルーブ形状を転写し2Pマザー原盤を作製する工程E、2Pマザー原盤表面に導電層を形成し導電層形成2Pマザー原盤を作製する工程F、および、導電層形成2Pマザー原盤から電鋳によって表面のランド/グルーブ形状を転写し金属スタンパーを作製する工程Gを有する光ディスク基板用スタンパーの製造方法において、工程Dの剥離層形成条件または工程Fの導電層形成条件を調節することにより、金属スタンパーの表面のランド/グルーブ形状を調節することを特徴とする光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(2)前記工程Dにおいて、少なくとも1層の剥離層をスパッタリング法によって前記2Pマスター原盤の表面に形成することを特徴とする(1)記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(3)前記工程Fにおいて、少なくとも1層の導電層をスパッタリング法によって前記2Pマザー原盤表面に形成することを特徴とする(1)または(2)に記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(4)前記工程Dにおいて、5〜15nmの厚さを有する剥離層を形成することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(5)前記工程Fにおいて、50〜150nmの厚さを有する導電層を形成することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(6)前記光ディスク基板がランド・グルーブ記録方式光ディスク基板であることを特徴とする(1)ないし()のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
(7)(1)ないし()のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法により製造することを特徴とする光ディスク基板用スタンパー。
【0038】
【実施例】
次に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する
(実施例1)
図6は本発明の光ディスク基板用スタンパーの製造方法の概要を示す図である。
【0039】
また表面観察は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、NanoScopeIII(米国デジタルインスツルメント社製、商品名)のタッピングモードAFMを用い探針は通常より先端の角度が鋭角なスパイクチップを用いて測定した。
【0040】
外形200mm、厚さ6mmで表面粗度Ra=5nm以下に研磨されたガラス原盤1を用意し十分洗浄する。ガラス原盤1に、シランカップリング材、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)をスピンコートし下地処理をした後、ポジ型フォトレジスト2(東京応化製:TSMR−8900、商品名)を用いフォトレジスト層厚が180nmとなるようにスピンコートしフォトレジスト原盤を作製した。シランカップリング材はHMDSを使用したが限定されるものでは無い。フォトレジスト原盤をプリベークした後、次に光源としてArイオンレーザーを搭載した露光装置により、原盤ガラスの半径24mmから40mmまでの領域を光ビーム3により露光した。なおトラックピッチは1.2μmであり現像後に幅が0.6μmのランド幅、グルーブ幅となるようなゾーンが出来るよう、半径位置によりレーザーパワーを変更しながら断続的に露光を行った。露光時の原盤ガラスの回転数は900rpm、レーザー光のスポット径は約0.45μmである。光源としてArイオンレーザーを使用しているが、その他にもHe−Cdイオンレーザーや電子線、紫外線等、他の光源による露光装置を用いることができ、特定の露光装置に限定されない。
【0041】
露光したフォトレジスト原盤を現像し、ガラスマスター原盤を作製する。
【0042】
上記ガラスマスター原盤を用いて、図6(4)にて2Pマスター原盤81を作製した。2Pマスター原盤81の作製に際しては、ガラスマスター原盤の作製に使用したのと同じガラス原盤1を用いたが、表面荒さ、材質、大きさ等は、特に規定されるものでは無い。2Pマスタ原盤81となるガラス原盤1の表面にはフォトレジスト原盤作製時と同様にシランカップリング剤などにより、プライマー処理を施した。その後光重合樹脂(2P樹脂と表すことがある)80をガラスマスター原盤上に適量、滴下し泡やごみの混入に細心の注意を払いながら、2Pマスター原盤81となるガラス原盤1を乗せた。ガラス原盤1が位置ずれを起こさぬ様、UVオゾン照射装置内へ入れ、硬化した後に、ガラスマスター原盤を剥離し、図6(5)に示す2Pマスター原盤81を得た。
【0043】
2Pマスター原盤81表面の残留レジストを除去する為、アルカリ溶液によってこれを除去し、純水によって原盤ガラス表面の洗浄を行った。その後、表面を充分乾燥させる為、クリーンオーブンで90℃で30分間ベークした。
【0044】
図6(6)に示すように、2Pマスター原盤81の表面に、剥離層83としてSiN層を形成し剥離層形成2Pマスター原盤を作製した。この時の層厚は10nmであった。剥離層83としてはSiN層に限定されるものではなく、他にもNi、TiN層等でも同様の効果を得ることができ、緻密な薄層を形成できれば材質を問わない。剥離層の層構成としては1層に限定されるものではない。この時の、スパッタリング条件は、従来条件の倍の電流値にて行い、スパッタ圧力:4×10-3Pa 、スパッタ時間:15分、スパッタ電力:200Wとした。
【0045】
2Pマスター原盤へのスパッタ条件の電流値を上げることによって、ランドトラック側の形状が変化し、ランドトラック両側の肩がなだらかになる効果が得られた。これは、2Pマスター原盤表面へ打ち込まれるターゲット粒子が従来条件より加速され、それによって2Pマスター原盤表面、とりわけ、ランドトラック両側の肩部がエッチングされランド/グルーブ形状が変化したものと考えられる。また、従来条件よりも加速されたターゲット粒子のため表面の平滑性が低下するかと思われたが形成される剥離層が緻密になり、むしろ表面の平滑性が向上するという結果が得られた。また、剥離層の形成に使用するガス種、ターゲット材料を選択することにより、表面粗さをある程度コントロールすることができる。本実施例においてはアルゴンガスを用いたがキセノンガスやクリプトンガスを使用すると更に緻密な表面性が得られることが確認された。
【0046】
図6(6)に示した剥離層形成2Pマスター原盤81を用い、図6(7)に示すように、2Pマスター原盤を作製するのと同じ方法で図6(8)に示す2Pマザー原盤82を作製した。
【0047】
図6(9)に示すように2Pマザー原盤82上に、導電層6を形成し導電層形成2Pマザー原盤を作製した。スパッタリングによって100nmの層厚のNi導電層を形成し、図6(10)に示すようにNi電鋳を300μm行った。このときのNi導電層の形成条件は、従来条件とし、スパッタ圧力:4×10-3Pa、スパッタ時間:2分、スパッタ電力:100Wにて行った。
【0048】
Ni電鋳層15を剥離し、図6(11)にて所望の形状に打ち抜き金属スタンパー7を得た。これをスタンパーAとした。このように作製されたスタンパーから、2P法により直径86.0mmのランド・グルーブ記録方式光ディスク基板を作製した。光ディスク基板の作製には、紫外線硬化樹脂(日本化薬製:INC−118 商品名)を用い、直径86.0mmのガラス基板へ2P法によりスタンパーAのパターンをガラス基板へと転写作製した。これを基板Aとした。
【0049】
更に、スタンパーを作製すべく、スタンパーA作製時に用いた2Pマザー原盤の上へ前述した方法でNi導電層を形成し、Ni電鋳、剥離、打ち抜きを行いスタンパー7を得た。これをスタンパーBとした。このように作製されたスタンパーBから、上記の方法でランド・グルーブ記録方式光ディスク基板を作製した。これを基板Bとした。
【0050】
スタンパーB作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.406nm、2Pマザー原盤では0.400nmであり、スタンパーAでは0.459nm、スタンパーBでは0.451nmであり、基板Aでは0.474nm、基板Bでは0.458nmとなった。同様にスタンパーB作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.384nm、2Pマザー原盤では0.404nmであり、スタンパーAでは0.440nm、スタンパーBでは0.435nmであり、基板Aでは0.459nm、基板Bでは0.423nmとなった。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003787515
【0052】
またスタンパーAおよびスタンパーBの断面図を図7に示す。同図に示すごとくランドトラック側の形状を大きく変化させる事が可能となり、なおかつスタンパーAとスタンパーBのランド/グルーブ形状にほとんど差異がみられず、再現性よくスタンパーを作製できることを示している。
【0053】
なお、基板特性の確認のために、上記基板AおよびBを用いて磁壁移動検出方式の光磁気媒体を作製した。上記基板上に磁壁移動検出方式の光磁気媒体の誘電体層であるSiN層を厚さ80nm形成し、次に第1の磁性層(磁壁移動層)としてGdFeCo層を厚さ30nm、第2の磁性層(スイッチング層)としてDyFe層を厚さ10nm、第3の磁性層(メモリ層)としてTbFeCo層を厚さ80nm、順次スパッタリングにより形成した。最後に誘電体層(保護層)としてSiN層を厚さ80nm形成した。上記の各層を形成した後、紫外線硬化型樹脂(日本化薬製:OVD-327Z、商品名)により前記保護層面にハードコートを形成して光磁気記録媒体サンプルAおよびBを作製した。紫外線硬化型樹脂は特に限定されるものではない。このようにして作製した光磁気記録媒体を波長680nm、対物レンズNA0.6のドライブ装置によって評価した。評価は第1の磁性層からの反射光量信号をオシロスコープへ取り込み、ランドトラック、グルーブトラック各々のノイズレベルを測定することによって行った。
【0054】
ノイズレベルの評価の最も良い部分で光磁気記録媒体サンプルAのランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。同様に光磁気記録媒体サンプルBのランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%であった。また上記ドライブ装置に乗せ、信号評価としてC/N比の測定を行なったところ、43dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。
【0055】
その後、スタンパーAおよびBを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、該2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し形状を観察したところ上記の結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、また、これらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同様にスタンパー7、基板および光磁気記録媒体の作製を行った。但し、スパッタ圧力:4×10-3Pa、スパッタ時間:10分、スパッタ電力:130Wにて行った。2Pマスター原盤に形成した剥離層のSiN層の層厚を5nmとした。
【0057】
このようにして作製したスタンパー7をスタンパーC、Dとし、基板を基板C、Dとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルC、Dとした。
【0058】
実施例1と同様にして、2Pマスター原盤、2Pマザー原盤、スタンパーCおよびD、基板CおよびDの表面粗さの測定を行ない、光磁気記録媒体サンプルCおよびDの評価を行った。
【0059】
スタンパーD作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.406nm、2Pマザー原盤では0.410nmであり、スタンパーCでは0.479nm、スタンパーDでは0.481nmであり、基板Cでは0.574nm、基板Dでは0.558nmとなった。同様にスタンパーD作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.384nm、2Pマザー原盤では0.404nmであり、スタンパーCでは0.480nm、スタンパーDでは0.485nmであり、基板Cでは0.509nm、基板Dでは0.523nmとなった。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003787515
【0061】
またスタンパーCおよびDの断面図を図8に示す。スタンパーCとDのランド/グルーブ形状にほとんど差異がみられず、形状再現性よくスタンパーを作製できることを示している。また、実施例1のスタンパーよりランドトラック側の形状が平坦なランド/グルーブ形状を有するスタンパーを作製することができた。
【0062】
なお光磁気記録媒体サンプルCおよびDのノイズレベルの評価は、もっとも良い部分でランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。実施例1と同様に信号評価としてC/N比の測定を行なったところ、41dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。
【0063】
その後、スタンパーC、Dを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、該2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し形状を観察したところ、上記結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、また、これらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様にスタンパー7、基板および光磁気記録媒体の作製を行った。但し、スパッタ圧力:4×10-3Pa 、スパッタ時間:20分、スパッタ電力:200Wにて行った。2Pマスター原盤に形成した剥離層のSiN層の層厚を15nmとした。
【0065】
このようにして作製したスタンパー7をスタンパーE、Fとし、基板を基板E、Fとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルE、Fとした。
【0066】
実施例1と同様にして、表面粗さの測定を行ない、光磁気記録媒体サンプルの評価を行った。
【0067】
スタンパーF作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.396nm、2Pマザー原盤では0.398nmであり、スタンパーEでは0.419nm、スタンパーFでは0.411nmであり、基板Eでは0.474nm、基板Fでは0.458nmとなった。同様にスタンパーE作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.384nm、2Pマザー原盤では0.404nmであり、スタンパーEでは0.400nm、スタンパーFでは0.385nmであり、基板Eでは0.439nm、基板Fでは0.423nmとなった。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 0003787515
【0069】
またスタンパーEおよびFの断面図を図9に示す。スタンパーEおよびFのランド/グルーブ形状にほとんど差異がみられず、形状再現性よくスタンパーを作製することができた。
【0070】
なお、光磁気記録媒体サンプルEおよびFのノイズレベルの評価は、最も良い部分でランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。実施例1と同様、信号評価としてC/N比の測定を行なったところ、43dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。
【0071】
その後、スタンパーE、Fを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し形状を観察したところ、上記結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、またこれらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0072】
(実施例4)
実施例1と同様にスタンパー7、基板および光磁気記録媒体の作製を行った。但し、2Pマスター原盤への剥離層の形成条件は従来条件とし、スパッタ圧力:4×10-3Pa、スパッタ時間:15分、スパッタ電力:100Wにて層厚7nmの剥離層を形成した。また2Pマザー原盤へのNi導電層のスパッタリング条件を変更した。従来条件よりもスパッタ電流を高めに設定した。スパッタ圧力:4×10-3Pa、スパッタ時間:2分、スパッタ電力:400Wで導電層形成を行ない、層厚100nmのNi導電層を形成した。
【0073】
このようにして作製したスタンパー7をスタンパーGとし、基板を基板Gとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルGとした。またスタンパーG作製後の2Pマザー原盤よりスタンパーHを作製し、基板を基板H、光記録媒体サンプルを光記録媒体サンプルHとした。この時スタンパーHのNi導電層処理条件は従来条件である。
【0074】
実施例1と同様にして、2Pマスター原盤、2Pマザー原盤、スタンパーGおよびH、基板GおよびHの表面粗さの測定を行ない、光磁気記録媒体サンプルGおよびHの評価を行った。
【0075】
スタンパーH作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.406nm、2Pマザー原盤では0.375nmであり、スタンパーGでは0.389nm、スタンパーHでは0.381nmであり、基板Gでは0.470nm、基板Hでは0.448nmとなった。同様にスタンパーH作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.414nm、2Pマザー原盤では0.374nmであり、スタンパーGでは0.380nm、スタンパーHでは0.385nmであり、基板Gでは0.409nm、基板Hでは0.423nmとなった。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
Figure 0003787515
【0077】
また、スタンパーGおよびHの断面図を図10に示す。
【0078】
実施例1とは逆に、グルーブトラックの形状を変化させることが可能となった。
【0079】
また、スタンパーGとHのランド/グルーブ形状にほとんど差異がみられず、形状再現性よくスタンパーを作製することができた。
【0080】
なお、光磁気記録媒体サンプルGおよびHのノイズレベルの評価は、最も良い部分でランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。信号評価としてC/N比の測定は、43dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。
【0081】
その後、スタンパーG、Hを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、該2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し形状を観察したところ、上記結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、またこれらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0082】
(実施例5)
実施例4と同様にスタンパー7、基板および光磁気記録媒体の作製を行った。但し、Ni導電層のスパッタ電流を更に高めに設定した。スパッタ圧力:4×10-3Pa、スパッタ時間:1分、スパッタ電力:800Wとして導電層形成を行ない、層厚150nmの導電層を形成した。
【0083】
このようにして作製したスタンパー7をスタンパーIとし、基板を基板Iとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルIとした。またスタンパーI作製後の2Pマザー原盤より、スタンパーJを作製、基板を基板Jとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルJとした。
なおスタンパーJを作製する時の、Ni導電層処理条件は従来条件である。
【0084】
実施例4と同様にして、2Pマスター原盤、2Pマザー原盤、スタンパーIおよびJ、基板IおよびJの表面粗さの測定を行ない、光磁気記録媒体サンプルIおよびJの評価を行った。
【0085】
スタンパーJ作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.406nm、2Pマザー原盤では0.410nmであり、スタンパーIでは0.479nm、スタンパーJでは0.481nmであり、基板Iでは0.574nm、基板Jでは0.558nmとなった。同様にスタンパーJ作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.384nm、2Pマザー原盤では0.404nmであり、スタンパーIでは0.480nm、スタンパーJでは0.485nmであり、基板Iでは0.509nm、基板Jでは0.523nmとなった。結果を表5に示す。
【0086】
【表5】
Figure 0003787515
【0087】
また、スタンパーIとJの断面図を図11に示す。実施例4で形成できたグルーブトラックの形状を更に変化させることが可能となった。また、スタンパーIとJのランド/グルーブ形状にはほとんど差異がみられず、形状再現性よくスタンパーを作製することができた。
【0088】
なお、光磁気記録媒体サンプルIおよびJのノイズレベルの評価は、最も良い部分でランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。信号評価としてC/N比の測定は、44dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。
【0089】
その後、スタンパーI、Jを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、該2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し、形状を観察したところ、上記結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、またこれらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0090】
(実施例6)
実施例4と同様にスタンパー7、基板および光磁気記録媒体の作製を行った。但し、2Pマスター原盤への剥離層の形成条件を実施例3と同様とした。
【0091】
このようにして作製したスタンパー7をスタンパーKとし、基板を基板Kとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルKとした。またスタンパーK作製後の2Pマザー原盤より、スタンパーLを作製、基板を基板Lとし、光磁気記録媒体サンプルを光磁気記録媒体サンプルLとした。
【0092】
なおスタンパーLを作製する時の、Ni導電層処理条件は従来条件である。
【0093】
実施例4と同様にして、2Pマスター原盤、2Pマザー原盤、スタンパーKおよびL、基板KおよびLの表面粗さの測定を行ない、光磁気記録媒体サンプルKおよびLの評価を行った。
【0094】
スタンパーL作製後のランドトラックの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.346nm、2Pマザー原盤では0.341nmであり、スタンパーKでは0.369nm、スタンパーLでは0.371nmであり、基板Kでは0.384nm、基板Lでは0.358nmとなった。同様にスタンパーL作製後のグルーブトラックでの表面粗さRaは2Pマスター原盤では0.334nm、2Pマザー原盤では0.344nmであり、スタンパーKでは0.348nm、スタンパーLでは0.348nmであり、基板Kでは0.359nm、基板Lでは0.323nmとなった。結果は表6に示す。
【0095】
【表6】
Figure 0003787515
【0096】
また、スタンパーKおよびLの断面図を図12に示す。
【0097】
この図に示した結果から明らかなように、ランドトラックおよびグルーブトラック両者のランド/グルーブ形状を変化させることが可能となった。また、スタンパーKとLのランド/グルーブ形状にほとんど差異がみられず、形状再現性よくスタンパーを作製することができた。
【0098】
なお、光磁気記録媒体サンプルKおよびLのノイズレベルの評価は、最も良い部分でランドトラックでは0.1v(反射光量信号AC成分)/2.3v(反射光量信号DC成分)=4.3%となり、グルーブトラックでは0.15v/2.5v=6%となった。信号評価としてC/N比の測定は、47dbであり実使用上十分に改善された結果となり、磁壁の移動も阻害される事は無かった。ランドトラックおよびグルーブトラック両者の形状に曲率を付与することにより、磁壁移動検出方式としてランドトラック、グルーブトラックでの信号再生時の信号ジッタを大幅に改善することができた。
【0099】
その後、スタンパーK、Lを作製した2Pマザー原盤より、10枚のスタンパーを作製し、該2Pマザー原盤およびスタンパーのグルーブトラックおよびランドトラックの表面粗さを測定し形状を観察したところ、上記結果と測定誤差を超える有意の変化は無く、またこれらのスタンパーで作製した基板を用いて調製した光磁気記録媒体は、いずれも磁壁移動が円滑であった。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る光ディスク基板用スタンパーの製造方法は、2Pマスター原盤に剥離層を形成して剥離層形成2Pマスター原盤を作製する工程または2Pマザー原盤表面に導電層を形成し導電層形成2Pマザー原盤を作製する工程において、各々の層を形成する条件を調節することによりランド/グルーブ形状を容易に調節し磁壁移動検出方式に最適なランド/グルーブ形状を作製することが可能である。また、本発明によれば、本発明の光ディスク基板用スタンパー、光磁気記録媒体を再現性よく、大量に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体およびその再生方法における作用を説明するための模式図である。
【図2】光磁気記録媒体の層構成を示す模式的断面図である。
【図3】図2にて説明した構成の光磁気記録媒体のランド部およびグルーブ部における層構成を示す模式的断面図である。
【図4】従来技術に基づく光ディスク基板用スタンパーの製造方法例の説明図である。
【図5】ファミリースタンパーの作製方法の概要を示す図である。
【図6】本発明の光ディスク基板用スタンパーの製造方法の概要を示す図である。
【図7】実施例1におけるスタンパーAおよびBのAFM図である。
【図8】実施例2におけるスタンパーCおよびDのAFM図である。
【図9】実施例3におけるスタンパーEおよびFのAFM図である。
【図10】実施例4におけるスタンパーGおよびHのAFM図である。
【図11】実施例5におけるスタンパーIおよびJのAFM図である。
【図12】実施例6におけるスタンパーKおよびLのAFM図である。
【符号の説明】
1 ガラス原盤
2 フォトレジスト
3 光ビーム
4 露光部
5 未露光部
6 Ni導電層
7 スタンパー
8 ランドトラック
9 グルーブトラック
70 重クロム酸溶液
71 マスタースタンパー
72 マザースタンパー
73 サンスタンパー
74 酸化層
80 2P樹脂
81 2Pマスター原盤
82 2Pマザー原盤
83 剥離層
111 第1の磁性層
112 第2の磁性層
113 第3の磁性層
114 原子スピン
115 磁壁
116 読み出し用光スポット
117 磁壁の移動方向
118 基板移動方向
119 誘電体層
120 第3の磁性層
121 第2の磁性層
122 第1の磁性層
123 誘電体層
124 基板
125 光ビーム

Claims (7)

  1. ガラス原盤にフォトレジストを塗布して作製したフォトレジスト原盤に光ビームを用いて記録パターンを露光する工程A、露光したフォトレジスト原盤を現像してガラスマスター原盤を作製する工程B、ガラスマスター原盤から2P樹脂を用いて表面のランド/グルーブ形状を転写して2Pマスター原盤を作製する工程C、2Pマスター原盤に剥離層を形成して剥離層形成2Pマスター原盤を作製する工程D、剥離層形成2Pマスター原盤から2P樹脂を用いて表面のランド/グルーブ形状を転写し2Pマザー原盤を作製する工程E、2Pマザー原盤表面に導電層を形成し導電層形成2Pマザー原盤を作製する工程F、および、導電層形成2Pマザー原盤から電鋳によって表面のランド/グルーブ形状を転写し金属スタンパーを作製する工程Gを有する光ディスク基板用スタンパーの製造方法において、工程Dの剥離層形成条件または工程Fの導電層形成条件を調節することにより、金属スタンパーの表面のランド/グルーブ形状を調節することを特徴とする光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  2. 前記工程Dにおいて、少なくとも1層の剥離層をスパッタリング法によって前記2Pマスター原盤の表面に形成することを特徴とする請求項1記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  3. 前記工程Fにおいて、少なくとも1層の導電層をスパッタリング法によって前記2Pマザー原盤表面に形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  4. 前記工程Dにおいて、5〜15nmの厚さを有する剥離層を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  5. 前記工程Fにおいて、50〜150nmの厚さを有する導電層を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  6. 前記光ディスク基板がランド・グルーブ記録方式光ディスク基板であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載の光ディスク基板用スタンパーの製造方法により製造することを特徴とする光ディスク基板用スタンパー。
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