JPH1092032A - 光磁気記録媒体用基板およびその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体用基板およびその製造方法

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JPH1092032A
JPH1092032A JP24800596A JP24800596A JPH1092032A JP H1092032 A JPH1092032 A JP H1092032A JP 24800596 A JP24800596 A JP 24800596A JP 24800596 A JP24800596 A JP 24800596A JP H1092032 A JPH1092032 A JP H1092032A
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magnetic
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Yasushi Hozumi
靖 穂積
Tsutomu Shiratori
力 白鳥
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な再生特性を有し、高密度な光磁気記録
媒体が形成可能な光磁気記録媒体用基板を提供する。 【解決手段】 グルーヴ部と、グルーヴ部に対して凸形
状を示すランド部と、グルーヴ部とそのグルーヴ部に隣
接するランド部との間にグルーヴ部に対して凹形状を示
す溝部とを有する光磁気記録媒体用基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気光学効果を利
用してレーザー光により情報の記録再生を行う光磁気記
録媒体に用いる基板、及び該基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】書き換え可能な高密度記録方式として、
半導体レーザーの熱エネルギーを用いて磁性薄膜に磁区
を書き込んで情報を記録し、その磁気光学効果を利用し
てこの情報を読み出すことができる光磁気記録媒体が注
目されている。また近年、この光磁気記録媒体の記録密
度を更に高めた大容量の記録媒体の要求が高まってい
る。
【0003】光磁気記録媒体等の光ディスクの線記録密
度は、再生光学系のレーザー波長および対物レンズの開
口数に大きく依存する。すなわち、再生光学系のレーザ
ー波長λと対物レンズの開口数NAが決まるとビームウ
ェストの径が決まるため、信号再生時の空間周波数は2
NA/λ程度が検出可能な限界となってしまう。したが
って、従来の光ディスクで高密度化を実現するために
は、再生光学系のレーザー波長を短くし、対物レンズの
開口数NAを大きくする必要がある。
【0004】しかしながら、レーザー波長や対物レンズ
の開口数の改善にも限度がある。このため、記録媒体の
構成や読み取り方法を工夫することにより記録密度を改
善する技術が開発されている。
【0005】例えば、特開平3−93058号および特
開平6−124500号公報においては、磁気的に結合
される再生層と記録保持層とを有してなる多層膜の記録
保持層に信号記録を行うとともに、再生層の磁化の向き
を揃えた後(特開平6−124500号公報では磁化方
向は面内)、レーザー光を照射して加熱し、再生層の昇
温領域に記録保持層に記録された信号を転写しながら読
み取る信号再生方法が提案されている。この方法によれ
ば、再生用のレーザー光のスポット径に対して、このレ
ーザー光によって加熱されて転写温度に達し信号が検出
される領域は、より小さな領域に限定できるため、再生
時の符号間干渉を減少させ、光の回折限界以下の周期の
信号が再生可能となる。
【0006】しかしながら、上記特開平3−93058
号および特開平6−124500号公報記載の光磁気再
生方法は、再生用のレーザー光のスポット径に対して、
有効に使用される信号検出領域が小さくなるため、再生
信号振幅が大幅に低下し、十分な再生出力が得られない
欠点を有している。
【0007】このような特開平3−93058号および
特開平6−124500号記載の光磁気再生方法の欠点
を補った、光磁気再生方法、光磁気記録媒体および光磁
気再生装置が特開平6−290496号公報において提
案されている。この特開平6−290496号公報にお
いては、磁気的な交換結合を利用した、少なくとも3層
で構成される多層膜からなる光磁気記録媒体を用い、再
生信号振幅を低下させることなく光の回折限界以下の周
期の信号が高速で再生可能となり、記録密度ならびに転
送速度を大幅に向上できる光磁気再生方法、その方法に
用いられる光磁気記録媒体および再生装置が提案されて
いる。
【0008】図5は、上記特開平6−290496号公
報に記載の光磁気記録媒体およびその再生方法における
再生原理の模式的説明図である。
【0009】図5(a)は光磁気記録媒体の模式的断面
図を示し、この媒体の磁性層は、第1の磁性層(5
1)、第2の磁性層(52)、第3の磁性層(53)が
順次積層されてなる。各層中の矢印(54)は原子スピ
ンの向きを表している。スピンの向きが相互に逆向きの
領域の境界部には磁壁(55)が形成されている。ま
た、この記録層の記録信号を下側に波形として表す。
【0010】図5(b)は、光磁気記録媒体に形成され
る温度分布を示すグラフである。この温度分布は、再生
用に照射されている光ビーム自身によって媒体上に誘起
されるものでもよいが、望ましくは別の加熱手段を併用
して、再生用の光ビームスポット(56)の手前側から
温度を上昇させ、スポットの後方に温度のピークがくる
ような温度分布を形成する。ここで位置Xsにおいて
は、媒体温度が第2の磁性層のキュリー温度近傍の温度
Tsになっている。
【0011】図5(c)は、図5(b)の温度分布に対
応する第1の磁性層の磁壁エネルギー密度σの分布を示
すグラフである。このようにX方向に磁壁エネルギー密
度σの勾配があると、位置Xに存在する各層の磁壁に対
して下記式から求められる圧力fが作用する。
【0012】f=∂σ/∂X この圧力fは、磁壁エネルギーの低い方に磁壁を移動さ
せるように作用する。第1の磁性層は、磁壁抗磁力が小
さく磁壁移動度が大きいので、単独ではこの圧力fによ
って容易に磁壁が移動する。しかし、位置Xsより手前
(図では右側)の領域では、まだ媒体温度がTsより低
く、磁壁抗磁力の大きな第3の磁性層と交換結合してい
るために、第3の磁性層中の磁壁の位置に対応した位置
に第1の磁性層中の磁壁も固定されている。
【0013】図5(a)に示すように、磁壁(55)が
媒体の位置Xsにあると、媒体温度が第2の磁性層のキ
ュリー温度近傍の温度Tsまで上昇し、第1の磁性層と
第3の磁性層との間の交換結合が切断される。この結
果、第1の磁性層中の磁壁(55)は、破線矢印(5
7)で示すように、より温度が高く磁壁エネルギー密度
の小さな領域へと“瞬間的”に移動する。
【0014】再生用の光ビームスポット(56)の下を
磁壁(55)が通過すると、スポット内の第1の磁性層
の原子スピンは全て一方向に揃う。そして、媒体の移動
に伴って磁壁(55)が位置Xsに来る度に、スポット
の下の磁壁(55)が瞬間的に移動しスポット内の原子
スピンの向きが反転して全て一方向に揃う。この結果、
図5(a)に示すように、再生信号振幅は記録されてい
る磁壁の間隔(すなわち記録マーク長)によらず、常に
一定かつ最大の振幅になり、光学的な回折限界に起因し
た波形干渉等の問題から完全に開放されるのである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら実際は、
磁壁(55)に働く圧力として、上記の圧力f以外の圧
力も働いている。この圧力を誘発するエネルギーとし
て、主に第1磁性層の保持力エネルギーと、磁壁(5
5)以外の磁壁エネルギー(例えば、磁壁の移動に伴
う、移動方向と直交する領域において新たに形成される
磁壁による磁壁エネルギー)がある。ここで、保磁力エ
ネルギーによって誘発される圧力をf1、磁壁(55)
以外の磁壁エネルギーによって誘発される圧力をf2と
すると、f1はfと逆向きにする作用する圧力であり、
f2は、磁壁に作用する圧力の向きにおいて、記録状態
に依存する圧力である。
【0016】図6は磁壁(55)にかかる圧力Fの模式
的説明図である。図6(a)に示すような記録マーク
(61)を再生する場合、温度Tsの等温線(63)が
記録マーク(61)に差し掛かったとき、f2はfと逆
向きに作用すると圧力として働く。これは、以下のよう
に説明することができる。磁壁(55)が圧力fの方向
に移動しようとする場合、記録マーク(61)に関し
て、移動方向と直交する領域に形成される磁壁の面積が
拡大する方向に、言い換えれば、磁壁(55)以外の磁
壁エネルギーが増加する方向に進むということになる。
一方、磁壁(55)は磁壁エネルギーができるだけ小さ
くなる方向に推移しようとする。したがって、f2はf
とは逆向きに作用する圧力として働くのである。
【0017】図6(b)に示すような記録マーク(6
2)を再生する場合は、温度Ts以上の加熱領域内にあ
る記録マーク(61)に関して、磁壁(55)の移動に
対し、移動方向と直交する領域に形成される磁壁の面積
が縮小する方向に、言い換えれば、磁壁(55)以外の
磁壁エネルギーが減少する方向に進むので、この結果、
f2はfと同じ向きに作用する圧力として働く。
【0018】以上から、圧力f2の存在は、図6(a)
のような記録マーク(61)を再生する場合、磁壁(5
5)の加熱領域への移動を困難にし、逆に図6(b)の
ような記録マーク(62)を再生する場合には磁壁(5
5)の移動を促進する。この結果、記録状態による圧力
Fの変化に伴い磁壁の挙動が変化して再生信号のジッタ
が増大し、従来形状の基板では十分な再生特性が得られ
なかった。
【0019】そこで本発明はこのような課題を解決すべ
くなされたものであり、すなわち本発明は、磁壁(5
5)を加熱領域内へ安定に移動可能にするため、記録領
域であるトラックと隣接するトラックとの間の磁壁エネ
ルギーを減少させて圧力f2の影響を小さくし、トラッ
ク側部の磁壁の生成・消滅に伴う磁壁(55)に働く圧
力Fの変動を抑制することによって、良好な再生特性を
得ることを目的とする。
【0020】さらに、高密度記録媒体の実現を可能にす
るには、安定な微小記録ビットの形成も重要な条件の一
つであり、上記トラック間の磁壁エネルギーの減少は記
録ビットの安定性の向上にもつながる。すなわち本発明
の他の目的は、安定な微小記録ビットを形成し、記録媒
体の高密度化を達成することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を
完成した。
【0022】第1の発明は、グルーヴ部と、グルーヴ部
に対して凸形状を示すランド部と、グルーヴ部とそのグ
ルーヴ部に隣接するランド部との間にグルーヴ部に対し
て凹形状を示す溝部とを有することを特徴とする光磁気
記録媒体用基板に関する。
【0023】第2の発明は、ガラス板上に二層からなる
レジストを、ガラス板に近い側の第1の層とガラス板に
遠い側の第2の層とで極性が異なるようにそれぞれ所定
厚で塗布する工程と、必要によってプリベークする工程
と、変調されたレーザービームを用いて露光する工程
と、現像する工程とによってレジスト原盤を製造する工
程を含む第1の発明の光磁気記録媒体用基板の製造方法
に関する。
【0024】第3の発明は、前記二層からなるレジスト
がポジ型フォトレジストとネガ型フォトレジストからな
り、該ポジ型フォトレジストの感度が該ネガ型フォトレ
ジストの感度よりも高感度である第2の発明の、光磁気
記録媒体用基板の製造方法に関する。
【0025】第4の発明は、前記第2又は第3の発明に
おけるレジスト原盤製造工程と、そのレジスト原盤を用
いてスタンパを作製する工程と、そのスタンパを用いて
樹脂成形により基板を作製する工程を含む第1の発明の
光磁気記録媒体用基板の製造方法に関する。
【0026】なお、本発明の光磁気記録媒体用基板は、
従来方法による、単層のレジスト層を3値以上の強度変
調可能なレーザー光で露光して作製したレジスト原盤か
らスタンパを作製し、そのスタンパを用いて樹脂成形し
て製造することもできるが、上記本発明の製造方法を用
いることが好ましい。本発明の製造方法を用いることに
より、なんら困難な装置改良をすることなく、レジスト
原盤製造工程における従来のレーザービームを用いて露
光する装置でも、回折限界以下の幅を有する溝部を形成
することができ、上記従来方法よりもトラック方向の記
録密度の向上が容易になし得る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を挙げ
て図面を参照しながら説明する。
【0028】図1は、本発明の光磁気記録媒体用基板の
模式的断面図である。本発明の光磁気記録媒体用基板
は、ランド部(11)とグルーヴ部(12)との間に、
グルーヴ部に対して凹形状を示す溝部(13)を有する
ことを大きな特徴とする。
【0029】この溝部(13)では、記録磁性膜の成膜
の際に、ランド部壁面とグルーヴ部壁面により磁性膜の
付着が抑止され、ランド部とグルーヴ部間で磁気的結合
が弱まる、あるいは分断される。すなわち、記録領域で
あるトラックと該トラックに隣接するトラックとの間で
磁性膜の付着が抑止されることによって磁気的結合が弱
まり或いは分断され、その結果、従来形状を有する基板
上に成膜した場合の光磁気記録媒体において形成される
磁壁(磁壁の移動に伴う移動方向と直交する領域におい
て形成される磁壁)が形成され難いものになる。これに
よって、磁壁の移動方向と直交する領域において形成さ
れる磁壁からの磁壁エネルギーは減少あるいは消失し、
その結果、第1の磁性層の磁壁の加熱領域内への安定な
移動を可能にする。
【0030】以下に上記光磁気記録媒体用基板の製造方
法について説明する。
【0031】[実施形態1]図2は、本発明の光磁気記
録媒体用基板の製造方法におけるレジスト原盤作製工程
の説明図である。
【0032】まず、平滑に研磨されたガラス板(20)
に、第1のレジスト層(21)としてビスアジド系感光
剤およびゴムからなるネガ型フォトレジストをスピンナ
ーで塗布する(図2(a))。厚みにはベーキングによ
る減少分を考慮しておく。
【0033】次いで、プリベークにより溶剤を揮発させ
た後、第2のレジスト層(22)として第1の層のネガ
型フォトレジストよりも高分光感度の、キノンジアジド
系感光剤およびノボラック樹脂からなるポジ型フォトレ
ジストをスピンナーで塗布する(図2(b))。このと
きも厚みはベーキングによる減少分を考慮しておく。そ
して、プリベークにより溶剤を揮発させる。
【0034】このようにして作製されたレジスト原盤を
2値の変調強度をもつレーザー光で露光する(図2
(c))。これにより、第1の層がネガ型フォトレジス
ト、第2の層はポジ型フォトレジストであることから、
現像時は、露光された箇所は第1の層が耐食性層となっ
て残留し、第2の層が溶解して消失する。逆に露光して
いない箇所は第1の層が溶解して消失し、第2の層が耐
食性層となって残留する。このときの各層の反応領域を
図3(a)に示す。第1の層のネガ型フォトレジスト
(31)は、第2の層のポジ型フォトレジスト(32)
よりも低分光感度であることから、レーザー光に対する
反応領域は第1の層よりも第2の層の方が大きい。その
結果、所定時間の現像後、図2(d)のような形状を有
するレジスト原盤が得られた。なお、当然のことなが
ら、2値以上の多値の変調強度を有するレーザー光によ
り、いわゆるビット等を形成して作製することも可能で
ある。
【0035】この原盤からスタンパを作製し、射出成形
機により図1に示すような形状を有する樹脂基板を成形
した。本実施形態では、射出成形によりポリカーボネー
ト基板を作製したが、基板としては、例えばガラス基板
上にUV硬化樹脂を塗布してスタンパ上の情報を転写、
その後UV照射して樹脂を硬化して作製する基板なども
使用できる。
【0036】以上のようにして作製した基板上に特開平
6−290496号公報で提案されているような記録膜
をスパッタ法により成膜した。記録膜としては、基板上
に第1の誘電体層(SiN)、第1の磁性層(GdF
e)、第2の磁性層(TbFe)、第3の磁性層(Tb
FeCo)、第2の誘電体層(SiN)を順次積層し
た。
【0037】各誘電体層としては、上記誘電体層の他
に、例えばAlN、SiO2、SiO、ZnS、MgF2
などの透明誘電材料が使用できる。また、各磁性層とし
ては、上記磁性材料を含む種々の磁性材料によって構成
することが考えられる。例えば、Pr、Nd、Sm、G
d、Tb、Dy、Hoなどの希土類金属元素の一種類あ
るいは二種類以上が10〜40at%と、Fe、Co、
Niなどの遷移金属の一種類あるいは二種類以上が90
〜60at%とで構成される希土類−遷移金属非晶質合
金によって構成し得る。また、耐食性向上などのため
に、これにCr、Mn、Cu、Ti、Al、Si、P
t、Inなどの元素を少量添加してもよい。
【0038】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
を、レーザー光(波長780nm)を照射しながら外部
磁界を変調して0.75μmの繰り返しパターンで記録
した後、加熱用レーザーを付加した偏光顕微鏡により、
サンプル裏面から局所加熱したときの磁壁の挙動を観察
した。その結果、加熱用レーザースポット径の内側に
3.5μm程度の、記録マーク長(0.75μm)より
も大きい磁区が観測され、すなわち、加熱領域への磁壁
の移動が観測された。このとき、図6(a)に示すよう
な記録マーク(61)について観測したときと、図6
(b)に示すような記録マーク(62)について観測し
たときとで、磁壁移動後の記録マーク長に差はみられな
かった。
【0039】さらに、一般的な光磁気ディスク記録再生
装置の光学系に、加熱用レーザーを付加した測定装置で
C/N比(キャリアレベル対ノイズレベルの比)を観測
した。記録情報は、線速度4m/secとしてレーザー光
を照射しながら外部磁界を変調して、10MHzの記録
周波数でキャリア信号を書き込んだ。このとき、54d
BのC/N比が得られた。なお以上の測定は、ランド部
上にトラッキングサーボをかけて行ったが、グルーヴ部
上にトラッキングサーボをかけて測定した場合にも、全
く同様の結果が得られた。
【0040】[実施形態2]実施形態1と同様に、ま
ず、平滑に研磨されたガラス板(20)に第1のレジス
ト層(21)として、キノンジアジド系感光剤およびノ
ボラック樹脂からなるポジ型フォトレジストをスピンナ
ーで塗布する(図2(a))。厚みはベーキングによる
減少分を考慮しておく。
【0041】次いで、プリベークにより溶剤を揮発させ
た後、第2のレジスト層(22)として第1の層のポジ
型フォトレジストよりも低分光感度の、ビスアジド系感
光剤およびゴムからなるネガ型フォトレジストをスピン
ナーで塗布する(図2(b))。このときも厚みはベー
キングによる減少分を考慮しておく。そして、プリベー
クにより溶剤を揮発させる。
【0042】このようにして作製されたレジスト原盤を
2値の変調強度をもつレーザー光で露光する(図2
(c))。これにより、第1の層がポジ型フォトレジス
ト、第2の層はネガ型フォトレジストであることから、
現像時は、露光された箇所は第1の層が溶解して消失
し、第2の層が耐食性層となって残留する。逆に、露光
していない箇所は第1の層が耐食性層となって残留し、
第2の層が溶解して消失する。このときの各層の反応領
域を図3(b)に示す。第1の層のポジ型フォトレジス
ト(32)は第2の層のネガ型フォトレジスト(31)
よりも高分光感度であることから、レーザー光に対する
反応領域は第1の層よりも第2の層のほうが小さい。そ
の結果、所定時間の現像後、図2(d)のような形状を
有するレジスト原盤が得られた。なお、当然のことなが
ら、2値以上の多値の変調強度を有するレーザー光によ
り、いわゆるビット等を形成して作製することも可能で
ある。
【0043】この原盤からスタンパを作製し、射出成形
機により図1に示すような形状を有する樹脂基板を成形
した。その後、実施形態1と同じ処方の記録膜をスパッ
タ法により成膜した。
【0044】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
を、レーザー光(波長780nm)を照射しながら外部
磁界を変調して0.75μmの繰り返しパターンで記録
した後、加熱用レーザーを付加した偏光顕微鏡により、
サンプル裏面から局所加熱したときの磁壁の挙動を観察
した。その結果、加熱用レーザースポット径の内側に
3.5μm程度の、記録マーク長(0.75μm)より
も大きい磁区が観測され、すなわち、加熱領域への磁壁
の移動が観測された。このとき、図6(a)に示すよう
な記録マーク(61)について観測したときと、図6
(b)に示すような記録マーク(62)について観測し
たときとで、磁壁移動後の記録マーク長に差はみられな
かった。
【0045】さらに、一般的な光磁気ディスク記録再生
装置の光学系に、加熱用レーザーを付加した測定装置で
C/N比(キャリアレベル対ノイズレベルの比)を観測
した。記録情報は、線速度4m/secとしてレーザー光
を照射しながら外部磁界を変調して、10MHzの記録
周波数でキャリア信号を書き込んだ。このとき、53d
BのC/N比が得られた。
【0046】[比較例1]平滑に研磨されたガラス板
(40)に、レジスト層としてキノンジアジド系感光剤
およびノボラック樹脂からなるポジ型フォトレジストを
スピンナーで塗布する。この後、プリベークにより溶剤
を揮発させ、レジスト原盤を2値の変調強度をもつレー
ザー光で露光し現像した結果、図4のような断面形状を
有するレジスト原盤が得られた。
【0047】この原盤からスタンパを作製し、射出成形
機により樹脂基板を成形した後、実施形態1と同じ処方
の記録膜をスパッタ法により成膜した。
【0048】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
を、レーザー光(波長780nm)を照射しながら外部
磁界を変調して0.75μmの繰り返しパターンで記録
した後、加熱用レーザーを付加した偏光顕微鏡により、
サンプル裏面から局所加熱したときの、図6(a)に示
すような記録マーク(61)に関して、磁壁の挙動を観
測したが、加熱領域内への磁壁の移動は見られなかっ
た。
【0049】[比較例2]平滑に研磨されたガラス板
(40)に、レジスト層としてキノンジアジド系感光剤
およびノボラック樹脂からなるポジ型フォトレジストを
スピンナーで塗布する。この後、プリベークにより溶剤
を揮発させ、レジスト原盤を2値の変調強度をもつレー
ザー光で露光し現像した結果、図4のような断面形状を
示すレジスト原盤が得られた。
【0050】この原盤からスタンパを作製し、射出成形
機により樹脂基板を成形した後、実施形態1と同じ処方
の記録膜をスパッタ法により成膜した。
【0051】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
について、下記の測定の前処理として、記録トラックに
隣接する未記録トラックの磁気的結合をパワー12mW
のレーザー光の照射により弱めた。ここで、ランド部を
記録トラックとした場合にグルーヴ部を未記録トラック
とし、一方、グルーヴ部を記録トラックとした場合にラ
ンド部を未記録トラックとする。また、前処理のための
レーザービームの照射位置は、未記録トラックに just
on focus するようにしてレーザービームを照射する。
【0052】この前処理を施した光磁気記録媒体を、レ
ーザー光(波長780nm)を照射しながら外部磁界を
変調して0.75μmの繰り返しパターンで記録した
後、加熱用レーザーを付加した偏光顕微鏡により、サン
プル裏面から局所加熱したときの磁壁の挙動を観測し
た。その結果、加熱用レーザースポット径の内側に、図
6(a)に示すような記録マーク(61)に関しては
2.5μm、図6(b)に示すような記録マーク(6
2)に関しては5μmの、記録マーク長(0.75μ
m)よりも大きい磁区が観測され、すなわち、加熱領域
への磁壁の移動が観測された。
【0053】さらに、一般的な光磁気ディスク記録再生
装置の光学系に、加熱用レーザーを付加した測定装置で
C/N比(キャリアレベル対ノイズレベルの比)を観測
した。記録情報は、線速度4m/secとしてレーザー光
を照射しながら外部磁界を変調して、10MHzの記録
周波数でキャリア信号を書き込んだ。このとき、48d
BのC/N比が得られた。
【0054】比較例2は、ハイパワーのレーザービーム
の照射により未記録トラックの磁性を弱め、磁壁(5
5)の移動方向に直交する磁壁エネルギーを小さくして
磁壁移動再生を行っている。しかし上記磁壁エネルギー
は、実施形態1及び2の磁壁エネルギーよりも大きく、
すなわち、比較例2の方が圧力f2の影響が大きく、ビ
ットの記録状態(例えば記録マーク(61),(62))に磁壁
の移動が依存してしまい、再生時の磁壁の移動速度、移
動磁区の大きさが記録状態により変化する。したがっ
て、安定な磁壁の移動という点で、比較例2は実施形態
1及び2より劣っており、特に、再生信号のジッターの
増大、再生信号振幅の不安定性という形で信号品質を劣
化させるという問題点を有する。また、前処理のハイパ
ワーのレーザービームの照射は、未記録トラックだけで
なく記録トラックにも影響をおよぼし、記録トラック領
域の磁性が弱まることにより再生信号振幅の低下を招
き、信号品質を劣化させるという問題点も有する。
【0055】[実施形態3]本実施形態におけるレジス
ト原盤は、実施形態1と同様にして作製した。図2
(d)のような形状を有するレジスト原盤が得られた。
この原盤からスタンパを作製し、射出成形機により樹脂
基板を成形した。
【0056】その後、上記基板上に、特開平6−124
500号公報で提案されているような記録膜をスパッタ
法により成膜した。記録膜としては基板上に第1の誘電
体層(SiN)、第1の磁性層(GdFeCo)、第2
の磁性層(TbFeCo)、第2の誘電体層(SiN)
を順次積層した。
【0057】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
を、線速度9m/secとしてレーザー光(波長780n
m)を照射しながら外部磁界を変調して、記録層に2〜
15MHzの範囲内でキャリア信号を書き込み、C/N
比(キャリアレベル対ノイズレベルの比)の記録周波数
依存性を調べた。図7にこのときの依存性の結果を示
す。本実施形態による光磁気記録媒体は、高記録周波数
帯域までC/N比が高く、良好な再生特性を維持したま
ま高記録密度化が実現できることがわかる。したがっ
て、本発明による光磁気記録媒体は、従来以上の高い記
録領域までの記録・再生が可能であり、すなわち、さら
なる微小記録マークの記録・再生が可能であり、いっそ
うの高記録密度化が実現できる。
【0058】[比較例3]平滑に研磨されたガラス板に
レジスト層としてキノンジアジド系感光剤およびノボラ
ック樹脂からなるポジ型フォトレジストをスピンナーで
塗布した。この後、プリベークにより溶剤を揮発させ、
レジスト原盤を2値の変調強度をもつレーザー光で露光
し現像した結果、図4のような断面形状を示すレジスト
原盤が得られた。
【0059】この原盤からスタンパを作製し、射出成形
機により樹脂基板を成形した後、実施形態3と同じ処方
の記録膜をスパッタ法により成膜した。
【0060】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
を、線速度9m/secとしてレーザー光(波長780n
m)を照射しながら外部磁界を変調して、記録層に2〜
15MHzの範囲内でキャリア信号を書き込み、C/N
比(キャリアレベル対ノイズレベルの比)の記録周波数
依存性を調べた。図7にこのときの依存性の結果を示
す。
【0061】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体用基板によれ
ば、その特殊な基板形状から、記録領域であるトラック
と該トラックに隣接するトラックとの間の磁壁エネルギ
ーが減少し、磁壁(55)が加熱領域内へ安定に移動可
能となる。また、上記トラック間の磁壁エネルギーが減
少することにより、圧力f2の影響も小さくなり、トラ
ック側部の磁壁の生成・消滅に伴う磁壁(55)に働く
圧力Fの変動が抑制される。これらにより、良好な再生
特性を得ることが可能となる。
【0062】また本発明にれば、上記トラック間の磁壁
エネルギーの減少分だけ記録マークの安定化、さらなる
記録マーク長の細密化も図れ、よりいっそうの記録密度
の向上も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体用基板の模式的断面図
である。
【図2】本発明の光磁気記録媒体用基板の製造方法にお
けるレジスト原盤作製工程の説明図である。
【図3】本発明の製造方法におけるレジスト層のレーザ
ー光に対する反応領域を表した模式的断面図である。
【図4】従来形状の光磁気記録媒体用レジスト原盤の模
式的断面図である。
【図5】光磁気記録媒体の再生原理の模式的説明図であ
る。
【図6】2種類の記録状態でのそれぞれの磁壁の移動の
際に磁壁に働く圧力の模式的説明図である。
【図7】光磁気記録媒体のC/N(キャリアレベル対ノ
ズルレベルの比)の記録周波数に対する依存性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
11、64 ランド部 12、65 グルーヴ部 13 溝 20、30、40 ガラス板 21 第1のレジスト層 22 第2のレジスト層 31 ネガ型フォトレジスト 32 ポジ型フォトレジスト 51 第1の磁性層 52 第2の磁性層 53 第3の磁性層 54 原子スピン(磁化)の向き 55 磁壁 56 再生用光ビームスポット 57 磁壁の移動方向 61 記録マーク 62 記録マーク 63 温度Tsの等温線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グルーヴ部と、グルーヴ部に対して凸形
    状を示すランド部と、グルーヴ部とそのグルーヴ部に隣
    接するランド部との間にグルーヴ部に対して凹形状を示
    す溝部とを有することを特徴とする光磁気記録媒体用基
    板。
  2. 【請求項2】 ガラス板上に二層からなるレジストを、
    ガラス板に近い側の第1の層とガラス板に遠い側の第2
    の層とで極性が異なるようにそれぞれ所定厚で塗布する
    工程と、必要によってプリベークする工程と、変調され
    たレーザービームを用いて露光する工程と、現像する工
    程とによってレジスト原盤を製造する工程を含む請求項
    1記載の光磁気記録媒体用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記二層からなるレジストがポジ型フォ
    トレジストとネガ型フォトレジストからなり、該ポジ型
    フォトレジストの感度が該ネガ型フォトレジストの感度
    よりも高感度である請求項2記載の、光磁気記録媒体用
    基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のレジスト原盤製造
    工程と、そのレジスト原盤を用いてスタンパを作製する
    工程と、そのスタンパを用いて樹脂成形により基板を作
    製する工程を含む請求項1記載の光磁気記録媒体用基板
    の製造方法。
JP24800596A 1996-09-19 1996-09-19 光磁気記録媒体用基板およびその製造方法 Pending JPH1092032A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6254966B1 (en) 1998-08-04 2001-07-03 Victor Company Of Japan, Ltd. Information recording mediums, supporter used in the mediums, manufacture methods of the supporter, manufacturing apparatus of the supporter and stampers for producing the mediums
JP2008192233A (ja) * 2007-02-05 2008-08-21 Victor Co Of Japan Ltd 光記録媒体、及びこの光記録媒体に対する光ピックアップのトラッキング方法

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