JP2004521983A - 難燃性シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、(a)シンジオタクチックポリスチレン100重量部と、(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分としての水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)1〜50重量部と、(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴムとの間の相溶性を向上させるための第1の相溶化剤としての水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)1〜15重量部と、(d)シンジオタクチックポリスチレンとゴムとの間の相溶性を向上させるための第2の相溶化剤としてのポリフェニレンオキシド(PPO)1〜90重量部と、(e)非ハロゲン系難燃剤としてのリン酸エステル1〜60重量部からなる。本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は(f)ガラス繊維1〜70重量部を選択的に更に含むことができる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用い、難燃性及びその他の物性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物に関する。より具体的に本発明は、ゴム成分を含有することにより衝撃強度が優れて、非ハロゲン系難燃剤を用いて難燃性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シンジオタクチックポリスチレンはとても魅力的なポリマーである。シンジオタクチックポリスチレンは比重が小さく、誘電定数が低く、屈曲弾性率が高く、耐熱性と剛性が優れるだけでなく、約270℃の高い融点(Tm)及び優れた耐化学性により産業分野で高い関心の対象になってきた。従って、シンジオタクチックポリスチレンは自動車、電気及び包装産業で多様に適用することができる有望な物質として脚光を浴びている。しかし、シンジオタクチックポリスチレンは衝撃強度がとても低いため、その適用において深刻な制限がある。このような短所を克服するため、ゴム成分の衝撃補強剤及び各種相溶化剤をシンジオタクチックポリスチレンの衝撃補強向上のために添加して用いたこともある。
【0003】
以下の特許文献1はシンジオタクチック構造を有して官能基が存在しないスチレン系重合体、エポキシ基を有するスチレン系重合体及びシラン化合物またはチタニウム化合物で表面処理した無機充填剤よりなるスチレン系樹脂組成物を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,270,353号明細書(ナカノら)
【0004】
以下の特許文献2ではシンジオタクチックポリスチレン及びシンジオタクチックポリスチレン衝撃補強剤よりなるポリスチレン組成物を開示している。前記シンジオタクチックポリスチレン衝撃補強剤は第1の反応性官能基を有するシンジオタクチックポリスチレンと第2の反応性官能基を含有するゴム性エラストマーとの反応生成物であり、前記第1及び第2の反応性機能基はお互いに反応性がある。
【特許文献2】米国特許第5,352,727号明細書(オカダら)
【0005】
以下の特許文献3ではシンジオタクチック芳香族ビニル熱可塑性樹脂、ゴム衝撃補強剤、シンジオタクチック芳香族ビニル熱可塑性樹脂に対する核剤、その外の成分としてミネラル、ガラス、セラミック、高分子性または炭素強化剤及び一つまたはその以上のポリアリレンエーテルまたは極性基が改質されたポリアリレンエーテルからなる組成物を開示している。
【特許文献3】米国特許第5,391,603号明細書(ウェッセル(Wessel)ら)
【0006】
以下の特許文献4ではシンジオタクチック構造を有するスチレン重合体、極性基を有する改質剤により改質されたゴム性エラストマー及び選択的にゴム性エラストマー及び/またはポリ(フェニレンエーテル)からなる耐衝撃性ポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献4】米国特許第5,543,462号明細書(オカダら)
【0007】
以下の特許文献5ではポリスチレン−水素添加ポリブタジエンブロック供重合体及び若干架橋化されたり非架橋化されたゴムコアを基底とした一つまたはその以上のコア−シェル構造の改質剤とのブレンドにより衝撃強度が向上されたシンジオタクチックポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献5】米国特許第5,654,365号明細書(ハブリリアック(Havriliak)ら)
【0008】
以下の特許文献6ではシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマー(sPS)または改質されたsPS、極性基を含有した熱可塑性樹脂、sPSに親和性を有するゴム性エラストマー及び極性基を有する相溶化剤からなるスチレン系樹脂組成物を開示している。
【特許文献6】米国特許第5,760,105号明細書(オカダら)
【0009】
以下の特許文献7ではシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマー、オレフィン成分またはポリオレフィンを含有するゴム性エラストマー及び微細相分離温度が180℃であるスチレン/オレフィンブロックまたはグラフト供重合体からなる耐衝撃性ポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献7】米国特許第5,777,028号明細書(オカダら)
【0010】
日本の出光興産株式会社は衝撃強度を向上させるためにガラス繊維で強化し、ハロゲン系難燃剤を用いたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を出市した。
【0011】
一般に樹脂組成物に用いられる難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤の2種類がある。前記ハロゲン系難燃剤としては臭素及び塩素系化合物があり、非ハロゲン系難燃剤としてはリン酸エステルが代表的である。
【0012】
ハロゲン系難燃剤が含有された樹脂組成物は難燃性及び耐化学性が優れるが、耐候性が悪く、高温で射出成形をする間に熱安定性が悪くてハロゲン系ガスを発生させて金型を腐食させるだけでなく、燃焼時に有毒なガスを生成させて環境に深刻な問題を引き起こすという短所がある。反面、非ハロゲン系難燃剤であるリン酸エステルを含有する樹脂組成物は付加的な可塑化、脱水反応及び炭化反応により炭化残渣(char)の発生量が多いため、難燃性が向上される。
【0013】
本発明者は難燃性が向上され、機械的な強度及び衝撃強度を維持するシンジオタクチックポリスチレン組成物に関してすでに韓国に出願したことがある(特許文献8及び9)。
【特許文献8】大韓民国特許出願第99−39858号明細書
【特許文献9】大韓民国特許出願第99−39859号明細書
【0014】
これに対して、本発明者らは(a)シンジオタクチックポリスチレン、(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)、(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるための第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)、(d)第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルを含む新しいシンジオタクチック樹脂組成物を開発するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルを用いることにより、人体に無害で、環境問題を引き起こさないシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、ゴム成分として水素添加されたスチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)を用いて衝撃強度が向上されたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のまた他の目的は、各使用目的に符合するように物性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0018】
本発明の前記及びその他の目的は、下記で説明される本発明によって全て達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、(a)シンジオタクチックポリスチレン100重量部;(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)1〜50重量部;(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるために第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)1〜15重量部;(d)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるために第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)1〜90重量部;及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステル1〜60重量部からなる。本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は(f)ガラス繊維1〜70重量部を選択的に更に含むことができる。
【0020】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、(a)シンジオタクチックポリスチレン、(b)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、(c)第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)、(d)第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルからなり、これら各成分に対する詳細な説明は次のとおりである。
【0021】
(A)シンジオタクチックポリスチレン(sPS)
一般に、ポリスチレンは側鎖であるベンゼン環の位置によってアタクチック、イソタクチック及びシンジオタクチック構造に分かれる。アタクチックポリスチレンは前記ベンゼン環が不規則の配列を有し、イソタクチックポリスチレンはポリマー主鎖の一側面にベンゼン環が配列された構造を有する。反面、シンジオタクチックポリスチレンはベンゼン環が交代に規則的に配列された構造を有する。
【0022】
前記シンジオタクチックポリスチレンはスチレン単量体をメタロセン触媒及び供触媒からなる触媒システムを用いて製造されることができる。前記メタロセン触媒は一つまたは二つのシクロアルカンジエニル基(シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基及びその誘導体)がTi、Zr、Hfなどのような周期率表IV族の遷移金属錯体と連結構造を有する。メタロセン触媒は高い活性を有するので、チーグラー・ナッタ触媒よりより優れた物性を有するポリマーを製造することができる。以下の特許文献10及び11では新しいアルキル−ブリッジ二核メタロセン触媒、シリル−ブリッジ二核メタロセン触媒及びアルキル−シリルブリッジ二核メタロセン触媒を用いてスチレン単量体を重合して高い立体規則性、高融点及び優れた分子量分布を有するポリスチレンを開示している。
【特許文献10】米国特許出願第08/844,109号明細書
【特許文献11】米国特許出願第08/844,110号明細書
【0023】
以下の特許文献12はメタロセン触媒と供触媒からなる触媒システムを用いた新しいシンジオタクチックポリスチレンを開示している。
【特許文献12】米国特許出願第09/231,884号明細書(1999年1月14日出願)
【0024】
本発明ではシンジオタクチック度が97%以上であるシンジオタクチックポリスチレンを用いるのが好ましい。
【0025】
(B)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)
本発明に係るシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物にはゴム成分が添加される。水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)はゴム成分として好ましく用いられる。前記ゴム成分は衝撃を吸収する作用をして樹脂組成物の衝撃強度を向上させる。
【0026】
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部当たり1ないし50重量部で用いられる。
【0027】
(C)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物において、第1相溶化剤に用いられてシンジオタクチックポリスチレンとゴム成分間の相溶性を向上させる作用をする。
【0028】
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンを無水マレイン酸で処理して通常の方法で製造される。また、水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は商業的に入手可能である。
【0029】
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし15重量部で用いるのが好ましい。
【0030】
(D)ポリフェニレンオキシド(PPO)
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物はシンジオタクチックポリスチレンとゴム成分との相溶性を向上させるために第2相溶化剤を用いる。本発明ではポリフェニレンオキシド(PPO)が第2相溶化剤として用いられる。前記ポリフェニレンオキシド(PPO)は商業的に入手可能である。
【0031】
前記ポリフェニレンオキシド(PPO)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし90重量部の範囲で用いられる。
【0032】
(E)リン酸エステル化合物
前記リン酸エステル化合物は樹脂組成物に難燃性を付与するために用いられる。前記リン酸エステル化合物は非ハロゲン系難燃剤である。本発明ではレゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)が好ましく用いられる。このように非ハロゲン系難燃剤であるリン酸エステルを含有する樹脂組成物は付加的な可塑化、脱水反応及び炭化反応によりチャール発生量が多いので難燃性が向上されるのである。また、前記非ハロゲン系難燃剤は人体に有害なガスの放出もなく、環境問題も引き起こさないという長所がある。
【0033】
前記リン酸エステル化合物はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし60重量部の範囲で用いられる。
【0034】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は選択的に下記の補強剤を更に含むことができる。
【0035】
(F)ガラス繊維
本発明に係るシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は補強剤を添加することができる。本発明ではガラス繊維が前記補強剤として好ましく用いられる。
【0036】
前記ガラス繊維はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし70重量部の範囲で用いられる。
【0037】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は必要に応じて付加的な難燃剤、滑剤、離型剤、滴下防止剤、衝撃補強剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料などが添加されることができ、タルク、シリカ、雲母またはセラミックのような無機充填剤なども添加されることができる。前記添加剤はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし40重量部の範囲で用いられる。
【0038】
本発明は下記の実施例により、より一層明確に理解でき、下記の実施例は本発明の例示目的のだけで、添付された特許請求範囲により限定される保護範囲を制限しようとするのではない。下記実施例において、すべての部及びパーセントは特別な言及がない限り重量を基準とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
下記の実施例1−3及び比較例1−2のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を製造するための成分は次のとおりである。
【0040】
(A)シンジオタクチックポリスチレン(sPS)
ガラス反応機でシンジオタクティシティー(Syndiotacticity)が97%であるポリスチレン(sPS)を製造して用いた。
【0041】
(B)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)としてはシェル(Shell)社の製品であるKraton G−1651(モデル名)を用いた。
【0042】
(C)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)としては日本の旭社の製品であるM−1913を用いた。
【0043】
(D)ポリフェニレンオキシド(PPO)
ポリフェニレンオキシド(PPO)は日本旭社の製品を用いた。
【0044】
(E)リン酸エステル化合物
難燃剤に用いられるリン酸エステル化合物としては日本大八化学工業株式会社の製品であるPX−200を実施例1−2及び比較例1−2で用い、実施例3では大八化学工業株式会社のトリフェニルホスフェート(TPP)を用いた。
【0045】
実施例1−3及び比較例1−2で用いられた各成分の成分及び組成と難燃度を表1に表した。
【0046】
【表1】
注:1、2)日本大八化学工業株式会社のPX−200とトリフェニルホスフェート(TPP)を用いた。
【0047】
前記実施例1−3及び比較例1−2の樹脂組成物の難燃性を測定するために1/8″、1/16″及び1/32″厚さの試片を製造してUL94の規格によって測定した。実施例1により製造された試片は難燃度がV−1に表し、実施例2−3により製造された試片は難燃度がV−0に表した。実験結果は表1に表した。
【0048】
実施例1−3の樹脂組成物の物性を測定するため、280℃で二軸押出機を用いてペレットに製造した。製造されたペレットは80℃で3時間乾燥後、50トン射出機で、300℃の成形温度で射出して物性試片を製造した。製造された試片の降伏強度、破断強度、伸率、屈曲強度及びアイゾド衝撃強度のような物性を測定してその結果を表2に表した。
【0049】
【表2】
注:降伏強度、破断強度及び伸率はASTM D638規格によって測定し、屈曲強度はASTM D790によって測定し、アイゾド衝撃強度はASTM D256によりノッチ形態で測定した。
【0050】
表2の結果から、難燃度が向上された場合、物性も向上されることが分かる。PPOの含有量が多いほどポリスチレンの結晶化度は低下された。ゴム成分の含量が減る場合に衝撃強度は低下されたが、本発明による樹脂組成物は優れた難燃度を有するので、特別な衝撃強度が要求されない分野では非常に有用に用いられることができる。
【0051】
本発明の単純な変形ないし変更はこの分野の通常の知識を有する者により容易に実施することができる。このような変形や変更は全て本発明の領域に含まれる。
【0001】
本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用い、難燃性及びその他の物性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物に関する。より具体的に本発明は、ゴム成分を含有することにより衝撃強度が優れて、非ハロゲン系難燃剤を用いて難燃性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シンジオタクチックポリスチレンはとても魅力的なポリマーである。シンジオタクチックポリスチレンは比重が小さく、誘電定数が低く、屈曲弾性率が高く、耐熱性と剛性が優れるだけでなく、約270℃の高い融点(Tm)及び優れた耐化学性により産業分野で高い関心の対象になってきた。従って、シンジオタクチックポリスチレンは自動車、電気及び包装産業で多様に適用することができる有望な物質として脚光を浴びている。しかし、シンジオタクチックポリスチレンは衝撃強度がとても低いため、その適用において深刻な制限がある。このような短所を克服するため、ゴム成分の衝撃補強剤及び各種相溶化剤をシンジオタクチックポリスチレンの衝撃補強向上のために添加して用いたこともある。
【0003】
以下の特許文献1はシンジオタクチック構造を有して官能基が存在しないスチレン系重合体、エポキシ基を有するスチレン系重合体及びシラン化合物またはチタニウム化合物で表面処理した無機充填剤よりなるスチレン系樹脂組成物を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,270,353号明細書(ナカノら)
【0004】
以下の特許文献2ではシンジオタクチックポリスチレン及びシンジオタクチックポリスチレン衝撃補強剤よりなるポリスチレン組成物を開示している。前記シンジオタクチックポリスチレン衝撃補強剤は第1の反応性官能基を有するシンジオタクチックポリスチレンと第2の反応性官能基を含有するゴム性エラストマーとの反応生成物であり、前記第1及び第2の反応性機能基はお互いに反応性がある。
【特許文献2】米国特許第5,352,727号明細書(オカダら)
【0005】
以下の特許文献3ではシンジオタクチック芳香族ビニル熱可塑性樹脂、ゴム衝撃補強剤、シンジオタクチック芳香族ビニル熱可塑性樹脂に対する核剤、その外の成分としてミネラル、ガラス、セラミック、高分子性または炭素強化剤及び一つまたはその以上のポリアリレンエーテルまたは極性基が改質されたポリアリレンエーテルからなる組成物を開示している。
【特許文献3】米国特許第5,391,603号明細書(ウェッセル(Wessel)ら)
【0006】
以下の特許文献4ではシンジオタクチック構造を有するスチレン重合体、極性基を有する改質剤により改質されたゴム性エラストマー及び選択的にゴム性エラストマー及び/またはポリ(フェニレンエーテル)からなる耐衝撃性ポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献4】米国特許第5,543,462号明細書(オカダら)
【0007】
以下の特許文献5ではポリスチレン−水素添加ポリブタジエンブロック供重合体及び若干架橋化されたり非架橋化されたゴムコアを基底とした一つまたはその以上のコア−シェル構造の改質剤とのブレンドにより衝撃強度が向上されたシンジオタクチックポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献5】米国特許第5,654,365号明細書(ハブリリアック(Havriliak)ら)
【0008】
以下の特許文献6ではシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマー(sPS)または改質されたsPS、極性基を含有した熱可塑性樹脂、sPSに親和性を有するゴム性エラストマー及び極性基を有する相溶化剤からなるスチレン系樹脂組成物を開示している。
【特許文献6】米国特許第5,760,105号明細書(オカダら)
【0009】
以下の特許文献7ではシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマー、オレフィン成分またはポリオレフィンを含有するゴム性エラストマー及び微細相分離温度が180℃であるスチレン/オレフィンブロックまたはグラフト供重合体からなる耐衝撃性ポリスチレン組成物を開示している。
【特許文献7】米国特許第5,777,028号明細書(オカダら)
【0010】
日本の出光興産株式会社は衝撃強度を向上させるためにガラス繊維で強化し、ハロゲン系難燃剤を用いたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を出市した。
【0011】
一般に樹脂組成物に用いられる難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤の2種類がある。前記ハロゲン系難燃剤としては臭素及び塩素系化合物があり、非ハロゲン系難燃剤としてはリン酸エステルが代表的である。
【0012】
ハロゲン系難燃剤が含有された樹脂組成物は難燃性及び耐化学性が優れるが、耐候性が悪く、高温で射出成形をする間に熱安定性が悪くてハロゲン系ガスを発生させて金型を腐食させるだけでなく、燃焼時に有毒なガスを生成させて環境に深刻な問題を引き起こすという短所がある。反面、非ハロゲン系難燃剤であるリン酸エステルを含有する樹脂組成物は付加的な可塑化、脱水反応及び炭化反応により炭化残渣(char)の発生量が多いため、難燃性が向上される。
【0013】
本発明者は難燃性が向上され、機械的な強度及び衝撃強度を維持するシンジオタクチックポリスチレン組成物に関してすでに韓国に出願したことがある(特許文献8及び9)。
【特許文献8】大韓民国特許出願第99−39858号明細書
【特許文献9】大韓民国特許出願第99−39859号明細書
【0014】
これに対して、本発明者らは(a)シンジオタクチックポリスチレン、(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)、(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるための第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)、(d)第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルを含む新しいシンジオタクチック樹脂組成物を開発するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルを用いることにより、人体に無害で、環境問題を引き起こさないシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、ゴム成分として水素添加されたスチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)を用いて衝撃強度が向上されたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のまた他の目的は、各使用目的に符合するように物性が優れたシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を提供することにある。
【0018】
本発明の前記及びその他の目的は、下記で説明される本発明によって全て達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、(a)シンジオタクチックポリスチレン100重量部;(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)1〜50重量部;(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるために第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)1〜15重量部;(d)シンジオタクチックポリスチレンとゴム間の相溶性を向上させるために第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)1〜90重量部;及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステル1〜60重量部からなる。本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は(f)ガラス繊維1〜70重量部を選択的に更に含むことができる。
【0020】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、(a)シンジオタクチックポリスチレン、(b)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、(c)第1の相溶化剤として水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)、(d)第2の相溶化剤としてポリフェニレンオキシド(PPO)及び(e)非ハロゲン系難燃剤としてリン酸エステルからなり、これら各成分に対する詳細な説明は次のとおりである。
【0021】
(A)シンジオタクチックポリスチレン(sPS)
一般に、ポリスチレンは側鎖であるベンゼン環の位置によってアタクチック、イソタクチック及びシンジオタクチック構造に分かれる。アタクチックポリスチレンは前記ベンゼン環が不規則の配列を有し、イソタクチックポリスチレンはポリマー主鎖の一側面にベンゼン環が配列された構造を有する。反面、シンジオタクチックポリスチレンはベンゼン環が交代に規則的に配列された構造を有する。
【0022】
前記シンジオタクチックポリスチレンはスチレン単量体をメタロセン触媒及び供触媒からなる触媒システムを用いて製造されることができる。前記メタロセン触媒は一つまたは二つのシクロアルカンジエニル基(シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基及びその誘導体)がTi、Zr、Hfなどのような周期率表IV族の遷移金属錯体と連結構造を有する。メタロセン触媒は高い活性を有するので、チーグラー・ナッタ触媒よりより優れた物性を有するポリマーを製造することができる。以下の特許文献10及び11では新しいアルキル−ブリッジ二核メタロセン触媒、シリル−ブリッジ二核メタロセン触媒及びアルキル−シリルブリッジ二核メタロセン触媒を用いてスチレン単量体を重合して高い立体規則性、高融点及び優れた分子量分布を有するポリスチレンを開示している。
【特許文献10】米国特許出願第08/844,109号明細書
【特許文献11】米国特許出願第08/844,110号明細書
【0023】
以下の特許文献12はメタロセン触媒と供触媒からなる触媒システムを用いた新しいシンジオタクチックポリスチレンを開示している。
【特許文献12】米国特許出願第09/231,884号明細書(1999年1月14日出願)
【0024】
本発明ではシンジオタクチック度が97%以上であるシンジオタクチックポリスチレンを用いるのが好ましい。
【0025】
(B)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)
本発明に係るシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物にはゴム成分が添加される。水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)はゴム成分として好ましく用いられる。前記ゴム成分は衝撃を吸収する作用をして樹脂組成物の衝撃強度を向上させる。
【0026】
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック供重合体(SEBS)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部当たり1ないし50重量部で用いられる。
【0027】
(C)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物において、第1相溶化剤に用いられてシンジオタクチックポリスチレンとゴム成分間の相溶性を向上させる作用をする。
【0028】
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンを無水マレイン酸で処理して通常の方法で製造される。また、水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)は商業的に入手可能である。
【0029】
前記水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし15重量部で用いるのが好ましい。
【0030】
(D)ポリフェニレンオキシド(PPO)
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物はシンジオタクチックポリスチレンとゴム成分との相溶性を向上させるために第2相溶化剤を用いる。本発明ではポリフェニレンオキシド(PPO)が第2相溶化剤として用いられる。前記ポリフェニレンオキシド(PPO)は商業的に入手可能である。
【0031】
前記ポリフェニレンオキシド(PPO)はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし90重量部の範囲で用いられる。
【0032】
(E)リン酸エステル化合物
前記リン酸エステル化合物は樹脂組成物に難燃性を付与するために用いられる。前記リン酸エステル化合物は非ハロゲン系難燃剤である。本発明ではレゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)が好ましく用いられる。このように非ハロゲン系難燃剤であるリン酸エステルを含有する樹脂組成物は付加的な可塑化、脱水反応及び炭化反応によりチャール発生量が多いので難燃性が向上されるのである。また、前記非ハロゲン系難燃剤は人体に有害なガスの放出もなく、環境問題も引き起こさないという長所がある。
【0033】
前記リン酸エステル化合物はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし60重量部の範囲で用いられる。
【0034】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は選択的に下記の補強剤を更に含むことができる。
【0035】
(F)ガラス繊維
本発明に係るシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は補強剤を添加することができる。本発明ではガラス繊維が前記補強剤として好ましく用いられる。
【0036】
前記ガラス繊維はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし70重量部の範囲で用いられる。
【0037】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は必要に応じて付加的な難燃剤、滑剤、離型剤、滴下防止剤、衝撃補強剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料などが添加されることができ、タルク、シリカ、雲母またはセラミックのような無機充填剤なども添加されることができる。前記添加剤はシンジオタクチックポリスチレン100重量部に対して1ないし40重量部の範囲で用いられる。
【0038】
本発明は下記の実施例により、より一層明確に理解でき、下記の実施例は本発明の例示目的のだけで、添付された特許請求範囲により限定される保護範囲を制限しようとするのではない。下記実施例において、すべての部及びパーセントは特別な言及がない限り重量を基準とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
下記の実施例1−3及び比較例1−2のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物を製造するための成分は次のとおりである。
【0040】
(A)シンジオタクチックポリスチレン(sPS)
ガラス反応機でシンジオタクティシティー(Syndiotacticity)が97%であるポリスチレン(sPS)を製造して用いた。
【0041】
(B)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)としてはシェル(Shell)社の製品であるKraton G−1651(モデル名)を用いた。
【0042】
(C)水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)
水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)としては日本の旭社の製品であるM−1913を用いた。
【0043】
(D)ポリフェニレンオキシド(PPO)
ポリフェニレンオキシド(PPO)は日本旭社の製品を用いた。
【0044】
(E)リン酸エステル化合物
難燃剤に用いられるリン酸エステル化合物としては日本大八化学工業株式会社の製品であるPX−200を実施例1−2及び比較例1−2で用い、実施例3では大八化学工業株式会社のトリフェニルホスフェート(TPP)を用いた。
【0045】
実施例1−3及び比較例1−2で用いられた各成分の成分及び組成と難燃度を表1に表した。
【0046】
【表1】
注:1、2)日本大八化学工業株式会社のPX−200とトリフェニルホスフェート(TPP)を用いた。
【0047】
前記実施例1−3及び比較例1−2の樹脂組成物の難燃性を測定するために1/8″、1/16″及び1/32″厚さの試片を製造してUL94の規格によって測定した。実施例1により製造された試片は難燃度がV−1に表し、実施例2−3により製造された試片は難燃度がV−0に表した。実験結果は表1に表した。
【0048】
実施例1−3の樹脂組成物の物性を測定するため、280℃で二軸押出機を用いてペレットに製造した。製造されたペレットは80℃で3時間乾燥後、50トン射出機で、300℃の成形温度で射出して物性試片を製造した。製造された試片の降伏強度、破断強度、伸率、屈曲強度及びアイゾド衝撃強度のような物性を測定してその結果を表2に表した。
【0049】
【表2】
注:降伏強度、破断強度及び伸率はASTM D638規格によって測定し、屈曲強度はASTM D790によって測定し、アイゾド衝撃強度はASTM D256によりノッチ形態で測定した。
【0050】
表2の結果から、難燃度が向上された場合、物性も向上されることが分かる。PPOの含有量が多いほどポリスチレンの結晶化度は低下された。ゴム成分の含量が減る場合に衝撃強度は低下されたが、本発明による樹脂組成物は優れた難燃度を有するので、特別な衝撃強度が要求されない分野では非常に有用に用いられることができる。
【0051】
本発明の単純な変形ないし変更はこの分野の通常の知識を有する者により容易に実施することができる。このような変形や変更は全て本発明の領域に含まれる。
Claims (4)
- (a)シンジオタクチックポリスチレン100重量部と
、(b)樹脂組成物の衝撃強度の向上のためのゴム成分としての水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SEBS)1〜50重量部と、(c)シンジオタクチックポリスチレンとゴムとの間の相溶性を向上させるための第1相溶化剤としての水素添加スチレン/ブタジエン/スチレン−グラフト−無水マレイン酸(SEBS−MA)1〜15重量部と、(d)シンジオタクチックポリスチレンとゴムとの間の相溶性を向上させるための第2相溶化剤としてのポリフェニレンオキシド(PPO)1〜90重量部と、(e)非ハロゲン系難燃剤としてのりん酸エステル1〜60重量部とからなる、難燃性シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物。 - 前記シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物はシンジオタクチックポリスチレン(a)100重量部に対して1〜70重量部のガラス繊維を更に含む、請求項1に記載の難燃性シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物。
- 前記シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、付加的な難燃剤、滑剤、離型剤、滴下防止剤、衝撃補強剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料及び/又は無機充填剤を更に含む、請求項1に記載の難燃性シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物。
- 前記無機充填剤は、タルク、シリカ、雲母及びセラミックよりなる群から選択される、請求項3に記載の難燃性シンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物。
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