JP2004501852A5 - - Google Patents

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JP2004501852A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 ガラス表面用の防汚被覆
【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)ガラス板間シール空間を画成すべくスペーサにより離間関係で保持された第1および第2ガラス板であって、第1ガラス板は第2ガラス板から離間して配向された外側表面であって水に対する定期的接触に露される外側表面を有し、第2ガラス板は上記ガラス板間空間に露出された内側表面と上記第1ガラス板から離間して配向された外側表面とを有する、第1および第2ガラス板と、
b)上記第1ガラス板の上記外側表面上に担持された表面が水で薄く覆われる第1被覆と、
c)上記第2ガラス板の上記外側表面上に担持された表面が水で薄く覆われる第2被覆と、
を備え、
表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、上記第1および第2ガラス板の夫々の表面上に直接的にスパッタされたシリカを備え、且つ、実質的に非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側面を有し、
表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、上記第1および第2ガラス板の夫々の表面上における水の接触角を25°未満まで減少すると共に、該表面に付与された水を薄く覆わせる
多層断熱ガラス・ユニット。
【請求項2】 a)清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板を配備する段階と、
b)上記ガラス板の上記内側表面上にシリカを直接的にスパッタし、上記ガラス板の内側表面に付与される水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第1被覆を生成する段階と、
c)上記ガラス板の上記外側表面上にシリカを直接的にスパッタし、上記ガラス板の外側表面に付与される水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第2被覆を生成する段階と、
を備えて成る、ガラス板の表面を汚染/染み耐性とする方法。
【請求項3】 前記ガラス板の前記内側表面および外側表面の一方を水に対する定期的接触に晒し、露出表面上の表面が水で薄く覆われる前記被覆は、その他の場合には水に対する上記定期的接触から帰着する汚染および染みを減ずる段階、
を更に備えて成る、請求項2記載の方法。
【請求項4】 表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は酸素含有スパッタリング・チャンバ内でケイ素ターゲットからスパッタされる、請求項2記載の方法。
【請求項5】 a)清浄な第1表面および清浄な第2表面を有するガラス板を配備する段階と、
b)基材支持体を画成する複数のローラを自身内に有するスパッタリング・チャンバであって、上記支持体の上方に位置されて下方にスパッタし得る上側ターゲットと、上記支持体の下方に位置されて上方にスパッタし得る下側ターゲットとを有するスパッタリング・チャンバを配備する段階と、
c)上記ガラス板の上記第1表面が上記ローラの一個以上に対して着座すると共に上記下側ターゲットに向けて配向されることから上記ガラス板の上記第2表面は上記上側ターゲットに向けて配向される如く、上記ガラス板を上記チャンバ内に位置する段階と、
d)上記下側ターゲットをスパッタすることで、上記ガラスの上記第1表面に対して付与された水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第1被覆を上記第1表面上に析出させる段階と、
e)上記上側ターゲットをスパッタすることで、上記ガラスの上記第2表面に対して付与された水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第2被覆を上記第2表面上に析出させる段階と、
を備えて成る、被覆装置を通る単一行程でガラス板の両側を被覆する方法。
【請求項6】 前記上側および下側ターゲットは実質的に同時にスパッタされる、請求項5記載の方法。
【請求項7】 前記上側および下側ターゲットはケイ素を備えると共に酸化雰囲気中でスパッタされる、請求項5記載の方法。
【請求項8】 a)清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板を配備する段階と、
b)基材支持体を画成する複数のローラを各々が有する一連のスパッタリング・チャンバを備えたスパッタリング・ラインであって、当該上向きスパッタリング・チャンバ内で各ローラの下方に位置された下側ターゲットを備えた上向きスパッタリング・チャンバを有するスパッタリング・ラインを配備する段階と、
c)上記ガラス板の上記外側表面が上記上向きスパッタリング・チャンバ内における2個以上のローラ上に着座する如く上記上向きスパッタリング・チャンバ内に上記ガラス板を位置する段階と、
d)上記下側ターゲットをスパッタして上記ガラスの上記外側表面上にシリカを直接的に析出することで、上記外側表面に付与される水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる被覆を生成する段階であって、スパッタされた上記シリカは上記ガラス板の上記外側表面上に析出する前に上記2個以上のローラ間を進行する、段階と、
を備えて成る、ガラス板の表面を汚染/染み耐性とする方法。
【請求項9】 前記下側ターゲットはケイ素を備えると共に酸化雰囲気中でスパッタされる、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は汚れ(dirt)および水の染み(water stain)の蓄積を防止する、ガラス基材などのための被覆を提供する。本発明の被覆ガラス基材は断熱ガラス・ユニットにおいて使用可能であり、その場合に本発明の被覆は一枚のガラスの外側表面上に担持される一方、同一のガラス板の反対側には反射被覆が適用される。
【0002】
発明の背景
窓や他のガラス表面を清浄に保つことは比較的に費用が掛かると共に、時間が掛かるプロセスである。個々の窓を清浄化するのはそれほど面倒ではないが、多数の窓を清浄に保つことは相当の負担であり得る。たとえば最近のビジネス用高層ガラス建築物では、窓の外側表面を窓洗浄機で定期的に清浄化する上で相当の時間および費用が掛かる。
【0003】
窓および他のガラス表面は、種々の様式で"汚れ"たり"汚染"され得る。窓が汚れを収積し得る主な2つの様式としては、ガラス表面に対する水の作用が挙げられる。第1に水自体が、ガラスの表面上に汚れ、無機物などを析出もしくは収積し得る。明らかに、ガラスに到達する汚水は、捕捉もしくは溶解した汚れを乾燥時にガラス上に残置する。窓の外側表面に対して比較的に清浄な水が到達したとしても、窓上に着座する各水滴は乾燥するにつれて塵埃および他の浮遊粒子を収積する傾向がある。これらの粒子および他の水溶化学物質は経時的に更に濃縮され、ガラス表面上に特徴的斑点もしくは乾燥リングを残置する。
【0004】
窓もしくは他のガラス表面に対して水が汚染外観もしくは損なわれた外観を与え得る第2の様式は、ガラス表面自体に対する攻撃に関連する。非常に清浄な水の小滴がガラス表面上に着座するとき、該小滴はガラスからアルカリ成分を浸出させ始める。典型的なソーダ石灰ガラスに関してはソーダおよび石灰がガラスから浸出され、小滴のpHを高くする。このpHが高くなるにつれ、ガラス表面に対する攻撃は更に激しくなる。結果として、乾燥しつつある水滴の下側に位置するガラスは、水滴が完全に乾燥する間に僅かに粗くなる。更に、ガラスから浸出したアルカリ成分は、乾燥リングとしてガラス表面上に再析出する。この乾燥アルカリ物質はガラスの外観を損なうだけでなく、ガラス表面が湿潤されたときに溶液内に戻る傾向となり、ガラス表面に付着する次の水滴のpHを高める。
【0005】
また板ガラスを貯蔵して出荷する場合、近傍のガラス板間の表面上における水の存在は長期的問題である。水との直接的接触からガラスを遮断する措置を取ることは可能である。しかし、ガラスが湿気環境で貯蔵されると、水は大気からガラス表面上へと凝縮し得る。
【0006】
これは、更に大きなガラス積層物が集められたときに更なる問題となる。更に大きなガラス積層物は相当に大きな熱質量を有し、暖まるまでの時間が長い。結果としてそれらは(たとえば朝などに)周囲温度が高まる場合に更に冷たくなり、空気中の湿気をガラスの表面上に凝縮させることが多い。而して空気の循環は限られるので、各ガラス板間に凝縮する湿気は全て、乾燥するまでに相当の期間を要する。これにより、凝縮した湿気はガラスからアルカリ成分を浸出させてガラス表面に悪影響を与える可能性がある。攻撃の速度は、ガラスの表面に酸を付与することで幾分かは減速され得る。これは一般的に、ガラス板が相互に付着して傷付くのを防止すべく用いられる分離剤中にたとえばアジピン酸などの穏やかな酸を含めることで行われる。
【0007】
ガラス板が長期に亙り清浄な外観を保ち得る様にする試みは、数多く為されて来た。現在における研究のひとつの分野は、ガラスおよび他のセラミクスに対する"自己清浄化(self−cleaning)"表面である。この分野における研究は、紫外線光を吸収すると共にオイル、植物物質、脂肪および油脂などの生物学的物質を光触媒的に分解するという一定の金属酸化物の機能に立脚する。これらの光触媒的金属酸化物の内で最も強力なものは二酸化チタンと思われるが、この光触媒効果を有すると思われる他の金属酸化物としては、鉄、銀、銅、タングステン、アルミニウム、亜鉛、ストロンチウム、パラジウム、金、プラチナ、ニッケルおよびコバルトの酸化物が挙げられる。
【0008】
斯かる光触媒的被覆は生物系の物質を除去する上で一定の利点を有し得るが、
他の物質に対する該被覆の直接的影響は不明であり紫外線光に対する露出により変化すると思われる。結果として、その様に被覆されたガラスの表面に関する水による上記問題は、斯かる光触媒的被覆により直接的には対処されない。
【0009】
ガラス表面に対する水の影響を最小化すべく、水を小滴とする多くの試みが為されて来た。たとえば米国特許第5,424,130号(Nakanishi等、言及したことによりその開示内容は本出願中に援用される)は、フルオロアルキル基を取入れたシリカ系被覆でガラス表面を被覆することを示唆している。該特許は、ガラスの表面上にシリコーン系アルコキシド塗料を付与し、該塗料を乾燥させ、次に乾燥した塗料を空気中で燃焼させる各段階を教示している。Nakanishi等は、非金属原子、すなわちSiO2層中の酸素の一部をフルオロアルキル基で置換することが重要であると強調している。酸素原子の1.5%までが、その様に置換されねばならない。Nakanishi等はまた、フルオロアルキル基で置換される酸素原子が0.1%未満ならばガラス表面上における水の接触角は80°未満なので、ガラスは水を適切には弾かないと述べている。
【0010】
斯かる"水分反発"被覆は、ガラスの表面上の水を小滴形成させる。もし、表面上には一定の高速空気流が吹きつけられるという自動車のウィンドシールドなどに対して上記被覆が適用されたなら、この小水滴形成効果により小滴はガラス表面から吹き飛ばされることで該表面からの水の除去が促進され得る。しかし更に静止的な用途において、これらの小滴はガラスの表面上に留まると共に低速で蒸発する傾向がある。結果として、この想定された"水分反発"被覆は上述の水関連染みの問題を解決しない。逆に、水を更に容易に小滴形成させると上記問題が実際に深刻となり得る。
【0011】
他のシリカ被覆は、種々の様式でガラスの表面に適用されて来た。たとえば米国特許第5,394,269号(Takamatsu等)は、反射を減少すべくガラスの表面上の"細かく粗い"シリカ層を提案している。この粗面は、ケイフッ化水素酸中の過飽和シリカ溶液でガラス表面を処理してガラス板上にシリカの孔性層を付与することで達成される。彼らはゾル・ゲル溶液の多重成分を用いることで、約50〜200nmのサイズに亙ると称された小寸の"小島状領域"が散在する小寸の凹みを有する表面が達成されると主張している。この粗面化表面は空気/ガラス界面における反射の減少を助力し得るが、上述の水関連の染み問題を緩和するとは思われない。もし緩和するとしても、この被覆の孔性はおそらく、水をガラスの表面上に保持すると思われる。その様に振る舞う場合、ガラス表面上における水の長期滞留に伴う問題は大きくなる様に思われる。
【0012】
発明の概要
ひとつの見地において本発明は、表面が水で薄く覆われる被覆(water−sheeting coating)を有するガラス物品と、斯かる被覆を適用する方法とを提供する。本発明の第1実施例に依れば、ガラス物品は表面が水で薄く覆われる被覆を担持する少なくともひとつの被覆表面を有する。この表面が水で薄く覆われる被覆は、ガラスの外側表面上に直接的にスパッタされたシリカから成る。表面が水で薄く覆われる前記被覆は、実質的に非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側面を有する。この表面が水で薄く覆われる被覆は望ましくは、上記ガラス物品の被覆表面上の水の濡れ角を約25°未満に減少すると共に、上記ガラス物品の被覆表面に付与された水を薄く覆わせる
【0013】
本発明の第2実施例に依れば、水に対する定期的接触に晒される外側表面を有する少なくとも一枚のガラス板を有する窓が提供される。このガラス板の上記外側表面は、約15Å乃至約350Åの平均厚みまでガラス表面に直接的にスパッタされたシリカから成る表面が水で薄く覆われる被覆を有する。この表面が水で薄く覆われる被覆は、非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側表面を有する。表面が水で薄く覆われる前記被覆によれば、上記ガラス板の被覆表面に付与された水が薄く覆わされる。
【0014】
本発明の更なる実施例において、ガラス板は、反射被覆を担持する内側表面と、表面が水で薄く覆われる被覆を担持する外側表面とを有する。上記反射被覆は、反射的金属層および少なくともひとつの誘電層から成り得る。表面が水で薄く覆われる前記被覆は再び、上記ガラス板の外側表面に直接的にスパッタされたシリカから成り、この表面が水で薄く覆われた被覆は、実質的に非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側表面を有する。この表面が水で薄く覆われる被覆は望ましくは、上記ガラス板の上記被覆表面上の水の接触角を約25°未満に減少すると共に、上記ガラス板の被覆外側表面に付与された水を薄く覆わせる
【0015】
上述の如く本発明は、ガラス表面を汚染/染み耐性とする方法も企図する。一実施例において該方法は先ず、内側表面および外側表面を有するガラス板を配備する段階を備える。上記ガラスの内側表面および外側表面は清浄化される。その後に上記ガラス板の内側表面は、少なくともひとつの第1誘電層、少なくともひとつの金属層および少なくともひとつの第2誘電層を次々にスパッタすることで、反射被覆により被覆される。上記ガラスの外側表面は、該ガラス板の該外側表面上にシリカを直接的にスパッタすることで、表面が水で薄く覆われる被覆により被覆される。また所望されるならば表面が水で薄く覆われる前記被覆は、上記反射被覆を生成すべく用いられたのと同一のスパッタ被覆装置にて適用され得る。適切な物質を選択することで、表面が水で薄く覆われる前記被覆および上記反射被覆のひとつの誘電層は酸化雰囲気中で同一のスパッタリング・チャンバ内でさえも適用され得る。また所望されるならば内側表面を外側表面の上方に位置してガラスを一定の配向に維持し乍ら、上記ガラス板は内側表面および外側表面の両方で被覆され得る。
【0016】
本発明の代替的方法に依れば、内側表面および外側表面を有するガラス板が配備される。ガラス板に対する支持体を各々が自身内に有する一連のスパッタリング・チャンバを備えたスパッタリング・ラインも配備される。上記スパッタリング・チャンバの少なくとも一個は、上記支持体の上方の上側ターゲット位置および上記支持体の下方の下側ターゲット位置を有する二重方向スパッタリング・チャンバから成る。上記ガラスの内側表面および外側表面は清浄化され、その後に上記ガラス板は、上記内側表面は上記上側ターゲットに向けて配向され且つ上記外側表面は上記下側ターゲットに向けて配向される如く、上記二重方向スパッタリング・チャンバ内で上記支持体上に位置される。上記上側ターゲットは、誘電層を析出すべくスパッタされる。この誘電層は、上記ガラスの上記内側表面上に直接的に析出され得るか、または、上記ガラスの該内側表面に先行して析出された膜スタック層上に析出され得る。上記ガラス板が上記二重方向スパッタリング・チャンバ内に留まる間は、上記ガラスの上記外側表面上に表面が水で薄く覆われる被覆を析出すべく上記下側ターゲットがスパッタされる。ひとつの可能な好適実施例においては、同一スパッタリング・チャンバにおいて酸化雰囲気中で上側ターゲットおよび下側ターゲットの両者がスパッタされる。
【0017】
更に別の実施例において本発明は、ガラスの各側に適用される被覆の性質に関わらず、被覆装置を通る単一行程で単一ガラス板もしくは他の基材の両側を被覆する方法を提供する。この方法においては、清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板(もしくは他の基材)が配備される。スパッタリング・ラインも配備されるが、このラインは各々がガラス板に対する支持体を自身内に有する一連のスパッタリング・チャンバを備え、少なくともひとつのスパッタリング・チャンバは上記支持体の上方に位置された上側ターゲットを有する下向きスパッタリング・チャンバから成る。第2のスパッタリング・チャンバは、上記支持体の下方に位置された下側ターゲットを有する上向きスパッタリング・チャンバから成る。上記ガラス板もしくは他の基材は、上記内側表面が上記上側ターゲットに向けて配向される如く上記下向きスパッタリング・チャンバ内で上記支持体上に位置される。上記上側ターゲットは、上記ガラスの上記内側表面、または該ガラスの該内側表面に先行して析出された膜スタック層の一方に対して被覆を直接的に析出すべくスパッタされる。上記ガラス板はまた、上記外側表面が上記下側ターゲットに向けて配向される如く上記上向きスパッタリング・チャンバ内で上記支持体上に位置される。上記下側ターゲットは、上記ガラスの上記外側表面、または該ガラスの該外側表面に先行して析出された膜スタック層の一方に対して被覆を析出すべくスパッタされる。上記ガラスは、上記内側表面を外側表面の上方に位置して一定の配向に維持し乍ら、上記内側表面および外側表面の両方で被覆され得る。
【0018】
更なる別実施例においては、内側表面および外側表面を備えたガラス物品が提供される。上記内側表面は表面が水で薄く覆われる第1被覆を担持し且つ上記外側表面は表面が水で薄く覆われる第2被覆を担持する。表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、当該ガラス物品の夫々の表面に直接的にスパッタされたシリカから成ると共に、実質的に非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側表面を有する。表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、夫々の表面上の水の接触角を25°未満に減少すると共に、該表面に付与された水を薄く覆わせる
【0019】
別実施例においては、多層断熱ガラス・ユニットが提供される。該ユニットは、ガラス板間シール空間を画成するスペーサにより離間関係で保持された第1および第2ガラス板を含む。上記第1ガラス板は、上記第2ガラス板から離間して配向された外側表面を有する。この外側表面は、水に対する定期的接触にも晒される。上記第2ガラス板は、上記ガラス板間空間に露出された内側表面および上記第1ガラス板から離間して配向された外側表面を有する。上記第1ガラス板の上記外側表面上には、表面が水で薄く覆われる第1被覆が担持される。上記第2ガラス板の上記外側表面上には、表面が水で薄く覆われる第2被覆が担持される。表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、上記第1および第2ガラス板の夫々の表面上に直接的にスパッタされたシリカを備える。表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、実質的に非孔性であり乍らも不規則表面を有する外側表面を有する。表面が水で薄く覆われる前記第1および第2被覆は各々、上記第1および第2ガラス板の夫々の表面上の水の接触角を25°未満に減少し、該表面に付与された水を薄く覆わせる
【0020】
更に別の実施例においては、ガラス板の表面を汚染/染み耐性とする方法が提供される。清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板が配備される。上記ガラス板の上記内側表面上にはシリカが直接的にスパッタされることで、上記内側表面に付与された水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第1被覆が生成される。シリカは上記ガラス板の上記外側表面上にも直接的にスパッタされることで、上記外側表面に付与された水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる第2被覆が生成される。
【0021】
更なる別実施例においては、被覆装置を通る単一行程でガラス板の両側を被覆する方法が提供される。清浄な第1表面および清浄な第2表面を有するガラス板が配備される。当該スパッタリング・チャンバ内に基材支持体を画成する複数のローラを有するスパッタリング・チャンバが配備される。該チャンバは、上記支持体の上方に位置された上側ターゲットであって下方へとスパッタされ得る上側ターゲットを有する。上記チャンバは、上記支持体の下方に位置された下側ターゲットであって上方へとスパッタされ得る上側ターゲットを有する。上記ガラス板は、該ガラス板の上記第1表面が一個以上のローラ上に着座すると共に上記下側ターゲットに向けて配向される如く、上記チャンバ内に位置される。上記ガラス板をこの位置とすると、該ガラス板の上記第2表面は上記上側ターゲットに向けて配向される。上記下側ターゲットは、上記ガラスの上記第1表面上に表面が水で薄く覆われる前記第1被覆を析出すべくスパッタされる。表面が水で薄く覆われる前記第1被覆は、上記第1表面に付与された水を薄く覆わせるべく水に対する約25°未満の接触角を有する。上記上側ターゲットは、上記ガラスの上記第2表面上に表面が水で薄く覆われる第2被覆を析出すべくスパッタされる。表面が水で薄く覆われる前記第2被覆は、上記第2表面に付与された水を薄く覆わせるべく水に対する約25°未満の接触角を有する。
【0022】
別実施例においては、ガラス表面を汚染/染み耐性とする方法が提供される。
清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板が配備される。一連のスパッタリング・チャンバを備えたスパッタリング・ラインが配備される。上記ラインにおける各スパッタリング・チャンバは、基材支持体を画成する複数のローラを有する。上記スパッタリング・ラインは、当該上向きスパッタリング・チャンバ内において各ローラの下方に位置された下側ターゲットを備えた上向きスパッタリング・チャンバを含む。上記ガラス板は、該ガラス板の上記外側表面が上記上向きスパッタリング・チャンバ内の2個以上のローラ上に着座すべく該上向きスパッタリング・チャンバ内に位置される。上記下側ターゲットは上記ガラスの上記外側表面にシリカを直接的に析出することで、上記外側表面に付与された水を薄く覆わせるべく水に対して約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる被覆を生成する。スパッタされたシリカは、上記ガラス板の上記外側表面上に析出される前に上記2個以上のローラ間を進行する。
【0023】
好適実施例の詳細な説明
図1は、本発明の有用な一実施例に従う一対の被覆を担持するガラス板を概略的に示している。ガラス板10は、外側面12および内側面14を含む。(以下の説明において"内側"および"外側"の呼称は幾分か任意である。)但し殆どの状況において上記外側面は、汚れ、水などと接触し得る周囲環境に露出されるものと仮定される。ガラス板がシャワー・ドアとして用いられる場合には、上記内側面もまた同一種類の周囲環境に向けて配向され得る。斯かる場合には、(不図示の)ガラス板の内側面および外側面の両者に対して本発明の表面が水で薄く覆われる被覆(water−sheeting coating)を配備するのが望ましい。但し図2および図3に示された実施例においてこの"内側"面は実際には保護され、かつ、この内側面と周囲環境との間には第2のガラス板が位置せしめられる。
【0024】
図1においてガラス板10の内側面14は、反射被覆30を担持する。当業者であれば容易に理解し得る如く、この反射被覆は所望特性に依存して任意の所望の形態を取り得る。斯かる膜は当業界において数多く知られており、且つ、反射被覆30の厳密な性質はガラス物品が用いられる用途に依存して変化する。以下においては特に有用で好適な幾つかの反射被覆が論じられるが、当業者であれば他の反射被覆は明らかであろう。
【0025】
たとえばガラス物品が鏡として用いられるなら、被覆30は単に反射的金属の比較的厚寸層から成り得る。また所望されるならば、ガラスと接触する表面の反対側となる金属の表面には誘電物質から成る保護被覆が適用され得る。これは、当業界で公知である如く金属層を化学的および物理的な攻撃から保護する上で有用である。また反射的金属層のいずれかの側に、誘電層から成る業界公知の種々のミラー被覆の任意のものを採用することも可能であり;業界公知の多くのダイクロイックミラーは斯かる被覆を採用している。
【0026】
図1の実施例において反射被覆30は、低放射率の遮熱膜において一般的に用いられる形式の赤外線反射被覆として象徴される。典型的に斯かる膜は、一対の誘電層間に介設された金属層から成る。上記構造は、膜積層体の内部反射特性を更に強化すべく反復され得る。有用な赤外線反射膜積層体の一例は米国特許第5,302,449号(Eby等)に開示されるが、その教示は言及したことにより本出願中に援用される。
【0027】
(以下の表1においては被覆Aとして参照される)図1の例示的な膜積層体30は、一層以上の誘電物質から成り得る基礎被覆32を含む。たとえばこの基礎被覆32は、約150乃至275Åの厚みで適用された酸化亜鉛から成り得る。この基礎被覆32の頂部には、第1金属層34が直接的に適用され得る。この金属はたとえば、約100Å乃至約150Åの厚みで適用された銀とされ得る。第1金属層34上には、第2誘電層38が適用され得る。この誘電層38の厚みは少なくとも部分的に、上記膜積層体中に第2金属層40が含まれるか否かに依存する。示された如く2つの金属層を有する膜積層体においてこの誘電層38は典型的に、700乃至750Åの酸化亜鉛などの比較的に厚寸の金属酸化物層から成り得る。また所望されるならば、金属層34と誘電層38との間には比較的に薄寸の犠牲層36が適用され得る。これにより、誘電層38のスパッタ析出の間における金属層34の保護が助力される。犠牲層36はたとえば、25Å以下の厚みで適用された金属チタンの層から成り得る。この金属チタンは金属酸化物誘電体38の適用の間において犠牲的に酸化(することで、表1にて"TiOX"と表現された酸化チタンを生成)し、下側に位置する銀層34に対する一切の損傷を制限する。
【0028】
(以下においては被覆Aと称される)図1に示された上記膜積層体において、
第2誘電層38上には第2金属層40が適用される。第2金属層40は通常、第1金属層34と同一の物質から作成される。たとえばこの第2金属層40は、約125乃至175Åの銀から成り得る。その後における上側の誘電体44および46の析出の間においても、金属層40を保護すべく該金属層上にはチタンなどの犠牲層42が適用され得る。該犠牲層42上には、第3誘電層44が適用される。この誘電層44もまた、約250乃至300Åで適用された酸化亜鉛などの金属酸化物とされ得る。また所望されるならば、誘電層44上には別の誘電物質から成る保護的上側被覆46が適用され得る。一好適実施例においてこの上側被覆46は、50乃至60ÅのSi34層から成り得る。
【0029】
異なる用途に対しては、代替的な膜積層体が好適であり得る。たとえばガラスの内側面には、種々の低放射率の膜積層体が適用され得る。以下においては(被覆B乃至Gと特定される)6種類の好適な低放射率の膜積層体が記述される。これらの6種類の膜積層体は、以下におけるそれらの記述に続き表1においても要約される。
【0030】
被覆Bは、ガラスの内側面上に約125Åの厚みで直接的にスパッタされた酸化亜鉛の層を備える。この酸化亜鉛層上には、約105Åの厚みまで銀が適用される。この銀層上には、(上述された如く引き続き少なくとも部分的に酸化される犠牲チタン層として適用される)チタニアの薄寸被覆が約25Åの厚みまで析出される。上記チタニア層上には、第2の酸化亜鉛層が約370Åの厚みまで適用される。最後に上記第2酸化亜鉛層上には窒化ケイ素の外側被覆が約60オングストロームの厚みまでスパッタされる。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆と組合された反射層30としての該被覆は、消費者の要求を満足する特に魅力的な製品を生成する。
【0031】
代替的な被覆Cにおいて、スパッタされた最初の3つの層は被覆Bのそれと同一である(すなわち、125Åの酸化亜鉛、105Åの銀および25Åのチタニアである)。該チタニア上には、第2酸化亜鉛層が約200Åの厚みまでスパッタされる。この第2酸化亜鉛層上には、窒化ケイ素層が約80Åの厚みまで適用される。次に上記窒化ケイ素層上には第3酸化亜鉛層が約105Åの厚みまで析出される。最後に上記第3亜鉛層上には窒化ケイ素の第2層が約60Åの厚みまでスパッタされる。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆と組合せて反射層30としてこの被覆を用いると、消費者および当業者の要求を満足する特に魅力的で有用な製品が生成される。
【0032】
被覆Dと表現される第3の代替的膜積層体は、ガラスの内側面上に約190Åの厚みまで直接的にスパッタされる酸化亜鉛層を備える。この酸化亜鉛層上には銀が約75Åの厚みまで適用される。次に、チタニアの比較的に薄寸層が約25Åの厚みまで適用される。このチタニア層上には酸化亜鉛の第2層が約735Åの厚みまで適用される。酸化亜鉛の該第2層上には銀の第2層が約135Åの厚みまで析出される。次に銀の第2層上にはチタニアの第2薄寸層が約25Åの厚みまで適用される。次にチタニアの第2層上には酸化亜鉛の第3被覆が約200Åの厚みまで適用される。最後に、チタニアの第2層上には窒化ケイ素の外側被覆が約85Åの厚みまで適用される。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆に関して反射層30としてこの被覆を採用すると、多くの消費者に対して高度に有用な独特の品質を有する傑出した製品が与えられる。
【0033】
代替的な被覆Eにおいて、スパッタされた最初の3つの層は被覆Dのそれと同一である(すなわち、190Åの酸化亜鉛、75Åの銀および25Åのチタニアである)。このチタニア層上には酸化亜鉛の第2層が約435Åの厚みまで適用される。この第2酸化亜鉛層上には窒化ケイ素層が約80Åの厚みまで析出される。次にこの窒化ケイ素層上には酸化亜鉛の第3層が約220Åの厚みまで析出される。次にこの第3酸化亜鉛層上には銀の第2層が約135Åの厚みまで適用される。次にこの銀の第2層上には比較的に薄寸の第2のチタニア層が約25Åの厚みまで適用される。次にこのチタニアの第2層上には酸化亜鉛の第4層が約200Åの厚みまで析出される。最後に、この酸化亜鉛の第4層上には窒化ケイ素の外側層が約85Åの厚みまで析出される。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆と組合せて反射層30として該被覆を適用すると、多くの用途の特定要件を満足する格別な製品が与えられる。
【0034】
第5の代替的膜積層体は、ガラスの内側面上に約165Åの厚みまで直接的にスパッタされた酸化亜鉛の層を備える。この酸化亜鉛層上には、銀層が約110Åの厚みまで適用される。次にこの銀層上には、チタニアの比較的薄寸層が約25Åの厚みまで析出される。このチタニア層上には第2酸化亜鉛層が約745Åの厚みまで析出される。次に第2酸化亜鉛層上には第2銀層が約125Åの厚みまで適用される。この第2銀層上には比較的薄寸の第2のチタニア層が約25Åの厚みまで適用される。この第2チタニア層上には第3酸化亜鉛層が約280Åの厚みまで析出される。最後に、窒化ケイ素の外側被覆が約70Åの厚みまで適用される。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆と組合された反射層30としての該被覆は、多くの消費者の要求を満足する特に有用で魅力的な製品を生成する。
【0035】
第6の代替的膜積層体において、スパッタされた最初の3つの層は直上で論じた膜積層体と同一である(すなわち、165Åの酸化亜鉛、110Åの銀および25Åのチタニアである)。次に該チタニア層上には、酸化亜鉛の第2層が約445Åの厚みまで析出される。次に第2酸化亜鉛層上には窒化ケイ素が約80Åの厚みまで適用される。次にこの窒化ケイ素層上には酸化亜鉛の第3層が約220Åの厚みまで適用される。次に第3酸化亜鉛層上には、銀の第2層が125Åの厚みまで析出される。この銀の第2層上には、チタニアの第2層が約25Åの厚みまで適用される。次に第2銀層上には第4酸化亜鉛層が約280Åの厚みまで析出される。最後に第4酸化亜鉛層上には、窒化ケイ素の外側被覆が約70Åの厚みまで適用される。本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆に関して反射層30としてこの被覆が用いられた場合の成果は、多くの消費者の用途において特に有用で格別に魅力的な製品である。
【0036】
【表1】
Figure 2004501852
【0037】
表面が水で薄く覆われる被覆20は、ガラスの内面12上に適用された。この被覆は、ガラス板12の表面上に直接的に適用されるのが好適である。典型的にはソーダ石灰ガラスであるガラスは主としてシリカ(silica)で形成されると共に上記表面が水で薄く覆われる被覆も望ましくはシリカで形成されることから、この様にすればこれらの2つの層間に強力な結合が提供されて被覆20の表面が水で薄く覆われる性能が強化され得る。一定の実施例においては、ガラスの内面および外面の両者に対して表面が水で薄く覆われる被覆を直接的に適用するのが望ましいこともある。
【0038】
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20は望ましくは、ガラス10の外側表面12上に直接的に析出されたシリカから成る。図8乃至図10に関して以下で論じられる如く、この被覆20の外側面22は実質的に非孔性であるが、不規則表面を有する。(これは概略的には、被覆31の外側面22上で不規則に離間され且つ不規則なサイズとされた一連の先鋭突起部として示される。)故にこの被覆20に対して何らの特定の厚みを帰属させることは、本来的に幾分か不正確である。但し被覆20は望ましくは約15Å乃至約350Åのメジアン厚みを有し、約15Å乃至約150Åの範囲が好適である。最小の負担における該被覆の主たる利点は、約20Å乃至約120Åの範囲にて立証されると確信される。ガラス10の外側表面12に対してこの被覆20が適用され得るひとつの好適な様式は、以下において更に詳細に論じられる。
【0039】
図2は、本発明の更なる実施例に係る多層断熱ガラス・ユニットの概略図である。断熱ガラス・ユニットは当業界で公知であり、本明細書中ではそれほど詳細に論じる必要がない。簡潔には斯かる断熱ガラス・ユニットは概略的に、スペーサ110により離間関係で保持されることで当該第1ガラス板10および第2ガラス板100の間にガラス板間シール空間115を画成する2枚のガラス板10、100から成る。図示実施例において、ガラス10の外側表面により担持された表面が水で薄く覆われる被覆20は第2ガラス板100から離間して配向される一方、ガラス10の内側面により担持された反射被覆30は第2ガラス板100に向けて配向される。第2ガラス板100は、ガラス板間空間115に露出された内側表面および第1ガラス板10から離間して配向された外側表面を有する。所望であれば、第2ガラス板100の外側表面104に対しても(不図示の)表面が水で薄く覆われる被覆が適用され得る。この様にすれば、両ガラス板の外側表面が染み/汚染耐性とされる。
【0040】
スペーサ110は、一側にては第2ガラス板100の内側表面102に接合され、他側にては第1ガラス板10に接合される。当業界で公知である如く、該スペーサはガラス10の内側表面14に直接的に接合され得るか、又は、反射被覆30がガラス10の縁部まで延在してスペーサはその被覆30に直接的に取付けられ得る。
【0041】
典型的に上記スペーサは金属などで形成されると共に、該スペーサは内部保持された乾燥剤112を有する。この乾燥剤はガラス板間空間115の気体と連通されることで、各ガラス板間に進入する一切の湿気を除去し得る。スペーサ110の外周縁部の回りには外側シール114が担持されることで、信頼性の高い気体/湿気障壁を形成し得る。
【0042】
図3は、本発明の被覆ガラス物品に対する別の用途を示している。この実施例においてガラス板10は、断裂防止中間プラスチック膜130により第2ガラス板100に接合されることで積層構造を形成する。斯かる窓用積層構造は、自動車の窓の分野において公知である。典型的にこのプラスチック層130は、他の2枚のガラス板に対して熱溶融されたポリビニルブチラールなどの比較的に厚寸層の形態を取る。また所望されるならば、被覆30は省略され得る。但し更に好適に、反射膜30は加熱調節可能な赤外線反射膜から成る。斯かる膜は当業界において種々公知であり、この膜の厳密な性質は本発明の有効範囲外であるが、任意の適切な加熱調節可能被覆30が使用され得る。断裂防止中間プラスチック膜130を備えた積層構造は、シャワー・ドアの一部としても使用され得る。斯かるシャワー・ドアは通常のガラス・ドアよりも安全である、と言うのも上記中間プラスチック膜は、ガラス・ドアが破壊されたならば生ずるであろうガラス粉砕を最小化し易いからである。この場合には上記ドアの内側表面および外側表面の両者を本発明の表面が水で薄く覆われる被覆で被覆するのが望ましい。シャワー・ドアはシャワー水およびシャワーにより生成される高湿度に接近しているので、シャワー・ドアの両側は水に対して定期的に接触すると予測される。
【0043】
上述の如く表面が水で薄く覆われる前記被覆は望ましくはスパッタリングで適用され、もし存在するなら、上記低放射率被覆もしくは反射被覆30もそうである。これらの別体の被覆は、スパッタリング・ラインを通る別体の行程において2つの被覆を適用することで習用のスパッタリング機器を用いて適用され得る。たとえば上記反射被覆が適用される前に、酸化スパッタリング雰囲気中でケイ素ターゲットの下方にガラスの外側表面を位置することで、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20はガラスの外側表面に適用され得る。その後、各スパッタリング・チャンバが所望の膜積層体のひとつ以上の特定層に適合されるという一連のスパッタリング・チャンバを習用の様式で用いることで、多層反射被覆が適用され得る。代替的に、斯かる反射層の代わりに、ガラスの内側表面上に表面が水で薄く覆われる第2の被覆が直接的にスパッタされ得る。被覆された表面の一方もしくは両方は、その後に水に対して定期的に露出されることから、表面が水で薄く覆われる前記被覆は露出表面の汚染および染みを緩和する。
【0044】
図4は、本発明の一実施例に係る二重方向スパッタリング・チャンバを概略的に示している。当業界においてはマグネトロン・スパッタリング・チャンバが公知であり、種々の供給元から市販されている。斯かるマグネトロン・スパッタリング・チャンバの完全な説明は本開示の有効範囲外であるが斯かるデバイスに対するひとつの比較的に有用な構造は米国特許第5,645,699号(Sieck)に開示されており、その教示は言及したことにより本出願中に援用される。
【0045】
但し概略的に述べるとマグネトロン・スパッタリングは、基材上に析出されるべき金属もしくは誘電体で形成されたターゲットを配備する段階を含む。このターゲットは負電荷を備えると共に、相対的に正に帯電された陽極が上記ターゲットの近傍に位置される。上記チャンバ内において上記ターゲットの近傍に比較的に少量の所望気体を導入することで、上記気体のプラズマが確立され得る。このプラズマ中の原子は上記ターゲットと衝突してターゲットからターゲット物質を叩き出し、被覆されるべき基材上に該物質をスパッタする。当業界においては、上記プラズマを成形すると共に該プラズマをターゲットの表面の近傍領域に焦点合わせするのを助力すべく、上記ターゲットの背後に磁石を含めることも公知である。
【0046】
図4において被覆されるべきガラス板10は、スパッタリング・チャンバ200の丈に沿い離間された複数の支持ローラ210上に位置せしめられる。これらのローラ210の厳密な間隔は変更され得るが以下で更に十分に説明される理由により、下側ターゲット260からの有効被覆面積を増大すべく少なくともチャンバ200の中間丈に沿い、これらのローラは僅かだけ更に引き離して離間されるのが望ましい。
【0047】
図示実施例においてガラス板10は、これらのローラを水平に横切り、たとえば左から右へと進行すべく配向される。上記ガラスの内側表面14は上方に配向される一方、該ガラスの外側表面12は各ローラ210上に着座すべく下方に配向される。(これはおそらく最も典型的な構成であるが、上側ターゲット200および下側ターゲット260の相対位置も反転される限りにおいてスパッタリング・チャンバ200内におけるガラスの相対配向が入れ換えられ得ることを理解すべきである。結果として、これらのターゲットを"上側"および"下側"ターゲットと称することは単に便宜目的であり、上記スパッタリング・チャンバ内におけるこれらの要素の相対配向は所望されるならば容易に反転され得ることを銘記されたい。)
【0048】
図4に示されたスパッタリング・チャンバ200は、離間された2個の上側スパッタリング・ターゲット220aおよび220bを含む。これらのターゲットは平坦なターゲットとされ得るが、所謂る回転もしくは円筒状ターゲットとして示される。これらのターゲットは概略的に相互に平行に配置されると共に、これらのターゲットに対しては複数の陽極230が水平に且つ略々平行に延在する。米国特許第5,645,699号において示唆された如く、これらの2つのターゲット間には中間陽極230も位置され得る。
【0049】
ターゲット220aおよび220bの近傍にて上記チャンバにスパッタリング用気体を供給すべく、気体分配システムが使用される。当業界にては種々の気体分配システムが公知であるが、この分配システムは単に、概略的に上記ターゲットに向けて離間された複数の開口もしくはノズルを有する一対の管235から成り得る。
【0050】
マグネトロン・スパッタリング・チャンバ内でガラス基材の上方に位置された複数のターゲットを用いることは、この分野では非常に一般的である。但し図4におけるスパッタリング・チャンバ200の独特の見地は、"下側"ターゲット260の存在である。このターゲットは、ガラスの外側表面12上に本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20を直接的にスパッタすべく用いられるターゲットである。上側ターゲット220aおよび220bに依るのと同様に下側ターゲット260は、安定なプラズマを確立すべく十分に接近された少なくとも一個、好適には二個の陽極270を備える。上側ターゲット220aおよび220bの近傍に示された気体分配管235は下側ターゲット260から不都合に離間され、且つ、ガラス10の間欠的な存在によりスパッタリング・チャンバ200は実効的に別体の2個の機能領域に分割される。故に下側ターゲット260の近傍にて気体の下方に別体の気体分配管275を配備することで、上記ターゲットの近傍のプラズマに対する一貫した気体の供給を確実にすれば好適である。また所望されるならば、下側管275および上側管235は同一の気体分配システムの一部とされ、すなわち、これら両方の管は単一の気体供給源に接続され得る。
【0051】
下側管275により供給される気体の性質は少なくとも部分的に、スパッタリング・ターゲット260の性質に依存する。習用のマグネトロン・スパッタリングにおいて、上記ターゲットは陰極の役割を果たさねばならない。しかしSiO2の誘電性質の故に、シリカ・ターゲットを用いて確実にスパッタを行うことは極めて困難であり得る。結果として、上記ターゲットはシリカではなくシリコン金属から成るのが好適である。上記ガラスの外側表面12上に実際に析出される物質は、下側気体分配管275を介して供給される気体中に酸素を含めることで、シリカへと変換され得る。
【0052】
順次的なガラス板10は上記スパッタリング・チャンバを実効的に分割するが、これによっても、上記チャンバのひとつの領域に導入された気体がチャンバ内の他の箇所へと進行することは妨げられない。下側ターゲット260は酸化雰囲気中でスパッタされるシリコン金属から成るのが好適なので、下側管275を介して導入され得る一切の過剰酸素の存在により上側ターゲット220aおよび220bのスパッタリングが悪影響されないことが重要である。これにより実効的に、該二重方向スパッタリング・チャンバ200を用いたとしてもガラス板の一側に表面が水で薄く覆われる被覆20が析出され且つ他の表面には酸素感応金属が析出されることが防止され得る。
【0053】
更に好適には図4の二重方向スパッタリング・チャンバは、単一チャンバ内においてガラスの内側表面14上には誘電層を且つガラスの外側表面12上にはシリカの表面が水で薄く覆われる被覆20を析出すべく使用され得る。スパッタされる上記誘電体は、析出されつつある当該窒化物中に一定の金属酸化物が導入されたとしても、適用されつつある上記被覆が悪影響されない限りにおいて、斯かる窒化物などとされ得る。但し理想的には、内側表面14に適用されつつある誘電体は酸化物(もしくは少なくとも部分的酸化物)であることから、2群の管235および275を介して導入される気体が何らか混合しても、上記誘電層もしくは表面が水で薄く覆われる被覆のいずれも悪影響されない。たとえば、ターゲット220aおよび220bの一方もしくは両方が金属チタンまたはTiOX(式中、1<X<2)であり、且つ、両群の気体分配管235および275を介して導入される気体は適切に平衡化されたアルゴンおよび酸素の混合物から成り得る。
【0054】
代替実施例においてスパッタリング・チャンバ内の上側および下側ターゲットは両者ともに、ガラス板上に表面が水で薄く覆われる被覆をスパッタし得る。この場合に両方のターゲットは、ケイ素から成り得ると共に、酸化雰囲気中でスパッタされ得る。所望であれば、上側および下側ターゲットは同時にスパッタされることで、ガラスの内側表面および外側表面上にシリカを同時に析出させ得る。
【0055】
習用のマグネトロン・スパッタリング・チャンバにおいてガラスを支持すべく用いられる各ローラ210間の間隔は、各ローラ間にガラスが落下する大きなリスクなしで更に小寸のガラス基材がライン上で処理され得るべく、十分に小寸に維持される。しかし、ガラスの外側表面12上に表面が水で薄く覆われる被覆を適用する上で各ローラの干渉を最小化すべく、この間隔は増大され得る。最大安全間隔は、予測されるガラス寸法の所定範囲に対し状況毎に決定される必要がある。但し、下側ターゲット260から外側表面12までの経路内に配設される各ローラ間の間隔が大きいほど、スパッタされてガラス上に析出されるシリカの割合は大きい。尚、上記スパッタリング装置の他の領域における各ローラが通常の間隔に維持され得るのは当然である。また、二重方向スパッタリング・チャンバ200が図示構成から、ガラスの一側のみを被覆すると共に各ローラは相互に更に接近されるという更に習用的操作のチャンバへと容易に変換され得る如く、該チャンバ200内のローラの幾つかが容易に除去されれば望ましい。
【0056】
各ローラ間の間隔を変更する代わりに、各ローラの直径は更に小寸とされ得る。習用のローラは中空の金属管である。また所望されるならば、更に小径のローラは堅固な発泡体で充填するなどして補強され得る。また上記支持体に沿うガラスの搬送速度を同一に維持すべく、これらの小径ローラは、たとえば所望のギヤ比を有する一対のギヤにより更に迅速に回転されねばならない。
【0057】
ローラ210は、任意の習用構造とされ得る。尚、Kevlar(登録商標)のロープが螺旋状に巻回された円筒状のアルミニウム・ローラであってガラスに対する直接接触表面をKevlar(登録商標)が提供するというローラを採用すれば良好な成果が得られることは確認されている。
【0058】
一実施例においては、一連のスパッタリング・チャンバを備えるスパッタリング・ラインが配備される。各スパッタリング・チャンバは、連続的な基材支持体を画成する複数のローラを含む。これらのチャンバの内の少なくとも一個のチャンバは、そのチャンバ内で各ローラの下方に位置された下側ターゲットを含む上向きスパッタリング・チャンバである。而して、清浄な内側表面および清浄な外側表面を有するガラス板が配備される。このガラス板は、該ガラス板の外側表面が上記上向きスパッタリング・チャンバ内の一個以上のローラ上に着座する如く該チャンバ内に位置される。次に下側ターゲットがスパッタされることで、上記ガラスの外側表面上にシリカが直接的に析出される。上記上向きスパッタリング・チャンバ内においてスパッタされるシリカは上記下側ターゲットから放出されると共に、ガラス上に析出される前に各ローラ間を進行する。これにより、上記外側表面に適用される水を薄く覆わせるべく水に対する約25°未満の接触角を有する表面が水で薄く覆われる被覆が得られる。
【0059】
一定の特定用途において図4の二重方向スパッタリング・チャンバ200は、
ガラスの内側表面および外側表面の両方に対して全体的な所望被覆を適用するに十分とされ得る。但し多くの場合にスパッタリング・チャンバ200は、一連のスパッタリング・チャンバを備えるスパッタリング・ラインの一部である。上記ラインにおける各スパッタリング・チャンバは上側ターゲットおよび下側ターゲットの両方を含み得るが、最も習用の用途においてガラスの上側表面に適用される膜積層体は更に複雑である(すなわち組成が変化する一連の別個の層から成る)と共に、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆よりも厚寸である。結果として各スパッタリング・チャンバの大多数は、上側ターゲットのみを有すると共に支持体の下方に位置されるターゲットは無いという習用の下向きスパッタリング・チャンバから成る。
【0060】
もしスパッタリング・ラインが下向きスパッタリング・チャンバと二重方向スパッタリング・チャンバ200との組合せから成るなら、スパッタリング・ラインに沿う該二重方向チャンバの位置は変更され得る。また本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆が、酸化雰囲気中でケイ素含有ターゲット(たとえば、主としてケイ素で形成され又はアルミニウムが添加されたケイ素で形成されたターゲット)をスパッタすることで適用されるならば、同一チャンバ内においてガラスの上側表面上に(たとえば低放射率の膜積層体で習用的に用いられる形式の赤外線反射銀層などの)酸化可能金属層の析出を試行してはならない。故に、少なくとも金属層をスパッタすべく用いられるチャンバは、下側ターゲットを省略することで下向きスパッタリング・チャンバとして作動され得る。但し、同一チャンバにおいてガラスの上側表面上に金属酸化物(たとえばSiO2、ZnOもしくはSnO2)を析出することは可能であろう。
【0061】
従来の知見によれば当業者は、ガラス表面がスパッタリング・チャンバ内で該ガラスを支持するローラと接触して損傷もしくは汚染される前に本発明の表面が水で薄く覆われる被覆が適用されるのを確実にすべく表面が水で薄く覆われる該被覆は最初のスパッタリング・チャンバ内で、又は必要ならば最初の幾つかのスパッタリング・チャンバ内で適用されることを示唆されよう。しかし非常に驚くべきことにこの逆が成立することが確認されており、すなわち本発明の表面が水で薄く覆われる被覆は最後のスパッタリング・チャンバ内で最適に適用される。もし、スパッタリング・ラインを通るガラス速度を不当に低速化せずに十分に厚寸の表面が水で薄く覆われる被覆を析出すべく一個以上の二重方向スパッタリング・チャンバ200が必要なら、表面が水で薄く覆われる前記被覆は最後の数個のスパッタリング・チャンバ内で最適に適用される。
【0062】
もし本発明の表面が水で薄く覆われる被覆がスパッタリング・ラインの最初にて適用されるなら、ガラスの外側表面の大部分は所望の表面が水で薄く覆われる特性を呈する。但しガラスの縁部は、これらの優れた改善を一貫して呈さないこともある。これは、表面が水で薄く覆われる被覆の析出の後でガラスの上側表面に適用される被覆の僅かな過剰吹き付けに起因すると確信されるものであり、この場合に上側表面に適用される物質の非常に少量が下側表面に向けて下方に漂遊し、ガラス板の縁部の近傍にて表面が水で薄く覆われる前記被覆に重なるのである。この過剰吹き付けされた被覆は十分に薄寸なのでガラスの光学特性に対して容易に識別し得る影響は有さないが、この実質的に視認不能な被覆がガラスの縁部付近で表面が水で薄く覆われる上記被覆の利点を妨げた。しかしスパッタリング・ラインの終了に向けてガラスの外側表面にシリカを適用すれば、シリカ被覆の頂部上に析出される過剰吹き付けの量は最小化され得ると共に、該被覆の有用な表面が水で薄く覆われる効果は保護され得る。
【0063】
図4などに示された二重方向スパッタリング・チャンバ200は、ガラス板の両側に被覆を適用する上でコストを最小化すると共に製造効率を最大化すると確信される。望ましさは低いが、全てのターゲットが(各)チャンバ内の支持体の同一側上に位置されるのを許容すべく各行程間でガラスを裏返せば、ガラスの他側には第2行程にて反射被覆が適用される一方で本発明の表面が水で薄く覆われる被覆は第1の行程で適用され得る。但し、これは上記において概説されたプロセスよりも相当に効率が低く、低コストの市販ガラス製造に対して適切とは思われない。
【0064】
ガラス基材が上記チャンバを通り移動するとき、ガラスが下側ターゲット260から上側ターゲット200aおよび200bを、または後者から前者を、実効的に遮断しない時間がある。結果として、上側ターゲットからの物質は下側ターゲット上に析出され且つ下側ターゲットからの物質は上側ターゲットの一方もしくは両方上に析出され得る。図4のスパッタリング・チャンバ200は、上側ターゲット220a、220bおよび下側ターゲット260が実質的に同一の組成を有せば理想的である。しかし上側ターゲットが下側ターゲットとは異なる組成を有すると、異なる各ターゲットの相互汚染により、スパッタリングにおいて又は一貫した製品品質を維持する上で問題となり得る。
【0065】
この問題は少なくとも理論的に、スパッタリング・ターゲットの各々に供給される電力を個別に制御することで上側および下側ターゲットを相互から遮断すべくガラスが位置されたときにのみ各ターゲットがスパッタリングされるのを確実にすることで、克服され得る。しかし、現在市販されている電源制御器はこの様には構成されていない。更に、上記スパッタリング・ラインが一貫したサイズではなく種々のサイズのガラス基材を被覆すべく用いられるならば、斯かる配置に対する制御ロジックは不当に難解となり得る。
【0066】
図5は、各スパッタリング・ターゲットのそれほどの相互汚染なしで基材の内側表面14および外側表面12の両方を被覆すべく単一行程で使用され得るひとつの可能的なスパッタリング・チャンバ300を示している。図4に示された要素と同様の機能を提供する要素は100により索引付けされた参照番号を担持し、たとえば図5の上側気体分配管335は図4の上側気体分配管235と機能的に同様である。
【0067】
図5のスパッタリング・チャンバ300は一対の障壁340により実効的に3個の被覆区域300a、300bおよび300cに分割される。ひとつの被覆区域における気体の一定の割合は別の被覆区域へと流入し得ることから、全ての3つの区域において同様の雰囲気を用いるのが最良である。但し各障壁340は、ひとつの被覆区域においてスパッタされる物質であって別の被覆区域のターゲットに到達する物質の量を実効的に制限する役割を果たす。
【0068】
図5の実施例において3個の被覆区域300a乃至300cの各々は4個までのターゲットを保持可能であり、2個のターゲットは基材の上方に位置され且つ2個は基材の下方に位置される。故に、ガラスの行程の上方に位置された6個の上側ターゲット取付部321乃至326およびガラスの行程の下方に位置された6個の下側ターゲット取付部361乃至366が在る。これにより、異なる特性を有する製品を製造すべくこの単一の多重区域スパッタリング・チャンバ300を用いる上で最大の融通性が許容される。図5は概略的に、下側ターゲット取付部361乃至366と夫々が垂直に整列された上側ターゲット取付部321乃至326を示している。但し、各ターゲットはこの様に垂直に整列される必要は無く、水平に交互配置されて更に好適に位置決めされても良い。
【0069】
図5に示された構成において第1被覆区域300aは2つの上側ターゲット(320aおよび320b)を有するが、下側ターゲット取付部361もしくは362上に下側ターゲットは有さない。上記第1被覆区域においてスパッタリング用気体は上側気体分配管335に対して供給され且つ上側陽極330には電力が供給されるべきであるが、下側気体分配管375に対して気体を供給したり下側陽極370に対し電力を供給する必要はない。第2被覆区域300bは2個の下側ターゲット360cおよび360dを有するが、上側ターゲット取付部323および324のいずれもスパッタリング・ターゲットを担持しない。同様に第3被覆区域300cは2個の下側ターゲット360eおよび360fを有するが、上側ターゲット取付部325および326のいずれもスパッタリング・ターゲットを担持しない。(上記で論じられた如く)最適には、第1被覆区域300aは基材の内側表面14により担持された反射膜積層体の最外側層を適用すべく用いられる一方、最後の2個の被覆区域300bおよび300cは基材の外側表面12上に表面が水で薄く覆われる被覆20をスパッタすべく用いられる。
【0070】
図5の多重区域スパッタリング・チャンバ300における各ターゲットの配置は単に例示的であり、ターゲット配置は種々の製品に対する効率を最大化すべく変更され得ることを理解すべきである。たとえば、同一のガラス速度にて更に厚寸の表面が水で薄く覆われる被覆が所望されるなら、上側ターゲット取付部321乃至326のいずれもがターゲットを担持せずに、下側ターゲット取付部361乃至366の各々にケイ素含有ターゲットが取付けられ得る。また、更に薄寸の被覆で十分なら(或いは、被覆チャンバを通るガラス速度が適切に低下されるなら)、最後の2つの下側ターゲット取付部325および326のみはターゲットを備え得る一方、最初の4個の上側ターゲット取付部321乃至324の各々はスパッタリング・ターゲットを担持する。勿論、被覆区域300a乃至300cの任意のひとつ以上が、同一区域の上下のターゲット取付部にターゲットを取付けることで図4の二重方向スパッタリング・チャンバ200と略々同様に作動され得る。
【0071】
本出願において図4および図5の装置ならびに斯かる被覆システムを用いて被覆を析出する方法は主として、ガラスの一側には反射膜積層体を且つガラスの他側には表面が水で薄く覆われる被覆を適用するという状況で論じられた。しかしこの装置および方法は、ガラス板に適用される被覆の性質に関わらずにガラス板の両側に被覆を適用すべく用いられ得ることは理解される。たとえば上記装置は、ガラス板の両側に反射防止膜を適用すべく、透明なもしくは半透明な有機基材の両側に赤外線反射被覆を適用すべく、または、同一の基材の各側に表面が水で薄く覆われる被覆を適用すべく使用され得る。
【0072】
図4および図5に示されたシステムの利点は、上記被覆装置を通る単一行程において基材は両側にスパッタ被覆が提供され得る一方、ガラスは一定配向に維持され、すなわちガラスは裏返されたり転回され又は操作される必要が無いことである。この故に、上記製造ラインに沿いガラスを移動すべく単純で標準的な搬送ローラ群が使用され得る。本発明が無ければ典型的には、別個の行程において上記被覆装置に通すべくガラスを手動で取り扱い裏返して装置に戻すか、または、上記基材を保持して製造プロセスの一定の時点で基材を裏返すべき複雑な取扱いシステムを使用せねばならない。しかし本発明に依れば、両側に被覆を有するガラスは被覆品質を何ら損なわずに特に経済的に生成され得る。
【0073】
これまではガラスの底部側を被覆せんとしても、被覆を適用する前に各ローラと接触すると被覆が損なわれ且つ/又はガラスの底面が損傷されると想定されていた。しかし驚くべきことに本発明は、ガラスの両側は単一行程において優れた成果を以て被覆され得ることを例証する。
【0074】
本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆が適用される厳密な作動条件(たとえばターゲット組成、プラズマ組成など)は、所望厚みの被覆の析出を最適化すべく必要に応じて変更され得る。本発明の教示が指針として与えられるなら当業者であれば、不当な実験なしで適切な作動条件を選択することで本発明の被覆を適用し得るはずである。
【0075】
本発明に係るSiO2の層は不活性雰囲気において二酸化ケイ素ターゲットを用いてスパッタ析出され得るが、シリカは不十分な導体なのでDCスパッタリング装置において斯かる誘電物質をスパッタすることは困難であり得る。代わりに酸化雰囲気中で純粋なケイ素ターゲットを用い得るが、ケイ素は半導体なので、斯かるターゲットは一貫して制御された様式でスパッタするのは困難である。スパッタリングを改善してアーク発生を減少するには、約5%のアルミニウムを含むケイ素から成るターゲットを酸化雰囲気中でスパッタするのが好適である。
【0076】
但しアルミニウム添加ケイ素ターゲットが採用されても、スパッタリング・チャンバ内の雰囲気は最適なスパッタ速度を達成すべく変更され得る。またスパッタ雰囲気は酸化的とすべきであるが、純粋な酸素である必要はない。逆に、酸素と不活性気体との混合物はスパッタ速度を増大する。酸素と、約3×10-3mbarに維持された約40%までのアルゴン(好適には0〜20%のアルゴン)とから成るスパッタリング用気体は十分であると確信される。またスパッタリング・ターゲットに印加される電力は、アーク発生を減少し乍らスパッタ速度を最大化すべく最適化されねばならない。約80kWまでの電力は容認可能な結果をもたらす。
【0077】
良好に機能すると確認されたひとつの製造配置は、約5%のアルミニウムが添加されたケイ素から成る3個の回転スパッタリング・ターゲットを活用し、各ターゲットには約42kWの電力が印加される。上記スパッタリング・チャンバ内の雰囲気は、約333.3mPa(2.5mTorr)乃至約599.9mPa(4.5mTorr)の圧力における100%O2から成る。ガラス基材はこらのスパッタリング・ターゲットを通過して、約5.7m(225インチ)/分乃至12.7m(500インチ)/分で移動される。
【0078】
フロートガラスを製造する際には溶融スズの浴上に溶融ガラスが浮遊され、ガラスは、上側と、下側すなわち"スズ"側とを有すると称される。最も一般的には、フロートガラスが反射被覆を備える場合、徐冷がま内の支持ローラとの接触により生じ得るガラスのスズ側における一定の僅かな表面欠陥の故に、上記被覆はガラスの上側に適用される。もしフロートガラス板10が表面が水で薄く覆われる被覆20および反射層30の両者を備えるべきであれば、該ガラス板の上側表面は反射被覆30を受容すべくガラスの内側表面14として使用される一方、ガラスのスズ側は表面が水で薄く覆われる被覆20を受容すべく外側表面として用いられれば好適である。
【0079】
図6は、未処理のフロートガラス板のスズ側の表面における1平方マイクロメートル(μm)の原子間力顕微鏡写真である。図7は、表面上の約1μm線に沿った上記ガラス板の同一側の縦断面を表すグラフである。これらの画像は両者ともに、標準的なケイ素尖端を用いるDigital Instruments Nanoscope IIIを用いた原子間力顕微鏡法により得られた。
【0080】
図6および図7は、比較的に円滑な表面を示す。図6においてこの表面は完全には円滑でなく且つ僅かに粗い外観を有する様に見えるが、これらの画像のスケールは非常に小寸なことを銘記するのが重要である。これらの画像を透視図にすると、図7の縦断面における2個のピークは一対の矢印により強調されている。図7の左における2つの暗色の矢印(横座標に沿い約0.25μm)は第1ピークAの開始点および頂点をマークし;図7の右における2個の明色の矢印(横座標に沿い約0.9μm)は第2ピークBの頂点および終点をマークしている。第1ピークAは高さが0.7nm未満である一方、第2の更に高いピークBは僅かに約1.7nm高さである。
【0081】
図8乃至図10は、スズ側に本発明の表面が水で薄く覆われる被覆が適用されたフロートガラス板の同様の表示である。図8は非常に図6と似た顕微鏡写真であり、同様に1μm2の表面を表している。図10は非常に図7と似たグラフであるが、縦座標軸は図7の小寸の5nm範囲ではなく20nmの範囲を表している。図9は、表面が水で薄く覆われる前記被覆の表面特徴を強調する斜視図である。主たる画像の右における小寸の垂直棒は、基部表面からの種々の高さに関連するグレースケールを表す記号説明である。
【0082】
これらの2群の図を比較すると、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆は図6および図7に示された被覆無し表面よりも更に相当に不規則な表面を有することが明らかである。図8においては、ガラスの表面から隆起する一連の離間突起が明らかであるが、これらの突起の高さをこの図において決定するのは困難である。図9および図10は、これらの突起の高さおよび形状の更に良好な表示を与える。図10において2つの暗色の矢印はひとつのピークAの頂点および終点を強調する一方、2つの明色の矢印は第2ピークBの頂点および終点を指している。図7における寧ろ小寸のピークと対照的に、図10における第2の小寸のピークBは約4.3nm高さである一方、第1ピークAは略々10nm高さである。これは図7に示された各ピークの5倍以上の高さである。
【0083】
また、図8乃至図10に示された被覆の表面は不均一であるが比較的に非孔性なことを銘記するのも重要である。これは、被覆を貫通する50乃至200nmのオーダーの孔を有する孔性のゾル・ゲル誘導被覆を示すTakamatsu等の米国特許第5,394,269号における顕微鏡写真と明確な対照を為す。
【0084】
これらの画像は、現在においては理解されない理由により、ガラスの表面にシリカをスパッタ析出すると十分に鋭角的で独特の一連のピークを有する表面を備えた被覆が生成されることを示唆している。被覆表面に対する有意な統計的分析は実施されていないことから、図6乃至図10が夫々の表面の代表例であるかは定かでない。すなわち事実として、これらの画像は問題となるサンプルの全体表面の非典型であり得ることは是認されることから、これらの2つのガラスの表面構造における明白な相違に過大な意義を与えるのは適切でない可能性がある。但しこのデータは、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20の表面は比較的に非孔性であると共に未処理のフロートガラス表面とは異なることを示唆する、と言うのも、表面が水で薄く覆われる該被覆の表面は該表面の残部から相当に上方に隆起して離間された別個の多数のピークを有すべく更に相当に不均一で不規則だからである。
【0085】
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆により被覆されたガラス板の挙動は、本発明の被覆を担持しない同様のガラス板と視認的に異なる。表面が水で薄く覆われる被覆20を担持するガラス表面は水を更に容易に薄く覆わせ且つ同一条件下では一切の視認可能な条痕(streak)もしくは欠陥なしで、匹敵するガラス板よりも更に容易に清浄化され易い。
【0086】
本発明の被覆を担持しないが故に直ちに比較可能なガラス板に対して本発明の被覆を正確に比べるために、比較サンプルが調製された。通常の未処理のガラス板が完全に清浄化されて一群のローラ上に水平に載置された。またガラス板の上側表面上には該ガラス板の表面の一部を覆うテンプレートの役割を果たすべく小寸の正方形ガラス片が載置された。上記ガラス板および上側に位置するテンプレートはマグネトロン・スパッタリング・チャンバ内に通されて約35ÅのSiO2の被覆が析出された。次に上記テンプレートが除去されることで、その表面の殆どは本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20を備えたガラス板であってスパッタ操作の間において上記テンプレートの下方であった未被覆領域を有するガラス板が残置された。上記ガラスの反対側、すなわちSiO2被覆を備える側とは逆のガラス側は、複数の誘電層を用いることで相互から且つガラスから離間された2つの銀層を有する低放射率の赤外線反射膜積層体で被覆された。
【0087】
上記ガラス板の部分的被覆表面が、視認で検査された。完全に清浄なとき、スパッタリングの間に上記テンプレートの下側に位置した未被覆領域の境界は裸眼では本質的に検出不能であり、ガラスの基本的光学特性に対し表面が水で薄く覆われる前記被覆は最小限の影響を有することが示された。而して上記表面上には、家庭用洗剤を噴射すべく習用的に用いられる形式の単純な手動操作式の噴射ボトルを用いて噴霧化された微細な水滴が噴射された。噴射が行われると、上記未被覆領域の境界は容易に視認可能であった。被覆20を担持する領域上の水は明らかに均一な水膜へと水で薄く覆わせたが、該被覆の無い上記領域は均一さの少ない外観であった。
【0088】
上記ガラス板の表面には登録商標Windexで市販される習用の洗浄溶液が噴射されると共に、該表面は、被覆20を担持する領域が乾燥して一切の視認可能な条痕を示さなくなるまで紙タオルで払拭された。払拭が終了したとき、上記未被覆領域は依然として視認可能な湿気の条痕を有していた。上記未被覆領域上のこれらの視認可能条痕は最終的にはガラス上に一切の実質的な残存条痕を残さずに乾燥したが、一般人であれば全ての視認可能条痕が消失するまで該領域を払拭し続け易いと確信されることから、表面が水で薄く覆われる被覆20の無いガラス物品よりも該被覆を担持するガラス物品を清浄化する場合に一般人の時間および作業が短縮されることが示される。
【0089】
本発明によりもたらされる表面特性の変化は定性レベルでは容易に識別可能であるが、これらの相違を有意な様式で定量することは更に困難であり得る。但し以下の各例は、未被覆ガラス板と、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20を担持するガラス板との相違を例証するものと確信される。以下の実験例1乃至3の各々においては、2つのサンプルすなわちサンプルAおよびサンプルBが配備された。サンプルAは通常のソーダ石灰ガラス板でありサンプルBは本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20を担持する同様のソーダ石灰ガラス板であった。表面が水で薄く覆われる前記被覆は、約466.6mPa(3.5mT)の酸素雰囲気において42kWの電力レベルで95%ケイ素/5%アルミニウムの回転ターゲットを用いると共に約12.7m(500インチ)/分の速度でガラスを移動することで適用された。
【0090】
実験例1
両方のサンプルは、5%塩水溶液を用いて250時間に亙ることでASTM
B117に従う塩分噴射試験に委ねられた。簡潔には、各サンプルは清浄化されると共に垂直から約15乃至30°の角度にてSingleton SCCH #20腐食キャビネット(Corrosion Cabinet)内に載置され、サンプルBは表面が水で薄く覆われる被覆20を担持する表面が下方を向く様に配向された。上記キャビネット内では5%塩水溶液(5重量%の塩化ナトリウム、95重量%の蒸留水)が噴霧化され、上記塩水溶液は上記キャビネット内の収集シリンダ内に約1.8ml/80cm/時間の速度で収集された。その後に各サンプルは上記キャビネットから取出され、濯がれ、乾燥されて視認検査が許容された。サンプルAはサンプルBより多くのウォータスポットを有しており、サンプルA上のウォータスポットはサンプルB上の光条痕よりも視認可能であった。
【0091】
各サンプルは次に紙タオルおよびWindex(登録商標)を用いて清浄化された。次に各サンプルの曇りは、CIE−C規格に関連するスペクトル範囲に亙る光を積分する積分球を採用することで、ASTM D−1003およびASTM D−1044に従うBVK−Gardner Haze−Gard Plusを用いて測定された。標準的なガラス板であるサンプルAは約0.15%の曇り測定値を有する一方、表面が水で薄く覆われる被覆20を担持するサンプルであるサンプルBに関する曇り測定値は約0.10%であった。
【0092】
次に、市販の測定デバイスを用いてガラス板の表面上の水の接触角が測定され、サンプルBに対する接触角は被覆20を担持する表面上で測定された。サンプルAに対する接触角は約32度であり、サンプルBに対する接触角は約12度であった。
【0093】
実験例2
各サンプルはトングで取り扱われ、まず約100℃に維持されて沸騰した水道水のビーカ中に浸漬され其処で約5秒だけ保持され、その後、約0℃に維持された氷水のビーカ中に投入され其処で約5秒だけ保持された。このプロセスは、25回反復された。各サンプルは次に、約49℃(約120°F)にて約90%の相対湿度で約500時間だけSingletonモデルSL23湿度試験チャンバ内に載置された。次に各サンプルは視認検査された。実験例1におけるのと同様に、サンプルAはサンプルBよりも更に多数で更に視認可能なウォータスポットを呈した。
【0094】
次に各サンプルは清浄化されると共に、実験例1において上記で概説されたのと殆ど同一の様式で曇りおよび接触角測定が行われた。サンプルAに対する曇り測定値は0.34%であり、サンプルBに対しては0.14%であった。サンプルAは約20°の接触角を示す一方、サンプルBに対する接触角は約12°であった。
【0095】
実験例3
被覆無しガラスの2個のサンプル(サンプルA1およびA2)および被覆ガラスの2個のサンプル(サンプルB1およびB2)が清浄化されると共にそれらの曇り測定が行われた。被覆無しサンプルの各々は約0.09%の曇り測定値を有すると共に、表面が水で薄く覆われる被覆20を備えたガラスの曇り測定値は約0.08%であった。
【0096】
1000mlの水に対して約11.5グラム(4オンス)のポルトランドセメントを混合してセメント混合物が調製された。被覆無しガラスの2個のサンプル(サンプルA1およびA2)および被覆ガラスの2個のサンプル(サンプルB1およびB2)がこの溶液中に約10分保持され、その後に取出された。サンプルA1およびB1は次に(一切こすらずに)大量の水で濯がれて乾燥され;サンプルA2およびB2は濯ぎなしで空気乾燥された。
【0097】
4個のサンプルの全ては、Windex(登録商標)および紙タオルを用いて手で清浄化された。上記セメント試験から帰着するサンプルA1およびA2上の残存汚染はこの清浄化の間において汚れとなり、ガラスの清浄化を更に困難とした。これと対照的にサンプルB1およびB2はいずれも汚れず、これらのサンプルは両者ともにサンプルA1およびA2よりも顕著に迅速に乾燥した。
【0098】
各サンプルが完全に手で清浄化され、曇りおよび接触角の測定が行われた。セメント処理の後、サンプルA1およびB1に対する曇りは夫々0.09%および0.08%で不変であった。同様にサンプルB2に対する曇り測定値も約0.08%で不変であったが、サンプルA2に対する曇り測定値は約0.09%から約0.10%へと僅かに増大した。サンプルA1およびA2に対する接触角は上記セメント処理に先立ち約26°と測定され;同じ段階にてサンプルB1およびB2は約11°の接触角を有していた。上記セメント処理の後、サンプルA1に対する接触角は約32°であるが、濯がれた他方のサンプルであるサンプルB1に対する接触角は約10°であった。またサンプルA2に対する接触角は約33°であるが、他方の空気乾燥サンプルであるサンプルB2に対する接触角は約14°であった。
【0099】
実験例4
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20を担持するガラスの性能は、通常の被覆無しガラス、および、表面の清浄化を更に容易にすると主張された他のガラス被覆に対して比較された。各サンプルはフロートガラス板で開始すると共に、被覆無しガラスサンプルは別として、表面には被覆が適用されたが;各サンプル形式に対して割当てられたサンプルIDおよびそれに適用された被覆は以下の各表中に示される。
【0100】
【表2】
Figure 2004501852
【0101】
これら一群のサンプルは促進耐候試験に委ねられると共に、接触角および清浄化の容易さが定期的にチェックされた。上記耐候試験において各サンプルは約71℃(約160°F)の温度に維持されたステンレス鋼容器内に載置された。上記容器の底部に向けて(Ultra−Vitaluxの商品名でOsramから販売されている)300Wの紫外線光源が位置されると共に、各サンプルは水平に関して約45°の角度にて位置され且つサンプルの底部縁部は電球から約25cm(約10インチ)離間された。定期的に、各サンプルは容器から取出されると共に接触角は上記で概説されたのと殆ど同一の様式で測定された。接触角は次の如くである。
【0102】
【表3】
Figure 2004501852
【0103】
これに加えてサンプルの清浄化の容易さが、サンプルの被覆表面上に、または被覆無しサンプルの場合にはフロート製造プロセスの間にスズ浴と接触した表面上に、Windex(登録商標)を噴射することで試験された。その表面は、該表面が清浄化されて本質的に条痕が無い様に見えるまで紙タオルにより手動で払拭された。清浄化の容易さは1乃至5のスケールで決定されたが、一切の環境露出に先立ち通常の被覆無しガラスを清浄化する容易さは3と定義され、ガラス表面の清浄化が非常に容易な場合には1と評価され、且つ、清浄化が実質的に更に困難なサンプルは5と評価された。(この評価方式は幾分か主観的であるが、ガラスが清浄化され得る容易さの概略的な定性表示を与えている。)この試験の結果は以下の通りである。
【0104】
【表4】
Figure 2004501852
【0105】
これらの結果から、本発明の表面が水で薄く覆われる被覆20によればガラス表面の清浄化は、標準的な被覆無しガラス、または、ガラスの清浄化を更に容易とすべく設計された幾つかの市販の被覆のいずれかにより被覆されたガラスよりも、相当に容易となることが示される。より詳細には、これらの市販の被覆によれば清浄化するのが実際には更に困難とされた様に思われる。(これらの被覆は一定用途では有用かもしれないが、この実験例において採用された"清浄化の容易さ"基準は、一般的な家屋所有者が清浄化の容易さを如何に知覚するかを十分に表すと確信される。たとえば、ガラス板上の洗浄液の条痕が一切の永続的条痕を残さずに乾燥し得るとしても、一般人であれば一切の残存条痕を回避すべくガラスが清浄に見えるまで当該領域を払拭し続け易い。)
【0106】
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆の好適な効果は、この促進耐候試験において経時的に低下することが判明した。特にこの試験において5日後以降に本発明の被覆は、被覆無しガラスサンプルにより達成されたのと同等の結果をもたらした。但し斯かる劣化の後でさえも、表面が水で薄く覆われる被覆20を担持したサンプルは更に小さな接触角を有すると共に、これらの試験で評価された市販被覆よりも清浄化は容易なままであった。
【0107】
風雨に対する通常の露出時間と、この例で用いられた促進耐候試験における時間との間に如何なる相関が在るかは明らかでない。しかし、本発明の被覆20が長期に亙り大きな清浄化機能を示し続けることは確信される。実際問題として、予備試験によれば被覆20の利点の多くは促進耐候試験における劣化の後でさえも適切な清浄化により回復され得ることが示されるので、該被覆の利点は風雨に対する露出により低下した後でさえも比較的に容易に回復され得ることが示唆される。
【0108】
本発明の好適実施例が記述されたが、本発明の精神および添付の各請求項の有効範囲から逸脱せずに種々の変更、適合および改変が為され得ることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る被覆を担持するガラス板の概略断面図である。
【図2】
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆を取入れた多層断熱ガラス・ユニットの概略断面図である。
【図3】
本発明の表面が水で薄く覆われる被覆を担持すべく自動車のウィンドシールドに一般的に用いられる形式の窓用積層構造の概略断面図である。
【図4】
本発明に従い用いられる二重方向スパッタリング・チャンバの概略図である。
【図5】
本発明の別実施例に従い用いられる多重区域式二重方向スパッタリング・チャンバの概略図である。
【図6】
習用のフロートガラス板の通常の被覆無し表面の原子間力顕微鏡写真である。
【図7】
図6に示されたガラス板の表面の短距離に亙る高さ縦断面を示すグラフである。
【図8】
本発明に係る表面が水で薄く覆われる被覆を担持するフロートガラス板の表面の原子間力顕微鏡写真である。
【図9】
図8に示されたのと同一のフロートガラス板の領域の立体的表現である。
【図10】
図8および図9に示された表面が水で薄く覆われる被覆の表面の短距離に亙る高さ縦断面を示す図7と同様のグラフである。
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