JP2004500035A - 核酸ハイブリダイゼーションを検出および分類する方法 - Google Patents

核酸ハイブリダイゼーションを検出および分類する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、異なるハイブリダイゼーション複合体の誘電特性に感受性であり、そして標識を用いずに直接的に異なるハイブリダイゼーション複合体間を区別し得る検出系を用いて核酸の分析を実行するための種々の方法を提供する。配列検査、発現分析、de novoシーケンシングおよび種々のその他の核酸分析を実施するための系を用いる方法が提供される。

Description

【0001】
関連出願に対する引用
本出願は、米国特許仮出願第60/073,445号(1998年2月2日提出)の利益を主張する米国特許出願第09/243,194号(1999年2月1日提出)の一部継続出願である。本出願は、米国特許仮出願第60/134,740号(1999年5月18日提出)の利益も主張する。本出願は、代理人処理予定番号019501−000500を有する「Test Systems and Sensors for Detecting Molecular Binding Events」という表題の米国特許出願および代理人処理予定番号019501−000600を有する「Methods of Nucleic Acid Analysis」という表題の米国特許出願(これらはともに、本明細書と同時に提出される)にも関連する。これらの出願は各々、全目的に関してこれらの記載内容が参照により本明細書中に含まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、分光法を用いて核酸分子の配列を分析するための新規の方法に関する。特に本発明は、遺伝子発現分析、配列検査、突然変異検出および核酸のシーケンシングのための方法に関する。このようなものとして、本発明の方法は、分子遺伝学および医学的診断に広範に関する。
【0003】
発明の背景
遺伝子のヌクレオチド配列の形態における遺伝情報の知識は種々の生物学的現象、例えば細胞の発生および分化、生物の成長および生殖、疾患の根元的原因等の理解のために重要である。例えばタンパク質は種々の構造的および触媒的機能を供する。しかしながらタンパク質のこれらの特性は、タンパク質のアミノ酸配列の一機能であり、これは順次核酸配列によりコードされる。核酸は、遺伝子発現の制御および調節において機能することにより、細胞過程においてより直接的な役割も演じ得る。
【0004】
種々の種類の核酸分析を実行して、遺伝情報がこれらの異なる種類の生物学的過程において如何に機能するかを洞察するために、種々のハイブリダイゼーション技法が開発されてきた。典型的には、ハイブリダイゼーション技法は、ハイブリダイゼーションが相補的配列間でのみ起こるような制御条件下での核酸プローブによるある種の標的核酸の結合を包含する。このようなハイブリダイゼーション技法を用いて、遺伝子発現研究、配列検査試験を実行し、そして未知の配列の核酸の配列を確定することができ、ならびに種々のその他の種類の分析を実行することができる。
【0005】
遺伝子発現研究は、遺伝子の異なる発現は細胞発生、細胞分化、疾患状態および種々の環境刺激への適合に関連することが示されているため、重要である。例えば、多数の疾患が、遺伝子DNAのコピー数の変化による、または転写レベルの変化による種々の遺伝子の発現レベルの差によって特性化されている。ある種の疾患においては、感染はしばしば特定ウイルスからの遺伝子の発現増大により特性化される。
【0006】
配列検査は、核酸標的を含有する試料が分析されて、問題の配列の存在を検出する方法を指す。この種類の分析は、多様な用途、例えば研究、臨床的診断、品質管理等において実用性を有する。特に重要なある特定種類の配列検査は、遺伝暗号の変異である多型性の同定である。しばしば多型性は、単一ヌクレオチドにおける変化の形態をとり、単一ヌクレオチド多型(SNP)と呼ばれる。その他の場合では、多型性は、異なる個体間で長さが変わる反復配列の一続きとして存在し得る。これらの変異が集団の有意のパーセンテージに存在する場合、それらは単−および多遺伝子特性に関与する遺伝子に連結されるマーカーとして容易に用い得る。したがって、多型性の分析は、特定の特性に関与する遺伝子を突き止め、同定し、そして特性化するのに重要な役割を演じ得る。特に多型性は、ある種の疾患に関与する遺伝子を同定するために用い得る。同様に、ある種の疾患または傷害に関連することが知られている多型を検出するための診断試験も開発することができる。
【0007】
ハイブリダイゼーション技法は、未知の配列の核酸をシーケンシングするのにも首尾よく用い得る。このような方法は、典型的には慣用的シーケンシング技法よりかなり速い。
【0008】
核酸プローブが取り付けられるチップは、核酸分析を実行するために用い得る。プローブは、チップ上の特定位置に取り付け得る。これらの位置はしばしば、素子または部位と呼ばれる。いくつかの用途においては、チップは、アレイの形態で整列された多数の素子を含み得る。チップ上のアレイを利用する遺伝的方法は、労力を要する電気泳動的分離をしばしば必要とする慣用的方法と比較して、分析を実行し得る速度を劇的に増大し得る平行プロセシングを可能にするという利点を有する。しかしながら、チップを使用する一般的核酸法は、核酸プローブが標的分子とハイブリダイズされたか否かを同定するために複雑な標識手法を要する。さらに、その方法は、完全に相補的でないプローブおよび標的間の結合を最小限にするために、複雑な緊縮洗浄をしばしば包含する。
【0009】
本発明は、プローブおよび標的配列のハイブリダイゼーションが直接検出され、それにより既存の方法に比して分析が簡易化される種々の種類の核酸分析を実行するための新規の方法を提供する。
【0010】
発明の要約
本発明は、分子の誘電特性に感受性の系を利用し、核酸プローブおよび核酸標的間で形成されるハイブリダイゼーション複合体のような複合体を結合する核酸の種々の分析方法を提供する。本方法は、試料中の1以上の標的核酸の存在を検出することを包含する診断方法、定量的方法、動力学的方法、ならびに種々のその他の種類の分析、例えば配列検査、発現分析およびde novoシーケンシングを包含する。本方法は、標識を使用せずに核酸間の結合を検出し得る。ある種の方法は、迅速処理量を可能にするアレイの使用を包含する。その他の方法は、異なる種類のハイブリダイゼーション複合体間の識別を可能にするスペクトルプロフィールの使用を包含する。
【0011】
本発明により提供されるいくつかの方法は、信号経路の部分に電磁的に結合される核酸プローブを標的核酸を含有する試料と接触させることを包含する。核酸プローブが結合される信号経路の部分は、典型的には連続伝送線である。応答信号は、核酸プローブおよび核酸標的間に形成されるハイブリダイゼーション複合体に関して検出される。検出は、試験信号を信号経路に沿って伝搬し、そして次に生成された応答信号をハイブリダイゼーション複合体による試験信号の変調により検出することを包含し得る。
【0012】
ある種の診断方法はこの一般的アプローチを利用し、既知の配列の標的と相補的である核酸プローブの使用を包含する。既知の配列の標的を含有する可能性のある試料は、相補的プローブと接触される。いくつかの方法では、標的およびプローブは、ハイブリダイズさせられて、次に標的およびプローブは緊縮条件下で洗浄される。他の方法では、緊縮洗浄は必要でない。応答信号の検出は、既知の配列の標的を含有する試料を示す。このような方法は、単一ヌクレオチド多型(SNP)を検出するのに用い得る。多型部位を含有する核酸標的としては、多型部位の第一または第二塩基が挙げられる。核酸プローブは、多型部位が第一塩基を含む核酸標的と相補的であるかまたは多型部位が第二塩基を含む核酸標的と相補的であるよう選択される。核酸プローブの配列の知識を用いて、応答信号の検出は、標的が多型部位に第一塩基を含有するか、第二塩基を含有するかを同定するのを可能にする。
【0013】
他の局面において、本発明は、核酸ハイブリダイゼーション複合体を分析するためにスペクトルプロフィールを利用する種々の方法を提供する。プロフィールは、特定のハイブリダイゼーション複合体に関するスペクトルである。それは、特定の複合体に特徴的なある種の信号を含み、したがって、診断度ツールとして、および異なる種類の結合間を識別するための一方法としての特徴の利用を可能にする。したがって、ある種の方法は、核酸プローブおよび核酸標的間に形成されるハイブリダイゼーション複合体に関するスペクトルを獲得することを包含するが、この場合、核酸プローブは信号経路に電磁的に結合される。試験信号は、信号経路に沿って伝搬され、プローブおよび標的間に形成されるハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号が検出される。試験信号は信号経路を下って伝搬されるので、試験信号は経時的に変更される(例えば、試験信号の波長または周波数を変更することにより)。ある種のスペクトルは、例えば周波数の一関数として信号パラメーター(例えば透過力)のプロットを含む。
【0014】
プロフィールを利用する方法は、診断目的に用い得る。これらの方法は、今記載したばかりのスペクトルを得ることを包含し、この場合、試験信号の伝搬前に、核酸プローブは標的核酸を含有する試料と接触させられる。その結果生じるスペクトルは次に、特定プローブおよび特定標的間の既知のハイブリダイゼーション複合体に特徴的な既知の信号の存在に関して分析される。スペクトル中の既知の信号の存在は、試料中に存在している特定標識核酸を示す。
【0015】
関連方法は、相補的ハイブリダイゼーション複合体および不適正複合体間を識別するためにプロフィールを利用する。これらの方法において、既知のプローブを用いて得られるスペクトルは、相補的信号および/または不適正信号の存在に関して調べられる。相補的信号の存在は、核酸プローブおよび核酸標的間の相補的結合を示し、同様に不適正信号の存在は、不適正を含むプローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体を示す。
【0016】
さらに別の関連方法では、プロフィールは、SNPが野生型形態か変異体形態かを同定するために用いられる。標的は、第一または第二塩基を含み得る多型部位を含む。核酸プローブ配列は、標的が多型部位に第一塩基を含む場合には標的が相補的ハイブリダイゼーション複合体を形成するように選択される。しかしながら、標的が多型部位に第二塩基を含む場合には、不適正ハイブリダイゼーション複合体が形成される。それゆえ、試験スペクトル中の相補的信号の存在は、多型部位に第一塩基を含む標的を示し、一方、試験スペクトル中のスペクトル中の不適正信号の存在は、多型部位に第二塩基を含む標的を示す。同様のアプローチは、2つより多い対立遺伝子形態が存在する場合に用い得る。
【0017】
ある種の方法は、アレイの使用を含む。アレイは多数の素子を含み、各々の素子は連続伝送線および素子内に位置する連続伝送線に電磁的に結合される核酸プローブ(または複数のプローブ)を含む。素子は、核酸標的を含有する試料と接触させられる。次に、ハイブリダイゼーション複合体が形成される素子に関して応答信号が検出される。
【0018】
この一般的アプローチを用いて、アレイは、試料中の多重標的の存在を迅速に検出するために用い得る。例えば、既知の配列の第一標的および既知の配列の第二標的を含有する可能性がある試料中では、核酸プローブは、第一組のプローブが第一標的と相補的であり、第二組のプローブが第二標的と相補的であるように選択される。第一および第二組のプローブは、典型的には、それぞれ第一および第二素子に位置する。第一素子からの応答信号の検出は、第一標的を含む試料を示し、同様に、第二素子からの応答信号は、第二標的を含む試料を示す。種々の素子中のプローブの配列の適切な選択により、これらの方法は、SNP間を識別し、遺伝子が特定細胞中で発現されることを確定し(即ち、発現分析を実行し)、そして核酸の配列を決定するために用い得る。
【0019】
本発明は、核酸ハイブリダイゼーション事象に関する定量的情報を得るための方法も提供する。概してこのような方法は、典型的には、信号経路の一部に電磁的に結合される核酸プローブを核酸標的を含む試料と接触し、それによりハイブリダイゼーション複合体がプローブおよび標的間に形成されることを包含する。次に、ハイブリダイゼーション複合体に特徴的な信号または信号組の変化がモニタリングされる。ある種の方法では、信号の振幅または周波数の変化が異なる時点で測定されて、多数の測定値を得る。多数の値は、例えば動力学的パラメーターを算定するために利用し得る。
【0020】
特定の実施態様の説明
1.用語の定義
「結合相手」または「リガンド/アンチリガンド」または「リガンド/アンチリガンド複合体」という用語は、他の分子を特異的に認識(例えば結合)して、結合複合体、例えば抗体−抗原、レクチン−炭水化物、核酸−核酸、ビオチン−アビジン等を形成する分子を指す。生物学的結合相手は、単一分子の対に限定される必要はない。したがって、例えば単一リガンドは、1以上の「アンチリガンド」の配位作用により結合され得る。
【0021】
「リガンド」または「分析物」とは、検出される任意の分子を指す。それは、リガンドと特異的にまたは非特異的に結合するアンチリガンドとのその相互作用により、あるいはリガンドの特徴的誘電特性により検出される。リガンドは一般に、リガンドの何らかの部分の認識のために、リガンドと特異的または非特異的に結合する別の分子(即ちアンチリガンド)が存在するための任意の分子と定義される。アンチリガンドは、例えば核酸プローブであり得るし、リガンドは、プローブと相補的な核酸標的であり得る。
【0022】
「アンチリガンド」とは一般に、別の分子(即ちリガンド)を特異的にまたは非特異的に結合する分子を指す。アンチリガンドは、それが特異的に結合するリガンドとのその相互作用により、またはそれ自体の特徴的誘電特性によっても検出される。本明細書中で用いる場合、アンチリガンドは通常は、単独でまたは表面に固定される結合対の一成員として、表面に固定される。いくつかの実施態様では、アンチリガンドは、信号経路または導電性表面上の分子から成り得る。あるいは、アンチリガンドが一旦リガンドと結合すると、その結果生じるアンチリガンド/リガンド複合体はその後の結合のためのアンチリガンドと考え得る。核酸分析の場合には、アンチリガンドは、典型的には、未知の配列の核酸標的とハイブリダイズする既知の配列の核酸プローブである。
【0023】
「信号経路」という用語は、DC静電場を含めた任意の有用な周波数の電磁信号を支持し得る生電気界面に沿った伝送媒質を指す。信号経路の非網羅的リストは、導電性および誘電性導波管構造、多重導線伝送媒質、例えば横断電磁(TEM)伝送線、四極および八極線のようなTE、TMまたはTEMモード伝搬を支持する3以上の導電性素子を有する伝送線、連結導波管、連結されることもされないこともある共鳴中空構造、その他の非様式構造、例えばワイヤ、プリント回路、ならびにその他の分布回路および集中インピーダンス導電構造等を含む。信号経路は、信号平面、基底平面または両方の構造の組合せを構造的に含む。典型的には、信号経路は、MBRの表面に対して非直交性である方向に沿って形成される。信号経路が導電層または領域から成る実施態様では、導電性領域はその範囲全体に連続的に延びる。信号経路が非金属性、即ち誘電導波管である実施態様では、信号経路は、最少量の信号損失を有する経路、または3 mho/mより大きい伝導度を有する経路と定義される。
【0024】
「伝送線」とは、何らかの予定周波数での電磁信号の伝搬を支持し得る導電性素子である。
【0025】
「分子結合領域」または「MBR」という用語は、生電気界面に沿って信号経路に結合される少なくとも1つの分子構造(例えば、分析物、アンチリガンドまたはリガンド/アンチリガンド対等)を有する層を指す。分子結合領域は、1以上のリガンド、アンチリガンド、リガンド/アンチリガンド複合体、リンカー、ポリマーおよびその他の物質のマトリックス、あるいは本明細書中に記載したその他の分子構造物から成り得る。さらに分子結合領域は、非常に多様であり、そして1以上の結合基を有し得るマトリックス層および/または絶縁層を含めた1以上の構成成分を含み得る。MBRは、直接または間接的物理的接続により、またはリガンドが物理的に信号経路から分離される場合には電磁カップリングにより、信号経路に結合される。MBRは、チオールリンカービオチニル化金属等によるような、すべて当業界での標準的実施にしたがった誘導化表面のものであり得る。
【0026】
「結合事象」とは、一般に、最少の2つの分子構造、例えばリガンドおよびアンチリガンド間の相互作用または会合を指す。相互作用は、2つの分子構造が直接または間接的物理的接触している場合か、あるいは2つの構造が物理的に分離されるがしかし電磁的にその間で結合される場合に起こり得る。医学的情況における当該結合事象の例としては、リガンド/受容体、抗原/抗体、酵素/基質、DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA、核酸不適正、相補的核酸および核酸/タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、「結合事象」という用語は、本明細書中に記載した単一分子または分子構造、例えばリガンドまたはアンチリガンド/リガンド複合体(これは信号経路に結合される)を指す。この場合、信号経路は二次分子構造である。
【0027】
「リガンド/アンチリガンド複合体」という用語は、リガンドがアンチリガンドに結合される複合体を指す。例えば、「リガンド/アンチリガンド複合体」は、標的核酸とハイブリダイズされる核酸プローブを含み得る。結合は特異的または非特異的であり得るし、そして結合は典型的には共有結合、水素結合、免疫学的結合、ファンデルワール力またはその他の型の結合である。
【0028】
「カップリング」とは、直接または間接的物理的接続によるかまたは任意の形態の信号カップリング、例えば静電または電磁カップリングによる2つの構造間のエネルギーの伝達を指す。したがって、「電磁カップリング」とは、電磁的相互作用によるエネルギー伝達を指す。
【0029】
「試験信号」という用語は、電磁スペクトル内に限定される任意の有用な周波数で伝搬する信号を指す。例えば、試験信号周波数は、1 MHz以上、例えば、5 MHz、10 MHz、20 MHz、45 MHz、100 MHz、500 MHz、 1 GHz、5 GHz、10 GHz、30 GHz、50 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzおよびその間の範囲の周波数である。
【0030】
「溶液」は、その中にリガンドが存在する物質を含む。溶液の非網羅的リストは、固体、液体または気体状態の物質を含む。固体は、天然または合成分子、例えば、炭水化物、タンパク質、オリゴヌクレオチド、あるいは任意の有機高分子物質、例えば、ナイロン、レーヨン、ダクリオン、ポリプロピレン、テフロン、ネオプレン、デルリン等で構成され得る。液体溶液は、水性、有機またはその他の主構成成分、ゲル、気体およびエマルションを含む。代表的例としては、セルロース、デキストラン誘導体、d−PBSの水性溶液、トリス緩衝液、脱イオン水、血液、生理学的緩衝液、脳脊髄液、尿、唾液、水、有機溶媒が挙げられる。溶液は、リガンドおよび/またはアンチリガンドが結合表面に適用される物質を指すために本明細書中で用いられる。溶液は、分析される試料を含有する。
【0031】
「結合基」または「リンカー」とは、バイオアッセイデバイス上に任意の2つの構成成分を取り付けるために用いられる化学構造物を意味する。したがって結合基は、導電性表面のような一構成成分に結合する第一結合部分、ならびにマトリックスまたはアンチリガンドのような別の構成成分に結合する第二結合部分を有する。
【0032】
「バイオアッセイデバイス」という用語は、分子結合領域が形成される構造物を指す。バイオアッセイデバイスは、表面、嵌入領域または気密封止閉鎖容器から成り、これらはすべて任意の特定のサイズまたは形状であり得る。
【0033】
「バイオアッセイ系」という用語は、バイオアッセイデバイスを電磁的にプローブし、そして検出するのに必要な構成成分と関連した前記のようなバイオアッセイデバイスを意味する。これらの構成成分としては、信号経路(単数または複数)、支持体(単数または複数)、電子デバイス、例えば信号発生器、オシロスコープおよびバイオアッセイデバイスからの信号をプローブし、検出するのに必要なベクトル分析器、マイクロチップ、ならびに電磁信号および分析物データをプローブし、検出し得るマイクロプロセッサー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
「共鳴の」または「共鳴」とは一般に、周波数の一機能としての迅速変化誘電応答を指す。
【0035】
「生電気界面」とは、試験信号の伝搬を支持するための信号経路と分子結合領域との間の界面構造を指す。
【0036】
「マトリックス」または「結合マトリックス」とは、スペーサーとして、または結合に利用可能な表面積を強化するために、または結合強化のための分子の配向を最適化するために、またはバイオアッセイデバイスを最適化するための結合の任意のその他の特性を強化するために用いられるバイオアッセイチップ上の物質の層を指す。マトリックス層は、炭水化物、例えばデキストラン、ポリアミノ酸、架橋および非架橋タンパク質等で構成し得る。
【0037】
「特異的に結合する」という用語は、分子の異種集団中の当該コグネイトリガンドを決定する結合反応を意味する。
【0038】
「核酸」とは、一本または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーであり、別記しない限り、天然ヌクレオチドと同様に機能し得る天然ヌクレオチドの既知の類似体を包含する。
【0039】
「ポリヌクレオチド」とは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本または二本鎖ポリマーを指す。
【0040】
「プローブ」または「核酸プローブ」とは、1以上の型の化学結合により、通常は相補的塩基対合により、通常は水素結合形成により、相補的配列の標的核酸と結合し、したがって二重型構造を形成し得る核酸である。プローブは、天然塩基(即ち、A、G、CまたはT)または修飾塩基(例えば7−デアザグアノシン、イノシン等)を含み得る。プローブは、一本鎖DNAであるオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドプローブは、天然ポリヌクレオチドから合成されるかまたは産生される。さらに、プローブ中の塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合により連結し得る。したがって、プローブは成分塩基がホスホジエステル結合というよりむしろペプチド結合により連結されるペプチド核酸であり得る(例えば、Nielsen 他、Science 254, 1497−1500(1991)参照)。いくつかのプローブは、相補性の領域と側面を接する非相補性のリーディングおよび/またはトレイリング配列を有し得る。
【0041】
「完全適正プローブ」は、特定の標的配列と完全に相補的な配列を有する。このようなプローブは、典型的には標的配列の一部(亜配列)と完全に相補的である。
【0042】
「不適正プローブ」という用語は、その配列が特定標的配列と完全に相補的でない、そしていくつかの場合には、完全に相補的でないよう熟慮の上選択されるプローブを指す。不適正(単数または複数)は不適正プローブ中のどこにでも位置し得るが、しかし、末端不適正が標的配列のハイブリダイゼーションを妨げるとは考えにくいので、末端不適正はそれほど望ましくない。したがって、プローブはしばしば、試験ハイブリダイゼーション条件下で不適正が標的配列との二重型を脱安定化することが大いに考えられるように、プローブの中心にまたはその付近に位置する不適正を有するよう設計される。
【0043】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的塩基対合を介した核酸プローブおよび標的細胞間の結合を指す。その結果生じる複合体は、「ハイブリダイゼーション複合体」と呼ばれる。ハイブリダイゼーション複合体は、相補的複合体または不適正複合体であり得る。
【0044】
「相補的複合体」とは、複合体を含むプローブおよび標的配列間に不適正が存在しないハイブリダイゼーション複合体である。
【0045】
「不適正複合体」とは、複合体を含むプローブおよび標的配列間に1以上の不適正が存在するハイブリダイゼーション複合体である。
【0046】
「実質的に相補的」とは、標的の配列がプローブの配列と厳密に相補的ではないことを意味する。しかしながら、不適正複合体が生成し得るのに十分な相補性が存在する。
【0047】
「特異的ハイブリダイゼーション」とは、その配列が複合体混合物(例えば総細胞)DNAまたはRNA中に存在する場合、緊縮条件下で特定ヌクレオチド配列だけとのある核酸分子の結合、二重化またはハイブリダイゼーションを指す。
【0048】
「緊縮条件」とは、プローブがその標的亜配列とハイブリダイズするが、他の配列とはハイブリダイズしない条件である。緊縮条件は配列依存性であり、異なる環境では異なる。種々の因子、例えば中でも塩基組成、相補的鎖のサイズ、有機溶媒の存在および塩基不適正の程度は、ハイブリダイゼーションの緊縮に有意に影響を及ぼし得る。パラメーターの組合せは、いずれか1つの絶対測定値より重要である。ハイブリダイゼーションに影響を及ぼす一般的因子の考察に関しては、例えば、WO 93/02216号およびWatson 他、「Recombinant DNA」2版、Scientific American Books, NY 1992(これらの各々の記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)を参照されたい。核酸のハイブリダイゼーションについての広範なガイドは、Ausubel 他、編、「Current Protocols in Molecular Biology」, Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc.(supplemented through 1998)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に見出される。
【0049】
一般に、緊縮条件は、限定イオン強度およびpHでの特定配列に関する融点(Tm)より約5℃低いよう選択される。Tmは、標的配列と相補的なプローブの50%が平衡で標的配列と(限定イオン強度、pH、および核酸濃度下で)ハイブリダイズする温度である(標的配列は一般に過剰に存在するので、Tmでは、プローブの50%は平衡で占有される)。典型的には、緊縮条件としては、pH7.0〜8.3での少なくとも約0.01〜1.0 MのNaイオン濃度(または他の塩)が挙げられ、そして温度は、短プローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃である。緊縮条件は、ホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニウム塩のような脱安定剤の付加によっても達成し得る。例えば5XSSPE(750 MNaCl、50MmNaリン酸塩、5mMEDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度は、典型的には対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適している。緊縮は、所望レベルの特異性が得られるまで、条件の緊縮を徐々に増大する(例えば、塩を増大し、温度を上げる等)ことにより、経験的に確定し得る。
【0050】
「多型性」とは、集団における2以上の遺伝的決定代替的配列または対立遺伝子の発生を指す。多型性マーカーまたは部位は、分岐が生じる遺伝子座である。好ましいマーカーは、少なくとも2つの対立遺伝子を有し、各々、選定集団の1%より大きい、さらに好ましくは10%または20%より大きい頻度で生じる。多型性遺伝子座は、1塩基対と同じくらい小さいことがある。多型性マーカーとしては、制限断片長多型、種々の数のタンデム反復(VNTR)、超可変部、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復および挿入素子、例えばAluが挙げられる。第一の同定対立遺伝子形態は、「参照形態」または「野生型形態」として恣意的に意図され、そして他の対立遺伝子形態は、「代替的対立遺伝子」または「変異体対立遺伝子」として意図される。選定集団中に最も頻繁に発生する対立遺伝子形態は、時として野生型形態と呼ばれる。二倍体生物は、対立遺伝子形態に関してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。二対立遺伝子多型は、2つの形態を有する。三対立遺伝子多型は、3つの形態を有する。
【0051】
「単一ヌクレオチド多型」は、対立遺伝子配列間の変異の部位である単一ヌクレオチドによって占められた多型部位に生じる。この部位は、通常は対立遺伝子の高保存配列(例えば、集団の1/100または1/1000未満の成員において変わる配列)により先行され且つそれが後にある。単一ヌクレオチド多型は通常は、多型部位で1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換するために生じる。転位は、1つのプリンの別のプリンによる、または1つのピリミジンの別のピリミジンによる取り換えである。転換は、プリンのピリミジンによる、またはその逆の取り換えである。単一ヌクレオチド多型は、参照対立遺伝子に比して、ヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入からも生じ得る。
【0052】
「試料」とは、核酸が得られる本質的にあらゆる供給源を指す。試料は、本質的にあらゆる生物、例えば動物および植物、ならびに細胞培養、組換え体細胞および細胞構成成分から得ることができる。試料は、生物学的組織、流体または検体からであり得るし、疾患または健常生物体から得られる。試料としては、痰、羊水、血液、血球(例えば白血球)、組織または微小針生検試料、尿、腹水、胸膜液またはそれらからの細胞が挙げられるが、これらに限定されない。試料は、組織の切片、例えば組織学的目的で採取された凍結切片も含み得る。典型的には、試料はヒトから採取される。しかしながら、試料は他の哺乳類、例えばイヌ、ネコ、ヒツジ、畜牛およびブタからも得られるが、これらに限定されない。試料は、必要な場合は、適切な緩衝溶液中での稀釈により前処理され、あるいは、所望により濃縮し得る。種々の緩衝剤のうちの1つを用いる多数の標準水性緩衝溶液のいずれか、例えばリン酸塩、トリス等が、好ましくは生理学的pHで用いられ得る。
【0053】
「単離された」、「精製された」、「生物学的に純粋な」または「実質的に純粋な」という用語は、対象種が存在する優勢種であり(即ち、モルベースでそれは組成物中のいかなる他の個々の種より多量である)、好ましくは対象種が存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を構成する組成物中の実質的精製分画である。一般に、実質的純粋組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の約80〜90%より多くを構成する。最も好ましくは、対象種は、組成物が本質的に単一高分子種から成る本質的均質(夾雑種は慣用的検出方法により組成物中に検出されない)に精製される。
【0054】
II.序論
A.総論
本発明は一般に、リガンドおよびアンチリガンド間の結合事象を分析するための種々の方法および装置を提供する。特に本発明は、核酸、特に核酸プローブおよび標的核酸間のハイブリダイゼーション反応を分析して、異なる種類の遺伝情報を得るための方法を提供する。概して本方法は、核酸プローブを信号経路、例えば伝送線に結合して、次に核酸プローブとの相補的標的分子のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、プローブを標的核酸分子を含有する溶液と接触させることを包含する。信号は、信号経路に送り出され、その後、核酸プローブおよび標的間の結合を分析するために用い得るハイブリダイゼーション複合体に起因する応答信号が検出される。本発明の系の方法は、種々の核酸分析、例えば遺伝子発現分析、配列検査、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析およびde novoシーケンシングに用い得るが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の方法は、多重素子アレイを含有するチップに関するこのような分析を実行し易い。ある種の方法では、アレイの各素子は、素子を取り扱うための伝送線および回路構成要素を含む。多重核酸プローブは、典型的にはアレイの各素子中の伝送線に取り付けられる。前記の場合と同様に、信号は複数の伝送線に送り出され、各々、アレイの異なる素子に進行する。素子でプローブ/標的複合体により変調されるような透過および/または反射信号は、結合の性質を特性化するために利用される。本発明の検出系を用いて、完全相補的結合および不適正を含む結合間を識別し得る。
【0056】
いくつかの方法は、特定ハイブリダイゼーション複合体のプロフィールまたはフィンガープリントを決定することを包含する。これらのプロフィールは、例えば、相補的および不適正複合体間を識別し、そして試料中の特定標的の存在を検出するのに有用である。
【0057】
B.バイオアッセイ系
本発明は、ほとんどの分子が示す独特の誘電特性に基づいて膨大な数の分子を識別し得る、という知見を利用する。これらの識別誘電特性は、信号を結合分子構造と結合することにより観察し得る。結合分子構造の独特の誘電特性は信号を変調し、それに独特の信号応答を与える。次に独特の信号応答は、リガンドおよび分子結合領域を作り上げるその他の分子を検出し、同定するために用いられ得る。系についての以下の説明は、その広範な適用可能性のために、しばしばリガンドおよびアンチリガンドと関連して説明されるが、しかしリガンドおよびアンチリガンドは核酸、例えばプローブおよび標的を含む、と理解されるべきである。同様に、参照は結合事象に対して広範に成されるが、しかしこのような事象は核酸間のハイブリダイゼーションを含み得る。
【0058】
図1Aは、本発明のバイオアッセイ系100を説明する。系100は、2つの導体、信号平面、基底平面、マイクロストリップ中の集中または分布素子回路、識別線、共平面導波管、溝線または同軸系を含めた多数の建築物中に実現させ得る回路トポロジーで説明される。さらに、本系が単一導体導波管系、あるいは3またはそれ以上の導体系に容易に修正し得ると当業者は容易に理解する。
【0059】
説明したように、系100は、信号源110、伝送線120、基底平面130、バイオアッセイデバイス150および信号検出器160を含む。説明した実施態様は、バイオアッセイデバイス150に結合された2つの伝送線120を示すが、代替的実施態様では、単一伝送線をバイオアッセイデバイスに結合し得るか、あるいはさらに、3以上の伝送線がバイオアッセイデバイス150に結合し得る。伝送線120は、操作の所望の周波数の全体の信号の伝搬を支持し得る物質から形成される。伝送線120は、慣用的フォトリソグラフィーまたは半導体処理技法を用いて、アルミナ、ダイヤモンド、サファイア、ポリイミドまたはガラスのような支持体上に沈着された金のような導電層として実現される。
【0060】
系100はさらに、伝送線120に結合されたバイオアッセイデバイス150を含む。バイオアッセイデバイス150は、その上に導電層153が沈着される支持基材151を含有する。導電層153は、試験信号の伝搬を支持するための界面を形成する。支持基材151は、ガラス、アルミナ、ダイヤモンド、サファイア、ケイ素、ガリウムヒ素のような任意の絶縁物質、または半導体処理に用いられるその他の絶縁物質から成る。
【0061】
分子結合領域(MBR)156は、界面伝送線153の1以上の領域に結合される。カップリングは、図示したような界面伝送線153およびMBR156間の直接接続により、あるいは以下でさらに説明する信号カップリングにより起こり得る、とエレクトロニクスの当業者は理解する。
【0062】
MBR156は主に1以上のリガンドで構成されるが、しかし本明細書中に記載したようなその他の分子および構造物も含み得る。MBR156は、例えば一次結合の場合には1つだけの結合リガンド段から成り、あるいはそれは、二次または高次結合事象が生じる場合には、2、3、4、5またはそれ以上の結合リガンド段から成り得る。多重リガンド段は、同一界面伝送線153全体の異なる結合表面155に生じ得る。
【0063】
前記の実施態様では、誘電性支持体158は、溶液157および基底平面159間に位置する。前記の実施態様では、誘電性層158および基底平面159はバイオアッセイデバイス150内に位置するが、しかし代替的実施態様では、一方または両方が外部に位置し得る。さらに、MBR156および溶液157配置は入れ換えられ、基底平面に向かって、あるいはこれらの層の近接性に加えて、界面伝送線153に動かすことができる。
【0064】
系100は、伝送線120上に、およびバイオアッセイデバイス150に向けて試験信号を送り出す信号源110を含む。信号検出器160は、伝送経路に沿って配置されて、その結果生じる信号(反射または透過またはその両方)を検出する。信号がバイオアッセイデバイス150の界面伝送線153に沿って伝搬すると、MBR156の誘電特性は試験信号を変調する。変調化信号は次に回収されて、以下でさらに説明するバイオアッセイデバイス内で生じる分子結合事象を検出および同定するために用い得る。
【0065】
本発明の代替的実施態様では、リガンド、アンチリガンド/リガンド複合体(例えば、プローブおよび相補的標的間のハイブリダイゼーション複合体)または本明細書中に記載したその他の分子構造物の検出および同定は、それが界面伝送線153から物理的に分離される場合に、可能である。この実施態様では、リガンドは伝送線153と物理的に接続されないが、しかし電気的または電磁気的に界面伝送線153に結合される。界面伝送線153および懸濁リガンド間のカップリングは、界面伝送線153に沿って伝搬する試験信号の応答を変え、それによりそれを検出および/または同定するための手段を提供する。界面伝送線153および懸濁リガンド間の最大分離は、界面伝送線153およびリガンド間の媒質の有効誘電定数、総カップリング面積、信号検出器の感度、溶液中のリガンドの濃度および所望の検出時間といった因子により決定される。分離距離は、典型的には10−1 m、10−2 m、10−3 m、10−4 m、10−5 m、10−6 m、10−7 m、10−8 m、10−9 m、10−10 mまたはそれらの間のあらゆる範囲のオーダーである。
【0066】
図1Bは、共鳴マイクロストリップ回路170のアレイを含むバイオアッセイ系の第二の実施態様を説明する。各共鳴回路170は、開回路スタッブ176中に終結する伝送線172から成る。他の共鳴構造が、集中素子または分布回路トポロジーであるいはそれらの組合せで用い得ると回路設計当業者は理解する。
【0067】
図1Cは、共鳴回路170の横断面図を示す。開回路スタッブ176は、共鳴回路170の生電気界面を形成し、図1Aに示した生電気界面と密接に類似する。特に、開回路スタッブ176は、誘電性層176b上に沈着した界面伝送線176aから成り、基底平面176c上に位置する。
【0068】
この実施態様では、MBR176dは直接接続により伝送線176aに結合される。MBR176dは、特異的または非特異的方式で、界面伝送線に沿って結合する。前記のように、対象分子構造物は、界面伝送線176aから懸濁し得るが、しかしそれに電気的に結合されるかまたは電磁的に結合されて、結合事象検出および同定情報を提供する。
【0069】
界面伝送線176aの寸法は、所望の測定時間(面積が大きいほど検出時間は速い)、所望の共鳴周波数fres、より高い効率を達成するかまたは最高結合事象に対する不連続性を生じるためのある種のインピーダンス整合条件、ならびに全アレイが形成される過程といった要件により影響される。例えば、慣用的マイクロ波フォトリソグラフィーが用いられる場合、結合表面積は、相対的に厚い誘電性層、例えばアルミナ、ダイヤモンド、サファイア、デユリオド(duriod)またはその他の慣用的支持体物質を用いて、10−1〜10−6の範囲であり得る。あるいは、半導体処理が用いられる場合、結合表面積は、ケイ素またはガリウムヒ素の相対的に薄い誘電性層を用いて、10−6〜10−12の範囲であり得る。
【0070】
慣用的マイクロ波設計技法またはCADツール、例えばMicrowave Spice(商標)、EEsof Touchstone(商標)およびLibra(商標)を用いて、共鳴構造が共鳴信号応答を所望の共鳴周波数点fresで示すように、伝送線172の長さおよびインピーダンス、界面伝送線176aの寸法、ならびに誘電性層176bの厚みおよび誘電定数を選択し得る。所望の共鳴周波数fres点は、典型的には当該分子がそれらの誘電特性の劇的変化を示す範囲に及び、その測定値は、それらの検出を可能にする。あるいは、共鳴周波数点fresは、最も広い範囲の信号検出を可能にする所望の試験周波数範囲の中心と定義し得る。前記の実施態様では、共鳴周波数fresとしては、10 MHz、20 MHz、45 MHz、100 MHz、500 MHz、1 GHz、5 GHz、10 GHz、30 GHz、50 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzまたはその間の範囲の周波数が挙げられる。
【0071】
測定中、溶液176eは1以上の開回路スタッブ172全体に適用される。MBR176dは、溶液内の1以上の分子が界面伝送線176aと結合すると形成される。この場合、MBR176dおよび溶液は、以下でさらに説明するように寄生回路として電気的に振る舞い、これが共鳴周波数点fresをその本来の共鳴周波数点より上または下に移動させる。周波数のこのシフトは検出され、分子結合事象の発生を示すために用いられる。信号応答は広範囲に亘って信号を送られて、下記のように、結合分子構造の同定を確証する。各共鳴回路170は、異なる分子構造を結合するよう二次加工され、各共鳴回路170は処理可能にされて、それにより同一溶液内の多数の分子構造の同時検出および同定を可能にする。代替的実施態様では、各共鳴回路170は異なる共鳴周波数を示すよう設計され、この場合、共鳴回路170はすべて、分子結合を確定するために連続周波数範囲全体で信号を送られる。
【0072】
生電気界面領域は、所望の試験周波数での電磁的信号の伝搬を支持するよう設計された信号経路から成る。多数の形状が可能であり、一例は、DCおよび110 GHz間で操作可能なスパッタ金伝送線である。別の実施態様では、信号経路は、MBRそれ自体のような誘電性媒質から成る。この実施態様では、信号経路はDC電圧および電流を遮断するが、しかしそうでなければ、例えば周波数1 MHz、5 MHz、10 MHz、20 MHz、45 MHz、80 MHz、100 MHz、250 MHz、500 MHz、750 MHz、1 GHz、2.5 GHz、5 GHz、7.5GHz、10 GHz、12 GHz、18 GHz、20 GHz、22 GHz、24 GHz、26 GHz、30 GHz、33 GHz、40 GHz、44 GHz、50 GHz、80 GHz、96 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzまたはその間の範囲の周波数で発生する所望の試験信号の伝搬を支持する。したがって、信号経路は、当業界で既知の高周波数回路設計技法を用いて設計される。このような設計技法としては、信号経路を配線構造にインピーダンス整合し、信号経路の挿入損失を最小限にし、そして信号経路の電圧定在波比(VSWR)を最小限にすることを含む。本発明の好ましい実施態様では、信号経路およびMBRは、非直交性配向で配向される。
【0073】
本発明は、信号経路に取り付けられる予測サイズまたは構造の分子の検出に限定されない。MBRは、信号経路に取り付けられるかまたはそれから分離されるがしかし結合される1、2、3、4、5、10、20、30、50、100、1000以上のモル長から成り得る。さらにMBRは、多層の同種分子、単一であるがしかし異種分子の層、または多異種分子層から成り得る。
【0074】
C.伝送線およびMBR
系の結合相互作用は一般に、バイオアッセイデバイス内で、特に導電層に沿って生じる(図1A〜1Cの界面伝送線)。導電層は、高周波数試験信号の伝搬を支持するために導電性である形態を有する物質から二次加工される。導電性表面は、所望の試験周波数範囲全体で適切な導電性を示す、ならびに前記のような良好な分子結合性を保有する物質から構築される。このような物質としては、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、銅、銀、亜鉛、スズ、アンチモン、ガリウム、カドミウム、クロム、マンガン、コバルト、イリジウム、プラチナ、水銀、チタン、アルミニウム、鉛、鉄、タングステン、ニッケル、タンタル、ルテニウム、オスミウム、タリウムまたはそれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。導電層は、結晶または非晶質構造であり得る半導体、例えば化学的に不純物を添加したまたは純粋な炭素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、イジウムガリウムヒ素等から形成し得る。導電体は、特に導電性であるポリマー、例えばポリアセチレン、ポリチオフェン等からも生成させ得る。導電層は、厚いか、あるいは適用が必要な場合には数個だけの分子層の厚みであり得る。導電層は、既知の半導体処理技法により導電性にされたガリウムヒ素またはその他の半導体の蒸発金属薄層またはエピタキシャル層で構成し得る。さらに、導電層は、誘導させ得るが、その方法は周知である(例えば、Kumar他、『Patterned Self−Assembled Monolayer and Mesoscale Phenomena』「Accounts of Chemical Research」28:219−226(1995)参照)。
【0075】
導電層は、分子結合に対して導電性である形態を有する物質からさらに二次加工される。リガンドは、直接的に、他の分子構造物により間接的に、または両方の形状により、導電層に結合し得る。導電層に結合し得る分子の範囲としては、タンパク質、核酸、小分子、糖、脂質および任意のその他の当該物質が挙げられるが、これらに限定されない。結合は、表面に結合される単一シリーズの分子のみ、表面に結合される異なる種の全アレイ、または表面に直接結合される種と溶液中の当該リガンドとの間の多重結合事象を包含し得る。
【0076】
一般的に言えば、一実施態様における結合事象は、一次結合および二次結合として説明し得る。分子結合のさらに別の層も生じ得る。一次結合とは、導電性表面へのアンチリガンドの結合を指し、これはリンカー分子の助けにより成される。二次結合とは、MBR中のもう一つの分子であり得るアンチリガンドとの、あるいは導電性表面それ自体との直接的なリガンドの結合を指す。典型的には、結合は、固定化固相アンチリガンドに結合する液相リガンドを包含する。例えば、一次結合は、バイオアッセイデバイスの導電層との核酸プローブの結合であり、そして二次結合は、核酸プローブとの試料溶液中の相補的標的分子の結合を包含し得る。あるいは、二次結合は、導電性表面との核酸プローブの直接結合であり、例えばタンパク質のアミン末端は金導電層に直接結合する。
【0077】
前記の結合は、導電層の1以上の領域に沿って分子結合領域(MBR)180の形成を引き起こす。この一実施態様を図1Dに示す。この実施態様では、MBR180は任意に、一次リンカー181、絶縁体182、二次リンカー183、マトリックス184、三次リンカー185、アンチリガンド層186およびリガンド層187から成る。
【0078】
一次リンカー181は、絶縁層182および導電層(示されていない)間の結合を提供する。一次リンカー181は、チオール、アミン、アミドあるいは金属、例えば、クロムまたはチタンのような分子から成る。絶縁層182は、導電層およびMBR180および溶液(示されていない)間にバリアを提供する。絶縁層182は、MBRおよび/または溶液への曝露のための導電層の構造的悪化を防止するための密閉性バリアを提供し得る。あるいは、またはさらに、絶縁層182は、導電層からMBRおよび/または溶液へのDCまたは低周波数エネルギーの流動を防止するために電気的非導電体から成り、これは測定を妨げ得る。絶縁層としては、ポリイミド、アルミナ、ダイヤモンド、サファイア、非導電性ポリマー、半導体絶縁物質、例えば二酸化ケイ素またはガリウムヒ素あるいは密閉性および/または電気的絶縁特徴を提供するその他の物質が挙げられる。絶縁層は、空気、あるいは別の気体物質から成り、この場合、リンカー181を削除し得る。
【0079】
二次リンカー183は、絶縁層182およびマトリックス184間の結合を提供し、一次リンカー181と同一のまたは類似の分子から成る。マトリックス層184はポリマー層から成るが、しかし任意に炭水化物、タンパク質、ポリアミノ酸層等からも成る。マトリックスは、典型的にはスペーサーとして用いられて、結合に利用可能な表面積を増強するか、または結合を増強するために分子の配向を最適化する。核酸に関しては、典型的マトリックス分子としては、種々の有機ポリマー、炭水化物、ポリペプチド等が挙げられる。三次リンカー185は、アンチリガンド186にマトリックス層を結合するのに適した分子から成り、一次および/または二次リンカー181および183と同一または類似の分子から成り得る。
【0080】
アンチリガンド186は、溶液内のリガンドを特異的または非特異的に結合するために、および/または溶液の物理的特性を測定するために用いられる。物理的特性のいくつかの例としては、温度、pH、イオン強度等が挙げられる。リガンド187は、アンチリガンド186と特異的または非特異的に結合する分子または構造から成る。例えば、リガンド187が標的核酸からなる場合には、アンチリガンド186は核酸プローブから成る。
【0081】
概して、MBRは、関連信号経路に沿って電磁試験信号と前記のように測定可能に相互作用するのに十分である。したがって、種々の誘電特性を示す本質的にあらゆるMBR組成物を分析し得る。ほとんどの実施態様において、MBRは約1〜5Å〜1 cmの厚みの範囲である。簡単な分子結合事象に関しては、その範囲は、通常は約10Å〜10,000Å、典型的には100Å〜5,000Å、あるいは500Å〜1,000Åである。より大きい相互作用(例えば細胞性)では、MBRは1μm〜100μm、好ましくは5μm〜50μmの範囲である。絶縁体、マトリックス等に関しては、サイズはそれより有意に高い範囲である。
【0082】
図1Dの実施態様は、すべての考え得るMBR形状に関して網羅的であることを意図しない。特定の用途により示されるようなMBRを作製する膨大な数の組合せを設計し得ると当業者は理解する。例えば別の実施態様では、一次、二次および三次リンカー181、183、185、絶縁層182およびマトリックス層184は、MBRがアンチリガンド186およびリガンド187から成るようには利用されない。さらにあるいは、一次リンカー181および絶縁層182は削除し得る。1以上の前記の層が削除されるかあるいはさらに別の層が付加されるその他の代替的実施態様は、当業者には明らかである。
【0083】
さらにMBRは、特定のアレイフォーマットによって、空間的に群別されるかまたは無作為に層化されるかまたは分布される異種分子で構成し得る。例えば、図1Eは、空間的に分離された4つの異なるアンチリガンド190、191、192および193を有するMBR180の上面図を示す。図1Fは、4つの異なるアンチリガンド190、191、192および193が無作為に全体に分布されるMBRを示す。
【0084】
電気的に、MBRは、単離され、そして結合事象、pH変化、温度、イオン強度等のような環境的変化の存在下で、結合分子の構造的および配座的特性およびその変化に一部関与する独特の誘電特性を示す。結合分子構造の誘電特性は、溶媒和媒質(溶液)の局所的構造とともに、一次または他の高次結合により引き起こされる分子内および分子間結合の変化、ならびに導電層付近の溶媒和溶質の置き換えにも関与し得る。
【0085】
生電気界面領域は、所望の試験周波数での電磁的信号の伝搬を支持するよう設計された信号経路から成る。多数の形状が可能であり、一例は、DCおよび110 GHz間で操作可能なスパッタ金伝送線である。別の実施態様では、信号経路は、MBRそれ自体のような誘電性媒質から成る。この実施態様では、信号経路はDC電圧および電流を遮断するが、しかしそうでなければ、例えば周波数1 MHz、5 MHz、10 MHz、20 MHz、45 MHz、80 MHz、100 MHz、250 MHz、500 MHz、750 MHz、1 GHz、2.5 GHz、5 GHz、7.5GHz、10 GHz、12 GHz、18 GHz、20 GHz、22 GHz、24 GHz、26 GHz、30 GHz、33 GHz、40 GHz、44 GHz、50 GHz、80 GHz、96 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzまたはその間の範囲の周波数で発生する所望の試験信号の伝搬を支持する。したがって、信号経路は、当業界で既知の高周波数回路設計技法を用いて設計される。このような設計技法としては、信号経路を配線構造にインピーダンス整合し、信号経路の挿入損失を最小限にし、そして信号経路の電圧定在波比(VSWR)を最小限にすることを含む。本発明の好ましい実施態様では、信号経路およびMBRは、非直交性配向で配向される。
【0086】
本発明は、信号経路に取り付けられる予測サイズまたは構造の分子の検出に限定されない。MBRは、信号経路に取り付けられるかまたはそれから分離されるがしかし結合される1、2、3、4、5、10、20、30、50、100、1000以上のモル長から成り得る。さらにMBRは、多層の同種分子、単一であるがしかし異種分子の層、または多異種分子層から成り得る。
【0087】
III.バイオアッセイデバイス
A.デバイス構造
構造的に、バイオアッセイデバイスは、信号経路および生電気界面を含む。信号経路は、、単一入力/出力信号口、1つの入力信号口経路および1つの出力口経路、あるいは多数の入力および/または出力信号口経路から成り得る。信号経路(単数または複数)は、多数の異なる構造物、例えば導線、伝送線、導波管構造、共鳴キャビティ、あるいは所望の周波数範囲全体の試験信号の伝搬を支持する任意のその他の伝送媒質で実現し得る。考え得る実施態様に関しては、「R.E. Collins Foundations for Microwave Engineering」McGraw−Hill Publishing Co., 1966; およびS. March「Microwave Transmission Lines and Their Physical Realizations」Les Besser and Associates, Inc., 1986を参照されたい。さらに、バイオアッセイデバイスは、種々の異なる形状でも実現し得る。非網羅的形状としては、慣用的製造技法、慣用的エッチングおよびフォトリソグラフィーまたは半導体処理技法を用いた大型〜ミニ型構造が挙げられる。
【0088】
図2Aは、横断面図に示したようなバイオアッセイデバイスの一実施態様を示す。バイオアッセイデバイス230は、上部プレート231、接触末端237および底部プレート239から成る。上部プレート231は、その上で処理される界面伝送線233を有する底部表面を含む。誘電性支持体240および基底平面250は、バイオアッセイデバイスの外側に置かれる。上部プレート231および/または誘電性支持体240は、好ましくは慣用的フォトリソグラフィーまたは金スパッタリング、エッチングまたは化学蒸着(CVD)処理に適合性である絶縁体、例えばガラスから形成される。他の物質、例えばアルミナ、ケイ素、ガリウムヒ素またはその他の絶縁体は、代替的に用い得る。
【0089】
図2Aに示したように、界面伝送線233の底部表面は、分子結合領域(MBR)234と接触する。図示したように、MBRは、異なる層または種類の結合分子構造、ならびに溶液内で生じる分子構造から成る。代替的実施態様では、MBR234は、界面伝送線233の小部分または大部分全体に延び、図示したような異なる結合分子構造から成る。MBRは、アンチリガンド/リガンド構造のみから、または図1Dに示したようなリンカー、マトリックスおよび絶縁層の種々の中間体から成り得る。実行する場合、絶縁層182(図1D)は、他の絶縁体の他に、空気、ポリイミド、アルミナ、ダイヤモンド、サファイアあるいは半導体絶縁物質、例えば二酸化ケイ素またはガリウムヒ素または非導電体から成り得る。絶縁層の厚みおよび誘電定数は、MBR234および界面伝送線233が信号伝送中、一緒にぴったり結合されるようなものである。絶縁層182の厚みは、必要なカップリングの量、絶縁層の誘電定数および総カップリング面積によって、10−1 m、10−2 m、10−3 m、10−4 m、10−5 m、10−6 m、10−7 m、10−8 m、10−9 m、10−10 m以下の厚み、あるいはそれらの間の範囲の値である。カップリングは、多数の異なる形状、例えば多層でのブロードサイドおよびオフセット結合形状、共平面または導波管回路トポロジーにより成し遂げ得る。絶縁層の実行は、溶液媒質から界面伝送線を密閉封止するためおよび/またはそこで生じる分子結合を崩壊する可能性がある溶液中へのDCまたは低周波数電流の流動を防止するために有益であり得る。
【0090】
界面伝送線233は、信号伝搬を支持し得る、そしてMBR234を結合し得る物質から成る。その物質はMBRの構成によって変わるが、しかしいくつかの例としては、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、銅、銀、亜鉛、スズ、アンチモン、ガリウム、カドミウム、クロム、マンガン、コバルト、イリジウム、プラチナ、水銀、チタン、アルミニウム、鉛、鉄、タングステン、ニッケル、タンタル、ルテニウム、オスミウム、タリウムまたはそれらの合金が挙げられる。あるいは、界面伝送線233は、1以上の標的化分子(リガンド)との結合を形成するために、1以上の分子構造(アンチリガンド)(これはMBR234の一部を構成する)を含み得る。界面伝送線を含む物質は、リンカーの結合を促すために、ならびにシグナル伝送を支持するために選択し得る。界面伝送線233を形成するために用い得るその他の物質は、当業者には容易に明らかになる。
【0091】
リガンドは、溶液260、例えば種々の緩衝化溶液(例えば、ダルベッコのリン酸塩緩衝化生理食塩水(d−PBS))を用いてMBR234に輸送し得る。当該リガンド、例えば核酸標的は、吸上げ、ピペット分取、浸漬、滴下、直接接触、毛管作用をといった種々の技法を用いて、または種々の流体装置により、結合表面に適用し得る。
【0092】
特定の実施態様では、界面伝送線233は、低信号損失および外部伝送線270との密接なインピーダンス整合を提供するよう設計される。低信号損失は、導電体から界面伝送線233を二次加工することにより達成され、物質のいくつかの例は、金、銅、アルミニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)または前記のその他の導電体である。密接なインピーダンス整合は、支持体、溶液およびMBRの相対的誘電特性によって、外部伝送線270のおよその幅での界面伝送線233の幅を限定することにより成し遂げられる。界面伝送線232および外部伝送線270間の信号連続性は、接触末端237を介して提供される。前記で説明したように、MBR234および溶液媒質260は、基底平面250の最も近くに置き得るか、あるいはこれらの層位置の他に界面伝送線232の最も近い位置に置かれる。
【0093】
集中素子形態、分布形態またはその両方の組合せにおける付加的アナログおよび/またはデジタル回路は、バイオアッセイデバイスの入力および/または出力口に含ませ得る。例えば、インピーダンス整合回路および/または緩衝増幅器回路は、入力口で用い得る。あるいは、またはさらに、インピーダンス整合回路部品および1以上の出力増幅器は、出力信号をさらに強化するために実行し得る。他の種類の状態調節回路部品が代替的実施態様において同様に用い得るとエレクトロニクスの当業者は理解する。
【0094】
図2Bは、バイオアッセイデバイスの第二の実施態様を示す。この実施態様では、溶液は、底部プレート239の上部表面上に形成される界面伝送線233の上の空隙を占有する。界面伝送線233の上部側面は、MBR234が接着する結合表面を形成する。誘電性層240は、界面伝送線233および基底平面250間に位置する。接触末端237は、外部伝送線270に信号経路を提供する。界面伝送線、上部プレート、底部プレート、接触末端および誘電性層は、前記のような物質から形成され前記のように処理される。MBRも、図1Dに記載したように形状化し得るか、またはその変形であり得る。さらにMBR234および溶液媒質260は、基底平面250に最も近く位置し得るか、あるいはこれらの層の位置の他に、界面伝送線233に最も近く位置し得る。
【0095】
図2Cは、本発明の別のバイオアッセイデバイス150の垂直断面図である。このバイオアッセイデバイス150は、図1Aに図示したものと同様の2素子識別線形状を包含する。バイオアッセイデバイス150は、金伝送線120がスパッタリングされた上面上にガラス製(約1 mm厚)の支持基材151を含む。支持体151および結合伝送線120は、伝送線120に結合された反応容器90と一緒に、それぞれ誘電性物質70、72の上部および下部層間に挟まれる。この特定実施態様では、誘電性物質70、72は、反応容器と同様に、レキサン(LEXAN)で構成される。誘電性層またはスペーサー70、72は、系中で所望レベルのインピーダンスが得られるように機能する。したがって、同様の結果を達成し得るその他の物質が、レキサンの代わりに用い得る。この特定実施態様では、伝送線は、35Ωの公称広帯域インピーダンスを生じるよう設計され、幅1.5 cm、長さ7.5 cm、厚み約100Åであった。
【0096】
ガラス支持体151、伝送線120、反応容器90および誘電性層70、72を含むサブアセンブリーは、ステンレススチールカバープレートまたは基底素子159中に包まれて、伝送線120を電磁的遮蔽し、機械的支持および圧力を提供して、バイオアッセイデバイスをずっと封止する。コネクター(例えば、3.5 mmコネクター)84、86は、バイオアッセイデバイス150の2つの末端の各々に取り付けられる。コネクターの中心ピン(図示されていない)は、50μゴムガスケットを用いて伝送線120および支持体151に導電性エポキシ樹脂(図示せず)により取り付けられる。入力および出力口80、82はカバープレート159、誘電性物質70の上部層を通って延びて、反応容器90に別々に接続する(典型的には反応容器90の反対端)。これら2つの口80、82は、溶液を反応容器90の内外に流動させる。
【0097】
バイオアッセイデバイス150は次に、1つのコネクター84を介して、45 MHzから40 GHzまでSパラメーターを測定し得る分析器または検出器(図示せず)に接続し得る。他のコネクター86は、信号源(図示せず)に接続される。
【0098】
さらに別の構造的実施態様は、多素子伝送線、導波管および共鳴キャビティを有するバイオアッセイを含み、この場合、MBRは、検出特異性および感度を強化するような方法で、1以上の線またはキャビティ素子に結合させ得る。このような構造の例としては、平行整列信号コンバイナー、共鳴キャビティ、または導波管が挙げられ、これらに沿って一素子上の結合MBRが結合構造を有さない別の平行素子と比較した場合に信号伝搬特性を変え、したがって併合信号のモード特性を変えるのに役立ち、容易に検出可能な出力信号特性を生じる。これら後者の作用は、周知の技法を利用して、周波数、周波数安定度および周波数の非常に小さい変化を超高精度で測定する。
【0099】
B.結合表面
図3は、生電気界面の導電層に沿って生じる結合表面化学作用の一実施態様を示す。生電気界面は、支持体320、導電層330、MBR340および溶液350を含む。支持体320は、本明細書中に記載した誘電層または支持体物質のいずれか、例えばアルミナ、ダイヤモンド、サファイア、プラスチック、ガラス等であり、導電層320に構造的支持を提供し得る。代替的実施態様では、支持体320は除去され、構造的支持は絶縁層342により提供される。
【0100】
導電層330は、所望の周波数全体での信号伝搬を促し、そして前記のようにMBR340の結合を促す形態を有する物質から成る。2導体回路トポロジーでは、導電層330は信号平面または基底平面を含み得る。しかしながら、いずれかの場合、二次導電層(信号平面または基底平面、図示せず)は、支持体の下(図2Bの整列)または溶液350から除去された少なくとも1つの支持体層(図2Aの逆整列)に位置する。あるいは、導電層は、これら両方のレベルに位置し得る。
【0101】
溶液350は、MBR340へのリガンドの流れを可能にするためにMBR340に結合される。溶液350からMBR340へのリガンド流は、指向性または非指向性であり得る。溶液は、任意の輸送媒質、例えば気体、液体または固体相物質から成り、いくつかの例は、水性d−PBS、トリス緩衝液、リン酸塩緩衝液等である。
【0102】
生電気界面に沿って、MBRがその部分に沿って溶液より信号経路に近いように、MBRは溶液の少なくとも一部と信号経路との間に位置する。図3の実施態様では、MBR340は、溶液350および導電性位相330間で、後者により近くに位置する。一実施態様(図2Aに図示)では、溶液は信号および基底平面間に位置する。第二の実施態様(図2Bに図示)では、溶液は信号−基底平面領域の外側に位置する。
【0103】
MBRは、リガンド、リガンド/アンチリガンド複合体または本明細書中に記載したようなその他の分子構造から成る。典型的には、リガンドは機能的に無傷で、表面にできるだけ近く、アンチリガンドの表面密度は最大誘電作用を提供するには非常に十分であるが、しかし例えば立体障害によりまたは隣接分子による固定化アンチリガンドの活性結合部位の物理的遮断により、結合の機能を損なうほど高くない。
【0104】
リガンドは、特異的または非特異的に、図3に示すような導電層320または中間体構造に直接結合し得る。特異的結合リガンドが望ましい場合、リンカーを任意に用いて結合を促して、例えば導電層320が溶液に曝露されるように全タンパク質を結合する。物質は、フォトリソグラフィー、半導体処理または任意のその他の慣用的適用技法を含めた多数の方法で、導電層320に適用し得る。
【0105】
さらに、いくつかのリガンドおよびアンチリガンドは、多数の方法で結合し得る。これらのリガンドは、典型的には結合の統計的優勢様式を有し、または部位特異的方法で結合するよう工学処理し得る。いくつかのアンチリガンドは、部位特異的方法で表面を任意に結合する。例えば、オリゴヌクレオチドは、1末端に結合し得る。一般に、アンチリガンドは、例えば好ましくは表面変性を最小限にする濃度で、アンチリガンドの機能を損なわない方法で結合される。
【0106】
結合表面上のアンチリガンドの濃度は、特定の分析物によって変わる。例えば、タンパク質に関する典型的濃度は、10/cm、10/cm、10/cm、1010/cm、1011/cm、1012/cm、1013/cm、1014/cm、1015/cmまたはそれらの間の範囲の濃度である。核酸に関する典型的濃度は、10/cm、10/cm、10/cm、1010/cm、1011/cm、1012/cm、1013/cm、1014/cm、1015/cm、1016/cm、1017/cm、1018/cm、1019/cm、1020/cmまたはそれらの間の範囲の濃度である。全血中の分析物に関する典型的濃度は、55 M、25 M、10 M、1 M、0.5 M、10−1M、10−2M、10−3M、10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、10−13M、10−14M、10−15M、10−16M、10−17M、10−18Mまたはそれらの間の範囲の濃度である。
【0107】
生電気界面による信号の伝送を変更するのに十分なリガンドがMBR内に接着すべきである。結合表面に接着するリガンドの量は、導電層の表面積によって、1、10、10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013以上のリガンド、ならびにそれらの間の任意の数のリガンドから成る。リガンドは、信号応答がバイオアッセイデバイスまたはチップ上の配置と対照したものとしてMBRの固有の誘電特性により確定されるため、導電層に沿った予定領域に適用される必要はない。MBRは一般に、1010 cm〜1024 cm、典型的には1015 cm〜1020 cmの範囲のより小さい分子に関する表面密度を有する。リガンド層は、1層という薄さであり得るが、しかし2、3、4、5または10またはそれ以上の層が任意に用いられる。
【0108】
一旦リガンドが導電層に結合されると、系の化学的および/または構造的生物学作用が働き始める。リガンドの誘電特性は、結合構造(単数または複数)の特徴である信号応答を生じ、それにより結合事象検定、ならびに構造中のその他の当該特性を可能にする。結合事象により提供される応答は、固定化アンチリガンド、その標的リガンドおよび近接溶液分子(例えば水および遊離イオン)の転位によっている。表面と結合し得る分子の範囲としては、タンパク質、核酸、小分子、糖、脂質および任意のその他の当該分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
典型的には、MBRの分子は、水、d−PBS、トリス、血液、生理学的緩衝液、脳脊髄液、尿、汗、唾液、その他の身体分泌液、有機溶媒等の水性溶液から成る溶液内で処理される。その他の溶液としては、気体、エマルション、ゲル、ならびに有機または無機化合物が挙げられる。
【0110】
二次結合反応は、バイオアッセイデバイスのMBRで起こる。溶液中のリガンドは、それが結合層のアンチリガンドと接触するように、バイオアッセイデバイス全体に輸送される。溶液中のリガンドの濃度は変化し、10−1M、10−2M、10−3M、10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、10−13M、10−14M、10−15M、10−16M、10−17M、10−18M、10−19 M、10−20 Mから成り得る。相互作用、例えば結合が、リガンドおよびアンチリガンド間で起こる場合、結合事象の化学的平衡特徴により指図されるように、リガンドは任意に結合層の一部になる。
【0111】
MBRは結合リガンドを含み、そして溶液分子も含み得る。結合リガンドは、任意の分子、例えばタンパク質、炭水化物、脂質、核酸および本明細書中に記載したすべてのその他の分子でもあり得る。MBRはさらに、結合表面層とのアンチリガンドの結合に役立つリンカーを含み得る。
【0112】
さらに、アンチリガンドのリガンドとの相互作用は、結合されたアンチリガンドのみを有する結合層の特徴的誘電性応答を変える。例えば、アンチリガンドAが結合層を形成するアンチリガンドである場合、伝送線に沿って伝搬する試験信号の誘電性応答は、アンチリガンドAの構造の特徴的特性を反映する。リガンドBがアンチリガンドAと結合する場合、結合層の構造的および/または誘電的特性は、AのBとの結合のために変わる。Aの構造は、Bがそれと結合した場合に変わり、したがって、異なる信号応答を提供し得る。結合相互作用のための信号の変化は、AのBとの結合に特徴的である。したがって、結合相互作用の存在は、信号の変化から確定し得る。
【0113】
さらに、結合の種類または結合時の構造的および/または配座的変化についての情報は、信号応答の一部が相互作用のために変化したことに留意することにより得られる。リガンドBは、アンチリガンドAとのその結合時の信号変化により、任意に検出され、同定される。リガンドBのアンチリガンドAとの結合は、アンチリガンドAおよびその環境物における、配座変化、あるいは分子構造または周囲溶液のその他の変化を含む。これらの変化はMBRの誘電特性を変え、それにより信号経路に沿って伝搬する試験信号の信号応答を変える。試験信号の変化は、リガンドB結合事象を検出するために用い得るし、変化事項は、リガンドBを同定するために用い得る。分子の構造および機能間の関係が既知である程、例えば、酵素、抗体、受容体等の場合、結合リガンドの機能はそのスペクトル同定から推定し得る。
【0114】
一実施態様では、ある種類のアンチリガンドはMBRを形成するために結合表面に適用され、そしてリガンドは、MBR全体に適用されて、2つの分子間の結合事象を検出する。例えばアンチリガンドは同一配列を有する複数の核酸プローブであり、そしてリガンドは相補的標的配列であり得る。別の実施態様では、アンチリガンドは混合物(例えば、異なる配列を有する多数の核酸プローブ)であり、結合層全体に適用されるリガンドは、既知の分析物(例えば、既知の配列の標的核酸)である。信号応答における特異的変化を検出することにより、アンチリガンドが相互作用した特定リガンドは、リガンドまたはアンチリガンドにおいて誘導された配座的およびその他の変化、ならびにそれから生じたスペクトル応答のために確定し得る。このような実施態様は、特定のアンチリガンドの各々の空間的単離を必要としないが、しかしむしろ、検定の一部に関して結合事象が起きたことに留意するよりむしろ電磁応答を調べることにより、所定の結合相互作用が確定されるように、スペクトル応答から特異性の所望のレベルを得る。
【0115】
別の実施態様では、アンチリガンドは結合層上の既知の分子(例えば既知の配列の核酸プローブ)であり得るし、リガンドは、未知のものの混合物(例えば、異なる配列を有する種々の標的核酸の混合物)としてバイオアッセイデバイス全体に適用される。この場合、特定のリガンドの存在は、信号がバイオアッセイデバイスを通過したことに起因するスペクトル中の特定のピークまたは信号の存在または不存在により検出される。あるいは、リガンドは、リガンドの結合時のアンチリガンドまたはリガンドのスペクトルにおける変化のために、検出し得る。このような実施態様は、信号が結合事象の性質についての情報を含有するため、結合化学作用単独の場合を上回って検出の特異性を増大する。したがって、特異的結合は、非特異的結合より以上に識別し得るし、検出の全体的特異性は、化学作用単独の特異性を上回って大きく改良し得る。
【0116】
バイオアッセイデバイスの使用により形成される検出系は、検出が任意に実時間に起こり、多数の試料が迅速に分析し得るため、高処理量検出を提供する。応答器官は、ナノ秒時間尺度で任意にモニタリングされる。分子が互いに結合されるとすぐに、検出が生じる。低濃度、あるいは低結合親和性を有する分子間の結合事象を測定するためには、より多くの時間が任意に必要とされる。実時間は、拡散速度により任意に限定される。これらの考え得る制限以外に、数千の化合物が本系により非常に迅速に、例えば1時間で任意に試験される。例えばチップ二次加工技法を用いて、10,000チャンネルデバイス(ミクロ流体素子工学技法)が可能である、小容量、したがって短拡散時間、および反応の開始のみを測定する動力学的測定を用いて、1000万試料/時間が任意に測定される。既知の濃度、結合親和性は、動力学単独から任意に算定され、したがってデバイスは非常に速い時間尺度でプローブされ、親和性は、度力学的曲線の勾配から算定および/または概算される。動力学および親和性に関する参照は、任意の標準生化学または化学教科書、例えば、Mathews and van Holde「Biochemistry」Benjamin Cummings, New York, 1990に見出される。
【0117】
C.生電気界面
生電気界面は、それに沿ってMBRおよび信号経路が形成される構造である。前記のように、信号経路は、導電性または誘電性導波管構造、2導体構造、例えば慣用的信号/基底平面構造、あるいは当業界で既知の3以上の導体構造から成り得る。一般に、信号経路の導電性領域の厚みは、最少信号損失を提供するよう設計される。例えば、金伝送線の典型的厚みは、0.1〜1000μm、好ましくは約1〜10μmのオーダーである。
【0118】
信号経路は、MBRと非直交性である方向に沿って形成される。一実施態様では、試験信号は、MBRが形成される表面上の接線と平行に伝搬する。他の実施態様では、試験信号は、MBR結合表面に対して、±1°、±2°、±3°、±4°、±5°、±10°、±15°、±20°、±30°、±40°、±45°、±50°、±60°、±70°、±80°または±85°、あるいはそれらの間の任意の範囲の角度で伝搬し得る。第一の実施態様では、信号経路は、2導体構造での伝送線から成り、信号経路の方向は、電磁気の当業界で既知のようなPoyntingベクトルにより限定される。第二の実施態様では、伝導線は、生電気界面領域に沿って連続的に延びる導電性領域または層から成る。第三の実施態様では、信号経路は、操作の所望の周波数範囲の全体で生電気界面に沿って最少量の信号損失を示す経路として定義し得る。第四の実施態様では、信号経路は、3 mhos/mより大きいa.c.伝導度を有する、即ち食塩溶液より大きい、典型的には5 mho/mより大きいが、しかし理想的には100〜1000 mho/mおよびそれ以上の範囲の伝導度を有すると定義し得る。
【0119】
したがって、本発明のある種の方法は、例えばそれが信号経路と結合されるように、リガンドまたはアンチリガンド、例えば拡散を配置することを包含する。このような方法においては、信号経路に沿って伝送される信号は、例えばある電気的接触から別のものへ、溶液を通過して進む必要がない。これは、前記のように、そして下記でさらに詳細に記載するように、水が水を通過する電磁信号を有意に減衰し、それによりこのような方法の感度を大きく低減するため、重要である。
【0120】
生電気界面領域は、所望の試験周波数での電磁信号の伝搬を支持するよう設計された信号経路から成る。多数の形状が可能であり、一例は、 DCおよび110 GHz間で操作可能なスパッタ金伝送線である。別の実施態様では、信号経路は、MBRそれ自体のような誘電性媒質から成る。この実施態様では、信号経路はDC電圧および電流を遮断するが、しかしそうでなければ、例えば周波数1 MHz、5 MHz、10 MHz、20 MHz、45 MHz、80 MHz、100 MHz、250 MHz、500 MHz、750 MHz、1 GHz、2.5 GHz、5 GHz、7.5GHz、10 GHz、12 GHz、18 GHz、20 GHz、22 GHz、24 GHz、26 GHz、30 GHz、33 GHz、40 GHz、44 GHz、50 GHz、80 GHz、96 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzまたはその間の範囲の周波数で発生する所望の試験信号の伝搬を支持する。したがって、信号経路は、当業界で既知の高周波数回路設計技法を用いて設計される。このような設計技法としては、信号経路を配線構造にインピーダンス整合し、信号経路の挿入損失を最小限にし、そして信号経路の電圧定在波比(VSWR)を最小限にすることを含む。本発明の好ましい実施態様では、信号経路およびMBRは、非直交性配向で配向される。
【0121】
本発明は、信号経路に取り付けられる予測サイズまたは構造の分子の検出に限定されない。MBRは、信号経路に取り付けられるかまたはそれから分離されるがしかし結合される1、2、3、4、5、10、20、30、50、100、1000以上のモル長から成り得る。さらにMBRは、多層の同種分子、単一であるがしかし異種分子の層、または多異種分子層から成り得る。
【0122】
生電気界面の設計および操作に関するさらなる詳細は、同時係属中且つ共通譲受け米国特許出願第09/243,194号(1999年2月1日出願)(この記載内容はすべての目的に関して、参照により本明細書中に含まれる)。
【0123】
V.測定方法
A.一般的概説
本発明の測定方法は、膨大な数の分子、例えば核酸が、分散作用、共鳴作用および前記分子周囲の溶液に及ぼす作用を含むそれらの独特の誘電特性に基づいて互いに識別可能である観察を利用する。本発明に置いては、試験信号がMBRと結合する場合、MBRは試験信号のエネルギーと相互作用して、独特の信号応答を生じる。独特の信号応答は次に、MBRを作り上げる分子を検出および同定するために用い得る。
【0124】
ほとんどの分子が異なる周波数全体で誘電特性の変異を示すと当業者は理解する。例えば分子は、電磁スペクトルの1以上の領域における周波数の一関数としてのその誘電特性の劇的変化を示す。分子が劇的誘電性変化を示す周波数帯域はしばしば、分子の分散レジメンと呼ばれる。これらのレジメン全体で、分子の誘電定数、誘電率、双極子および/または多極子モーメントおよび磁化率は、周波数の一関数として劇的に変化する。これらの定量はしばしば複雑で、信号応答において生じる大きさおよび位相変化の両方を説明するための実際的および非実際的部分を有する。分散レジメンは、RF、マイクロ波、ミリメートル波、遠赤外および赤外周波数を含めた種々の周波数に及ぶ範囲である。
【0125】
分子の誘電特性は、試験信号を分子と結合し、その結果生じる信号を観察することにより観察し得る。試験信号が分子の分散レジメン内の周波数で、特に共鳴周波数で分子を励起させると、分子は信号と強く相互作用し、その結果生じる信号はその測定振幅および位相の劇的変異を示し、それにより独特の信号応答を生じる。この応答を用いて、結合分子構造を検出し、同定し得る。さらに、ほとんどの分子が同一または異なる周波数帯域全体で異なる分散特性を示すため、各々が独特の信号応答を生じ、これを用いて分子構造を同定し得る。
【0126】
分子結合事象の検出および同定は、分子レベルでの誘電特性を検出し、測定することにより成し遂げ得る。分子レベルでの誘電特性は、そのポテンシャルエネルギーが当業界で既知のような無限級数として表し得る分子の多極子モーメントにより限定し得る:
【0127】
【数1】
Figure 2004500035
【0128】
無限級数は多数項から成り、その各々が、電気的、磁気的または電磁場の存在下での分子の誘電特性を種々の程度で説明する。第一項は、単極子モーメントとして示され、分子上の総電荷から生じる静電ポテンシャルエネルギーのスカラー量を表す。第二項または「双極子モーメント」はベクトル量であり、3度の自由度から成る。第三項または「三極子モーメント」は、ランク−2テンソルであり、9度の自由度全体の分子応答を説明する。概して、第N項は、ランクN−1のテンソルであり、3N−1度の自由度を有するが、対称性は自由度の総数を低減し得る。理解し得るように、高次モーメントは分子の誘電特性についてのより多大な詳細を提供し、したがってより多くの分子の独特の誘電特色を明示する。ポテンシャルの勾配が電場を生じるため:
【0129】
【数2】
Figure 2004500035
【0130】
である。
【0131】
高次モーメントの場強度は距離の一関数として急速に減衰し、したがってそれらの関与は測定が難しい。例えば、双極子モーメントによる場はr−3として減衰し、四極子モーメントによる場はr−4として減衰する。したがって、このアプローチは、結合分子および試験信号経路間の密接な近接性、ならびにその間の低信号損失を要する。それはしばしば、分子結合事象検出が強信号吸収溶液、例えば全血試料またはイオン溶液中で起こる場合であるため、結合事象および信号経路間の信号損失は非常に高くなり、高次モーメントの検出は非常に難しくなる。
【0132】
さらに各多極子項は、異なる方法で電場と結合する。これは、所定の静電系のエネルギーを調べることにより実証される:
【0133】
【数3】
Figure 2004500035
【0134】
テーラーシリーズにおける静電ポテンシャルを拡大すると、次式が得られる:
【0135】
【数4】
Figure 2004500035
【0136】
【数5】
Figure 2004500035
【0137】
であるため、
【0138】
【数6】
Figure 2004500035
【0139】
である。さらに、外部場に関しては、
【0140】
【数7】
Figure 2004500035
【0141】
であり、したがって次式が得られる:
【0142】
【数8】
Figure 2004500035
【0143】
これを前記のエネルギーに関する方程式に挿入すると、次式が得られる:
【0144】
【数9】
Figure 2004500035
【0145】
これは、各多極子項が尋問場(interrogating field)と相互作用する方式を示す:ポテンシャルに関する総電荷q、電場に関する双極子p、電場の勾配に関する第四極子Qij。これは、高次多極子モーメントの検出に伴う第二の難しさを説明する。高次モーメントと結合するのに十分な場勾配を達成することは、大量試料では難しい。
【0146】
本発明は既述の生電気界面に必要な手段を与えることにより、前記の障害を克服する。界面は、信号経路に沿って結合されるMBRを含む。MBRは、非常に薄く且つ高度に不均質な(誘電的見地から)層から成り、したがって電磁的プロービング構造との必要な近接性を、ならびに高次多極子モーメントと結合するのに十分な場勾配を提供する。これらの性質は、高次モーメントの検出を可能にし、これが分子の誘電特性の非常に強化された見解を提供する。信号および/または基底平面に最も近いMBRの位置調整は、溶液に吸収されるようになっているその上に伝搬する信号を単離し、それにより信号損失を低減して、より高い試験周波数を用いて、より正確に結合事象を検出し、同定し得るのに役立つ。このようにして、本発明は、分子の双極子およびその他の高次多極子モーメントからの、関与を含めた信号応答のより高度の回収を可能にする。
【0147】
本発明の既述のバイオアッセイデバイスを用いて、MBRに関連した多数の特性を検出し得る。図4Aは、この方法の一実施態様を説明する。最初に、段階602で、MBRが形成され、信号経路の一部に沿って結合される。前記のように、MBRはリガンド、アンチリガンド/リガンド複合体等から成り、そして信号経路と直接または間接的に物理的に接触するか、または電磁的に結合される。信号経路は、2導体伝送トポロジーで信号平面または基底平面から成り得る。
【0148】
次に段階604では、試験信号は信号経路に沿って伝搬される。試験信号は、任意の周波数、例えば10 MHzの信号周波数または45 MHz〜20 GHzの範囲の周波数の任意の時間変更信号であり得る。次に段階606では、試験信号はMBRと結合し、応答に際して、カップリングに対する信号応答を発生する。次に信号応答が回収され、分子結合領域の1以上の特性に関する情報を提供する。
【0149】
バイオアッセイデバイスは、MBRの多数の特性、例えば分子結合事象の検出および同定、リガンド濃度、MBRの誘電特性の変化、検出結合事象の分類等についての情報を提供する。
【0150】
溶液中の分子双極子、四極子および高次多極子モーメントを検出し、測定する能力は、多数の理由のために当業界における有意の進歩を表す。第一に、生物医学的に興味深い多数の分子は非常に異なる構造を有し、したがって異なる多極子モーメントを有する。したがって、所定の分子に関する多極子モーメントの同定は、独特である前記の分子の特性を明示し、したがって前記の分子の同定を可能にする。第二に、構造および機能は生物医学的に関連のある多数の分子においては密接に関連する。したがって、前記の分子の機能に直接関連する所定の分子の特性を検出する能力は、機能性が全範囲の活性に関してモニタリングし得ることを意味する。第三に、局所的生理学的環境はしばしば、所定の分子の構造および機能に重要な役割を演じ、したがって前記の物理的特性を検出する能力は、所定の系における変化を測定する目的のためのモニターおよびプローブとして分子を用い得ることを意味する。したがって、分子および細胞系についての複雑且つ有益な特性を検出可能な電子データフォーマットに翻訳する能力を用いて、全ての新しい可能性が本明細書に記載した領域で出現する。
【0151】
B.結合分子構造の検出
本明細書中に記載したバイオアッセイデバイスは、信号経路に沿って生じる分子結合事象の検出を可能にする。検出可能な結合事象としては、一次、二次および高次結合事象が挙げられる。例えば、先在MBRを有さない2導体生電気界面では、導電層の分子はリガンドとの結合のためのアンチリガンド、MBRを形成するリガンドを生成する。別の実施態様では、アンチリガンドおよびリガンドは、ともにMBRに含まれる。この実施態様では、MBRは、図1Dに示したように、リンカー、マトリックス分子、絶縁層または各々の組合せを介して信号経路表面に結合される。
【0152】
図4Aは、この方法の一実施態様を示す。最初に、段階602では、信号経路は、操作の所望の周波数全体での信号の伝搬を支持し得る物質から形成される。信号経路は、本明細書中に記載したバイオアッセイデバイスの1つの中での単一口経路、2口経路または多重口経路から成る。さらに単一経路は、伝送線、共鳴キャビティとして、または導波管構造として実現し得る。
【0153】
次に段階604では、被験分子または分子構造を含有する溶液が提供される。段階606では、リガンドから成るMBRは溶液から生成され、信号経路の少なくとも一部分および溶液間で結合される。次に、段階608では、試験信号が信号経路に沿って伝搬される。あるいは、結合事象の結果として生じる信号応答を実時間で観察するために、溶液の適用中、試験信号を送り出し得る。段階610では、試験信号は伝搬し、MBRと結合して、リガンドの存在を示す信号応答を発生する。次に段階612および614では、試験信号が回収され、その応答はリガンドの検出を示す。
【0154】
MBRの誘電特性は、その各々が分子結合を示し得る任意の数の信号応答を誘導するのに関与し得る。例えばMBRの分散特性は、周波数全体で劇的に変わり得る。この場合、試験信号応答は、分子結合事象が結合表面に沿って生じた場合に周波数全体で振幅および/または位相応答の大きい変化を示し、それにより結合表面に沿って分子結合事象を検出するための一手段を提供する。
【0155】
別の実施態様では、MBRの誘電緩和特性は、入力信号のパルス期間の一関数として変わる。この場合、試験信号応答は、特定パルス期のまたはその付近の、吸収した電力の量の変化、または位相または振幅のような試験信号のいくつかのその他のパラメーターの変化を示す。吸収電力またはその他のパラメーターの変化を観察することにより、結合表面に沿った結合事象を検出し得る。その他の特性、例えば特徴的インピーダンス、伝搬速度、振幅、位相、分散、損失、誘電率、磁化率、周波数および誘電定数も、分子結合事象の考え得る指標である。
【0156】
前記の方法を用いて、信号経路に沿って直接的または間接的にアンチリガンドまたはリガンドの一次結合を検定し得る。同様に、図4Aの方法も、リガンドのアンチリガンドとの二次結合を検出するために用い得る。図4Aの方法は、信号経路に沿って起こる一次または二次結合事象の検出に限定されない。実際、信号経路に沿って、または溶液中に懸濁されて生じる三次および高次結合事象も、この方法を用いて検出し得る。
【0157】
図4Bは、信号経路に沿って起こる二次および高次結合事象を検出するための第二の方法を示す。最初に、段階620では、一次結合事象が検出され、信号応答が測定され、その一実施態様は段階602〜612に示される。その後、段階622では、一次結合事象信号応答が保存され、ベースライン応答として用いられる。次に、段階624では、二次分子溶液がバイオアッセイデバイスに付加され、結合表面全体に循環される。次に段階626では、図4Aの段階608〜612が反復されて、二次信号応答を生成する。次に段階628では、二次信号応答およびベースライン応答が比較される。変化がほとんどまたは全くないのは2つの信号応答が非常に類似しているということを示し、このことは、MBRの構造および誘電特性が新規の溶液内の分子の付加により変えられなかったことを示す。この場合、二次結合は有意程度に起こらなかった(段階630)。比較が予定範囲外の変化を生じる場合、MBRの構造および/または誘電特性は変えられており、それにより二次結合事象を示す(段階632)。二次結合事象を示すために用い得る量は、前記の量、例えば振幅、位相、周波数、分散、損失、誘電率、磁化率、インピーダンス、伝搬速度、誘電定数ならびにその他の因子と類似する。三次または高次結合事象は、このアプローチを用いて検出し得る。
【0158】
二次または高次結合事象を検出するための代替的方法は、特異的一次結合事象の従来の知識を必要としない。この実施態様では、バイオアッセイデバイスは、例えば使用時点でこれらのパラメーターの1つの予定変化が検出される場合はいつも、次に単数または複数の結合事象が起きていたことが分かるように、既知のパラメーターを用いて操作するよう検定開発段階で設計される。この実施態様では、二次加工の時点でまたは設計の時点で、初期特性化はすでに成されているので、一次結合事象の予備測定は必要でない。
【0159】
二次結合事象は、一次結合分子の構造の変化を検出することによっても達成され得る。分子が結合されるようになると、それは、その結合状態に対してその分子構造における配座的およびその他の変化を受ける。これらの変化は、一次結合分子の誘電特性に影響を及ぼし、ならびに周囲溶液中の変化を誘導する。その変異は、前記の図4Bの段階620〜628を用いて検出し得る。一次結合分子の誘電特性の変化を示すためにモニタリングし得る属性としては、前記の属性、例えば振幅、位相、周波数、分散、損失、誘電率、磁化率、インピーダンス、伝搬速度、誘電定数ならびにその他の因子が挙げられる。
【0160】
C.分子結合層の誘電特性の変化の検出
本明細書中に記載したバイオアッセイデバイスは、温度、pH、イオン強度等における変化の結果としてのMBRの誘電的変化を測定するためにも用い得る。
【0161】
図4Cは、本方法の例示的実施態様を示す。本方法は、結合事象の同定に関して開示された方法と密接に類似するが、但し、本方法は、MBRの誘電特性における変化の検出および定量化を可能にする。
【0162】
本方法は、段階641で開始し、初期誘電特性を有する溶液がバイオアッセイデバイスに付加されると、信号応答が測定され、記録される。一実施態様では、この段階は段階602〜612にしたがって実施される。予定時間または操作後、再び段階602〜612による一実施態様において、二次測定が成され、二次信号応答が記録される(段階642)。段階643では一次および二次信号間の比較が実行されて、2つの信号が予定範囲内で相関するか否かを確定する。そうである場合、溶液の特性はいかなる誘電的変化も受けないと思われる(段階644)。
【0163】
信号応答が予定範囲内で相関しない場合、溶液の1以上の誘電特性は変化を受けていたとみなされる(段階645)。任意に、誘電特性の変化は、以下の方法で定量し得る。段階646で、二次シグナルが保存され、既知の信号応答と相関される。最も密接に相関した応答は、溶液の誘電特性を同定し、一次信号応答は誘電特性の初期値と相関され、この差を用いて、同定誘電特性が変更された量を確定し得る(段階647)。
【0164】
D.結合分子表面の同定
既述のバイオアッセイデバイスを用いて、既知のリガンドを特性化し、その後、作製された未知のリガンドを有する溶液中でそれを同定し得る。図4Dは、この方法の一実施態様を示す。最初に、段階652で、多数の分子構造が測定され、下記の1以上の測定系を用いてそれらの応答が保存される。一実施態様では、この段階は、段階602〜612にしたがって実施される。各保存応答は、溶液内で生じた単一リガンド、または同一溶液内で生じた多数リガンドに対応し得る。その後、段階654では、未知の溶液の測定が成される。一実施態様では、この段階は、段階602〜612にしたがって実施される。次に、段階656では、溶液の信号応答が保存信号応答と比較されて、その相関の程度が確定される。段階658では、未知の応答との最も密接な相関を示す保存応答を選択することにより、未知の分子構造が同定される。比較は、1以上の保存応答間の相関を確定するために1以上のデータ点を用いて実施し得るし、相関を確定するためのパターン認識ソフトウェアまたは同様の手段を包含し得る。本方法を用いて、一次、二次または高次結合分子構造を同定し得る。
【0165】
E.結合分子構造の種類の同定
核酸中の配列相同のような既知の分子亜配列を特性化することもできる。一実施態様では、本方法は図4Dに示したように進行するが、但し、段階652では、N個の分子亜配列が測定され、それらの応答が保存される。各保存信号応答は、1以上の亜配列に対応し得る。本方法は、未知の化合物を同定するのに十分な数または構造が検出され、特性化されるまで、段階654、656および658に記載したように連続する。一旦十分数の相関が起きると、次に未知の分子構造を分類し得る。
【0166】
図4Eは、未知のリガンドを分類し得る別の方法を示す。本方法は、未知の化合物上の構造モチーフとの結合を検出することにより、未知のリガンドを同定する。最初に、段階660で、多重処理可能アレイを有し、その各々が特異的リガンド亜構造に対するアンチリガンドを有するバイオアッセイデバイスが提供される。次に、段階662では、そのそれぞれのアンチリガンドとの各々の結合と、その後の特性化により、特定の亜構造の存在が検出される。一実施態様では、この段階は、段階602〜612にしたがって実施される。その後、段階664では、親和性、動力学およびスペクトル応答といった属性の同定により、結合事象の各々が特性化される。段階666では、既知および未知の応答間の相関が成される。未知の応答の各々が既知の応答と相関する場合、リガンドは既知の応答に対応するリガンドとして同定される。亜構造が相関および非相関応答の両方を示す場合、相関応答は、未知のリガンドのより一般的な分類を構築するために用い得る。この方法を用いて、同一種類内に生じるかまたは再発生構造相同性を有する任意の分子構造、例えばタンパク質を同定し得る。
【0167】
既知の構造との比較を成し得る場合、所定の未知の化合物の集中スペクトル分析が構造および機能に関する洞察をもたらすことも可能であり、推定によりあるレベルの分類を成し得る。
【0168】
F.特異的対非特異的結合
結合事象のスペクトル「フィンガープリント(指紋)」または「署名(特徴)」により、特異的リガンド結合が非特異的結合と識別される。問題の所定の結合事象(例えば核酸プローブおよび標的核酸)は、まさに当該リガンドおよびMBR上の前記のリガンドに特異的なアンチリガンドを含有する生成溶液中で先ず特性化し得る。広範なスペクトル試験が次に実行されて、スペクトル中で最も強い応答が見出される部分を観察する。次に検定は、典型的には専門的用途で見出された溶液、例えば全血中で反復されて、応答に及ぼす非特異的結合作用が何であるかを確定する。次に、特異的結合に決定的である種々の点が見出され、そして非特異的結合に決定的な別個の組の点が見出されて、これらの周波数点の小群が実際の検定用途のために選択される。特異的結合による応答を非特異的結合によるものと比較することにより、特異的結合の程度を確定し得る。
【0169】
G.所定のリガンドの特性化
しばしば、ある性質の所定の分子を確定することが望ましい。例としては、タンパク質が属する種類、あるいは所定の遺伝子またはその他の核酸配列が存在する多型の種類を確定することが挙げられる。これは、多数の方法で実行し得る。
【0170】
例えば、所定の遺伝子はある種の塩基対配列を有することが知られている。自然ではしばしば、この配列に小変異が存在する。例えば、多数の細胞膜中の塩化物イオン輸送チャンネルをコードする遺伝子では、共通の単一塩基対突然変異または変化が認められる。このような変化は、ヒトにおける嚢胞性繊維症と呼ばれる疾患を引き起こす。したがって、小変異に関する所定核酸配列の特定化は、非常に重要なことである。このような変異はしばしば多型と呼ばれ、このような多型は一般に既知の多型の各々に対する相補的鎖を生成することにより検出される。任意の所定の遺伝子は数百または数千もの多型のうちのいずれかの形態をとるため、各多型に対する相補的鎖を生成することはしばしば骨の折れる仕事である。本明細書中に記載した本発明を用いて、非相補的結合またはハイブリダイゼーションを、前段落で記載したのと同一の物理的特性の多くを測定することにより、検出および識別し得る。ハイブリダイゼーション事象の誘電特性は特性化され、既知のデータと相関され、それにより起きたハイブリダイゼーションの種類−完全または不完全−を確定し得る。したがって、所定の核酸配列で構成されたアンチリガンドを用いて、数百の異なる多型(リガンドとして)が、結合事象の特性化により検出し得る。緊縮条件を修正してハイブリダイゼーション方法を変更し、または温度を変更し、そして融点を確定する(これはハイブリダイゼーション法の性質の別の指標として役立つと)といったようなさらなる改善が可能であると当業者は理解する。
【0171】
H.濃度の定量
本明細書中に記載したバイオアッセイデバイスは、リガンドの濃度を定量するために用い得る。図4Fは、この方法の一実施態様を示す。この場合、デバイスは予備較正されず(段階679)、最初に段階670で、測定分析物のために適切な結合特性、例えば結合親和性または動力学を有するアンチリガンドが選択される。これらの特性は、アンチリガンドの平衡定数がその線状操作領域の中心近くにあるように選択される。濃度の範囲が単一アンチリガンドの使用のためには広過ぎる用途に関しては、異なる親和性および/または線状操作範囲を有するいくつかのアンチリガンドが用いられて、非常に広範囲に亘る濃度に関する値を得る。
【0172】
次に段階672で、アンチリガンドはバイオアッセイデバイスまたはチップに結合され、そしてデバイスは測定系に接続される。段階674では、応答が最大特異性に関する特性化を必要とするか否かに関して決定が成される。その場合、分析物結合が最大結合を有する周波数が確定され(段階675a)、非特異的結合が最大作用を有する領域が確定され(段階675b)、そして分析物結合のための独特の応答が確定される(段階675)スペクトル分析が実施される。特性化が必要ない場合、またはそうである場合、その完了後に、デバイスは較正される。この段階は、既知の濃度のリガンドをバイオアッセイデバイスに供給し、そしてその結果生じる応答を測定する(段階676a)ことにより、一実施態様において実施される。あるいは、較正(段階676b)のためにより多くのデータ点が必要な場合には、異なる濃度を有する試料が選択され(段階676c)、そしてこの濃度に対する応答が測定される(段階676a)。一実施態様では、段階602〜612にしたがって測定が成される。その後、段階677では、前記の応答からの較正点を記録することにより、外挿算法が成される。次に、段階678では、未知リガンド濃度の試料が測定される。この段階は、未知の試料をバイオアッセイデバイスに供給し、滴定算法に対して応答を相関させ、そしてそれからリガンド濃度を確定することにより、一実施態様において成し遂げられる。
【0173】
所定のバイオアッセイデバイスが予備較正されるか、または設計により較正される事象では、必要な唯一の段階は、リガンドまたは分析物を表面に適用し、応答を測定することである。このようなバイオアッセイデバイスは、多数の異なる方法で実現し得る。例えば、共鳴回路のインピーダンスまたは特徴的周波数のようないくつかの回路パラメーターは、結合事象が起こる場合に予定方法で変化するよう意図させ得るし、パラメーターが変化する量はさらに、用量−反応を有するよう意図させ得る。したがって、前記回路パラメーターの測定は、適切な算法により分析される場合、所定の分析物またはリガンドの濃度に関する定量的値が直ちに得られる。
【0174】
I.バイオアッセイデバイス自己較正
既述のバイオアッセイデバイスは、自己診断能力を有し、したがって使用時点属性制御および保証を保有する。所定の専門用途に関しては、特定のアンチリガンド(一次結合種)は、溶液中のいくつかの当該リガンド(二次結合種)に対するアンチリガンドとして作用する。一次結合種は、二次加工の時点で結合され、二次結合種は使用時点で結合される。したがって、二次加工−特に一次種の結合−における変異は、その特異的リガンドを結合するデバイスの能力の変異を引き起こす。しかしながら、結合されるリガンドの量は結合されるアンチリガンドの量に直接比例し、したがって2つの測比的測定が可能である。
【0175】
図4Gは、本方法の一実施態様を示す。最初に、段階680では、種々の濃度の適切な抗体を結合し、これらの濃度の各々に関して、その結果生じる応答を特性化し、各濃度に関していくつかの値「x」を得ることにより、分子結合表面が信号経路に沿って形成される。次に、段階682では、リガンドのいくつかの異なる濃度に関して抗体/リガンド結合応答を測定することにより、リガンドに関して同様の滴定曲線が作成され、そしてリガンド滴定曲線が予備決定される。次に、段階684では、抗体結合対リガンド結合の応答比を用いて尺度因子Aが得られる。使用時点で、非較正検定が先ずプローブされて(段階686)、結合抗体の量「x」およびそれから生じる尺度因子「y」が確定される。リガンドは次に検定に適用され、応答が測定されて(段階689)、応答および予定滴定曲線が尺度因子「y」により較正されて(段階690)、未知の濃度が確定される。
【0176】
図4Fの方法は、溶液中のリガンドの量の定量を可能にするよう修正し得る。修正において、バイオアッセイデバイスの結合表面は、予定親和性およびリガンド特異性を有するアンチリガンドを含む。溶液はその後デバイスに適用され、応答が測定される。信号応答は、結合されたリガンドの量に比例する。したがって、任意の所定のリガンドの滴定は、適切な線状操作範囲−平衡定数が検出される所望範囲の濃度の1組の対数単位内である範囲−を有するアンチリガンドを選択することにより、実行し得る。前記と同一の測比分析が適用されて、信頼性を保証するために必要な内部対照および較正を有する強固な且つ正確な定量的検定を生じる。
【0177】
VI.測定系
種々の測定系を用いて、前記の方法を実施し得る。図5〜8は、考え得る測定系の3つの例、即ち、周波数ドメイン検定系、時間ドメイン検定系および誘電緩和測定系を示す。
【0178】
A.周波数測定系
図5Aは、本発明の周波数測定系の一実施態様を示す。系800は、バイオアッセイデバイス入力852に結合された信号源810、およびバイオアッセイデバイス出力858に結合された信号検出器890を含む。任意に、完全2口測定能力を提供するために、さらに別の信号源をバイオアッセイデバイス出力858に、そしてさらに別の信号検出器をバイオアッセイデバイス入力852に結合させ得る。系は、反射信号を受容するために信号検出器が信号経路に結合される1口検定系に修正させ得る。特定の実施態様では、前記の周波数測定系は、例えばHewlett−Packard Companyからのモデル番号8510Cのようなネットワーク分析器から成る。透過および反射信号に基づいた信号情報を提供する他の高周波数測定系、例えばスカラーネットワーク分析器を、代替的に用い得る。
【0179】
測定は、前記の方法にしたがって成される。最初に、入射信号860が試験回路に向かって送り出され、それぞれ透過および/または反射信号870および890がその後回収される。その結果生じる信号応答は、独自の周波数応答の形態をとり、「スペクトルフィンガープリント(指紋)」または「署名(特徴)」と呼ばれ、この2つの例を図5Bおよび5Cに示す。図5Bは、応答が周波数fresで起きる周波数応答の一型を示す。ここでは、応答870は急な低下および上昇を受け、これは信号エネルギーがこの周波数で出力口にほとんどまたは全く達していないことを示す。共鳴は、MBRの誘電特性およびインピーダンスによって引き起こされ、周波数fstart〜fstopに亘って変化する。異なるリガンドは、異なる周波数点で共鳴する。さらに、いくつかのリガンドは、測定された帯域fstart〜fstopに亘って多重共鳴周波数点を示し得る。リガンドが1以上の独自発生共鳴点を有すると特性化されると、このデータを用いて、未知の溶液中のリガンドの存在を同定し得る。この特性化は、多極子モーメントおよび共鳴周波数の経験的データから、または理論的計算から確証し得る。さらに、二次結合事象の存在を検出する場合、このデータは、1以上の独自共鳴点での変化により、分析物がリガンドに結合される場合を示し得る。
【0180】
図5Cは、分子構造を検出または同定するために用い得る別の型の周波数応答を示す。この場合、周波数応答は一般に、ある程度の振幅変動に伴う単調な増大または低減傾向を示す。応答の勾配および/または振幅変異は、結合分子を検出し、および/または独自に特性化するために用い得る。したがって、既述の方法では、試験信号の位相の共鳴周波数点、勾配、傾向および変異は、分子結合事象を独自的に同定するために用い得る。周波数応答は、入力口852、出力口858または両口で測定されて、結合分子構造を独自的に同定し得る。
【0181】
図6は、本発明の周波数測定系の第二の例示的実施態様を示す。試験920下でのバイオアッセイデバイスは、中心導体921、キャビティ922aを有する一次絶縁体922、二次絶縁体923および外部導体924を有する同軸トポロジー(図5Gに図示)から成る。溶液926はキャビティ922aを占有する。もちろん、他の回路トポロジーの装置も同様に試験し得る。
【0182】
溶液926がキャビティ922aに付加されると、溶液926内の分子は、中心導体921に近接してMBR921aを形成する。測定中、信号源910は入射試験信号912を中心導体921に送り出す。MBR922aは入射試験信号912を変調し、反射試験信号932は、リガンドを同定するために用い得る独特の信号応答を提供する。例えば皮下針構造のような1口同軸形状を実現し得る。
【0183】
B.時間ドメイン測定系
図7は、本発明の時間ドメイン測定系1000の一実施態様を示す。系は、パルス源1002および試験回路入力1022に結合された検出器1004を含む。代替的実施態様では、さらに別のパルス源および検出器が出力口1028に結合されて、完全2口測定能力を提供する。あるいはさらに、系は、反射信号を受理するために信号検出器が信号経路に結合される1口試験系を含み得る。特定の実施態様では、時間ドメイン測定系は、時間ドメイン反射計、例えばモデル番号11801(Tektronix Corporation)で構成される。他の高周波数測定系、例えば透過および反射信号パルスに基づいた信号情報を提供する時間ドメイン測定方式を有するネットワーク分析器を、代替的に用い得る。
【0184】
時間ドメイン測定系では、入力試験信号1060は時間ドメインパルスから成り、その反射部分を長時間標示し得る。本実施態様では、入射パルス1060は、検定表面にぴったり結合された伝送線の部分に向かって送り出される。MBRの誘電特性のために、入射パルス1060の一部は検出器1004に向かって反射される。反射パルス1070は、MBRの誘電特性に特徴的な独特の形状および/または時間遅延を示し、これらは次に、リガンド、アンチリガンドおよび周囲溶液の誘電特性により大きく限定される。したがって、反射パルス1070のパルスの形状および遅延は、リガンドを特性化し、同定するために用い得る。時間ドメイン検定系は、別々に、または高周波数系と一緒に用いて、1以上の未知のリガンドを同定し得る。
【0185】
C.誘電緩和測定系
当業界で知られているように、リガンドの誘電緩和周波数は、電場が分子に適用された場合に、分子レベルの誘電特性が変化する速度である。リガンドの誘電特性を用いる場合、誘電緩和周波数は主に、各分子に独特の構造および結合幾何学により限定される。したがって、一旦測定されれば、リガンドの誘電緩和周波数を用いてそれを同定し得る。
【0186】
誘電緩和周波数は、リガンドが周波数全体で電力を吸収する速度を測定することにより定量し得る。図8は、この測定をおこなうための系1100の一実施態様である。測定系1100は、図7に示した時間ドメイン測定系1000と同様であり、パルス源1102および試験取付具入力1122に結合された検出器1104を含む。完全2口測定能力を提供するために、さらに別のパルス源および検出器を出力口1128に結合し得る。特定の実施態様では、時間ドメイン測定系は、時間ドメイン反射計、例えばモデル番号11801(Tektronix Corporation製造)で構成される。他の高周波数測定系、例えば透過および反射信号パルスに基づいた信号情報を提供する時間ドメイン測定方式を有するネットワーク分析器を、代替的に用い得る。
【0187】
入力試験信号1160はパルス群から成り、各群は2以上の入射パルスおよび異なるパルス間隔を有する。パルス群1162および1164は、結合表面にぴったり結合された伝送線の部分に向かって送り出される。パルス群1162が誘電緩和期間(緩和周波数の逆数)と実質的に透過の間隔を有する場合、MBRは続いて起こるパルスにおいて低エネルギーを連続的に吸収する。信号吸収の低減は、入力口1122または出力口1128で反射応答1170中で測定し得る。代替的測定量として、残存信号電力が、入力口1122または出力口1128で測定し得る。
【0188】
信号吸収の変化の速度および変化が起こるパルス間隔が次にプロットされ、未知の結合分子(単数または複数)を特性化し、同定するために用い得る。この系特性化は、別々に、または前記の時間および/または周波数ドメイン試験系と一緒に用い得る。
【0189】
前記の系のすべてにおいて、マイクロ波一体集積回路(Microwave Monolithic Integrated Circuits、MMIC)等のような技術を用いて、このような系はチップレベルに規模縮小し得ると当業者は容易に理解する。このような小形化系は、数百、数千または数万の化合物を同時に検出し、測定し得る高平行系に容易に拡張させ得る。結合事象それ自体により、例えば特徴的インピーダンスを、したがって透過および/または反射係数を変えることにより、またはこのような回路の帯域通過特性を変え、オン/オフゲートとしてこれを用いることにより、開閉される「論理的ゲート」を生じるために、これらの系を形造し得る。
【0190】
VII.チップ技法による検出系の組込み
A.総論
前記のバイオアッセイデバイスは、安価な、使い捨てチップ上に含入させ得る。小形化の容易性のために、そこに含入される数千または数万のアドレス可能なバイオアッセイを有する非常に小さいチップを調製し得る。さらに下記で詳細に説明するように、核酸のアレイを含有するチップは、発現モニタリング、配列検査、SNPの検出および同定、そしてde novoシーケンシング用途に、ならびに種々のその他の診断、検出および同定目的に用い得る。核酸分析におけるマイクロアレイの使用に関する再検討に関しては、例えば、「Nature Genetics Supplement」21:1−60(1999)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)における種々の著者による再検討文献を参照されたい。
【0191】
チップは、種々の安価な物質、例えばプラスチック、ガラス支持体から製造し得る。チップは、種々の形状およびサイズを有し、結合層は、図1D〜1Fに関連して前記したような構造で変わり得る。
【0192】
核酸を分析するためにチップを用いる一般的方法では、試料中に含有される標的核酸は一般に、最も一般的には蛍光標識で標識される必要がある。本発明は、結合事象を伝送信号の変調により直接検出し得るため、標的核酸を標識する必要性およびこのような標識化に関連した問題を排除する。
【0193】
B.一般的設計
本発明の方法に用いられるチップは、典型的には多重素子アレイを含み、この場合、各素子および部位は、核酸プローブまたは、さらに典型的には複数のプローブを含む。アレイの各素子は、伝送線および素子を処理するための適切な回路のような信号経路を含む。各素子は、ハイブリダイゼーション条件下で標的核酸を潜在的に含有する溶液と接触される。ハイブリダイゼーションが起こるのに十分な期間を提供後、プローブに結合されていない分子を除去するために素子は洗浄される。しかしながら、以下でさらに詳細に説明するように、本発明の検出系の感度および異なる結合事象間を識別するその能力が示されれば、洗浄周期はいくつかの方法では必要でない。
【0194】
アレイは、素子または部位の数で、ならびに任意の所定の素子内のプローブの数に関して、広範に変わり得る。素子の数に関するのと同様に、所望の素子の数は、適用の種類によって変わり得る。したがって、例えば配列検査または診断的用途における素子の数は、典型的にはそれに関して試験される異なる核酸の数が相対的に限定されるために、相対的に少ないことがある。それゆえ、アレイは、一配列だけが検定される場合には、単一素子から成り得る。多数の配列が検査されるか、またはさらに別の余分の素子(即ちそこに位置するプローブが別の素子と同一配列を有する素子)が対照として用いられる場合には、さらに別の素子が存在し得る。発現分析研究において、異なる素子の数は、多数のより多くの核酸の存在がプローブされるため、典型的にはシーケンシング検査用途の場合よりかなり多い。いくつかの実施態様では、多数の異なる遺伝子に関してプローブするために全長cDNAを利用するのが望ましいために、シーケンシング用途における素子の数は、一般的にはさらに多いことさえあり、各遺伝子に関するcDNAは別々の素子内に置かれる。このような実施態様では、素子の数は100,000素子までであり得る。それゆえ、概して素子の数は、1〜100,000までの範囲であり得る。特に、いくつかの実施態様は、10、10、10、10または10素子またはその間の任意の数を含み得る。
【0195】
アレイ内の核酸プローブの数または密度も、用途および信号感度要件によって変わる。いくつかの方法では、例えば標的配列が他の配列よりかなり余分に、あるいは相対的に少数の標的配列を含有する試料中に存在する場合、単一プローブのみが素子に結合される。例えば、当該ハイブリダイゼーション複合体に関する特徴的ピークが良好に限定され、スペクトル走査において他の隣接信号と重複しない場合にも、単一プローブを用い得る。種々のその他の情況においても同様に、単一プローブを用い得る。より複雑な複合体試料およびより低感度を包含する用途に関しては、素子当たりのプローブの数は、1018プローブ/cmまでであり得る。それゆえ、プローブ密度は典型的には1プローブ/素子から10、10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017または1018プローブ/cm、またはその間の任意の密度まで変わる。
【0196】
プローブ長は、アレイ構造の別の変数である。合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるアレイは、非常に短く、例えば5、10、20、30、40、50、100または2〜3百塩基対長、あるいはその間の任意の数の塩基対であり得る。cDNAプローブも、遺伝子のセグメントから調製される場合は、相対的に短い。しかしながらプローブは、特に全長cDNAクローンに関しては、10塩基対までであり得る。それゆえ、プローブは典型的には5、10、10、10、10、10または10塩基対長(その間のすべてのサイズ範囲を含む)である。
【0197】
C.アレイ素子のアドレス処理
一般的には、種々の素子に走行する信号経路の各々に信号を伝搬し、ハイブリダイゼーション複合体が生成した素子でのハイブリダイゼーション複合体の生成に起因する信号を検出することにより、アレイの各素子を尋問することができる。いくつかの場合、信号検出は、核酸プローブが1つだけ信号経路に結合される場合に信号経路に沿って信号を伝送し、そしてベースライン信号を測定することを包含する。他の場合には、緩衝化溶液のみが信号経路に接触する場合に、ベースライン信号が得られる。プローブが試料と接触し、アレイが任意にすすがれた後、別の信号が伝送線に伝搬されて、測定信号がベースライン信号と比較され、信号間の差が得られる。ある経路は試験素子に延び、別の経路はプローブおよび/または標的を欠いた対照素子に走行する多数の信号経路に同時に信号を伝送することもできる。種々の信号経路に伝搬される信号は、同時に送り出されるかまたは連続的に、即ち異なる時間に送り出される。
【0198】
アドレス処理の的確な性質は用途によっているが、しかし一般的戦略の一例は以下の通りである。変数Keq、kおよびω=(ω1、ω2、ω3…・・)によりベクトル空間が限定されるが、この場合、これらの変数は平衡定数、動力学的定数、ならびに誘電特性がプローブされるN周波数の基本の組を表す。したがってすべての結合事象をマッピングし得るN+2次元空間が限定される。当該結合事象のスペクトルを表す参照分子(例えば核酸)の一群、例えば異なる配列を有する核酸の一群がその後選択される。これらの参照分子は、次に、チップ上のアドレス可能点に結合される。特定の種の分子または種の群(例えば標的核酸配列)がチップに導入され、次に、前記のベクトル空間中の点の各々の値(またはその亜組)に関して、各アドレスがプローブされる。次に各種は、ベクトル空間中のアドレスにより表し得る。系の複雑性は、ベクトル空間のサイズ、および表面上の異なる固定リガンドの総数によっている。
【0199】
前記の一例として、4つの異なる周波数で分析され、さらにこれらの周波数の各々が10の異なる振幅に分けられるる2つの異なる核酸プローブで構成される簡単な系を考える。このような系は、1億(例えば一次多型に関して10、そして例えば二次多型に関して10)の考え得るアドレスを有する。系中に置かれる未知のものは,[(1,5,3,7)(4,8,6,7)]型の独自のアドレスにより表され、この場合、最初の4つの数は4つの選定周波数での一次プローブのスペクトル応答を、そして後者4つの数は、4つの選定周波数での二次プローブのスペクトル応答を表す。したがって、ちょうど2つのプローブと4つの周波数を用いて、1億の独特のアドレスを生成し得る。
【0200】
D.検出
種々の部位でのハイブリダイゼーションの結果として生成される信号は、種々の素子に関する信号を保存するコンピューターを用いて追跡し得る。この方法で、素子がハイブリダイゼーション複合体を含むことを同定し得る。しばしば信号測定は、周波数または波長の範囲を走査することを包含する。前記のように、信号は一般に、MHzから数百ギガヘルツレベルまでの範囲である。いくつかの実施態様では、信号はマイクロ波である。ある場合には、例えば信号は1GHzから21 GHzまで走査し得る。
【0201】
変調信号のための検出器は、所定の用途に関して適切であるように、特定のリガンドまたは分析物の存在がゲートの開閉作用を有する「論理的ゲート」のバージョンを含み得る。このようなゲートは、結合事象を、オフおよびオン、1または0等に対応する2つの考え得る状態のうちの1つに割当て得る電磁信号に翻訳する任意の数の方法で実現し得る。2つの状態は、結合および非結合に対応する共鳴キャビティまたは導波管の異なる周波数、あるいは結合および非結合に対応する伝送線または導波管における振幅変化、あるいは特定回路の帯域通過における変化等であり得る。
【0202】
E.特定アレイ実施態様
図11は、本発明のNxMアレイ試験系1500の考え得る一実施態様を示す。試験系は、下記でさらに説明する試験取付具1600、1xN入力スイッチ1530、測定系1540、Mx1出力スイッチ1550およびコンピューター1560を含む。測定系1540は、入力試験ケーブル1524aおよび1xN入植スイッチ1530を介して試験取付具1600に試験信号を伝達する。試験信号は、その後、Mx1出力スイッチ1550および出力試験ケーブル1524bを介して試験取付具から受理される。コンピューター1560は、制御バス1550を介して1xN入力スイッチ1530、測定系1540およびMx1出力スイッチ1550を制御する。
【0203】
一実施態様では、測定系1540は、S−パラメーター試験モジュールモデル番号8516A、周波数合成機(図示せず)モデル番号8341Bおよびベクトルネットワーク分析器モデル番号8510B(これらはすべて、Hewlett Packard Company, Palo Alto, California(www.hp.com)製である)を含む。この実施態様では、測定系1540は、45 MHz〜40 GHzの周波数間の測定能力を提供する。代替的実施態様では、測定系1540は、5 Hz〜500 MHz間の測定能力を提供するモデル番号HP8751Aネットワーク分析器から成る。さらに別の実施態様では、測定系は、33 GHz〜110 GHz間の測定能力を提供するモデル番号HP85106Dから成る(ともにHewlett Packard Company製)。その他の測定系、例えばスカラーネットワーク分析器、時間ドメイン反射計、その他の同様の測定系も、MBRの誘電特性に関与する試験信号の変化を検出するために用い得る。
【0204】
試験ケーブル1524は、所望の周波数での試験信号の伝搬を支持する。一実施態様では、試験ケーブルは、モデル番号6ZPhaseFlex(商標)マイクロ波試験ケーブル(W.L. Gore and Associates, Inc., Newark, Delaware(www.gore.com)製)から成る。制御バス1550は、試験系およびコンピューター1560間の伝達を提供し、図示実施態様では、標準バス(GPIB)から成る。代替的実施態様では、測定系1540およびコンピューター1560は、単一自動測定ユニット内に組み込み得る。
【0205】
コンピューター1560は測定系1540を制御して、1以上の周波数、出力電力レベル、信号形状、位相オフセットまたはその他の測定設定で試験信号を生成する。好ましい実施態様では、コンピューター1560はa+450 MHzマイクロプロセッサー、例えばIntel Corporation製(Santa Clara, California(www.intel.com))のものを含む。試験系制御、データ獲得および分析は、グラフプログラミングソフトウェアツール、例えばLab VIEW(登録商標)(National Instruments Corporation of Austin, Texas(www.natinst.com)製)を用いて実施し得る。
【0206】
あるいはまたはさらに、測定系1540は、時間ドメイン反射計(TDR)系、例えば前記のネットワーク分析器を用いて任意に入手可能なもの、または組み入れられた特許出願09/243,194(「Method and Apparatus for Detecting Molecular Binding Events」)に記載されたものを含み得る。本質的に、TDR系は、試験中のユニットに向けて信号パルスを伝送する。戻り信号(試験中のユニットから反射されたかまたはそれを介して伝送された)は、試験中のユニットについての情報を確証するために分析し得る。特に本実施態様では、MBRの誘電特性は信号パルスを変調し、それによりそこでの分子結合事象の検出および同定を可能にする。
【0207】
TDR測定は、前記の系を用いて取付具レベルで、あるいはマイクロ波一体回路(MMIC)技術の1以上の標準技法を用いてバイオアッセイデバイスレベルで成し得る。TDR測定がデバイスレベルで成される場合、時間ドメイン試験信号は、バイオアッセイデバイスにぴったり近接して生成される。この信号は次に、MMIC技術に用いられる標準導電性形状を介して信号経路に沿ってバイオアッセイ素子に伝搬される。分子結合領域は時間ドメイン試験信号を変調し、変調信号は次に回収されて、分析される。
【0208】
1xN入力スイッチ1530は、入力試験ケーブル1524aからN試験取付具信号入力の1つに試験信号を発送する。Mx1出力スイッチ1550は、M試験取付具出力の1つから出力試験ケーブルに試験信号を発送する。入力および出力スイッチ1530および1550は、任意のスイッチ転換または多重送信手段から成る。例えば、入力および出力スイッチ1530および1550は、低周波数スイッチ(DC〜2 GHz)、例えばAmplifonix, Inc.(Philadelphia, Pennsylvania(www.amplironix.com))製のものから成る。高周波数(2〜18 GHz)で用いるためのスイッチ、例えばGeneral Microwave Corporation(Amityville, New York(www.generalmicrowave.com))製のものは、代替的に用い得る。バイオアッセイデバイスと入力および出力スイッチ1530および1550との間の接続は、ケーブル、ワイヤ結合または操作の試験周波数に適したその他の慣用的相互連結手段を用いて成し得る。
【0209】
代替的実施態様では、入力および出力スイッチ1530および1550,ならびにバイオアッセイアレイは一体集積回路を形成する。例えば、バイオアッセイアレイがGaAs半導体処理技術を用いて二次加工される場合、入力および出力スイッチ1530および1550は、バイオアッセイアレイに結合される積分的形成PINダイオードから成り得る。さらにあるいは、入力および出力スイッチ1530および1550は、入力および出力スイッチ1530および1550がバイオアッセイアレイに(ワイヤまたはリボン結合により)接続される別個の構成成分である集積アセンブリーを形成し得る。代替的実施態様はともに、相互連結構造が小形化されるかまたは排除され、それにより、それに関連したシグナル損失を低減または排除するという利点を提供する。
【0210】
説明したように、バイオアッセイアレイは、半導体処理技法を用いて、ウエファー形態で二次加工し得る。この実施態様では、アレイ試験系1500は、ウエファープローブ試験ステーション、例えばCascade Microtech, Inc.(Beaverton, Oregon(www.cascademicrotech.com))製のものから成り、これは前記の入力および出力スイッチ1530および1550、ならびにコンピューター1560を含むかまたはそれに結合される。ウエファープローブステーションは、1以上のプローブカードを利用し、その各々は、バイオアッセイアレイとの多数の低損失、低VSWR信号相互連結を提供し得る。
【0211】
プローブカード(単数または複数)は、それぞれ遠隔定位入力および/または出力スイッチ1530および1550とのNおよび/またはM信号相互連結を提供するために用い得る。あるいは、入力および/または出力スイッチ1530および1550は、バイオアッセイアレイを用いて一体的に二次加工し得るが、この場合、プローブカード(単数または複数)は、測定系1540への単一入力および/または出力信号遷移を提供する。この後者の実施態様では、プローブカード(単数または複数)は、スイッチ制御電圧を一体的形成スイッチに提供するためのプローブを含む。
【0212】
あるいは、またはさらに、測定系1540は、時間ドメイン反射計(TDR)系、例えば前記のネットワーク分析器を用いて任意に入手可能なもの、または組み入れられた特許出願09/243,194(「Method and Apparatus for Detecting Molecular Binding Events」)に記載されたものを含み得る。
【0213】
2.アレイ試験取付具
図12Aは、本発明のNxMアレイ試験取付具1600の考え得る一実施態様の側面図を示す。試験取付具1600は、上部プレート1602、底部プレート1604、ならびに前記の反応容器1610、バイオアッセイデバイス1700(下記の13Aでさらに説明する)および底部スペーサー1630素子を保持する試料キャビティ1640を包含する。NxMアレイ試験取付具実施態様では、試料キャビティ1640の寸法、ならびに対応して反応容器1610および底部スペーサー1630の寸法は、バイオアッセイデバイス1700を収容するように設計され、これらはバイオアッセイデバイスより大きいかまたは小さい。各アレイ素子は、各アレイ素子の信号経路との電磁的伝達において適用される試料の一部を保持するために、信号経路全体に嵌入領域を形成するための小さい一体的に置かれた構造を含む。
【0214】
図12Bは、NxMアレイ試験取付具1600の端面図を示す。試験取付具1600は、N入力接合具1660a〜1660aおよびM出力接合具1660b〜1660bを含む。試験取付具1600は、取付具のN接合具1660a〜1660aおよびバイオアッセイのN入力間の信号遷移を提供するN入力伝送線(図示せず)も含む。試験取付具1600はさらに、バイオアッセイのM出力および取付具のM出力接合具1660b〜1660b間の遷移を提供するM出力伝送線(図示せず)を含む。入力および出力伝送線は、絶縁導電性ワイヤ、マイクロストリップ、識別線、誘電性支持体上に置かれる共平面導波管伝送線またはその他の慣用的に既知の信号経路構造物として実現し得る。伝導線の構造物の選択は、試験周波数帯域ならびにバイオアッセイデバイスの入力および出力口密度により影響される。
【0215】
3.バイオアッセイアレイ
図13Aは、本発明の集積バイオアッセイアレイ1700の一実施態様を示す。集積アレイ1700は、測定系1540の信号源を介して、試験信号を提供される。アレイ1700は、集積1xN入力スイッチおよびMx1出力スイッチを含み、これらは半導体二次加工過程中に一体的に形成される。入力の数は出力の数と同一であり、この場合、M=Nであり、入力および出力の数は異なり得る。
【0216】
1xN入力スイッチは、進入試験信号を所望のアレイ素子に発送する。アレイ素子中のMBRは、MBRを作り上げる分子結合事象の誘電特性により試験信号を変調する。Mx1出力スイッチ1550は、測定系1540の検出器に変調試験信号を発送する。試験系1540の分析器は、入力および変調試験信号を比較して、測定信号応答を確定する。各アレイ素子は2口デバイスとして図示されているが、しかし1口または多口アレイ素子を代替的に用い得ると当業者は理解する。
【0217】
前記のように、アレイ1700ならびに入力および出力スイッチは別個の構成成分としてまたはウエファー形態で二次加工され、そして用途によって種々の程度に集積し得る。図示実施態様では、アレイ1700ならびに入力および出力スイッチは半導体ウエファー上に一体的に形成される。別の実施態様では、入力および出力スイッチは、アレイ1700から離れて形成され、ワイヤまたはリボン結合により接続される。さらに別の実施態様では、入力および出力スイッチ1530および1550ならびにアレイ1700は各々別個のユニットである。他の配置も考え得ると当業者は理解する。
【0218】
図13Bは、一連の連結、電気的開閉場作用トランジスター(FET)1710として示されたアレイ素子の一実施態様を示す。FET1710は、GaAs処理を用いて二次加工された金属半導体場作用トランジスター(MESFET)であり得る。その他のトランジスター形状、例えば、少数の名を挙げると、高電子移動度トランジスター(HEMT)、ヘテロ構造FET、ホモジニアスまたはヘテロ接合双極子トランジスターまたはPN接合デバイス、例えばPINダイオードも考えられる。その他の能動的または受動的アレイ素子は、同様にこれらに対して代替的にまたはそれに加えて用い得る。
【0219】
図13Bの実施態様では、FET1710の供給源およびドレイン末端1712および1714は、それぞれ入力および出力口1711および1715として用いられる。試料は、MBR1716が供給源およびドレイン末端1712および1714間に平行経路を提供するよう、FET1710全体に適用される。FET1710は、閉じられた場合に、それが、MBR1716を通る抵抗よりはるかに高い供給源抵抗(Rds)のためのドレインを提示するよう設計される。この場合、信号経路は、試験信号を変調するMBR1716を通って伝搬する。変調試験信号は回収され(DC遮断コンデンサーによりDCバイアスを除去するために)、入力試験信号と比較されて、MBR1716内で起こる分子結合事象を検出および/または同定する。FET1710が活性化されると、それは、MBR1716の抵抗と比較して非常に低いRdsを提供する。この場合、MBR1716は信号経路から有効にスイッチされて、信号は、それにより大きく影響されることなく伝搬する。したがって、スイッチを単に開閉することにより、アレイ素子はアドレスさせ得る。
【0220】
図13Cは、光学的にスイッチされるアレイ素子として用いられるFETのさらに別の実施態様を示す。FET1720は、図13Bに記載したFET1710と同様に接続され、感光性トランジスター、ダイオードまたはその他の感光性デバイスから成る。ゲート接合部1722は、例えば通常日光、レーザー、発光ダイオード(LED)またはFET1720が高感受性を有する波長を有するその他の供給源であり得る。入射光はFET1720を活性化して、MBR1722をスイッチアウトする。FET1720が脱活されると、試験信号はMBR1722を通って伝搬し、それにより変調される。変調試験信号は回収され(DC遮断コンデンサによる。図示せず)、分析されてその存在を確定し、および/またはMBR1722内の分子結合事象を同定する。
【0221】
図13Dは、2以上のFETが連続接続される図13Bおよび13Cの拡大を示す。アレイ1750は一次試験経路1753を含み、これに沿ってアドレス可能スイッチ1753aおよび1753cが結合される。一実施態様では、アドレス可能スイッチは、前記のように電気的または光学的制御MESFETである。アレイ経路1753は、試料領域1753bおよび1753dをさらに含み、その各々は、対応するアドレス可能スイッチ1753aおよび1753cに平行信号経路を提供する。
【0222】
前記のように、アドレス可能スイッチ1753aおよび1753cは、試料領域1753bおよび1753dをスイッチ開閉するよう操作する。したがって、特定の列が伝送経路中に作られ、この場合、単一検定部位がインピーダンス不適正として出現する。各検定部位は、所望により、回路中に切り換えられるかまたは回路から外に切り換えられる。インピーダンス不適正の性質は、MBRにおける結合およびその他の変化の一関数である。さらに別の信号経路、例えば信号経路1754はアレイ中に含まれ、他の低損失スイッチ(図示せず)を用いて他の経路にクロスストラップされて(cross−strapped)、試験信号を信号経路1753および1754間に伝搬させる。入力および出力スイッチ1752および1755は、アレイ1750への/からの試験信号を注入し、回収するために用いられる。当業者が理解するように、既述のアレイは任意数のNxM素子に伸びて、二次元アレイデバイスを提供する。
【0223】
図13Eは、図13Dに示したアレイの回路等価モデルを示す。スイッチインピーダンスZは、信号経路Zoの参照インピーダンスと密接にマッチングするよう設計され、検定インピーダンスZIJは、スイッチまたは参照インピーダンスと大いに異なるよう設計される。したがって、検定インピーダンスの小変化は、任意の所定の列の電気的特性を支配し、したがって容易に検出可能である。インピーダンスに関する的確な値は、特定アレイに関する設計判定規準によっているが、しかしロード(検出器)への電力送達に関する最大効率が整合インピーダンス設計を用いて得られ、参照インピーダンスがしばしば50Ωであるとみなされるような工学処理適用のある種の一般原理が当てはまる。
【0224】
代替的実施態様では、各アレイ素子は、ゲート化の常態によって、2つの考え得る状態のうちの1つを占有し得る論理的ゲートから成る。一例として、ゲート化の条件は、特定の結合事象が起きたか否かであり得る。このような条件は、デバイス表面での核酸物質の特定の捕獲プローブとのハイブリダイゼーション、あるいは特定の薬剤−応答相互作用であり得る。あらゆる場合に、MBRにおける結合事象または構造的変化がゲート化の引き金となるよう、デバイスは工学処理される。本質的に、任意の回路パラメーターの変調はゲート化を誘導し得る。必要なすべては、回路パラメーターが変調されていたか否かに関して決定する代わりに、必要なハードウェアおよびソフトウェアを有することである。
【0225】
一例として、共鳴構造のような所定の系の特徴的周波数をモニタリングし得る。特定の結合事象の結果としてのこの周波数の移動は、理論的状態を信号する変調として役立ち得る。結合の一関数として変わる任意のパラメーターは、論理的ゲートを誘導するために用い得る。このようなパラメーターとしては、周波数、電圧、電流、電力、位相、遅延、インピーダンス、リアクタンス、アドミッタンス、コンダクタンス、抵抗、キャパシタンス、インダクタンスまたはその他のパラメーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0226】
図13Fは、二次元バイオアッセイアレイ1770の一実施態様を示す。図示したように、アレイ1770は、入力/出力試験信号に関する一次入力/出力(I/O)軸1772および二次I/O軸1774を含む。
【0227】
アレイは、適切な単数または複数の周波数を生成し、検出し、次に前記のような口を通して多重変換装置により検定アレイにおよびアレイからそれを伝達し得る慣用的外部診断ハードウェアとインターフェースする。このような外部支持系は、任意数の電磁源、例えばベクトルおよびネットワーク分析器、TDR分析器のような時間ドメインデバイスおよびその他のパルス化技術で構成され、ベクトルおよびネットワーク分析器を含めた本明細書中に記載した検出図のいずれかを利用し、標準および非標準多重変換技法により、任意数の周知の技法を用いて信号を検定アレイにおよびアレイから送達し得る。
【0228】
総称的に、このようなチップは、標準半導体チップアプローチを用いて二次加工し得る。このような形状は1口フォーマット、2口フォーマットに用い得るし、あるいは2口より多くを利用し得ると当業者は容易に理解する。
【0229】
生電気界面領域は、所望の試験周波数での電磁信号の伝搬を支持するよう設計された信号経路から成る。多数の形状が可能であり、一例は、 DCおよび110 GHz間で操作可能なスパッタ金伝送線である。別の実施態様では、信号経路は、MBRそれ自体のような誘電性媒質から成る。この実施態様では、信号経路はDC電圧および電流を遮断するが、しかしそうでなければ、例えば周波数1 MHz、5 MHz、10 MHz、20 MHz、45 MHz、80 MHz、100 MHz、250 MHz、500 MHz、750 MHz、1 GHz、2.5 GHz、5 GHz、7.5GHz、10 GHz、12 GHz、18 GHz、20 GHz、22 GHz、24 GHz、26 GHz、30 GHz、33 GHz、40 GHz、44 GHz、50 GHz、80 GHz、96 GHz、100 GHz、500 GHz、1000 GHzまたはその間の範囲の周波数で発生する所望の試験信号の伝搬を支持する。したがって、信号経路は、当業界で既知の高周波数回路設計技法を用いて設計される。このような設計技法としては、信号経路を配線構造にインピーダンス整合し、信号経路の挿入損失を最小限にし、そして信号経路の電圧定在波比(VSWR)を最小限にすることを含む。本発明の好ましい実施態様では、信号経路およびMBRは、非直交性配向で配向される。
【0230】
本発明は、信号経路に取り付けられる予測サイズまたは構造の分子の検出に限定されない。MBRは、信号経路に取り付けられるかまたはそれから分離されるがしかし結合される1、2、3、4、5、10、20、30、50、100、1000以上のモル長から成り得る。さらにMBRは、多層の同種分子、単一であるがしかし異種分子の層、または多異種分子層から成り得る。
【0231】
本発明の検定に関するさらに別の情報は、代理人処理予定番号019501−000500を有する「Test Systems and Sensors for Detecting Molecular Binding Events」という表題の米国特許出願および代理人処理予定番号019501−000600を有する「Methods of Nucleic Acid Analysis」という表題の同時係属中且つ共通して所有される米国特許出願(これらはともに、本明細書と同時に提出される)に記載されており、この出願は、全目的に関してこれらの記載内容が参照により本明細書中に含まれる。
【0232】
VIII.プローブアレイの合成
本発明により提供されたものと同様のハイブリダイゼーション法のための核酸アレイは、2つの一般的方法で調製し得る。一アプローチは、ゲノムまたはcDNAライブラリーからのDNAをいくつかの種類の固体支持体、例えばガラスと結合することを包含する(例えば、Meier−Ewart 他「Nature」361:375−376(1993); Nguyen, C. 他「Genomics」29:207−216(1995);Zhao, N. 他「Gene」158:207−213(1995); Takahashi, N. 他「Gene」164:219−227(1995); Schena他「Science」270:467−470(1995); Southern 他「Nature Genetics Supplement」21:5−9(1999);およびCheung 他「Nature Genetics Supplement」21:15−19(1999)参照)(これらの記載内容は各々、全目的に関して参照により本明細書中に含まれる)。
【0233】
第二の一般的アプローチは、核酸プローブの合成を包含する。一方法は、標準的自動技法によるプローブの合成、ならびに次に支持体へのプローブの合成後結合を包含する(例えば、Beaucage「Tetrahedron Lett.」22:1859−1862(1981)およびNeedham−VanDevanter 他「Nucleic Acids Res.」12:6159−6168(1984)参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。第二の広範な範疇は、いわゆる「空間的特異的オリゴヌクレオチド合成アプローチ」である。この範疇に入る方法としてはさらに、光特異的オリゴヌクレオチド合成、ミクロリソグラフィー、インクジェットによる適用、特異的位置へのマイクロチャンネル沈着および物理的バリアによる金属イオン封鎖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0234】
核酸プローブを調製するための光特異的併合法は、米国特許第5,143,854号および第5,424,186号および第5,744,305号、PCT特許公告WO 90/15070号および92/10092号、Fodor 他「Science」251:767−777(1991)ならびにLipshutz他「Nature Genetics Supplement」21:20−24(1999)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。これらの方法は、固相化学合成および半導体ベースのリソグラフィーを組合せる。要するに、このような方法は、光化学的除去可能保護基で修飾されたリンカーの固体支持体との結合を用いて開始する。光は、フォトリソグラフィーマスクを通して、合成表面の特定領域に向けられて、化学的カップリングのためにそれらの領域を活性化する。5’末端に光易受容性保護基を含む最初の一連のヌクレオシドをアレイとともにインキュベートする。化学的カップリングが、先行過程で照明されていた部位で起こる。次に異なるマスクがチップと一列に並べられ、光がこのマスクを通して支持体の異なる領域に向けられ、化学的周期が反復される。マスクおよび化学過程の適切な選択により、オリゴヌクレオチドの限定収集物が、アレイの支持体上の予定位置で合成される。合成周期数を低減するためのマスクの設計のためのアルゴリズムは、米国特許第5,571,639号および米国特許第5,593,839号(Hubbel等)ならびにFodor 他「Science」251:767−777(1991)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0235】
本発明に用いるためのアレイを調製するために用い得るその他の組合せ方法は、インクジェットプリンターを用いて支持体上に試薬をスポットすることを包含する(EP 728,520(Pease等)、Blanchard他「Biosensors and Bioelectronics II」:687−690(1996)参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。アレイは、支持体のセルにモノマーを送達するために機械的強制流動路またはマイクロチャンネルを利用することによる組合せ化学を利用しても合成し得る(EP 624,059(Winkler等);WO 93/09668号および米国特許第5,885,837号参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。
【0236】
IX.伝送線への核酸プローブの結合
伝送線は一般に、所望の試験周波数範囲全体で適切な導電性を示し、そして前記のような良好な分子結合性を有する物質を用いて構築される。このような物質としては、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、銅、銀、亜鉛、スズ、アンチモン、ガリウム、カドミウム、クロム、マンガン、コバルト、イリジウム、プラチナ、水銀、チタン、アルミニウム、鉛、鉄、タングステン、ニッケル、タンタル、ルテニウム、オスミウム、タリウムまたはそれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。導電層は、結晶または非晶質構造であり得る半導性物質、例えば化学的に不純物を添加したまたは純粋な炭素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、イジウム−ガリウムヒ素、ガラス、石英、セラミック等から形成し得る。導電体は、ポリマー、例えばポリアセチレン、ポリチオフェン等からも生成させ得るが、これらに限定されない。
【0237】
概して核酸は、例えば静電的相互作用または共有結合により伝送線に結合させ得る。結合は、核酸および/または伝送線上の種々の官能基を利用して成し遂げられる。このような官能基の例としては、例えばチオール、カルボン酸、シラン、シロキサン、アミド、スクシンイミドおよびアシルクロリドが挙げられる。
【0238】
核酸は、伝導線に直接結合させ得るか、あるいは図1D〜1Fに関連して記載されたように、核酸は1以上のリンカーを介して結合させ得る。リンカーは、生物学的結合相手(例えばリガンドまたはアンチリガンド)を下層にある(例えば装置またはデバイス)表面に連結するために用い得る分子である。リンカーは、核酸および伝送線と共有結合を形成し得る。伝送線の表面上の基と反応し得る1つの官能基、ならびに核酸と反応性の別の基を有する二官能性リンカーが、所望の共役体を生成するために用い得る。種々の金属、ガラスおよびプラスチック支持体への種々の生物学的分子の結合のための多数の手法およびリンカー分子が、当業界で既知である(例えば、欧州特許出願第188,256号、米国特許第4,671,958号、第4,659,839号、第4,414,148号、第4,699,784号、第4,680,338号、第4,569,789号および第4,589,071号、ならびにBorlinghaus 他「Cancer Res.」47:4071−4075(1987)参照)。核酸とともに用い得るリンカーの例としては、ポリエチレングリコール、チオール、機能性アルカン、ペプチドおよびその他の核酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
一実施態様では、伝送線は金であり、核酸は、それに結合されたチオール基を有する核酸により伝送線に結合される(チオール化核酸の調製は、James D.Watson 他「Recombinant DNA」2版、Scientific American Books, NY 1992(これらの各々の記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている)。金伝送線を二次加工するための一方法を以下に示す。支持体物質、例えばガラスまたはその他の安価な、相対的に平滑な物質が下層の物理的構造として用いられる。この物質の上部に、チタンの薄層(10〜100オングストローム)を、熱蒸発、スパッタリング、化学蒸着、またはその他の手段により蒸着する。チタンは、金および支持体間の接着剤層として作用する。チタン蒸着後、金(10〜10000オングストローム)を、熱蒸着、スパッタリング、化学蒸着等の方法により蒸着させる。
【0240】
ジスルフィド末端を有する誘導化核酸が金線に結合される。核酸上のジスルフィド官能基は使用前にジチオトレイトールで還元され、あるいは核酸はジスルフィドにより直接結合し得る。核酸(チオールに還元されるか、またはジスルフィドとして)は、緩衝溶液中に調製される。結合は、例えば伝送線を溶液中に浸漬し、伝送線全体に溶液を流動させるか、または溶液を伝送線上にしみ込ませる。伝送線はその後洗浄されて、任意の非結合物質を除去され、次にハイブリダイゼーション実験に用いるために用意される。
【0241】
他の場合には、伝送線はインジウムスズ酸化物から製造され、シラン化核酸(シラン化核酸の調製は、例えば、James D.Watson 他「Recombinant DNA」2版、Scientific American Books, NY 1992に記載されている)を用いて核酸に結合される。インジウムスズ酸化物(ITO)伝送線は、スパッタリング小室中でスズ混入インジウムをスパッタリングすることにより調製し得る。支持体物質としては、例えばガラス、プラスチックまたはケイ素が挙げられる。その結果生じるITO二次加工支持体は次に、典型的には400℃の炉中で数時間焼き固められて、望ましい場合は、高導電性を誘導する。シラン化核酸は、緩衝液中で調製され、次に、例えば伝送線をDNA溶液中に浸漬し、セル中の伝送線全体に緩衝液を流動させるか、または伝送線上に溶液をしみ込ませることにより、伝送線と接触させられる。次に二次加工生成物を蒸留水で洗浄し、80〜90℃で60〜120分間加熱する。その結果生じた伝送線は次に、使用のために用意される。
【0242】
X.標的核酸
A.総論
標的配列は一般に、既知の配列、またはその変異体または部分的に既知の参照配列である。しかしながら、いくつかの場合には、例えばde novo配列分析では、標的核酸の配列は未知である。標的配列は、しばしば、遺伝子または遺伝子の一部をコードする。しばしば標的配列は、1以上の既知の多型部位を含有する。標的配列の機能は、既知であり得るし、既知でないこともある。
【0243】
標的核酸は、ゲノム、RNAまたはcDNAであり得る。ゲノムDNA試料は、通常は、当該領域に側面を接するプライマーを用いて、適用前にアレイに増幅される。ゲノムDNAは、事実上あらゆる組織供給源(純赤血球以外)から得られる。例えば便利な組織試料としては、全血、血清、唾液、涙液、尿、糞便物質、汗、頬、皮膚および毛髪が挙げられる。
【0244】
いくつかの場合には、標的配列を増幅して、検出に役立てるのが有用である。しかしながら、本発明の方法は他の核酸検出方法より高感度で、バックグラウンドからの妨害を受けないため、いくつかの場合には、当該配列を増幅すること、あるいは配列が増幅されねばならない程度を少なくとも低減することが可能である。
【0245】
試料が得られた個体が多型部位でホモ接合性である場合、多型部位を含有するゲノムDNAの増幅は単一種の標的核酸を生成し、個体がヘテロ接合性である場合には2種の標的分子を生成する。
【0246】
RNA試料はしばしば、増幅を施される。この場合、増幅は典型的には逆転写により進行される。全発現mRNAの増幅は、WO 96/14839号およびWO 97/01603号に記載されたように実施し得る。二倍体試料からのRNA試料の増幅は、試料が得られた個体が発現RNA内で生じる多型部位でヘテロ接合性である場合には、2種の標的分子を生成し得る。
【0247】
増幅のPCR法は、以下に記載されている:「Principles and Applications for DNA Amplification」(H.A. Erlich編、Freeman Press, NY, NY, 1992);「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」(Innis他編、Academic Press, San Diego, CA, 1990); Mattila 他「Nucleic Acids Res.」19, 4967(1991); Eckert 他「PCR Methods and Applications」1, 17(1991);「PCR」(McPherson他編、IRL Press, Oxford); および米国特許第4,683,202号(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。標的試料中の核酸は、通常は、増幅ミックス中に1以上の標識化ヌクレオチドを含入することにより、増幅の途中で標識される。標識は、、例えば末端標識により、増幅後に増幅生成物に結合させ得る。増幅生成物は、増幅反応に用いられる酵素および基質によって、RNAまたはDNAであり得る。
【0248】
その他の適切な増幅方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace「Genomics」4, 560(1989), Landegren 他、「Science」241, 1077(1988)参照)、転写増幅(Kwoh 他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」86, 1173(1989)), および自己持続配列複製(Guatelli 他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」87, 1874(1990))ならびに核酸ベースの配列増幅(NASBA)が挙げられる。後者2つの増幅方法は、等温転写に基づいた等温反応を包含し、これは一本鎖RNA(ssRNA)および二本鎖DNA(dsDNA)を増幅生成物としてそれぞれ約30または100対1の比で生じる。
【0249】
XI.無標識分析
本発明の検出系を用いて、結合事象は、標識を用いずに検出し得る。これは、プローブおよび標的間のハイブリダイゼーションに同様に言えることである。ほぼすべての一般的ハイブリダイゼーション法は、プローブが標的とハイブリダイズしたことを同定する方法として標識の使用を要する。既存の方法に用いられる標識の種類は種々であるが、しばしば放射性標識または蛍光標識を含む。本発明の方法は直接検出を包含するため、実験の実行前に標識化核酸を調製する必要がなく、したがって手法を簡素化し、経費を低減し得る。標識を用いないことは、ハイブリダイゼーション過程を妨害し得る標識の存在により引き起こされる立体障害もない。さらに、ほとんどの他の方法と違って、本明細書中に記載した方法は、非結合標識化核酸に起因するバックグラウンド(例えば、非結合核酸に起因するバックグラウンド蛍光)に対して非感受性である。これは、本発明の方法が実時間でハイブリダイゼーション過程をモニタリングし、それにより動力学的試験に着手させることを意味する。標識は本発明に必要でないが、しかし検出系の性質はそれらの使用を排除しない。
【0250】
XII.ハイブリダイゼーションフィンガープリントまたはプロフィールを利用する分析
A.フィンガープリントまたはプロフィールの獲得
本発明の検出系を用いて、ある種のリガンド/アンチリガンド複合体に、またはある種類の結合相互作用に特徴的な信号を含むスペクトル走査を得ることができる。このような走査は、本明細書中ではプロフィールまたはフィンガープリントと呼ばれる。プロフィールは、必然的にあらゆる種類のリガンド/アンチリガンド複合体に関して得られる。このようなプロフィールは、核酸ハイブリダイゼーション複合体を試験する場合に特に有用である。以下で詳細に説明するように、プロフィールは、特定の複合体の生成を同定し、ある種の核酸の存在を検出し、そして異なる種類の結合相互作用間を識別するのに用い得る。
【0251】
それゆえ、本発明のある種の方法は、種々の種類のリガンド/アンチリガンド複合体、特に種々の種類のハイブリダイゼーション複合体に関するプロフィールまたはフィンガープリントを確定することを包含する。核酸研究という面は、このような過程は、典型的には電磁信号を、標的とハイブリダイズされるプローブが電磁的に結合される信号経路に伝送する。伝送信号とハイブリダイゼーション複合体の相互作用から生成された応答信号(透過および/または反射)は、周波数または波長としてモニタリングされ、所望の範囲に亘って走査されて、周波数または波長の一関数としての応答信号を示すスペクトルを得る。各ハイブリダイゼーション複合体は異なるスペクトルを生じるため、スペクトルはその特定の複合体に関するプロフィールまたはフィンガープリントとして役立ち得る。
【0252】
例えば、特定のハイブリダイゼーション複合体に独特であるスペクトル中の特定周波数でのある種のピークまたは信号を同定することができる。このような特徴的ピークをモニタリングすることにより、例えば相補的および不適正ハイブリダイゼーション複合体間を識別し、特定の複合体の量を定量し、そして動力学的試験を実行することができる。
【0253】
多数の異なるハイブリダイゼーション複合体を用いてこの分析を反復することにより、プロフィールまたはフィンガープリントのデータベースを蓄積し得る。これらのプロフィールを電子的貯蔵媒体中に保存することにより、実験中にプロフィールは迅速にアクセスされ、実験スペクトルと比較されて、列挙された分析の類別に役立つ。
【0254】
B.相補的および非相補的ハイブリダイゼーション複合体間の識別
既述のプロフィールは、相補的および不適正複合体間を識別するのに実用性を有する。概して、スペクトルは、プローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体から生成される信号を測定することにより、通常の方法で試験試料に関して得られる。その結果生じたスペクトルは次に、相補的信号または不適正信号の存在に関して検査される。相補的信号は、相補的配列を有する特定のプローブおよび特定の標的間の相補的複合体に特徴的なものである。同様に、不適正信号は、実質的に相補的であるが、しかし1以上の不適正を含む特異的プローブおよび特異的標的間に形成される不適正複合体に特徴的な信号である。相補的信号の存在は、プローブおよび標的間の複合体が相補的であることを示すが、一方、不適正信号は、プローブおよび標的が不適正複合体を形成することを示す。多数の異なる不適正に関するデータを含有するデータベースを用いて、いくつかの場合には、特定の不適正の存在を同定するだけでなく、どの種類の不適正がハイブリダイゼーション複合体中に存在するかも同定できる。即ち、不適正部位の塩基を同定できる。
【0255】
ハイブリダイゼーション複合体を分析するためにプロフィールを利用するある種の実施態様では、核酸プローブとハイブリダイゼーション複合体を形成できなかった非結合核酸を除去するために緊縮洗浄を実行する必要がない。既存の方法では、核酸プローブまたは核酸標的が、一般に後者が標識される。慣用的技法は、それらがハイブリダイゼーション複合体を直接検出できないという点で本発明の方法と異なるため、プローブがハイブリダイゼーション複合体を形成したことを同定するためには標識核酸が用いられねばならない。このような方法は、少なくとも2つの理由のために緊縮洗浄を必要とする。第一に、ハイブリダイズ化核酸と非ハイブリダイズ化核酸に起因する信号間を識別することができるように、非結合標識化核酸を除去する必要がある。第二に、一般的方法は相補的ハイブリダイゼーション複合体および不適正ハイブリダイゼーション複合体間を弁別できないため、洗浄は緊縮条件下で実施されねばならない。
【0256】
これに対比して、既述のプロフィールを用いると、結合核酸および非結合核酸間を弁別できるだけでなく、相補的および不適正ハイブリダイゼーション複合体間を識別できる。実際、下記の実施例IIでさらに説明するように、単一不適正間を識別することができる。いくつかの場合には、非結合分子のプローブを洗浄する必要もあり得る。しかしながら、このような場合でも、依然としてしばしば、洗浄の量を低減しおよび/または洗浄条件の緊縮を低減するためにハイブリダイゼーションプロフィールを用い、それにより分析における柔軟性をより大きくし得る。
【0257】
プロフィールの使用により緊縮洗浄を回避する能力は、標準技法の複雑な過程を回避することにより核酸分析を簡素化し、したがってより迅速で且つ原価効率的方式での分析の実行を可能にすることができるということを意味する。したがって、それは、均質検定としての、即ち分離過程が必要でない検定としてのある種の方法の実行を可能にする。プロフィールを用いて、異なるハイブリダイゼーション複合体に関する定量的測定もなし得る。
【0258】
XIII.定量分析
検出方法が標識を用いずに実施し得る(したがって、信号が実時間でモニタリングされる)、そしてある種の信号を特定のハイブリダイゼーション複合体と相関させ得る(即ち、ハイブリダイゼーションプロフィールを開発するために)という事実は、ある種の定量的分析の実施を可能にする。例えば、特定の複合体と相関することが以前に示されたスペクトル中のある種の信号が経時的に測定されて、ハイブリダイゼーションの速度に関する動力学的情報を得ることができる。測定は、例えば信号振幅または信号周波数のシフトを測定することを含み得る。その他の変化もモニタリングし得る。
【0259】
種々の信号の変化の速度を比較して、ハイブリダイゼーション過程に関する関連情報を得ることもできる。例えば、相補的ハイブリダイゼーション複合体は、不適正ハイブリダイゼーション複合体より迅速に生成する。したがって、スペクトル内の異なる信号の変化の速度の差を用いて、相補的および不適正ハイブリダイゼーション複合体間を弁別し得る。相補的信号および不適正信号をモニタリングすることにより、相補的複合体および不適正複合体に関するハイブリダイゼーション速度を比較することもできる。このような速度試験は、例えばハイブリダイゼーション複合体中の不適正の数を査定するために用い得る。
【0260】
XIV.発現分析
A.総論
本発明のある種の方法は、遺伝子発現レベルの分析を包含する。一般的には、発現分析は、1以上の試料中のmRNAレベルの検出および定量を包含する。発現分析は、種々の生物学的現象に対する重要な見解を提供する。細胞の発生および分化は、発現分析が特別な実用性を見出す一領域である。任意の所定の細胞において、すべてのコード化遺伝子の一分画のみが発現される。発現のレベルおよび時機は、細胞の発生、分化、機能および生理学を制御する。したがって、遺伝子発現のモニタリングは、これらの過程を分析するために用い得る。一例として、発現分析を利用して、異なる種類の組織の間の発現における差を査定し得る。発現試験は、加齢および表現型差に関する遺伝的基礎に対する重要な情報も提供し得る。
【0261】
発現分析は、種々の疾患の試験においても有益であり得る。例えば、遺伝子発現のパターンの複雑な変化に伴う事象であるため、発現分析を用いて癌の発生および進行を分析し得る。このような試験は、例えば、疾患組織および正常組織あるいは感染組織および正常組織における遺伝子発現の比較を包含し得る。発現分析は、その他の臨床的用途、例えば、発現に及ぼす種々の薬剤治療の作用の評価にも用い得る。例えば、薬剤または薬剤候補で処置した正常組織および正常組織に関する遺伝子発現の変異を比較し得る。同様の薬剤試験は、疾患組織および正常組織を用いて実施し得る。どの遺伝子が種々の疾患において発現されるかを確定することにより、薬剤または薬剤標的であり得る遺伝子またはそれらのタンパク質生成物を同定し得る。その他の臨床的用途においては、発現分析は、毒物または毒素で処理した組織と正常組織との間の発現レベルを比較することにより毒物学的評価に用い得る。もちろん、発現分析は、遺伝子発現における変異の影響を査定するための種々のその他の比較試験に用い得る。
【0262】
mRNA分子の発現をモニタリングするための核酸プローブのアレイの使用に関する一般的方法は、PCT/US/96/143839号およびWO 97/17317号(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。これらの方法は、当該mRNA標的またはそれからの増幅生成物と相補的な核酸プローブを利用する。概して、mRNA分子またはそれから生成される増幅生成物は、核酸プローブに適用されて、当該標的を同定する。いくつかの場合には、標的と不適正であることが知られているプローブとの標的の結合を用いて、非特異的結合を制御し得る。
【0263】
発現分析におけるマイクロアレイの使用に関するさらに別の考察は、Duggan 他「Nature Genetics Supplement」21:10−14(1999)、Bowtell「Nature Genetics Supplement」21:25−32(1999)、BrownおよびBotstein「Nature Genetics Supplement」21:33−37(1999)、Cole 他「Nature Genetics Supplement」21:38−41(1999)、DebouckおよびGoodfellow「Nature Genetics Supplement」21:48−50(1999)、Bassett, Jr. 他「Nature Genetics Supplement」21:51−55(1999)およびChakravarti「Nature Genetics Supplement」21:56−60(1999)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に見出し得る。
【0264】
B.RNA調製およびハイブリダイゼーション
前記のように、試料は本質的には、核酸が得られるあらゆる供給源から得られる。試料中の細胞は、種々の方法で崩壊されて、その中のRNAを放出する(例えば、 Watson 他「Recombinant DNA」2版、Scientific American Books, NY 1992参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。例えば核酸は、機械的崩壊(例えば反復凍結/融解サイクル、研磨および音波処理)、物理的/化学的崩壊、例えば洗剤による処理(例えばトリトン、トゥイーンまたはドデシル硫酸ナトリウム)、浸透圧ショック、熱または酵素的溶解(例えば、リゾチーム、プロテイナーゼK、ペプシン等)により放出させ得る。
【0265】
核酸が得られれば、それらは典型的にはcDNAに逆転写されるが、しかしmRNAは直接用いられる。cDNAの生成後、一般的には当該配列は、当業界で既知のならびに前記の種々の増幅技法のいずれかにより増幅される。
【0266】
核酸を含有する試料は次に、プローブと、通常はアレイの一部である多数のプローブと接触される。ある期間標的をプローブとハイブリダイズさせた後、いくつかの方法では、プローブは緊縮洗浄されて、非結合標的を除去し、アレイの核酸プローブとの非特異的結合を最小限にする。しかしながら、完全相補的的結合および前記のような不適正を含む結合間を識別する本検出系の能力のために、このような洗浄は必要でない。
【0267】
本方法は標的分子の標識化を必要としないため、差し引くバックグラウンド信号はない。これは、測定が実時間で成され、したがって結合の動力学知見がモニタリングされ、完全相補的および不適正結合間のスペクトル的識別を成し得るということを意味する。
【0268】
C.アレイの種類
本発明のアレイに利用されるプローブとしては、例えば相対的に長さが短い合成プローブ(例えば、20−merまたは25−mer)、cDNA(全長または遺伝子の断片)、増幅DNA、DNAの断片(例えば制限酵素により生成)および逆転写DNAが挙げられる。マイクロアレイの異なる種類に関する再検討に関しては、例えば、Southern 他「Nature Genetics Supplement」21:5−9(1999)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)を参照されたい。
【0269】
1.合成アレイ
概して、アレイの2つの主な部類、即ちカスタムアレイおよび包括的アレイは、本発明の発現分析法とともに利用し得る。カスタムアレイは、予め既知である特別なmRNA配列の存在および/または濃度を検出するために有用である。このようなアレイでは、核酸プローブは、mRNA遺伝子配列またはそれらから調製される増幅生成物の特定の予め選択された亜配列とハイブリダイズするよう選択される。いくつかの場合には、このようなアレイは、検出される各mRNAまたは増幅生成物のための複数のプローブを含み得る。
【0270】
第二の種類のアレイは、配列が分析に先立って既知であるか否かに関係なく、mRNAまたはそれから生成される増幅生成物を分析するために用い得るために、時としては包括的アレイと呼ばれる。包括的アレイはさらに別の部類に、例えば、ランダム、偶発的選択または恣意的プローブ組に細分し得る。他の場合には、包括的アレイは、特定の予備選定長の考え得るすべての核酸プローブを含み得る。
【0271】
無作為核酸アレイは、特定長のヌクレオチド配列のプールが盲検または非バイアス化方式で選択されたヌクレオチド配列のプールと有意に変わらないものであり、その長さの考え得るすべての配列のコレクションを形成する。核酸プローブの恣意的または偶発的ヌクレオチドアレイは、標的核酸の同定および/または予備選定を用いずにプローブ選択がなされるアレイである。恣意的または偶発的ヌクレオチドアレイは近似し得るし、あるいは無作為でさえあるが、しかしアレイが生成される方法は、アレイ中のプローブが実際に無作為性の統計学的定義を満たすことを保証しない。アレイは、プローブの組成、および/またはプローブの非冗長性、および/またはコード配列バイアスに基づいたいくつかのヌクレオチド選択を反映し得るが、しかしながらこのようなプローブ組は依然として任意の特定の遺伝子に特異的であるようには選択されない。
【0272】
あるいは、包括的アレイは、所定の長さの考え得るすべてのヌクレオチドを含み得る。即ち、配列のすべての置換に対応する配列を有するポリヌクレオチドである。したがって、本発明のポリヌクレオチドプローブは好ましくは4塩基までの(A、G、C、T)または(A、G、C、U)あるいはこれらの塩基の誘導体を含むため、長さXの考え得るすべてのヌクレオチドを有するアレイは、実質的に4個の異なる核酸(例えば、2merに関しては16個の異なる核酸、3merに関しては64の異なる核酸、8merに関しては65536個の異なる核酸)を含有する。いくつかの少数の配列は、合成問題および不注意による切断のために、特定長の考え得るすべてのヌクレオチドのプールに存在しない。
【0273】
いくつかの用途では、モニタリングされるRNAの各々に対する核酸プローブの対のコレクションを含有するオリゴヌクレオチドアレイを利用するのが有益である。このような場合、各プローブ対は、好ましくは特定のmRNAまたはそれから生成される増幅生成物の亜配列と相補的であるプローブ(例えば20−merまたは25−mer)、ならびに中央部分の単一塩基の差以外は同一であるコンパニオンプローブを含む。各対の不適正プローブは、ハイブリダイゼーション特異性の内部対照として役立ち得る(例えば、Lockhart他「Nature Biotechnology」14:1675−1680(1996)およびLipshutz他「Nature Genetics Supplement」21:20−24(1999)参照)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。
【0274】
2.cDNA検定
合成プローブを含有するアレイを用いる代わりに、プローブは、固体支持体に結合される全長cDNA分子またはその断片に取り換え得る。このようなプローブを用いて実行される発現分析は、例えばSchena他(「Science」270:467−470(1995))およびDeRisi他(「Nature Genetics」14:457−460(1996))(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)により記載されている。
【0275】
D.アレイ構造
前記のように、アレイ中の素子の数は、対照として用いるために所望されるリダクタント素子の感受性および数のような因子によって変わり、素子の数は一般に1〜10の範囲である。発現分析法に関しては、素子の数は、プローブされる配列の数、ならびにcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドプローブが利用されるか否かによって、最も典型的には少なくとも1000素子を含み、10,000までにおよび、あるいは100,000素子でさえあり得る。しかしながら、素子のその他の数は、前記の一般的範囲内で用い得る。
【0276】
E.プローブの密度および長さ
素子内のプローブの密度は、試料の感受性、複雑性、ならびに当該ハイブリダイゼーション複合体に関する特徴的信号が同定されるか否かといった因子によって、広範に変わり得る。このような因子によって、密度は典型的には前記のように1〜1018プローブ/cmまで変わる。密度はいくつかの実施態様においては10〜10プローブ/cmである。さらに他の方法においては、密度は、約10〜10プローブ/cmである。さらに別の実施態様では、密度は約10〜1012プローブ/cmである。なお、他の実施態様では、密度は1012〜10プローブ/cmである。他の方法におけるプローブ濃度は、1015〜1018プローブ/cmである。
【0277】
プローブ長は、例えば合成オリゴヌクレオチドまたはcDNAがアレイ中に用いられているか否かによって、有意に変わり得る。合成オリゴヌクレオチドは非常に短い傾向があり、例えば、10〜20、20〜30、30〜40または40〜50塩基対長であるが、しかしこの長さのcDNA断片も用い得る。全長遺伝子に対応する核酸がアレイ中に利用される場合、プローブ長は2〜3千塩基対から約100,000塩基対まで変わり得る。例えば、異なるcDNAはアレイの異なる素子に結合し得るため、素子間のプローブ長も広範に変わり得る。しかしながら前記のように、プローブは5〜10塩基対長までで、その間のすべてのサイズを含む。
【0278】
F.検出および定量
信号伝送および検出は、前記と同様である。概して、信号は各信号経路に送り出され、変調化透過および/または反射信号(即ち、応答信号)が検出されて、プローブとの標的の結合が同定される。各素子での単数または複数のプローブの配列が既知であるため、信号がどの素子から入ってくるかをコンピューターはモニタリングし、応答信号が生成される素子の各々でハイブリダイズされた標的の配列を確定し得る。定量は、ハイブリダイゼーションに関連した特徴的ピークの強度の変化、あるいはバックグラウンドをさえ測定することによりできる。例えば、吸収ピークの変化は、濃度の変化に対応する。いくつかの場合には、アレイ中のプローブと相補的な配列を有する既知量の標的が付加されて、較正を実施し得る。マイクロアレイを読み取るためのその他の検定方法は、Cheung他(「Nature Genetics Supplement」21:10−15−19(1999))により記載されている。
【0279】
XV.配列検査
A.総論
本発明のある種の方法は、配列検査の種々の局面を包含する。例えばいくつかの方法は、既知の配列に関して試料をスクリーニングすることを包含する。このような方法は、種々の異なる用途に実用性を見出す。例としては、例えばある種の医学的処置の効力に影響を及ぼすことが知られている突然変異を同定し、犯罪現場から採取した法廷用試料を分析し、親子鑑定検査し、ウイルスまたは細菌配列に関して検査して、感染を調べ、そして微生物汚染に関して食物を検査することが挙げられる。その他の配列検査用途としては、未知の配列に関する、または遺伝子発見における「署名(特徴)」を開発することを包含する。未知の配列に関する署名(特徴)の開発は、既知の配列の核酸を、固体支持体に結合された未知の配列の核酸とハイブリダイズさせることを包含する。より長い道の核酸配列とハイブリダイズする核酸の数および特定の配列を同定することにより、未知の配列に関する「署名(特徴)」を開発し、したがって未知の配列の核酸を分類し得る。このような署名(特徴)は、新規の遺伝子に関する初期スクリーニングに有用である。
【0280】
配列検査のための方法は、Hacia(「Nature Genetics Supplement」21:42−47(1999))(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)により総説されている。
【0281】
B.特定の突然変異の同定
1.試料調製
概して、試料の種類および細胞からの核酸の単離方法は、発現分析に関して記載した方法と同様である。試料からの核酸が得られれば、前記の方法により、典型的には当該セグメントが、ゲノムDNA、RNAまたはクローン化鋳型から増幅される。増幅後、標的は部分無作為分解を施こされて、プローブとの標的のハイブリダイゼーションを妨げ得る分子間および分子内構造を最小限にされる。次に標的は、既述の適切な配列のプローブと接触される。
【0282】
2.方法
特定の突然変異を同定するよう意図された方法に関しては、当該標的配列と少なくとも部分的に相補的である配列を有するよう核酸プローブが選択される。したがって、例えば法廷用証拠を検査する場合には、プローブは容疑者に独特の配列と相補的であり得る。親子鑑定検査では、プローブは推定の父からの配列と相補的であるように調製される。同様に、食物不純物検査では、プローブは種々の微生物からの独特の配列と相補的であるよう選択される。容易に理解されるように、その他のプローブ配列は、特定の当該配列により作製し得る。
【0283】
当該標的の配列と相補的であるようプローブが選択される方法では、典型的には緊縮洗浄が利用されて、プローブと不適正を形成する核酸が除去される。これらの場合におけるハイブリダイゼーション複合体の検出は、単に、ハイブリダイゼーション複合体の形成により生成される信号をモニタリングすることを包含する。信号の生成は、当該標的が試料中に存在することを示す。このアプローチでは、ハイブリダイゼーションプロフィールを予め獲得しておく必要はない。
【0284】
しかしながら、当該プローブ/標的複合体に関するハイブリダイゼーションプロフィールが既知であるその他の方法に関しては、検出は、その特定の複合体に特徴的な信号(または信号組)(例えば相補的信号)の存在に関して試験スペクトルを検査することを包含し得る。このような信号の存在は、試料が当該標的を含むことを示す。前記のように、プロフィールを利用して、緊縮洗浄を回避し得る。
【0285】
アプローチとは関係なく、本発明の配列検査方法を用いれば、標識化核酸を用いる必要はない。プロフィールを用いれば、単一プローブは疑いの余地のない配列情報を提供し得るため、特に本発明の方法により単一塩基対不適正間を識別できるため、アレイ上により少ない配列を用いることができる。
【0286】
3.アレイ設計
発現分析法と同様に、配列検査方法もアレイ技法を利用し得る。概して、アレイ中の素子の数は、配列検査でより少ない標的が検査されるため、発現分析の場合よりかなり少ない。それにもかかわらず、試料中の多数の異なる核酸の存在が試験される場合には、多数の素子を利用し得る。このような方法では、各素子は、検定される標的配列の少なくとも一部と相補的なプローブを含有する。対照として冗長な素子(例えば各々同一の配列を有する多重素子)を用いることも望ましい。用途の性質により、アレイは典型的には1〜100素子を有する。しかしながら前記のように、技術的見地から、アレイが多数の素子を含まない理由はない。
【0287】
各素子内のプローブの密度は前記のように広範に変わり、一般に1プローブ/素子〜1018プローブ/cmの範囲、ならびにその間のすべてのサイズである。当該ハイブリダイゼーション複合体に関して優れた感受性および/または良好に限定された特徴的信号が存在する情況では、単一プローブ/素子を用い得る。他の実施態様における密度は、10〜10プローブ/cmである。さらに他の方法では、密度は約10〜10プローブ/cmである。さらに他の実施態様では、密度は10〜1012プローブ/cmである。さらに他の実施態様では、密度は1012〜1015プローブ/cmである。他の方法におけるプローブ濃度は、1015〜1018プローブ/cmである。
【0288】
プローブ長も広範に変わり、例えば2〜3塩基〜100,000塩基の範囲である。種々の実施態様では、その長さは10〜25塩基対、25〜50、50〜100、100〜250、250〜500、500〜1000、1,000〜10,000および10,000〜100,000塩基対であり得る。
【0289】
C.配列署名(特徴)および遺伝子発見
典型的には、これらの方法は、チップ上に未知の配列の多数の核酸(例えばcDNA)を配置して、未知の配列の核酸のアレイを形成することを包含する。これらの未知の核酸は次に、相対的に短い既知の配列の核酸でプローブし得る。未知の配列の特定の核酸とハイブリダイズする単数または複数の既知の配列の同定は、未知の配列の核酸の「署名(特徴)」を提供する。前記のように、このようなプロフィールは、未知の配列の分類に、または遺伝子発見に有用であり得る。
【0290】
XVI.単一ヌクレオチド多型分析
A.総論
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、最も一般的な型の遺伝子変異を構成する点突然変異である。SNPは、ヒト疾患の関与因子であり得る、そして遺伝子マーカーとしても役立ち得る安定突然変異である。実際、多数のSNPが種々のヒト疾患とすでに相関している。公告WO 93/02216号は、このようなSNPの広範なリストを提供する。さらに別のSNPは、Cooper他「Hum. Genet.」85:55−74(1990)に列挙されている(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。
【0291】
B.方法
本発明のSNP検出方法は、特に試料調製、ハイブリダイゼーション条件および洗浄に関して、前記の配列検査方法と同様である。典型的には、核酸プローブはチップ上の素子に取り付けられる。尋問されるSNPの数によって、複数の素子が存在し、それによりアレイを形成する。各素子は、通常は同一配列のプローブを含む。ある種の方法では、プローブ配列は、当該SNPを含有する標的との相補的結合が認められるように存在する(即ち、プローブおよび標的は相補的複合体を形成する)。
【0292】
SNP分析は、ハイブリダイゼーションプロフィールを用いる分析に特に適している。各多型配列およびその対応する補体に関するハイブリダイゼーションプロフィールを用いて、種々のSNPハイブリダイゼーション複合体の各々に特徴的な単数または複数の信号の存在に関してスペクトルを検査して、標的配列中に存在する多型を同定し得る。
【0293】
分析の代替的形態の一例として、SNPを含有する配列の野生型形態は配列:
【0294】
【化1】
Figure 2004500035
【0295】
を有し、変異体対立遺伝子は配列:
【0296】
【化2】
Figure 2004500035
【0297】
を有すると仮定する。野生型形態に対する相補的配列は、
【0298】
【化3】
Figure 2004500035
【0299】
であるが、一方、変異体対立遺伝子に対する相補的配列は、
【0300】
【化4】
Figure 2004500035
【0301】
である(全配列に関して、多型部位は太字で示す)。
【0302】
ある種の実施態様では、野生型形態の配列と相補的な配列を有するプローブは信号経路と結合され、次に、野生型(即ち塩基Aが多型部位にある)および/または変異体対立遺伝子形態(即ち塩基Tが多型部位にある)を有する標的を含有する試料と接触される。緊縮条件下で結合プローブを洗浄して非相補的配列を除去後、ハイブリダイゼーション複合体の形成により生成された信号は、標的が野生型形態を有することを示す。
【0303】
あるいは、ハイブリダイゼーションプロフィールを分析に用い得る。野生型形態の信号経路との結合を仮定すると、試料中の標的が野生型を有する場合に、相補的複合体に特徴的な信号が生成される。しかしながら標的が変異体対立遺伝子形態である場合には、不適正複合体が形成され、その複合体に特徴的な単数または複数の信号が生成される。その特定の不適正ハイブリダイゼーション複合体に関するハイブリダイゼーションプロフィールがすでに得られ、保存されている場合、多型形態を直接同定することができる。
【0304】
この塩基的アプローチに関する変更が考えられる。例えば伝送線に結合されるプローブ配列は、野生型よりむしろ変異体対立遺伝子の配列であり得る。他の方法では、野生型と相補的なプローブまたはプローブ組が生成し、そして変異体対立遺伝子と相補的な異なるプローブまたはプローブ組が異なる伝送線、例えばアレイの異なる素子に結合される。
【0305】
C.検定
1.分析方法
SNP分析において異なる方法で、検定を用い得る。いくつかの場合には、異なるSNPを有する異なる配列と相補的なプローブを、異なる素子で信号経路に結合させ得る。このような場合、多数の異なる配列を、異なるSNPに関して分析し得る。他の方法を用いた場合、特定の多型の異なる対立遺伝子形態と相補的なプローブは、アレイの異なる素子に結合させ得る。
【0306】
SNPを分析するための他の方法では、標的配列の亜配列と相補的な核酸プローブのアレイは、、標的配列の同一性を確定し、その量を測定し、そして一般に「タイル張り」と呼ばれる手法を用いて標的および参照配列間の差を検出するために利用し得る(例えば、WO 95/11995;米国特許第5,858,659号;Chee他「Science」274:610−614(1996);米国特許第5,837,832号;およびLipshutz他「Bio Techniques」19:442−447(1995)参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。
【0307】
要するに、タイル張り戦略は、タイル張りアレイ、例えば4Lタイル張りアレイを利用する。4Lタイル張りアレイでは、SNP位置で変化するが、しかしそうでなければ同一であり、スクリーニングされる核酸のセグメントと完全相補的である、相対的に短い長さの4つのプローブの1組が存在する。完全相補的プローブは、単一不適正を有するプローブよりもっと密着して結合する。蛍光標識化プローブを用いる伝統的方法では、最高強度を有するプローブは未知の塩基に対応する。本方法においては、標識は必要ない。完全適正および不適正は、直接測定により識別し得る。SNP分析のためのこのアプローチは、長い核酸標的を検査するために拡張され、多数の多型/突然変異を特性化コンセンサス配列と比較して検出し得る。
【0308】
2.設計
SNP分析は本質的には配列検査の特異的適用であるため、SNP分析におけるアレイ設計のための考察は、配列検査に関するものと類似する。したがって、配列検査に関連して記載されたプローブ密度および長さの考察は、SNP分析にも当てはまる。
【0309】
アレイ中の素子の数は、一般的に配列検査用途の場合と同様に、しばしば、分析の特定の性質によって、かなり少ない。SNPの種々の対立遺伝子形態に関する特徴的信号を用いて、単一素子を有し得る。しかしながら多数の素子アレイが有用であり得る。例えば、前記のように、別々の素子での異なる対立遺伝子形態の各々に対するプローブを有するのが望ましい。さらに、各々同一プローブを含有する多数の素子は、制御目的に有用であり得る。別の制御アプローチは、異なる素子での同一対立遺伝子形態のSNPに対して異なる配列を用いることを包含し得る。異なる配列は、SNP部位が種々の配列上の異なる位置でハイブリダイズするように選択される(例えば、一実施態様では、SNP部位はプローブの一端付近でハイブリダイズし、別の素子では、SNP部位はプローブの中央でハイブリダイズする)。
【0310】
XVII.配列決定
A.総論
伝統的シーケンシング技法は、標識化DNA断片の電気泳動サイズの分離を要する複雑な且つ時間の掛かる手法を包含する(例えば、Alphey「DNA Sequencing:From Experimental Methods to BioInformatics」Springer−Verlag, New York, 1997参照)。典型的には「ハイブリダイゼーションによるシーケンシング」(SBH)と呼ばれる代替法が報告されている(例えば、Lysov 他「Dokl. Akad. Nauk SSSR」303:1508−1511(1988); Bains 他「J. Teor. Biol.」135:303−307(1988); Drmanac 他「Genomics」4:114−128(1989); Barinaga「Science」253:1489(1991); Stresoska 他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」88:10089(1992); Bains「Bio Technology」10:757−758(1992);および米国特許第5,202,231号参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。概して、SBHは、DNAのより長い標的鎖上の相補的配列に関してプローブするように限定された配列の1組の短い核酸プローブを使用する。標的とハイブリダイズする限定配列は次に、コンピューター算法を用いて一列に並べられて、標的核酸の配列を構築し得る。
【0311】
B.方法
SBHの戦略は、以下の例により説明される。12−mer標的DNA配列AGCCTAGCTGAAを、完全組のオクタヌクレオチドプローブと混合する。完全相補性のみを考慮する場合、65,536のオクタマープローブのうちの5つ−TCGGATCG、 CGGATCGA、GGATCGAC、GATCGACTおよびATCGACTTが標的とハイブリダイズする。ハイブリダイズプローブからの重複配列のアラインメントは、元の12−mer標的の補体を再構築する:
TCGGATCG
CGGATCGA
GGATCGAC
GATCGACT
ATCGACTT
TCGGATCGACTT
SBHは2つのフォーマットで実施し得る。ハイブリダイゼーション法は、標的DNAを表面に取り付けることにより実行し得る。標的は次に、1組のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、一度に1つ尋問される(Strezoska 他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」88:10089−10093(1991);およびDrmanac 他「Science」260:1649−1652(1993)参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる)。このアプローチは固定化およびハイブリダイゼーション検出の十分に確立された方法により実行し得るが、しかしそれは多数の操作を包含する。例えば、完全組のオクタヌクレオチドを利用して配列をプローブするためには、1万回のハイブリダイゼーション反応を実施しなければならない。
【0312】
第二のフォーマットにおいては、SBHは、各部位でのプローブの同一性が既知であるアレイフォーマットで、表面にプローブを結合することにより実行される。標的DNAは次に、プローブのアレイに付加される。単一実験で直接確定されたハイブリダイゼーションパターンは、すべての相補的プローブの同一性を明示する。
【0313】
本発明の検出方法は、両方のフォーマットとともに用い得る。しかしながら、好ましくは分析はアレイを用いて実行される。アレイの各々の素子は、既知の配列のプローブを含む。種々の素子の各々でのハイブリダイゼーションは、特定素子に伝送された信号の変調により検出し得る。他のSBH法は、ハイブリダイゼーションパターンを可視化し、アレイ中のプローブが標的とハイブリダイズしたかを同定するためには、何らかの種類の標識化を要する。本発明の方法による標識化は、ハイブリダイゼーションを直接モニタリングし得るため、必要ない。
【0314】
SBH手法の変法は、主に、主要問題、即ち配列決定における誤差を生じる不適正の問題をSBHを用いて処理するよう開発されている。「位置SBH(PSBH)」と呼ばれるこのような一方法は、3’一本鎖オーバーハングを有する二重鎖プローブを利用して標的を捕獲し、その後二重鎖プローブを酵素的に連結する。このアプローチは、不適正を低減するよう意図される(例えば、Broude他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」91:3072−3076(1994)参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。PSBHはそれ自体、連結反応後にDNAポリメラーゼが付加されて、標的捕獲中の不適正のさらなる低減の一方法として固定化プローブを延長する(例えば、Kuppuswamy他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」86:1143−1147(1991)参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。
【0315】
本発明の検出系は、標準SBH法に関するこれらの変法を受け容れる余地を有し、本質的には本アプローチは伝統的SBHアプローチで記載されたものと同一であって、連結および/または延長過程の付加を伴う。しかしながら、本発明の検出系は不適正および完全相補的結合間を識別し得るため、これらの付加過程は不必要であると考えられる。結合型間を識別する能力は、緊縮洗浄における柔軟性をより大きくし得ると理解される。
【0316】
C.アレイ設計
概して、多数の素子がシーケンシング法において選択される。シーケンシング法における素子の数は、しばしば少なくとも1000であり、100,000に及び得る。種々の実施態様では、素子の数は、10、10、10またはそれらの間の任意の範囲であり得る。しかしながら好ましい素子の数がこれらの範囲外である場合がある。
【0317】
プローブ密度因子は、発現分析に関して記載されたものと類似する。プローブ長も広範に変わる。例えば合成プローブを用いるアレイは、典型的には5〜25塩基長であるプローブを有し得る。プローブ長は、他の実施態様では、10〜25、25〜50、50〜100、100〜250、250〜500、500〜1000塩基長であり得る。
【0318】
以下の実施例は、本発明のある種の局面を説明するために提示されており、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0319】
実施例I
核酸ハイブリダイゼーション:ポリGおよびポリC配列
本実施例は、相補的配列間のハイブリダイゼーションを検出し、相補性を欠く配列に対して識別する系の能力を実証するために実施した。実験は、図2Cに図示し、添付の本文中に説明したバイオアッセイデバイスを用いて実行した。
【0320】
51−merのグアニン(オリゴG)で構成され、5’末端でチオール化されたオリゴヌクレオチド(HPLC精製)を、Operon Technologies, Inc.(Alameda, CA)から入手した。このオリゴヌクレオチドを1xSSC(Sigma, St. Louis, MO)中に1 mLに再懸濁し、アリコートを取り出して、1xSSC中の0.08 MDTT等用量を付加して、還元した。混合物を37℃で約16時間インキュベートした後、NAP 10カラム(セファデックスG−25、Pharmacia, Uppsala, Sweeden)に通した。還元物質の未使用アリコートを窒素ガス下で−20℃で保存した。実験用に、200 pmol/mLの還元オリゴ−Gを金支持体と60分間結合させ、S−パラメーターを測定し、保存した。
【0321】
1xSSC中100 pMの濃度の、完全にA、TおよびGヌクレオチドで構成された50−merを、これらの塩基の組合せはG残基単独から成る核酸とハイブリダイズしないはずであるため、対照として用いた。S−パラメーターでの応答を数回間隔で(数時間に亘って)測定した。この時間中に変化は認められなかった。
【0322】
その後、同一緩衝液中の完全にシトシン(「C」)から成る50−mer標的核酸(1 pM)をプローブと接触させた。この場合、標的は、結合核酸プローブと強力にハイブリダイズすると予測された。S−パラメーターを再び数回間隔で測定した。しかしながらこの場合、かなりの変化が観察された。図9は、1時間後の対照(信号変化が少い破線)およびハイブリダイゼーション実験(実線)の両方の伝送電力に及ぼす作用を示し、伝送線に取り付けたGベースのプローブとのC−ベースの50−merのハイブリダイゼーションに対する強力な、直接応答を示す。これに対比して、標的対照に関する信号は、ほとんど変化しなかった。この実験は、相補的配列の100倍の濃度の非相補的配列の存在下でも、ハイブリダイゼーション複合体の生成を検出する本発明の能力を実証する。
【0323】
実施例II
相補的、不適正および非相補的配列間の識別
別の組の実験を実行して、異なる単一塩基対不適正、相補的配列および非相補的配列を包含する種々のハイブリダイゼーション複合体間を本発明の系が弁別し得るか否かを確定した。バイオアッセイデバイス、一般実験条件および信号獲得は、実施例Iと同様であった。
【0324】
試験配列に比して不適正を組み入れている3つの核酸(10−mer)を得た。核酸プローブ配列は、5’−CATATCATTC−3’で、5’末端でチオール化されていた。チオール基を用いて、プローブを金表面と結合させた。プローブを金表面に60分間曝露した後、1xSSC(クエン酸ナトリウム食塩溶液)で洗浄した。配列の開始、中央または末端に不適正を有するように、不適正を組み入れている核酸を調製した(それぞれ5’−GAATGATATC−3’; 5’−GAATCATATG−3’; 5’−CAATGATATG−3’)。相補的鎖(5’−GAATGATATG−3)および非相補的シトシン「C」の10−mer鎖から成る対象も試験した。対照プローブの各々を、金表面で30分間、標的配列と接触させた後、1xSSCで洗浄した。間隔を置いて数回にわたってS−パラメーターを測定することにより、プローブの存在下での各核酸に関するスペクトルを得た。
【0325】
結果を図10Aおよび10Bに示す。この場合、周波数(GHz)を透過電力(dB)に対してプロットした。図10Aは、1〜21 GHzからの全走査で、概して、各ハイブリダイゼーション複合物が異なるスペクトルを生じたことを示す。相補的ハイブリダイゼーション複合体に関するスペクトル(破線)は、非相補的ハイブリダイゼーション複合体(実線)に関するものとは有意に異なる。この差は、1〜3 GHzのスペクトルの拡大を示す図10Bでより明瞭に示されている。
【0326】
これらの結果は、単一塩基のみで異なる配列を含めた配列中の微妙な差異間を弁別する本発明の方法の能力を示す。このような識別力は、例えばSNP分析において特別な実用性を有する。この実験は、本明細書中に記載した方法を用いて異なるハイブリダイゼーション複合体に関する署名(特徴)をいかにして得ることができるか、そしてこのような署名(特徴)、特にある種の複合体に特徴的な信号を用いて、このような複合体が試験溶液中に存在するか、および/または関連核酸から成る複合体が存在するかをいかにして確定し得るかということも実証する。
【0327】
前記は本発明の考え得る実施態様の全説明であるが、種々の変更、修正および等価物を用い得る。例えば、前記のバイオアッセイデバイスの信号経路は伝送線に限定されないと当業者は理解する。他の伝送媒体、例えば導電性または誘電性導波管は、代替的に用い得る。前記の説明は本発明の例示的実施態様に過ぎず、その境界は、特許請求の範囲の境界および範囲により適正に限定される。
【0328】
さらに本出願に引用した出版物、特許文書およびその他の参考文献はすべて、個々の出版物、特許文書または参考文献が各々個別に示すのと同程度に、その全目的に関して、その記載内容が参照により本明細書中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
本発明のバイオアッセイ系の一実施態様を説明する。
【図1B】
本発明のバイオアッセイ系の第二の実施態様を説明する。
【図1C】
図1Bに示したバイオアッセイ系の横断図である。
【図1D】
本発明の分子結合領域の一実施態様を説明する。
【図1E】
本発明の空間的に分離された多重アンチリガンドを有する分子結合領域の一実施態様を説明する。
【図1F】
本発明の多重クラスのアンチリガンドを有する分子結合領域の一実施態様を説明する。
【図2A】
本発明のバイオアッセイデバイスの一実施態様を説明する。
【図2B】
本発明のバイオアッセイデバイスの第二の実施態様を説明する。
【図2C】
本発明のバイオアッセイデバイスの横断図である。
【図3】
生体−電気界面の導電層に沿って生じる結合表面化学作用の一実施態様を説明する。
【図4A】
本発明の分子結合事象を検出するための方法の一実施態様を説明する。
【図4B】
本発明の二次および高次分子結合事象を検出するための方法の一実施態様を説明する。
【図4C】
本発明の分子結合領域の誘電変化を測定するための方法の一実施態様を説明する。
【図4D】
本発明の未知の溶液中のリガンドを同定するための方法の一実施態様を説明する。
【図4E】
本発明のリガンドのクラスを同定するための方法の一実施態様を説明する。
【図4F】
本発明の溶液のリガンド濃度を定量するための方法の一実施態様を説明する。
【図4G】
本発明のバイオアッセイデバイスの自己診断能力を提供するための方法の一実施態様を説明する。
【図5A】
本発明の周波数測定系の一実施態様を説明する。
【図5B】
本発明の分子構造を検出または同定するために用い得る測定された一次周波数応答を説明する。
【図5C】
本発明の分子構造を検出または同定するために用い得る二次周波数応答を説明する。
【図6】
本発明の周波数測定系の第二の実施態様を説明する。
【図7】
本発明の時間ドメイン測定系の一実施態様を説明する。
【図8】
誘電緩和測定系の一実施態様を説明する。
【図9】
ポリGおよびポリC配列のハイブリダイゼーションに起因する信号の変化を説明する。
【図10A】
配列5’−CATATCATTC−3’を有する核酸プローブに対する相補的および不適正標的に関する信号を示す完全スキャン(1〜21 GHz)を示す。
【図10B】
図10Aに示したスペクトルの拡大図である。
【図11】
本発明のNxMアレイ検定の考え得る一実施態様を説明する。
【図12A】
本発明のNxMアレイ検定の種々の図を示す。
【図12B】
本発明のNxMアレイ検定の種々の図を示す。
【図13A】
本発明のバイオアッセイアレイの一実施態様を説明する。
【図13B】
一連の接続された電気的開閉場エフェクトトランジスターを含む本発明のアレイ素子の一実施態様を説明する。
【図13C】
一連の接続された任意開閉場エフェクトトランジスターを含む本発明のアレイ素子の一実施態様を説明する。
【図13D】
2つの経路の2連続接続FETデバイスを含む本発明のアレイの一実施態様を説明する。
【図13E】
本発明の図7Dに示したアレイの回路等価モデルを説明する。
【図13F】
本発明の二次元バイオアッセイアレイの一実施態様を説明する。

Claims (37)

  1. 核酸分析方法であって、信号経路の一部と電磁的に結合された核酸プローブと核酸標的との間に形成されるハイブリダイゼーション複合体に関するスペクトルを前記信号経路に沿って試験信号を伝搬することにより獲得し、そしてプローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号を検出することを含む方法であって、前記伝搬過程が前記試験信号を経時的に変更することを含む方法。
  2. さらに以下の:
    (a)前記伝搬過程前に標的を含有する試料と前記プローブを接触させ、そして
    (b)特定のプローブおよび特定の標的間の既知のハイブリダイゼーション複合体に特徴的な既知の信号の存在に関して前記スペクトルを検査し、前記スペクトル中の前記既知の信号の存在が前記試料中の前記特定標的の存在を示す
    ことを含む請求項1の方法。
  3. さらに以下の:
    (a)前記伝搬過程前に標的を含有する試料と前記プローブを接触させ、そして
    (b)相補的信号および/または不適正信号の存在に関してスペクトルを検査し、相補的信号の存在がプローブおよび標的間の相補的ハイブリダイゼーション複合体を示し、そして不適正信号の存在がプローブおよび標的間の不適正複合体を示す
    ことを含む請求項1の方法。
  4. 以下の:
    (a)標的が第一または第二塩基を含み得る多型部位を含み、そして前記標的が前記第一塩基を含む場合、前記標的は前記プローブと相補的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、前記標的が前記第二塩基を含む場合には不適正ハイブリダイゼーション複合体を形成し、そして
    (b)相補的信号の存在が多型部位に第一塩基を含む前記標的を示し、そして不適正信号の存在が前記多型部位に前記第二塩基を含む前記標的を示す
    請求項3の方法。
  5. 前記検査過程が前記測定過程前に前記プローブから非結合核酸を洗浄する必要性をなくする請求項2の方法。
  6. 前記検査過程が前記測定過程前に前記プローブから非結合核酸を洗浄する必要性をなくする請求項3の方法。
  7. 前記プローブおよび前記標的が標識されない請求項1の方法。
  8. 前記変更過程が信号経路に沿って伝搬される試験信号の周波数または波長を変更することを含む請求項1の方法。
  9. 前記試験信号がマイクロ波信号である請求項8の方法。
  10. 前記信号経路の前記部分が連続伝送線である請求項1の方法。
  11. 前記プローブが前記連続伝送線に直接取付けられる請求項10の方法。
  12. 前記信号経路の表面の接線が前記信号の前記伝搬の方向に対して非直交性である請求項1の方法。
  13. 核酸の分析方法であって、以下の:
    (a)信号経路の一部と電磁的に結合された核酸プローブを標的核酸を含有する試料と接触させるが、この場合、前記信号経路の前記部分が連続伝送線を含み、そして
    (b)プローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号を検出する
    ことを含む方法。
  14. 以下の:
    (a)前記試料が既知の配列の標的を含む可能性があり、
    (b)前記プローブが既知の配列の前記標的と相補的である配列を有し、そして
    (c)前記応答信号が既知の配列の前記標的を含有する前記試料を示す
    請求項13の方法。
  15. 前記標的が第一塩基または第二塩基を含み得る多型部位を包含し、そして前記プローブの配列が、多型部位が前記第一塩基を含む場合の前記標的の配列と相補的であり、あるいは多型部位が前記第二塩基を含む場合の前記標的の配列と相補的である請求項13の方法。
  16. 前記試料が特定の細胞中で発現される遺伝子から増幅される核酸を含有する請求項13の方法。
  17. 前記検出過程が前記測定過程前に前記プローブから非結合核酸を洗浄する必要をなくする請求項13の方法。
  18. 前記プローブおよび前記標的が標識されない請求項13の方法。
  19. 前記検出過程がマイクロ波信号を前記伝送線を下って伝搬することを含む請求項13の方法。
  20. 前記プローブが前記連続伝送線に直接取付けられる請求項13の方法。
  21. 核酸の分析方法であって、以下の:
    (a)信号経路の一部と電磁的に結合された核酸プローブを標的核酸を含有する試料と接触させ、
    (b)前記信号経路に沿って信号を伝搬するが、この場合、前記信号経路の表面の接線は前記試験信号の信号伝搬の方向に対して非直交性であり、そして
    (c)プローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号を検出する
    ことを含む方法。
  22. 核酸の分析方法であって、以下の:
    (a)複数の素子を含むアレイを核酸標的を含有する試料と接触させるが、アレイの各素子は連続伝送線およびそこに位置する連続伝送線の一部と電磁的に結合された核酸プローブを含み、そして
    (b)ハイブリダイゼーション複合体が形成される場合のそれらの素子に対するハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号を検出する
    ことを含む方法。
  23. 前記伝送線に前記複数のプローブを取付ける過程をさらに含む請求項22の方法。
  24. 以下の:
    (a)前記試料が既知の配列の第一標的および既知の配列の第二標的を含む可能性があり、
    (b)前記複数のプローブが前記第一標的と相補的な第一群のプローブおよび前記第二標的と相補的な第二群のプローブを含み、前記第一および第二群のプローブがそれぞれ前記アレイの第一および第二素子に位置し、そして
    (c)前記検出過程がそれぞれ第一および第二応答信号に関して前記第一および第二素子をモニタリングすることを含むが、この場合、前記第一応答信号が前記試料中の前記第一標的の存在を示し、そして第二応答信号が前記試料中の前記第二標的の存在を示す
    請求項22の方法。
  25. 前記第一標的の配列が多型の野生型であり、前記第二標的の配列が前記多型の変異体形態である請求項24の方法。
  26. 前記試料が特定の細胞中で発現される遺伝子から増幅される核酸を含有する請求項22の方法。
  27. 前記検出過程が前記測定過程前に前記プローブから非結合核酸を洗浄する必要をなくする請求項22の方法。
  28. 前記複数のプローブおよび前記標的が標識されない請求項22の方法。
  29. 前記検出過程が前記複数の素子の各々に伝送線を下ってマイクロ波信号を伝搬することを含む請求項22の方法。
  30. 核酸の分析方法であって、以下の:
    (a)複数の素子を含むアレイを核酸標的を含有する試料と接触させるが、アレイの各素子は信号経路およびそこに位置する信号経路の一部と電磁的に結合された複数の核酸プローブを含み、そして
    (b)信号経路に沿って試験信号を前記複数の素子の各々に伝搬するが、この場合、各素子中の信号経路の表面の接線は前記信号の信号伝搬の方向に対して非直交性であり、そして
    (c)ハイブリダイゼーション複合体が形成される場合のそれらの素子に対するハイブリダイゼーション複合体に関する応答信号を検出する
    ことを含む方法。
  31. 核酸ハイブリダイゼーション事象の測定方法であって、以下の:
    (a)信号経路の一部に電磁的に結合された核酸プローブを核酸標的を含む試料と接触させ、それによりプローブおよび標的間のハイブリダイゼーション複合体が形成され、そして
    (b)ハイブリダイゼーション複合体に関して特徴的な信号の変化をモニタリングする
    ことを含む方法。
  32. 前記モニタリング過程が複数の異なる時点での信号の振幅または周波数の変化を測定して、複数の測定値を得ることを含む請求項31方法。
  33. 前記測定値が前記プローブおよび標的間のハイブリダイゼーションの動力学を評価するために用いられる請求項32の方法。
  34. 同一配列の複数のプローブが伝送線に結合され、前記変化が形成されるハイブリダイゼーション複合体の数を定量するために用いられる請求項31の方法。
  35. 前記プローブおよび前記標的が標識されない請求項31の方法。
  36. 前記信号経路の前記部分が連続伝送線である請求項31の方法。
  37. 前記信号経路の表面の接線が前記信号の信号伝搬の方向に対して非直交性である請求項31の方法。
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