JP2004359644A - アダマンタントリオール類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アダマンタン類の酸化反応によってアダマンタントリオール類を合成する際に得られる反応液のような、価数の異なる複数のアダマンタノール類を含む水系溶液からなる原料粗液からアダマンタントリオール類を簡便且つ効率よく分離し、効率的にアダマンタントリオール類を製造する方法を提供する。
【解決手段】原料粗液中のアダマンタントリオール類の濃度を0.5質量%以上、原料粗液中のアダマンタノール類中に占めるアダマンタントリオール類の割合を15〜80質量%とし、抽出溶媒として酢酸エチルを用いて該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸又はアルコール類の存在下に上記原料粗液からアダマンタントリオール類の抽出を行ない、得られた抽出液からアダマンタントリオール類を分離する。
【選択図】 なし
【解決手段】原料粗液中のアダマンタントリオール類の濃度を0.5質量%以上、原料粗液中のアダマンタノール類中に占めるアダマンタントリオール類の割合を15〜80質量%とし、抽出溶媒として酢酸エチルを用いて該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸又はアルコール類の存在下に上記原料粗液からアダマンタントリオール類の抽出を行ない、得られた抽出液からアダマンタントリオール類を分離する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダマンタントリオール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタトリオール類は、光学材料、合成潤滑油、医農薬などの原料として有用であり、例えば高級カルボン酸トリエステル化することにより温度特性に優れたエンジン油やギヤ油、油圧作動油などの高性能合成潤滑油が得られることが知られている(特許文献1参照)。また、アダマンタントリオール類が有する3つのヒドロキシル基の内の1つを利用してアクリル基もしくはメタクリル基を導入して得られる重合性単量体は、その重合体又は共重合体が耐熱性、光透過性、光屈折率、耐衝撃性等の点で優れた特性を示すという理由から、めがね、コンタクトレンズ、カメラレンズ等のレンズ類、プリズム類、記録用感光材、光ファイバー等の光学繊維、ビデオディスクやコンパクトディスク等のディスク類等の各種光学用品の材料として期待されている(特許文献2参照)。
【0003】
アダマンタントリオール類の製造方法としては、N−ヒドロキシフタルイミドを触媒として、アダマンタン類を酸素酸化する方法(特許文献3、4および5参照)、ルテニウム化合物存在下でアダマンタン類と次亜塩素酸又はその塩とを有機溶媒/水の2相系で反応させる方法(特許文献6参照)、第3級アミン化合物の存在下、臭素化アダマンタン類を加水分解する方法(特許文献7参照)、水系溶媒中でアダマンタン類を3〜8当量のクロム酸により酸化する方法(特許文献1、8参照)などが知られている。
【0004】
これら方法では、アダマンタン環に導入される水酸基の数を制御してアダマンタントリオール類を選択的に合成することはできず、通常、反応生成物中には目的物であるアダマンタントリオール類の他にアダマンタンモノオール類、アダマンタンジオール類、アダマンタンテトラオール類等の他のアダマンタノールが含まれる。このため、アダマンタントリオール類を単離するためには互いに価数の異なる複数種のアダマンタノール類の混合物を含む反応液からアダマンタントリオール類を分離する必要がある。
【0005】
上記反応液のような、複数種のアダマンタノール類の混合物を溶質若しくは分散物として含む液状組成物(以下、単に粗液ともいう)から各種アダマンタノール類を分離回収する方法として幾つかの方法が知られているが、何れの方法を用いてもアダマンタントリオール類を選択的に効率よく分離することは困難である。例えば、価数1以上の複数種のアダマンタノール類の混合物に水と有機溶媒とを加え、2以上の価数のアダマンタノール類を水層に抽出し、分離された当該水層に炭素数4〜8のアルコールを加えてアダマンタンジオール類をアルコール層に抽出する方法(特許文献9参照)や価数1以上の複数種のアダマンタノール類を含む水系の粗液から1価若しくは2価のアダマンタノール類を析出(晶析)させて分離する方法(特許文献10参照)が知られているが、これら方法ではアダマンタントリオール類以上の多価アダマンタノールは全て水相中に存在することになる。このため、アダマンタントリオール類を単離するためには更なる分離操作が必要となる。また、仮に水層中に含まれるアダマンタノール類の殆どがアダマンタントリオール類であったとしても、アダマンタントリオール類を固体状態で取り出すためには水の除去が必要であり、これは有機溶媒の溶液からアダマンタントリオール類を固体状態で取り出すのに比べて、操作が煩雑でありエネルギー的にも不利である。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−104553号公報
【特許文献2】
特開昭63−033350号公報
【特許文献3】
特開平8−38909号公報
【特許文献4】
特開平9−327626号公報
【特許文献5】
特開平10−286467号公報
【特許文献6】
特開2001−335519号公報
【特許文献7】
特開平2−196744号公報
【特許文献8】
特開昭42−16621号公報
【特許文献9】
特開2001−26563号公報
【特許文献10】
特開平10−204014号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、粗液からアダマンタントリオール類を効率よく分離する方法はこれまで知られていなかった。そこで、本発明は、粗液からアダマンタントリオール類を効率よく分離する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、水系の粗液を酢酸エチルと接触させた場合には価数3以下のアダマンタノールが有機層(酢酸エチル層)に抽出され、有機層を分離後に冷却するとアダマンタントリオール類が選択的に析出することを見出し、この現象を利用したアダマンタントリオール類の分離方法を開発している(特願2002−139814号)。
【0009】
上記方法は操作が単純であり、得られるアダマンタントリオール類の純度が高いという優れた特徴を有し、アダマンタントリオール類の工業的な製造における分離工程として有用なものである。しかしながら、酢酸エチルに対するアダマンタントリオール類の溶解性は低いため、アダマンタントリオール合成反応で得られる反応液のようにアダマンタントリオール類を多く含む粗液に上記方法を適用する場合には、抽出溶媒(酢酸エチル)の使用量が多くなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題のないアダマンタントリオール類の製造方法を提供することを目的とするものであり、該目的は下記抽出工程及び分離工程を含むことにより達成される。
【0011】
抽出工程: (i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が水又は水溶液に溶解及び/又は分散した液状組成物からなり、該液状組成物中に含まれる前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%であり、且つ該液状組成物中に含まれる前記成分(i)の量が全液状組成物質量を基準として0.5質量%以上である原料粗液と、酢酸エチルからなる抽出溶媒とを、該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とを分離し、次いで酢酸エチル層を回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得る工程。
【0012】
分離工程: 前記抽出工程で得られた抽出液からアダマンタントリオールを分離する工程。
【0013】
本発明の製造方法は、酢酸エチルを用いた抽出操作の際に適量の酢酸及び/又はアルコール類を共存させた場合には価数4以上のアダマンタノールの酢酸エチル層への分配率に影響を与えることなくアダマンタントリオール類の酢酸エチルへの分配率を向上するという知見に基づくものであり、抽出工程における酢酸エチルの使用量が低減できるという効果ばかりでなく、その後の析出(晶析)工程で得られるアダマンタントリオール類がより高純度のものとなるという効果が得られる。
【0014】
【発明実施の形態】
本発明の製造方法は、(i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が水又は水溶液に溶解及び/又は分散した液状組成物からなり、該液状組成物中に含まれるこれら前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%であり、且つ該液状組成物中に含まれる前記成分(i)の量が全液状組成物質量を基準として0.5質量%以上である原料粗液と酢酸エチルからなる抽出溶媒とを該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とに層分離させ、次いで層分離した酢酸エチル層を分離回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得る抽出工程を含む。
【0015】
上記抽出工程で使用する原料粗液には目的物となる(i)アダマンタントリオール類が含まれる必要がある。当該アダマンタントリオール類とは、アダマンタン骨格に3個の水酸基が結合した化合物を意味する。3個の水酸基の結合位置は特に限定されず、また、水酸基以外に置換基を有していてもよい。その有用性の観点から好ましいアダマンタントリオール類としては、下記式(I)
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、Rはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基であり、nは3であり、mは0〜4の整数であり、mが2以上のとき複数のRは互いに異なっていてもよい。)
で示される化合物を挙げることができる。
【0018】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基等の炭素数6〜10のアリールオキシ基が、アシルオキシ基としてはアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜7のアシルオキシ基が挙げられる。
【0019】
本発明で好適なアダマンタントリオール類を具体的に示せば、1,3,5−アダマンタントリオール、7−メチルアダマンタン−1,3,5−トリオール、7−メトキシメチルアダマンタン−1,3,5−トリオール、7−ブロモアダマンタン−1,3,5−トリオール等を挙げることができる。
【0020】
また、原料粗液にはアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類として、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が含まれる。これらは、通常アダマンタントリオール類の反応副生物であるので、例えばアダマンタントリオールが前記式(I)で示される化合物である場合には当該他のアダマンタノールは前記式(I)においてnが1、2又は4である化合物となる。これら成分を含有しない場合には、本発明によらなくとも別の方法で効率よく目的物である成分(i)を得ることができ、本発明の優位性が特に認められない。
【0021】
本発明で使用する原料粗液中に含まれる前記成分(i)〜(iii)における前記成分(i)の含有割合は、(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準として15〜80質量%、好適には20〜70質量%である必要がある。(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準とする(i)の含有割合が80質量%を超える場合には、成分(i)をそのような高い割合で含む原料粗液を得ること自体が困難である。また、同(i)の含有割合が15質量%未満の場合には、最終的に得られる成分(i)の純度が低いものとなってしまう。原料粗液中に含まれる成分(ii)及び(iii)の含有割合は、上記条件を満足する限り特に限定されないが、通常は(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準とする成分(ii)の含有割合は2〜84.9質量%であり、同成分(iii)の含有割合は0.1〜18質量%である。なお、原料粗液においては、前記分離工程後に得られる成分(i)アダマンタントリオール類の純度が高くなるという理由から、原料粗液中に含まれるアダマンタンジオール類の量はアダマンタントリオール類1モルに対して0.7モル以下、特に0.5モル以下であるのが好適である。
【0022】
原料粗液の溶媒若しくは分散媒は水若しくは水溶液であるが、これはアダマンタントリオール類の合成反応が通常水系溶媒中で行なわれることによる。ここで、水溶液は前記成分(i)〜(iii)の溶媒若しくは分散媒としての水溶液であるので、当該水溶液の水外の成分は前記成分(i)〜(iii)以外の物質であって水に溶解するものであれば特に限定されず、例えばアダマンタントリオール類の合成反応において反応系に添加される水溶性の物質である酢酸等が使用できる。これら物質の含有量は特に限定されないが、通常は水100重量部に対して1〜300重量部の範囲である。
【0023】
本発明で使用する原料粗液中に含まれる前記成分(i)の量(濃度)は原料粗液の全質量を基準として0.5質量%以上である必要がある。原料粗液中に含まれる前記成分(i)の濃度が0.5質量%未満の場合には抽出効率が悪いばかりでなく、最終的に得られる成分(i)の純度が低下することがある。抽出効率および純度の点から、原料粗液中の成分(i)アダマンタントリオール類の濃度は、0.5〜20重量%、特に1〜15重量%となるような量であるのが好適である。
【0024】
また、本発明で使用する原料粗液には前記成分(i)〜(iii)以外の成分が含まれていてもよい、このような成分としてはアダマンタン類{例えば前記式(I)においてn=0である化合物}、価数5以上のアダマンタンポリオール類{例えば前記式(I)においてn≧5である化合物}の他、アダマンタントリオール合成反応で使用する各種反応試剤、触媒などを挙げることができる。
【0025】
前記抽出工程で使用する原料粗液は、水又は水溶液にアダマンタントリオール類及びアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類が溶解及び/又は分散した液であれば特に限定されず、例えば従来技術として示したアダマンタントリオール類の各種製造方法において得られる反応液がそのまま或いは該反応液に濃縮や希釈等の操作を加えたもの(以下、単に反応液等ともいう)が好適に使用できる。本発明においては、工業的に入手が容易なアダマンタンを原料とし、しかもアダマンタントリオール類が容易に得られるという理由から、上記反応液等の中でも、水系溶媒中でアダマンタン類に対して9〜50当量のクロム酸を用いて酸化して得られるアダマンタントリオール類及びアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類を含む反応液を処理して得られる処理液を原料粗液として使用するのが特に好適である。
【0026】
この方法では、酢酸、プロピオン酸等の有機酸の水溶液中でアダマンタン類に対して9〜50当量のクロム酸を60〜120℃の温度範囲で30分〜6時間作用させることにより価数1〜4のアダマンタノール類の混合物が得られる。このとき、アダマンタン類としては目的物となるアダマンタントリオール類の構造に応じてその水酸基が水素原子に置換した構造のもの、例えば目的とするアダマンタントリールが前記式(I)で示される化合物である場合には、該式(I)においてnが0であるものが使用できる。上記反応において、使用する有機酸の量はアダマンタン類1モルに対し5〜50モルであるのが好適であり、また水の量は有機酸の濃度が30〜99質量%となる量であるのが好適である。このようにして得られた反応液はそのまま原料粗液とすることもできるが、使用する酸化剤の酸化力を低下させ副反応を制御する目的から、該反応液を水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液で中和したものを原料粗液とするのが好適である。このとき、中和に用いる塩基の量を少なくできるという理由から、中和に先立ってロータリーエバポレーター等の装置により反応に用いた有機酸をできるだけ除去するのが好ましい。また、中和は必ずしも完全に行なう必要はない。なお、有機酸を除去した後に反応液中のアダマンタノール類等の混合物が固体や粘稠な液体となった場合には、当該混合物を水系溶媒に溶解又は分散させればよい。このような方法により価数1〜4のアダマンタノール類{即ち前記成分(i)〜(iii)}の混合物、水及び反応に用いたクロム酸の塩や有機酸の塩、並びに各種の反応副生成物からなる原料粗液を得ることができる。
【0027】
本発明の製造方法では、原料粗液から成分(i)アダマンタントリオール類を抽出する際に抽出溶媒として酢酸エチルを使用し、更に抽出操作を該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に行なう必要がある。抽出溶媒として酢酸エチルを使用することにより、成分(i)のアダマンタントリオール類と成分(iii)のアダマンタンテトラオールを始めとする価数4以上のアダマンタノール類とを効率的に分離することが可能となり(従来法では両者を分離するのは困難であった)、前記成分(i)及び(ii)を含み前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得ることができる。また、特定量の酢酸及び/又はアルコール類の共存させることにより、よりアダマンタントリオール類の抽出効率を高くすることができ、酢酸エチルの使用量を低減することが可能となる。
【0028】
前記抽出工程で使用する酢酸エチルとしては試薬或いは工業的に入手容易なものが何ら制限はなく使用できる。使用する酢酸エチルの量は特に制限されないが、あまり量が少ないと水相と分液せず、あまり量が多すぎても経済的ではないため、通常はアダマンタントリオール類1モルに対して10〜5000モル、特に100〜2000モル使用するのが好適である。
【0029】
前記抽出工程で使用する酢酸およびアルコール類としては試薬或いは工業的に入手容易なものが何ら制限はなく使用できるが、効果の観点から酢酸又は炭素数1〜7のアルコール類を使用するのが好適である。本発明で好適に使用できるアルコール類を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられるがこの限りではない。共存させる酢酸及び/又はアルコール類の量は酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の範囲である必要がある。共存量が0.5質量%未満の場合には抽出効率は向上せず、5質量%を超える場合には価数4以上のアダマンタンポリオール類または水溶液に各種の酸やその塩が含まれている場合には、酸やその塩が酢酸エチル相へ分配され、アダマンタントリオール類の純度が低下する。効果の観点から、共存させる酢酸及び/又はアルコール類の量は酢酸エチルに対して0.7〜4.5質量%、特に0.9〜4.3質量%であるのが好適である。なお、酢酸及び/又はアルコール類の添加時期は抽出操作前であれば特に限定されず、あらかじめ酢酸エチルもしくは原料粗液のどちらか一方若しくは両方に添加すればよい。また、前記したクロム酸を用いたアダマンタン類の酸化反応の反応液を中和する方法により原料粗液を得る場合、有機酸として酢酸を用いた場合には、酢酸が上記のような量残存するように中和すれば新たに酢酸を添加する必要はない。
【0030】
抽出条件は特に限定されず、例えば原料粗液と所定量の酢酸エチルとを混合し、高速攪拌等を行うことにより両者を良好に接触させることにより成分(i)を酢酸エチル層に抽出し、その後、静置して水層と有機層(酢酸エチル層)とに2層分離させ、分液操作により抽出液としての有機層を回収すれればよい。原料粗液にアダマンタンモノオール類やアダマンタンジオール類が含まれている場合には、アダマンタントリオール類と一緒にこれらも酢酸エチルに抽出される。また、抽出操作に用いる装置も特に限定されず、公知の各種液液抽出装置を使用することができる。このとき、抽出時の液温は特に限定されないが、抽出効率が高く使用する酢酸エチル量を低減することができるという理由から、抽出時の原料粗液及び酢酸エチルの温度は30〜77℃の範囲、特に40〜70℃に制御するのが好適である。一度にすべての酢酸エチルを用いてもよいが、1バッチごとの収量を向上させるという観点から、2〜5回に分けて抽出を繰り返すことが好適である。
【0031】
但し、抽出操作を分けて多段で行う場合、抽出回数が増えるにしたがい被抽出液中に含まれる成分(i)の含有量が少なくなることに注意する必要がある。即ち、前記抽出工程が、被抽出液と酢酸エチルからなる抽出溶媒とを混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後に抽出液である酢酸エチル層と水層とをそれぞれ分離回収する一連の抽出操作を繰り返す多段の抽出工程であり、当該抽出工程の最初の抽出操作で使用する被抽出液が原料粗液であり、2回目以降の抽出操作で使用する被抽出液が前段の抽出操作で回収された水層である場合、各抽出操作における被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15〜80質量%であり、且つ該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%以上である場合には被抽出液と酢酸エチルとの混合を該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に行い、各抽出操作で使用する被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15質量%未満であるか又は該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%未満となった場合には酢酸エチルによる抽出操作を該酢酸エチルに対して0.5質量%未満の酢酸及び/又はアルコール類の共存下又は非共存下に行う必要がある。
【0032】
酢酸及びアルコール類は酢酸エステルに可溶であり、その一部は抽出液と共に分液されるため、分液後に残った水層中の酢酸及びアルコール類の濃度は大幅に低下する。したがって、上記のような条件は、最初の抽出操作を酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール共存下に行い、2回目以降の抽出操作では、系内に新たな酢酸及び/又はアルコールを加えることなく被抽出液と酢酸エチルとの混合を行なうことにより実現されることが多い。抽出工程が多段である場合、各段(各抽出操作)で得られた抽出液は、全てを混合して次工程である分離工程に供してもよいし、別々に分離工程に供してもよい。さらには別のバッチで得られた抽出液と混合して分離工程に供することもできる。
【0033】
本発明の製造方法は、抽出工程で得られた抽出液から成分(i)のアダマンタントリオールと他の成分{同時に抽出された成分(ii)、抽出液である酢酸エチル、抽出時に加えられた酢酸やアルコール類等}とを分離する分離工程を含む。抽出液からアダマンタントリオールを分離する方法は特に限定されないが、操作が簡便であるという理由から、成分(i)のアダマンタントリオールを晶出させ、ろ過等によりその結晶を回収する方法を採用するのが好適である。アダマンタントリオールを晶出させるには、抽出液をそのまま或いは濃縮後に必要に応じて冷却して放置しアダマンタントリオール類を析出させるか、或いは溶媒交換してアダマンタントリオール類を晶析させればよい。
【0034】
抽出液をそのまま或いは濃縮後に必要に応じて冷却して放置しアダマンタントリオール類を析出させる場合には、抽出液を室温(15℃〜30℃程度)で放置することによりアダマンタントリオール類が析出するが、析出時間を短縮するために氷冷などにより冷却してもよい。また、使用する酢酸エチルが過剰な場合は酢酸エチルを濃縮し、結晶を析出させることも好適である。抽出液には成分(ii)であるアダマンタモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類が含まれているが、これらは酢酸エチルに対する溶解度がアダマンタントリオール類に比べて極めて高いため、アダマンタントリオール類とともにこれら析出してくることはほとんどない。抽出液中に含まれるアダマンタンジオール類が多い場合には析出したアダマンタントリオール類中にアダマンタンジオール類が不純物として混入することがあるが、結晶を液相と分離した後に、アダマンタンジオール類は溶解するがアダマンタントリオール類をほとんど溶解しない溶媒で再結晶もしくは洗浄することにより、アダマンタンジオール類の含有割合を低減させる事ができる。このような溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の脂環式エーテル類が使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
製造例1
500mlの4つ口フラスコに1,3−アダマンタンジオール25g(0.15mol)と酢酸178gを入れ90℃に攪拌しながら、三酸化クロム60g(0.6mol)を水42mlに溶解したクロム酸水溶液を、反応液温度を90℃付近に保ちつつ滴下した。その後、90℃で2時間反応した。反応液からロータリーエバポレーターで酢酸と水を減圧留去し、留出がなくなったことを確認し、終了した。得られた粘稠液体に水200mlを加え、氷冷下、水酸化ナトリウム28g(0.7mol)を投入し中和し、溶液452gを得た。該溶液を原料粗液とした。
【0037】
なお、該原料粗液についてのガスクロマトグラフィー分析結果および後述する実施例1で酢酸エチル抽出後の水層をTHFで抽出した液のガスクロマトグラフィー分析結果から、該原料粗液中にはアダマンタンジオールが0.040mol、アダマンタントリオールが0.088mol、アダマンタンテトラオールが0.015mol含まれていることが確認された。
【0038】
実施例1
酢酸エチル830mlに酢酸30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、酢酸を添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルの添加は行なわなかった。そのときの抽出結果を表1に示す。なお、表中の数字は、内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行ったときの1,3,5−アダマンタントリオールの量である。さらに、表中括弧内の数字は1,3,5−アダマンタントリオールの合計量を100%としたときの各回抽出時の抽出率である。また、各抽出液についてガスクロマトグラフィーにより酢酸量を分析した結果から2〜4回目における抽出操作における酢酸の酢酸エチルに対する共存量はそれぞれ0.9質量%(2回目:抽出2)、0.05質量%(3回目:抽出3)及び0.001質量%(4回目:抽出4)であった。また、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.01質量%(抽出2)、0.24質量%(抽出3)及び0.05質量%(4回目:抽出4)であった。さらに、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々38.2質量%(抽出2)、20.3質量%(抽出3)及び4.6質量%(4回目:抽出4)であった。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示されるように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.6%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.52g(収率51%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.5%であった。
【0041】
比較例1
製造例1で得られた反応溶液151gに酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1の結果のように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.7%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.45g(収率50%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が99.1%であった。
【0042】
実施例2
酢酸エチル830mlにエタノール30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、エタノールを添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルの添加は行なわなかった。そのときの抽出結果を表1に示す。なお、各抽出液についてガスクロマトグラフィーによりエタノール量を分析した結果から2〜4回目における抽出操作におけるエタノールの酢酸エチルに対する共存量はそれぞれ0.8質量%(2回目)、0.08質量%(3回目)及び0.004質量%(4回目)であった。また、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.04質量%(抽出2)、0.20質量%(抽出3)及び0.01質量%(4回目:抽出4)であった。さらに、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々46.2質量%(抽出2)、26.7質量%(抽出3)及び2.37質量%(4回目:抽出4)であった。
【0043】
表1に示すように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.2%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.59g(収率52%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.7%であった。
【0044】
比較例2
酢酸エチル830mlにエタノール75g(酢酸エチルに対して10質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、エタノールを添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルへの添加は行なわなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷したが結晶は析出しなかったため、溶媒を留去し、テトラヒドロフランで再結晶をした。その結果、緑色結晶が4.83g得られ、ガスクロマトグラフィー純度は1,3,5−アダマンタントリオールが98.7%であった。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が66%に過ぎなかった。
【0045】
製造例2
製造例1と同様な方法で反応を行い、溶液460gを得、これを以降の比較例の原料粗液として用いた。なお、その組成は製造例1で得たものと殆ど同じであった。
【0046】
比較例3
製造例2で得られた反応溶液151gに酢酸0.75g(酢酸エチルに対して0.1質量%)を添加した酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1の結果のように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.5%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.17g(収率46%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が99.0%であった。
【0047】
比較例4
製造例2で得られた反応溶液151gにエタノール0.75g(酢酸エチルに対して0.1質量%)を添加した酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1に示されるように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.2%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.24g(収率47%)が取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.9%であった。
【0048】
比較例5
酢酸エチル830mlに酢酸30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として、各々、ガスクロマトグラフィーにより酢酸量を定量した後、酢酸エチル830mlに対して4質量%となるように酢酸を添加したものを用いて抽出操作を3回行った。そのときの抽出結果を表1に示す。表1に示されるように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷したが結晶は析出しなかったため、溶媒を留去し、テトラヒドロフランで再結晶をした。その結果、深緑色結晶が4.97g得られ、ガスクロマトグラフィー純度は1,3,5−アダマンタントリオールが98.7%であった。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純度が59%に過ぎなかった。なお、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.00質量%(抽出2)、0.003質量%(抽出3)及び0.0001質量%(4回目:抽出4)であり、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々53.3質量%(抽出2)、0.48質量%(抽出3)及び0.012質量%(4回目:抽出4)であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、最終的に有機層中から固体状態のアダマンタントリオール類を回収するので、水層から固体状態のアダマンタントリオール類を回収する場合と比べて、操作が簡便で要するエネルギーも少なくて済む。また、原料粗液から酢酸エチルを用いてアダマンタントリオール類を抽出する場合も、特定量の酢酸或いはアルコール類を共存させることにより抽出効率を高くすることができ、抽出溶媒の使用量を低減することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダマンタントリオール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタトリオール類は、光学材料、合成潤滑油、医農薬などの原料として有用であり、例えば高級カルボン酸トリエステル化することにより温度特性に優れたエンジン油やギヤ油、油圧作動油などの高性能合成潤滑油が得られることが知られている(特許文献1参照)。また、アダマンタントリオール類が有する3つのヒドロキシル基の内の1つを利用してアクリル基もしくはメタクリル基を導入して得られる重合性単量体は、その重合体又は共重合体が耐熱性、光透過性、光屈折率、耐衝撃性等の点で優れた特性を示すという理由から、めがね、コンタクトレンズ、カメラレンズ等のレンズ類、プリズム類、記録用感光材、光ファイバー等の光学繊維、ビデオディスクやコンパクトディスク等のディスク類等の各種光学用品の材料として期待されている(特許文献2参照)。
【0003】
アダマンタントリオール類の製造方法としては、N−ヒドロキシフタルイミドを触媒として、アダマンタン類を酸素酸化する方法(特許文献3、4および5参照)、ルテニウム化合物存在下でアダマンタン類と次亜塩素酸又はその塩とを有機溶媒/水の2相系で反応させる方法(特許文献6参照)、第3級アミン化合物の存在下、臭素化アダマンタン類を加水分解する方法(特許文献7参照)、水系溶媒中でアダマンタン類を3〜8当量のクロム酸により酸化する方法(特許文献1、8参照)などが知られている。
【0004】
これら方法では、アダマンタン環に導入される水酸基の数を制御してアダマンタントリオール類を選択的に合成することはできず、通常、反応生成物中には目的物であるアダマンタントリオール類の他にアダマンタンモノオール類、アダマンタンジオール類、アダマンタンテトラオール類等の他のアダマンタノールが含まれる。このため、アダマンタントリオール類を単離するためには互いに価数の異なる複数種のアダマンタノール類の混合物を含む反応液からアダマンタントリオール類を分離する必要がある。
【0005】
上記反応液のような、複数種のアダマンタノール類の混合物を溶質若しくは分散物として含む液状組成物(以下、単に粗液ともいう)から各種アダマンタノール類を分離回収する方法として幾つかの方法が知られているが、何れの方法を用いてもアダマンタントリオール類を選択的に効率よく分離することは困難である。例えば、価数1以上の複数種のアダマンタノール類の混合物に水と有機溶媒とを加え、2以上の価数のアダマンタノール類を水層に抽出し、分離された当該水層に炭素数4〜8のアルコールを加えてアダマンタンジオール類をアルコール層に抽出する方法(特許文献9参照)や価数1以上の複数種のアダマンタノール類を含む水系の粗液から1価若しくは2価のアダマンタノール類を析出(晶析)させて分離する方法(特許文献10参照)が知られているが、これら方法ではアダマンタントリオール類以上の多価アダマンタノールは全て水相中に存在することになる。このため、アダマンタントリオール類を単離するためには更なる分離操作が必要となる。また、仮に水層中に含まれるアダマンタノール類の殆どがアダマンタントリオール類であったとしても、アダマンタントリオール類を固体状態で取り出すためには水の除去が必要であり、これは有機溶媒の溶液からアダマンタントリオール類を固体状態で取り出すのに比べて、操作が煩雑でありエネルギー的にも不利である。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−104553号公報
【特許文献2】
特開昭63−033350号公報
【特許文献3】
特開平8−38909号公報
【特許文献4】
特開平9−327626号公報
【特許文献5】
特開平10−286467号公報
【特許文献6】
特開2001−335519号公報
【特許文献7】
特開平2−196744号公報
【特許文献8】
特開昭42−16621号公報
【特許文献9】
特開2001−26563号公報
【特許文献10】
特開平10−204014号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、粗液からアダマンタントリオール類を効率よく分離する方法はこれまで知られていなかった。そこで、本発明は、粗液からアダマンタントリオール類を効率よく分離する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、水系の粗液を酢酸エチルと接触させた場合には価数3以下のアダマンタノールが有機層(酢酸エチル層)に抽出され、有機層を分離後に冷却するとアダマンタントリオール類が選択的に析出することを見出し、この現象を利用したアダマンタントリオール類の分離方法を開発している(特願2002−139814号)。
【0009】
上記方法は操作が単純であり、得られるアダマンタントリオール類の純度が高いという優れた特徴を有し、アダマンタントリオール類の工業的な製造における分離工程として有用なものである。しかしながら、酢酸エチルに対するアダマンタントリオール類の溶解性は低いため、アダマンタントリオール合成反応で得られる反応液のようにアダマンタントリオール類を多く含む粗液に上記方法を適用する場合には、抽出溶媒(酢酸エチル)の使用量が多くなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題のないアダマンタントリオール類の製造方法を提供することを目的とするものであり、該目的は下記抽出工程及び分離工程を含むことにより達成される。
【0011】
抽出工程: (i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が水又は水溶液に溶解及び/又は分散した液状組成物からなり、該液状組成物中に含まれる前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%であり、且つ該液状組成物中に含まれる前記成分(i)の量が全液状組成物質量を基準として0.5質量%以上である原料粗液と、酢酸エチルからなる抽出溶媒とを、該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とを分離し、次いで酢酸エチル層を回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得る工程。
【0012】
分離工程: 前記抽出工程で得られた抽出液からアダマンタントリオールを分離する工程。
【0013】
本発明の製造方法は、酢酸エチルを用いた抽出操作の際に適量の酢酸及び/又はアルコール類を共存させた場合には価数4以上のアダマンタノールの酢酸エチル層への分配率に影響を与えることなくアダマンタントリオール類の酢酸エチルへの分配率を向上するという知見に基づくものであり、抽出工程における酢酸エチルの使用量が低減できるという効果ばかりでなく、その後の析出(晶析)工程で得られるアダマンタントリオール類がより高純度のものとなるという効果が得られる。
【0014】
【発明実施の形態】
本発明の製造方法は、(i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が水又は水溶液に溶解及び/又は分散した液状組成物からなり、該液状組成物中に含まれるこれら前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%であり、且つ該液状組成物中に含まれる前記成分(i)の量が全液状組成物質量を基準として0.5質量%以上である原料粗液と酢酸エチルからなる抽出溶媒とを該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とに層分離させ、次いで層分離した酢酸エチル層を分離回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得る抽出工程を含む。
【0015】
上記抽出工程で使用する原料粗液には目的物となる(i)アダマンタントリオール類が含まれる必要がある。当該アダマンタントリオール類とは、アダマンタン骨格に3個の水酸基が結合した化合物を意味する。3個の水酸基の結合位置は特に限定されず、また、水酸基以外に置換基を有していてもよい。その有用性の観点から好ましいアダマンタントリオール類としては、下記式(I)
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、Rはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基であり、nは3であり、mは0〜4の整数であり、mが2以上のとき複数のRは互いに異なっていてもよい。)
で示される化合物を挙げることができる。
【0018】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基等の炭素数6〜10のアリールオキシ基が、アシルオキシ基としてはアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜7のアシルオキシ基が挙げられる。
【0019】
本発明で好適なアダマンタントリオール類を具体的に示せば、1,3,5−アダマンタントリオール、7−メチルアダマンタン−1,3,5−トリオール、7−メトキシメチルアダマンタン−1,3,5−トリオール、7−ブロモアダマンタン−1,3,5−トリオール等を挙げることができる。
【0020】
また、原料粗液にはアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類として、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が含まれる。これらは、通常アダマンタントリオール類の反応副生物であるので、例えばアダマンタントリオールが前記式(I)で示される化合物である場合には当該他のアダマンタノールは前記式(I)においてnが1、2又は4である化合物となる。これら成分を含有しない場合には、本発明によらなくとも別の方法で効率よく目的物である成分(i)を得ることができ、本発明の優位性が特に認められない。
【0021】
本発明で使用する原料粗液中に含まれる前記成分(i)〜(iii)における前記成分(i)の含有割合は、(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準として15〜80質量%、好適には20〜70質量%である必要がある。(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準とする(i)の含有割合が80質量%を超える場合には、成分(i)をそのような高い割合で含む原料粗液を得ること自体が困難である。また、同(i)の含有割合が15質量%未満の場合には、最終的に得られる成分(i)の純度が低いものとなってしまう。原料粗液中に含まれる成分(ii)及び(iii)の含有割合は、上記条件を満足する限り特に限定されないが、通常は(i)〜(iii)の成分の合計質量を基準とする成分(ii)の含有割合は2〜84.9質量%であり、同成分(iii)の含有割合は0.1〜18質量%である。なお、原料粗液においては、前記分離工程後に得られる成分(i)アダマンタントリオール類の純度が高くなるという理由から、原料粗液中に含まれるアダマンタンジオール類の量はアダマンタントリオール類1モルに対して0.7モル以下、特に0.5モル以下であるのが好適である。
【0022】
原料粗液の溶媒若しくは分散媒は水若しくは水溶液であるが、これはアダマンタントリオール類の合成反応が通常水系溶媒中で行なわれることによる。ここで、水溶液は前記成分(i)〜(iii)の溶媒若しくは分散媒としての水溶液であるので、当該水溶液の水外の成分は前記成分(i)〜(iii)以外の物質であって水に溶解するものであれば特に限定されず、例えばアダマンタントリオール類の合成反応において反応系に添加される水溶性の物質である酢酸等が使用できる。これら物質の含有量は特に限定されないが、通常は水100重量部に対して1〜300重量部の範囲である。
【0023】
本発明で使用する原料粗液中に含まれる前記成分(i)の量(濃度)は原料粗液の全質量を基準として0.5質量%以上である必要がある。原料粗液中に含まれる前記成分(i)の濃度が0.5質量%未満の場合には抽出効率が悪いばかりでなく、最終的に得られる成分(i)の純度が低下することがある。抽出効率および純度の点から、原料粗液中の成分(i)アダマンタントリオール類の濃度は、0.5〜20重量%、特に1〜15重量%となるような量であるのが好適である。
【0024】
また、本発明で使用する原料粗液には前記成分(i)〜(iii)以外の成分が含まれていてもよい、このような成分としてはアダマンタン類{例えば前記式(I)においてn=0である化合物}、価数5以上のアダマンタンポリオール類{例えば前記式(I)においてn≧5である化合物}の他、アダマンタントリオール合成反応で使用する各種反応試剤、触媒などを挙げることができる。
【0025】
前記抽出工程で使用する原料粗液は、水又は水溶液にアダマンタントリオール類及びアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類が溶解及び/又は分散した液であれば特に限定されず、例えば従来技術として示したアダマンタントリオール類の各種製造方法において得られる反応液がそのまま或いは該反応液に濃縮や希釈等の操作を加えたもの(以下、単に反応液等ともいう)が好適に使用できる。本発明においては、工業的に入手が容易なアダマンタンを原料とし、しかもアダマンタントリオール類が容易に得られるという理由から、上記反応液等の中でも、水系溶媒中でアダマンタン類に対して9〜50当量のクロム酸を用いて酸化して得られるアダマンタントリオール類及びアダマンタントリオール類以外のアダマンタノール類を含む反応液を処理して得られる処理液を原料粗液として使用するのが特に好適である。
【0026】
この方法では、酢酸、プロピオン酸等の有機酸の水溶液中でアダマンタン類に対して9〜50当量のクロム酸を60〜120℃の温度範囲で30分〜6時間作用させることにより価数1〜4のアダマンタノール類の混合物が得られる。このとき、アダマンタン類としては目的物となるアダマンタントリオール類の構造に応じてその水酸基が水素原子に置換した構造のもの、例えば目的とするアダマンタントリールが前記式(I)で示される化合物である場合には、該式(I)においてnが0であるものが使用できる。上記反応において、使用する有機酸の量はアダマンタン類1モルに対し5〜50モルであるのが好適であり、また水の量は有機酸の濃度が30〜99質量%となる量であるのが好適である。このようにして得られた反応液はそのまま原料粗液とすることもできるが、使用する酸化剤の酸化力を低下させ副反応を制御する目的から、該反応液を水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液で中和したものを原料粗液とするのが好適である。このとき、中和に用いる塩基の量を少なくできるという理由から、中和に先立ってロータリーエバポレーター等の装置により反応に用いた有機酸をできるだけ除去するのが好ましい。また、中和は必ずしも完全に行なう必要はない。なお、有機酸を除去した後に反応液中のアダマンタノール類等の混合物が固体や粘稠な液体となった場合には、当該混合物を水系溶媒に溶解又は分散させればよい。このような方法により価数1〜4のアダマンタノール類{即ち前記成分(i)〜(iii)}の混合物、水及び反応に用いたクロム酸の塩や有機酸の塩、並びに各種の反応副生成物からなる原料粗液を得ることができる。
【0027】
本発明の製造方法では、原料粗液から成分(i)アダマンタントリオール類を抽出する際に抽出溶媒として酢酸エチルを使用し、更に抽出操作を該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に行なう必要がある。抽出溶媒として酢酸エチルを使用することにより、成分(i)のアダマンタントリオール類と成分(iii)のアダマンタンテトラオールを始めとする価数4以上のアダマンタノール類とを効率的に分離することが可能となり(従来法では両者を分離するのは困難であった)、前記成分(i)及び(ii)を含み前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得ることができる。また、特定量の酢酸及び/又はアルコール類の共存させることにより、よりアダマンタントリオール類の抽出効率を高くすることができ、酢酸エチルの使用量を低減することが可能となる。
【0028】
前記抽出工程で使用する酢酸エチルとしては試薬或いは工業的に入手容易なものが何ら制限はなく使用できる。使用する酢酸エチルの量は特に制限されないが、あまり量が少ないと水相と分液せず、あまり量が多すぎても経済的ではないため、通常はアダマンタントリオール類1モルに対して10〜5000モル、特に100〜2000モル使用するのが好適である。
【0029】
前記抽出工程で使用する酢酸およびアルコール類としては試薬或いは工業的に入手容易なものが何ら制限はなく使用できるが、効果の観点から酢酸又は炭素数1〜7のアルコール類を使用するのが好適である。本発明で好適に使用できるアルコール類を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられるがこの限りではない。共存させる酢酸及び/又はアルコール類の量は酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の範囲である必要がある。共存量が0.5質量%未満の場合には抽出効率は向上せず、5質量%を超える場合には価数4以上のアダマンタンポリオール類または水溶液に各種の酸やその塩が含まれている場合には、酸やその塩が酢酸エチル相へ分配され、アダマンタントリオール類の純度が低下する。効果の観点から、共存させる酢酸及び/又はアルコール類の量は酢酸エチルに対して0.7〜4.5質量%、特に0.9〜4.3質量%であるのが好適である。なお、酢酸及び/又はアルコール類の添加時期は抽出操作前であれば特に限定されず、あらかじめ酢酸エチルもしくは原料粗液のどちらか一方若しくは両方に添加すればよい。また、前記したクロム酸を用いたアダマンタン類の酸化反応の反応液を中和する方法により原料粗液を得る場合、有機酸として酢酸を用いた場合には、酢酸が上記のような量残存するように中和すれば新たに酢酸を添加する必要はない。
【0030】
抽出条件は特に限定されず、例えば原料粗液と所定量の酢酸エチルとを混合し、高速攪拌等を行うことにより両者を良好に接触させることにより成分(i)を酢酸エチル層に抽出し、その後、静置して水層と有機層(酢酸エチル層)とに2層分離させ、分液操作により抽出液としての有機層を回収すれればよい。原料粗液にアダマンタンモノオール類やアダマンタンジオール類が含まれている場合には、アダマンタントリオール類と一緒にこれらも酢酸エチルに抽出される。また、抽出操作に用いる装置も特に限定されず、公知の各種液液抽出装置を使用することができる。このとき、抽出時の液温は特に限定されないが、抽出効率が高く使用する酢酸エチル量を低減することができるという理由から、抽出時の原料粗液及び酢酸エチルの温度は30〜77℃の範囲、特に40〜70℃に制御するのが好適である。一度にすべての酢酸エチルを用いてもよいが、1バッチごとの収量を向上させるという観点から、2〜5回に分けて抽出を繰り返すことが好適である。
【0031】
但し、抽出操作を分けて多段で行う場合、抽出回数が増えるにしたがい被抽出液中に含まれる成分(i)の含有量が少なくなることに注意する必要がある。即ち、前記抽出工程が、被抽出液と酢酸エチルからなる抽出溶媒とを混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後に抽出液である酢酸エチル層と水層とをそれぞれ分離回収する一連の抽出操作を繰り返す多段の抽出工程であり、当該抽出工程の最初の抽出操作で使用する被抽出液が原料粗液であり、2回目以降の抽出操作で使用する被抽出液が前段の抽出操作で回収された水層である場合、各抽出操作における被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15〜80質量%であり、且つ該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%以上である場合には被抽出液と酢酸エチルとの混合を該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に行い、各抽出操作で使用する被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15質量%未満であるか又は該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%未満となった場合には酢酸エチルによる抽出操作を該酢酸エチルに対して0.5質量%未満の酢酸及び/又はアルコール類の共存下又は非共存下に行う必要がある。
【0032】
酢酸及びアルコール類は酢酸エステルに可溶であり、その一部は抽出液と共に分液されるため、分液後に残った水層中の酢酸及びアルコール類の濃度は大幅に低下する。したがって、上記のような条件は、最初の抽出操作を酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール共存下に行い、2回目以降の抽出操作では、系内に新たな酢酸及び/又はアルコールを加えることなく被抽出液と酢酸エチルとの混合を行なうことにより実現されることが多い。抽出工程が多段である場合、各段(各抽出操作)で得られた抽出液は、全てを混合して次工程である分離工程に供してもよいし、別々に分離工程に供してもよい。さらには別のバッチで得られた抽出液と混合して分離工程に供することもできる。
【0033】
本発明の製造方法は、抽出工程で得られた抽出液から成分(i)のアダマンタントリオールと他の成分{同時に抽出された成分(ii)、抽出液である酢酸エチル、抽出時に加えられた酢酸やアルコール類等}とを分離する分離工程を含む。抽出液からアダマンタントリオールを分離する方法は特に限定されないが、操作が簡便であるという理由から、成分(i)のアダマンタントリオールを晶出させ、ろ過等によりその結晶を回収する方法を採用するのが好適である。アダマンタントリオールを晶出させるには、抽出液をそのまま或いは濃縮後に必要に応じて冷却して放置しアダマンタントリオール類を析出させるか、或いは溶媒交換してアダマンタントリオール類を晶析させればよい。
【0034】
抽出液をそのまま或いは濃縮後に必要に応じて冷却して放置しアダマンタントリオール類を析出させる場合には、抽出液を室温(15℃〜30℃程度)で放置することによりアダマンタントリオール類が析出するが、析出時間を短縮するために氷冷などにより冷却してもよい。また、使用する酢酸エチルが過剰な場合は酢酸エチルを濃縮し、結晶を析出させることも好適である。抽出液には成分(ii)であるアダマンタモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類が含まれているが、これらは酢酸エチルに対する溶解度がアダマンタントリオール類に比べて極めて高いため、アダマンタントリオール類とともにこれら析出してくることはほとんどない。抽出液中に含まれるアダマンタンジオール類が多い場合には析出したアダマンタントリオール類中にアダマンタンジオール類が不純物として混入することがあるが、結晶を液相と分離した後に、アダマンタンジオール類は溶解するがアダマンタントリオール類をほとんど溶解しない溶媒で再結晶もしくは洗浄することにより、アダマンタンジオール類の含有割合を低減させる事ができる。このような溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の脂環式エーテル類が使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
製造例1
500mlの4つ口フラスコに1,3−アダマンタンジオール25g(0.15mol)と酢酸178gを入れ90℃に攪拌しながら、三酸化クロム60g(0.6mol)を水42mlに溶解したクロム酸水溶液を、反応液温度を90℃付近に保ちつつ滴下した。その後、90℃で2時間反応した。反応液からロータリーエバポレーターで酢酸と水を減圧留去し、留出がなくなったことを確認し、終了した。得られた粘稠液体に水200mlを加え、氷冷下、水酸化ナトリウム28g(0.7mol)を投入し中和し、溶液452gを得た。該溶液を原料粗液とした。
【0037】
なお、該原料粗液についてのガスクロマトグラフィー分析結果および後述する実施例1で酢酸エチル抽出後の水層をTHFで抽出した液のガスクロマトグラフィー分析結果から、該原料粗液中にはアダマンタンジオールが0.040mol、アダマンタントリオールが0.088mol、アダマンタンテトラオールが0.015mol含まれていることが確認された。
【0038】
実施例1
酢酸エチル830mlに酢酸30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、酢酸を添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルの添加は行なわなかった。そのときの抽出結果を表1に示す。なお、表中の数字は、内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行ったときの1,3,5−アダマンタントリオールの量である。さらに、表中括弧内の数字は1,3,5−アダマンタントリオールの合計量を100%としたときの各回抽出時の抽出率である。また、各抽出液についてガスクロマトグラフィーにより酢酸量を分析した結果から2〜4回目における抽出操作における酢酸の酢酸エチルに対する共存量はそれぞれ0.9質量%(2回目:抽出2)、0.05質量%(3回目:抽出3)及び0.001質量%(4回目:抽出4)であった。また、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.01質量%(抽出2)、0.24質量%(抽出3)及び0.05質量%(4回目:抽出4)であった。さらに、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々38.2質量%(抽出2)、20.3質量%(抽出3)及び4.6質量%(4回目:抽出4)であった。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示されるように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.6%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.52g(収率51%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.5%であった。
【0041】
比較例1
製造例1で得られた反応溶液151gに酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1の結果のように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.7%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.45g(収率50%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が99.1%であった。
【0042】
実施例2
酢酸エチル830mlにエタノール30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、エタノールを添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルの添加は行なわなかった。そのときの抽出結果を表1に示す。なお、各抽出液についてガスクロマトグラフィーによりエタノール量を分析した結果から2〜4回目における抽出操作におけるエタノールの酢酸エチルに対する共存量はそれぞれ0.8質量%(2回目)、0.08質量%(3回目)及び0.004質量%(4回目)であった。また、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.04質量%(抽出2)、0.20質量%(抽出3)及び0.01質量%(4回目:抽出4)であった。さらに、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々46.2質量%(抽出2)、26.7質量%(抽出3)及び2.37質量%(4回目:抽出4)であった。
【0043】
表1に示すように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.2%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.59g(収率52%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.7%であった。
【0044】
比較例2
酢酸エチル830mlにエタノール75g(酢酸エチルに対して10質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として酢酸エチル830mlを用いて抽出操作を3回行った。なお、エタノールを添加したのは初回の抽出操作時のみであり、2回目以降は酢酸エチルへの添加は行なわなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷したが結晶は析出しなかったため、溶媒を留去し、テトラヒドロフランで再結晶をした。その結果、緑色結晶が4.83g得られ、ガスクロマトグラフィー純度は1,3,5−アダマンタントリオールが98.7%であった。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が66%に過ぎなかった。
【0045】
製造例2
製造例1と同様な方法で反応を行い、溶液460gを得、これを以降の比較例の原料粗液として用いた。なお、その組成は製造例1で得たものと殆ど同じであった。
【0046】
比較例3
製造例2で得られた反応溶液151gに酢酸0.75g(酢酸エチルに対して0.1質量%)を添加した酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1の結果のように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.5%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.17g(収率46%)取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が99.0%であった。
【0047】
比較例4
製造例2で得られた反応溶液151gにエタノール0.75g(酢酸エチルに対して0.1質量%)を添加した酢酸エチル830mlを接触させ、60℃で抽出を4回行った。抽出結果を表1に示した。表1に示されるように1回目〜4回目の抽出を行わないと、ほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収されなかった。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷した結果、ガスクロマトグラフィー純度が99.2%の白色結晶の1,3,5−アダマンタントリオール3.24g(収率47%)が取得された。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純分が98.9%であった。
【0048】
比較例5
酢酸エチル830mlに酢酸30g(酢酸エチルに対して4質量%)を添加したものを製造例1で得られた原料粗液151gに接触させ、60℃で抽出を行なった。その後、分離された水層を被抽出液として、各々、ガスクロマトグラフィーにより酢酸量を定量した後、酢酸エチル830mlに対して4質量%となるように酢酸を添加したものを用いて抽出操作を3回行った。そのときの抽出結果を表1に示す。表1に示されるように1回目と2回目の抽出でほとんどの1,3,5−アダマンタントリオールが回収された。得られた酢酸エチル相を集め、室温に放冷したが結晶は析出しなかったため、溶媒を留去し、テトラヒドロフランで再結晶をした。その結果、深緑色結晶が4.97g得られ、ガスクロマトグラフィー純度は1,3,5−アダマンタントリオールが98.7%であった。内部標準として1−アダマンタノールを使用してガスクロマトグラフィーにより定量を行った結果、1,3,5−アダマンタントリオールの純度が59%に過ぎなかった。なお、抽出2〜4で用いた被抽出液中の1,3,5−アダマンタントリオールの濃度は、夫々1.00質量%(抽出2)、0.003質量%(抽出3)及び0.0001質量%(4回目:抽出4)であり、抽出2〜4で用いた被抽出液中の全アダマンタノール類中に占める1,3,5−アダマンタントリオールの割合は、夫々53.3質量%(抽出2)、0.48質量%(抽出3)及び0.012質量%(4回目:抽出4)であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、最終的に有機層中から固体状態のアダマンタントリオール類を回収するので、水層から固体状態のアダマンタントリオール類を回収する場合と比べて、操作が簡便で要するエネルギーも少なくて済む。また、原料粗液から酢酸エチルを用いてアダマンタントリオール類を抽出する場合も、特定量の酢酸或いはアルコール類を共存させることにより抽出効率を高くすることができ、抽出溶媒の使用量を低減することができる。
Claims (6)
- 下記抽出工程及び分離工程を含むことを特徴とするアダマンタントリオール類の製造方法。
抽出工程: (i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類が水又は水溶液に溶解及び/又は分散した液状組成物からなり、該液状組成物中に含まれる前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%であり、且つ該液状組成物中に含まれる前記成分(i)の量が全液状組成物質量を基準として0.5質量%以上である原料粗液と、酢酸エチルからなる抽出溶媒とを、該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とを分離し、次いで酢酸エチル層を回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得る工程。
分離工程: 前記抽出工程で得られた抽出液からアダマンタントリオールを分離する工程。 - 前記抽出工程が、被抽出液と抽出溶媒である酢酸エチルとを混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後に、抽出液である酢酸エチル層と水層とをそれぞれ分離回収する一連の抽出操作を繰り返す多段の抽出工程であり、当該抽出工程の最初の抽出操作で使用する被抽出液は前記原料粗液であり、2回目以降の抽出操作で使用する被抽出液はその前段の抽出操作で回収された水層であり、各抽出操作で使用する被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15〜80質量%であり、且つ該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%以上である場合には、被抽出液と酢酸エチルとの混合を該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に行い、各抽出操作で使用する被抽出液中に含まれる前記成分(i)の前記成分(i)〜(iii)の合計に占める割合が15質量%未満であるか又は該被抽出液中に含まれる前記成分(i)の量が全被抽出液質量を基準として0.5質量%未満の場合には、被抽出液と酢酸エチルとの混合を該酢酸エチルに対して0.5%未満の酢酸及び/又はアルコール類の共存下又は非共存下に行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記抽出工程が、被抽出液と抽出溶媒である酢酸エチルとを混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後に抽出液である酢酸エチル層と水層とをそれぞれ分離回収する一連の抽出操作を繰り返す多段の抽出工程であり、当該抽出工程の最初の抽出操作で使用する被抽出液は前記原料粗液で、2回目以降の抽出操作で使用する被抽出液はその前段の抽出操作で回収された水層であり、当該抽出工程の2回目以降の抽出操作では、系内に新たな酢酸及び/又はアルコールを加えることなく被抽出液から前記成分(i)の抽出を行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記分離工程がアダマンタントリオールを晶出させる工程を含む請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
- 水系溶媒中でアダマンタン類に対して9〜50当量のクロム酸を用いて酸化して前記成分(i)、(ii)及び(iii)を含む反応液を得る反応工程を更に含み、当該反応工程で得られた反応液をそのまま又は処理して得られる処理液を前記原料粗液として使用することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
- (i)アダマンタントリオール類、(ii)アダマンタンモノオール類及び/又はアダマンタンジオール類並びに(iii)アダマンタンテトラオール類を含み前記成分(i)〜(iii)の合計に占める成分(i)の割合が15〜80質量%である混合物から前記成分(i)を分離する分離方法であって、水又は水溶液に前記混合物が溶解及び/又は分散し、且つ前記成分(i)の全体に対する濃度が0.5質量%以上となる液状組成物を調製し、該液状組成物と酢酸エチルとを、該酢酸エチルに対して0.5〜5質量%の酢酸及び/又はアルコール類の共存下に混合して前記成分(i)を酢酸エチル層に抽出した後、抽出液である酢酸エチル層と水層とに分離し、次いで分離した酢酸エチル層を回収して、前記成分(i)及び(ii)を含み且つ前記成分(iii)を実質的に含まない抽出液を得、更に該抽出液から前記成分(i)を分離することを特徴とするアダマンタントリオール類の分離方法。
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