JP2004354117A - ナビゲーションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、予め複数の走行経路を記憶する手段40と、前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を、操作者に選択可能に表示する手段51と、を有する構成とし、操作者に予定走行経路の候補41a・41b・41c・41dを提供する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬液散布作業車などの作業車両に用いられる、GPS装置(グローバル・ポジショニング・システム)を利用したナビゲーションシステムに関し、より詳しくは、作業車両の走行経路の経路作成に関する。
【0002】
【従来の技術】
GPS装置を利用することにより、農業用の敷地において、薬液散布作業車などの作業車両を所定の走行経路に沿って移動させることにより、効率よく、かつ、確実に作業を行うようにするためのナビゲーションシステムが知られている。
前記走行経路は、作業対象となる敷地の形状に対応して生成されるものであり、このように敷地の形状に対応したものを予定走行経路としている。この予定走行経路の生成に関する技術を開示する文献も存在する(例えば、特許文献1参照。)。
この文献で開示されるところの技術では、敷地の外周部に複数配置される計測用指標(GPS受信局)の情報に基づいて敷地の形状を認識するとともに、該形状に基づいて予定走行経路を生成しようとする技術である。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−178481号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記文献の技術における予定走行経路の生成では、敷地の外周部に複数の計測用指標を配置する必要があり、その設置作業には手間を要するものである。
また、このように計測用指標を配置する構成では、より精度よく敷地の形状を認識するためには、配置する計測用指標の数を増やす必要がある。敷地の形状が複雑である場合にはなおさらである。
そこで、本発明は、適切な予定走行経路を操作者に簡便に決定可能とするとともに、その予定走行経路の生成を簡便かつ確実に決定可能とする技術を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
即ち、請求項1に記載のごとく、所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
予め複数の走行経路を記憶する手段と、
前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を、操作者に選択可能に表示する手段と、を有することである。
【0006】
また、請求項2に記載のごとく、所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
現在位置を検出する位置検出手段と、
現在位置検出結果に基づき走行軌跡を判別する軌跡判別手段と、
作業対象敷地の外周部を走行することを認識する外周部走行認識手段と、
前記走行により当該敷地の作業対象領域を判別する敷地外形判別手段と、
作業領域の判別結果に基づき走行経路を作成する経路生成手段と、を有することである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明のナビゲーションシステムにて利用されるGPS装置の概要を示す図、図2はGPS装置を構成する基準局ユニット及び移動局ユニットの構成を示すブロック図、図3はナビゲーションシステムを適用する薬液散布作業車の構成を示す側面図、図4は同じく平面図、図5はナビゲーションシステムの構成を示すブロック図、図6は表示手段を備える操作パネルを示す図、図7は作業対象敷地及び作業対象領域を示す図、図8は予定走行経路の候補の例を示す図、図9は出入口配置の形態を示す図、図10は広域表示・拡大表示における表示画面を示す図、図11はポップアップ表示の形態を示す図、図12は作業対象敷地条件を入力するための入力画面の形態を示す図、図13は外周部走行による経路生成からナビゲーションまでの画面表示を示す図、図14の(a)は、外周部走行において作業がされた場合における好適な予定走行経路の形態を示す図、図14の(b)は、作業がされない領域について示す図である。
【0008】
まず、本発明に係るナビゲーションシステムにて用いられるGPS(GLobaL Positioning System)について説明する。
図1に示すごとく、高精度に識別された地上側の基準位置には、基準局ユニット104が設置される。
該基準局ユニット104は、少なくとも4個のGPS衛星125からのスペクトラム拡散変調された搬送波信号を受信する用のGPS受信アンテナ114と、そのGPS受信アンテナ114の受信信号を処理して搬送波の位相情報を得るGPS受信機115と、そのGPS受信機115からの基準局ユニット104での搬送波位相情報をGPS送信アンテナ116より送信するGPS送受信機117とを備えている。
一方、GPS装置を利用する車両としての作業車両1には、移動局ユニット103が構成される。
該移動局ユニット103は、前記GPS衛星125からの搬送波信号を受信するGPS受信アンテナ108と、そのGPS受信アンテナ108の受信信号を処理して搬送波位相情報を得るGPS受信機109と、前記基準局ユニット104のGPS送受信機117の送信情報(基準局ユニット104での搬送波位相情報)を受信するデータ受信アンテナ106を備えたデータ送受信機107とから構成される。
【0009】
また、図2に示すごとく、前記基準局ユニット104及び移動局ユニット103の各GPS受信機115・109は、略同一構成とするものであり、それぞれのGPS受信アンテナ114・108で受信した電波信号は、まず高周波信号処理部60・70に入力され低周波数に変換される。その低周波数変換された信号は、C/Aコード解析部61・71にて衛星番号等が解読される。
また、搬送波位相計測部63・73においては、上記衛星番号に応じて作成されるC/Aコードと相関をとって搬送波が再生され、さらに内蔵されるタイマー64・74にて設定時間間隔で搬送波の位相が計測される。
同時に、C/Aコード解析部61・71からの情報に基づいて、航路メッセージ解読部62・72にて衛星位置情報等が判別される。
そして、上記各部からの情報は、それぞれの制御手段である局制御装置65・75に入力され、これら局制御装置65・75によって各基準局ユニット104及び移動局ユニット103での搬送波位相情報が求められる。
【0010】
さらに、基準局ユニット104側の局制御装置65から出力された基準局ユニット104での搬送波位相情報は、地上側のGPS送受信機117→GPS送信アンテナ116→移動局ユニット103側のデータ受信アンテナ106→データ送受信機107といった経緯で移動局ユニット103側の局制御装置75に入力される。
そして、該局制御装置75によって、各ユニット103・104での搬送波位相情報から二重位相差情報を求め、その二重位相差情報に基づいて、基準局ユニット104に対する移動局ユニット103の位置を所定時間間隔の時系列的な位置データとして求め、これにより作業車両1の位置が検出されるようにしている。
以上のようにして、地上側の前記基準局ユニット104と、車両側の移動局ユニット103により、作業車両1の現在位置を検出可能とする、いわゆるRTK‐GPS(リアル・タイム・キネマティック‐グローバル・ポジショニング・システム)としての位置検出手段33が構成される。
【0011】
次に、上述の作業車両1の一例としての薬液散布作業車の構成について説明する。
図3及び図4に示すごとく、作業車両1は、乗用型の走行車両27と、該走行車両27の前部及び側部に配設されたブーム部25と、該走行車両の後部に配設されたポンプ部26と、該ポンプ部26の前部に配設された薬液タンク24等を備えることにより薬液散布作業車に構成されている。
【0012】
前記走行車両27の前部より後方へ向けては、左右一対のメインフレーム6L・6Rが平行に水平方向に延設され、該メインフレーム6L・6Rの前部下方にはフロントアクスルケース15Fを介して前輪7・7が支承され、後部下方にはリアアクスルケース15Rを介して後輪8・8が支承されている。
また、メインフレーム6L・6R上であって走行車両27前部にはエンジン9を被覆するボンネット10が配設されている。該ボンネット10後方のカバー上に操作パネル11が設けられており、該操作パネル11の上方には操向ハンドル12が設けられて、操作パネル11及び操向ハンドル12等で作業車両1の操縦部を構成している。そして、該操作パネル11には、本発明に係るナビゲーションシステム30の表示手段31や、操作手段32が配される構成としている(図4)。
【0013】
また、メインフレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設されており、該薬液タンク24の前側中央には運転席14が形成されて、該薬液タンク24によって側部と後部を取り囲まれるように載置されている。そして、薬液タンク24とボンネット10の間にはステップ13が設けられ、該ステップ13に乗降するための乗降ステップ86・86がメインフレーム6L・6Rに取り付けられている。
【0014】
前記ブーム部25は、薬液を散布するための複数のノズル23・23・・・を有するブーム80と、該ブーム80の昇降や展開を行うための機構より構成されている。
ブーム80は走行車両27の前方に位置する前方ブーム81(図4)と、該前方ブーム81の両端に枢支され、折畳み可能に側方に延設されている左右の側方ブーム82L・82Rから構成されている。そして、該ブーム80には薬液を散布するための複数のノズル23・23・・・が一定間隔をおいて配設されている。
そして、前方ブーム81と側方ブーム82L・82Rの間には、それぞれブーム開閉用シリンダ83・83が介装され、該ブーム開閉用シリンダ83・83を伸縮させることによって、側方ブーム82L・82Rを前方ブーム81と略一直線となるよう左右水平方向へ延設した作業位置と、前後方向で後ろ上がりに位置させた収納位置に回動可能としている。
【0015】
また、平行リンクにより前方ブーム81とメインフレーム6L・6Rの前部の間が連結され、該平行リンクの一方とメインフレーム6L・6Rの間にブーム昇降用シリンダ88・88を介装し、該ブーム昇降用シリンダ88・88を伸縮させることによってブーム80を上下昇降可能とした昇降リンク装置87が構成されている。
さらに、前方ブーム81の左右略中央が昇降リンク装置87に対して左右傾倒可能に支持され、該前方ブーム81と昇降リンク装置87の間にブーム水平制御用シリンダ89を介装して、走行車両27が傾いてもブーム80が略水平姿勢を保持するようブーム80を水平制御する構成としている。
【0016】
前記ポンプ部26は、エンジン9から動力を得て薬液タンク24内の薬液をノズル23・23・・・へ圧送する噴霧ポンプ4と、該噴霧ポンプ4から吐出される薬液の制御に関わる散布量制御装置3等で構成されている。
噴霧ポンプ4は、走行車両27の後部に延設したサブフレーム84L・84R上に支持部材を介して該噴霧ポンプ4のクランクケースに内装されたクランク軸が車両前後方向に位置するよう配設され、該クランクケースの右上部にはエアチャンバや安全弁等が設けられている。
また、散布量制御装置3は、流量制御弁や、該流量制御弁の開閉に関わるモータ等より構成され、噴霧ポンプ4のクランクケース周囲に配設されている。
【0017】
上述のごとく構成される作業車両1は、ブーム80を広げた状態で走行車両27により敷地を走行すると同時に、薬液タンク24内の薬液が、ポンプ部26により調量されるとともにブーム部25に圧送されてブーム80に設けられたノズル23・23・・・から散布され、薬液散布作業を行う。
【0018】
次に、本発明に係るナビゲーションシステムについて説明する。
即ち、図5に示すごとく、本発明のナビゲーションシステム30は、本来の現在位置を表示することと、走行方向を示すことに加えて、所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両1の操作者に、表示手段31を介して操作用(作業用)情報を提供するものであり、所定の操作により予め複数の異なる走行経路候補を作成してその経路を記憶する予定走行経路記憶手段40と、前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を、操作者に選択可能に表示する手段51と、を有している。
また、ナビゲーションシステム30は、現在位置を検出する位置検出手段33と、現在位置検出結果に基づき走行軌跡を判別する軌跡判別手段37と、作業対象敷地を認識するために作業車両1を作業対象敷地の外周部を走行させる際に、作業車両1が作業対象敷地の外周部を走行することを認識する外周部走行認識手段52と、前記走行により当該敷地の作業対象領域を判別する敷地外形判別手段53と、作業領域の判別結果に基づき走行経路を作成する経路生成手段54と、を有している。
【0019】
以下、ナビゲーションシステム30の構成について詳しく説明する。
図5において、位置検出手段33は、上述したGPSを利用したものであり、作業車両1の現在位置を検出する手段である。該位置検出手段33は、ナビゲーションシステム30の制御装置85に接続されている。
尚、位置検出手段33を構成するGPSの方式については、上述したRTK‐GPSによる方式の他、単独側位、相対側位、DGPS(ディファレンシャルGPS)側位による方式などであってもよい。
【0020】
また、図5において、予定走行経路記憶手段40は、予め複数の異なる走行経路を記憶するための手段である。ここで、走行経路とは、敷地の形状に対応し、最も効率よく作業を行うために設計される作業車両1の経路であり、例えば、薬液散布作業車であれば、敷地全域に薬液を均一に散布するための最短経路をいうものである。この走行経路のうち、作業対象となる敷地に応じて操作者によって特定されるものが予定走行経路となる。
そして、走行経路は、作業対象とされる敷地、つまり、管理下におかれている敷地、若しくは管理下におかれることになる敷地の作業縦横幅、作物の植付方向、作業開始位置、作業所定操作終了位置等に対応して敷地毎に設計されるものであり、図6に示すごとく、表示手段31には予定走行経路41として連続線等により表示されるものである。
尚、予定走行経路記憶手段40は、予め複数の走行経路を記憶可能に構成されるとともに、後に追加又は削除可能に構成されており、管理状況に応じて更新可能としている。
【0021】
また、図5において、手段51は、前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を表示する手段であり、操作者に選択可能に表示する手段である。
ここで、作業対象敷地条件とは、敷地の作業縦横幅、作物の植付方向等であり、後述の操作手段32によって操作者により制御装置85に入力されるものである。
また、作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路とは、予定走行経路41の候補となるべき走行経路の内、操作者が必要とする走行経路であって、複数の走行経路の中から、作物の植付方向、敷地の作業縦横幅、及び、作業車両1の作業能力の三つのパラメータによって絞られる。これらのパラメータを用いて、例えば、図7に示すごとく、作物の植付方向(矢印49)に基づき敷地の作業横幅「AL」を特定するとともに、該作業横幅「AL」、及び作業車両1の作業能力「L」(例えば、薬液散布作業車による散布幅(ブーム幅))から植付方向に移動する工程数の特定が行われる。この例では、作業横幅が「AL」であって、作業車両1の作業能力を「L」とするため、植付方向に移動する工程数は「A」として特定される。このようにして、まず、工程数による走行経路の絞り込みを行い、その後、図8に示すごとく、該工程数に対応する複数の散布方式、及び出入口配置を候補として前記表示手段31に表示する。例えば、作業車両1の作業対象敷地に対する出入口を同じとする出入口配置として、通常方式の候補41a・41b、枕無し方式の候補41c、片側枕無し方式の候補41dを表示するごとくである。尚、出入口配置は、敷地周りの環境によって操作者により決定されるものであり、図9に示すごとく、出入口同一配置56a、出入口対面配置56b、出入口同辺配置56c、出入口対角配置56dの四つの配置パターンがあるが、更に、土地の形状や出入りする道路の隣接地形等に応じてその他のパターンを作成することもできる。図において、Sは、入口(スタート位置)を示し、Gは出口(エンド位置)を意味する。
そして、操作者に選択可能に表示するとは、これら候補41a・41b・41c・41dの中から、操作者による操作手段32の操作により予定走行経路41を決定可能に表示手段31に表示することであり、例えば、図8に示すごとく、予定走行経路41の候補41a・41b・・・を順繰りに表示手段31に表示させて、操作者が操作手段32に所望の候補を表示させて決定できるように構成する等である。
【0022】
また、図5において、表示手段31は、液晶表示等の映像面を有し、前記予定走行経路や現在位置等の操作用情報を操作者に認識させるための手段である。この表示手段31に表示される画面表示は、図10に示すごとく、広域表示69/拡大表示79の切替が行われるように構成されている。尚、広域表示69/拡大表示79において、1aは作業車両1を示す作業車両位置表示である。
【0023】
また、図6において、操作手段32は、プッシュボタン等により構成されるスイッチ機器であり、操作者が前記表示手段31における表示画面の切替等を行なうための手段である。尚、該操作手段32は、表示手段31においてタッチパネル式に構成されるものであってもよい。
【0024】
また、図5において、作業領域識別手段36は、実際の走行経路の各位置における作業車両1の作業能力を識別するための手段である。
ここで、作業能力とは、図7に示すごとく、例えば、薬液散布作業車では、ブーム80の幅Lに対応するものであり、該幅Lを作業領域として識別するものである。また、作業領域識別手段36は、制御装置85に接続された前記散布量制御装置3からの流量制御弁等の制御状況に基づき、例えば、図7に示すごとく、側方ブーム82L・82Rの内、片側のみを使用しての散布が行われる場合には、前記作業領域を幅Laとして識別するようにしている。
さらに、作業領域識別手段36は、作業状態を表示手段31に表示する機能を有しており、例えば、図6に示すごとく、前方ブーム81、側方ブーム82L・82Rにおける散布のON/OFF状況表示36aを表示手段31に表示するようにしている。
【0025】
また、図5において、軌跡判別手段37は、位置検出手段33による現在位置検出結果と、作業領域識別手段36による作業領域識別結果に基づき、図6に示すごとく、作業車両1の走行軌跡44と、作業軌跡45を判別する手段である。
走行軌跡44は、軌跡判別手段37が前記位置検出手段33による現在位置検出結果を連続的に解析することにより求めるものである。
作業軌跡45は、軌跡判別手段37が走行軌跡44の各ポイントで識別された作業領域を連続的に解析することにより求めるものである。
【0026】
また、図5において、軌跡表示手段38は、上述の走行軌跡44及び作業軌跡45を予定走行経路41に重ね合わせるようにして表示手段31に表示する手段である。
表示形態は、図6の例に示すごとくであり、走行軌跡44については、ポイントで表示され、作業軌跡45については、網掛け表示をする等である。
【0027】
また、図5において、外周部走行認識手段52は、作業対象敷地を認識するために作業車両1を作業対象敷地の外周部を走行させる際に、作業車両1が作業対象敷地の外周部を走行することを認識する手段である。
この作業対象敷地の外周部の走行(以下、「外周部走行」とする)は、図7に示すごとく、作業車両1を実際に走行させることで、作業車両1の移動距離から作業対象の敷地の寸法、即ち、作業縦幅T、作業横幅ALを求めるために行われるものである。
そして、該外周部走行認識手段52は、例えば、薬液散布作業車であれば、前記散布量制御装置3による側方ブーム82L・82Rでの散布がOFFであることの情報に基づいて、外周部走行の認識を行う。尚、この外周部走行の認識は、操作者による操作手段32の操作による入力操作に基づく構成としてもよい。
【0028】
また、図5において、敷地外形判別手段53は、前記外周部走行認識手段52により、作業車両1が外周部を走行することを認識した場合に、軌跡判別手段37による走行軌跡44に基づいて、作業対象敷地77又は作業対象領域78の形状、及び寸法を判別する手段である。
例えば、図7に示すごとくの敷地にて反時計方向に外周部を走行させる場合、前記外周部走行認識手段52では、右側の側方ブーム82Rからの散布がOFFであることに基づき外周部走行であることを認識する。そして、敷地外形判別手段53は、この外周部走行の認識をした時点を外周部走行の計測起点53aとして、移動距離の計測を開始し、作業対象敷地77の外周部を走行後、再び計測起点53aに到達した時を外周部走行の終点として、外周部走行の終了を認識する。この例では、左側の側方ブーム82Lによる薬液散布を行いつつ外周部走行が行われるものであり、この外周部走行が終わった時点では、薬液散布が行われた内側の領域が作業対象敷地77に対する作業対象領域78として認識される。尚、計測起点53aに到達したことの認識は、位置検出手段33により行われる。
尚、以上の外周部走行は、薬液散布等の作業を行なうことなく、専ら作業対象敷地77の外形を判別するために行われるものであってもよく、例えば、操作者が操作手段32を操作して外周部走行であることの入力を行い、作業車両1を作業対象敷地77の外周を一周させることによる等である。この場合は、作業対象敷地77と作業対象領域78とが一致することになる。この例によれば、敷地ごとに作業対象領域78を計測することで、該作業対象領域78を敷地の管理情報として利用することができる。
さらに、敷地外形判別手段53は、作物の植付方向に関する情報を取得可能に構成されており、前記外周部走行認識手段52にて外周部走行の認識後、図11に示すごとく、「この移動方向は、植付方向ですか? Yes/No」等のポップアップ表示53bをすることにより、操作者に植付方向の情報の入力を促すように構成されている。
【0029】
また、図5において、経路生成手段54は、前記敷地外形判別手段53による作業対象領域78の認識結果に基づき走行経路を作成する手段である。
該経路生成手段54は、図7に示すごとく、作業対象領域78と、植付方向(矢印49)とから、上述の例のように、植付方向に移動する工程数の特定を行い、該工程数に対応する走行経路を予定走行経路41として表示手段31に表示する。
尚、上述の手段51により、複数の走行経路を選択可能に表示するようにしてもよい(図8)。
【0030】
そして、図5において、以上の各手段は制御装置85と接続され、これにより、各種の情報処理を行うナビゲーションシステム30が構成されるものであり、該のナビゲーションシステム30を用いることによれば、操作者は、予定走行経路41の決定を簡便に行うことができる。
以下では、ナビゲーションシステム30にて行なわれる予定走行経路41の決定の実施形態につき、表示手段31の画面表示の例を用いて説明する。
【0031】
(1)第一の実施形態
本実施形態は、作業対象敷地条件に対応する複数の走行経路を操作者に提供することにより、ナビゲーションシステム30にて行われる予定走行経路41の決定を簡便とする実施形態である。
図12に示すごとく、制御装置85により、メニュー画面94が表示手段31に表示され、操作者により、敷地条件設定が選択されると、作業対象敷地条件を入力するための入力画面95が表示され、作業対象敷地77の縦幅、横幅、及び作物の植付方向についての情報が入力されるようにしている。この入力画面の例では、縦幅入力ボックス95a、横幅入力ボックス95bにそれぞれ敷地の縦幅、横幅が入力され、作物植付方向指定矢印95cを移動させることで植付方向を決定する構成としている。
このようにして、作業対象敷地条件が入力されると、制御装置85は、入力された作業対象敷地条件に基づいて植付方向に移動する工程数を特定し、予定走行経路記憶手段40に記憶された走行経路の中から予定走行経路41に対する候補41aの一つを表示する(画面表示96)。この候補41aは、散布方式が通常方式であって、かつ、作業車両1の入口・出口の配置を同じとする走行経路である。
次に、操作者は、操作手段32により、候補41aの表示の切替を行い、所望の予定走行経路41の選択を行う。即ち、図8に示すごとく、散布方式、出入口配置が異なる候補41b・41c・・・が順繰りに表示され、この中から一つの候補を予定走行経路41として決定するものである。
以上のように、操作手段32による作業対象敷地条件の入力操作、及び、候補41a・41b・・・からの予定走行経路41の選択操作により、予定走行経路41の決定を簡便に行うことができる
尚、管理下にある各作業対象敷地77については、操作手段32による作業対象敷地条件の入力操作が一度行われることにより、各作業対象敷地77についての個別の作業対象敷地条件が予定走行経路記憶手段40に記憶されるので、以降の操作においては、候補41a・41b・・・からの予定走行経路41の選択操作のみにより、予定走行経路41の決定を行えるようになる。
【0032】
(2)第二の実施形態
本実施形態は、作業対象敷地の外周部を実際に走行して作業対象領域を認識するとともに、該作業対象領域に対応する走行経路を予定走行経路として操作者に提供することにより、実際の作業対象敷地に適合する予定走行経路の作成を簡便とする実施形態である。
図7に示すごとく、作業対象敷地77において、右側の側方ブーム82Rからの散布をOFFとする一方、左側の側方ブーム82L、及び前方ブーム81からの散布をONとして、薬液散布を行いつつ前記外周部走行を行う。
この外周部走行において、制御装置85は、外周部走行認識手段52及び敷地外形判別手段53により、薬液散布が必要となる範囲、即ち、作業対象領域78を認識する。尚、図7において、網掛け表示される作業軌跡45の部分は、軌跡表示手段38により表示されるものであり、これにより、操作者は、作業の進行状況を認識することができる。
そして、図13に示すごとく、この外周部走行が終了した時点で、制御装置85により、画面表示57aが表示手段31に表示され、その後、作業領域識別手段36により作業対象領域78を特定するとともに、該作業対象領域78に対応する予定走行経路41を経路生成手段54により作成し、画面表示57bが表示される。このように、外周部走行により経路生成を簡便に行うことができる。また、実際に外周部走行を行うことにより、敷地が複雑な形状であっても、敷地の形状を精度よく認識することができ、敷地の形状にとって最適な予定走行経路41の生成を行うことができる。
そして、生成された予定走行経路41に沿って作業が行われる際には、画面表示57c・57dのごとくナビゲーションされるため、操作者は、進行状況の把握をしながらの作業を行うことができる。
【0033】
さらに、この第二の実施形態のごとく、薬液散布を行いながら外周部走行がされる場合には、図14(a)に示すごとくの予定走行経路41を作成するのが好適である。
即ち、薬液散布等の作業を行いつつ外周部走行がされる場合の予定走行経路41の生成において、作業対象領域の内、外周部走行において作業がされた領域、即ち、枕地の領域78aにおいては旋回操作がされ、枕地以外の領域78bにおいては直進操作がされるべき予定走行経路41とするものである。
仮に、枕地以外の領域において旋回操作がされるとすると、図14(b)に示されるごとく、旋回外側において作業がされない領域78cが形成されることになるが、図14(a)の表示画面57eに示すごとく、枕地の領域78aにて旋回させることによれば、枕地以外の領域78bでは作業がされない領域78cが形成されることがない。
このように、作業がされない領域78cを作成しないことによれば、作業対象領域78の全体を均一に作業することができ、例えば、薬液散布においては、未散布不良・ムラが生じることなく作物の育成に悪影響が及ぼされることもない。
尚、図8の候補41eに示すごとく、この実施形態の予定走行経路41についても選択可能とされるものである。
また、前記候補41eについては、外周部走行にて枕地が作業された場合に選択されることを想定されている他、例えば、作業対象敷地77(図7)が農道や畦等に隣接しているときに、この農道や畦等にて旋回して、作業対象領域78では直進操作のみを行う場合にも選択されることも想定されている。このように、作業対象敷地77の形状に応じて操作者が任意に候補41eを選択することにより、作業対象領域78の全体を均一に作業することができるようにしている。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上のごとく構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、請求項1に記載のごとく、所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
予め複数の走行経路を記憶する手段と、
前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を、操作者に選択可能に表示する手段と、を有するので、予め記憶した複数の走行経路から作業対象敷地条件に対応する走行経路が選択表示されるので、適切な予定走行経路の決定が簡便に行えるようになる。
【0035】
また、請求項2に記載のごとく、所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
現在位置を検出する位置検出手段と、
現在位置検出結果に基づき走行軌跡を判別する軌跡判別手段と、
作業対象敷地の外周部を走行することを認識する外周部走行認識手段と、
前記走行により当該敷地の作業対象領域を判別する敷地外形判別手段と、
作業領域の判別結果に基づき走行経路を作成する経路生成手段と、を有するので、敷地外周部に計測用指標を設ける必要がなくなり経路作成作業を簡易にできる。又、実際の敷地形状に応じた走行経路を操作者に提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナビゲーションシステムにて利用されるGPS装置の概要を示す図である。
【図2】GPS装置を構成する基準局ユニット及び移動局ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】ナビゲーションシステムを適用する薬液散布作業車の構成を示す側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】表示手段を備える操作パネルを示す図である。
【図7】作業対象敷地及び作業対象領域を示す図である。
【図8】予定走行経路の候補の例を示す図である。
【図9】出入口配置の形態を示す図である。
【図10】広域表示・拡大表示における表示画面を示す図である。
【図11】ポップアップ表示の形態を示す図である。
【図12】作業対象敷地条件を入力するための入力画面の形態を示す図である。
【図13】外周部走行による経路生成からナビゲーションまでの画面表示を示す図である。
【図14】(a)は、外周部走行において作業がされた場合における好適な予定走行経路の形態を示す図である。(b)は、作業がされない領域について示す図である。
【符号の説明】
40 予定走行経路記憶手段
41a 予定走行経路の候補
41b 予定走行経路の候補
41c 予定走行経路の候補
41d 予定走行経路の候補
51 予め複数の走行経路を記憶する手段
52 走行経路を選択表示する手段
Claims (2)
- 所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
予め複数の走行経路を記憶する手段と、
前記走行経路の中から作業対象敷地条件に対応可能な所望の走行経路を、操作者に選択可能に表示する手段と、を有することを特徴とするナビゲーションシステム。 - 所定の敷地内で走行しながら作業を行う作業車両の操作者に操作用情報を提供するナビゲーションシステムにおいて、
現在位置を検出する位置検出手段と、
現在位置検出結果に基づき走行軌跡を判別する軌跡判別手段と、
作業対象敷地の外周部を走行することを認識する外周部走行認識手段と、
前記走行により当該敷地の作業対象領域を判別する敷地外形判別手段と、
作業領域の判別結果に基づき走行経路を作成する経路生成手段と、を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
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