JP2004346143A - 導電性プラスチックフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】IC損傷や導電材の脱落が無く、帯電防止性を有し、耐熱性が200℃以上である導電性フィルムを提供すること、さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供すること。
【解決手段】熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%と、外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、そのアスペクト比が5から10000のカーボンナノチューブ9〜1重量%とを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%と、外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、そのアスペクト比が5から10000のカーボンナノチューブ9〜1重量%とを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気電子分野、特に半導体分野においては数多くのIC部品が使用されているが、これらIC部品は非常に静電気に弱い。そのため、IC製造工程、IC部品搬送工程、IC部品搭載工程の各工程において、使用される工程冶具、搬送部品、搭載基板等において帯電防止処理が必要となっている。その方法としては、例えば搬送工程においては帯電防止効果のある導電性トレーやフィルムによりIC部品が包装されて運ばれる方法である。
【0003】
従来、これら導電性トレーやフィルムは、熱可塑性樹脂に導電材としてカーボンファイバーやカーボンブラック(粉末)を練りこんだ樹脂組成物から射出成形法や押出成形法により製造されている。例えば、熱可塑性樹脂に導電材としてカーボンファイバーやカーボンブラック(粉末)を練りこんだ樹脂組成物等が提案されている(特許文献1、特許文献2等参照)。これらに必要とされる導電性は、カーボンファイバーやカーボンブラック等導電材の添加量にて制御されるが、一般に成形品の表面抵抗値は103から1012Ωの間が要求されており、所定の表面抵抗値を出すには、通常カーボンファイバーやカーボンブラックの添加量が樹脂分に対して10重量%以上必要である。
【0004】
しかしながら、これら導電材の添加は樹脂組成物の溶融粘度を急激に上昇させ、特に導電性フィルムを押出製造する場合については肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルムを製造することは困難であった。これは高い溶融粘度のため流延性が悪く、薄い均一な厚みのフィルムが引き取れないことが原因であった。また、肉厚が500ミクロンを越えた場合でもカーボンファイバー長が300ミクロン前後と長いため、フィルム表面から突き出してIC部品を痛める問題があった。さらには導電材の添加量が10wt%以上を越えるとフィルムから導電材が脱落し易く、不純物としてIC部品内に導電材が入り、製造工程においては収率を低下させる場合があった。
【0005】
近年IC部品の高密度化に伴い、カーボンファイバーやカーボンブラック等の導電材によるIC損傷や脱落が無く、IC製造工程におけるハンダ耐熱性として200℃以上の導電性プラスチックフィルムが要求されている。さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルムが要求されている。したがって、これらの要求を満たす、導電性プラスチックフィルムの開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−103658号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−221472号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に関し導電材によるIC損傷や脱落が無く、耐熱性が200℃以上の導電性フィルムを提供にすることにあり、さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するために鋭意検討した結果、熱可塑性ポリイミド樹脂と、特定条件を有するカーボンナノチューブを特定重量有する樹脂組成物から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムが、導電材によるIC損傷や脱落が無く、耐熱性が200℃以上であり、さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は以下に関するものである。
1)熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%と、外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、そのアスペクト比が5から10000のカーボンナノチューブ9〜1重量%とを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物から押出成形法により成形されたことを特徴とする導電性プラスチックフィルム。
2)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(1)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0011】
【化6】
【0012】
(化学式(1)において、Xは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン原子であり、またYは下記化学式(2)からなる群より選ばれる基である)。
【0013】
【化7】
【0014】
3)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
(ただし、m、nはモル比であり、m/n=4から9の範囲である。)
4)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0018】
【化10】
【0019】
5)導電性プラスチックフィルムの厚みが、500ミクロン未満である1)から4)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂とは、荷重たわみ温度200℃以上を有する、ポリイミド結合を繰り返し単位として持つ樹脂のことである。
【0021】
本発明において、熱可塑性ポリイミド樹脂とは、上記条件を満たせば特に限定されないが、好ましい例として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を持つものが挙げられる。
【0022】
【化11】
【0023】
(化学式(1)において、Xは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン原子であり、またYは、下記化学式(2)からなる群より選ばれる基である)。
【0024】
【化12】
【0025】
上記、一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドは、下記一般式(7)のエーテルジアミンと下記一般式(8)のテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0026】
【化13】
【0027】
(ただし、化学式(7)において、Xは前記と同じ意味を示す。)
【化14】
【0028】
(式(8)において、Yは下記式(2)からなる群より選ばれた基である)
【化15】
【0029】
一般式(1)及び(7)中、R1、R2、R3、R4の具体例しては、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、フルオロメトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、水素原子である。また、式中のXは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、好ましくは、直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−である。
【0030】
一般式(1)及び一般式(8)中、Yは、式(2)で表わされるものであり、好ましくは酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を使用するものである。
【0031】
本発明においては、熱可塑性ポリイミド樹脂として、より好ましくは下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である。
【0032】
【化16】
【0033】
尚、上記式(6)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドは、三井化学株式会社製:商品名オーラム(登録商標)として購入可能のものである。
【0034】
本発明においては、これらの熱可塑性ポリイミド樹脂の原料となるエーテルジアミンやテトラカルボン酸二無水物は、一種または複数を組み合わせて用いることができ、本発明の目的を害さない範囲で他の共重合成分を含むことができる。また異なるモノマーから得られた複数のポリイミド樹脂を本発明の目的を害さない範囲で任意にポリマーブレンドして用いても良い。
【0035】
また、本発明において、熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂も好ましい例として挙げられる。
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
(ただし、m、nはモル比であり、m/n=4から9の範囲である)。
上記式中において、m、nはモル比であり、m/n=4から9であり、より好ましくは、5から9、更に好ましくは6から9である。
【0039】
上記、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、それぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0040】
また、本発明において、さらには熱可塑性ポリイミド樹脂が化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂も好ましい。
【0041】
【化19】
【0042】
上記、化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂はそれぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0043】
本発明において、用いる熱可塑性ポリイミドの対数粘度は特に限定されないが、一般的には0.35〜1.30dl/g、より好ましくは0.40〜1.00の範囲が好ましい。
【0044】
対数粘度が0.35dl/g以未満となると、熱可塑性ポリイミド樹脂の分子量が小さく、機械特性に劣る。また、対数粘度が1.30dl/g以上のものは、熱可塑性ポリイミド樹脂の分子量が大きすぎ、成形体を射出成形や押出成形によって製造するための流動性に難が生じる。
【0045】
本発明におけるポリマーの対数粘度の測定は、パラクロロフェノール/フェノール(90/10重量比)の混合溶媒中、濃度0.5g/100mlの溶媒で200℃に加熱した後、35℃に冷却して測定される。対数粘度については、‘高分子ハンドブック’朝倉書店出版、日本分析化学学会編1995年初版P58にその定義が記載されている。
【0046】
本発明に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂には、他の樹脂を添加してもよい。例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー等を本発明の目的を害さない範囲で含んでいてもよい。
【0047】
さらには、着色剤、離型剤、各種安定剤、可塑剤、各種無機フイラー、オイル類なども本発明の効果を害さない範囲で、公知のものが添加可能である。
【0048】
本発明において使用されるカーボンナノチューブはとは、炭素原子が2次元的に配列したグラファイト層が同心円状にに積層した構造となっているものである。すなわちグラファイト構造シートの多層チューブ状であり、中空のコアとグラファイト構造シートが数層から数十層重なったシェルからなる。このカーボンナノチューブは、互いに絡みあった高次構造を形成しており、いわゆる通常の炭素繊維とはサイズ的にも物理的にも根本的に異なるものである。
【0049】
カーボンナノチューブは外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、好ましくは4から50nmの範囲にあり、かつそのアスペクト比が5から10000、好ましくは10から5000の範囲である。アスペクト比とはカーボンナノチューブの長さを外径(平均直径)で割った値である。外径(平均直径)が3nm以上の方が、カーボンナノチューブが飛散せず取り扱い易く、60nm以下の方が導電性の付与効果が優れ、好ましい。外径(平均直径)の測定は電子顕微鏡観察により測定される。また、アスペクト比が5以上の場合、導電性の付与効果が優れ、10000以下の方がカーボンナノチューブ同士の絡みあいが強くなりすぎず、組成物中の分散が良好で好ましい。
【0050】
これらカーボンナノチューブについては、例えば特公平3−64606号公報および米国特許第4663230号明細書等に記載されている方法により製造される。具体的には、金属粒子触媒(鉄、ニッケル、コバルト等)と炭化水素ガスとを900〜1300℃程度の高温下で接触製造される。炭化水素ガスとしてはメタン、エタン、ベンゼン、トルエン等があげられる。
【0051】
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂に対するカーボンナノチューブの割合は、熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%に対し、1〜9重量%の範囲であり、熱可塑性ポリイミド樹脂98〜94重量%に対し、カーボンナノチューブが好ましくは2〜6重量%の範囲である。1重量%以上で導電性の付与が可能である。9重量%以下の方が、流動性が低下せず、フィルムの成形が容易であり、フィルム表面からカーボンナノチューブの脱落がなく、好ましい。
【0052】
本発明におけるカーボンナノチューブと熱可塑性ポリイミド樹脂を含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物は、熱可塑性ポリイミド樹脂とカーボンナノチューブをヘンシェル等で均一混合した後、1軸または2軸押出機等を用いた公知の方法でペレット状に製造される。
【0053】
本発明における導電性プラスチックフィルムは、カーボンナノチューブと熱可塑性ポリイミド樹脂を含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物ペレットから、公知の押出成形法により製造することができる。肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルム、例えば100ミクロン、20ミクロン等の薄肉フィルムも問題なく製造できる。
【0054】
本発明の導電性プラスチックフィルムとは、その表面抵抗値が1012Ω以下に制御されたものである。
【0055】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例における樹脂の評価は以下の要領で実施した。
【0056】
製膜性;60mm1軸押出機を用いて、幅300mm、厚みを500ミクロンから20ミクロンまで変えて製膜できるかどうかを評価した。20ミクロンまで製膜できたものを合格、できないものを不合格とした。
【0057】
導電性;製膜できたフィルムの表面の抵抗値をアドバンテスト(株)社製、商品名R8340A表面抵抗計にて測定した。1012Ω以下であれば帯電防止効果があると言える。
【0058】
耐熱性;製膜できたフィルムから10cm角に切断し、200℃恒温槽に2時間放置した後の寸法変化が0.1%以内を合格とした。
【0059】
実施例1〜3
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450・荷重たわみ温度238℃)と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に7層積層し、その外径(平均直径)が10nm、かつそのアスペクト比が1000であるカーボンナノチューブとを表1に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し、各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。また、カーボンナノチューブの外径および繊維長が短いことおよび添加量が少ないためIC損傷や脱落は無かった。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例4
化学構造式が(3)および(4)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD500A、 m/n=9、荷重たわみ温度243℃)と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に10層積層し、その外径(平均直径)が30nm、かつそのアスペクト比が2000であるカーボンナノチューブとを下記表2に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。
【0062】
実施例5
エーテルジアミンとして1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、テトラカルボン酸ニ無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を原料とし、得られたポリアミド酸を熱的にイミド化して、化学構造式が(5)である熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。(荷重たわみ温度227℃)この化学構造式が(5)である熱可塑性ポリイミド樹脂と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に10層積層し、その外径(平均直径)が50nm、かつそのアスペクト比が3000であるカーボンナノチューブとを下記表2に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。
【0063】
【表2】
【0064】
比較例1〜2
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450)と、炭素繊維(東邦レーヨン(株)社製、商品名ベスファイトUH・外径6ミクロン、繊維長6mm)を下記表3に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により420℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。所定の導電性フィルムは得られなかった。
【0065】
【表3】
【0066】
比較例3〜4
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450)と、カーボンブラック(ライオン(株)社製、商品名ケッチェンEC、粒径30ミリミクロン、)を下記表4に示す割合で混合し2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により420℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。所定の導電性フィルムは得られなかった。また、10重量%添加品はフィルム表面からのカーボンブラックの脱落が見られた。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、特定のカーボンナノチューブを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムに関し、帯電防止性を有し、耐熱性が200℃以上であり、肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供にすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気電子分野、特に半導体分野においては数多くのIC部品が使用されているが、これらIC部品は非常に静電気に弱い。そのため、IC製造工程、IC部品搬送工程、IC部品搭載工程の各工程において、使用される工程冶具、搬送部品、搭載基板等において帯電防止処理が必要となっている。その方法としては、例えば搬送工程においては帯電防止効果のある導電性トレーやフィルムによりIC部品が包装されて運ばれる方法である。
【0003】
従来、これら導電性トレーやフィルムは、熱可塑性樹脂に導電材としてカーボンファイバーやカーボンブラック(粉末)を練りこんだ樹脂組成物から射出成形法や押出成形法により製造されている。例えば、熱可塑性樹脂に導電材としてカーボンファイバーやカーボンブラック(粉末)を練りこんだ樹脂組成物等が提案されている(特許文献1、特許文献2等参照)。これらに必要とされる導電性は、カーボンファイバーやカーボンブラック等導電材の添加量にて制御されるが、一般に成形品の表面抵抗値は103から1012Ωの間が要求されており、所定の表面抵抗値を出すには、通常カーボンファイバーやカーボンブラックの添加量が樹脂分に対して10重量%以上必要である。
【0004】
しかしながら、これら導電材の添加は樹脂組成物の溶融粘度を急激に上昇させ、特に導電性フィルムを押出製造する場合については肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルムを製造することは困難であった。これは高い溶融粘度のため流延性が悪く、薄い均一な厚みのフィルムが引き取れないことが原因であった。また、肉厚が500ミクロンを越えた場合でもカーボンファイバー長が300ミクロン前後と長いため、フィルム表面から突き出してIC部品を痛める問題があった。さらには導電材の添加量が10wt%以上を越えるとフィルムから導電材が脱落し易く、不純物としてIC部品内に導電材が入り、製造工程においては収率を低下させる場合があった。
【0005】
近年IC部品の高密度化に伴い、カーボンファイバーやカーボンブラック等の導電材によるIC損傷や脱落が無く、IC製造工程におけるハンダ耐熱性として200℃以上の導電性プラスチックフィルムが要求されている。さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルムが要求されている。したがって、これらの要求を満たす、導電性プラスチックフィルムの開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−103658号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−221472号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に関し導電材によるIC損傷や脱落が無く、耐熱性が200℃以上の導電性フィルムを提供にすることにあり、さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するために鋭意検討した結果、熱可塑性ポリイミド樹脂と、特定条件を有するカーボンナノチューブを特定重量有する樹脂組成物から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムが、導電材によるIC損傷や脱落が無く、耐熱性が200℃以上であり、さらには肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は以下に関するものである。
1)熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%と、外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、そのアスペクト比が5から10000のカーボンナノチューブ9〜1重量%とを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物から押出成形法により成形されたことを特徴とする導電性プラスチックフィルム。
2)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(1)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0011】
【化6】
【0012】
(化学式(1)において、Xは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン原子であり、またYは下記化学式(2)からなる群より選ばれる基である)。
【0013】
【化7】
【0014】
3)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
(ただし、m、nはモル比であり、m/n=4から9の範囲である。)
4)熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である1)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0018】
【化10】
【0019】
5)導電性プラスチックフィルムの厚みが、500ミクロン未満である1)から4)記載の導電性プラスチックフィルム。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂とは、荷重たわみ温度200℃以上を有する、ポリイミド結合を繰り返し単位として持つ樹脂のことである。
【0021】
本発明において、熱可塑性ポリイミド樹脂とは、上記条件を満たせば特に限定されないが、好ましい例として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を持つものが挙げられる。
【0022】
【化11】
【0023】
(化学式(1)において、Xは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン原子であり、またYは、下記化学式(2)からなる群より選ばれる基である)。
【0024】
【化12】
【0025】
上記、一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドは、下記一般式(7)のエーテルジアミンと下記一般式(8)のテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0026】
【化13】
【0027】
(ただし、化学式(7)において、Xは前記と同じ意味を示す。)
【化14】
【0028】
(式(8)において、Yは下記式(2)からなる群より選ばれた基である)
【化15】
【0029】
一般式(1)及び(7)中、R1、R2、R3、R4の具体例しては、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、フルオロメトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、水素原子である。また、式中のXは直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または−S−であり、好ましくは、直接結合、−SO2−、−CO−、−C(CH3)2−である。
【0030】
一般式(1)及び一般式(8)中、Yは、式(2)で表わされるものであり、好ましくは酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を使用するものである。
【0031】
本発明においては、熱可塑性ポリイミド樹脂として、より好ましくは下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である。
【0032】
【化16】
【0033】
尚、上記式(6)で表わされる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドは、三井化学株式会社製:商品名オーラム(登録商標)として購入可能のものである。
【0034】
本発明においては、これらの熱可塑性ポリイミド樹脂の原料となるエーテルジアミンやテトラカルボン酸二無水物は、一種または複数を組み合わせて用いることができ、本発明の目的を害さない範囲で他の共重合成分を含むことができる。また異なるモノマーから得られた複数のポリイミド樹脂を本発明の目的を害さない範囲で任意にポリマーブレンドして用いても良い。
【0035】
また、本発明において、熱可塑性ポリイミド樹脂が、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂も好ましい例として挙げられる。
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
(ただし、m、nはモル比であり、m/n=4から9の範囲である)。
上記式中において、m、nはモル比であり、m/n=4から9であり、より好ましくは、5から9、更に好ましくは6から9である。
【0039】
上記、化学式(3)および式(4)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、それぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0040】
また、本発明において、さらには熱可塑性ポリイミド樹脂が化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂も好ましい。
【0041】
【化19】
【0042】
上記、化学式(5)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂はそれぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下または非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にまたは熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
【0043】
本発明において、用いる熱可塑性ポリイミドの対数粘度は特に限定されないが、一般的には0.35〜1.30dl/g、より好ましくは0.40〜1.00の範囲が好ましい。
【0044】
対数粘度が0.35dl/g以未満となると、熱可塑性ポリイミド樹脂の分子量が小さく、機械特性に劣る。また、対数粘度が1.30dl/g以上のものは、熱可塑性ポリイミド樹脂の分子量が大きすぎ、成形体を射出成形や押出成形によって製造するための流動性に難が生じる。
【0045】
本発明におけるポリマーの対数粘度の測定は、パラクロロフェノール/フェノール(90/10重量比)の混合溶媒中、濃度0.5g/100mlの溶媒で200℃に加熱した後、35℃に冷却して測定される。対数粘度については、‘高分子ハンドブック’朝倉書店出版、日本分析化学学会編1995年初版P58にその定義が記載されている。
【0046】
本発明に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂には、他の樹脂を添加してもよい。例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー等を本発明の目的を害さない範囲で含んでいてもよい。
【0047】
さらには、着色剤、離型剤、各種安定剤、可塑剤、各種無機フイラー、オイル類なども本発明の効果を害さない範囲で、公知のものが添加可能である。
【0048】
本発明において使用されるカーボンナノチューブはとは、炭素原子が2次元的に配列したグラファイト層が同心円状にに積層した構造となっているものである。すなわちグラファイト構造シートの多層チューブ状であり、中空のコアとグラファイト構造シートが数層から数十層重なったシェルからなる。このカーボンナノチューブは、互いに絡みあった高次構造を形成しており、いわゆる通常の炭素繊維とはサイズ的にも物理的にも根本的に異なるものである。
【0049】
カーボンナノチューブは外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、好ましくは4から50nmの範囲にあり、かつそのアスペクト比が5から10000、好ましくは10から5000の範囲である。アスペクト比とはカーボンナノチューブの長さを外径(平均直径)で割った値である。外径(平均直径)が3nm以上の方が、カーボンナノチューブが飛散せず取り扱い易く、60nm以下の方が導電性の付与効果が優れ、好ましい。外径(平均直径)の測定は電子顕微鏡観察により測定される。また、アスペクト比が5以上の場合、導電性の付与効果が優れ、10000以下の方がカーボンナノチューブ同士の絡みあいが強くなりすぎず、組成物中の分散が良好で好ましい。
【0050】
これらカーボンナノチューブについては、例えば特公平3−64606号公報および米国特許第4663230号明細書等に記載されている方法により製造される。具体的には、金属粒子触媒(鉄、ニッケル、コバルト等)と炭化水素ガスとを900〜1300℃程度の高温下で接触製造される。炭化水素ガスとしてはメタン、エタン、ベンゼン、トルエン等があげられる。
【0051】
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂に対するカーボンナノチューブの割合は、熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%に対し、1〜9重量%の範囲であり、熱可塑性ポリイミド樹脂98〜94重量%に対し、カーボンナノチューブが好ましくは2〜6重量%の範囲である。1重量%以上で導電性の付与が可能である。9重量%以下の方が、流動性が低下せず、フィルムの成形が容易であり、フィルム表面からカーボンナノチューブの脱落がなく、好ましい。
【0052】
本発明におけるカーボンナノチューブと熱可塑性ポリイミド樹脂を含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物は、熱可塑性ポリイミド樹脂とカーボンナノチューブをヘンシェル等で均一混合した後、1軸または2軸押出機等を用いた公知の方法でペレット状に製造される。
【0053】
本発明における導電性プラスチックフィルムは、カーボンナノチューブと熱可塑性ポリイミド樹脂を含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物ペレットから、公知の押出成形法により製造することができる。肉厚が500ミクロン未満の導電性プラスチックフィルム、例えば100ミクロン、20ミクロン等の薄肉フィルムも問題なく製造できる。
【0054】
本発明の導電性プラスチックフィルムとは、その表面抵抗値が1012Ω以下に制御されたものである。
【0055】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例における樹脂の評価は以下の要領で実施した。
【0056】
製膜性;60mm1軸押出機を用いて、幅300mm、厚みを500ミクロンから20ミクロンまで変えて製膜できるかどうかを評価した。20ミクロンまで製膜できたものを合格、できないものを不合格とした。
【0057】
導電性;製膜できたフィルムの表面の抵抗値をアドバンテスト(株)社製、商品名R8340A表面抵抗計にて測定した。1012Ω以下であれば帯電防止効果があると言える。
【0058】
耐熱性;製膜できたフィルムから10cm角に切断し、200℃恒温槽に2時間放置した後の寸法変化が0.1%以内を合格とした。
【0059】
実施例1〜3
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450・荷重たわみ温度238℃)と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に7層積層し、その外径(平均直径)が10nm、かつそのアスペクト比が1000であるカーボンナノチューブとを表1に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し、各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。また、カーボンナノチューブの外径および繊維長が短いことおよび添加量が少ないためIC損傷や脱落は無かった。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例4
化学構造式が(3)および(4)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD500A、 m/n=9、荷重たわみ温度243℃)と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に10層積層し、その外径(平均直径)が30nm、かつそのアスペクト比が2000であるカーボンナノチューブとを下記表2に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。
【0062】
実施例5
エーテルジアミンとして1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、テトラカルボン酸ニ無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を原料とし、得られたポリアミド酸を熱的にイミド化して、化学構造式が(5)である熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。(荷重たわみ温度227℃)この化学構造式が(5)である熱可塑性ポリイミド樹脂と、カーボンナノチューブとして、グラファイト構造シートが同心円上に10層積層し、その外径(平均直径)が50nm、かつそのアスペクト比が3000であるカーボンナノチューブとを下記表2に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。製膜が可能なフィルムについて、導電性、耐熱性を評価した。
【0063】
【表2】
【0064】
比較例1〜2
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450)と、炭素繊維(東邦レーヨン(株)社製、商品名ベスファイトUH・外径6ミクロン、繊維長6mm)を下記表3に示す割合で混合し、2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により420℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。所定の導電性フィルムは得られなかった。
【0065】
【表3】
【0066】
比較例3〜4
化学構造式が(6)である熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学(株)社製、商品名オーラム(登録商標)PD450)と、カーボンブラック(ライオン(株)社製、商品名ケッチェンEC、粒径30ミリミクロン、)を下記表4に示す割合で混合し2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により420℃で溶融し各種厚みのフィルム製膜性を評価した。所定の導電性フィルムは得られなかった。また、10重量%添加品はフィルム表面からのカーボンブラックの脱落が見られた。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、特定のカーボンナノチューブを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂から押出成形法により成形された導電性プラスチックフィルムに関し、帯電防止性を有し、耐熱性が200℃以上であり、肉厚が500ミクロン未満の導電性フィルムを提供にすることができる。
Claims (5)
- 熱可塑性ポリイミド樹脂91〜99重量%と、外径(平均直径)が3から60nmの範囲にあり、そのアスペクト比が5から10000のカーボンナノチューブ9〜1重量%とを含んでなる熱可塑性ポリイミド樹脂組成物から、押出成形法により成形されたことを特徴とする導電性プラスチックフィルム。
- 導電性プラスチックフィルムの厚みが、500ミクロン未満である請求項1から4記載の導電性プラスチックフィルム。
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