JP2010126709A - 耐熱フィルム - Google Patents

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高宏 西川
Masashi Nakano
正志 中野
Masamichi Ito
正道 伊藤
Tomohiko Odagawa
友彦 小田川
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Abstract

【課題】厚みバラツキが十分に低減され、耐熱性および耐ブリスター性に優れ、かつ低コストで生産性良く作製できる耐熱フィルムを提供すること。
【解決手段】軟化開始温度Tgが120℃以上の結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形および二軸延伸して得られ、MD方向とTD方向のいずれの熱膨張率も5〜30ppm/Kの範囲内にあり、熱膨張率の差が10ppm/K以下であることを特徴とする耐熱フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる耐熱フィルムに関する。特に、プリント配線板等に好ましく用いられる耐熱フィルムに関する。
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント配線板において基板の小型化及び薄型化が進んでいる。また、電子機器の多機能化に伴い、機器内部の使用部品点数が増加し、それらの部品と接続して部品搭載を可能としたフレキシブルプリント配線板の需要は拡大している。熱可塑性樹脂の耐熱フィルムは、その優れた絶縁性、およびフィルムの生産性や二次加工性の面から、銅張積層板、プリント配線板、等の分野で有用である。
フレキシブルプリント配線板に使用される耐熱フィルムの材料としては、一般に熱硬化性ポリイミド樹脂フィルム(特許文献1〜4参照)や他の耐熱性樹脂が用いられている。熱硬化性ポリイミド樹脂フィルムは、特許文献2、3に記載されているように、一般に、前駆体のポリアミド酸を流延、塗布した後、加熱してイミド化反応(脱水縮合反応)によりポリイミド樹脂フィルムとすることにより作製される。しかしながら、このようなキャスティング法は、製造工程が複雑で生産性に劣るということに加え、不純物が混入し易く、またモノマー残査や残留溶媒が存在し、誘電率や誘電正接といった電気特性の低下の要因となっていた。
また、寸法安定性等の機械的性質やコスト低下等を目的として、無機フィラーを樹脂組成物に添加することも知られている。例えば、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂と、ポリサルフォン樹脂等のガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類以上の樹脂からなり、樹脂100重量部に対して板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなる樹脂組成物からなるフィルム又はシート(特許文献5参照)や、ポリサルフォン樹脂等のガラス転移温度が230℃以上である非晶性熱可塑樹脂と、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂等のガラス転移温度が130℃以上である結晶性熱可塑樹脂とを含有する熱可塑性樹脂100重量部と、平均粒径が1〜20μmである板状フィラーを5〜50重量部含有するシート(特許文献6参照)を、補強用シートとして用いることも提案されている。
ところで、フレキシブルプリント配線板に使用される耐熱フィルムは、250℃以上の耐熱性、優れた表面平滑性、および厚みバラツキが小さいことが要求されている。しかしながら、前記したような従来のフィルムを使用した場合、耐熱性に劣り、はんだリフロー工程においてフレキシブルプリント配線板に反りが生じた。
特開2000−260823公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2004−43831号公報(特許請求の範囲) 特開2004−149591号公報(特許請求の範囲) 特開2002−231769号公報(特許請求の範囲) 特開2004−266105号公報(特許請求の範囲) 特開2005−243757号公報(特許請求の範囲)
本発明は、フレキシブルプリント配線板の基板フィルムとして用いられる熱硬化性ポリイミドフィルムやそれに積層される銅箔等の金属箔の熱膨張率に近い熱膨張率を有すると共に、厚みバラツキが十分に低減され、耐熱性に優れ、かつ低コストで生産性良く作製できる耐熱フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、フレキシブルプリント配線板等に好ましく使用される耐熱フィルムであって、軟化開始温度Tgが120℃以上の結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形および二軸延伸して得られ、MD方向(シート押出方向)及びTD方向(シート押出方向に直交する方向)のいずれの熱膨張率も5〜30ppm/Kの範囲内にあり、MD方向とTD方向の熱膨張率の差が10ppm/K以下であることを特徴とする耐熱フィルムに関する。
本発明の耐熱フィルムは、所定の結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形して得られるシートを、さらに二軸延伸処理したものであるため、厚みバラツキが十分に低減され、耐熱性、耐ブリスター性および寸法安定性に優れ、かつ低コストで生産性良く作製できる。しかも、結晶性熱可塑性樹脂として熱可塑性のポリイミド樹脂を用いると、ポリイミド本来の優れた耐熱性、電気特性、機械的強度等を得ることができる。
詳しくは、本発明の耐熱フィルムは原料として結晶性熱可塑性樹脂を用いて押出成形法によって製造されるため、任意の厚さのフィルムを低コストで安定して供給できる。
さらに、結晶性熱可塑性樹脂への繊維状無機フィラーの添加と二軸延伸との相乗効果により、以下のような効果が得られる。
(1)熱膨張率(CTE)が十分に低減される。その結果、耐熱性が向上する。
(2)延伸倍率を小さくできる。その結果、延伸前のシート厚みが薄くなり、温度制御性が向上するため延伸プロセスにおける厚み変化も小さくなる。また、設備コストを抑えることができる。
(3)結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂は高価のため、安価な繊維状無機フィラーの混入により、耐熱フィルム製造のコストを低減することができる。
[耐熱フィルム]
本発明の耐熱フィルムは、結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形および二軸延伸して得られたものである。
結晶性熱可塑性樹脂への繊維状無機フィラーの添加と二軸延伸との相乗効果により、熱膨張率(CTE)を十分に低減できる。詳しくは、結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形して得られるシートを、さらに二軸延伸することによって、結晶性熱可塑性樹脂がシートの面方向に等方的に結晶化し、熱膨張率が等方的に有効に低減すると共に軟化開始温度Tgが向上し、結果として耐熱性が向上する。
具体的には、結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形して得られる未延伸シートを二軸延伸することにより、MD方向及びTD方向のいずれの熱膨張率(CTE)も十分に低減される。その結果、MD方向とTD方向の熱膨張率の差(絶対値)が10ppm/K以下、好ましくは5ppm/K以下の耐熱フィルムを得ることができる。このとき、耐熱フィルムはMD方向及びTD方向のいずれの熱膨張率もそれぞれ独立して5〜30ppm/K、好ましくは10〜25ppm/Kの範囲内にある。MD方向の熱膨張率とTD方向の熱膨張率との差が大きすぎたり、MD方向の熱膨張率またはTD方向の熱膨張率の少なくとも一方が大きすぎると、加熱時に反りが発生する。特に耐熱フィルムを、フレキシブルプリント配線板の絶縁層として使用した場合、リフロー工程、例えばはんだ工程で加熱により反りが生じるため、配線板としての使用に耐えない。
MD方向の熱膨張率およびTD方向の熱膨張率は、繊維状無機フィラーの添加量、延伸倍率、および組成物の組成を調整することによって、制御できる。
例えば、繊維状無機フィラーの添加量を後述の範囲内で増量すると、MD方向の熱膨張率は低減される。繊維状無機フィラーの添加量を後述の範囲内で減量すると、MD方向の熱膨張率は増大される。
また例えば、一方向の延伸倍率が後述の範囲内で大きいほど、当該方向の熱膨張率が低減される幅が大きい。一方向の延伸倍率が後述の範囲内で小さいほど、当該方向の熱膨張率が低減される幅が小さい。
一方、TD方向の膨張率は繊維状無機フィラーが配合されても膨張率の低減効果はほとんど認められず、MD方向のみ熱膨張率が低減された、極端な異方性のフィルムとなっている。そこで、TD方向の延伸倍率を高く設定し、MD方向の延伸倍率を低く設定することにより、最終的にMD方向とTD方向の熱膨張率の差が等しいフィルムが得られる。
また例えば、結晶性樹脂の一部を非晶性樹脂に置き換えても、二軸延伸による熱膨張率低減の効果は同等に発現される。
本明細書中、熱膨張率は20℃から200℃まで昇温させたときの熱膨張率α20−200であり、以下に示す熱膨張の測定方法において、20℃の時の所定方向の長さβ20と200℃の時の所定方向の長さβ200とから以下の式に基づいて算出することができる。
α20−200=(β200−β20)/β20
熱膨張は、熱機械分析(TMA)によりJIS C 6481:1996の「5.17.1 TMA法」に記載される方法に準じて測定できる。詳しくは、例えば島津製作所(株)の熱機械測定装置TMA−60を用い、JIS C 6481:1996の「5.17.1 TMA法」に記載される方法に準じて、試験片2×23mm、5gfの引張荷重下、昇温速度5℃/minの条件で、熱膨張の変化を測定する。
本発明においては、繊維状無機フィラー配合による熱膨張率の低減効果があるので、延伸倍率を小さくできるため、延伸前の未延伸シートの厚みを薄くできる。その結果、延伸後の厚みバラツキが小さくなると共に、延伸による厚み変化も小さくなり、延伸プロセスの難易度が低くなる。即ち、例えば結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂シートはそれ自体延伸温度が高いうえに、厚みが増えるほど任意の加熱温度に上がるまで時間がかかるので、温度制御が悪くなるが、延伸倍率を小さくでき、かつ未延伸シートの厚みを薄くできるため、延伸プロセスの難易度が低くなる。
さらに、二軸延伸および無機フィラー混入の双方とも弾性率を向上する効果があるため、耐熱フィルムの剛性が増大する。しかも、繊維状無機フィラーが含有されるので、加熱によってもガスバリア性の変化はなく、ブリスターの発生を有効に抑制できる。
本発明においては、二軸延伸することにより、軟化開始温度Tgを高くすることが可能であり、例えば軟化開始温度Tgが258℃であった未延伸熱可塑性樹脂シートの軟化開始温度Tgは二軸延伸することにより305℃以上に上昇する。このことは、熱可塑性樹脂と繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形して得られるシートについても同様である。
具体的には本発明の耐熱フィルムは、軟化開始温度Tgが、延伸前のシートの軟化開始温度Tgよりも10〜200℃高いものである。好ましくは耐熱フィルムの軟化開始温度Tgは延伸前のシートの軟化開始温度Tgよりも20〜100℃高い。フレキシブルプリント配線板のリフロー耐熱温度は250℃以上が必要であるため、耐熱フィルムとしての軟化開始温度Tgは260℃以上であることが望ましい(必要である)。それらの結果、延伸前の軟化開始温度Tgを超える温度でも耐熱フィルムの軟化は始まらず、耐熱フィルムの、耐熱性が向上する。特に、そのような耐熱フィルムから絶縁層を形成したフレキシブルプリント配線板を用いた場合、リフロー耐熱性、特にはんだリフロー時のはんだ耐熱性が向上する。
本明細書中、軟化開始温度Tgは、前記熱膨張率の測定方法と同様の方法において、熱膨張が急激に高くなる温度を軟化開始温度Tgとする。例えば、図1は、熱可塑性ポリイミド樹脂未延伸フィルム及び熱可塑性ポリイミド樹脂延伸フィルムのTMA曲線を示す模式図である。図1から明らかなように、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを二軸延伸することによって、軟化開始温度Tgが向上する。軟化開始温度Tgは、熱膨張が緩やかに上昇している線分の接線と、急激に立ち上がっている線分の接線との交点である。軟化開始温度Tgは、これに限定されるものではなく、同様の条件で他の類似の装置を用いて測定した値でもよい。
本発明において耐熱フィルムの厚みは特に制限されるものではなく、通常は100μm未満、特に好ましくは、8μm以上100μm未満である。
また、二軸延伸後に制限収縮しながら加熱して高分子の結晶を固定(熱固定)することにより、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tgを越えた温度領域でも元の熱膨張率に戻ることはなく、軟化開始温度Tg以上、融点以下の温度範囲で、低減した熱膨張率を維持することができる。さらに、押出成形時に生じたシート内の残留応力も取り除かれ、接着可能な温度まで加熱・冷却した後も寸法変化を生じることのない寸法安定性の優れたフィルムとなる。これによって、金属箔や導体回路への接着時に反り等を生じることなく、寸法精度及び寸法安定性に優れた補強層を形成できる。
二軸延伸を行わないと、熱膨張率が十分に低減されず、しかも熱膨張率の異方性が大きくなり、耐熱性が低下する。繊維状無機フィラーを含有させないと、所定の熱膨張率を得るためには、比較的厚いシートを比較的高倍率で延伸する必要があるため、延伸工程で均一な加熱が困難になり、厚みバラツキが発生する。さらに、延伸倍率を低くすると熱膨張率が充分に低減されない。繊維状無機フィラーの代わりに、球状無機フィラーを用いると、補強効果が小さいために、熱膨張率が十分に低減されず、所定の熱膨張率を得るためには、比較的厚いシートを比較的高倍率で延伸する必要があるため、均一な加熱が困難になり、厚みバラツキが発生する。
[耐熱フィルムの製造方法]
耐熱フィルムの製造方法について詳しく説明する。
本発明の耐熱フィルムは、以下の工程を含む方法によって製造される;
結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を調製する工程(コンパウンド工程);
調製された組成物を押出成形して未延伸シートを得る工程(押出成形工程);および
未延伸シートを二軸延伸する工程(二軸延伸工程)。
(組成物調製工程)
本工程では、結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを添加・混合し、組成物を調製する。例えば、結晶性熱可塑性樹脂のペレット又はパウダーと、繊維状無機フィラー、及び所望により他の樹脂及び添加剤を予め乾式混合した後、二軸混練押出機で溶融・混練及び押出を行う。押し出されたストランドを水中で冷却し、カットして組成物のペレットを得る。特に、結晶性熱可塑性樹脂として熱可塑性ポリイミド樹脂を使用する場合、組成物をコンパウンド工程を経ることにより、ポリイミド樹脂の材料自身が本来有する電気特性や機械的強度を充分発揮する耐熱フィルムが得られる。
本発明における樹脂成分と繊維状無機フィラーの添加混合・混練方法は特に限定されることはなく、各種混合・混練手段が用いられる。例えば熱可塑性樹脂にフィラーを添加する場合、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよく、また予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混練して、溶融押出機にて溶融混合することができる。
本発明に用いられる結晶性熱可塑性樹脂は熱可塑性および結晶性を有するポリマーである。
本明細書中、熱可塑性を有するとは、硬化と軟化との熱可逆性を有し、押出成形によるシート作成が可能である、という意味である。
結晶性を有するとは、溶融状態の熱可塑性樹脂を冷却して固化させたとき、結晶領域を生成し得るという意味である。結晶性熱可塑性樹脂は、ガラス転移点と融点の2つの転移点を有しており、一方、非晶性熱可塑性樹脂は、融点を持っておらず、ガラス転移点のみを有している。結晶性、非晶性の区別については、既に明確にされており、一般の書籍の示される通り、広く知られている。
そのような結晶性を有する熱可塑性樹脂を使用することにより、二軸延伸による特性向上、例えば軟化開始温度Tgの上昇、熱膨張率の低減を達成できる。結晶性熱可塑性樹脂の代わりに非晶性熱可塑性樹脂を用いると、これらの効果は発現しない。
結晶性熱可塑性樹脂は軟化開始温度Tgが120℃以上のものが使用され、軟化開始温度Tgは、必要とするリフロー耐熱温度に容易に達しやすいとの観点から、200℃以上、特に220℃以上がより好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tgが低すぎると、軟化開始温度Tgが向上しても必要とするリフロー耐熱温度に到達せず、プリント配線板用の耐熱フィルムとして必要とされる性能とならない。
結晶性熱可塑性樹脂として、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル芳香族ケトン、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリメチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、超高分子量ポリエチレンが挙げられる。なお、本発明の結晶性熱可塑性樹脂には、結晶性熱可塑性樹脂と同様の挙動を示す液晶ポリマーも含むこととする。
結晶性熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。フレキシブルプリント配線板用の耐熱フィルムとして使用するのに適した電気絶縁性や耐熱性や強度を有する観点から、結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂、結晶性熱可塑性ポリエーテル芳香族ケトン樹脂を用いることが好ましく、特に結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂が好ましい
結晶性熱可塑性ポリエーテル芳香族ケトン樹脂は市販品として入手可能であり、ビクトレックス社製PEEK(登録商標、Tg:146℃)が挙げられる。
結晶性熱可塑性芳香族ポリアミド樹脂は市販品として入手可能であり、例えば、三井化学社製アーレン(登録商標、Tg:125℃)などが挙げられる。
結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂としては、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を持つものが挙げられる。
Figure 2010126709
上記一般式(1)において、Xは直接結合、−SO−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−又は−S−であり、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、又はハロゲン原子であり、Yは下記式(2)よりなる群から選ばれた基である。
Figure 2010126709
上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、下記一般式(3)のエーテルジアミンと下記一般式(4)のテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下又は非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的に又は熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
Figure 2010126709
上記一般式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ前記式(1)における記号と同じ意味を示す。
Figure 2010126709
上記一般式(4)において、Yは前記一般式(1)における記号と同じ意味を示す。
前記一般式(1)及び一般式(3)中、R、R、R、Rの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、フルオロメトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、水素原子である。また、式中のXは直接結合、−SO−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−又は−S−であり、好ましくは、直接結合、−SO−、−CO−、−C(CH−である。
前記一般式(1)及び一般式(4)中、Yは、前記式(2)で表されるものであり、好ましくは酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を使用したものである。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂としてより好ましいものは、下記式(5)で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂である。
Figure 2010126709
尚、上記式(5)で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、三井化学株式会社製の「オーラム」(登録商標)として購入可能である。
結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂として、下記式(6)及び式(7)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂も好ましい具体例として挙げられる。
Figure 2010126709
Figure 2010126709
前記式(6)及び式(7)において、m及びnは各構造単位のモル比を意味し(必ずしもブロック重合体を意味しない)、m/nは4〜9、より好ましくは5〜9、さらに好ましくは6〜9の範囲の数である。
前記式(6)及び式(7)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、それぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下又は非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的に又は熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
本発明においては、結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂として、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂の代わりに、又は当該樹脂と組み合わせて、下記式(8)で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を使用することも好ましい。また、前記式(6)で表される構造単位を有するモノマーと下記式(8)で表される構造単位を有するモノマーとのコポリマーの使用も好ましく、この場合、前記式(6)で表される繰り返し構造単位と下記式(8)で表される繰り返し構造単位とのモル比は、1:0〜0.75:0.25の割合が適当である。
Figure 2010126709
上記式(8)の繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミド樹脂は、それぞれ対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下又は非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的に又は熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
結晶性熱可塑性樹脂の添加量は、結晶性樹脂が二軸延伸によって有効に特性を発揮するために通常は、組成物全体量の50〜95重量%であり、好ましくは60〜95重量%が適当である。結晶性熱可塑性樹脂は、種類の異なる2種類以上の結晶性熱可塑性樹脂が使用されてもよい。その場合、それらの合計添加量が上記範囲内であればよい。
本発明においては、前記結晶性熱可塑性樹脂と共に、本発明の効果を損なわない量的割合で、例えばベースとなる熱可塑性樹脂成分の内、40重量%以下の割合で、他の樹脂、例えば、非晶性熱可塑性樹脂が含有されてよい。
本発明における非晶性熱可塑性樹脂は、軟化開始温度Tgが120℃以上であり、かつ熱可塑性および非晶性を有するポリマーである。
非晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tgは、必要とするリフロー耐熱温度に容易に達しやすいとの観点から、180℃以上、特に210℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、非晶性ポリイミド、ポリアミドイミド等が使用可能である。非晶性熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。好ましい非晶性熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂、非晶性熱可塑性ポリエーテルサルホン樹脂である。
好適な非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂としては、下記一般式(9)で表される繰り返し構造単位を持つポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。
Figure 2010126709
上記一般式(9)において、Dは3価の芳香族基であり、EとZは共に2価の残基である。
上記一般式(9)の繰り返し構造単位を有するポリエーテルイミド樹脂は、対応するエーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、有機溶媒の存在下又は非存在下で反応させ、得られたポリアミド酸を化学的に又は熱的にイミド化して製造できる。これらの具体的製造方法は、公知のポリイミドの製造方法の条件を利用することができる。
そのようなポリエーテルイミド樹脂の具体例として、例えば、下記一般式(10)〜(12)で表される繰り返し構造単位から選択される少なくとも1種の繰り返し構造単位を有するポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。
Figure 2010126709
Figure 2010126709
上記一般式(10)〜(12)中、記号Eは、下記式で示される基などの2価の芳香族残基である。
Figure 2010126709
特に好ましく使用されるポリエーテルイミド樹脂は、下記式(13)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルイミド樹脂である。
Figure 2010126709
上記式(13)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルイミド樹脂は、サビック社製のウルテム(ULTEM)(登録商標)として購入可能である。
具体的に示した前記結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂や非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂の原料となるジアミンやテトラカルボン酸二無水物は、一種又は複数を組み合わせて用いることができ、本発明の目的を害さない範囲で他の共重合成分を含むことができる。また、異なるモノマーから得られた複数のポリイミド樹脂を本発明の目的を害さない範囲で任意にポリマーブレンドして用いてもよい。
本発明の耐熱フィルム形成用組成物に用いる結晶性熱可塑性樹脂および非晶性熱可塑性樹脂それぞれについて、押出成形によりシート化が可能な溶融粘度は、5×10から1×10[Pa・S]であり、好ましくは4×10から3×10[Pa・S]である。溶融粘度が5×10[Pa・S]未満の場合、ダイスから吐出後のドローダウンが顕著でシート生産が不可となる。一方、溶融粘度が1×10[Pa・S]を超える場合、溶融時の押出スクリューにかかる負荷が大きく、あるいはダイスからの吐出が困難となり、シートの製造が不可能となる。ここで、溶融粘度[Pa・S]は、JIS K−7199に準拠し、島津製作所フローテスタCFT−500を用いて測定した値であるが、これに限定されるものではなく、同様の条件で測定できた値であればよい。
本発明に用いる繊維状無機フィラーは、本発明の目的が達成される限り特に限定されるものではなく、平均繊維長0.1〜100μmおよび平均繊維径0.01〜20μmの繊維形状を有する無機フィラーが使用可能である。
平均繊維長および平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した30個の値を平均することで得られる。
繊維状無機フィラーの具体例として、例えば、チタン酸カリウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、窒化ケイ素ウイスカ、炭化ケイ素ウイスカ、ムライトウイスカ、グラファイトウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ホウ化チタンウイスカ、ワラストナイト、ゾノトライト、アルミナシリカファイバー、石英ファイバー、炭酸カルシウムウィスカ、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ガラス繊維等が挙げられる。フィルム成形性が良好で表面が平滑で外観が良好なフィルムが得られる観点から、好ましい繊維状無機フィラーはチタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカである。
繊維状無機フィラーは350℃加熱時の発生ガス(揮発分)の量が1重量%以下であることが好ましい。
そのような発生ガスの量は、熱重量測定装置(TGA)等の測定設備において、窒素ガス気流下で350℃まで加熱した時の重量減少によって測定できる。
繊維状無機フィラーの平均繊維長は好ましくは0.3〜50μmであり、より好ましくは0.5〜30μmである。平均繊維径は好ましくは0.05〜5μmである。
繊維状無機フィラーの添加量は、加熱時において適正な二軸延伸加工が可能で、かつフィラー混入の効果を発現できる観点から、通常は、組成物全体量の5〜40重量%であり、好ましくは10〜35重量%が適当である。繊維状無機フィラーは種類、平均繊維長、または平均繊維径の異なる2種類以上の繊維状無機フィラーが使用されてもよい。その場合、それらの合計添加量が上記範囲内であればよい。
本発明の耐熱フィルム形成用組成物には、本発明の目的を達成できる範囲内で、必要に応じて他の添加成分を含有させてもよい。他の添加成分として、例えば、粒状無機フィラー(球状シリカ、球状アルミナ、ガラスビーズ、カーボンビーズ、ガラスバルーン等)、不定形無機フィラー(アルミナ、粉末シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化鉄、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、カーボンブラック等)などの他の各種フィラー、染料、顔料等の着色剤、離型剤、熱安定剤等の各種安定剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、オイル類等の添加剤や、熱硬化性樹脂(フェノール系、エポキシ系、シリコン系、ポリアミドイミド系等)等が挙げられる。他の添加成分の添加量は通常、組成物全体量の20重量%以下、好ましくは10重量%以下が適当である。他の添加成分は2種類以上組み合わせて使用されてよく、その場合、それらの合計添加量が上記範囲内であればよい。
他の添加される無機フィラーはメジアン径0.1〜10μm以下、特に5μm以下のものが好適である。
(押出成形工程)
本工程では、少なくとも結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形して未延伸シートを得る。例えば、組成物調製工程で得られた組成物ペレットを所望により加熱乾燥して吸着水分を除去した後、単軸又は二軸スクリュー押出機にて加熱溶融させ、押出機の先端に設けられたTダイから平膜状に吐出し、冷却ロールに接触又は圧着させて冷却・固化してシートを得る。
押出成形によって得られた未延伸シートの厚み、すなわち二軸延伸直前のシート厚みは、熱膨張率および厚みバラツキをより一層有効に低減する観点から、100〜500μmとすることが好ましい。
未延伸シートの厚みは、Tダイのスリットの間隙寸法を調整すること、およびTダイから吐出後の引き落とし速度によって制御できる。
(二軸延伸工程)
本工程では、押出成形工程で得られた未延伸シートをTD方向およびMD方向に二軸延伸し、所望により熱固定し、耐熱フィルムを得る。MD方向は主に繊維状無機フィラーの配向により、TD方向は主に延伸による結晶化の効果により熱膨張率が等方的に有効に低減される。そのため、延伸倍率を比較的小さく設定できる。その結果、未延伸シートの厚みも小さくできるので、最終的に得られる耐熱フィルムの厚み・特性のバラツキは非常に小さくなり、均一に特性が向上した耐熱フィルムが得られる。しかも、軟化開始温度を有効に上昇させることができる。
本工程において達成されるTD方向の延伸倍率はMD方向の延伸倍率よりも大きいことが好ましい。これによって、TD方向とMD方向の熱膨張率が同程度の等方性シートがはじめて得られ、結果としてリフロー耐熱性が向上するためである。TD方向の延伸倍率がMD方向の延伸倍率以下であると、熱膨張率がTD方向およびMD方向について等方的に低減されない。そのため、MD方向は低い熱膨張率であっても、TD方向は熱膨張率が充分低減されていない異方性フィルムとなる。なお、延伸工程が、同時二軸延伸の場合は上記のとおりであるが、逐次二軸延伸の場合は、延伸条件によって延伸倍率が変化するため、必ずしもTD方向の延伸倍率が大きくなるとは限らない。
MD方向の延伸倍率は通常、1.1〜3.0である。
TD方向の延伸倍率は通常、1.3〜3.0である。
TD方向およびMD方向の延伸倍率が低すぎると、熱膨張率が十分に低減されなかったりする。TD方向およびMD方向の延伸倍率が高すぎると、延伸時にシートが破れる等の問題が生じる。
TD方向とMD方向の等方性を向上させる観点から、TD方向の延伸倍率とMD方向の延伸倍率との差は0.2〜1.9、特に0.3〜1.0が好ましい。
延伸温度は、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜Tg+50℃の範囲が好ましい。延伸温度が低すぎると、延伸にかかる応力が強く、延伸が不可能であるか、或いは、延伸の際にシートの破れや不均一な延伸となる。一方、延伸温度が高すぎると、結晶化の効果が小さく、延伸による熱膨張率低減効果が発現しない。
延伸速度は50〜10000%/minの範囲が好ましい。延伸速度が低いと、結晶化の効果が小さく、熱膨張率は低減しなくなる。一方、延伸設備の能力の制約によって延伸速度には上限がある。
二軸延伸の方法としては、複数のロール群を用いて延伸する方法、テンターを用いて延伸する方法、ロールを用いた圧延による延伸方法、チューブラー延伸方法など、従来公知の方法を用いることができる。産業的によく使われるテンターを用いた延伸法には、縦方向と直交方向をそれぞれ別工程の2段階で延伸する逐次延伸と、縦方向と直交方向を同時に延伸する同時延伸があるが、いずれの方法で二軸延伸を行ってもかまわない。
熱固定は、二軸延伸されたシートの緊張状態を維持しながら、当該シートの加熱および冷却を行う処理である。これによって、二軸延伸により達成されたポリマーの主鎖および繊維状無機フィラーの配向を維持しながらも、再加熱時の寸法変化を抑制できる。
熱固定の条件として、加熱温度は、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜融点−10℃、制限収縮は2〜20%、好ましくは4〜10%、時間は1〜5000分の範囲内で任意に設定できる。熱固定温度が低すぎると、延伸シートを再加熱時に大きな寸法変化が発生する。一方、熱固定温度が融点以上に高くなると、延伸によってできた結晶化が解消してしまう。
二軸延伸工程を具体例を挙げて説明する。
例えば、同時二軸延伸の場合、未延伸シートを、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜Tg+20℃の温度範囲で予熱し、所定の温度まで均一に加熱された状態で、TD方向およびMD方向に同時に所定の倍率で延伸する。次に、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜融点−10℃の温度範囲で延伸シートを緊張下で熱固定する。熱固定においては、延伸後にシートの収縮を伴うが、収縮を規制した緊張状態を維持しながら徐々に2〜20%まで制限収縮させたまま冷却する。
また例えば、逐次二軸延伸の場合、まず、未延伸シートを、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜Tg+50℃の温度範囲で予熱し、所定の温度まで均一に加熱された状態で、MD方向に所定の倍率で延伸する。次いで、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜Tg+50℃の温度範囲で、TD方向に所定の倍率で延伸する。次に、使用された結晶性熱可塑性樹脂の軟化開始温度Tg+5℃〜融点−10℃の温度範囲で延伸シートを緊張下で熱固定する。熱固定においては、延伸後にシートの収縮を伴うが、収縮を規制した緊張状態を維持しながら徐々に2〜20%まで制限収縮させたまま冷却する。
[用途]
本発明の耐熱フィルムは、フレキシブルプリント配線板等のベースに用いられる耐熱性絶縁フィルムの分野で有用である。
本発明の耐熱フィルムをフレキシブルプリント配線板の分野で使用する場合、耐熱フィルムと金属箔を、接着剤を用いて貼り合わせるラミネート法、或いは、スパッタリング法、或いは、耐熱フィルム自身をTg以上の高温で軟化させて融着させて積層させてもよい。
以下に実施例等を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた形態で実施しうるものである。
[実施例1]
(1)コンパウンド工程
化学構造式が前記式(6)である熱可塑性ポリイミド(三井化学(株)製のオーラム(登録商標)PD500A;Tg258[℃]、融点388[℃]、100sec−1のせん断速度で測定した溶融粘度1000[Pa・S])(以下、TPIと略称する)のペレット又はパウダーと、表1に示す無機フィラー、並びに所望により他の樹脂及び添加剤をヘンシェルミキサーやリボンブレンダー等によって乾式混合した後、二軸混練押出機で溶融・混練及び押出を行った。押し出されたストランドを冷却し、カットして混合物のペレットを得た。
(2)押出成形工程
得られたペレットを加熱乾燥して吸着水分を除去した後、単軸又は二軸スクリュー押出機にて加熱溶融させ、押出機の先端に設けられたTダイから平膜状に吐出し、冷却ロールに圧着させて冷却・固化して、各種ポリイミドシートを得た(厚み340μm)。
(3)二軸延伸工程
得られたシートを、260℃の温度範囲で余熱し、所定の温度まで均一に加熱された状態で、互いに直角をなす二方向に同時に延伸した。MD方向およびTD方向の延伸倍率は表1に示す通りであった。次に、得られた延伸シートを300℃で緊張下にて熱固定した。熱固定においては、延伸後にシートの収縮を伴うが、収縮を規制した緊張状態を維持しながら徐々に約5%まで制限収縮させたまま冷却し、耐熱フィルムを得た。
前記のようにして得られた未延伸シートおよび耐熱フィルムの熱膨張率、軟化開始温度(TMA測定法によるTg)、リフロー耐熱性及び厚みとそのバラツキを、以下の方法で測定した。
<熱膨張率(CTE)>
島津製作所(株)の熱機械測定装置TMA−60を用い、試験片2×23mm、5gfの引張荷重下、昇温速度5℃/minで、20〜200℃までの熱膨張率を測定した。単位はppm/K。
<TMA測定法による軟化開始温度Tg>
島津製作所(株)の熱機械測定装置TMA−60を用い、JIS C 6481:1996の「5.17.1 TMA法」に記載される方法に準じて、試験片2×23mm、5gfの引張荷重下、昇温速度5℃/minの条件で、伸び率が急激に高くなる軟化開始温度Tgの測定を行った。
<耐熱性>
耐熱フィルムを、熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔で構成される銅張り積層板(総厚み25ミクロン)のポリイミド側にアクリル系接着剤で貼り合わせ、150℃に加熱して接着剤を硬化させた。その後、最高到達温度260℃のリフロー炉を通過させるリフロー試験を行った。常温まで冷却後、反りや変形があるか否かを目視により判断した。尚、耐熱フィルムの接着面は、接着強度向上のためにコロナ放電処理を行った。巴工業(株)製コロナ処理装置を用いて、1分間当たりのワット密度120W/mという条件で行った。
○:反りなし。
×:カールあり。
<厚みおよび厚みバラツキ>
耐熱フィルムを、延伸加工時のチャックのつかみ部分を除いた、縦100mm、横100mmのサイズに採取し、縦横それぞれ2cm間隔で4ヶ所、合計16ヶ所の厚みを測定した。測定器は、最小目盛り1μmで、平面の先端子を備えたダイヤルゲージを用いた。16ヶ所の平均厚みに対して、最大値と最小値の差が、10%未満を○、10%以上20%未満を△(実用上問題あり)、20%以上を×とした。
[実施例2〜7/比較例1〜7]
表1に示す樹脂、無機フィラー、並びに所望により他の樹脂及び添加剤を用いたこと、および所定の倍率で二軸延伸を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、耐熱フィルムを製造し、評価した。
Figure 2010126709
PEI:前記式(13)で表される繰り返し構造単位を有する)非晶性の熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製ウルテム1000)
ウィスカA:(繊維状):ホウ酸アルミニウムウイスカ(四国化成工業(株);アルボレックス−Y)平均繊維長=22μm、平均繊維径=0.7μm、350℃加熱時の発生ガス量<1重量%
ウィスカB:(繊維状):チタン酸カリウムウイスカ(大塚化学(株);ティスモ−D、平均繊維長=16μm、平均繊維径=0.4μm、350℃加熱時の発生ガス量<1重量%
アルミナ:(球状):((株)龍森社製)、メジアン径=1.0μm、アスペクト比=1
BaSO:(球状):(B55;堺化学工業(株)社製)、メジアン径=0.7μm、アスペクト比=1
タルク:(板状):(富士タルク(株)製LMS200)、メジアン径=4.3μm、アスペクト比=16
表中、「元」の測定値は、二軸延伸直前の未延伸シートの測定値である。
「後」の測定値は、最終的に得られた耐熱フィルムの測定値である。
熱可塑性ポリイミド樹脂未延伸フィルム及び二軸延伸熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムのTMA曲線を示す模式図である。

Claims (8)

  1. 軟化開始温度Tgが120℃以上の結晶性熱可塑性樹脂および繊維状無機フィラーを含有する組成物を押出成形および二軸延伸して得られ、MD方向とTD方向のいずれの熱膨張率も5〜30ppm/Kの範囲内にあり、熱膨張率の差が10ppm/K以下であることを特徴とする耐熱フィルム。
  2. 耐熱フィルムの軟化開始温度Tgが、延伸前のシートの軟化開始温度Tgよりも10〜200℃高い請求項1に記載の耐熱フィルム。
  3. 耐熱フィルムの軟化開始温度Tgが260℃以上である請求項1または2に記載の耐熱フィルム。
  4. 耐熱フィルムの厚みが100μm未満である請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱フィルム。
  5. 前記結晶性熱可塑性樹脂は、軟化開始温度Tgが200℃以上の結晶性熱可塑性ポリイミド樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱フィルム。
  6. 前記組成物は、軟化開始温度Tgが120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂をさらに含有する請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱フィルム。
  7. 前記繊維状無機フィラーが、平均繊維長0.1〜100μmおよび平均繊維径0.01〜20μmであり、組成物全体の5〜40重量%含まれる請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱フィルム。
  8. 前記組成物が、メジアン径0.1〜10μmの球状無機フィラーをさらに含有する請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱フィルム。
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