JP5634870B2 - 炭素繊維を含有する複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂材料と炭素繊維とを含有する導電性樹脂複合材料に関する。詳しく述べると、本発明は、従来の樹脂材料と炭素繊維を含む導電性樹脂複合材料と比べて、良好な導電性を有する一方で、加工成形時等において優れた物性を示し、また該導電性樹脂複合材からの炭素繊維の脱落性が低いことを特徴とする、樹脂材料と炭素繊維とを含有する導電性樹脂複合材料に関する。
従来、樹脂と導電性フィラーからなる導電性樹脂複合材料は、半導体分野、電気機器関連分野、自動車・航空分野で広く使用されている。このような導電性樹脂複合材料を使用する主な目的としては、例えば、半導体部品の静電気からの保護、電磁波を遮断することによる精密機器の誤作動防止、摩擦にともなう静電気・発熱の防止等が挙げられる。
ところで、母材樹脂に電気伝導性を付与させる方法としては、樹脂にイオン伝導性を付与する材料を添加する方法や、樹脂に例えば、金属微粒子、金属繊維、カーボン微粒子、炭素繊維(アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作ったPAN系炭素繊維またはPITCH系炭素繊維。以下、本明細書において、これらを「汎用炭素繊維」と称する。)などの導電性フィラーを添加する方法がある。こうした中で、性能、環境問題等の面から、炭素系材料を用いて導電性を付与することが主流となりつつある。
しかしながら、必要とされる導電性を発現させるために、導電性フィラーとして粒径が数μmのカーボン粒子を用いる場合は、樹脂100質量部に対して40〜50質量部、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックでも8〜15質量部添加する必要がある。このようなカーボン粒子を用いた複合材は、もとの樹脂に比べて粘度上昇・流動性低下や、硬度上昇などの物性変化を引き起こす。その結果、成形加工時の金型転写性の低下、光沢などの外観不良や耐衝撃性の低下の原因となる。
また導電性フィラーとして上記したような汎用炭素繊維を用いた場合も、樹脂100質量部に対して例えば30質量部程度の添加で、体積固有抵抗102Ωcm程度の導電性を得ることができるが、やはり添加量が多いため流動性の悪化などにつながっている。
近年、こうした導電性フィラーとして、カーボンナノチューブ(以下「CNT]とも記する)などに代表される繊維径0.7〜130nm程度の微細炭素繊維が用いられるようになってきている。微細炭素繊維は、アーク放電法や気相成長法などで製造され、基本的には連続した6員環炭素構造からなるグラフェンシートが単層あるいは多層的に管状構造をなしたものであり、繊維径がナノメーターレベル、長さがミクロンオーダーであり、高アスペクト比を一つの特徴とする導電性フィラー材料である。この微細炭素繊維を用いると、その高い導電性から、樹脂100質量部に対して数質量部の添加により所望の導電性を有する樹脂複合材を得られることが報告されている。(特許文献1,2)
しかし、母材樹脂とこのような微細炭素繊維からなる導電性樹脂複合材料においても、良好な導電性を付与するレベルまで微細炭素繊維を樹脂に添加することによって、破断伸びなど樹脂複合材の物性・成形性は低下してしまう。これらの点は、この樹脂複合材料を用いて目的成形物を成形する際の課題となっている。また、微細炭素繊維の繊維径がきわめて細く、溶融した樹脂による炭素繊維表面の濡れ性の悪さなどもあって、成形した樹脂複合材からの微細炭素繊維の脱落が発生する傾向がある。このような導電性フィラーである微細炭素繊維の脱落は、特に半導体分野では、半導体製品の故障・損壊の原因となることが問題視されている。このため、良好な導電性と、優れた成形性などの本来母材樹脂が有する樹脂特性、さらには炭素繊維の低脱落性という点のいずれについても、十分なレベルで達している樹脂と炭素繊維からなる導電性樹脂複合材料が求められている。
一方、繊維外径分布の異なる二群以上の炭素繊維を含むガス貯蔵材が特許文献3において提案されている。小さい平均外径の炭素繊維群と、それより大きい平均外径の炭素繊維群を組み合わせると、ガスの吸着サイトを得るのに最適な細孔構造が形成され、ガスの貯蔵量を向上させるというものである。
しかし、特許文献3に示されるガス貯蔵材は、炭素繊維と樹脂材料を混練したものではなく、導電性の良好な樹脂材料を提供するものではない。
また、特許文献4には、第一のグラファイト微細繊維と、それよりも細径の第二のグラファイト繊維とが樹脂バインダーに含有された導電性材料が提案されている。
この特許文献4に開示される導電性材料は、フェノール系の樹脂バインダーに混練するものであり、溶剤も必要である。さらに用いるグラファイト微細繊維は、平均直径5〜20nmのものと、平均直径300nm〜1000nmのものを混合するものである。
また、特許文献5には、炭素繊維の平均直径が大きいものと、小さいものを混合した導電性組成物が提案されている。
しかし、特許文献5の炭素繊維は平均直径が13μmのものと平均直径が7μmによるものであり、汎用炭素繊維である。
特開2006−306960号公報 特開2006−225648号公報 特開2005−185951号公報 特開平8−222025号公報 特開平5−32819号公報
本発明は、樹脂材料と炭素繊維を含む新たな導電性樹脂複合材料を提供することを課題とする。特に本発明は、良好な導電性を保持する一方で、成形性に関わる破断伸びが改善され、また樹脂複合材からの炭素繊維の脱落を低減した導電性樹脂複合材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、樹脂材料中に配合される炭素繊維の平均繊維外径が20nmを超え300nm以下であり、繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維群を含ませた導電性樹脂複合材料が、良好な導電性を示し、かつ成形時における破断伸びも改善され、また該炭素繊維の該導電性樹脂複合材料からの脱落も低減されることを見出した。また、平均外径が20nmから300nmの炭素繊維を工業的に生産している例は少なく、本発明は平均外径が20nm〜300nmの範囲の炭素繊維を製造する技術を開発したことにより、この範囲内の繊維外径分布が異なる2群の炭素繊維群を混合することを着想し完成させたものである。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
母材樹脂および炭素繊維を含む導電性樹脂複合材料であって、該炭素繊維の平均繊維外径が20nmを超え300nm以下であり、繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維を含み、かつ該母材樹脂100質量部に対し、炭素繊維を1〜11.2質量部含有することを特徴とする導電性樹脂複合材料である。
本発明はさらに、前記の繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維群が、平均繊維外径がより細い炭素繊維群Aとより太い炭素繊維群Bに分けた場合に、質量比で該炭素繊維群Bが該炭素繊維群Aより大きくなり、かつ、該炭素繊維群Aの平均繊維外径をaとし該炭素繊維群Bの平均繊維外径をbとした場合にa/b比率が0.8以下となることを特徴とする前記導電性樹脂複合材料を示すものである。
本発明はさらに、前記炭素繊維群Aの平均外径aが20nmを超え100nm以下であり、炭素繊維群Bの平均繊維外径bが100nmを超え300nm以下であり、両者は、母材樹脂中で実質的に混合均質化されていることを特徴とする前記導電性樹脂複合材料を示すものである。
本発明はまた、前記炭素繊維群Aの質量存在比が炭素繊維群Bの質量存在比より小さいことを特徴とする前記導電性樹脂複合材料を示すものである。
本発明はさらに、前記炭素繊維が気相成長法によって製造された炭素繊維であることを特徴とする前記導電性樹脂複合材料を示すものである。
本発明はまた、前記炭素繊維が3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体を形成し、該炭素繊維構造体は、複数の粒状部を相互に立体的に該炭素繊維で結合されたネットワーク構造を呈するものであることを特徴とする前記導電性樹脂複合材料である。
本発明はさらに、前記粒状部が、前記炭素繊維の平均繊維外径の1.3倍以上の平均円相当外径を有することを特徴とする前記導電性樹脂複合材料を示すものである。
本発明はまた、前記導電性樹脂複合材料の破断伸びが40%以上であることを特徴とする導電性樹脂複合材を示すものである。
本発明はさらに、前記導電性樹脂複合材料を用いて成形した成形物の表面電気抵抗値が10〜1012Ω/□であることを特徴とする前記導電性樹脂複合材料である。
本発明の導電性樹脂複合材料は、上記に説明した炭素繊維を樹脂に配合することにより、優れた導電性、改善された破断伸び、および炭素繊維が脱落しにくい特性とを有するものである。かかる特性によって、導電性樹脂複合材は幅広い成形条件に対応し、かつその成形は割れ耐性に優れることから、幅広い用途に適用可能な導電性材料が提供できる。かかる用途としては、例えばパソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、およびスロットマシーンなど)、ディスプレー装置(LCD、有機EL、電子ペーパー、プラズマディスプレー、およびプロジェクタなど)、送電部品(誘電コイル式送電装置のハウジングに代表される)が例示される。また、かかる用途としては、例えばプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)が例示される。あらに、かかる用途としては、VTRカメラ、光学フィルム式カメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ用レンズユニット、防犯装置、および携帯電話などの精密機器が例示される。特に本発明の導電性樹脂複合材料は、カメラ鏡筒、デジタルカメラの如きデジタル画像情報処理装置の筐体、カバー、および枠に好適に利用される。
その他更に本発明の導電性樹脂複合材料は、マッサージ機や高酸素治療器などの医療機器;画像録画機(いわゆるDVDレコーダーなど)、オーディオ機器、および電子楽器などの家庭電器製品;パチンコやスロットマシーンなどの遊技装置;並びに精密なセンサーを搭載する家庭用ロボットなどの部品にも好適なものである。
また本発明の導電性樹脂複合材料は、各種の車両部品、電池、発電装置、回路基板、集積回路のモールド、光学ディスク基板、ディスクカートリッジ、光カード、ICメモリーカード、コネクター、ケーブルカプラー、電子部品の搬送用容器(ICマガジンケース、シリコンウエハー容器、ガラス基板収納容器、磁気ヘッドトレイ、およびキャリアテープなど)、帯電防止用または帯電除去部品(電子写真感光装置の帯電ロールなど)、並びに各種機構部品(ギア、ターンテーブル、ローター、およびネジなど、マイクロマシン用機構部品を含む)に利用可能である。
破断伸び向上の機構を説明する図面である。 本実施形態における炭素繊維製造装置の構造を模式的に示した構造図である。 (太径品:細径品=1:5(質量比))混合粉体のSEM写真である。 本発明に係る粘度測定の結果を示すグラフである。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明は、繊維外径分布が異なる少なくとも二群の炭素繊維群を樹脂材料に混練してなる樹脂成形体である。繊維外径分布が異なる炭素繊維群は、それぞれ別々に製造し、その後、樹脂材料に混練することが望ましい。炭素繊維を混ぜるのは、粉体の段階で混ぜても、樹脂へ別々に添加して混練後混ぜてもよい。
本発明で用いられる炭素繊維としては、上記したように繊維外径分布が異なる少なくとも二群の炭素繊維群を用いるものであれば特に限定されないが、平均外径の小さい炭素繊維群としてその平均外径が、20nmを超え100nm以下のもの、また平均外径の大きい炭素繊維群としてはその平均外径は100nmを超え300nm以下のものを組合せ、両者を実質的に混合均質化してなる混合物とすることが好ましい。両者を混ぜ合わせることで、平均外径の小さい炭素繊維群だけ、または平均外径の大きい炭素繊維群だけを単独で用いるより、良好な導電性を保持する一方で、成形性に関わる破断伸びが改善され、また樹脂複合材からの炭素繊維の脱落を低減することが可能である。
ここで用いている平均繊維外径とは、測定対象の炭素繊維を倍率35000倍に設定した走査型電子顕微鏡でランダムに複数視野を撮影し、少なくとも3視野以上でかつ繊維外径の測定点数合計が50点を超えるように各撮影視野中の測定可能な繊維外径をすべて測定し、それを数平均したものである。本発明の導電性樹脂複合材料で用いる炭素繊維は、該方法における1視野あたり、およそ20〜50点の繊維外径の測定ができる。
一般に、炭素繊維を添加してなる樹脂成形体の導電性、粘度、破断は炭素繊維の外径により影響を受けるものである。導電性は外径が細くなるほど単位添加あたりの本数が増えるため、向上する傾向がある。また粘度は外径が細くなるほど高まる傾向がある。用途にもよるが、粘度が高いと樹脂本来の物性が発揮されにくくなる。炭素繊維の製造コストに関しては、外径が細くなるほど単位質量あたりの製造コストが高額となる。ゆえに、本発明は、炭素繊維の外径が異なるものを混練することで炭素繊維の外径の細いものの性質と、太いものの性質の優れた性質を双方に発揮させるように着想し発明に到ったものである。
例えば、ある平均外径を有する炭素繊維群Aに、これよりも太い平均外径を有する炭素繊維群Bを混ぜると、炭素繊維群Bが単独で母材樹脂マトリクス中に粗く分散する複合状態のものにおいて、炭素繊維群Bの炭素繊維と樹脂との空間を、炭素繊維群Aの炭素繊維により埋めることができ、これによって、電気的接触が増えることにより導電性が向上する。また、炭素繊維群Bの炭素繊維が分散した隙間に炭素繊維群Aの炭素繊維に分散させることにより、炭素繊維が絡まりあい、破断伸びなどの力学的な強度も増大するものである(図1)。
高分子材料の破壊機構は、加工条件と基本構造で決まる。または、結晶化度、構造の均一性、配向性、球晶の大きさとその分布、分子鎖の長さと分布などの結晶性、材料の傷、切り込みなど物理的な欠陥の存在によっても変化する。たとえば、図1に示すように、表面に切れ込み傷がある場合は、き裂が非結晶樹脂構成の分子鎖界面に沿って伝播していく。図1に示すように、炭素繊維を添加した場合、せん断応力は、ブリッジング効果である炭素繊維によって受けられ、き裂の伝播速度を遅くさせられるため、破断伸びを向上できる。
繊維が細い程、繊維表面と樹脂との接触面が大きくなり、せん断応力が分散されるため、樹脂からの繊維が引き抜き(Pull-out)し難くなる。しかし、繊維径が細くなるほど、コストも高くなり、分散もし難くなる。そのため、本発明は、細い径の炭素繊維が太径の炭素繊維の周辺に分散されることによって、少ない量の細い径の炭素繊維を用いても、優れた導電性を維持しながら、破断伸びを向上させる効果を有する。
また、本発明で用いられる炭素繊維としては、平均繊維外径が20nmを超え300nm以下であり、3次元ネットワーク状の構造体であることが望ましい。該炭素繊維構造体は、該炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有することを特徴とする炭素繊維構造体である。このような炭素繊維構造体は、特に限定されるものではないが、化学気相成長法によって製造され得る。なお、平均外径が300nmを超えると単位量あたりの、本数が下がるため、平均外径は300nm以下のものを用いるのが望ましい。
さらに、本発明に係る導電性複合材料において、前記の繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維群の配合割合としては、単独の炭素繊維群を使用した場合と比較して、上記したような導電性の向上、破断伸びの向上、さらには繊維脱落の低減効果が得られる限り、特に限定されるものではないが、例えば、平均繊維外径がより細い炭素繊維Aとより太い炭素繊維Bに分けた場合に質量比で該炭素繊維Bが該炭素繊維Aより大きくなり、かつ、該炭素繊維Aの平均繊維外径をaとし該炭素繊維Bの平均繊維外径をbとした場合にa/b比率が0.8以下、より好ましくは0.07〜0.8、さらに好ましくは0.2〜0.8程度となるように大別できるものであることが望ましい。このような配合割合とすることで、特に優れた効果が期待できるためである。
上記ネットワーク構造を有する気相炭素繊維構造体としては、更に、複数の粒状部を有し、この複数の粒状部のそれぞれの粒状部から複数の前記炭素繊維がそれぞれ独立に延出し全体として3次元的な広がりを呈し、且つ一つの粒状部より延出する複数の気相炭素繊維の少なくとも一部が、他の粒状部とも結合している態様によって、少なくとも部分的に該気相炭素繊維の3次元的な網目状構造を有することを特徴とする気相炭素繊維構造体であることが望ましい。
なお、本願明細書において、粒状部から炭素繊維が「延出する」とは、粒状部に複数の炭素繊維が他の結着剤(炭素物質のものを含む)によって、単に見かけ上で繋がっているような状態をさすものではなく、上記したように炭素結晶構造的な結合、即ち粒状部は、前記炭素繊維と同じ多層構造のグラフェンシートを共有していることによって繋がっている状態を主として意味するものである。
また、本願明細書において「全体として3次元的な広がりを呈する」とは、複数の炭素繊維が一箇所の粒状部から互いに独立した方向に延出しており、その延出の様態は、粒状部を基点として立体空間内に複数繊維が伸長するような構造を意味する。
このような炭素繊維構造体としては、さらに、2つの該粒状部を連結する炭素繊維の平均長さは3.0〜20.0μmであるものが好ましい。
なお、上記「2つの粒状部間の距離」とは、炭素繊維が伸長している1つの粒状部位から、隣接する粒状部位までを連結する炭素繊維の長さを意味する。この隣接する粒状部間の距離は、1つの粒状体の中心部からこれに隣接する粒状部の中心部までの距離を測定したものである。粒状体間の平均距離が、0.5μm未満であると、炭素繊維の長さが足りず十分に延び広がることが出来ない為、例えば、母材樹脂中に分散配合された場合に、良好な導電パスを形成し得ないものとなる虞れがあり、一方、平均距離が100μmを越えるものであると、当該炭素繊維の構造体は、比較的大きな炭素繊維の構造体となり、母材樹脂中に分散配合させる際に、粘性を高くさせる要因となり、炭素繊維の集合体の母材樹脂に対する分散性が低下する虞れがあるためである。なお、より望ましい粒状部間の平均距離は、好ましくは2.0〜50μm、さらに好ましくは3.0〜20μm程度となる。
また、本発明で用いられる炭素繊維は、その繊維外径(nm)の分布の標準偏差が25〜40であることが望ましく、特に望ましいのは30〜40である。標準偏差が25〜40の炭素繊維を用いた導電性樹脂複合材料では30%以上、標準偏差が30〜40の炭素繊維であれば50%以上の破断伸びを示す。これは、本発明で好ましく用いられる上記したような3次元ネットワーク状の構造体をとる炭素繊維においては、該標準偏差範囲で規定される繊維外径のばらつき中の太い繊維外径の炭素繊維と細い繊維外径の炭素繊維が、該炭素繊維を用いた導電性樹脂複合材の破断伸びに、相補的に効果を与えるためと考えられる。
なお本願において、2つの炭素繊維群以外に、カーボンブラックなどその他のフィラーを添加することにより、導電性や力学特性を強化することも可能である。
前記の平均繊維外径ならびに繊維外径の分布の標準偏差の値を有する炭素繊維は、炭素繊維の製造方法において、バッチ式であれば1回の製造反応で得られる、あるいは連続反応であれば適当な製造量の得られる1連続期間を1回として得られる炭素繊維でもよく、またはそうして得られる炭素繊維の複数回分の混合物でもよい。該混合を行う際は、炭素繊維群Aと炭素繊維群Bとを実質的に混合均質化してなる混合物であり、該混合物における炭素繊維群B由来の炭素繊維の質量存在比が炭素繊維群A由来の炭素繊維の質量存在比より大きい炭素繊維混合物が、前記の平均繊維外径と繊維外径の分布の標準偏差範囲を満たすうえでも望ましい。
また、本発明で用いる好ましく用いられる炭素繊維は、前記3次元ネットワーク状の構造体をとっており、単純な分岐構造ではなく、少なくとも部分的に該炭素繊維の網目状構造を有し、該炭素繊維構造体は複数の粒状部を有し、それぞれの粒状部の平均円相当外径より細い繊維径の炭素繊維が該粒状部より複数延出する態様で、かつ該粒状部は該炭素繊維の成長過程において形成されてなるものである。複数の炭素繊維の結合部である該粒状部も、上記したように炭素繊維と同じグラフェンシートの多層構造を有しているため炭素繊維同士の強固な結合をもたらす。したがって、より強固な結合に望ましい粒状部の平均円相当外径は、炭素繊維の平均繊維外径の1.3倍以上、より好ましくは1.5〜5.0倍である。強固な炭素繊維がこうした強固な結合によって3次元ネットワーク状に形成された炭素繊維構造体は、樹脂中に混練等により添加されてもその構造体が保持され、この3次元ネットワーク状の立体構造と、炭素繊維よりも外径の大きい粒状部が、導電性樹脂複合材の樹脂のマトリックス中において物理的なアンカー効果を発揮し、該導電性樹脂複合材からの該炭素繊維の脱落を低減しているものと考えられる。
なお、本明細書でいう「粒状部の平均円相当外径」とは、気相炭素繊維相互の結合点である粒状部の観察される面積を測定し、一つの真円として直径を求めた値である。具体的には、気相炭素繊維相互の結合点である粒状部の外形を電子顕微鏡などで撮影し、この撮影画像において、各粒状部の輪郭を、適当な画像解析ソフトウェア、例えばWinRoof(商品名、三谷商事株式会社製)を用いてなぞり、輪郭内の面積を求め、該面積に基いて各粒状部の円相当径を計算し、平均したものである。
前記3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体は、面積基準の円相当平均径が20〜100μmであることが望ましい。ここで面積基準の円相当平均径とは、炭素繊維構造体の外形を電子顕微鏡などを用いて撮影し、この撮影画像において、各炭素繊維構造体の輪郭を、適当な画像解析ソフトウェア、例えばWinRoof(商品名、三谷商事株式会社製)を用いてなぞり、輪郭内の面積を求め、各繊維構造体の円相当径を計算し、これを平均化したものである。この円相当平均径は、樹脂のマトリックス中に配合された場合における当該炭素繊維構造体の繊維長を判断する要因となるものであり、概して、円相当平均径が20μm未満であると繊維長が短く、それを用いた樹脂複合材料に良好な導電性が得られないおそれがあり、一方、100μmを越えるものであると、例えば、樹脂マトリックス中へ混練等により配合する際に大きな粘度上昇が起こり混合分散が困難あるいは成形性が劣化するおそれがある。
さらに、前記3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体は、前記した構造から炭素繊維が疎に存在した嵩高な構造を有するが、具体的には、例えば、その嵩密度が0.001〜0.05g/cm、より好ましくは0.001〜0.02g/cmであることが望ましい。嵩密度が0.05g/cmを超えるものであると、少量添加によって樹脂の物性を改善することが難しくなるためである。
また、前記3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体は、3次元ネットワーク状に存在する炭素繊維がその成長過程において形成された粒状部において互いに結合されている、特に好ましくは、炭素繊維構造体の占有する立体空間内において前記したように粒状部を複数個有しており、当該立体空間内に存在する炭素繊維がその成長過程において形成された粒状部において互いに結合されている、ことから、上記したように構造体自体の電気的特性等も非常に優れたものであるが、例えば、一定圧縮密度0.8g/cmにおいて測定した粉体抵抗値が、0.025Ω・cm以下、より望ましくは、0.005〜0.020Ω・cmであることが好ましい。粉体抵抗値が0.025Ω・cmを超えるものであると、樹脂と複合材化した際に、良好な導電性複合材料を製造することが難しくなるためである。
また、前記3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体は、高い強度および導電性を有する上から、炭素繊維を構成するグラフェンシート中における欠陥が少ないことが望ましく、具体的には、例えば、ラマン分光分析法で測定されるI/I比が、0.2以下、より好ましくは0.1以下であることが望ましい。ここで、ラマン分光分析では、大きな単結晶の黒鉛では1580cm−1付近のピーク(Gバンド)しか現れない。結晶が有限の微小サイズであることや格子欠陥により、1360cm−1付近にピーク(Dバンド)が出現する。このため、DバンドとGバンドの強度比(R=I1360/I1580=I/I)が上記したように所定値以下であると、グラフェンシート中における欠陥量が少ないことが認められるためである。
ここでいう欠陥とは、中間体等を構成するグラフェンシートの配列に、不純物として不要な原子が侵入したり、必要な炭素原子が不足したり、又ずれが生じる等により生じたグラフェンシートの配列の不完全な部分(格子欠陥(lattice defect))などをいう。
さらに、特に限定されるものではないが、前記3次元ネットワーク状の前記炭素繊維は、また、空気中での燃焼開始温度が700℃以上、より好ましくは750〜900℃であることが望ましい。前記したように3次元ネットワーク状の前記炭素繊維が、欠陥が少なく、かつ炭素繊維が所期の外径を有するものであることから、このような高い熱的安定性を有するものとなる。
本発明に係る前記炭素繊維の集合体は、比表面積が10〜60m/gであることが望ましい。比表面積が60m/g以上に大きくなると、炭素繊維の外径が細くなり、分散などが難しくなる。一方、比表面積が10m/g以下になると、単位量あたりの炭素繊維の本数が極めて少なくなるため、少量の添加では高い導電性の複合材料を得られなくなる。
上記の特徴を有する炭素繊維構造体は、特に限定されるものではないが、例えば、次のようにして調製することができる。
基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物をCVD法で化学熱分解して繊維構造体(以下、中間体という)を得、これをさらに高温熱処理する。
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素(CO)、エタノール等のアルコール類などが使用できる。特に限定されるわけではないが、本発明に係る繊維構造体を得る上においては、炭素源として、分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることが好ましい。なお、本明細書において述べる「少なくとも2つ以上の炭素化合物」とは、必ずしも原料有機化合物として2種以上のものを使用するというものではなく、原料有機化合物としては1種のものを使用した場合であっても、繊維構造体の合成反応過程において、例えば、トルエンやキシレンの水素脱アルキル化(hydrodealkylation)などのような反応を生じて、その後の熱分解反応系においては分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物となっているような態様も含むものである。
なお、熱分解反応系において炭素源としてこのように2種以上の炭素化合物を存在させた場合、それぞれの炭素化合物の分解温度は、炭素化合物の種類のみでなく、原料ガス中の各炭素化合物のガス分圧ないしモル比によっても変動するものであるため、原料ガス中における2種以上の炭素化合物の組成比を調整することにより、炭素化合物として比較的多くの組み合わせを用いることができる。
例えば、メタン、エタン、プロパン類、ブタン類、ペンタン類、へキサン類、ヘプタン類、シクロプロパン、シクロヘキサンなどといったアルカンないしシクロアルカン、特に炭素数1〜7程度のアルカン;エチレン、プロピレン、ブチレン類、ペンテン類、ヘプテン類、シクロペンテンなどといったアルケンないしシクロオレフィン、特に炭素数1〜7程度のアルケン;アセチレン、プロピン等のアルキン、特に炭素数1〜7程度のアルキン;ベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、インデン、フェナントレン等の芳香族ないし複素芳香族炭化水素、特に炭素数6〜18程度の芳香族ないし複素芳香族炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類、特に炭素数1〜7程度のアルコール類;その他、一酸化炭素、ケトン類、エーテル類等の中から選択した2種以上の炭素化合物を所期の熱分解反応温度域において異なる分解温度を発揮できるようにガス分圧を調整し、組み合わせて用いること、および/または、所定の温度領域における滞留時間を調整することで可能であり、その混合比を最適化することで効率よく繊維構造体(中間体)を製造することができる。
このような2種以上の炭素化合物の組み合わせのうち、例えば、メタンとベンゼンとの組み合わせにおいては、メタン/ベンゼンのモル比が、1〜600、より好ましくは1.1〜200、さらに好ましくは3〜100とすることが望ましい。なお、この値は、反応炉の入り口におけるガス組成比であり、例えば、炭素源の1つとしてトルエンを使用する場合には、反応炉内でトルエンが100%分解して、メタンおよびベンゼンが1:1で生じることを考慮して、不足分のメタンを別途供給するようにすれば良い。例えば、メタン/ベンゼンのモル比を3とする場合には、トルエン1モルに対し、メタン2モルを添加すれば良い。なお、このようなトルエンに対して添加するメタンとしては、必ずしも新鮮なメタンを別途用意する方法のみならず、当該反応炉より排出される排ガス中に含まれる未反応のメタンを循環使用することにより用いることも可能である。
このような範囲内の組成比とすることで、微細な炭素繊維部および粒状部のいずれもが十分を発達した三次元ネットワーク構造を有する繊維構造体(中間体)を得ることが可能となる。
また、必ずしも限定されるわけではないが、繊維外径の太さを制御するための要因としては、
1)原料中の炭化水素化合物濃度
2)原料中の炭化水素化合物と触媒金属の濃度比率
3)反応炉内における滞留時間
などが挙げられる。
炭素繊維の外径を太くするには、原料中の炭化水素化合物の濃度を高めればよい。また、原料中の炭化水素化合物と触媒金属の濃度比率は、外径を太くする分、炭化水素化合物と触媒金属のモル比で、触媒金属のモル比をわずかに高めてもよい。化学気相成長法(CVD法)では触媒金属を核として、炭素繊維の成長をさせるため用いる金属触媒も増量させることが望ましい。
なお、雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用いることができる。
また、触媒としては、鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
中間体の合成は、通常行われている炭化水素等のCVD法を用い、所定の配合比の原料となる炭化水素および触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解する。これにより、外径が100〜300nmの繊維相互が、前記触媒の粒子を核として成長した粒状体によって結合した疎な3次元構造を有する炭素繊維構造体(中間体)が複数集まった数cmから数十センチの大きさの集合体を合成する。
上記反応炉を含む製造装置としては、特に限定されるものではないが、たとえば図2に示す構造を有する製造装置を例示することが出来る。図中に示す製造装置1は、原料を蒸発させ、ガス化した原料をキャリアガスと混合し、この原料混合ガスを反応炉8の内部に導入し、反応炉8内で炭素繊維を製造するものである。製造装置1は、原料の充填された原料タンク2と、原料の搬送及び反応炉8への導入を行うキャリアガスの充填されたガスタンク4とを備え、これら原料タンク2及びガスタンク4は、原料導入管3及びガス導入管5を介して蒸発器6にそれぞれ接続されている。さらに、蒸発器6は、原料混合ガス導入管7を介して反応炉8に接続されている。そして、内部で炭素繊維を製造する反応炉8は、円筒状に形成されており、その軸心方向の一端をなす上端には、搬送されてきた原料混合ガスを反応炉8の内部に導入させる導入ノズル9を備えている。また、反応炉8の外周部には、加熱手段11としてヒーターが設けられ、反応炉8の外周部から反応炉8の内部を加熱している。そして、反応炉8の軸心方向の他端をなす下端側には、製造された炭素繊維を備蓄して回収する炭素繊維回収器12が接続されている。この炭素繊維回収器12には、ガスを排出するガス排出管13が接続されている。
原料となる炭化水素の熱分解反応は、主として触媒粒子ないしこれを核として成長した粒状体表面において生じ、分解によって生じた炭素の再結晶化が当該触媒粒子ないし粒状体より一定方向に進むことで、繊維状に成長する。しかしながら、前記したような炭素繊維として好ましい3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体を得る上においては、このような熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させる、例えば上記したように炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることで、1次元的方向にのみ炭素物質を成長させることなく、粒状体を中心として3次元的に炭素物質を成長させる。もちろん、このような3次元的な炭素繊維の成長は、熱分解速度と成長速度とのバランスにのみ依存するものではなく、触媒粒子の結晶面選択性、反応炉内における滞留時間、炉内温度分布等によっても影響を受け、また、前記熱分解反応と成長速度とのバランスは、上記したような炭素源の種類のみならず、反応温度およびガス温度等によっても影響受けるが、概して、上記したような熱分解速度よりも成長速度の方が速いと、炭素物質は繊維状に成長し、一方、成長速度よりも熱分解速度の方が速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向に成長する。従って、熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させることで、上記したような炭素物質の成長方向を一定方向とすることなく、制御下に多方向として、本発明に係るような3次元構造を形成することができるものである。なお、生成する中間体において、繊維相互が粒状体により結合された前記したような3次元構造を容易に形成する上では、触媒等の組成、反応炉内における滞留時間、反応温度、およびガス温度等を最適化することが望ましい。
なお、繊維構造体(中間体)を効率良く製造する方法としては、上記したような分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物を最適な混合比にて用いるアプローチ以外に、反応炉に供給される原料ガスに、その供給口近傍において乱流を生じさせるアプローチを挙げることができる。ここでいう乱流とは、激しく乱れた流れであり、渦巻いて流れるような流れをいう。
反応炉においては、原料ガスが、その供給口より反応炉内へ導入された直後において、原料混合ガス中の触媒としての遷移金属化合物の分解により金属触媒微粒子が形成されるが、これは、次のような段階を経てもたらされる。すなわち、まず、遷移金属化合物が分解され金属原子となり、次いで、複数個、例えば、約100原子程度の金属原子の衝突によりクラスター生成が起こる。この生成したクラスターの段階では、繊維構造体(中間体)の触媒として作用せず、生成したクラスター同士が衝突により更に集合し、約3nm〜10nm程度の金属の結晶性粒子に成長して、繊維構造体(中間体)の製造用の金属触媒微粒子として利用されることとなる。
この触媒形成過程において、上記したように激しい乱流による渦流が存在すると、ブラウン運動のみの金属原子又はクラスター同士の衝突と比してより激しい衝突が可能となり、単位時間あたりの衝突回数の増加によって金属触媒微粒子が短時間に高収率で得られ、又、渦流によって濃度、温度等が均一化されることにより粒子のサイズの揃った金属触媒微粒子を得ることができる。さらに、金属触媒微粒子が形成される過程で、渦流による激しい衝突により金属の結晶性粒子が多数集合した金属触媒微粒子の集合体を形成する。このようにして金属触媒微粒子が速やかに生成され、炭素化合物の分解反応サイトである金属触媒表面の面積が大きくなるため、炭素化合物の分解が促進されて、十分な炭素物質が供給されることになり、前記集合体の各々の金属触媒微粒子を核として放射状に炭素繊維が成長し、一方で、前記したように一部の炭素化合物の熱分解速度が炭素物質の成長速度よりも速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向にも成長し、前記集合体の周りに粒状部を形成し、所期の3次元構造を有する繊維構造体(中間体)を効率よく形成する。なお、前記金属触媒微粒子の集合体中には、他の触媒微粒子よりも活性の低いないしは反応途中で失活してしまった触媒微粒子も一部に含まれていることも考えられ、集合体として凝集するより以前にこのような触媒微粒子の表面に成長していた、あるいは集合体となった後にこのような触媒微粒子を核として成長した非繊維状ないしはごく短い繊維状の炭素物質層が、集合体の周縁位置に存在することで、前駆体の粒状部を形成しているものとも思われる。したがって、前記粒状部は、複数の気相炭素繊維の端部と、周面方向にのみ炭素物質を成長させた金属触媒微粒子とからなり、気相炭素繊維同士を結合させている粒状部分は、単純な球形より、むしろ複数の球体状構造物の集合・集積態様を多く形づくり、かつそうした状態でさらに炭素物質の成長が継続するため、後述するアニール処理とあいまって、粒状部に集合・集積している複数の気相炭素繊維の端部や複数の球状構造物の隣接し合うものが連続するグラフェンシート状の層を形成・共有し、結果として複数の気相炭素繊維同士が該粒状部で強固に結合する3次元ネットワーク状気相炭素繊維構造体を形成する。
反応炉の原料ガス供給口近傍において、投入される原料ガスの温度としては、好ましくは350〜450℃である。原料ガスの流れに乱流を生じさせる具体的手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、原料ガスが旋回流で反応炉内に導入する手段や原料ガス供給口より反応炉内に導出される原料ガスの流れに干渉し得る位置に、何らかの衝突部を設ける等の手段を採ることができる。前記衝突部の形状としては、何ら限定されるものではなく、衝突部を起点として発生した渦流によって十分な乱流が反応炉内に形成されるものであれば良いが、例えば、各種形状の邪魔板、パドル、テーパ管、傘状体等を単独であるいは複数組み合わせて1ないし複数個配置するといった形態を採択することができる。
図2に例示する製造装置1においては、その例として導入ノズル9周囲に整流・緩衝板10を設けている。整流・緩衝板は、導入ノズル9近傍に配置され原料混合ガスの流通の妨げとなる衝突の起点として作用する障害物であり、この障害物と原料混合ガスが衝突することで渦流が発生し温度分布と濃度分布とを均一化することが可能となる。整流・緩衝板の形状は、何ら限定されることはなく、整流・緩衝板を起点として発生した渦流が消滅することなく反応炉8の下端側まで逐次形成される形状であれば良い。
触媒および炭化水素の混合ガスを800〜1300℃の範囲に設定した温度で加熱生成して得られた中間体は、炭素原子からなるパッチ状のシート片を貼り合わせたような不完全な構造を有する。この中間体は、ラマン分光分析をすると、Dバンドが非常に大きく、欠陥が多い。また、生成した中間体は、未反応原料、非繊維状炭化物、タール分および触媒金属を含んでいる。
従って、このような中間体からこれら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の炭素繊維構造体を得るために、適切な方法で2400〜3000℃の高温で熱処理する。
すなわち、例えば、この中間体を800〜1200℃で加熱して未反応原料やタール分などの揮発分を除去した後、2400〜3000℃の高温でアニール処理することによって所期の構造体を調製し、同時に繊維に含まれる触媒金属を蒸発させて除去する。なお、この際、物質構造を保護するために不活性ガス雰囲気中に還元ガスや微量の一酸化炭素ガスを添加してもよい。
前記中間体を2400〜3000℃の範囲の温度でアニール処理すると、炭素原子からなるパッチ状のシート片は、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成し、所望の炭素繊維が得られる。
一方、本発明の導電性樹脂複合材料を製造する上で用いることができる樹脂としては 、特に限定はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリールフタレート樹脂等の硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリスチレン、アクリロトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン及びこれらの変性物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これら樹脂は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
前記の樹脂に上記の炭素繊維を添加混合し、本発明に係る導電性樹脂複合材料を形成する。該導電性樹脂複合材料における炭素繊維の配合量としては、樹脂100質量部に対し、上記炭素繊維を好ましくは1〜11.2質量部、より好ましくは3〜7.7質量部である。このような所期の量の炭素繊維を添加混合してなる導電性樹脂複合材においては、表面電気抵抗値が10〜1012Ω/□の良好な導電性、成形性に関わる破断伸びの改善および樹脂複合材からの炭素繊維脱落の低減といった特性が得られる。表面電気抵抗値が10〜1012Ω/□の導電性を有する該導電性樹脂複合材は、例えば、キャリアテープなどIC部品包装体や磁気ヘッドの搬送用トレイに用いるのに適している。精密半導体部品を静電気による破壊から守るために、部品容器、製造場所の床材等に導電性樹脂が使用されるが、この場合の該導電性樹脂の表面電気抵抗値としては106〜1012Ω/□が好ましい。該容器の抵抗値が低すぎる場合、蓄えられた静電気が急激に該容器に移動し、放電現象が発生し、それがもとで該部品がショートしてしまう。これに対し、電子部品容器の表面電気抵抗値が106〜1012Ω/□の場合、帯電した電子部品から静電気がショートを起こす事無く緩やかに該容器側に除去されるためである。
また、前記導電性樹脂複合材料は、優れた導電性を保持しながら、30%以上の破断伸びが得られる、好ましくは40%以上の破断伸びが得られることにより、成形性に関わる流動性や割れ耐性に優れた特性を示す。
また、前記導電性樹脂複合材料からの炭素繊維の脱落性が低い点は、具体的には、例えば、超純水2000ml中に該複合材料(50×90×3mm)を浸漬し、47kHzの超音波を60秒間印加した後、該複合材料の表面から脱落する粒径0.5μm以上のパーティクルの数が該複合材の単位表面積当り5000counts/cm以下、好ましくは2500counts/cm以下となることによって示される。
本発明に係る導電性樹脂複合材料を製造する上で、前記樹脂に炭素繊維を添加混合し、導電性樹脂複合材を製造する方法については、特に限定されるものではない。しかしながら、炭素繊維の分散には優れた混練性能が必要とされることから、二軸押出機を使用して樹脂と炭素繊維を溶融混練することが好ましい。また本発明の導電性樹脂複合材料は、その特性から熱負荷の大きい大型の二軸押出機を利用可能である利点を有する。
二軸押出機の代表的な例としては、ZSK(Werner & Pfleiderer社製、商品名)を挙げることができる。同様のタイプの具体例としてはTEX((株)日本製鋼所製、商品名)、TEM(東芝機械(株)製、商品名)、KTX((株)神戸製鋼所製、商品名)などを挙げることができる。その他、FCM(Farrel社製、商品名)、Ko−Kneader(Buss社製、商品名)、およびDSM(Krauss−Maffei社製、商品名)などの溶融混練機も具体例として挙げることができる。上記の中でもZSKに代表されるタイプがより好ましい。かかるZSKタイプの二軸押出機においてそのスクリューは、完全噛合い型であり、スクリューは長さとピッチの異なる各種のスクリューセグメント、および幅の異なる各種のニーディングディスク(またそれに相当する混練用セグメント)からなるものである。
二軸押出機においてより好ましい態様は次の通りである。スクリュー形状は1条、2条、および3条のネジスクリューを使用することができ、特に溶融樹脂の搬送能力やせん断混練能力の両方の適用範囲が広い2条ネジスクリューが好ましく使用できる。二軸押出機におけるスクリューの長さ(L)と直径(D)との比(L/D)は、20〜50が好ましく、更に28〜42が好ましい。L/Dが大きい方が均質な分散が達成されやすい一方、大きすぎる場合には熱劣化により母材樹脂の分解が起こりやすい。スクリューには混練性を上げるためのニーディングディスクセグメント(またはそれに相当する混練セグメント)から構成された混練ゾーンを1個所以上有することが必要であり、1〜3箇所有することが好ましい。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また炭素繊維の分散性を高めたり、樹脂複合材料中の不純物を極力除去するため、水、有機溶剤、および超臨界流体などの添加を行ってもよい。更に押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂複合材から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
炭素繊維の押出機への供給方法は特に限定されないが、以下の方法が代表的に例示される。(i)炭素繊維を樹脂とは独立して押出機中に供給する方法。(ii)炭素繊維と樹脂粉末とをスーパーミキサーなどの混合機を用いて予備混合した後、押出機に供給する方法。(iii)炭素繊維と樹脂とを予め溶融混練してマスターペレット化し、それを炭素繊維源として供給する方法。繊維外径分布の異なる炭素繊維を使用する場合、上記(i)の工程の前に炭素繊維同士を混合してもよく、また上記(i)〜(iii)の工程の際に炭素繊維同士を混合してもよい。
以下本発明を実施例に基づきより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
炭素繊維の調製
図2に示す製造装置を用い、次の表1に示す条件にて太径品(製造例-1)及び細径品(製造例-2)という炭素繊維群の中間体を得た後、アルゴンガス中で900℃で焼成して、不純物として含まれるタールなどの炭化水素を分離し精製を行った。ついでこの中間体をアルゴンガス中で2600℃の高温熱処理(アニール処理)を行い、さらに気流粉砕機にて解砕し、炭素繊維の3次元ネットワーク構造体からなる炭素繊維の集合体を得た。
得られた太径品(製造例-1)の炭素繊維群の平均繊維外径は117nmであり、繊維外径(nm)の分布の標準偏差が26であった。一方、細径品(製造例-2)の炭素繊維群の平均繊維外径は58nmであり、繊維外径(nm)の分布の標準偏差が13であった。
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品と細径品の炭素繊維を5:1の質量比で密閉タンク中にて2時間以上攪拌し、混合均質化した。これにより得た平均繊維径が102nmである混合物(図3)を、ポリカーボネート樹脂(Lexan141R(商品名、SABICイノベーティブプラスチックス社製))に6.38質量部数添加し、均一に混合した。スクリュー径30mmのベント式二軸押出機TEX−30XSST(商品名、(株)日本製鋼所製)を用いて、該混合物を最後部の第1投入口に供給した。かかる押出機は、第1供給口から第2供給口の間にニーディングディスクによる混練ゾーンがあり、その直後に開放されたベント口が設けられていた。ベント口の長さはスクリュー径(D)に対して約2Dであった。かかるベント口の後にサイドフィーダーが設置され、サイドフィーダー以後に更にニーディングディスクによる混練ゾーンおよびそれに続くベント口が設けられていた。かかる部分のベント口の長さは約1.5Dであり、その部分では真空ポンプを使用し約3kPaの減圧度とした。押出は、シリンダー温度300℃(スクリュー根元のバレル〜ダイスまでほぼ均等に上昇)、スクリュー回転数180rpm、および時間当りの吐出量20kgの条件で行った。押出されたストランドを水浴において冷却した後、ペレタイザーで切断しペレット化した。得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて100℃24時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械IS55FPB)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、射速20mm/sec、並びに成形サイクル約60秒の条件で、評価用試験片を作製した。
[比較例1]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に6.38質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例2]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に7.53質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例3]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に4.17質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例4]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に6.38質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品と太径品の炭素繊維を2:3の質量比で密閉タンク中にて2時間以上攪拌し、混合均質化した後、上記のポリカーボネート樹脂に5.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品と太径品の炭素繊維を1:2の質量比で密閉タンク中にて2時間以上攪拌し、混合均質化した後、上記のポリカーボネート樹脂に6.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品と太径品の炭素繊維を3:5の質量比で密閉タンク中にて2時間以上攪拌し、混合均質化した後、上記のポリカーボネート樹脂に8.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例5]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に4.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例6]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た細径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に5.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例7]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に6.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例8]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に7.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
[比較例9]
導電性樹脂複合材料の調製
実施例1で得た太径品炭素繊維を上記のポリカーボネート樹脂に8.0質量部数添加し、実施例2と同じ方法で評価用試験片を作製した。
導電性樹脂複合材の物性は、以下の方法に従って測定した。
(1)表面電気抵抗
JIS K 7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗試験方法)を参照して、測定位置および測定方法を準じて、ロレスタGP(MCP−T600型、三菱化学(株)製、商品名)、ハイレスタUP(MCP−HT450型、三菱化学(株)製、商品名)を用いて、射出成形した試験片(50×90×3mm)の表面抵抗を測定した。得られた結果を、表2および表3に示す。
(2)体積電気抵抗
射出成形した試験片から20mm×20mm×厚さ2.5mmの試料片を切り出し、20mm×2.5mmの2つの平行な側面に銀ペースト(株式会社徳力化学製、シルベストP−248)を塗布し、約10cmの銅線電極の端部を接着した。この銅線電極をワニ口クリップと専用ケーブルで直流電圧・電流源/モニタR6243(エーディーシー株式会社製)の入出力端子と接続した。この装置を用いて、二端子法により試料の体積抵抗Rv(単位はΩcm)を測定した。電圧V(単位はV)を印加し、読み取った電流値(I:単位はA)を記録した。試料の体積抵抗Rvは、電流方向の断面積S=試料幅W×厚さt(単位はcm)と、試料長さL(単位はcm)から、試料の抵抗の測定値R=(V/I)を用いて、体積抵抗Rv=(V/I)×W×t/L (Ωcm)と算出できる。上記試料では、W=2cm、L=2cm、t=0.25cmとなる。得られた体積電気抵抗結果は表3に示す。
(3)破断伸び
ISO527−1(通則)および527−2(型成型、押出成型および注型プラスチックの試験条件)に準拠して引張破断伸びを測定した。射出成型した試験片の形状及び寸法はISO527−2の試験片1A形である。試験装置は万能材料試験機(インテスコ2005−5型)を用いた、試験速度は50mm/min、チャック間距離は115mmであり、23℃50%RHの試験環境で行った。上記と同様に成型及び測定した5本試験片の破断伸び値の平均値を算出した。得られた結果を表2に示す。
(4)脱落性
超純水で洗浄した3000mLガラスビーカーに、超純水を2000mL注入し、射出成形した試験片(50×90×3mm)を1枚浸漬させた。その後、5210E−DTH(47kHz/140W)(商品名、BRANSON社製)により超音波を1分間印加した。その後、抽出した超純水を液中微粒子計測器HIAC ROYCO SYSTEM8011(商品名、HACH ULTRA ANALYTICS社製)にて吸引し、塵埃粒子径0.5μm以上の発塵量を測定した。得られた結果を表2に示す。
上記表2、表3に示す結果のとおり、繊維径分布が異なる2種類の炭素繊維を混合したものと太径品のみを用いたものとを比較する、具体的には、実施例2と比較例1、実施例4と比較例7、実施例5と比較例9を比較すると、炭素繊維が同質量部でも混合品のほうが太径品より良好な導電性を示すことが確認できた。一方、実施例2と比較例4、実施例3と比較例6では、同質量部で細径品のほうが良好な導電性を示した。これは細径品のほうが、導電性を向上させる点では優れている傾向があるためである。しかし、前述したとおり、細径品は製造コストが割高であり、樹脂へ混練した際に、粘性を高めてしまい樹脂本来の物性が出にくい。そのため表2においては、破断伸びが混合品が良好となっている。混合品は十分な表面電気抵抗値および体積電気抵抗値を示し、かつ破断伸びも60%を上回っている。そのため混合品は樹脂の力学特性と導電性付与においてバランスよい特性を発揮させるのに優れるといえる。
[実施例6および比較例10,11]
実施例1で得られた太径品の炭素繊維構造体(比較例10)、細径品の炭素繊維構造体(比較例11)、または、これらの太径品と細径品の気相炭素繊維構造体を5:1の質量比で混合均質化した混合品(実施例6)の含有量が、2.0質量%となるように、0.22gの各炭素繊維構造体を、それぞれ、エポキシ樹脂(アデカレジン EP4100E、エポキシ当量190、(株)ADEKA製)10g、硬化剤(アデカハードナー EH3636−AS、(株)ADEKA製)に配合し、自転−公転型遠心力攪拌機(あわとり錬太郎、AR−250、シンキー(株)製)で、10分間混練後、粘度測定のための炭素繊維構造体のエポキシ樹脂混練物を調製した。
高性能の回転式レオメーター(Gemini150、Bhlin Instruments製)を用いて、温度25℃、周波数範囲0.01〜10Hz、Auto−stressモードで、比較例10、比較例11と実施例6の炭素繊維構造体とエポキシ樹脂の2.0質量%混合物の粘度(Complex Viscosity)を測定した。その結果は図4に示す。
図4からわかるように、混合品(実施例6)のエポキシ樹脂混合物の粘度は、太径品のエポキシ樹脂混合物(比較例10)の粘度と相当で、細径品のエポキシ樹脂混合物(比較例11)の粘度よりかなり低いことがわかる。
したがって本発明の導電性樹脂複合材は、OA機器分野、電気電子機器分野などの各種工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。
1 ・・・・・炭素繊維の製造装置
2 ・・・・・原料タンク
3 ・・・・・原料導入管
4 ・・・・・ガスタンク
5 ・・・・・ガス導入管
6 ・・・・・蒸発器
7 ・・・・・原料混合ガス導入管
8 ・・・・・反応炉
9 ・・・・・導入ノズル
10 ・・・・整流・緩衝板
11 ・・・・加熱手段
12 ・・・・炭素繊維回収器
13 ・・・・ガス排出管
14 ・・・・原料混合ガス導入口
15 ・・・・冷却ガス導入口
16 ・・・・冷却ガス出口
20 ・・・・金属触媒粒子生成帯域
30 ・・・・炭素繊維製造帯域

Claims (7)

  1. 母材樹脂および炭素繊維を含む導電性樹脂複合材料であって、該炭素繊維の平均繊維外径が20nmを超え300nm以下であり、繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維を含み、該炭素繊維全体の繊維外径(nm)の分布の標準偏差が25〜40であり、かつ該母材樹脂100質量部に対し、炭素繊維を1〜11.2質量部含有し、破断伸びが50%以上であることを特徴とする導電性樹脂複合材料。
  2. 前記の繊維外径分布の異なる少なくとも二群の炭素繊維群が、平均繊維外径がより細い炭素繊維群Aとより太い炭素繊維群Bに分けた場合に、質量比で該炭素繊維群Bが該炭素繊維群Aより大きくなり、かつ、該炭素繊維群Aの平均繊維外径をaとし該炭素繊維群Bの平均繊維外径をbとした場合にa/b比率が0.8以下となることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂複合材料。
  3. 前記炭素繊維群Aの平均外径aが20nmを超え100nm以下であり、炭素繊維群Bの平均繊維外径bが100nmを超え300nm以下であり、両者は、母材樹脂中で実質的に混合均質化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性樹脂複合材料。
  4. 前記炭素繊維が気相成長法によって製造した炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの一項に記載の導電性樹脂複合材料。
  5. 前記炭素繊維が3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体を形成し、該炭素繊維構造体は複数の粒状部を相互に立体的に該炭素繊維で結合されたネットワーク構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性樹脂複合材料。
  6. 前記粒状部が、前記炭素繊維の平均繊維外径の1.3倍以上の平均円相当外径を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの一項に記載の導電性樹脂複合材料。
  7. 前記導電性樹脂複合材を用いて成形した成形物の表面電気抵抗値が103〜1012Ω/□であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの一項に記載の導電性樹脂複合材料。
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