JP2004331545A - 抗リーシュマニア剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】副作用が少なく、リーシュマニア原虫に対して細胞増殖阻害作用が高く、しかも容易に製造することができ、安価に供給できる新規な抗リーシュマニア剤を提供する。
【解決手段】共役系及び窒素原子を含む複素環と、窒素原子及び硫黄原子を含む複素環とがエチレン基を含む炭素鎖により結合された化合物、すなわち、抗リーシュマニア剤の有効成分として、特定の5から8員の複素環と、共役系を有する特定の5から8員の複素環とがビニレン基を介して結合した化合物、より詳しくは、特定のロダシアニン系色素化合物を用いる。
【解決手段】共役系及び窒素原子を含む複素環と、窒素原子及び硫黄原子を含む複素環とがエチレン基を含む炭素鎖により結合された化合物、すなわち、抗リーシュマニア剤の有効成分として、特定の5から8員の複素環と、共役系を有する特定の5から8員の複素環とがビニレン基を介して結合した化合物、より詳しくは、特定のロダシアニン系色素化合物を用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーシュマニア症の予防や治療に有用な特定の化合物を有効成分とする抗リーシュマニア剤に関し、より詳しくは、ロダシアニン系色素化合物を有効成分とする抗マラリア剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
リーシュマニア症は、リーシュマニア(Leishmania)属の原虫がヒトなどの宿主のマクロファージに寄生することにより生じる熱帯性寄生虫感染症であり、主に砂漠に棲息するスナバエなどにより媒介されて伝播する。WHO指定の6大熱帯病に指定されており、主にアフリカ・中近東・中南米及びアジアで全世界の患者(約1200万人/年)を占めており、約3億5千万人の人々が感染の危険に晒されている。これらの多くは発展途上国に居住する人々であり、稀少で高価な薬剤の購入が困難である。
【0003】
リーシュマニア症は、皮膚リーシュマニア症(東洋潰瘍)、皮膚粘膜リーシュマニア症、内臓リーシュマニア症(カラ・アザール)の3種類に大きく分類される。内臓リーシュマニア症であるカラ・アザールはドノバンリーシュマニア(L.eishmania donovani)群の3種の感染によって発症する。皮膚及び粘膜リーシュマニア症のうち東洋瘤腫は、地中海沿岸、アフリカ、中近東に分布しており、熱帯リーシュマニア(L.tropica)群の3種の感染により皮膚に瘤腫を生じて潰瘍となり、ときに遠隔移転や癩結節様の汎発性病巣を作る。ブラジルリーシュマニア(L.braziliensis)群の4種の感染によるときは、初発皮膚病巣から鼻、口腔粘膜に潰瘍を生じて同部の変形を起こし、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)群の3種の感染によるときは東洋瘤腫とはやや異なる皮膚のみの病巣を作る。かかる各種リーシュマニア症は十分な治療を怠れば致死性が非常に高くなる危険を伴うものである。リーシュマニア原虫は多様性に富んでおり、免疫学的な見地からして、似たような病態でも地域により抗原性に差があるため、ワクチン開発が困難であり、化学療法の必要性が高い。
【0004】
現在のリーシュマニア症の治療には、第一選択薬として5価のアンチモン製剤、例えば、静脈内又は筋肉内に投与されるペントスタムが用いられているが、高価なうえ、高い毒性による副作用が問題となっている。さらに、インド亜大陸では薬剤耐性原虫が出現しており、新たな重大な問題となっている。アンチモン製剤の有効性が疑われる場合は、ペンタミジン(pentamidine:4,4´−(ペンタメチレンジオキシ)ジベンズアミジン)のイセチオン酸塩等のジアミジン系化合物がニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)に有効な抗感染症薬として用いられ(例えば、特許文献1参照。)、また、抗真菌性抗生物質アンフォテリシンB(amphotericin B)等のマクロライド系抗生物質が真菌性感染症や皮膚粘膜リーシュマニア症に対して二次的に静注で用いられているが、有効性は5価アンチモン製剤に及ばない。また、これらは高価であり、様々な副作用が報告されている。
【0005】
その他、リーシュマニア症の治療薬として、キク科植物(Elephantopus mollis H.B.K.)から抽出、精製分離したゲルマクラン及びグアイアン型セスキテルペノイド化合物を含む抗原虫薬(例えば、特許文献2参照。)や、グルコピラノース誘導体を有効成分とするリーシュマニア症治療剤(例えば、特許文献3参照。)等が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特表平9−501653号公報
【特許文献2】
特開2001−226369号公報
【特許文献3】
特開平11−106394号公報
【0007】
しかしながら、これらの治療薬は製造が困難であったり、大量に製造することが困難であることから、汎用性に欠けるという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、副作用が少なく、リーシュマニア原虫に対して細胞増殖阻害作用が高く、しかも容易に製造することができ、安価に供給できる新規な抗リーシュマニア剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々のリーシュマニア原虫に起因するリーシュマニア症に対し優れた効能を有し、副作用が少ない抗リーシュマニア剤として、共役系及び窒素原子を含む複素環と、窒素原子及び硫黄原子を含む複素環とがエチレン基を含む炭素鎖により結合された化合物が有用であることを見い出し、更に、特定のロダニン母核(4−オキソチアゾリジン環)に異なる置換基を有する種々のロダシアニン系色素化合物を合成し、抗リーシュマニア活性について検定したところ、4−オキソチアゾリジン環の特定位に更に窒素含有複素環が結合されたロダシアニン系色素化合物が非常に高い抗リーシュマニア活性を有し、副作用も少ないとの知見を得て、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、式(I)(a)で示される化合物
【化9】
(請求項1)や、式(I)(b)で示される化合物
【化10】
(請求項2)や、式(I)(c)で示される化合物
【化11】
(請求項3)や、式(I)(d)で示される化合物
【化12】
(請求項4)や、一般式(II)
【化13】
[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2は水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びBは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示される化合物を有効成分とすることを特徴とする抗リーシュマニア剤(請求項5)や、一般式(II)で示される化合物が、一般式(III)
【化14】
[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2及びR3は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びCは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示されるロダシアニン系色素化合物であることを特徴とする請求項5記載の抗リーシュマニア剤(請求項6)や、一般式(III)で示されるロダシアニン系色素化合物が、式(I)(a)から(d)、又は式(IV)(a)から(m)のいずれかに示されるロダシアニン系色素化合物であることを特徴とする請求項6記載の抗リーシュマニア剤。
【化15】
(請求項7)や、一般式(II)で示される化合物が、式(V)(a)又は(b)に示される化合物であることを特徴とする請求項5記載の抗リーシュマニア剤
【化16】
(請求項8)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の抗リーシュマニア剤は、一般式(II)[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2は水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びBは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示される化合物を有効成分として含有するものであれば、特に制限されるものではない。一般式(II)で示される化合物において、R1又はR2が表す炭素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖のみならず分枝鎖を有するものであってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチル−n−ペンチル基、n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘキシル基、n−オクチル基等を例示することができ、炭素原子数6〜8のアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシル基、3,5−キシル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基等を例示することができる。これらのR1又はR2が表す炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数6〜8のアリール基に結合される置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基等を例示することができる。
【0012】
また、R1又はR2が表す複素環基としては、具体的には、ピロリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、チアゾリジン、フラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン等の5員の複素環基や、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、2H−ピラン、4H−ピラン、テトラヒロドピラン、1,4−ジオキサン等の6員の複素環基等を例示することができる。また、R1又はR2が表す複素環に結合される置換基としては、上記炭素原子数1から8のアルキル基や炭素原子数6から8のアリール基における置換基と同様の置換基の他、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0013】
上記一般式(II)における0、1又は2のいずれかの整数nにより示される共役系aを含み、5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すAと共に形成される複素環としては、具体的には、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2−ピラゾリン、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,5−オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、アゼピン、1,n−ジアセピン(n=2〜4)、アゾシン等を例示することができる。また、かかるAが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1及びR2に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0014】
上記一般式(II)における5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すBと共に形成される複素環としては、1,3位に硫黄原子と窒素原子が配置されたものであればいずれのものであってもよく、具体的には、チアゾリジン、パーヒドロ−1,3−チアジン、テトラヒドロ−1,3−チアジン等の6員環複素環や、パーヒドロ−1,3−チアゼピン、ジヒドロ−1,3−チアゼピン、テトラヒドロ−1,3−チアゼピン等の7員環複素環や、パーヒドロ−1,3−チアゾシン、ジヒドロ−1,3−チアゾシン、テトラヒドロ−1,3−チアゾシン等の8員環複素環を例示することができる。また、かかるBが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1及びR2に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、ベンゾチアゾリン、パーヒドロ−1,3−ベンゾ[e]チアジン、パーヒドロ−1,3−ベンソ[f]チアゼピン、パーヒドロ−1,3−ベンゾ[g]チアゾシン等を例示することができる。
【0015】
かかる上記一般式(II)における5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すBと共に形成される複素環としては、チアゾリジンが好ましく、より好ましくは、4位にオキソ基を有する4−オキソチアゾリジン環である。かかる4−オキソチアゾリジン環を有する化合物として、一般式(III)で示されるロダシアニン系色素化合物であることがより好ましい。一般式(III)において、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2及びR3は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、かかるR1、R2及びR3が表す炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数6から8のアリール基、複素環基、これらアルキル基、アリール基、複素環基の置換基としては、上記一般式(II)におけるR1及びR2が表すものと同様のものを例示することができる。また、一般式(III)における4−オキソチアゾリジン環の5位に二重結合により結合され、未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すCと共に形成される複素環としては、具体的には、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、チアゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,5−オキサジアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2H−1,3−チアジン、6H−1,3−チアジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、アゼピン、1,n−ジアセピン(n=2〜4)、アゾシン等を例示することができる。また、かかるCが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1、R2及びR3に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、インダゾール、2H−インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0016】
また、本発明の一般式(II)、(III)で示される化合物中、Qは薬学的に許容しうるアニオンを示し、薬学的に許容しうるアニオンであればいずれのものであってもよく、ハロゲンイオン、スルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、水酸化物イオン等を挙げることができ、具体的には、ハロゲンイオンとして、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等を例示することができ、スルホン酸イオンとしては、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、2−ヒドロキシエタンスルホン酸イオン等の脂肪族及び芳香族スルホン酸イオン等を例示することができ、スルファミン酸イオンとしては、シクロヘキサンスルファミン酸イオンを例示することができ、その他、メチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等の硫酸イオン、硫酸水素イオン、ホウ酸イオン、アルキル及びジアルキルリン酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン等を挙げることができる。薬学的に許容し得るアニオンの好ましい具体例としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、吉草酸イオン、クエン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、乳酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、安息香酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、水酸化物イオン等を挙げることができる。
【0017】
上記のような一般式(II)で表される化合物としては、例えば、2−[(3−メチルチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム塩、2−[{3−(2−プロペニル)チアゾリリデン}メチル]−1−メチルピリジウム塩、2−[(3−メチルチアゾリリデン)メチル]−1−メチルキノリウム塩、2−[{3−(2−プロペニル)チアゾリリデン}メチル]−1−メチルキノリウム塩等を挙げることができ、好ましくは、2−[(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(V)(a)]や、2−[(4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン)メチル]−3−エチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(V)(b)]を挙げることができる。
【0018】
更に、一般式(II)で表される化合物として、式(I)(a)〜(d)や式(IV)(a)〜(m)に示されるロダシアニン系色素化合物を好ましい具体的として挙げることができる。すなわち、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(a)]、4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(b)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル}−2−チアゾリジニリデン]メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(c)]、
2−[{5−(3−メチル−2(1H)−キノリニリデン)−4−オキソ−3−エチル}−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−メチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(d)]、2−[[5−{5´−(3´´−メチル−2´´(3´´H)−ベンゾチアゾリリデン)−4´−オキソ−3´−エチル−2´−チアゾリジニリデン}−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−エチルベンゾチアゾリウム=ブロミド[式(IV)(e)]、
2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(I)(a)]、2−[{5−(5−クロロ−3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(f)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−3−メチルベンゾ[e]ベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(g)]、2−[{5−(5−クロロ−3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(h)]、
2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−エチルピリジニウム=クロリド[式(IV)(i)]4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(j)]、4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−n−ブチルピリジニウム=ブロミド[式(I)(b)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−n−ブチルピリジニウム=ヨージド[式(I)(c)]、1−(p−カルボキシルフェニル)メチル−2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(d)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−テトラヒドロフラニル)メチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(k)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾベンゾ[e]チアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−テトラヒドロフラニル)メチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(l)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾベンゾ[e]チアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルベンゾチアゾリニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(m)]等を例示することができる。
【0019】
このような式(IV)で表されるロダシアニン系色素化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により製造することができる。例えば、ジャーナルオブメディシナルケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry:第45巻、995〜998頁、2002年)に記載の方法により合成することができ、例えば、▲1▼チオベンゾチアゾール誘導体と、スルホン酸アルキル等との混合物と、2−チオキソ−4−チアゾリジノンとを溶剤に縣濁させ、アミン等の存在下で反応させ2つのチアゾリジン誘導体を結合させる工程、▲2▼得られた化合物をスルホン酸メチル等と溶剤に懸濁させ加熱して共役酸を得る工程、▲3▼この共役酸とピリジニウム化合物等とをアミン等の存在下で加熱し反応させる工程、により目的とする一般式(III)で表されるロダシアニン系色素化合物を得ることができる。また、多種類の化合物コレクションを得るためのコンビナトリアル法を用いることもでき、例えば、m種の窒素含有複素環化合物と、n種のロダニン環化合物とを濾過手段を備えたm×n個の反応容器内でアセトニトリル等の溶媒存在下、異なる組み合わせにより反応させ液相を除去し、生成したm×n種のメロシアニン系色素化合物をチオメチル化した後、r種の特定の窒素含有複素環化合物と異なる組み合わせなるように、アセトニトリル等の溶媒存在下で反応させ、m×n×r種のロダシアニン系色素化合物を得る方法を挙げることができる。
【0020】
上記一般式(II)、(III)で表される化合物を、リーシュマニア原虫類による感染症の予防、抑制及び治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体、賦形剤、その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤を挙げることができる。製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコース、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有してもよい。これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。また、1日当たりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを投与するのが好ましい。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(I)]の合成
▲1▼5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−ベンジル−4−チアゾリジノンの合成
3−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート373mgと3−ベンジル−2−チオキソ−4−チアゾリジノン228mgの混合物にアセトニトリル3.6mLを加え懸濁液とし10℃に冷却した。この混合物に10℃でトリエチルアミン0.22mLを滴下し、10℃にて3時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、メタノールで洗浄した後に乾燥することで標記化合物354mgを得た。収率は94%であった。
▲2▼4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−ベンジル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナートの合成
5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−ベンジル−4−チアゾリジノン314mgとp−トルエンスルホン酸メチル468mgの混合物にジメチルホルムアミド0.3mLを加え懸濁液とした。これを130℃にて3.5時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、アセトンを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷アセトンで洗浄した後に乾燥することで標記化合物419mgを得た。収率は89%であった。
▲3▼2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナートの合成
4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート200mgと、1,2ジメチルピリジニウム=p−トルエスンスルホナート100mgをアセトニトリル1.8mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.16mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物62.6mgを得た。収率は27%であった。
mp 211−216℃; 1H−NMR (DMSO−d6) δ: 2.28 (3H, s), 3.86 (3H, s), 4.08 (
3H, s), 5.30 (2H, s), 5.85 (1H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.30−7.53 (10H, m), 7.64 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.90 (1H, d, J = 7.1 Hz), 7.97 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 8.59 (1H, d, J = 6.6 Hz); Anal Calcd for C32H29N3O4S3・1.4H2O: C, 59.96; H, 5.00; N, 6.56. Found: C, 60.23; H, 5.27; N, 6.50.
【0022】
実施例2:1−ブチル−4−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(b)]の合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート300mgと、4−ブチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド115.8mgをアセトニトリル2.5mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.21mLを滴下し、30分間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物155.4mgを得た。収率は52%であった。
m.p. 299−300℃; IR (KBr) cm−1: 1179, 1382, 1496, 1533, 1542, 1639; 1H−
NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 0.91 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.21 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.19−1.31 (2H, m), 1.81 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.00 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.07 (3H, s), 4.31 (2H, t, J = 7.3 Hz), 6.34 (1H, s), 7.29 (1H, dd, J = 7.3, 7.8 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 7.4, 7.8 Hz), 7.61 (3H, m), 7.85 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.47 (2H, d, J = 7.1 Hz); Anal Calcd for C23H26BrN3OS2: C, 54.76; H, 5.19; N, 8.33. Found; C, 54.48; H, 4.97; N8.08.
【0023】
実施例3:1−ブチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ヨージド[式(I)(c)]の合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート642.7mgと、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=ヨージド299.3mgをアセトニトリル5.0mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.45mLを滴下し、1.5時間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物344.5mgを得た。収率は58%であった。
m.p. 237−242℃; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) d: 0.93 (3H, t, J = 7.4 Hz),
1.23 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.38 (2H, tq, J = 7.4, 7.0 Hz), 1.79 (2H, tt, J = 7.1, 7.0 Hz), 4.02 (s, 3H), 4.09 (2H, q, J = 7.4 Hz), 4.57 (2H, t, J = 7.1 Hz), 5.97 (1H, s), 7.28 (1H, t, J = 7.1 Hz), 7.437.50 (2H, m), 7.59 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.1 Hz), 8.06 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.27 (1H, t, J = 7.1 Hz), 8.67 (1H, d, J = 5.2 Hz); Anal Calcd for C23H26IN3OS2・1H2O: C, 48.51; H, 4.96; N, 7.38. Found: C, 48.67; H, 4.91; N, 7.36.
【0024】
実施例4:1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(d)]の合成
▲1▼1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=トリエチルアンモニウムの合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート573.3mgと、1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド356.2mgをアセトニトリル5.8mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.5mLを滴下し、4時間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶をメタノールに溶解した後、酢酸エチルで結晶を析出させ、それを酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物358.1mgを得た。収率は45%であった。
▲2▼1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミドの合成
上記化合物をメタノール5.0mLに懸濁し、適量の臭化水素エタノール溶液を0℃で加えた。30分攪拌後、酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物298.6mgを得た。収率は100%であった。
m.p. >300℃; IR (KBr) cm−1: 1171, 1650, 1495, 1614, 1651, 3430; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) d: 0.78 (3H, t, J = 6.9 Hz), 3.86 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.03 (3H, s), 5.74 (1H, s), 5.93 (2H, s), 7.28 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.28−7.33 (1H, m), 7.45−7.51 (2H, m), 7.62 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.86 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.95 (2H, d, J = 7.8 Hz), 8.06 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.33 (1H, dd, J = 8.0, 8.0 Hz), 8.83 (1H, d, J = 6.3 Hz).
【0025】
実施例5:2−[(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(V)]の合成
3−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート326.1mgと、1,2−ジメチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート278.1mgをアセトニトリル4.4mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.37mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物166.1mgを得た。収率は44%であった。
m.p. 248−254℃; IR (KBr) cm−1: 1171, 1200, 1380, 1456, 1494, 1532, 1632; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 2.28 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.07 (3H, s), 5.83 (1H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.22−7.27 (1H, m), 7.29−7.34 (1H, m), 7.62 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.50−7.56 (1H, m), 7.62 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.89−7.92 (2H, m), 8.16 (1H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 8.53 (1H, d, J = 6.3 Hz); Anal Calcd for C22H22N2O3S2・0.2H2O: C, 61.43; H, 5.25; N, 6.51. Found: C, 61.23; H, 5.24; N, 6.88
【0026】
実施例6:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(a)]の合成
2−メチルチオベンゾチアゾール4.0gと、p−トルエンスルホン酸メチル5.0mLのアニソール溶液5.5mLを130℃で1.5時間攪拌した。混合物を室温に冷却後、アセトニトリル74mLを加え、さらに3−(2−プロペニル)−2−チオキソ−4−チアゾリジノン3.83gを加えた。この混合物を0℃に冷却した後にトリエチルアミン4.9mLを徐々に滴下し、0℃にて1時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、アセトニトリルで洗浄し粗結晶5.51gを得た。この粗結晶2.1gとp−トルエンスルホン酸メチル9.0mLの混合物にジメチルホルムアミド7.5mLを加え懸濁液とし、120℃にて1.5時間撹拌した後、室温に冷却しアセトンを加え、沈殿物を吸引濾別し、アセトンで洗浄し乾燥した結果、粗結晶8.64gを得た。この粗結晶8.64gと、1−メチル−4−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート4.71gとアセトニトリル85.0mLの混合物を攪拌した。その混合物に70℃でトリエチルアミン7.0mLを滴下し、これを70℃にて1時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、酢酸エチルを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷酢酸エチルで洗浄した。この粗結晶をメタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶し、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート3.94gを得た。収率は32%であった。
m.p. 249−251℃; IR (KBr) cm−1: 1038, 1189, 1057, 1539, 1636, 3471; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6 ) :δ 2.27 (3H, s), 4.04 (6H, s), 4.69 (2H, d, J = 4.9 Hz), 5.27−5.33 (2H, m), 5.81−5.92 (1H, m), 5.85 (1H, s), 7.09 (2H, d,J = 7.7 Hz), 7.28 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.40 (1H, dd, J = 6.5, 7.6Hz), 7.45−7.49 (3H, m), 7.60 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.7Hz), 7.98 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.25 (1H, dd, J = 7.6, 8.2 Hz), 8.63 (1H,d, J = 6.5 Hz); Anal Calcd for C29H27N3O4S3: C, 59.45; H, 4.81; N, 7.43: Found: C, 59.25, H, 4.80; N, 7.29.
【0027】
実施例7:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(c)]の合成
▲1▼5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノンの合成
2−メチルチオベンゾチアゾール2.98g、p−トルエンスルホン酸メチル3.74mLのアニソール溶液4.14mLを120℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、アセトニトリル60mLを加え室温にて15分攪拌した。その後、この混合物に2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノン2.67gの混合物にアセトニトリル3.6mLを加え懸濁液とし10℃に冷却した。この混合物に10℃でトリエチルアミン3.6mLを滴下し、10℃にて4時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、メタノールで洗浄した後に乾燥することで標記化合物4.52gを得た。収率は89%であった。
▲2▼4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナートの合成
5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノン2.1gとp−トルエンスルホン酸メチル3.85gの混合物にジメチルホルムアミド2.3mLを加え懸濁液とした。これを130℃にて2.5時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、アセトンを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷アセトンで洗浄した後に乾燥することで標記化合物3.0gを得た。収率は90%であった。
▲3▼2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−3−エチル−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージドの合成
4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート114.3mgと、1,2ジメチルキノリジニウム=ヨージド66.1mgをアセトニトリル1.2mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.10mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物114.4mgを得た。収率は88%であった。
mp 283−285℃; IR (KBr) cm−1: 1177, 1353, 1500, 1533, 1608, 1640; 1H−NMR (DMSO−d6) δ: 1.30 (3H, t, J = 7.1 Hz), 4.11 (3H, s), 4.21−4.25 (5H, m), 6.23 (1H, s), 7.34 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.52 (1H, dd, J = 7.4, 8.8 Hz), 7.68−7.74 (2H, m), 7.93 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.99 (1H, dd, J = 7.4, 8.5 Hz), 8.14 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.21 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.58 (1H, d, J = 7.1 Hz); Anal Calcd for C24H22IN3OS2・0.5H2O: C, 50.71; H, 4.08; N, 7.39. Found: C, 50.76; H, 4.02; N, 7.32.
【0028】
実施例8:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(g)]の合成
実施例4の▲2▼項までの操作により合成した4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート340.8mgと、2,3−ジメチルナフト[1,2−d]チアゾリウム=p−トルエンスルホート223.6mgをアセトニトリル2.8mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.11mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物147.6mgを得た。収率は86%であった。
m.p. >300℃; IR (KBr) cm−1: 1200, 1371, 1467, 1503, 1539, 1649, 3422;
1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 1.30 (3H, t, J = 7.1 Hz), 2.27 (3H, s), 4.12 (3H, s), 4.28 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.49 (3H, s), 6.78 (1H, s), 7.09 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.30 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.45−7.52 (3H, m), 7.45−7.79 (3H, m), 7.92 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.04 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.14 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.24 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.81 (1H, d, J = 8.5 Hz); Anal Calcd for C33H29N3O4S4・1.4H2O: C, 57.86; H, 4.68; N, 6.13. Found: C, 58.05, H, 4.80, N, 5.84.
【0029】
実施例9:リーシュマニア原虫増殖阻害試験
合成して得られた各化合物をジメチルスルホキシド(以下、DMSОと称す。)に溶解した後、Medium199培地(インビトロジェン社製)で所定濃度まで9段階に希釈し、メンブレンフィルターで濾過し、各濾液を試料溶液とした。96穴マイクロタイタープレートに、前記各試料溶液50μLと、最終濃度が2×10−5/mLとなるように調製したリーシュマニア(L.major)培養液50μLとをそれぞれ接種し、培養液の全量を100μLとした。27℃に保った状態で、5%のCО2下で48時間インキュベートを行った後、TetraColor ONE(商品名:生化学工業社製)試薬を加え、更に6時間のインキュベートを行った。その後に、96穴マイクロタイタープレートについてマイクロプレートリーダーにより450nmの波長における吸光度を測定し、630nmの波長を参照波長とし、バックグラウンドの影響を排除するため、450nmの波長における吸光度から630nmにおける吸光度を除去し、リーシュマニア原虫の生存数を指標する数値としてOD値を求めた。試験は各試料の各濃度につき3ウェルずつ行い、平均値をOD値とした。求めたOD値を表1から表3に、これに基づき各試料の濃度とOD値、即ち試料の濃度とリーシュマニア原虫の生存数の関係を示すグラフを作成した。結果を図1から図4に示す。ポジティブコントロールとしてアンフォテリシンBを用いた。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
更に、各試料の濃度とリーシュマニア原虫の生存数との関係を示す図1〜図4のグラフから、各試料のリーシュマニア原虫に対する50%細胞増殖阻害濃度IC50 値(g/ml)を求めた。結果を表4に示す。各試料のリーシュマニア原虫に対する阻害効果はアンフォテリシンBと比べ、同等又はそれ以上であった。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
本発明の抗リーシュマニア剤は、優れた抗リーシュマニア活性を有し副作用も少なく、容易に製造できるため、抗リーシュマニア剤として汎用性に富み優れたものである。特に、一般式(III)で表されるロダシアニン系色素化合物を有効成分とするものは、優れた抗リーシュマニア活性を有し、低毒性であり、製造が容易であり、抗リーシュマニア剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図2】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図3】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図4】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーシュマニア症の予防や治療に有用な特定の化合物を有効成分とする抗リーシュマニア剤に関し、より詳しくは、ロダシアニン系色素化合物を有効成分とする抗マラリア剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
リーシュマニア症は、リーシュマニア(Leishmania)属の原虫がヒトなどの宿主のマクロファージに寄生することにより生じる熱帯性寄生虫感染症であり、主に砂漠に棲息するスナバエなどにより媒介されて伝播する。WHO指定の6大熱帯病に指定されており、主にアフリカ・中近東・中南米及びアジアで全世界の患者(約1200万人/年)を占めており、約3億5千万人の人々が感染の危険に晒されている。これらの多くは発展途上国に居住する人々であり、稀少で高価な薬剤の購入が困難である。
【0003】
リーシュマニア症は、皮膚リーシュマニア症(東洋潰瘍)、皮膚粘膜リーシュマニア症、内臓リーシュマニア症(カラ・アザール)の3種類に大きく分類される。内臓リーシュマニア症であるカラ・アザールはドノバンリーシュマニア(L.eishmania donovani)群の3種の感染によって発症する。皮膚及び粘膜リーシュマニア症のうち東洋瘤腫は、地中海沿岸、アフリカ、中近東に分布しており、熱帯リーシュマニア(L.tropica)群の3種の感染により皮膚に瘤腫を生じて潰瘍となり、ときに遠隔移転や癩結節様の汎発性病巣を作る。ブラジルリーシュマニア(L.braziliensis)群の4種の感染によるときは、初発皮膚病巣から鼻、口腔粘膜に潰瘍を生じて同部の変形を起こし、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)群の3種の感染によるときは東洋瘤腫とはやや異なる皮膚のみの病巣を作る。かかる各種リーシュマニア症は十分な治療を怠れば致死性が非常に高くなる危険を伴うものである。リーシュマニア原虫は多様性に富んでおり、免疫学的な見地からして、似たような病態でも地域により抗原性に差があるため、ワクチン開発が困難であり、化学療法の必要性が高い。
【0004】
現在のリーシュマニア症の治療には、第一選択薬として5価のアンチモン製剤、例えば、静脈内又は筋肉内に投与されるペントスタムが用いられているが、高価なうえ、高い毒性による副作用が問題となっている。さらに、インド亜大陸では薬剤耐性原虫が出現しており、新たな重大な問題となっている。アンチモン製剤の有効性が疑われる場合は、ペンタミジン(pentamidine:4,4´−(ペンタメチレンジオキシ)ジベンズアミジン)のイセチオン酸塩等のジアミジン系化合物がニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)に有効な抗感染症薬として用いられ(例えば、特許文献1参照。)、また、抗真菌性抗生物質アンフォテリシンB(amphotericin B)等のマクロライド系抗生物質が真菌性感染症や皮膚粘膜リーシュマニア症に対して二次的に静注で用いられているが、有効性は5価アンチモン製剤に及ばない。また、これらは高価であり、様々な副作用が報告されている。
【0005】
その他、リーシュマニア症の治療薬として、キク科植物(Elephantopus mollis H.B.K.)から抽出、精製分離したゲルマクラン及びグアイアン型セスキテルペノイド化合物を含む抗原虫薬(例えば、特許文献2参照。)や、グルコピラノース誘導体を有効成分とするリーシュマニア症治療剤(例えば、特許文献3参照。)等が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特表平9−501653号公報
【特許文献2】
特開2001−226369号公報
【特許文献3】
特開平11−106394号公報
【0007】
しかしながら、これらの治療薬は製造が困難であったり、大量に製造することが困難であることから、汎用性に欠けるという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、副作用が少なく、リーシュマニア原虫に対して細胞増殖阻害作用が高く、しかも容易に製造することができ、安価に供給できる新規な抗リーシュマニア剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々のリーシュマニア原虫に起因するリーシュマニア症に対し優れた効能を有し、副作用が少ない抗リーシュマニア剤として、共役系及び窒素原子を含む複素環と、窒素原子及び硫黄原子を含む複素環とがエチレン基を含む炭素鎖により結合された化合物が有用であることを見い出し、更に、特定のロダニン母核(4−オキソチアゾリジン環)に異なる置換基を有する種々のロダシアニン系色素化合物を合成し、抗リーシュマニア活性について検定したところ、4−オキソチアゾリジン環の特定位に更に窒素含有複素環が結合されたロダシアニン系色素化合物が非常に高い抗リーシュマニア活性を有し、副作用も少ないとの知見を得て、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、式(I)(a)で示される化合物
【化9】
(請求項1)や、式(I)(b)で示される化合物
【化10】
(請求項2)や、式(I)(c)で示される化合物
【化11】
(請求項3)や、式(I)(d)で示される化合物
【化12】
(請求項4)や、一般式(II)
【化13】
[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2は水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びBは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示される化合物を有効成分とすることを特徴とする抗リーシュマニア剤(請求項5)や、一般式(II)で示される化合物が、一般式(III)
【化14】
[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2及びR3は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びCは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示されるロダシアニン系色素化合物であることを特徴とする請求項5記載の抗リーシュマニア剤(請求項6)や、一般式(III)で示されるロダシアニン系色素化合物が、式(I)(a)から(d)、又は式(IV)(a)から(m)のいずれかに示されるロダシアニン系色素化合物であることを特徴とする請求項6記載の抗リーシュマニア剤。
【化15】
(請求項7)や、一般式(II)で示される化合物が、式(V)(a)又は(b)に示される化合物であることを特徴とする請求項5記載の抗リーシュマニア剤
【化16】
(請求項8)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の抗リーシュマニア剤は、一般式(II)[式中、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2は水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、nは0、1又は2の整数を表し、A及びBは独立して未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、aは共役系を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。]で示される化合物を有効成分として含有するものであれば、特に制限されるものではない。一般式(II)で示される化合物において、R1又はR2が表す炭素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖のみならず分枝鎖を有するものであってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチル−n−ペンチル基、n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘキシル基、n−オクチル基等を例示することができ、炭素原子数6〜8のアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシル基、3,5−キシル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基等を例示することができる。これらのR1又はR2が表す炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数6〜8のアリール基に結合される置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基等を例示することができる。
【0012】
また、R1又はR2が表す複素環基としては、具体的には、ピロリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、チアゾリジン、フラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン等の5員の複素環基や、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、2H−ピラン、4H−ピラン、テトラヒロドピラン、1,4−ジオキサン等の6員の複素環基等を例示することができる。また、R1又はR2が表す複素環に結合される置換基としては、上記炭素原子数1から8のアルキル基や炭素原子数6から8のアリール基における置換基と同様の置換基の他、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0013】
上記一般式(II)における0、1又は2のいずれかの整数nにより示される共役系aを含み、5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すAと共に形成される複素環としては、具体的には、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2−ピラゾリン、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,5−オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、アゼピン、1,n−ジアセピン(n=2〜4)、アゾシン等を例示することができる。また、かかるAが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1及びR2に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0014】
上記一般式(II)における5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すBと共に形成される複素環としては、1,3位に硫黄原子と窒素原子が配置されたものであればいずれのものであってもよく、具体的には、チアゾリジン、パーヒドロ−1,3−チアジン、テトラヒドロ−1,3−チアジン等の6員環複素環や、パーヒドロ−1,3−チアゼピン、ジヒドロ−1,3−チアゼピン、テトラヒドロ−1,3−チアゼピン等の7員環複素環や、パーヒドロ−1,3−チアゾシン、ジヒドロ−1,3−チアゾシン、テトラヒドロ−1,3−チアゾシン等の8員環複素環を例示することができる。また、かかるBが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1及びR2に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、ベンゾチアゾリン、パーヒドロ−1,3−ベンゾ[e]チアジン、パーヒドロ−1,3−ベンソ[f]チアゼピン、パーヒドロ−1,3−ベンゾ[g]チアゾシン等を例示することができる。
【0015】
かかる上記一般式(II)における5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すBと共に形成される複素環としては、チアゾリジンが好ましく、より好ましくは、4位にオキソ基を有する4−オキソチアゾリジン環である。かかる4−オキソチアゾリジン環を有する化合物として、一般式(III)で示されるロダシアニン系色素化合物であることがより好ましい。一般式(III)において、R1は未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、R2及びR3は独立して水素原子、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数1から8のアルキル基、未置換若しくは置換基を有する炭素原子数6から8のアリール基、又は未置換若しくは置換基を有する複素環基を表し、かかるR1、R2及びR3が表す炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数6から8のアリール基、複素環基、これらアルキル基、アリール基、複素環基の置換基としては、上記一般式(II)におけるR1及びR2が表すものと同様のものを例示することができる。また、一般式(III)における4−オキソチアゾリジン環の5位に二重結合により結合され、未置換若しくは置換基を有する5から8員の複素環を形成するのに必要な原子群を表すCと共に形成される複素環としては、具体的には、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−チアゾリン、チアゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,5−オキサジアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2H−1,3−チアジン、6H−1,3−チアジン、2H−1,4−チアジン、4H−1,4−チアジン、4H−1,4−オキサジン、アゼピン、1,n−ジアセピン(n=2〜4)、アゾシン等を例示することができる。また、かかるCが表す原子群と共に形成される複素環に結合される置換基としては、上記R1、R2及びR3に結合される置換基と同様のものを挙げることができ、また、複素環に縮合してオルト縮合環を形成するものであってもよく、複素環と形成するオルト縮合環としては、具体的には、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、インダゾール、2H−インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン等を例示することができる。
【0016】
また、本発明の一般式(II)、(III)で示される化合物中、Qは薬学的に許容しうるアニオンを示し、薬学的に許容しうるアニオンであればいずれのものであってもよく、ハロゲンイオン、スルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、水酸化物イオン等を挙げることができ、具体的には、ハロゲンイオンとして、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等を例示することができ、スルホン酸イオンとしては、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、2−ヒドロキシエタンスルホン酸イオン等の脂肪族及び芳香族スルホン酸イオン等を例示することができ、スルファミン酸イオンとしては、シクロヘキサンスルファミン酸イオンを例示することができ、その他、メチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等の硫酸イオン、硫酸水素イオン、ホウ酸イオン、アルキル及びジアルキルリン酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン等を挙げることができる。薬学的に許容し得るアニオンの好ましい具体例としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、吉草酸イオン、クエン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、乳酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、安息香酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、水酸化物イオン等を挙げることができる。
【0017】
上記のような一般式(II)で表される化合物としては、例えば、2−[(3−メチルチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム塩、2−[{3−(2−プロペニル)チアゾリリデン}メチル]−1−メチルピリジウム塩、2−[(3−メチルチアゾリリデン)メチル]−1−メチルキノリウム塩、2−[{3−(2−プロペニル)チアゾリリデン}メチル]−1−メチルキノリウム塩等を挙げることができ、好ましくは、2−[(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(V)(a)]や、2−[(4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン)メチル]−3−エチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(V)(b)]を挙げることができる。
【0018】
更に、一般式(II)で表される化合物として、式(I)(a)〜(d)や式(IV)(a)〜(m)に示されるロダシアニン系色素化合物を好ましい具体的として挙げることができる。すなわち、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(a)]、4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(b)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル}−2−チアゾリジニリデン]メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(c)]、
2−[{5−(3−メチル−2(1H)−キノリニリデン)−4−オキソ−3−エチル}−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−メチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(d)]、2−[[5−{5´−(3´´−メチル−2´´(3´´H)−ベンゾチアゾリリデン)−4´−オキソ−3´−エチル−2´−チアゾリジニリデン}−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−エチルベンゾチアゾリウム=ブロミド[式(IV)(e)]、
2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(I)(a)]、2−[{5−(5−クロロ−3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(f)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−3−メチルベンゾ[e]ベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(g)]、2−[{5−(5−クロロ−3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(h)]、
2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−エチルピリジニウム=クロリド[式(IV)(i)]4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(j)]、4−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−n−ブチルピリジニウム=ブロミド[式(I)(b)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−n−ブチルピリジニウム=ヨージド[式(I)(c)]、1−(p−カルボキシルフェニル)メチル−2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(d)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−テトラヒドロフラニル)メチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(k)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾベンゾ[e]チアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−テトラヒドロフラニル)メチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(l)]、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾベンゾ[e]チアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルベンゾチアゾリニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(m)]等を例示することができる。
【0019】
このような式(IV)で表されるロダシアニン系色素化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により製造することができる。例えば、ジャーナルオブメディシナルケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry:第45巻、995〜998頁、2002年)に記載の方法により合成することができ、例えば、▲1▼チオベンゾチアゾール誘導体と、スルホン酸アルキル等との混合物と、2−チオキソ−4−チアゾリジノンとを溶剤に縣濁させ、アミン等の存在下で反応させ2つのチアゾリジン誘導体を結合させる工程、▲2▼得られた化合物をスルホン酸メチル等と溶剤に懸濁させ加熱して共役酸を得る工程、▲3▼この共役酸とピリジニウム化合物等とをアミン等の存在下で加熱し反応させる工程、により目的とする一般式(III)で表されるロダシアニン系色素化合物を得ることができる。また、多種類の化合物コレクションを得るためのコンビナトリアル法を用いることもでき、例えば、m種の窒素含有複素環化合物と、n種のロダニン環化合物とを濾過手段を備えたm×n個の反応容器内でアセトニトリル等の溶媒存在下、異なる組み合わせにより反応させ液相を除去し、生成したm×n種のメロシアニン系色素化合物をチオメチル化した後、r種の特定の窒素含有複素環化合物と異なる組み合わせなるように、アセトニトリル等の溶媒存在下で反応させ、m×n×r種のロダシアニン系色素化合物を得る方法を挙げることができる。
【0020】
上記一般式(II)、(III)で表される化合物を、リーシュマニア原虫類による感染症の予防、抑制及び治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体、賦形剤、その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤を挙げることができる。製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコース、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有してもよい。これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。また、1日当たりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを投与するのが好ましい。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(I)]の合成
▲1▼5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−ベンジル−4−チアゾリジノンの合成
3−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート373mgと3−ベンジル−2−チオキソ−4−チアゾリジノン228mgの混合物にアセトニトリル3.6mLを加え懸濁液とし10℃に冷却した。この混合物に10℃でトリエチルアミン0.22mLを滴下し、10℃にて3時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、メタノールで洗浄した後に乾燥することで標記化合物354mgを得た。収率は94%であった。
▲2▼4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−ベンジル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナートの合成
5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−ベンジル−4−チアゾリジノン314mgとp−トルエンスルホン酸メチル468mgの混合物にジメチルホルムアミド0.3mLを加え懸濁液とした。これを130℃にて3.5時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、アセトンを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷アセトンで洗浄した後に乾燥することで標記化合物419mgを得た。収率は89%であった。
▲3▼2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−ベンジル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナートの合成
4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート200mgと、1,2ジメチルピリジニウム=p−トルエスンスルホナート100mgをアセトニトリル1.8mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.16mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物62.6mgを得た。収率は27%であった。
mp 211−216℃; 1H−NMR (DMSO−d6) δ: 2.28 (3H, s), 3.86 (3H, s), 4.08 (
3H, s), 5.30 (2H, s), 5.85 (1H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.30−7.53 (10H, m), 7.64 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.90 (1H, d, J = 7.1 Hz), 7.97 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 8.59 (1H, d, J = 6.6 Hz); Anal Calcd for C32H29N3O4S3・1.4H2O: C, 59.96; H, 5.00; N, 6.56. Found: C, 60.23; H, 5.27; N, 6.50.
【0022】
実施例2:1−ブチル−4−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(b)]の合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート300mgと、4−ブチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド115.8mgをアセトニトリル2.5mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.21mLを滴下し、30分間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物155.4mgを得た。収率は52%であった。
m.p. 299−300℃; IR (KBr) cm−1: 1179, 1382, 1496, 1533, 1542, 1639; 1H−
NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 0.91 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.21 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.19−1.31 (2H, m), 1.81 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.00 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.07 (3H, s), 4.31 (2H, t, J = 7.3 Hz), 6.34 (1H, s), 7.29 (1H, dd, J = 7.3, 7.8 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 7.4, 7.8 Hz), 7.61 (3H, m), 7.85 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.47 (2H, d, J = 7.1 Hz); Anal Calcd for C23H26BrN3OS2: C, 54.76; H, 5.19; N, 8.33. Found; C, 54.48; H, 4.97; N8.08.
【0023】
実施例3:1−ブチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ヨージド[式(I)(c)]の合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート642.7mgと、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=ヨージド299.3mgをアセトニトリル5.0mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.45mLを滴下し、1.5時間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物344.5mgを得た。収率は58%であった。
m.p. 237−242℃; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) d: 0.93 (3H, t, J = 7.4 Hz),
1.23 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.38 (2H, tq, J = 7.4, 7.0 Hz), 1.79 (2H, tt, J = 7.1, 7.0 Hz), 4.02 (s, 3H), 4.09 (2H, q, J = 7.4 Hz), 4.57 (2H, t, J = 7.1 Hz), 5.97 (1H, s), 7.28 (1H, t, J = 7.1 Hz), 7.437.50 (2H, m), 7.59 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.1 Hz), 8.06 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.27 (1H, t, J = 7.1 Hz), 8.67 (1H, d, J = 5.2 Hz); Anal Calcd for C23H26IN3OS2・1H2O: C, 48.51; H, 4.96; N, 7.38. Found: C, 48.67; H, 4.91; N, 7.36.
【0024】
実施例4:1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミド[式(I)(d)]の合成
▲1▼1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=トリエチルアンモニウムの合成
3−エチル−4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート573.3mgと、1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド356.2mgをアセトニトリル5.8mLに懸濁させ、70℃に加温する。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.5mLを滴下し、4時間攪拌する。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶をメタノールに溶解した後、酢酸エチルで結晶を析出させ、それを酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物358.1mgを得た。収率は45%であった。
▲2▼1−(p−カルボキシフェニル)メチル−2−[3−エチル−{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]ピリジニウム=ブロミドの合成
上記化合物をメタノール5.0mLに懸濁し、適量の臭化水素エタノール溶液を0℃で加えた。30分攪拌後、酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物298.6mgを得た。収率は100%であった。
m.p. >300℃; IR (KBr) cm−1: 1171, 1650, 1495, 1614, 1651, 3430; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) d: 0.78 (3H, t, J = 6.9 Hz), 3.86 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.03 (3H, s), 5.74 (1H, s), 5.93 (2H, s), 7.28 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.28−7.33 (1H, m), 7.45−7.51 (2H, m), 7.62 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.86 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.95 (2H, d, J = 7.8 Hz), 8.06 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.33 (1H, dd, J = 8.0, 8.0 Hz), 8.83 (1H, d, J = 6.3 Hz).
【0025】
実施例5:2−[(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(V)]の合成
3−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム=p−トルエンスルホナート326.1mgと、1,2−ジメチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート278.1mgをアセトニトリル4.4mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.37mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物166.1mgを得た。収率は44%であった。
m.p. 248−254℃; IR (KBr) cm−1: 1171, 1200, 1380, 1456, 1494, 1532, 1632; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 2.28 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.07 (3H, s), 5.83 (1H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.22−7.27 (1H, m), 7.29−7.34 (1H, m), 7.62 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.50−7.56 (1H, m), 7.62 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.89−7.92 (2H, m), 8.16 (1H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 8.53 (1H, d, J = 6.3 Hz); Anal Calcd for C22H22N2O3S2・0.2H2O: C, 61.43; H, 5.25; N, 6.51. Found: C, 61.23; H, 5.24; N, 6.88
【0026】
実施例6:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート[式(IV)(a)]の合成
2−メチルチオベンゾチアゾール4.0gと、p−トルエンスルホン酸メチル5.0mLのアニソール溶液5.5mLを130℃で1.5時間攪拌した。混合物を室温に冷却後、アセトニトリル74mLを加え、さらに3−(2−プロペニル)−2−チオキソ−4−チアゾリジノン3.83gを加えた。この混合物を0℃に冷却した後にトリエチルアミン4.9mLを徐々に滴下し、0℃にて1時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、アセトニトリルで洗浄し粗結晶5.51gを得た。この粗結晶2.1gとp−トルエンスルホン酸メチル9.0mLの混合物にジメチルホルムアミド7.5mLを加え懸濁液とし、120℃にて1.5時間撹拌した後、室温に冷却しアセトンを加え、沈殿物を吸引濾別し、アセトンで洗浄し乾燥した結果、粗結晶8.64gを得た。この粗結晶8.64gと、1−メチル−4−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート4.71gとアセトニトリル85.0mLの混合物を攪拌した。その混合物に70℃でトリエチルアミン7.0mLを滴下し、これを70℃にて1時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、酢酸エチルを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷酢酸エチルで洗浄した。この粗結晶をメタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶し、2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルピリジニウム=p−トルエンスルホナート3.94gを得た。収率は32%であった。
m.p. 249−251℃; IR (KBr) cm−1: 1038, 1189, 1057, 1539, 1636, 3471; 1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6 ) :δ 2.27 (3H, s), 4.04 (6H, s), 4.69 (2H, d, J = 4.9 Hz), 5.27−5.33 (2H, m), 5.81−5.92 (1H, m), 5.85 (1H, s), 7.09 (2H, d,J = 7.7 Hz), 7.28 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.40 (1H, dd, J = 6.5, 7.6Hz), 7.45−7.49 (3H, m), 7.60 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.85 (1H, d, J = 7.7Hz), 7.98 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.25 (1H, dd, J = 7.6, 8.2 Hz), 8.63 (1H,d, J = 6.5 Hz); Anal Calcd for C29H27N3O4S3: C, 59.45; H, 4.81; N, 7.43: Found: C, 59.25, H, 4.80; N, 7.29.
【0027】
実施例7:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(c)]の合成
▲1▼5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノンの合成
2−メチルチオベンゾチアゾール2.98g、p−トルエンスルホン酸メチル3.74mLのアニソール溶液4.14mLを120℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、アセトニトリル60mLを加え室温にて15分攪拌した。その後、この混合物に2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノン2.67gの混合物にアセトニトリル3.6mLを加え懸濁液とし10℃に冷却した。この混合物に10℃でトリエチルアミン3.6mLを滴下し、10℃にて4時間攪拌した。得られた沈殿物を吸引濾別し、メタノールで洗浄した後に乾燥することで標記化合物4.52gを得た。収率は89%であった。
▲2▼4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナートの合成
5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−エチル−4−チアゾリジノン2.1gとp−トルエンスルホン酸メチル3.85gの混合物にジメチルホルムアミド2.3mLを加え懸濁液とした。これを130℃にて2.5時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に、アセトンを加えた。沈殿物を吸引濾別し、冷アセトンで洗浄した後に乾燥することで標記化合物3.0gを得た。収率は90%であった。
▲3▼2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−3−エチル−4−オキソ−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージドの合成
4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート114.3mgと、1,2ジメチルキノリジニウム=ヨージド66.1mgをアセトニトリル1.2mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.10mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物114.4mgを得た。収率は88%であった。
mp 283−285℃; IR (KBr) cm−1: 1177, 1353, 1500, 1533, 1608, 1640; 1H−NMR (DMSO−d6) δ: 1.30 (3H, t, J = 7.1 Hz), 4.11 (3H, s), 4.21−4.25 (5H, m), 6.23 (1H, s), 7.34 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.52 (1H, dd, J = 7.4, 8.8 Hz), 7.68−7.74 (2H, m), 7.93 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.99 (1H, dd, J = 7.4, 8.5 Hz), 8.14 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.21 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.58 (1H, d, J = 7.1 Hz); Anal Calcd for C24H22IN3OS2・0.5H2O: C, 50.71; H, 4.08; N, 7.39. Found: C, 50.76; H, 4.02; N, 7.32.
【0028】
実施例8:2−[{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデン}メチル]−1−メチルキノリニウム=ヨージド[式(IV)(g)]の合成
実施例4の▲2▼項までの操作により合成した4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナート340.8mgと、2,3−ジメチルナフト[1,2−d]チアゾリウム=p−トルエンスルホート223.6mgをアセトニトリル2.8mLに懸濁させ、70℃に加温した。この混合物に70℃でトリエチルアミン0.11mLを滴下し、1時間攪拌した。室温に冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥することで標記化合物147.6mgを得た。収率は86%であった。
m.p. >300℃; IR (KBr) cm−1: 1200, 1371, 1467, 1503, 1539, 1649, 3422;
1H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ: 1.30 (3H, t, J = 7.1 Hz), 2.27 (3H, s), 4.12 (3H, s), 4.28 (2H, q, J = 7.1 Hz), 4.49 (3H, s), 6.78 (1H, s), 7.09 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.30 (1H, dd, J = 7.4, 7.7 Hz), 7.45−7.52 (3H, m), 7.45−7.79 (3H, m), 7.92 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.04 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.14 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.24 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.81 (1H, d, J = 8.5 Hz); Anal Calcd for C33H29N3O4S4・1.4H2O: C, 57.86; H, 4.68; N, 6.13. Found: C, 58.05, H, 4.80, N, 5.84.
【0029】
実施例9:リーシュマニア原虫増殖阻害試験
合成して得られた各化合物をジメチルスルホキシド(以下、DMSОと称す。)に溶解した後、Medium199培地(インビトロジェン社製)で所定濃度まで9段階に希釈し、メンブレンフィルターで濾過し、各濾液を試料溶液とした。96穴マイクロタイタープレートに、前記各試料溶液50μLと、最終濃度が2×10−5/mLとなるように調製したリーシュマニア(L.major)培養液50μLとをそれぞれ接種し、培養液の全量を100μLとした。27℃に保った状態で、5%のCО2下で48時間インキュベートを行った後、TetraColor ONE(商品名:生化学工業社製)試薬を加え、更に6時間のインキュベートを行った。その後に、96穴マイクロタイタープレートについてマイクロプレートリーダーにより450nmの波長における吸光度を測定し、630nmの波長を参照波長とし、バックグラウンドの影響を排除するため、450nmの波長における吸光度から630nmにおける吸光度を除去し、リーシュマニア原虫の生存数を指標する数値としてOD値を求めた。試験は各試料の各濃度につき3ウェルずつ行い、平均値をOD値とした。求めたOD値を表1から表3に、これに基づき各試料の濃度とOD値、即ち試料の濃度とリーシュマニア原虫の生存数の関係を示すグラフを作成した。結果を図1から図4に示す。ポジティブコントロールとしてアンフォテリシンBを用いた。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
更に、各試料の濃度とリーシュマニア原虫の生存数との関係を示す図1〜図4のグラフから、各試料のリーシュマニア原虫に対する50%細胞増殖阻害濃度IC50 値(g/ml)を求めた。結果を表4に示す。各試料のリーシュマニア原虫に対する阻害効果はアンフォテリシンBと比べ、同等又はそれ以上であった。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
本発明の抗リーシュマニア剤は、優れた抗リーシュマニア活性を有し副作用も少なく、容易に製造できるため、抗リーシュマニア剤として汎用性に富み優れたものである。特に、一般式(III)で表されるロダシアニン系色素化合物を有効成分とするものは、優れた抗リーシュマニア活性を有し、低毒性であり、製造が容易であり、抗リーシュマニア剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図2】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図3】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
【図4】本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分の各濃度における抗リーシュマニア活性を示す図である。
Claims (8)
- 一般式(II)
- 一般式(II)で示される化合物が、一般式(III)
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