JP4090133B2 - 抗マラリア剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マラリア原虫類による感染症の予防及び治療に有用な抗マラリア剤の発明に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マラリア原虫感染によって引き起こされるマラリアは人類最大の寄生原虫感染症であり、世界保健機構(WHO)の最新統計によると、毎年、世界中で2億6700万人もの人々がマラリアに感染し、そのうち200万人が死亡している。マラリアの起因病原体は、プラスモジウム(Plasmodium)属に属する原虫であり、例えば、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P.vivax)、主として熱帯西アフリカに分布する卵型マラリア原虫(P.ovale)、及び世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P.malariae)などの原虫がハマダラ蚊を媒介としてヒトに感染する。
【0003】
従来、マラリアは、正しい診断と適切な治療がなされれば完治できる疾病であるとされていたが、近年、多剤耐性原虫がタイ国を中心に蔓延しており、現在利用可能な薬剤、例えば、クロロキン、プリマキン、メフロキン、ドキシサイクリン、アミテミシニン、及びピリメサミンでは治療が困難になる場合が増加している。多剤耐性マラリアに対しては、唯一キニーネが有効であるものの、キニーネは腎不全を引き起こす可能性が極めて高いため、最終治療手段としてのみ用いられている。このため、多剤耐性マラリアに対して高い有効性を発揮でき、毒性が低い薬剤の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明の課題は、マラリアの治療及び予防に有用な医薬を提供することにある。特に、高い有用性と安全性を兼ね備えた抗マラリア剤を提供することが本発明の課題である。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、下記一般式(I)で表されるロダシアニン色素が上記の特徴を有する抗マラリア剤として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記の一般式(I):
【化3】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換若しくは非置換のC1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、又はC2-6アルコキシカルボニル基を示し、あるいはR1及びR2は互いに結合して6員環を形成してもよく;R3及びR5はそれぞれ独立に置換又は非置換のC1-8アルキル基を示し;R4は置換若しくは非置換のC1-8アルキル基又は置換若しくは非置換のC6-8アリール基を示し;R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、置換若しくは非置換のC1-8アルキル基、C2-5アルコキシカルボニル基を示し、あるいはR6及びR7は互いに結合してさらに他の環と縮合してもよい6員環を形成してもよく;Zは5員又は6員の複素環を形成するために必要な原子群を示し;Qは生理学的に許容しうるアニオンを示し、kは1又は2を示す)で表される化合物を有効成分として含む抗マラリア剤を提供するものである。
【0006】
上記発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物が下記の式(II):
【化4】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基、又はメトキシカルボニル基を示し、あるいはR1及びR2は互いに結合して縮合ベンゼン環を形成してもよく;R3及びR5はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシエトキシエチル基、4−カルボキシブチル基、又は2−(2−カルボキシエチルカルボニルオキシ)エチル基を示し;R4はメチル基、エチル基、アリル基、又はフェニル基を示し;Qは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、又はシュウ酸イオンを示し、kは1又は2を示す)で表される化合物である上記抗マラリア剤が提供される。また、式(I)においてZにより形成される複素環がピリジン環、ピラジン環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾリン環、イミダゾリン環、又はオキサゾリン環である上記抗マラリア剤も提供される。
【0007】
別の観点からは、上記式(I)又は式(II)で表される化合物の上記抗マラリア剤の製造のための使用;及びマラリアの予防及び/又は治療方法であって、上記式(I)又は式(II)で表される化合物の予防及び/又は治療有効量を患者に投与する工程を含む方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(アルコキシ基、アルコキシカルボニル基など)におけるアルキル部分は、直鎖、分岐鎖、環状、またはそれらの組み合わせのいずれでもよく、例えば、C1-5と記載する場合には、炭素数1〜5個であることを意味する。また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい。
【0009】
本明細書において、ある官能基について置換又は非置換という場合には、その基は1個又は2個以上の任意の置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アルケニル基などを挙げることができる。また、こららの置換基はさらに1個又は2個以上の置換基を有していてもよいが、そのような場合の例として、アセチルアミノ基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルベンジル基などを挙げることができる。もっとも、置換基の種類は上記に具体的に例示したものに限定されることはない。
【0010】
R1及びR2が示すハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。R1及びR2が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基などを挙げることができ、置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基、4−カルボキシブチル基などのカルボキシアルキル基を挙げることができる。R1及びR2が示すアルコキシ基としては、メトキシ基、プロポキシ基、又はイソプロポキシ基などが好ましく、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などを挙げることができる。R1及びR2が互いに結合して6員環を形成する場合としては、両者が結合して縮合ベンゼン環を形成する場合を挙げることができる。このようにして形成される環状構造として、例えば、ナフトチアゾール環を挙げることができる。
【0011】
R3及びR5が示すC1-8アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などを挙げることができ、R3及びR5が示す置換C1-8アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基、4−カルボキシブチル基などのカルボキシアルキル基、2−(2−カルボキシエチルカルボニルオキシ)−エチル基などを挙げることができる。
【0012】
R4が示す置換又は非置換のC1-8アルキル基としては、R3について説明したものを好適に用いることができるほか、置換アルキル基としてアリル基などを用いることができる。R4が示すアリール基としてはフェニル基などを用いることができ、置換アリール基としてはトリル基などを挙げることができる。R6及びR7が示すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基などを挙げることができ、置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基、4−カルボキシブチル基などのカルボキシアルキル基を挙げることができる。R6及びR7が示すアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基を挙げることができる。
【0013】
Zは5員又は6員の複素環を形成するために必要な原子群を示すが、該複素環としては、例えば、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾリン環、イミダゾリン環、又はオキサゾリン環を挙げることができる。ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のほか、セレン原子などを用いてもよい。これらのうち、ピリジン環が好ましい。R6及びR7が互いに結合して6員環を形成する場合には、該6員環はさらに他の環と縮合してもよい。6員環としてはベンゼン環を挙げることができ、該6員環が他の環と縮合する場合としては、ナフタレン環を形成する場合を挙げることができ、それらが結合する複素環とともに、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンツイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環などを形成することが好ましい。
【0014】
Qは必要に応じて生理学的に許容しうるアニオンを示し、kは1又は2を示す。kが1である場合にはQが存在することを意味しており、Qは1価ないし多価のアニオンをあらわす。kが2の場合にはQが存在しないことを意味する。例えば、R3又はR5がアニオン基を有する置換アルキル基(例えばスルホニルアルキル基)である場合には、Qは存在しなくともよい。Qが示すアニオンとしては例えば1価又は2価のアニオンを用いることができ、好ましくは、ハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、有機酸イオン(例えば、酢酸イオン、シュウ酸イオンなど)、無機酸イオン(例えば、硫酸イオンなど)を挙げることができ、好ましくは塩素イオンを用いることができる。
【0015】
上記式(I)で表される化合物は、例えば、米国特許第2,388,963号明細書、同2,504,468号明細書などに記載された方法に従って容易に製造することができる。式(I)で表される化合物は、置換基の種類に応じて1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1又は2以上の不斉炭素に基づく光学活性体やジアステレオ異性体、異性体の任意の混合物、ラセミ体などを本発明の医薬の有効成分として用いてもよい。また、式(I)で表される化合物の水和物又は溶媒和物を本発明の医薬の有効成分として用いることもできる。
【0016】
本発明の医薬の有効成分としては上記式(II)で表される化合物が好適である。また、式(I)においてZにより形成される複素環が、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾリン環、イミダゾリン環、又はオキサゾリン環である化合物も好適である。以下、本発明の医薬に特に好適に用いられる化合物を示すが、本発明の医薬の有効成分は下記の化合物に限定されることはない。
【0017】
【化5】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
【表8】
【0025】
本発明の医薬は、マラリアの予防及び/又は治療に用いることができる。マラリアの起因病原体は特に限定されず、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵型マラリア原虫、四日熱マラリア原虫などの原虫に起因するマラリアはいずれも本発明の医薬の適用対象である。本発明の医薬としては、上記式(I)で表される化合物、その水和物、及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質をそのまま用いてもよいが、通常は、有効成分である上記物質と製剤用添加物とを含む医薬組成物として調製されることが望ましい。本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的又は非経口的に投与することが可能である。
【0026】
本発明の医薬の形態は特に限定されず、投与経路により適宜の形態を選択することが可能であり、その形態に応じて当業界で汎用の方法に従って製造することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、シロップ、溶液剤、懸濁剤などの経口投与用の医薬組成物、又は皮下、筋肉内、若しくは静脈内投与用の注射剤、点滴剤、坐剤などの形態の医薬組成物として調製することができる。
【0027】
これらの医薬組成物の製造に使用される製剤用添加物の種類は特に限定されず、当業界で利用可能なもののなかから医薬組成物の形態に応じて1種又は2種以上を適宜選択することが可能である。例えば、注射剤の製造は、当業者が利用可能な希釈剤(例えば生理食塩水、ブドウ糖注射液、乳糖注射液、マンニット注射液等)に有効成分である上記物質を溶解し、濾過滅菌などの適宜の滅菌処理を施してアンプル等の密封容器に充填すればよい。また、日本薬局方に基いて凍結乾燥した形態の注射剤や塩化ナトリウムと混合した粉末注射剤を製造してもよい。また、製剤用添加物として、例えば、ポリエチレングリコール、HCO-60(界面活性剤;日光ケミカル社製)等の補助剤、エタノールおよび/またはリポソーム、サイクロデキストリン等の担体を含んでいてもよい。
【0028】
経口投与に適する医薬組成物又は直腸投与に適する医薬組成物の製造は、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、等張化剤、乳化剤などの適宜の製剤用添加物と上記物質とを常法により混合成形することにより製造することができる。使用される賦形剤としては、セルロース誘導体(結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、デキストリン、デンプン、乳糖、マニトール、ソルビトール、植物油(例えば、トウモロコシ油、綿実油、ココナッツ油、アーモンド油、オリーブ油、落花生油など)、中鎖脂肪酸グルセリド油等の油状エステル、鉱物油、トリカプリリン、トリアセチン等のグリセリンエステル類、エタノール等のアルコール類、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、動物油脂、ワセリン等を挙げることができる。
【0029】
本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、治療又は予防の目的、投与経路、患者の年齢、体重、疾患の重篤度などの条件に応じて適宜選択可能であるが、一般的には、成人一日あたり0.1〜1,000mg(有効成分重量)程度、好ましくは1〜600mgであり、一日1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。なお、本発明の医薬は、マラリアの治療又は予防に用いられる他の医薬と併用してもよく、このような医薬の有効成分と組み合わせた組成物(いわゆる合剤)として用いてもよい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
<熱帯熱マラリア原虫の培養>
マラリア原虫として熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)FCR−3株(ATCC30932)を用い、培地として濾過滅菌したRPMI1640培地(pH7.4、ヒト血清10%添加)を用いて、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%、温度36.5℃の条件で培養を行なった。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は5%とし、培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1%とした。24穴培養プレートを用いて培地を毎日交換し、感染率4%で植え継ぎを行なった。感染率は薄層塗抹標本を作成し、ギムザ染色あるいはDiff−Qick染色を行なった後、顕微鏡(油浸、1,000×)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式から算出した。マラリア原虫感染率(%)={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
【0031】
試験例1:マラリア原虫増殖阻害スクリーニング試験
培養したマラリア原虫感染赤血球を遠心分離で集め、血清を含む培地で洗浄を行なった後、非感染赤血球を加え、初期感染率を0.3%とした。この時のヘマトクリット値は3%とした。式(I)で表される化合物、又は陽性対照薬(キニーネ(Quinine)、ピリメタミン(Pyrimethamine)、メフロキン(Mefloquine)、アルテスナート(Artesunate)、ローダミン123(Rhodamine123))は、滅菌水、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して所定濃度の試験液とした。24穴培養プレートに試験液を5〜10μLずつ加え、1化合物について2又は3回の試験を行った。コントロールは滅菌水、DMF、又はDMSOを10μL/ウェルを加えた。
【0032】
つぎに、予め所定濃度に調整した熱帯熱マラリア原虫培養液を990〜995μLずつ加え、静かにピペッティングを行ない、培地に一様に懸濁させた。培養プレートをインキュベーター中(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%)で72時間培養した後、それぞれのウェルについて薄層塗抹標本を作成し、ギムザ染色又はDiff−Qick染色した後、顕微鏡下で観察し、試験液添加群及びコントロール群のマラリア原虫感染率を算出した。上記で求めたマラリア原虫感染率から、次式によって増殖阻害率を算出し、50%増殖阻害濃度(EC50)を求めた。増殖阻害率(%)={1−(b−a)/(c−a)}×100〔式中、aは初期感染率、bは試験液添加時の感染率、cはコントロールの感染率を示す〕
【0033】
試験例2:マウスFM3A細胞増殖阻害試験
マウス乳癌由来FM3A細胞の野生株であるF28−7株を用いた。培地はES培地に非働化した胎児牛血清を2%となるように添加し、二酸化炭素濃度5%、37℃で培養した。この条件下でのFM3A細胞の倍加時間は約12時間であった。前培養を行ない、対数増殖期に入った細胞を5×104cells/mlとなるように培地で希釈し、サンプルはマラリア活性測定時に調製したものを用いて、24穴培養プレートにサンプル溶液を5〜10μLずつ加えた(培地などを加えた最終濃度は1×10-4〜1×10-5M)。1化合物について2又は3回の試験を行ない、コントロールとして滅菌水、DMF、又はDMSOを10μL加えたウェルを同時に用意した。つぎに、用意しておいた培養細胞浮遊液を990から995μLずつ加え、静かにピペッティングして培地に一様に懸濁させた。48時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数をセルカウンター(CC−108、Toa Medical Electrics社製)で計数し、下記式により増殖率を算出して50%増殖阻害率(IC50)を算出した。増殖率(%)={(C−A)/(B−A)}×100〔式中、Aは初期細胞数、Bは2日後のコントロールの細胞数、Cはサンプル添加した2日後の細胞数を示す〕
【0034】
細胞増殖活性は、サンプルを添加したウェルの細胞数及びコントロールの細胞数から算出し、サンプルの細胞毒性を評価した。熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するサンプルのEC50値、IC50値からサンプルの抗マラリア作用を評価することにより行ない、マラリア原虫に対する選択毒性の指標として用いられる化学療法係数を下記式により算出して薬効判定を行なった。化学療法係数=(マウスFM3A細胞に対するサンプルのIC50値)÷(熱帯熱マラリア原虫に対するサンプルのEC50値)
【0035】
各サンプルについての熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するEC50値、IC50値、及び化学療法係数を表2に示す。これらの結果から、本発明の抗マラリア剤は毒性が低く、極めて優れたマラリア原虫増殖阻害作用を有していることが明らかである。
【0036】
【表9】
【0037】
【発明の効果】
本発明の医薬の有効成分である式(I)の化合物は、優れた抗マラリア原虫作用を有し、かつ毒性が低いという特徴がある。
Claims (2)
- 下記の式(I):
- 式(I)で表される化合物が下記の式(II):
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