JP2003034640A - 四環性複素化合物を含有する抗マラリア剤 - Google Patents

四環性複素化合物を含有する抗マラリア剤

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JP2003034640A
JP2003034640A JP2001220578A JP2001220578A JP2003034640A JP 2003034640 A JP2003034640 A JP 2003034640A JP 2001220578 A JP2001220578 A JP 2001220578A JP 2001220578 A JP2001220578 A JP 2001220578A JP 2003034640 A JP2003034640 A JP 2003034640A
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JP2001220578A
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Masataka Ihara
正隆 井原
Kiyomasa Takasu
清誠 高須
Hiroshi Igami
博史 伊上
Arisuke Wataya
有佑 綿矢
Keishuku Kin
恵淑 金
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Japan Science and Technology Corp
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    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種抗マラリア剤に耐性を有するマラリヤ原
虫に対して有効であり、副作用が少ない抗マラリヤ剤を
提供すること。 【解決手段】 一般式(I)(式中、R1及びR2はそれ
ぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、未置
換又は置換基を有していてもよい炭素原子数1から5の
アルキル基、又は、互いに連結し形成された未置換若し
くは置換基を有していてもよい6員環を表し、R3
4、R5及びR6はそれぞれ独立して、未置換又は置換
基を有していてもよい炭素原子数1から8のアルキル基
を表し、Qは薬学的に許容しうるアニオンを表す。)で
示される四環性複素化合物を抗マラリヤ剤の有効成分と
する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マラリア原虫類に
よる感染症の診断、予防、及び治療に有用な四環性複素
化合物を有効成分として含有する抗マラリア剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マラリアはハマダラカAnopheles spp.を
媒体として人体に注入されたマラリア原虫に感染して発
病する感染症であり、ヒトに感染するマラリア原虫には
熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリ
ア原虫、及び四日熱マラリア原虫の4種類があり、世界
中で患者数2〜3億人、死者年間2〜3百万人と推定さ
れている。近年、殺虫剤耐性の蚊や、マラリアの特効薬
として多用されてきたクロロキン耐性のマラリア原虫が
出現し、対策が困難となっている。抗マラリア剤又は抗
マラリア化合物としては、特開2000−7673号公
報記載の2個の複素環を含有するオルソ−縮合系の新規
化合物や、特開平11−228446号公報記載のIC
AM−1発現抑制作用を有する化合物を有効成分として
含有する抗マラリア剤や、特開平11−228422号
公報記載の5′−o−スルファモイル−2−クロロアデ
ノシン等のヌクレオシド誘導体などを有効成分として含
有する抗マラリア剤や、特開平11−228408号公
報記載のトリコテセン類等を有効成分として含有する抗
マラリア剤や、特開平10−265382号公報記載の
シクロプロジギオシン等を有効成分とする抗マラリア剤
や、特開平8−231401号公報記載のリミノフェナ
ジンを有効成分として含有するマラリア予防又は治療薬
や、特開平8−73355号公報記載のキノリン誘導体
等を有効成分として含有する抗マラリア薬耐性克服剤
や、特開平8−59471号公報記載の5−フルオロオ
ロチン酸及びスルファモノメトキシンを有効成分とする
抗マラリア剤等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、クロロキンに耐
性をもつマラリア原虫に対して、メフロキン、プリマキ
ン等のクロロキン類似化合物や、アルテミシニン等のパ
ーオキシ環状化合物等が有効であり、特に、キク科植物
から単離されるトリオキサ構造を持つアルテミシニンが
治療薬として使われていた。しかしながら、アルテミシ
ニンに対しても耐性を示すマラリア原虫がすでに現れて
おり、新規なマラリア剤に対して次々に耐性を有するマ
ラリア原虫が出現するという問題があった。また、マラ
リア原虫に対して有効であるキニーネは、腎不全を引き
起こす可能性が高く、キニーネは最終治療としてのみ用
いられているのが現状であり、副作用が少なく感染の予
防や、治療を保証することはできなかった。本発明の課
題は、各種抗マラリア剤に耐性を有するマラリア原虫に
対して有効であり、副作用が少ない抗マラリア剤を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種抗マ
ラリア剤に耐性を有するマラリア原虫に対して有効であ
り、副作用が少ない抗マラリア剤として、ロダシアニン
系色素化合物が有用であることを既に報告している(特
開2000−191531号公報)。本発明者らは、か
かるロダシアニン系色素化合物とはロダニン母核に結合
される置換基が異なる種々のロダシアニン系色素化合物
を合成し、抗マラリア活性について検定したところ、特
定の置換基を有する四環性複素化合物が非常に高い抗マ
ラリア活性と優れた選択毒性を有することを見い出し、
本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、以下の一般式(I)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハ
ロゲン原子、水酸基、未置換若しくは置換基を有してい
てもよい炭素原子数1から5のアルキル基、又は、互い
に連結し形成された未置換若しくは置換基を有していて
もよい6員環を表し、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ
独立して、未置換又は置換基を有していてもよい炭素原
子数1から8のアルキル基を表し、Qは薬学的に許容し
うるアニオンを表す。)で示される四環性複素化合物を
有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤
(請求項1)に関する。
【0006】
【化3】
【0007】また本発明は、上記一般式(I)で表され
る化合物が、以下の式(II)で表される四環性複素化合
物であることを特徴とする請求項1記載の抗マラリア剤
(請求項2)に関する。
【0008】
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の一般式(I)で示される
四環性複素化合物中、R1、R2はそれぞれ同一又は相異
なってもよく、独立して、ハロゲン原子、水酸基、又は
未置換若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数1
〜5のアルキル基を表す。上記ハロゲン原子としては、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げ
ることができる。また、上記炭素原子数1〜5のアルキ
ル基としては、直鎖のみならず分枝鎖を有するものであ
ってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチ
ル基、イソブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基等を例示すること
ができる。これらの炭素原子数1〜5のアルキル基に結
合される置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、オキ
ソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリー
ルカルボニル基、アリール基、アラルキル基、アミノ
基、アルケニル基等を例示することができる。
【0010】また、R1とR2は、それぞれ互いに連結し
て6員環を形成してもよく、6員環は特に限定されるも
のではなく、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素いずれで
あってもよく、また、ベンゼン環とオルト縮合環を形成
してもよい。6員環は置換基を有していてもよく、置換
基としては、具体的には、ハロゲン原子、水酸基、オキ
ソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、アリー
ルカルボニル基、アリール基、アラルキル基、アミノ
基、アルケニル基等を例示することができる。
【0011】本発明の一般式(I)で示される四環性複
素化合物中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ同一又は相
異なってもよく、独立して、未置換又は置換基を有して
いてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。該炭
素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖のみならず
分枝鎖を有するものであってもよく、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペン
チル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチ
ル基、n−ヘキシル基、2−メチル−n−ペンチル基、
n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘキシル基、n−オ
クチル基等を例示することができる。これらの炭素原子
数1〜8のアルキル基に結合される置換基としては、ハ
ロゲン原子、水酸基、オキソ基、アルキル基、アルコキ
シ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アル
キルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール
基、アラルキル基、アミノ基、アルケニル基等を例示す
ることができる。
【0012】また、本発明の一般式(I)で示される四
環性複素化合物中、Qは薬学的に許容しうるアニオンを
示し、ハロゲンイオン、スルホン酸イオン、スルファミ
ン酸イオン、水酸化物イオン等を挙げることができ、具
体的には、ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素
イオン、ヨウ素イオン等を例示することができ、スルホ
ン酸イオンとしては、メタンスルホン酸イオン、エタン
スルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオ
ン、p−トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホ
ン酸イオン、2−ヒドロキシエタンスルホン酸イオン等
の脂肪族及び芳香族スルホン酸イオン等を例示すること
ができ、スルファミン酸イオンとしては、シクロヘキサ
ンスルファミン酸イオンを例示することができ、その
他、メチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等の硫酸イ
オン、硫酸水素イオン、ホウ酸イオン、アルキル及びジ
アルキルりん酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン
等を挙げることができる。薬学的に許容し得るアニオン
の好ましい例としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素
イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、吉草酸イオ
ン、クエン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオ
ン、乳酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、安息
香酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン
酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、水酸化物イ
オン等が挙げられる。
【0013】上記のような一般式(I)で表される四環
性複素化合物は具体的には、式(II)で表される四環性
複素化合物、すなわち、2−[[5−{5−(3−メチル
−2−(3H)ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−
3−エチル−2−チアゾリジニリデン}−4−オキソ−
3−エチル−2−チアゾリジニリデン]メチル] −3−
エチルベンゾチアゾリウム=ブロミドを具体的に挙げる
ことができる。
【0014】このような一般式(I)で表される四環性
複素化合物の製造方法は、特に限定されるものではない
が、例えば化合物(II)の製造方法の場合は、2−メ
チルチオベンゾチアゾールのアルキル誘導体と、p−ト
ルエンスルホン酸メチル等との溶液を加熱下、例えば、
100〜150℃の範囲、好ましくは120℃前後の加
熱下で30分〜10時間、好ましくは2〜4時間攪拌
し、室温に冷却後、アセトニトリル等を加え攪拌した
後、この混合物に2−チオキソ−4−チアゾリジノンの
アルキル誘導体と、アセトニトリルを加え懸濁液とし、
0〜70℃の範囲、好ましくは10℃を維持して、アミ
ンを加え、30分〜10時間、好ましくは1〜4時間攪
拌し、5−(3−アルキル−2(3H)ベンゾチアゾリ
リデン)−2−チオキソ−3−アルキル−4−チアゾリ
ジノンを得る工程、得られた5−(3−アルキル−2
(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3
−アルキル−4−チアゾリジノンと、p−トルエンスル
ホン酸メチル等の混合物にアミドを加え、これを加熱
下、例えば、100〜150℃の範囲、好ましくは13
0℃前後の加熱下で、2〜6時間、好ましくは2〜4時
間攪拌して4,5−ジヒドロ−5−(3−アルキル−2
(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−
3−アルキル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエン
スルホナートを生成する工程、一方、3−アルキル−
2−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリンのハロゲン
化物等を、2,6−ルチジン及び、トリエチルアミン等
のアミンとの混合物を室温で攪拌し、その混合物にエチ
ルイソシアネート等を滴下し、加熱下、例えば90〜1
30℃の範囲、好ましくは、110℃前後の加熱下で、
30分〜5時間、好ましくは30〜60分間攪拌し反応
させ、得られた混合物を室温に冷却後、水を加えて沈殿
した沈殿物を酢酸等に溶解させ、ハロゲン化酢酸等を加
え2−[(4−オキソ−3−アルキル−2−チアゾリジ
ニリデン)メチル]−3−アルキルベンゾチアゾリンの
ハロゲン化物等を得る工程、上記の方法により得られ
た2−[(4−オキソ−3−アルキル−2−チアゾリジ
ニリデン)メチル]−3−アルキルベンゾチアゾリンの
ハロゲン化物等と、4,5−ジヒドロ−5−(3−アル
キル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチ
ルチオ−4−オキソ−3−アルキルチアゾリウム=p−
トルエンスルホナートを溶媒に懸濁させ、加熱下、例え
ば、室温〜80℃の範囲、好ましくは70℃前後の加熱
下で、トリエチルアミン等のアミン存在下、30分〜6
時間、好ましくは1〜2時間攪拌しで反応させ、室温に
冷却した後に酢酸エチルを加え、沈殿物を濾別する工
程、により目的とする一般式(I)で表される、2−
[[5−{5−(3−アルキル−2(3H)−ベンゾチ
アゾリリデン)−4−オキソ−3−アルキル−2−チア
ゾリジニリデン}−4−オキソ−3−アルキル−2−チ
アゾリジニリデン]メチル]−3−アルキルベンゾチア
ゾリンのハロゲン化物等の四環性複素化合物を得ること
ができる。
【0015】上記一般式(I)で表される四環性複素化
合物を、マラリア原虫類による感染症の予防、抑制及び
治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注
射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製
剤としては、通常、製薬的に許容される担体、賦形剤、
その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸
剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、
坐剤等の非経口剤を挙げることができる。製薬的に許容
される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコー
ス、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペ
ースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケ
ラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定
剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有して
もよい。これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造
方法により製造できる。また、1日当たりの投与量は、
患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に
決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.
1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを投与す
るのが好ましい。
【0016】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限
定されるものではない。 実施例1: 化合物(II)の合成 2.98gの2−メチルチオベンゾチアゾール、3.7
4mLのp−トルエンスルホン酸メチルのアニソール溶
液(4.14mL)を120℃で4時間攪拌した。室温
に冷却後、60mLのアセトニトリルを加え室温にて1
5分攪拌した。その後、この混合物に2.67gの3−
エチル−2−チオキソ−4−チアゾリジノンの混合物に
3.6mLのアセトニトリルを加え懸濁液とし10℃に
冷却した。この混合物に10℃で3.6mLのトリエチ
ルアミンを滴下し、10℃にて4時間攪拌し沈殿物を得
た。この沈殿物を吸引濾別し、メタノールで洗浄した後
に乾燥することで4.52gの5−(3−メチル−2
(3H)ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−3−
エチル−4−チアゾリジノンを得た。収率は89%であ
った。得られた3−エチル−5−(3−メチル−2(3
H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−チオキソ−4−チ
アゾリジノンの2.1gと、3.85gのp−トルエン
スルホン酸メチルの混合物に2.3mLのジメチルホル
ムアミドを加え懸濁液とした。これを130℃にて2.
5時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後
に、アセトンを加え、沈殿物を得た。この沈殿物を吸引
濾別し、冷アセトンで洗浄した後に乾燥することで3.
0gの4,5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3
H)−ベンゾチアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−
エチル−4−オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホ
ナートを得た。収率は90%であった。
【0017】次に、0.35gの3−エチル−2−メチ
ル−2(3H)−ベンゾチアゾリウム=ヨージド、0.
50mLのピリジン、0.13mLのトリエチルアミン
の混合物を室温で攪拌した。その混合物に0.085m
Lのエチルイソシアネートを滴下し、110℃で30分
間攪拌した。得られた混合物を室温に冷却した後に水を
加え、沈殿物を吸引濾別した。室温で、上記沈殿物に
0.77mLの1規定酢酸を加え、沈殿物を溶解させ
た。その混合物に室温で0.20gのブロモ酢酸を滴下
し、90℃で20分間加熱攪拌した。室温に冷却した後
にジエチルエーテルを加え、沈殿物を吸引濾別した。残
渣をジエチルエーテルで洗浄し乾燥して、0.16gの
2−[(4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリ
デン)メチル]−3−エチルベンゾチアゾリウム=ブロ
ミド化合物を得た。収率は38%であった。
【0018】得られた32mgの2−[(4−オキソ−
3−エチル−2−チアゾリジニリデン)メチル]3−エ
チルベンゾチアゾリウム=ブロミドと、33mgの4,
5−ジヒドロ−5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾ
チアゾリリデン)−2−メチルチオ−3−エチル−4−
オキソチアゾリウム=p−トルエンスルホナートを0.
35mLのアセトニトリルに懸濁させ、70℃に加温
し、30mLのトリエチルアミンを滴下し、1時間攪拌
した。室温に冷却した後、酢酸エチルを加え、沈殿物を
吸引濾別した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄し乾燥して3
8mgの2−[[5−{5−(3−メチル−2(3H)
−ベンゾチアゾリリデン)−4−オキソ−3−エチル−
2−チアゾリジニリデン}−4−オキソ−3−エチル−
2−チアゾリジニリデン]メチル]3−エチル−ベンゾ
チアゾリウム=ブロミド化合物を得た。収率は85%で
あった。 mp >300℃; IR (KBr) cm-1: 1003, 1065, 1154, 1200,
1275, 1318, 1478, 1539, 1641, 1664; 1H-NMR (300 MH
z, DMSO-d6 ) δ: 1.28 (3H, t,J = 7.1 Hz), 1.34 (3
H, t, J = 6.9 Hz), 1.42 (3H, t, J = 6.9 Hz), 4.10
(3H, s), 4.27 (4H, m), 4.65 (2H, m), 6.66 (1H, s),
7.26 (1H, dd, J = 7.4,7.7 Hz), 7.35 (1H, dd, J =
7.4, 8.2 Hz), 7.49 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.57(1H, d
d, J = 7.6, 8.0 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 7.6, 8.4 H
z), 7.87 (1H, d,J =7.7 Hz), 7.93 (1H, d, J = 8.4 H
z), 8.29 (1H, d, J = 8.0 Hz); Anal Calcd for C28H
27BrN4O2S4・0.5H2O: C, 50.29; H, 4.22; N, 8.38. Fou
nd: C, 50.39; H, 4.35; N, 8.32
【0019】実施例2:熱帯熱マラリア原虫の培養 供試マラリア原虫として、P. Falciparum
FCR−3株(ATCC30932)及びP. Fa
lciparum Honduras−1株(ATCC
30935)を用いた。また、ヒト血清を10%となる
ように添加し、ろ過滅菌したRPMI 1640培地
(pH7.4)を供試培地とした。マラリア原虫は、O
2濃度5%、CO2濃度5%、N2濃度90%、温度は3
6.5℃の条件下で培養した。ヘマトクリット値(赤血
球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は5%とし、
培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1
%とした。24ウェル培養プレートを用いて培養し、培
地は毎日交換し、感染率4%で植継ぎを行った。感染率
は薄層塗抹標本を作成し、ギムザ染色あるいはDiff
−Qick染色を行った後、顕微鏡(油浸、1,000
×)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式から算出
した。 マラリア原虫感染率(%)={(感染赤血球数)/(総
赤血球数)}×100
【0020】実施例3:マラリア原虫増殖阻害スクリー
ニング試験 培養したマラリア原虫感染赤血球を遠心分離で集め、血
清を含む培地で洗浄を行った後、非感染赤血球を加え、
初期感染率0.3%とした。このときのヘマトクリット
値は 3%とした。化合物(II)である2−[[5−
{5−(3−メチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデ
ン)−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデ
ン}−4−オキソ−3−エチル−2−チアゾリジニリデ
ン]メチル]3−エチル−ベンゾチアゾリウム=ブロミ
ド化合物、並びに比較例として、陽性対照薬キニーネ、
メフロキン、アルテミシニンを滅菌水、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(以下、DMFと称す。)、あるいはジ
メチルスルホキシド(以下、DMSOと称す。)に溶解
し、所定濃度のサンプル液とした。かかるサンプル液を
24ウェル培養プレートに試験液を5〜10μLずつ加
えた。各供試サンプルについて、2〜3回の試験を行な
った。また、コントロールとして、滅菌水、DMF及び
DMSOを10μL/ウェル加えた。次に、あらかじめ
所定濃度に調整した熱帯熱マラリア原虫培養液を990
〜995μLずつ加え、静かにピペッティングを行い培
地に一様に懸濁させた。培養プレートはCO2−O2−N
2(5%,5%,90%)インキュベーター中で72時
間培養した後、それぞれのウェルについて薄層塗抹標本
を作成し、ギムザ染色あるいはDiff−Qick染色
を行った後、顕微鏡(油浸、1,000×)下で計測
し、サンプル液添加群及びコントロールのマラリア原虫
感染率を算出した。算出したマラリア原虫感染率から、
次式によって増殖阻害率を算出し、50%増殖阻害濃度
(EC50)を求めた。結果を表1に示す。 増殖阻害率(%)={1−(b−a)/(c−a)}×
100 a:初期感染率 b:サンプル液添加時の感染率 c:コントロールの感染率
【0021】実施例4:マウスFM3A細胞増殖阻害試
験 マウス乳癌由来FM3A細胞の野生株であるF28−7
株を用いた。培地はES培地に非動化した胎児牛血清を
2%となるように添加し、CO2濃度5%、37℃で培
養した。この条件下でのFM3A細胞の倍加時間は約1
2時間であった。前培養を行い、対数増殖期に入った細
胞を5×104cells/mLになるように培地で希
釈し、サンプルはマラリア活性測定時に調製したものを
用いた。24ウェル培養プレートに、実施例3で調製し
たサンプル溶液を5〜10μLずつ加えた。各供試サン
プルについて、2〜3回の試験を行なった。また、コン
トロールとして滅菌水、DMF及びDMSOを各10μ
L加えたウェルも同時に試験した。次に、用意しておい
た培養細胞浮遊液を990〜995μLずつ加えて供試
サンプルの最終濃度は1×10-4〜1×10-5Mとし、
静かにピペッティングを行い培地に一様に懸濁させた。
48時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数
をセルコントローラー(CC−108,Toa.Med
ical Electrics社製)で計数した。計測
した細胞数から、次式により増殖率を算出し、50%増
殖阻害率(IC50)を算出し、各供試サンプルの細胞毒
性を評価した。結果を表1に示す。 増殖率(%)={(C−A)/(B−A)}×100 A:初期細胞数 B:2日後のコントロールの細胞数 C:サンプル添加した2日後の細胞数
【0022】実施例5:薬効判定 熱帯熱マラリア原虫に対する各供試サンプルのEC50
と、マウスFM3A細胞に対する各供試サンプルのIC
50値から各供試サンプルの抗マラリア作用を評価した。
抗マラリア作用の評価は、マラリア原虫に対する選択毒
性の指標として用いられる化学療法係数(IC50値/E
50値)により算出し、薬効判定を行った。結果を表1
に示す。本発明化合物及び陽性対照薬からなる各供試サ
ンプルのIC50値、EC50値及び化学療法係数が示され
た表1からも明らかなように、本発明の抗マラリア剤
は、顕著な抗マラリア活性を示し、選択毒性も優れたも
のであり、低毒性の抗マラリア活性物質であることが分
かった。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】一般式(I)で表される四環性複素化合
物は、既存の抗マラリア剤と比較しても、優れた抗マラ
リア活性を有し、かつを選択毒性が低く、有効成分とし
て含有したため、優れた抗マラリア原虫作用を有し、既
存の抗マラリア剤と比較して顕著な抗マラリア活性を有
し、かつ選択毒性が著しく高く、低毒性の抗マラリア剤
としてきわめて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊上 博史 宮城県仙台市青葉区角五郎2−5−7− 205 (72)発明者 綿矢 有佑 岡山県岡山市門田屋敷2−2−56−102 (72)発明者 金 恵淑 岡山県岡山市津島桑の木町6−1−314 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC84 GA10 MA01 MA04 NA14 ZB38 ZC78

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハ
    ロゲン原子、水酸基、未置換若しくは置換基を有してい
    てもよい炭素原子数1から5のアルキル基、又は、互い
    に連結し形成された未置換若しくは置換基を有していて
    もよい6員環を表し、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ
    独立して、未置換又は置換基を有していてもよい炭素原
    子数1から8のアルキル基を表し、Qは薬学的に許容し
    うるアニオンを表す。)で示される四環性複素化合物を
    有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア
    剤。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で表される化合物が、式
    (II)で表される四環性複素化合物であることを特徴と
    する請求項1記載の抗マラリア剤。 【化2】
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